「魂つなぐ」 SUGIZO、世界的写真家の展示で即興演奏 箱根・彫刻の森美術館で
- 音楽|神奈川新聞|
- 公開:2015/11/08 03:00 更新:2016/01/11 18:36
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「サウンド・インスタレーション」と題した企画は、モデルを務めたSUGIZOさんが9月に同展を訪れた際、「鋤田さんへ、リスペクト(尊敬)の思いを込めて演奏したい」と申し入れて決まった。「瞬間を切り取る力がすごい」と称える巨匠と、瞬間を音に昇華させる力を持ったSUGIZOさんの競演に開始前からたくさんの人が集まった。
404枚の作品の中には寺山修司さん、忌野清志郎さんら故人もおり、SUGIZOさんは「僕の音楽を聴いて、(時空を超え)魂で旅をしてほしい」と思いを込めた。
無音の会場にギターの音が響き渡ると、まるで写真が目覚めるかのよう。コラールのような音はモノクロ写真に彩りを添える。十字に向かって両手を合わせるマリア像を切り取った作品からは、深い祈りを感じさせた。白鳥が羽を膨らませた1枚からは羽をこすり、鳴く声が聞こえる。
終盤に披露したバイオリンでは、集まった魂を癒やすように空気をかき混ぜていく。SUGIZOさんが一心に演奏をする姿を、鋤田さんが撮影する生のセッションもあり、集まった人は静かにその様子を見つめていた。
約1時間に及ぶ演奏後、SUGIZOさんと固い握手を交わした鋤田さんは、演奏によって長崎で被爆者らを撮影した作品から〝フラッシュバック〟する瞬間があったと振り返り、「泣きそうになったから、あんまり(写真の前に)行かないようにしていた」と感想を口にした。
写真展をプロデュースした立川直樹さんは「見たことがある景色を、見たことがない景色に変えてしまうのが鋤田さんの写真のすごさ。世界で1番ぜいたくなBGMを聴きながら写真を見ることができた」と満足そうだった。展示は8日に閉幕する。
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