東急不動産3000万円支払い拒否の不当
東急不動産は売買代金返還訴訟(東京高等裁判所平成18年(ネ)第4558号、原審東京地方裁判所平成17年(ワ)第3018号)における和解金支払いを拒否した。
本訴訟は東急不動産がアルス東陽町301号室の販売時に不利益事実(アルス東陽町竣工後に隣地が建替えられる、作業所のため騒音になる)を説明しなかったため、消費者契約法第4条第2項に基づき、売買契約を取り消した購入者(被控訴人)が売買代金返還を求めて提訴した訴訟である。東京地裁平成18年8月30日判決は東急不動産に売買代金全額2870万円の返還を命じ、控訴審で一審判決に沿った内容の和解が成立した。
ところが、東急不動産は和解条項に定められていない内容を被控訴人側に要求し、被控訴人が拒否したところ、東急不動産が和解条項で定められた3000万円の支払いを拒否した。具体的には、東急不動産は東急不動産が用意した藤谷彰男司法書士への所有権移転登記の委任状提出に原告が応じないことを支払い拒否の理由とした。これは全く筋が通らない。
原告(被控訴人)は和解金の受領意思を示しており、東急不動産の明白な義務違反である。東急不動産の3000万円支払いと被控訴人の受取証(領収書)の引渡義務は同時履行の関係にある。しかし被控訴人は受取証を渡すと明言しており、東急不動産による同時履行の抗弁は理由にならない。
論点は大きく三つある。これらの論点は相互に関係している。
第一にアルス東陽町301号室所有権移転登記の登記原因である。東急不動産は当初、登記原因を和解とすることを求めた。しかし、和解調書には「訴訟上の和解を登記原因とする」と明記してあるため、被控訴人は調書記載の通り「訴訟上の和解」を主張した。東急不動産側は「東京法務局に確認したところ、訴訟上の和解では登記できないと言われた」と主張するが、被控訴人の確認により完全な虚偽であることが判明した。
第二にアルス東陽町301号室所有権移転登記手続きである。東急不動産は、東急不動産の用意した司法書士への委任状を提出することを要求した。これにより、東急不動産と被控訴人の共同申請で移転登記すると主張した。確かに論点第一で東急不動産が主張したように登記原因を和解とするためには、共同申請による必要がある。
しかし本件は確定判決と同一の効力を持つ和解調書に規定されているため、被控訴人が東急不動産から3000万円を受領した時点で登記をする旨の意思表示が擬制される(民法第414条2項但し書き、民事執行法第174条)。これにより被控訴人は「登記手続きする」という義務を果たしたことになり、登記申請手続きをすることは不要である。
第三にアルス東陽町301号室所有権移転登記を単独申請する場合の手続きである。論点第二の被控訴人主張の通り、東急不動産が3000万円支払えば被控訴人の登記する意思が擬制されるため、東急不動産は単独申請できる(不動産登記法第63条)。単独申請する場合、和解調書に執行文を付与する必要があり、執行文付与申請時に反対給付の3000万円支払いを証明する必要がある。
被控訴人は反対給付の証明は文書で行わなければならないため(民事執行法第174条第2項)、3000万円受領と引き換えに渡す受領書を執行文付与申請時に提出すればいいと主張した。これに対し、東急不動産は、証明する文書は公文書に限られるとして法務局に供託するしかないと主張した。
被控訴人と東急不動産の落差は埋めようがなかった。何一つ合意に達しなかった。東急不動産は不敵にも和解調書を鼻であしらい、一向に従う様子がなかった。結局のところ、騙し売りした問題物件を抱えたまま被害者に泣き寝入りさせることが東急不動産の本音である。悪徳不動産業者は最初から最後まで悪徳である。東急リバブル東急不動産は消費者の心を宥めるような約束をして協力を要求する。しかし、自らの目的を果たした途端、さっさと相手を犠牲にして自分達だけ闇に溶けてしまう。
井口寛二は3000万円の支払いを拒否すると、被控訴人を見て、薄笑いした。まさに「ニター」という顔つきであった。邪悪なまでの嘲笑であった。露骨な挑発でもある。照明に照らし出された貪欲そうな顔、あのような表情は見たことがなかった。何とも言えない嫌らしさ。
被控訴人の鳥肌が立った。獲物を前に舌なめずりする人食いライオンか、ファウスト博士をつかまえたメフィストフェレスか、いずれにしても邪悪なオーラに包まれていた。被控訴人の戦う相手は人間でない何かである気がした。胃がむかついてきた。本当に吐きそうになった。もう一度あれを見せられたら、飛行機酔いの袋を膝に置いて嘔吐していたかもしれない。被控訴人は人生で始めて特大の銃が欲しくなった。
東急不動産は4月2日付で東京法務局に3000万円を供託したと通知した。被控訴人は3000万円の受領を拒否しておらず、東急不動産の供託は民法494条に定める供託原因を満たさないため、無効である。アルス東陽町301号室を巡る東急不動産のトラブルは、まだまだ続くことになる。龍は一日も早く、懐かしい淵に帰って平安の夢を見たい。そのためには淵に石を投げ込み、水を濁らせる東急不動産を退けなければならなかった。
東急不動産消費者契約法違反訴訟は、実体法上の分野で消費者契約法に基づく不動産売買契約の取り消しという画期的な判決を出した。東急不動産の和解条項違反を巡って、手続法上も興味深い論点を提供することになる。
また、安易な訴訟上の和解によってかえって紛争を深刻化させてしまった事例ともいえる。「示談と和解は、紛争を話し合いで円満に解決するすぐれたメリットがあるのですが、真の問題解決を先送りにするものであったり、あとで重要な合意事項が抜けていたりして紛争が再燃する懸念も否定できない、ある意味で不完全な解決方法でもあります」(高橋裕次郎『裁判と訴訟手続きのすべて』日本実業出版社、2001年、98頁)。
東急不動産消費者契約法違反訴訟は東京高裁で訴訟上の和解が成立したが、和解条項の履行をめぐって紛争が再燃した。東急不動産は和解条項に定められた3000万円の支払いを拒否し、供託した。東急不動産が連れて来た藤谷彰男・司法書士への所有権移転登記の委任状を被控訴人が提出しないことを理由とするが、これは不当である。和解調書は確定判決と同一の効果を有するため、東急不動産は単独で登記申請できる。
被控訴人が登記申請する義務はなく、東急不動産は和解調書に定められた義務以外の過大かつ不当な要求をした。そもそも和解調書に基づく手続きが嫌ならば争わず、訴訟外の和解を求めればいい。ところが、東急不動産は何一つ妥協も譲歩もせず、とことん争っておきながら、和解条項の履行時になって、和解条項と異なる内容を要求する。
東急不動産(代理人・井口寛二)は2007年3月28日に三井住友銀行深川支店で和解調書とは異なる内容での所有権移転登記を要求した。東急不動産は被控訴人を嘘で騙そうとした。嘘が露見すると、大声を出して脅迫した。その後、アルス東陽町(リリーベル東陽町サーモス)を地上げしたブローカー(アソシアコーポレーション株式会社・井田真介)は被控訴人の勤務先にまで圧力をかけた。
被控訴人は内容証明郵便を送付して東急不動産に和解条項に基づく金銭支払いの請求及び、井田真介による圧力の停止を要求した。これに対し、東急不動産は「弁護士間で協議中」の一点張りで対応を拒否した(井田真介の圧力は、内容証明郵便が東急不動産に到達した後には停止している)。しかも実際は弁護士間での協議は行われておらず、協議していないのに協議中とされた被控訴人の弁護士をも侮辱する回答であった。
被控訴人側は東京都都市整備局に東急リバブル・東急不動産に対する行政処分を申し出た結果、被控訴人の主張通り、和解調書に基づく方法(3000万円と受領書を引き換えにする、所有権移転登記の委任状は提出しない)で和解条項の履行がなされた。東急不動産代理人・井口寛二の嘘・脅迫や地上げブローカーの暗躍が問題を複雑にさせたため、問題を複雑にさせたため、双方、弁護士等を入れないことにした。東急不動産代理人・井口寛二は「私文書(の受領書)は執行文付与の証明文書にならない」と主張したが、それが誤りであることが明白に証明された。
東急不動産は消費者契約法第4条第2項(不利益事実不告知)に基づき売買契約が取り消されたアルス東陽町301号室の売買代金返還訴訟における訴訟上の和解で2007年3月末までに3000万円の支払いが定められたにもかかわらず、支払いを拒否した。東京都都市整備局の行政指導によって6月28日にようやく支払うという悪質さである。東急不動産は潔さ、清明さという日本的な価値観とは対極にある。絶対に買ってはいけない会社であることは間違いない。
東急不動産は法律の規定を無視し、3000万円の支払い場所を自社の取引銀行である中央三井信託銀行渋谷支店に指定した。中央三井信託銀行渋谷支店は東急不動産本社の近所であり、東急不動産の取引銀行でもある。東急不動産の指定は「金を取りに来い」と呼びつけているに等しい。相手のことを何ら考えていない身勝手な発想である。
法律上、債務の履行地の定めがない場合は持参債務となり、支払側が受取側のところに届けなければならない(民法第484条、商法第516条)。即ち東急不動産が被控訴人宅に3000万円を持参することが基本である。それにもかかわらず、中央三井信託銀行渋谷支店を指定したことは、自社が不利益になる場合は徹底的に法律を無視する東急不動産の体質を雄弁に物語っている。
消費者にとって東急不動産の指定した場所に行くことには以下の懸念もある。「相手の会社や指定された場所での交渉の場合、大声を出されたり恫喝されて、無理やり同意させられてしまうことも考えられます」(岩山健一『「欠陥?!」住宅に負けない本』PHP研究所、2005年、198頁)。
最終的には三井住友銀行深川支店が3000万円授受の場所となった。東急不動産消費者契約法違反訴訟の和解条項では抵当権抹消が定められていたが、これには三井住友銀行深川支店から被控訴人が借りていた東急リバブル提携ローンを弁済する必要がある。東急リバブル提携ローンの弁済は東急不動産が支払った3000万円から行うことが和解成立時に想定されていた。ローン借入先の三井住友銀行深川支店を3000万円の受け渡し場所にすることで双方が合意したという事実が、これを裏付ける。しかし、東急不動産が3000万円の支払いを拒否したため、東急リバブル提携ローンも弁済されないままとなった。
因みに不動産会社の提携ローンについては以下のように指摘される。「提携ローンは手続きが簡単なため、その分金利が少し高くなっています。また、不動産会社が物件を購入してほしいあまりに買主に押し付けてくるようなケースもあります」(鬼定佳世『マイホームこの買い方・選び方なら安全だ』かんき出版、1995年、158頁)。
【三井住友銀行深川支店】和解金授受は2007年3月28日11時に三井住友銀行深川支店において行われる予定であった。東急不動産側は住宅事業本部業務推進グループ・坂元貴、大見、東急不動産代理人・井口寛二弁護士、藤谷彰男司法書士(ふじたに司法書士事務所、渋谷区道玄坂)が出席した。坂元、大見は取るに足らない人物で、生まれながらにほんの端役を演じるに過ぎない人間であった。
被控訴人は、あまり気乗りしないが、礼儀正しく接しようと思い、会釈した。しかし、この礼儀が報われることはなかった。東急不動産側は簡単な挨拶を口にしなければ、握手の手を差し出すこともなかった。東急不動産従業員は口数を少なくするようにプログラムされていたし、そもそも軽い世間話の能力が完全に欠如していた。
全員、ユーモアも善意の欠片もない顔であった。被控訴人に対する嫌悪を隠そうともしなかった。苛立ち、敵意、さらには苦々しさと敵意。猜疑心の塊で高圧的であった。東急不動産の嗜虐性と怨念が飽和し、瘴気となって溢れかえっている。東急不動産の悪意は、お互いが同じ部屋にいることすら耐えがたいほど激しいものであった。
井口寛二は被控訴人をジロリと睨んだ。まぶたの垂れた両目には不吉で凶悪な雰囲気があった。井口寛二の視線が毒刃となって被控訴人を突き刺し、切り裂こうとした。その視線に思わず鳥肌が立った。寒風を吐き出す底なしの洞窟に思えた。深く暗い湿った井戸の底に引きずりこまれる思いがした。
どす黒いブヨブヨした肉塊がだらしなく服を着込んでいる。どのような人相見に見せても、たまらなく不愉快な人物と思わずにはおかないものを持っていた。人間としての美点を他人にまったく感じさせない存在であった。井口寛二は原告代理人に対しては、ありきたりな微笑を浮かべた。それを見た被控訴人は下手な画家が廃墟と言えば必ず描く、例のベットリとした色の月を思い出さないではいられなかった。
主に話したのは井口寛二であるが、被控訴人側の話は一切聞かず、喧嘩腰一歩手前の口調でしか話せない人間であった。巨大なヒキガエルが通りかかるハエを待ち構えているようにしか見えなかった。そのヒキガエルが悪意のこもった視線を向けて口を開いた時には尖ったピンク色の舌が今にも飛び出してきて被控訴人に突き刺さりそうであった。
欲が深く、それに反比例して底の浅い小策士である。温厚で争いを好まぬ君子から見ると、井口寛二には無益に争う悪癖がある。平地に乱を起こし、静かな池に石を投げ込むことが趣味のように見受けられる。それで水面に波が立つくらいならまだしも、石の重さで池の底が抜けてもお構いなしである。修行して人格を磨き、心を清めるべきである。
