現在は約44万人が訓練や国境警備の補助に従事しており、その人件費は膨大だ。軍事費の約3割は人件費(職業軍人含む)で、韓国軍と韓国経済にとって最大の問題はこの徴兵制なのだ。
水筒を磨く
首都のソウル市内でさえ約9000人のホームレスがいるとされる韓国で、徴兵された兵隊にまともな宿舎が完備されているわけもなく、韓国紙「ヘラルド経済」(電子版)などによると、軍施設への上水道普及率は50%未満、くみ取り式便所は1400カ所に及ぶという。
そんな2等兵たちの給料は1カ月約13万ウォン(1万3千円)、除隊間際に兵長となって約17万ウォン(1万7千円)。日給ではなく、月給だ。韓国の物価は近年、日本と大差ない。衣食住が無料とはいえ、衣類は迷彩服2着に、すぐ底のはがれる軍靴などごくわずかで、新兵がまず手をつける仕事は水筒磨きだという。幾多の先輩兵が使い、白サビの出たアルミ製の水筒を支給された新兵は、そのサビを歯ブラシで磨き落とすのだ。毛布は30~40年使い続ける年代物。食にいたっては夜食のインスタントラーメン(自費)が唯一の楽しみという水準だ。