言い換えれば、経済活動に何ら寄与しない若者を44万人も作り出すのだ。経済面だけを捉えれば、20歳を超えた若者を、国家が強制的に“体力の有り余った引きこもりの無職”にする、と言った方が的確かもしれない。
では、諸外国のように民間並みの給料を払うとどうなるか。それは“普通の給料”をもらう国家公務員を44万人増やすことであり、国家財政の破綻を意味する。どちらにしろ「マネー」を生み出すことはない。それゆえに韓国の徴兵制はいま、危機に陥っている。
不況で志願者急増
韓国では徴兵に応じる時期を19~30歳の間、自分で選べるのだが、これが仇となった。韓国通信社の聯合ニュース(電子版)などによると、不況に陥った韓国では、「いま就職活動をしても無駄だ」と見切る大学生が増えている。いまのうちに徴兵を済ませ、2年後の経済復活に期待しようとの考えから入隊希望者が急増し、2015年に受け入れ体勢が事実上パンク。このため今回の予算編成では、1万人の追加入隊に必要な財源632億ウォン(約66億円)を確保した。44万人に加え、さらに1万人を国の経済活動から切り離そうというのだ。