東急不動産は所有権移転登記に際し、虚偽の説明までして登記原因を和解調書規定のものから勝手に改変しようとした。
和解条項は第2項で「平成18年12月21日付「訴訟上の和解」を原因とする」と明記していた。和解条項が「訴訟上の和解」を登記原因とすることを求めていることは明白である。しかし、東急不動産は登記原因を「和解」、原因の日付を和解金支払日とすることを提案した。被控訴人が正当にも和解調書上「訴訟上の和解」と記載されている旨、指摘すると、「訴訟上の和解を登記原因としては登記できない」と虚偽の説明を行った。あろうことか、それが東京法務局に確認した結果とまで主張した。東急不動産は「この阿呆は真実を知らない。とんでもない間抜け野郎だぜ」と嘲笑したに違いない。
被控訴人側が直接、東京法務局墨田出張所に問い合わせて虚偽が判明したため、客観的には勝負あった状態である。しかし東急不動産側は非を認めず、「法務局に二つの見解がある」「法務局の見解が変わっている」と法務局に責任転嫁した。
実際の法務局見解は「和解調書に登記原因及びその日付が記載されていれば、その原因及び日付となる。和解調書に登記原因及びその日付が記載されていなければ登記原因を和解、和解成立日を日付とする」である(登記研究第451号125頁)。因みに判決に基づき登記申請する場合の登記原因は、判決書に原因の記載があるときはその原因により、その記載がないときは「判決」とする(昭和29年5月8日民事甲第938号回答)。
「登記原因を条項中に記載しない場合には、登記原因は「和解」となり、日付は和解成立日となる」(近藤基他『書式 和解・民事調停の実務 全訂6版』民事法研究会、2006年、104頁)。
登記原因を和解、原因の日付を3000万円支払日とする東急不動産案には正当性の欠片もない。法務局の見解が割れている訳でも見解が変わった訳でもない。東急不動産は消費者契約法に基づき売買契約が取り消され、実質敗訴の和解に追い込まれたという事実を登記簿上に残すのが嫌で、登記原因を和解に改変しようとしたに過ぎない。
登記原因が和解に改変されれば、アルス東陽町301号室を売却しようとする東急不動産にとっては東急不動産消費者契約法違反訴訟と登記簿が結びつかなくなり、売りやすくなり利益を受ける。反対に東急不動産の卑劣な騙し売りから自らの権利を守るために戦ってきた被控訴人にとっては真実が歪曲され、大きな不利益を受ける。
東急不動産は間違った説明をしたことに対し、何ら反省せず、法務局に責任転嫁した。これは東急不動産が被控訴人を騙して都合の良い登記原因にしたことを裏付ける。騙して都合の良い登記原因にすることが目的ならば、「訴訟上の和解では登記できない」という説明が虚偽であることは最初から自覚している。だから虚偽が露見しても反省しようがない。東急不動産がするのは言い訳だけで、それが法務局への責任転嫁である。
仮に虚偽の説明をしたことが悪意に基づくものではないならば、被控訴人に誤った情報を与えて大損害を与えかねなかったことになるため、大慌てになる筈である。虚心坦懐反省して、何故、誤った情報になったのか理を尽くして説明する筈である。しかし東急不動産や藤谷司法書士の態度からは、そのような姿勢は微塵もうかがえなかった。自らの確認不足を恥じるならば兎も角、「間違えではない」と強弁し、法務局に責任転嫁しようとする東急不動産や藤谷司法書士は信頼できない。
当事者の合意があれば登記原因を和解とすることも可能であるが、それは登記原因を和解とすることが和解調書に照らして正しいことにはならない。兎に角、登記できればいいならば、そもそも売買でも贈与でも何でもいいことになる。被控訴人は正しく登記されることを求めている。被控訴人が2007年3月27日、「ふじたに司法書士事務所」に電話した際、対応した有木達也・司法書士は「登記できることを第一に考えている」と発言したが、登記できさえすれば良いとのいう考えは司法書士失格である。
【有木達也・司法書士の虚偽】2007年3月27日に被控訴人側は「ふじたに司法書士事務所」に電話し、和解調書を登記原因証明情報にすることを求めた。これに対し、有木達也・司法書士は「和解調書では現金の授受がはっきりしないので駄目だ」と答えた。
これも虚偽である。執行文を付与されれば和解調書に基づき単独で登記できる。本件和解調書のように反対給付がある場合は、執行文付与申請時に反対給付を提供したことを証明する必要があり、それが認められた場合に執行文が付与される。即ち執行文が付与されたことは反対給付を提供したと裁判所書記官が認めたことを意味する。即ち執行文付与により、3000万円の授受を確認できる。有木達也・司法書士の説明は虚偽である。
【登記原因日付】原告は消費者契約法第4条第2項(不利益事実不告知)に基づき、アルス東陽町301号室の売買契約を取消した。原告による取消しの意思表示により、原告と東急不動産(販売代理:東急リバブル)との間のアルス東陽町301号室売買契約は最初から存在しなかったことになる。これにより、債権・債務は最初から発生しなかったことになる。
しかし東急不動産は原告の意思表示を無視し、売買代金返還を拒否したため、原告は売買代金返還を求めて東京地裁に提訴した。東京地裁平成18年8月20日判決は東急不動産の不利益事実不告知を認め、東急不動産に売買代金2870万円の全額返還を命じた。東京高裁での和解は一審判決に沿ったものであり、和解成立において原告が訴えを取り下げていないため、あくまで和解条項は契約取消し後の原状回復を規定したものに過ぎない。東急不動産の買取りでも再売買を意味するものでは断じてない。契約取消しにより、原告の所有権の根拠となった売買契約が存在しなくなったため、原告は東急不動産に売却できる不動産を所有していない。
契約取消しにより、原告がアルス東陽町301号室を購入していないことになったため、原告のアルス東陽町301号室が居住している状態は、正当な権利なくして不動産を占有していることになる。だからこそ和解金の算定において賃料相当額を控除した。
東急不動産が賃料相当額を控除した金額を和解金として支払うという事実は、原告によるアルス東陽町301号室の占有が正当な権利に基づかないものであることを東急不動産自らが認めたことを意味する。即ち原告の所有権の根拠となるべき不動産売買契約が適法に取り消されたことを東急不動産自らが認めたことである。最初から原告には所有権は存在しないのだから所有権が移転することはない。従って和解金受け渡し日が登記原因の日付であることはあり得ない。
【3月28日のやり取り】
「東急不動産の虚偽の説明により、危うく訴訟上の和解が、示談と同じ、ただの和解にすり替えられるところでした。東急不動産は私を騙したのです」
被控訴人は静かに話した。その静けさは雷鳴が轟く寸前の空の静けさである。
井口弁護士「騙したのではない」
井口寛二の声には処刑役人の冷酷さがあった。被控訴人はゾクゾクした。無論、嬉しいからではなく、不快感からである。ねっとりした油染みた声が被控訴人の背筋に冷水を伝わらせた。何か神聖なものを冒涜されるような深刻極まる感情が呼び起こされた。東急不動産に対して弱みを見せたくないという気持ちがなければ、被控訴人は回れ右して逃げ出したに違いない。
被控訴人「結果的に同じでしょう。謝りもしないのだから、悪意があったと受け取るのが自然です」
披控訴人は鋭く激しい視線を井口寛二に突き刺したが、井口は痛痒を感じぬ様子で開き直った。
「謝ればいいのか」
井口寛二は妙に卑しい印象で口元を曲げた。その一言毎に空気中の毒素が濃くなるようであった。聴覚神経がかきむしられるだけでなく、奥歯まで痛くなってくる不快な声である。井口寛二という男は全身から毒素を発散し、他人の神経を苛立たせる。密閉して慎重に保管すべき有毒化学物質のような存在である。
被控訴人「それが謝ろうとする人の態度ですか。口先だけでの言葉は無意味です。東急不動産の虚偽の説明で、こちらは大きな被害を受けるところでした」
相手の許しを前提とする謝罪には、その謝罪のそもそもの原因となった行為の真の責任を曖昧にするマイナス効果がある。また、謝罪が過去の歴史を忘れさせることを意図しているならば有害でさえある。
井口寛二が口を開く時は唇の動きで三秒前から分かる。ほら、ちょっと感電したみたいに口元が波打ち始めた。
(大声で)「皆、忙しい中をこうして来ているのだ」
井口寛二の両目に怒気の炎が膨れ上がるのが、はっきりと見てとれた。井口の言葉は目に見えない剃刀と化して被控訴人の心臓を傷つけた。被控訴人は、こみ上げる嘔吐感を辛うじて堪えた。協力者が井口寛二を危険な男と評したのは正しかったが、偏執狂で妄想気味ということも教えて欲しかった。
被控訴人「そちらは仕事でしょう。こちらは会社を休んで来たのです。代理人を立てている以上、来る必要はありません。大体、私の当事者尋問の時も井口弁護士の身勝手な都合で当日いきなり延期をしました。私は来る必要のない日に法廷に来てしまったわけです。申し訳ないくらい言ったらどうですか」
しかし井口弁護士は申し訳なさそうな態度は少しもとらなかった。その代わり、「ザマーミロ」という風にニヤリとする。この上なく恩知らずで得手勝手な動物である。まるで井口寛二は「力がある者はルールを守らなくて良い」と思っているようであった。逆に言えば「大企業に楯突く消費者が酷い目に遭うのは当然だ」となる。
井口寛二にとって、被控訴人に無駄骨を折らせたことが至上の喜びのようであった。井口寛二が被控訴人を苦しめること自体を楽しんでいることは事実である。しかも被控訴人の見るところ、舌なめずりして楽しんでいた。よくよく人の心を傷つけるのが好きな男である。被控訴人は心が刺鞭に打たれるのを感じた。
被控訴人「3000万円を受け取れば、受領書に記名捺印してお渡しするので、それを証明として執行文の付与を受けることができます」
井口「受領証は持ってきていない」
被控訴人「受領書を用意していますので、それを証明書として執行文を付与してもらい、単独申請して下さい」
井口「執行文付与は私文書では駄目だ。公文書でなければ裁判所は受け付けない。だから供託するしかない。嘘だと思うなら裁判所へ行って聞いてみればいい」
声は冷ややかな威圧に満ちていた。剥き出しの敵意まで半歩の距離しかない。両目には暗赤色の炎が揺らめき、さながら地獄の溶鉱炉である。被控訴人は目立たぬように服の上から胃を抑えた。無理やり氷塊を飲み込んだような不快な冷たさを胃の辺りに感じたためである。
井口「供託すると、お金の受け取りは大変ですよ。いいのですか」
被控訴人「折角のお言葉ですが、あえて言わせてもらえれば、それほどあからさまな発言は昨今では極めて珍しいものです」
東急リバブル東急不動産から屑物件を騙し売りされたおかげで、被控訴人はこれまで、しなくてもいい経験を重ねてきた。気味の悪い人間にもであったし、不愉快な悪党にもお目にかかった。だが、井口寛二ほどおぞましい怪物はいなかったし、藤谷彰男ほど品性下劣な悪党もいなかった。地球人のフリをしているが、精神は暗黒星雲に住むザリガニ星人同様である。
法律を守る弁護士の癖に平気で嘘をつく。東急不動産の和解従業員にも嘘をつくよう唆す。井田真介(元康和地所従業員、アソシアコーポレーション株式会社取締役)を巻き込み、井田の信用まで失わせる。卑劣極まりなく、あれで横浜桐蔭大学の学生に何を教えているのか憤りが収まらない。井口寛二のやり方では、さぞ多くの人の恨みをかっていることであろう。
【委任状の写しの返却を渋る東急不動産】東急不動産は、被控訴人が東急不動産に求められるままに送付してしまった所有権移転登記の委任状及び登記原因証明情報の返却を渋った。
東急不動産は被控訴人に「登記原因は和解、原因の日付は3000万円の授受日でなければ所有権移転登記できない。登記原因証明情報を別途作成する必要がある」と虚偽の説明をした。真実は登記原因及び日付は和解調書記載の通り、「平成18年12月21日付訴訟上の和解」となり、和解調書が登記原因証明情報になる。
被控訴人は、東急不動産に送付してしまった委任状等の写し等の返却を要求した。東急不動産が単独申請するならば被控訴人の委任状は不要であり、登記原因証明情報も和解調書になるので、別途私文書を作成する必要はないためである。写しといえども被控訴人が署名し、実印を押したものであるため、悪用される恐れがある。そのため、速やかに回収する必要があった。
しかし、藤谷彰男・司法書士は「被控訴人が用意した書類との引き換えにする」と言って返却に応じなかった。被控訴人は藤谷彰男の生気のない目に妙なものを感じた。はっきりは分からないが、気味が悪かった。
東急不動産の虚偽説明により、渡すべきでないものを送ってしまったのだから無条件で即座に返還すべきである。東急不動産側の人間は不誠実極まりない。被控訴人が大声で怒鳴りつけることで初めて返却に応じた。被控訴人が強気に出なければ返すつもりがなかったことは明白である。
東急不動産が委任状の返却を渋った点も、「登記原因を和解にしなければ移転登記できない」等の虚偽説明が、藤谷彰男・司法書士の過失ではなく、被控訴人を騙して東急不動産の利益を図るための悪意に基づくものであることを裏付ける。
仮に過失により、誤った説明をしたならば、本来送付すべきではない書類を相手に送付させたことになるため、慌てて返却する筈である。それをせず、被控訴人が要求しても返却を渋った点には「登記原因を和解としたい。そのために書類は返却したくない」という藤谷彰男・司法書士の悪意があるためである。
東急不動産は東急不動産消費者契約法違反訴訟の和解条項履行時に単独申請できるにも関わらず、不当にも被控訴人に東急不動産が用意した司法書士への所有権移転登記の委任状提出を要求した。被控訴人が正当にも拒否すると、信じ難いことに3000万円の支払いを拒否した。
東急不動産代理人の井口寛二弁護士は3000万円の現金も見せずに「実印を押した藤谷司法書士への委任状を出せ」と大声で怒鳴った。井口寛二の怒声は三井住友銀行深川支店の2階中に響き渡った。
東急不動産の主張に正当性は皆無である。和解条項では「被控訴人は3000万円の受け取りと引き換えに所有権移転登記手続きをする」となっている。通常の契約ならば所有権移転登記の共同申請をしなければ登記は移転されないが、判決や和解調書で登記を命じる場合は登記義務者の登記申請意思が擬制される(意思表示の擬制、民法第414条2項但し書き)。
即ち3000万円の受け取りという条件を満たした時点で登記をする旨の意思表示が擬制される(民事執行法第174条)。その結果、東急不動産は登記を単独申請できる(不動産登記法第63条)。
「債務者の登記申請の意思表示義務の場合、実際の意思表示は重要でなく、問題は債務者の意思表示の結果として、当該登記が(債務者単独の申請により)可能となるという効果それ自体である」(上原敏夫、長谷部由起子、山本和彦『民事執行・保全法』有斐閣、2004年、199頁)。
「不動産登記法は、登記義務者に登記を命ずる判決がある場合には、登記権利者が単独で登記手続を申請することができると定めている。この規定の法律的性質は判決代用と同一である」(野村豊弘他『民法V−債権総論第2版』有斐閣、1995年)。
被控訴人の「所有権移転登記手続きをする」との意思表示が擬制されたことにより、自動的に被控訴人の義務は果たしたことになる。実際に東急不動産が執行文付与申請して和解調書に基づき所有権移転登記申請しなければ登記は移転されないが、それは東急不動産の問題であって被控訴人の心配の及ぶところではない。
にもかかわらず、東急不動産は共同申請に拘泥し、被控訴人が応じないと和解金支払いを拒否した。東急不動産の明白な支払い義務違反である。結局のところ、騙し売りした問題物件を抱えたまま被害者に泣き寝入りさせることが東急不動産の本音である。悪徳不動産業者は最初から最後まで悪徳である。
【単独申請】第一に和解調書自体、東急不動産の単独申請を想定して書かれている。
和解調書第2項は「被控訴人は、平成19年3月末日限り、前項記載の金3000万円の支払いを受けるのと引き換えに、控訴人に対し、本件建物につき平成18年12月21日付「訴訟上の和解」を原因とする被控訴人から控訴人に対する所有権移転登記手続き及び東京法務局墨田出張所平成15年10月23日受付、受付番号50222番の抵当権設定登記の抹消登記手続きをする」と定める。
被控訴人が所有権移転登記手続きをすると定めた和解条項の文言が東急不動産の単独申請を予定していることの証拠である。何故ならば単独申請は「登記すべきことを命じた給付判決」、または裁判上の和解調書・調停調書等の「登記すべきことを命じた給付判決に代わるもの」でなければならないためである(明治33.1.17民刑1390号回答、昭和29.1.6民甲2560号回答)。
以下の先例がある。「被告は原告より金千円を受領し不動産を原告に売り戻すべし」との判決が確定し、原告において金千円を供託した場合でも、右判決は判決主文で相手方に登記申請をなすべき旨を命じたものではないから、不動産登記法第27条にいう「判決」とは言えないから、右判決により登記権利者のみで所有権移転の登記を申請することはできない(明治33年9月24日民刑第1390号民刑局長回答)。
即ち東急不動産が単独申請するために和解調書に「被控訴人が所有権移転登記手続きをする」と書かれたのである。被控訴人が登記義務者として東急不動産と共同申請しなければならないという記載は和解調書のどこにもない。東急不動産の身勝手な解釈に過ぎない。東急不動産独自の所論であって、従前の判例、学説の解釈と相容れないものである。「登記手続きをする」という文言を根拠なく「登記申請する」に拡大解釈して被控訴人の負担を増大させたがっているに過ぎない。
そもそも常識的に考えても裁判までして争った仇敵と共同申請することは気分的にも嫌なものである。訴訟上の和解が成立したとはいえ、法律上の問題に過ぎず、日常語の和解(仲直り)の意味ではないことは法律に携わるものならば常識である。
東急不動産はアルス東陽町301号室の売買契約が消費者契約法第4条第2項(不利益事実不告知)に基づき、取り消され、東京地裁平成18年8月30日判決によって売買代金全額返還が命じられ、東京高裁での和解によって原状回復が定められたという事実を自覚していないのではないか。不動産売買の取引とでも勘違いしているのではないか。東急不動産のアルス東陽町301号室騙し売り自体が不良品と知りながら黙って売りつける詐欺に値する悪質な行為であり、信義則に違反する。
【執行文付与】第二に東急不動産の主張する単独申請のためには執行文付与が必要との主張は何ら意味がない。執行文付与申請の手間がかかるということは東急不動産の事情に過ぎない。被控訴人には東急不動産による執行文付与申請を妨げる意思も権限もない。執行文付与申請をしたくないために、被控訴人に共同申請という過大な負担を当然のごとく要求することは筋違いである。
東急不動産が単独申請を嫌うのは、執行文を付与する手続きをしなければならないからに過ぎない。執行文付与には時間がかかり、被控訴人に金銭を先払いする結果になることを避けたいという身勝手な理由である。それは井口弁護士の「執行文付与のためには3000万円を供託するしかない」という発言から明白である。被控訴人に3000万円を支払い、受領を証明する文書を入手すれば、それで執行文を付与できるにもかかわらず、あえて供託という手段をとることは3000万円の先払いを避けたい以外に理由はない。
債務者の意思表示の擬制が反対給付との引換えに係る場合には、債権者は、反対給付またはその提供のあったことを証明する文書を提出して執行文の付与を受けたときに、債務者の意思表示が擬制されることになる。即ち先に反対給付を提供しなければならないことは意思表示の擬制の場合、法が予定していることである。
近藤基他『書式 和解・民事調停の実務 全訂6版』民事法研究会、2006年、123頁以下
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意思表示の擬制の執行文 債務者の意思表示の擬制が反対給付との引換えに係る場合には、債権者は、反対給付またはその提供のあったことを証明する文書を提出して執行文の付与を受けたときに、債務者の意思表示が擬制されることになる(民執174条1項・2項)。
たとえば、次のような和解条項の場合である。
相手方は、申立人から代金○○円の支払いを受けるのと引き換えに、申立人に対し、本件土地について、平成○○年○月○日売買を原因とする所有権移転登記手続きをする。
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【判例】執行文が付与された時に、被控訴人は意思表示したものとみなされ、執行が完了するため、東急不動産が被控訴人に3000万円を支払うことは先履行を強いることにはならない。従って単独申請を要求することは同時履行と矛盾しない。供託通知書中の「被供託者は、所有権移転登記手続きに関して金銭給付との同時履行にて履行することを拒否した」は虚偽である。
だからこそ、民事執行法第174条第2項は「債務者の意思表示が反対給付との引換えに係る場合においては、執行文は、債権者が反対給付又はその提供のあつたことを証する文書を提出したときに限り、付与することができる」と定めた。「債権者が法の擬制により直ちに確実に意思表示の効果を得ることとの関係上、反対給付についての確保してやる必要に基づく」(中野貞一郎編『民事執行・保全法概説第2版増補版』有斐閣、2004年、232頁)。
最高裁昭和41年3月18日第二小法廷判決民集20巻3号464頁登記抹消請求事件は「不動産登記の抹消登記手続を求める請求は、被告の抹消登記申請という意思表示を求める請求であって、その勝訴の判決が確定すれば、それによって、被告が右意思表示をしたものとみなされ、その判決の執行が完了するものである。したがって、抹消登記の実行をもって、右判決の執行と考える必要はない」と述べる。
豊水通祐・法曹時報18-5判解民昭41〔23〕、香川・登記研究224、小山昇・判評94(判時453)〔最新判例批評五二〇〕、谷口知平・民商55-4、高津幸一・法協84-2、石川明・法研40-12〔最高裁民訴事例研究四九〕、桜井孝一・続民事訴訟法判例百選(別冊ジュリ36)〔37〕、栂善夫・基本判例双書民事訴訟法[56]、半田正夫・民事訴訟法判例百選(第二版)(別冊ジュリ76)〔50〕、石渡哲・民事訴訟法判例百選I(別冊ジュリ114)〔67〕民事訴訟法判例百選I[新法対応補正版](別冊ジュリ145)〔67〕、林伸太郎・民事執行法判例百選(別冊ジュリ127)〔96〕
【共同申請の負担】第三に単独申請できるにも関わらず、共同申請を要求することは被控訴人に過大な負担を要求するものであって、正義に反する。
東急不動産が単独申請できるのは、被控訴人の登記申請意思が擬制されたためである。通常、登記申請意思は登記申請によって確認されるが、登記を命じた和解調書で意思表示を擬制したため、被控訴人の登記申請は不要になる。即ち和解調書は被控訴人の登記申請に取って代わるものである。
反対給付の受領により意思表示が擬制され、被控訴人が登記申請するのと同じ効果が発生するにも関わらず、改めて被控訴人に登記申請を要求することは二度手間であり、悪質な嫌がらせである。
「意思表示義務についてはその意思表示の結果として生じる法律効果が与えられれば執行の目的を達するから、債務者に現実の意思表示の行為を強制するのは迂遠でいたずらに債務者に負担を与える結果となる」(井上治典他編『現代民事救済法入門』法律文化社、1992年、190頁)。
実際に共同申請するためには印鑑証明を取得し、実印を押した委任状を提出するという負担がある。東急不動産には騙し売り被害者に対して、東急不動産が連れてきた司法書士に大切な実印を押した文書を提出することを踏ん反り返って要求する資格はない。
実印を押すということは悪用されるリスクも想定しなければならず、信頼できる相手でなければ交付できない。東急不動産が連れてきた藤谷彰男・司法書士は和解調書に「訴訟上の和解を登記原因とする」と明記されてあるにも関わらず、勝手に登記原因を和解にしようとした人物であり、信頼性は皆無である。
東急不動産は共同申請が合理的と主張したが、東急不動産にとって執行文付与の手間が省けて都合が良いだけで、被控訴人の負担が増えるだけである。そもそも合理的であるか否かよりも正当であるか否かが問題である。正当を越える合理性は存在しない。
第四に和解の実務として単独申請できる場合でも両当事者の合意により、和解調書を無視して、登記原因「和解」で共同申請する事例があることは理由にならない。東急不動産が上記のような意味で共同申請を希望することは、裁判では徹底的に争い、時間稼ぎを図った経緯を踏まえるならば虫の良過ぎる話である。内省できる人間ならば東急不動産には被控訴人に何も要求する資格はないと考える筈である。
そもそも和解調書を無視して登記原因「和解」で共同申請することは両者の合意に基づくものであって強制はできない。被控訴人が正当にも拒否した以上、その意思を尊重して東急不動産が断念しなければならない。
しかし、東急不動産は「被控訴人に登記申請義務がある」と強弁した。ただの依頼ならば被控訴人の好意によって応じることも不可能ではなかったが、意思表示を擬制したに過ぎない条項に勝手に申請義務まで負担させた以上、被控訴人としても存在しない義務に応じることはできない。東急不動産は妥協の可能性を閉ざし、被控訴人を後に引けなくした。
被控訴人が共同申請を拒否した時点で東急不動産は踏みとどまるべきであった。ところが、東急不動産は「お楽しみを諦めてなるものか」と思ったのだろう。騙し売り被害者に和解金支払い拒否というショックを受けさせてやることは性根の腐った悪徳不動産業者にとって楽しいに決まっている。東急不動産には踏みとどまるチャンスがあった。そのチャンスを東急不動産は自分で踏み潰した。となれば、後は代償を払ってもらうしかない。
東急不動産は駆け引きをしているつもりかもしればいが、和解条項の履行はゲームではない。妙な駆け引きをして痛い目に遭うのは東急不動産である。面倒な事態になったのは全て東急不動産の自業自得である。
【騙し売りとの共通点】共同申請を要求する東急不動産の主張はアルス東陽町301号室の騙し売りを正当化する論理と共通する。井口寛二は「我々は、このやり方でやってきた」という理由で共同申請を正当化しようとした。これは提訴前の渋谷東急プラザでの協議時に東急不動産住宅事業本部・林正裕が被控訴人に対して言い放った発言と同じである。
林正裕は井口寛二と同じ言葉で、アルス東陽町301号室販売時に不利益事実(隣地が建替えられて日照・眺望が皆無になること、作業所のため騒音があること)を説明しなかったことを説明した。つまり、これまで不利益事実を説明しないで販売してきたのだから、アルス東陽町301号室騙し売りにも責任がないという論理である。
被控訴人が林正裕の言葉を真に受けていたら、無価値の屑物件を抱えたまま泣き寝入りで終わっただろう。東京地裁平成18年8月30日判決が不利益事実不告知を認定し、東急不動産に売買代金全額返還を命じることもなかった。今回も同じである。
東急不動産は西武のコクドと同じく、長年の自社の習慣が全てで、たとえ法的に間違っていようとも問題が起きなければそれでいい、と思っている会社である。法の網をすり抜けて、手を汚さずに騙し売りをすることが正義と考えている。日本の最も汚れた部分で肥え太ってきた会社である。
東急不動産には企業としてのモラルは皆無である。「事件にならず(ばれず)、相手から訴えられなければ何をやってもよい」という東急不動産の思想は、耐震強度偽装物件の建築主であるヒューザーの小嶋進と同類である。皆で悪い事をすれば、処罰や処分されないとでも思っているのだろうか。
東急リバブル東急不動産従業員にとって、アルス東陽町301号室のような無価値の屑物件を騙し売りし、三井住友銀行深川支店から東急リバブル提携ローンを借り入れさせ、消費者を住宅ローン破産させることは、さぞかし楽しい仕事なのであろう。
【東急不動産の虚偽説明】共同申請か単独申請かの問題を複雑にしている要素に、東急不動産が虚偽の説明を弄して所有権移転登記の登記原因を和解調書記載の「訴訟上の和解」ではなく、「和解」にしてきたことがある。東急不動産は、「訴訟上の和解」では登記できず、登記原因を「平成19年3月28日 和解」でしかできないと虚偽の説明をした。東急不動産は、これを法務局の見解とまで断言した。
登記原因の日付が和解調書記載の成立日と異なるため、和解調書に基づく登記申請はできないとして、東急不動産は登記原因証明情報も和解調書ではなく、和解した旨を記述した文書を別途作成することを要求した。この場合、単独申請はあり得ず、共同申請とならざるを得ない。
しかし、その後、被控訴人側で直接、東京法務局に問い合わせたところ、「この和解調書に記載されている通り、訴訟上の和解とする以外はない」との回答を受けた。東急不動産の説明が虚偽ならば事情は異なる。被控訴人は和解調書を登記原因証明情報とし、登記原因を訴訟上の和解とし、東急不動産が単独申請することを要求した。東急不動産は被控訴人の要求に耳を傾けず、共同申請に拘泥し、3000万円支払いを拒否した。
騙した東急不動産が悪いことは明白だが、被控訴人側の問題は、一旦は東急不動産の説明を真に受けて了解してしまったことである。東急不動産の求められるままに2007年3月17日頃、東急不動産代理人の事務所である井口寛二法律事務所に所有権移転登記の委任状の写しを送付してしまった。
これを根拠に東急不動産は「被控訴人が一旦は共同申請に応じた」と主張するだろうが、これは理由にならない。被控訴人は「東急不動産のような筋金入りの悪徳不動産業者の説明を真に受けたことは被控訴人の落ち度である」「東急不動産のような悪徳不動産業者の説明を信じたことが間違えである」との批判は甘んじて受けるつもりである。第三者が嘘つきで悪名高い東急不動産の説明を真に受けた被控訴人を笑うことは自由である。
しかし、騙したのは東急不動産であり、騙されたのは被控訴人である。東急不動産が被控訴人に対し、「騙された方が悪い」と主張することは許されない。東急不動産は被控訴人を虚偽の説明で騙して、登記原因「和解」で共同申請させようとした。虚偽が判明した以上、事情が変わって当然である。和解調書に基づき所有権移転登記できることが判明したのだから、単独申請が筋である。
【東急不動産の身勝手】東急不動産は常に身勝手である。他人には平然と迷惑を押し付けるが、自社の身勝手な我がままは貫き通す。東急不動産が被控訴人の要求に譲歩したことは一度もない。決して他人にお願いすることはない。要求するだけである。他人に無駄なことをさせても謝罪しない。「ザマーミロ」と汚い歯をむき出して嘲笑するだけである。
原告本人の当事者尋問においても東急不動産代理人の井口弁護士の一方的な私事都合で延期された。井口寛二は自分の身勝手な都合で当事者尋問当日に延期し、原告本人に本来出廷する必要がない日に出廷させるという無駄なことをさせ、謝りもしない最低な人間である。原告本人の当事者尋問は原告側が求めたもので、東急不動産側は反対尋問をするに過ぎない。もし井口寛二が正しく事前に延期の申し入れをしていれば原告は無駄な出廷する必要はなく、その日一日を有意義に利用することができた。仕事をしたならば、どれほど進捗させることができたであろうか。しかも井口寛二は自分の身勝手な都合で一方的に尋問を延期して、東急不動産のために証拠収集(乙第13号証)を行う卑劣漢である。
延期させたにも関わらず井口寛二は一言も謝罪しない。他者に対する同情や共感が皆無な井口寛二は弁護士である以前に人間として最低である。偉ぶるしか能がないチンケな男である。良識や思慮、品性を全て母胎に置き忘れて、この世に飛び出してきたに違いない。
持って生まれた性格か、それとも幼少の頃の環境が良くなかったのか。この期に及んでも反省せず、相手を責めるだけである。矯正の見込みは皆無である。弁護士のみならず人間も廃業した方がいいのではないか。死刑にならなくても三世紀くらい刑務所に入れられても文句ないのではないか。小心臆病この上ない下郎のために日本は、かくも穢されているとは痛感の極みである。
東急不動産の不誠実な態度が腹に据えかねたため、3月28日にも被控訴人は井口弁護士に当事者尋問を延期させたことを指摘したが、井口弁護士は一言も言わず、「東急不動産様の要求に一消費者が黙って従うのは当然。異議を唱える方がおかしい」と言わんばかりの態度であった。
井口寛二は「被控訴人に無駄骨折らせてザマーミロ」と思っているのであろう。被控訴人の顔に泥を塗って辱めれば、アルス東陽町301号室という屑物件を抱えたまま被控訴人を泣き寝入りさせることも、煮るなり焼くなり好きにできると踏んだに違いない。被控訴人は口に出さないまでも胸の奥で悪罵を一つ、二つ投げつけたい気持ちを抑えられなかった。東急不動産は利己主義の塊である。消費者の自尊心は平気で斧で断ち切りながら、自らの自尊心となると針でちょっと刺されたくらいでも大騒ぎする。
和解成立後も東急不動産は自ら行動して相手の負担を軽減させようとする姿勢が皆無であった。抵当権登記を抹消するためには三井住友銀行深川支店に抵当権登記済証(平成15年10月23日受付第5022号)、解除証書、登記委任状、代表者事項証明書等を用意してもらう必要がある。アルス東陽町301号室の購入では東急リバブルの提携ローンを利用し、手続きは全て東急リバブル住宅営業本部の中田愛子が行った関係上、東急不動産の方が密接な関係にある。そのため、被控訴人は早くも3月上旬に東急不動産側に三井住友銀行深川支店との交渉を依頼していた。
しかし東急不動産は全く動かなかった。東急不動産から連絡が一切なされなかったことは三井住友銀行深川支店担当者が証言している。深川支店・田中康典お客さま相談課長は3月22日、被控訴人に電話し、「東急不動産からは連絡が来ていない」と話した。翌23日には深川支店の清水氏が被控訴人宛てのメールで「東急不動産の代理人の方からご連絡を頂いておりません」と書いている。
東急不動産は間際の3月24日になって突然、被控訴人側に三井住友銀行との交渉を要求した。間際になって要求するのは、わざと相手を困らせようとする東急不動産の作戦である。東急不動産側は被控訴人側が三井住友銀行深川支店に話をしなければ一切動かない姿勢を示した。結局、三井住友銀行との交渉は専ら被控訴人代理人が行い、提携ローンであるにも関わらず東急不動産は問題解決のために指一本動かさなかった。
被控訴人に対し、何一つ譲歩しない東急不動産が被控訴人に譲歩を要求する資格はない。三井住友銀行には東急不動産から連絡が一切なかったとする深川支店担当者の証言が正しいならば、東急不動産には最初から3000万円を支払う意思がなかったとも考えられる。東急不動産の思考回路の動きも駆け引きのやり口も明白である。
東急不動産は最初から3000万円の支払い意思がなかった可能性がある。3月28日当日は東急不動産が被控訴人に藤谷司法書士への委任状提出を一方的に要求するだけで、被控訴人が応じないと支払いを拒否した。そのため、東急不動産が現金3000万円を三井住友銀行に持ってきたのかさえ確認できていない。仮に被控訴人が東急不動産の言いなりになって委任状を提出したとしても支払わなかった可能性がある。
実際、東急不動産側は当日、受領書を持ってきていないと発言している。被控訴人が「3000万円支払えば受領書を渡します。受領書を持ってきていますね」と尋ねると、井口寛二弁護士は「受領書は持ってきていない」と答えた。東急不動産が事前に送付したファックス文書「和解実行に当たってのフローチャート」では「受領書に捺印をお願いします」と記載されている。この文章からは東急不動産が用意した受領書に被控訴人が捺印することが想定されていると考えるのが自然である。東急不動産が受領書を持ってきていないということは最初から3000万円を支払う意思がなかったと推測できる。
元々、被控訴人側は3000万円の支払方法として銀行振り込みを求めていた。3000万円という大金が動く以上、安全性を考えれば振込みは妥当である。加えて抵当権抹消のために東急リバブル提携住宅ローンを返済する必要があり、返済するためには三井住友銀行深川支店の預金口座に預金する必要がある。この点でも銀行振り込みは合理的である。しかし東急不動産が頑なに拒否したため、現金での授受となった。東急不動産が現金払いにした点からは最後の最後で支払いを拒否するためとも推測できる。
被控訴人側は「こちらで受領書を用意しました。3000万円を受け取れば、それに捺印してお渡しできます」と発言したが、井口弁護士は「私文書では駄目だ。公文書でなければ駄目だ」と拒否した。これは出鱈目である。執行文付与の際の証明する方法は文書に限られるが、公文書に限定されるとの規定はない(民事執行法第174条第2項)。
井口寛二は嘘つき弁護士である。東急不動産のイメージが悪くなるばかりである。既にイメージは地に落ちているため、これ以上、悪くなることはないと高をくくっているのか。マイナスにも無限の数が存在することを東急不動産は知らないのか。
東急不動産が用意した藤谷彰男司法書士には不審点がある。司法書士事務所は渋谷区道玄坂1丁目20番1号大沢ビル3Fにある。一方、東急不動産の本社は渋谷区道玄坂1丁目21番2号である。
第一に司法書士の名前が一致しない。東急不動産が事前に被控訴人に送付したファックス文書では、ふじたに司法書士事務所・藤谷彰男となっている。東急不動産が被控訴人に提出を求めた委任状でも「私は、東京都渋谷区道玄坂一丁目20番1号 藤谷彰男を代理人と定め、後記登記申請に関する一切の権限を委任します」とある。
しかし三井住友銀行深川支店で藤谷司法書士が被控訴人に渡した名刺では「司法書士 藤谷亜紀男」となっている。「亜紀男」の左側に括弧つきの小さな字で「(彰男)」と書かれている。どちらが正しい名前なのか。
実名と仕事上使用する名前が異なるとしても、仕事上で使用する名前は統一するのが普通である。即ち、「司法書士 藤谷亜紀男」として活動しているならば被控訴人に送付する文書も被控訴人に提出を求める委任状も藤谷亜紀男の名前になる筈である。「司法書士 藤谷彰男」ならば名刺の名前も藤谷彰男になる筈である。
第二に司法書士事務所名が一致しない。司法書士側が東急不動産代理人を通じて事前に被控訴人側に送付したファックス文書「登記必要書類のご案内」は「ふじたに司法書士事務所 司法書士 有木(ありき)」となっている。司法書士事務所が自ら作成した文書という形式となっており、自らの事務書名を間違えることは考えにくい。
一方、三井住友銀行深川支店で藤谷司法書士が被控訴人に渡した名刺では「ふじたに司法書士合同事務所」となっている。
藤谷彰男は文書と名刺で名前や事務所が異なることについて説明しなかった。トラブル発生時に責任逃れをするために名前や事務所名を使い分けているのではないかと疑わせる。一般に依頼してはいけない司法書士である。
【日本司法書士会連合会登録情報】日本司法書士会連合会には以下の情報で登録されている。
藤谷 彰男 フジタニ アキオ
〒150-0043 東京都渋谷区道玄坂1丁目20番1号大沢ビル3F
TEL:03-3462-0104 FAX:03-3462-0106
また、「ふじたに司法書士事務所」には以下の司法書士が所属する。
・ 有木達也(アリキ タツヤ)
・ 中山正也(ナカヤマ マサヤ)
・ 秋澤直樹(アキザワ ナオキ)
名刺上に記載されたドメイン名の登録情報を調査すると、藤谷亜紀男名義で登録していた(2007年3月31日現在)。
Domain Information: [ドメイン情報]
[Domain Name] FUJITANI-OFFICE.JP
[登録者名] 亜紀男 藤谷
[Registrant] Akio Fujitani
[Name Server] dns.interq.or.jp
[Name Server] dns1.interq.or.jp
[登録年月日] 2005/06/21
[有効期限] 2007/06/30
[状態] Active
[最終更新] 2006/07/01 01:05:04 (JST)
Contact Information: [公開連絡窓口]
[名前] 亜紀男 藤谷
[Name] Akio Fujitani
[Email]
[email protected]
[Web Page]
[郵便番号]
150-0043
[住所]
東京都渋谷区
道玄坂 1-12-1
大沢ビル3F
[Postal Address] Shibuya-ku
Osawa building.3F
[電話番号] 03-3462-0104
[FAX番号] 03-3462-0106
Webサイトにアクセスしたが、「デフォルトページ」という文字が表示されるだけであった。まるで経営困難等の理由でWebサイトを閉鎖したような状態である。
http://www.fujitani-office.jp/
東急不動産は嫌がらせ目的で供託制度を悪用した。供託は債権者が受領を拒んでいる場合等に行うものだが、東急不動産は被控訴人が3000万円受領の意思を示しているにも関わらず、支払いを拒否した。
被控訴人が受領の意思を示しており、東急不動産は和解調書に基づき単独申請できるにも関わらず、被控訴人が共同申請に応じないことを理由に供託した(東京法務局、平成19年度金第252号)。被控訴人は「3000万円を受け取る意思はある。受け取れば受領書を出す」と発言したが、東急不動産は支払いも受領書の受け取りもせず、いきなり供託した。
東急不動産(代理人・井口寛二)の供託には何らの法的根拠も存在しない。相手に苦痛を与えるだけの意味しか持たない法手続きが社会的に容認されないことは論を待たない。事態をエスカレートさせて、どうするつもりだろうか。
火事を見たら水ではなくてガソリンをかけるようなタイプである。破滅型の人と言う他、言うべき言葉を知らない。「全面的に服従しない者は敵だ」という知性を欠いた態度は「大人気ない」と冷笑を買うだけである。東急不動産が地獄へ行くのは勝手だが、他人を巻き込まないで欲しいものである。
東急不動産の措置は被控訴人からの報復なしには済まず、それはむしろ東急不動産にとって大損害になる。アルス東陽町301号室明渡し等で被控訴人と東急不動産が協力する余地がなくなることは確実である。
【井口寛二の虚偽説明】東急不動産が和解調書に基づき所有権移転登記をする場合、事件記録の存在する裁判所から執行文を付与される必要がある。東京高裁第24民事部書記官によると、現在、事件記録は原審に戻されたため、東京地裁民事第7部にある。
和解調書では所有権移転登記は3000万円支払いと引き換え給付になっているため、反対給付又はその提供のあったことを証する文書を提出する必要がある。つまり東急不動産は被控訴人に3000万円を支払い、被控訴人から受領書を受け取り、受領書を証明する文書として執行文付与申請すればいい。執行文付与の際の証明する方法は文書に限られる(民事執行法第174条第2項)。だから被控訴人が発行した受領書で問題ない。
3月28日に被控訴人は上記のやり方を提案したが、東急不動産代理人・井口寛二弁護士(桐蔭横浜大学法科大学院教授、トステム建材産業振興財団評議員)は「証明の方法は公文書に限られる。だから法務局に供託するしかない」との珍説を強弁した。法律を何とも思っていない井口寛二らしい。無知な人間に対しては滅茶苦茶やって、さぞ大勢の消費者を破滅に追い込んでいるに違いない。二本足の猛獣毒蛇は本物の猛獣毒蛇よりも恐ろしいことを示す例である。
依頼者が弁護士に似るのか、弁護士が依頼者に似るのか。いずれにしても東急不動産と井口寛二は悪質である点でお似合いである。せめて、まともな人間を相手にする時だけは、しっかり心を取り戻して欲しいものである。どこかの手荷物預かり所に置き忘れたままにしている心を。
公文書に限定する規定は、どこにもない。証明の方法は文書に限られ、文書以外の場合は執行文付与の訴えを提起する必要があるが、公文書に限定するというのはデタラメである。単なる受領書で不安があるならば印鑑証明書付実印を要求すれば済む。
まともで常識的な意見を無視し、特異な意見だけを取り上げて大騒ぎする。自分が信じて都合のいいことしか信じようとしない手合いである。人間は年を取ると羞恥心が欠如する。年を経るとともに感動したり、驚いたりすることが少なくなる。加えて、元々破綻した性格が年を経ることによって増幅する。
井口寛二に本当に弁護士資格があるのか非常に疑わしい。隣地所有者も3月28日に「井口は本当に弁護士か?公文書と私文書の区別もつけられていない」と被控訴人に語っている。井口寛二が如何なる人物であるかは既にご承知の通りである。井口寛二を弁護士と呼ぶのは弁護士全般に対する非礼である。被控訴人の仕事で井口寛二のような杜撰な論理を使ったならば人が死ぬことになる。仮に井口寛二のようなデタラメな人間が弁護士として通ってしまうならば、社会のために弁護士資格の更新制を真剣に考える必要がある。
井口寛二は法曹資格を失うかもしれないという問題を、これまで真剣に考えたことがないのか。明らかな虚偽発言ばかりを、ただひたすら繰り返し強弁するのが東急不動産のやり方である。
井口寛二は被控訴人の胸に数え切れないほどの短刀を突き刺した。それは芝居の小道具そのままのヘナヘナなものではありましたが、当の本人は、それを名刀つもりでいる。
法務局への供託は嫌がらせ以外の何物でもない。実際、訴訟上の和解で定められたものと異なる内容の供託手続を司法書士に指示して行わせた弁護士が東京弁護士会から業務停止1月の懲戒処分を受けている(日弁連機関誌「自由と正義」1996年12月号)。
【東急不動産には供託原因なし】東急不動産には3000万円供託の根拠となる供託原因が存在しない。
供託は供託の機能を利用しうるあらゆる法律関係について認められるのではなく、供託を義務づけ、又は供託できる旨の明文規定がある場合に限って許される(供託法第1条、第5条第1項)。弁済のために供託する場合(弁済供託)は「債権者が弁済の受領を拒み、又はこれを受領することができない」場合等でなければならない(民法第494条)。即ち供託する前に債務者には弁済の提供をしなければならない。現実に債権者の家まで金銭を持っていって断られた後でなければ、供託できない。
被控訴人は3000万円受領の意思を示しており、受領すれば所有権移転登記の意思も擬制されるため、受領拒絶に該当せず、民法第494条の要件を満たさない。「供託受理処分は、供託書に記載された供託原因が存在する限り供託の効果を発生させるが、供託原因が存在しなければその供託は無効であって、供託受理処分は何らの法的効果も発生させることはない」(赤羽二郎『供託法全訂3版』東京法経学院出版、2004年、133頁)。供託申請手続きの段階では、供託官は形式審査しかしないため、供託が受理されても記載通りの原因が存在しなければ供託は無効になる。
しかも東急不動産は供託にあたり、被控訴人が本来提出する必要のない委任状等の反対給付を要求した。しかし債務者が債権者に対して同時履行の抗弁権(民法第533条)を有する場合にのみ債権者の反対給付を供託物受領の条件とすることができ、本来の債権に付着していない条件を付けた供託は条件だけでなく、供託全部が無効になる(大審院昭和18年9月29日判決)。
以上より、東急不動産が3000万円を法務局に供託したとしても弁済の効果は発生しない。被控訴人は供託金を受け取ってはならない。無効な供託として東急不動産が取り戻し手続きを行わなければならない。馬鹿な真似はしない方が無難である。グズグズ勝負を引き伸ばして恥の上塗りをするよりも、潔く非を認めるべきである。
東急不動産が無効な供託に基づき、執行文付与申請をした場合、「執行文付与に対する異議」または「執行文付与に対する異議の訴え」という手続により執行文の付与を取り消すことを求めることができる(民事執行法32条、34条)。
弁済受領文書(民事執行法第39条第1項第8号について以下の記述がある。「私文書でよいが(民執183条1項3号との対比)、弁済供託の供託書のように記載じたいから弁済効につき争いがあることの明らかな文書を含まない」(中野貞一郎編『民事執行保全法概説第2版増補版』有斐閣、2004年、77頁)。
【東急不動産供託の不正】東急不動産の供託は供託原因がないだけでなく、反対給付も不正である。井口寛二を代理人として東急不動産が行った供託(東京法務局平成19年度金第252号)には反対給付が付されている。東急不動産は反対給付として「所有権移転登記手続き・抵当権抹消登記手続きに関する書類の交付」として司法書士への委任状や権利証を要求している。
本来、登記を申請する義務が被控訴人にあるならば「所有権移転登記・抵当権抹消登記を完了した旨の証明書を提出すること」という形の反対給付をつけるべきである。しかし、東急不動産は、そのようなやり方をせず、「所有権移転登記手続き・抵当権抹消登記手続きに関する書類の交付」として司法書士への委任状や権利証を要求した。要するに登記申請は東急不動産で行うということである。登記原因等を和解調書とは異なる東急不動産に都合のよい内容で申請しようとする魂胆が東急不動産にあることは明白である。
実際、東急不動産は和解調書に「平成18年12月21日付「訴訟上の和解」を原因とする被控訴人から控訴人に対する所有権移転登記手続き」と明記しているにもかかわらず、登記原因を「和解」、その日付を3000万円授受日にすることを要求した。しかも「その方法でなければ法務局は登記を受け付けない」と虚偽の説明まで行った。
加えて抵当権抹消についての反対給付は完全に被控訴人が応じられないことを知っての嫌がらせである。東急不動産は抵当権抹消登記についても登記済証、解除証書、抵当権者の司法書士への委任状を反対給付として要求した。被控訴人はアルス東陽町301号室購入時に三井住友銀行深川支店から東急リバブル提携ローンを借りており、その抵当権が設定されている。東急不動産が反対給付として要求した書類は東急リバブル提携ローン完済後に三井住友銀行深川支店から交付されているもので、常識的に考えて3000万円を受け取っていない状態では東急リバブル提携ローンを全額返済できる筈がない。
被控訴人が三井住友銀行深川支店から住宅ローンを借りていることは、東急リバブル提携ローンであることから、東急不動産側が熟知していることである。つまり東急不動産は現実性のない不可能事を要求しており、和解条項で定められた3000万円を支払う意思が皆無であることを供託制度を悪用して明白に示したことになる。
東急不動産「回答書」(2007年5月18日)には以下の通り虚偽がある。
第一に「3000万円の授受の方法に関して、被控訴人の訴訟代理人(または司法書士)が法務局の登記官と打ち合わせをした」という事実はない。訴訟代理人は一貫して「被控訴人側で供託金は受け取らない。東急不動産に取り戻させる」という方針を採っていた。供託金の払い渡しについて法務局の登記官と打ち合わせする必要がない。
訴訟代理人の意を受けた司法書士が東京法務局墨田出張所の登記官に所有権移転登記の登記原因について相談した事実はある。これは和解調書において登記原因及びその日付を平成18年12月21日付「訴訟上の和解」としているにもかかわらず、東急不動産側が「登記原因は和解、日付は3000万円受領日でなければ法務局は受け付けない。これは法務局に確認した事実である」と虚偽の説明を行い、実際に虚偽の原因で所有権移転登記させようとしたためである。実際は東急不動産の説明は虚偽で、和解調書記載の登記原因及びその日付で登記するのが正しい法務局見解である。
訴訟代理人の意を受けた司法書士が東京法務局墨田出張所の登記官に所有権移転登記の登記原因について相談した事実は供託金の払い渡しについて登記官と打ち合わせしたことを意味しない。不動産登記は墨田出張所で扱っているが、供託は東京法務局(九段)の扱いである。もし訴訟代理人が供託金の払い渡しについて登記官と打ち合わせするならば墨田出張所ではなく、東京法務局(九段)の登記官と行う必要があるが、そのような事実はない。
被控訴人は東急不動産には正当な供託原因はなく供託は無効と主張している。これに対し、東急不動産は反論するのではなく、卑怯にも、まるで訴訟代理人が供託金を受け取るための準備を行っているかのような虚偽の事実を書いた。
第二に「被控訴人の訴訟代理人と東急不動産代理人・井口弁護士が折衝中である」という事実はない。交渉は停止されており、実際は行っていないにもかかわらず、「交渉中」ということにして時間稼ぎをする意図が見受けられる。
第三にブローカー(アソシアコーポレーション・井田真介)による勤務先への圧力の背後に東急不動産がいると判断することには十分な理由がある。
先ず井田真介が被控訴人の勤務先を知る筈がない。東急不動産(販売代理:東急リバブル)はアルス東陽町301号室販売時に被控訴人から勤務先を聞いていて知っている。東急不動産が教えなければ井田が勤務先に圧力をかけることはできない。
加えて井田真介は売買代金返還訴訟一審で東急不動産側の証人として尋問されたが、証言内容に虚偽があり、原告側は証拠(原告陳述書)によって井田の偽証を攻撃した。これに対し、東急不動産は訴訟では何の反論もしなかった。一方、井田は直接、訴訟代理人に削除を要求した。これは一審における和解協議決裂後である(2005年)。その後、音沙汰なかったが、和解履行が決裂した2007年4月以降、勤務先に圧力をかけてきた。井田の活動は東急不動産と私の対立関係に連動しており、井田が東急不動産の尖兵となっていることに疑問の余地はない。
また、井田による勤務先への圧力発覚後、東急不動産との交渉を停止し、東急不動産に「ブローカー(井田)に圧力をかけさせることを即刻止めるように要求する」との内容証明郵便を送付して以来、井田の圧力は停止している。
被控訴人は断崖に立たされていた。被控訴人は自分の心が危険なほど崖っぷちに近づきつつあると自覚していた。世の中には信じられない人間が存在する。鬱病になってしまいそうである。目を瞑ると騙し売り発覚以来の東急リバブル東急不動産の不誠実な対応が何から何まで思い出される。目には二種類ある。一つは肉体の目であり、もう一つは心の目である。肉体の目は往々忘れもするが、心の目はいつも覚えている。
東急リバブル東急不動産の騙し売り以外のことへ気持ちを向けようと思考を頭に強いた。文学、音楽、何でもいい。しかし心を静める余裕はなかった。ああ、身動きができない。息ができない。誰もが無関心ではいられなかった。
被控訴人の世界は崩れていった。何一つ意味を持たなくなっていた。思いもよらない虚無感に襲われた。体のだるさが増し、思考が混乱する。見えない力に眠気を誘われ、体の機能が徐々に鈍っていく。被控訴人は東急不動産の不愉快なものを見ることも聞くこともなく目的を達成する筈であった。しかし、東急不動産は被控訴人を騙し続けなければ気が済まないらしい。被控訴人は胸に生じた怒りの炎を気力を振り絞って煽り立てた。
神が人間を創りたもうた時、あらゆる人間に向かって約束された幸福というものを期待し得る一人の人の一生が東急リバブル東急不動産のために苦しみの一生、惨めな辱められた一生にされてしまった。被控訴人が深淵に沈められるに至ったのは神の復讐によるものではなく、東急リバブル東急不動産の憎悪によるものであった。
東急リバブル東急不動産を悪魔と捉えようが、堕落と捉えようが、背徳と捉えようが、悪徳不動産業者は実在する。気づかない振りをしてはならない。昔の悪魔は炎を振りかざす正真正銘の悪の化身であった。戦うことができる敵であり、恐怖を掻き立てる存在であった。しかし悪魔は狡猾である。時とともに悪魔は極悪非道な仮面を脱ぎ捨て、東急リバブル東急不動産という新しい顔を持つようになった。信用をアピールしつつ狡猾な存在で、卑劣なことに変わりはない。
生来悪心を持った人間でない限り、人の性は元来罪を好まないものである。ところが、東急リバブル東急不動産は不動産営業の欲望を煽り、罪悪を与え、後天的な欲を与える。その結果、人間の善良な本能を押し殺し、不動産営業を悪に導く。被控訴人は東急リバブル東急不動産と心を通わせようと努力した。一人一人へ手を差し出した。ところが、被控訴人が手を伸ばせば伸ばすほど、東急リバブル東急不動産は一層、それを払いのけようとする。
これだけのショックを受け止めるには被控訴人では力不足であった。心の傷はあまりにも大きく、センチメンタルな気分にさえなれなかった。時間の歪みにはまったかのごとく、動作が緩慢に感じられ、全ての悪夢が緩やかに繰り広げられた。苦痛の大きさは尋常ではなかった。精神の痛みは肉体のそれを遥かに凌ぐ。意識下で映像が燃え上がり、それとともに苦痛が訪れる。現実の痛み、肉体の痛み、疼き、焼けつく感覚。鈍い痛みは先ず心臓を噛み、それを振り出しに血管の中を駆け回り、しまいには体全体をつかんでしまった。
傷口はあまりにも深く、あまりにも生々しかった。傷ついた者は激しい、本能的な苦痛の教えるままに、その傷口が再び閉じる時まで口が開き、血の滲み出ている傷口の上に怯えることなしには指を置くことができない。東急不動産が詐欺によって与えた傷口は決して閉じることのない傷口であった。それは一旦、閉じるにしても前よりも更に血を滲ませ、更に大きな苦しみを伴い、再び口を開くであろう傷口であった。
休日は、「これでいいのか」と不安になるくらい、休息をとらないと月曜日からのネジがまけない。一日でもゆっくりとできれば勿論、身体の方は戻るが、やはり大きいのは気持ちである。穏やかになる、落ち着けるというレベルを通り越して不安を感じるまで休息をとることが、被控訴人には必要であった。ぐっすり寝入るためには被控訴人にはあまりにも考えることが多かった。被控訴人は一晩中、あらゆる場合について、あれやこれやと考えた。そして考えれば考えるほど益々確信を固めずにはいられなかった。
被控訴人は最早、単純明快な善意の世界には戻れそうになかった。被控訴人は、我が人生計画を狂わせた東急不動産を呪った。疲労と孤独に苛まれ、被控訴人は自分が崩れ落ちることを半ば予期した。ところが、かわりに込み上げてきたのは、これまでにない激烈な感情であった。抑え難く狂気にも似ている。想像もしなかった勇気が湧き、筋肉が張り詰める。心の痛みを無視するかのように立ちはだかる大きな使命に集中していく。
被控訴人の怒りは浅間山のようなものであった。噴火口を塞いでも爆発が大規模になり、被害が増えるばかりである。東急リバブル東急不動産を炎と燃える自分の頭で思い浮かべることのできる限りの責め苦に遭わせてやりたく思った。東急不動産従業員には二種類しかいない。痛い目に遭わないと分からない人間と、痛い目に遭ってもまだ分からない人間である。
如何に恐ろしい責め苦をもってしても、東急リバブル東急不動産には、まだまだ優しすぎ、短すぎた。何故なら、責め苦の後には死が来る。そして死の中には、たとえ安息は得られなくても少なくとも安息に似た無感覚な状態があるからである。敵に死を与えること、それは平安を意味している。
だから残酷に罰してやろうと思ったならば死以外の手段を選ばなければならない。騙し売り被害者に狂気を与え、その胸に絶望を注ぎ込んだ東急リバブル東急不動産に対して、単にその胸に剣を突き刺し、その頭に弾丸を一発撃ち込んだだけでは十分復讐したことにはならない。
【騙し売り被害者の意地】被控訴人は大いなる名誉を求めて、東急リバブル東急不動産と戦っている訳ではない。被控訴人は富貴より遥かに偉大な主に仕えている。真実という主である。人類には真実を知る権利がある。東急リバブル東急不動産騙し売り被害は発掘され、公にされることを求めている。
正直なところ確かに資産価値が皆無になることが明白なアルス東陽町301号室を騙し売りさせられたことで、被控訴人が甚大な財産的損害を被ったことは確かであるが、契約の取消を正義と考えたから提訴したのであって、金銭だけを目的としている訳ではない。まして「訴訟上の和解では登記できない」との出鱈目な説明をされ、虚偽が判明しても何ら悪びれず法務局に責任転嫁する東急不動産の態度には憤りを覚える。
そもそも東急不動産代理人・井口寛二弁護士は当事者尋問を自分の勝手な都合で延期させたにも関わらず、被控訴人本人に対して何らの謝罪も反省もない。3月28日当日も指摘したが、何ら詫びず、「井口弁護士の個人的都合に原告が黙って合わせるのが当然である」との態度であった。恐らく「無駄骨を折らせてザマーミロとでも」とでも思っているのであろう。そこまで踏みつけられれば被控訴人としても意地がある。
人智の中に隠れている不思議な鉱脈を掘るためには不幸が必要な時もある。火薬を爆発させるには圧力がいる。東急リバブル東急不動産の騙し売りが方々に散らばっていた被控訴人の才能を一つにした。才能は狭い領域でぶつかり合う。ぶつかり合うと電気ができる。電気からは火花が出る。火花からは光が出る。
被控訴人は東急リバブル東急不動産の仕打ちを思い返し、東急リバブル東急不動産を蛇蝎の如く嫌う気持ちを奮い立たせた。残酷で狭量で悪意に満ち、おまけに幼稚で底意地が悪く憎むべき行為の数々。被控訴人は身を切られるような苦痛を味わった。井口寛二の悪趣味極まるショーを見せつけられれば、おっとりした気性の被控訴人も嫌悪感とショックで青ざめてしまう。
冷酷無慈悲な騙し売りの土台となっているものは貪欲以外の何者でもない。そこには消費者への配慮は一片たりとも存在しない。大企業であるのに尻の穴は針も通らぬほど微小である。東急不動産は慈悲や寛容の欠片も見せてこなかった。東急不動産にとっては崇拝と盲目的服従が愛と名誉の代わりになる。悪徳不動産業者がどのような目に遭おうとも同情せずに済みそうである。
被控訴人は東急不動産の不当な要求に屈しなかった自分が誇らしかった。怖いとも残念とも思わなかった。ただ嘘で誤魔化す東急不動産と井口寛二を心底から軽蔑する気持ちだけはあった。鏡に向かって自分の目を覗き込むと、深い疲労が見てとれた。だが、その奥には決意の光がある。何ができて、何ができないかを決めるのは自分自身でしかない。
人生は困難な決断に満ちている。勝利を手にするのは、それでも決断を下す者達である。常軌を逸した試練を課せられながらも、被控訴人は怯まなかった。難題に正面から誠実かつ率直に立ち向かい、輝かしい模範を示した。東急不動産の犯した最大の間違いは被控訴人を挑発したことである。
和解調書を無視して訴訟上の和解を単なる和解に改変しようとした東急不動産に無抵抗主義を要求される筋合いはない。東急不動産の言いなりになるのは忍耐でも寛容でもなく、ただのマゾヒズムである。虚しいため息をつくばかりで、大人しく咽喉を切らせてしまう子羊の真似をするつもりはなかった。
今は重大な局面である。重大な、生きるか、死ぬかの局面である。役にも立たない悲しみに身を任せてはならない時である。それは苦しんだり、涙を流したりすることを楽しみにしている人達のすることである。そのような消費者も残念ながら少なくない。そして神仏は天上において、地上にあっての彼らの諦めを罰することになるだろう。戦う意志を持った人ならば一大事の時を一刻たりとも無駄にせずに運命から打撃を受けると、たちまち投げ返してやるものである。
被控訴人は、これから進んでいくべき道の上に立っていた。その目的に向かって進んでいた。今日、希望は被控訴人をして東急リバブル東急不動産を軽蔑させる。東急リバブル東急不動産は、被控訴人の目には、この上なく貧弱なものにしか見えなかった。
【被控訴人の目的】被控訴人の目的は東急不動産に勝って和解調書の履行を全うさせることである。勝つために戦う。戦力を蓄え、時機を待ち、戦略を立て、戦術を練る。泣く暇があったら計略をめぐらせる。自己憐憫に浸る時間があるならば敵の弱点を探る。それには切迫した状況でも揺るがない強靭さが要求される。
作戦に必要な冷静さを身につけた人間は多くないが、被控訴人は生まれながらに、その一人であった。ロボットさながらの抑制と忍耐を備えていた。自分より強大な敵に対して怯むことはなく、尊厳を踏みにじろうとする敵に屈することもない。
被控訴人の決意はダイヤよりも硬い。被控訴人は、これまでの経緯と彼の決心、即ち東急リバブル東急不動産には絶対引き下がらないという決心とによって、時として自然、とりもなおさず神に対し、あるいは世間、とりもなおさず悪魔ともいうべきものに対して挑んできた闘争の中に今まで知らなかったような快感を味わう気持ちにまでなっていた。
なるほど、被控訴人ほど立派な人間が他にいない訳ではなかった。しかし、このような言い方が許されるならば、被控訴人ほど意味深長な人間はいなかった。被控訴人にあっては、その何から何までが何物かを語っており、それとしての価値を持っていた。というのは、いつも効果をもった考え方をする習慣から、被控訴人の顔立ちには、その顔の表情には、その一挙手一投足のほんの僅かな節々にまでも比類のない柔軟さと不屈の精神が見て取れた。
被控訴人は自分の勝手な都合で当事者尋問を延期させた井口寛二のような卑怯者ではない。やるべきことが決まっているのに決断を引き伸ばして機会を逃すような無能者でもない。被控訴人は自分から進んで危険な場所へ飛び込むことをしないが、一旦、そのような状況に直面すれば、ビクともしないで戦うだけの度胸のある人間であった。被控訴人は人間をして真に卓越したものとされるところの精力をもって不可能事に立ち向かうといったような豪胆な、溌剌たる人物であった。
心の声に耳を傾けよ。内なる自分が命じるままに行動せよ。内なる導きに従って重要な判断を下せ。一切の衆生は仏である、と仏陀は説いた。誰もが全てを知っている。必要なことは心を開き、内なる知恵に耳を傾けることである。
東急リバブル東急不動産がどのような嫌がらせを続けようと恐れるな。消費者を住宅ローン破産に追い込むことを至上の喜びとする東急リバブル東急不動産にとって、騙し売り被害者一人一人が自分の考え、自分の希望を持つことが最大の脅威である。
被控訴人が無力感を覚える必要はない。自らの力と意思を自覚すべきである。人間に記憶があり、社会に記録がある限り、この醜悪な東急リバブル東急不動産の騙し売りを進めたのは誰で、追求したのは誰であるか歴史にはっきりと残る。だからこそ、ペンは剣より強い。忘れないこと、それに尽きる。剣やピストルよりも一本のペン、一つのインク、一枚の紙の方がよほど恐ろしい。
世界に真実を公表し、東急リバブル東急不動産の卑劣な騙し売りを伝えることは見事な戦術である。東急リバブル東急不動産は消費者が苦境に陥っても沈黙を守ると予想していたに違いない。被控訴人は違った。被控訴人は、むざむざと屈しないことを身をもって示した。
一度でも自分の命を投げ出してみると、自分は他の連中とは段違いのものになる。そして、一旦、腹が決まれば、その時から自分の力が十倍になり、自分の世界がぐっと開けた気持ちになる。
古の運命悲劇に現れる狂い立った人々のように急に東急リバブル東急不動産を飛び上がらせるようなことをしないとしても、時をおいて悪徳不動産業者の心を打ち叩く。昔の行為を思い出させては責めさいなみ、骨に徹するような痛みを深く食い込ませて、遂には死にまで至らせることができる。
【地獄】東急リバブル東急不動産従業員は子孫に恥じるような悪事を繰り返して、寝覚めがいいのだろうか。自己嫌悪に陥ることはないのだろうか。あれだけ消費者を騙す販売をしていたら、死後は絶対に地獄に堕ちる。東急リバブル東急不動産従業員は死後のことは怖くないのだろうか。天網に東急リバブル東急不動産の醜い言い訳は通用しない。
恐怖の極みに達した絵図の数々。太陽が高く昇って照りつける時は暑さに身悶えし、夜には凍える風が骨も折れよと吹きすさぶ。人々は泣き叫び、炎は自分を包み、空から石と血の雨が降ってくる。
底知れぬ闇の奥底で、永遠の業火に焼かれる。胆汁の炎に、次に黒胆汁の炎に苦しめられ、狂気という猛火の中に落ち込む。断罪の刃によって切り刻まれ、苦痛と後悔に泣き喚くことになる。人知を越えた渇きを知り、死よりも虚しく恐ろしい気持ちを味わう。コップ一杯の冷たい水と引き換えならば全財産を差し出してもいいという気持ちになる。
【ニュースの広がり】東急不動産の3000万円支払い拒否のニュースは予想以上に早く広まった。東急不動産代理人の井口寛二弁護士は「東急不動産は3000万円を支払わない。和解条項について東急不動産と異なる解釈をするならば、裁判所でもどこでも聞いてみればいい」と言い放った。
そのため、被控訴人はオンライン・オフライン問わず、相談した。その結果、東急不動産の3000万円支払い拒否は多数の知るところとなった。これは被控訴人が東急不動産の期待通りに動いた結果で、この点について東急不動産は被控訴人に感謝すべきである。
「調子はどうだい」
「最悪さ。東急リバブル東急不動産は明確に私を敵と考えているようだ。そっちは?」
「上々さ。皆、君に声援を送っている。だから、頑張れ」
被控訴人は相手の支援が何より大事という顔でうなずいた。いかにも体育会系の男がロッカールームで仲間にするように、相手は派手な音を立てて被控訴人の肩を一叩きした。
【スターバックスでの探り】被控訴人は電話をかけた。
「話がしたい」
「いいとも」
「コーヒーでも飲もう」
「一時間後なら行けるな」
「いや、今すぐ来てくれ。そうでなければ、この話はなかったことにします」
東急不動産に策をこらす時間を与えたくない。
「となると…どうしようか…ああ、分かった。いいとも、行くよ」
「じゃ、東口のスターバックスで待っている」
「その店なら知っている」
「待っているからな。一人で来てくれ」
「おいおい、映画の見すぎじゃないのか」
十分後、二人は混み合った狭い店の窓際の席で、熱いコーヒーのカップを手にしたまま、通りを歩いている人々の姿を眺めていた。
「東急不動産は何故、和解条項で定められた3000万円を支払わなかった?」
「あいにく、僕は、その件について話す権限はないのでね」
「嬉しい言葉だな、親友よ」
「で、君は、どこに住むつもりだ?」
被控訴人は笑い声を上げた。
「井口寛二弁護士は真実を説明していない。あの男は人でなしだ。それが弁護過誤をやらかして、今はコッソリ後始末をしようと躍起になっている。東急不動産には被控訴人が義務に応じなかっただけの単純な問題と話して、被控訴人を追及することが当然と思い込ませている」
「なるほど。とてもよく知っておいでのようだな」
「実は何でもないことだ。東急不動産には金でできる手段しか持っていない。ところが、こちらには献身による手段がある」
「献身だって」
「そうだ、献身だ。望みに燃えた大望のことを大人しい言葉で言うと献身になる。恨みを残すことは止めたら、どうだ。そうすればめでたし、めでたし、となる」
「あいにく、東急不動産は消費者のめでたい結末には興味がないよ。東急不動産は君を追い詰めるよ。兎に角、東急不動産は頭から火を噴くほど怒っている」
「それは、こちらの台詞だ。今更ながら東急不動産に寛大な心を示して、和解に応じてあげたことが悔やまれる」
「東急不動産は本気だぞ」
「東急不動産には被控訴人以上に失うものがあるのにね」
相手は被控訴人の顔をまじまじと見つめた。
「アルス東陽町の件だけじゃないのか」
「ああ、その他の件が山ほどある。東急リバブル東急不動産が、どっさり関与している。東急リバブル東急不動産が被控訴人を追い詰めるなら、東急不動産を返り討ちにするつもりだよ」
「君には悪徳不動産業者というものが全く理解できていない」
「だから、今、学びつつあるところさ」
「被控訴人が譲歩すれば、それなりの金額をもらえたのではなかったのか」
「この一件は、もっと複雑に込み入っている。誰かが野間秀一を締め上げて、あいつの口から真実を引き出す必要がある。井口寛二には勇み足で馬鹿馬鹿しい小技を使う前に、ちゃんと勉強して方がいいと言ってくれ。東急リバブル東急不動産の悪行は白日の下に晒される。あんな会社に義理立てして巻き添えになるのは馬鹿らしいぞ」
「だったら、俺はどこに行けばいいのか」
「どこもないよ。君には、もう、どこにも行く場所がないんだ」
相手は百も承知であった。真実を知っている人物なのだから、当然である。
「東急リバブル東急不動産は嘘を吐き通すよ」
「嘘をついても、益々深く泥沼にはまり込むだけだ。井口寛二は真実を話しているのか?」
「分からないが、話してないだろう。真実を話すには根性が必要だが、井口は性根が腐っているからね」
東急リバブル株式会社(袖山靖雄社長)及び東急不動産株式会社(植木正威社長)が自社ウェブサイト上に「お詫び」を掲載した。掲載内容は以下の通りである(2007年10月1日に確認)。
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●東急リバブル
弊社が平成15年に江東区内で販売代理した新築マンションにつきまして、北側隣地の建築計画に関する説明不足の為にご購入者にご迷惑をおかけした件がございました。
本件を踏まえまして、不動産取引における紛争の未然防止を再徹底し、お客様へのより一層の質の高いサービスを提供していけるよう、努力して行く所存でございます。
●東急不動産
お詫び
弊社が平成15年に江東区内で販売致しましたマンションにおきまして、北側隣地の建築計画に関する説明不足の為にご購入者にご迷惑をおかけした件がございました。本件を踏まえまして社内体制を整え、再発防止及びお客様へのより一層のサービス提供を行なってまいる所存でございます。
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これはアルス東陽町301号室の騙し売り事件を指す。東急不動産(販売代理:東急リバブル)は新築マンション「アルス東陽町」301号室販売時に不利益事実(アルス東陽町竣工後に隣地を建て替えること、作業所になるので騒音が発生すること)を説明しなかった。都合の悪い事実を隠して販売する悪質な騙し売りである。
不動産の購入は一生に一度あるかないかの買い物といわれる。その一生に一度あるかないかの買い物において不利益事実を故意に説明せず、無価値の屑物件を騙し売りしたにしては、東急リバブル東急不動産の「ご迷惑をおかけした」は軽過ぎる文言である。
騙し売りが発覚したのは2004年8月であったが、東急リバブル・東急不動産間でのたらい回し、担当者の頻繁な交代、果てはアルス建設に全く関係のない無責任な人物(住宅事業本部・大島聡仁)を担当者に名乗らせるなど、東急リバブル・東急不動産は不誠実な対応を繰り返し、話し合いによる任意的解決を不可能にする結果となった。
2005年2月の提訴後も東急不動産は三名いる訴訟代理人(井口寛二、野村幸代、上嶋法雄)のうちの一人(井口弁護士)の個人的な都合により当日になって原告本人尋問を延期させるなど、時間稼ぎに終始した。東京高裁で訴訟上の和解が成立したが、東急不動産が和解調書の金銭支払い義務を履行したのは和解調書で定められた2007年3月から3ヶ月遅れた同年6月28日であった。マンション販売時の不利益事実不告知のみならず、その後の不誠実な対応が「迷惑」を増大させたことについて東急リバブル・東急不動産は何らの反省も見られない。
しかも東急リバブル・東急不動産とも被害者の損害回復については言及せず、紛争の未然防止・再発防止ともっともらしく謳いあげているが、具体的な内容の記載はないため、論評には値しない。
お詫び文掲載のタイミングも理解し難い。被害者が騙し売りを認識して東急リバブルに照会したのが2004年8月であり、大きく遅れた「お詫び」である。多くの企業不祥事では遅すぎる対応が不祥事そのものと同じくらいの非難を浴びているが、東急不動産のマンション販売トラブルにも同じことが言える。
被害者が契約解除の意思表示を通知したのが2004年11月、消費者契約法に基づき売買契約を取り消したのが2004年12月、東急不動産を提訴したのが2005年2月、東急不動産敗訴判決が出たのは2006年8月、訴訟上の和解が成立したのは2006年12月、東急不動産が売買代金返還金を支払ったのが2007年6月と節目の時期は色々あるが、それらとは全く無関係な時期である。和解調書の履行が全て完了した訳でもない(所有権移転登記を巡るトラブルで中断したために、アルス301号室の明け渡しが遅れている)。被害者にとってはありがたみ味が全くない「お詫び」である。
東急不動産から被害者に対して直接「お詫び」が示されたことは一度もなく、また、ホームページへの「お詫び」掲載について事前にも事後にも説明や連絡がなされたこともなかった。的外れな時期に東急不動産が「お詫び」を掲載した真意は不明だが、少なくとも被害者と向き合うためにした訳ではないことは確かである。
東急不動産は被害者本人には一貫して不誠実な態度をとり続けた。アルス東陽町301号室は二面採光を唯一のセールスポイントとして販売したにもかかわらず、東急不動産住宅事業本部・大島聡仁は「隣地建て替えにより、採光面の一方が潰れても他方があるから我慢しろ」と騙し売り被害者の損害を全否定した。建て替えによって日照・眺望が皆無になるにもかかわらず、住宅事業本部・野間秀一は「建て替えで喜ぶ人がいる」と被害者感情を逆撫でする発言を繰り返した。住宅事業本部・関口冬樹は「隣が建て替えられて窓が塞がった方が売りやすい」という理由にもならない理由で屑物件の騙し売りを正当化した。しかもブローカー(アソシアコーポレーション株式会社・井田真介取締役)は被害者の勤務先本社に押しかけ、東急不動産の名前を出して圧力をかけた。
注目すべきはウェブサイトにおける上記文章の掲載位置である。東急リバブル・東急不動産とも会社からの発表内容を掲載するニュースリリース欄を設けているが、両者とも上記文章を別枠に表示させている。ニュースリリースならば過去の記事もバックナンバーの形で公開されたままになるが、上記文章は削除されたら、どこにも残らないものと思われる。ほとぼりが冷めたら跡形もなく削除してしまうことが予想される。また、東急不動産のウェブサイトではニュースリリースをRSS配信しているが、別枠ならばRSS配信の対象にならない。騙し売りトラブルを反省材料として記録にとどめようという姿勢とは対極である。お詫び文章の出し方一つを見ても、企業の姿勢を判断できる。
アルス東陽町301号室騙し売りの真相を知った購入者(被害者)は消費者契約法第4条第2項(不利益事実不告知)に基づき、売買契約を取り消した。購入者が売買契約を取り消したにもかかわらず、東急側が売買代金の返還を拒否したため訴訟となり、東京地裁平成18年8月30日判決は東急不動産の消費者契約法第4条第2項違反(不利益事実不告知)を認定し、東急不動産に売買代金全額2870万円の返還を命じた(平成17年(ワ)第3018号)。東京高裁において一審判決に沿った内容の訴訟上の和解が成立した。
しかし訴訟上の和解成立後も紛争が再燃した。紛争はアルス東陽町301号室の所有権移転登記の方法を巡るものである。アルス301号室の売買契約が消費者契約法に基づき取り消されたため、その所有権を被害者から東急不動産に戻さなければならない。被害者側は登記原因を和解調書記載の通り「訴訟上の和解」として、和解調書に基づき東急不動産が単独申請することを主張した。
これに対し、東急不動産は和解調書を使わず、東急不動産が用意した司法書士を使って被害者と東急不動産で共同申請することを要求した。具体的には東急不動産が用意した司法書士に被害者が実印を押した委任状を提出することを要求した。被害者が拒否すると、東急不動産は和解調書で定められた金銭の支払いを拒否した(2007年3月28日)。その後、東急不動産は4月2日に東京法務局に3000万円を供託した(平成19年度金第252号)。
被害者側は2007年5月13日、東急不動産に内容証明郵便を送付し、和解調書に基づく金銭支払いを請求し、合わせてブローカーが勤務先に圧力をかけさせることの停止を要求した。これに対し、東急不動産は「回答書」(2007年5月18日付)で全面的に拒否したが、その理由が問題であった。東急不動産は「被害者の代理人弁護士が供託金の受け取りについて法務局と相談し、それを受けて東急不動産代理人弁護士と折衝中」であることを拒否の理由とした。被害者の弁護士が東急不動産の要求に従って供託金を受け取る方向で折衝していると主張する。
これは完全な虚偽であった。被害者には裁判時には弁護士を訴訟代理人としていたが、東急不動産が回答書を送付した当時、委任関係にはなく、東急不動産の弁護士と折衝した事実もない。被害者が直接弁護士に確認すれば直ぐに露見する虚偽を回答した東急不動産の真意は不明である。話し合いによる任意的解決を潰すことが目的であったならば、その狙いは奏効したと言える。してもいない折衝をしていると言われれば弁護士が怒るのは当然であり、弁護士間で話し合いして解決するという可能性を完全に絶つことができる。
任意的解決の可能性が消滅したため、被害者は監督官庁である東京都都市整備局に申し出た。東京都の行政指導によって、東急不動産は態度を翻した。所有権移転登記は登記原因を和解調書に定められた「訴訟上の和解」とし、東急不動産が和解調書に基づき単独申請した。東急不動産は供託金を自ら取り戻した上で、三井住友銀行深川支店において被害者側に現金で金銭を支払った(6月28日)。問題物件の販売だけでなく、和解調書の履行においても東急不動産の誤りが示されたことになる。
●参考URL
不動産トラブルと消費者契約法
http://www.news.janjan.jp/living/0701/0701218525/1.php
東急不動産の実質敗訴で和解
http://www.ohmynews.co.jp/News.aspx?news_id=000000005214
東急不動産、「和解成立」後も新たなトラブル
http://www.ohmynews.co.jp/news/20070530/11614
東急リバブル東急不動産アルス東陽町騙し売り記事
東急リバブル東急不動産アルス東陽町301号室の騙し売り事件についての記事が日本インターネット新聞株式会社のサイトに公開された(林田力「マンション販売トラブルで「お詫び」 東急リバブル・東急不動産」JANJAN 2007年10月4日)。
東急不動産(販売代理:東急リバブル)がアルス東陽町301号室販売時に不利益事実(隣地建て替え、作業所による騒音)を隠して騙し売りした事件である。物件引渡し後に騙し売りの真相が判明し、消費者契約法第4条第2項(不利益事実不告知)に基づき不動産売買契約が取り消された。東京地方裁判所平成18年8月30日判決は東急不動産に売買代金全額2870万円の返還を命じた(平成17年(ワ)第3018号)。
本記事では東急リバブル東急不動産がウェブサイトに掲載した「お詫び文」について分析している。「東急リバブル・東急不動産とも被害者の損害回復については言及せず、紛争の未然防止・再発防止ともっともらしく謳いあげているが、具体的な内容が記載されていないため、論評には値しない」と結論付ける。
http://www.news.janjan.jp/living/0710/0710023335/1.php
林田力「東急不動産の遅過ぎたお詫び」オーマイニュース2007年10月9日
http://www.ohmynews.co.jp/news/20071002/15698
東急リバブル東急不動産、僅か1ヶ月でお詫び文撤回
東急リバブル東急不動産は僅か1ヶ月でアルス東陽町301号室騙し売りのお詫び文を撤回した。東急リバブル東急不動産は2007年10月1日頃より各々のウェブサイトのトップページに以下の文章を掲載していた。しかし東急リバブルについては10月31日、東急不動産については11月1日には削除されている。
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●東急リバブル株式会社
弊社が平成15年に江東区内で販売代理した新築マンションにつきまして、北側隣地の建築計画に関する説明不足の為にご購入者にご迷惑をおかけした件がございました。
本件を踏まえまして、不動産取引における紛争の未然防止を再徹底し、お客様へのより一層の質の高いサービスを提供していけるよう、努力して行く所存でございます。
●東急不動産株式会社
お詫び
弊社が平成15年に江東区内で販売致しましたマンションにおきまして、北側隣地の建築計画に関する説明不足の為にご購入者にご迷惑をおかけした件がございました。本件を踏まえまして社内体制を整え、再発防止及びお客様へのより一層のサービス提供を行なってまいる所存でございます。
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東急不動産(販売代理:東急リバブル)はアルス東陽町301号室を販売するに際し、隣地がアルス竣工後すぐに建て替えられること及び作業所で騒音が発生することを隠して騙し売りしたため、真相発覚後に消費者契約法第4条第2項(不利益事実不告知)に基づき、売買契約が取り消された。ウェブサイトからのお詫び文撤回は東急リバブル東急不動産の無反省を明白に示すものである。
http://tokyufubai.seesaa.net/article/63954606.html
【執行文の付与】執行文の付与は事件記録の存する裁判所の裁判所書記官が行う。裁判所書記官が付与する場合の手数料は300円である。条件成就執行文は、債権者が付与機関に対し、その証明すべき事実を証明したときに付与することができる。証明の方法は文書に限られる。書記官に対する証明の方法は文書に限られるため、証拠が文書以外で存在する場合(例えば反対給付を支払ったことを証明する証人がいる場合)、執行文付与の訴えという手続により、判決で執行文の付与を命じて貰うことができる。 執行文付与の訴えの勝訴判決が確定した場合、当該判決を書記官に呈示することで執行文の付与が受けられる。
【執行文の付与に対する救済】既に弁済されている等、執行文が付与されるべきではないのに執行文が付与された場合、「執行文付与に対する異議」または「執行文付与に対する異議の訴え」という手続により執行文の付与を取り消すことを求めることができる(民事執行法32条、34条)。両者は類似した名称が似ているが別個の手続である。前者が排斥されても後者を申し立てることが可能であるが、後者が排斥された場合、判決の既判力により前者の手続を申し立てることは遮断される。
執行文の付与等に関する異議は執行文を付与した裁判所書記官が所属する裁判所に異議を申し立てる。執行文付与に関する異議申立についての裁判は、その内容にかかわらず一審限りで、不服申立は許されない。
執行文付与に対する異議の訴えは、債務名義に付き特殊執行文付与の要件が存在しないことの確認を請求する訴え(手続上の確認の訴え)である。債権者の提出した文書により条件成就・承継が認められて執行文が付与された場合に、異議のある債務者がその事実を争い、その債務名義の正本に基づく強制執行の不許を求める訴えである。紛争の一回的解決のために、異議事由の同時主張が要求されている。
執行文付与に対する異議の訴え又は請求異議の訴えが提起されても、強制執行手続きが当然に停止又は取り消されるわけではない。執行停止の裁判等による。
【強制執行】債務者の給付が反対給付と引換えにすべきものである場合においては、強制執行は、債権者が反対の給付があったことを証明したときに限り、開始することができる。反対給付の証明を執行文付与の要件とすると、債権者に先履行を強いることになるため、反対給付の証明は執行開始の要件であって執行文付与要件ではない。
【同時履行の抗弁権】同時履行の抗弁権は相手方の債務の履行までは自己の債務の履行を拒むことができる契約の効力である(民法533条)。不完全履行の場合に認められるかは程度による。9割方の履行が行われているのに抗弁権を認めるのは公平ではないが、1割にも満たないようであれば認めるのが公平に適う。
【供託金】供託金払渡請求書(還付又は取戻)が提出されると、供託官が請求が適法であるかどうか審査し、適法であれば、払渡請求が認可される。払渡請求が認可されると利息を付すべきときは元利金と利息が支払われ、受け取る方法は小切手を受領する方法と口座に振り込む方法がある。
小切手が振り出されると、請求者は受領を証明するため、払渡請求書の「受取人氏名印」欄に氏名を記載し、押印し、これと交換に小切手を受領する。金銭供託の払渡しの場合の供託金の交付は、小切手でなされるが、この小切手は日本銀行宛ての記名式持参人払式の小切手であり、誰でも1年以内に日本銀行に提示して現金化できる。
尚、日銀小切手とは、日本銀行を支払人として振り出される小切手をいう。これには、日本銀行と当座預金取引のある金融機関が振り出す小切手と日本銀行自身が振り出す自己宛小切手がある。
請求者が希望するときは、供託所の保管金取扱店である日本銀行の店舗の所在地外の日本銀行の店舗又は供託官の定める銀行の店舗(例えば、供託所のあるA県の日銀支店ではなく、B県の日銀支店又は日銀の指定するC県のD銀行)への送金手続を依頼することができる。
(執行文の付与)第26条 執行文は、申立てにより、執行証書以外の債務名義については事件の記録の存する裁判所の裁判所書記官が、執行証書についてはその原本を保存する公証人が付与する。
2 執行文の付与は、債権者が債務者に対しその債務名義により強制執行をすることができる場合に、その旨を債務名義の正本の末尾に付記する方法により行う。
第27条 請求が債権者の証明すべき事実の到来に係る場合においては、執行文は、債権者がその事実の到来したことを証する文書を提出したときに限り、付与することができる。
(執行文の付与等に関する異議の申立て)第32条 執行文の付与の申立てに関する処分に対しては、裁判所書記官の処分にあつてはその裁判所書記官の所属する裁判所に、公証人の処分にあつてはその公証人の役場の所在地を管轄する地方裁判所に異議を申し立てることができる。
2 執行文の付与に対し、異議の申立てがあつたときは、裁判所は、異議についての裁判をするまでの間、担保を立てさせ、若しくは立てさせないで強制執行の停止を命じ、又は担保を立てさせてその続行を命ずることができる。急迫の事情があるときは、裁判長も、これらの処分を命ずることができる。
3 第1項の規定による申立てについての裁判及び前項の規定による裁判は、口頭弁論を経ないですることができる。
4 前項に規定する裁判に対しては、不服を申し立てることができない。
5 前各項の規定は、第28条第2項の規定による少額訴訟における確定判決又は仮執行の宣言を付した少額訴訟の判決若しくは支払督促の正本の交付について準用する。
(執行文付与に対する異議の訴え)第34条 第27条の規定により執行文が付与された場合において、債権者の証明すべき事実の到来したこと又は債務名義に表示された当事者以外の者に対し、若しくはその者のために強制執行をすることができることについて異議のある債務者は、その執行文の付された債務名義の正本に基づく強制執行の不許を求めるために、執行文付与に対する異議の訴えを提起することができる。
2 異議の事由が数個あるときは、債務者は、同時に、これを主張しなければならない。
3 前条第2項の規定は、第1項の訴えについて準用する。
(請求異議の訴え)第35条 債務名義(第22条第2号又は第4号に掲げる債務名義で確定前のものを除く。以下この項において同じ。)に係る請求権の存在又は内容について異議のある債務者は、その債務名義による強制執行の不許を求めるために、請求異議の訴えを提起することができる。裁判以外の債務名義の成立について異議のある債務者も、同様とする。
2 確定判決についての異議の事由は、口頭弁論の終結後に生じたものに限る。3 第33条第2項及び前条第2項の規定は、第1項の訴えについて準用する。
(執行文付与に対する異議の訴え等に係る執行停止の裁判)第36条 執行文付与に対する異議の訴え又は請求異議の訴えの提起があつた場合において、異議のため主張した事情が法律上理由があるとみえ、かつ、事実上の点について疎明があつたときは、受訴裁判所は、申立てにより、終局判決において次条第一項の裁判をするまでの間、担保を立てさせ、若しくは立てさせないで強制執行の停止を命じ、又はこれとともに、担保を立てさせて強制執行の続行を命じ、若しくは担保を立てさせて既にした執行処分の取消しを命ずることができる。急迫の事情があるときは、裁判長も、これらの処分を命ずることができる。
2 前項の申立てについての裁判は、口頭弁論を経ないですることができる。
3 第一項に規定する事由がある場合において、急迫の事情があるときは、執行裁判所は、申立てにより、同項の規定による裁判の正本を提出すべき期間を定めて、同項に規定する処分を命ずることができる。この裁判は、執行文付与に対する異議の訴え又は請求異議の訴えの提起前においても、することができる。
4 前項の規定により定められた期間を経過したとき、又はその期間内に第一項の規定による裁判が執行裁判所若しくは執行官に提出されたときは、前項の裁判は、その効力を失う。
5 第一項又は第三項の申立てについての裁判に対しては、不服を申し立てることができない。
(終局判決における執行停止の裁判等)
第37条 受訴裁判所は、執行文付与に対する異議の訴え又は請求異議の訴えについての終局判決において、前条第一項に規定する処分を命じ、又は既にした同項の規定による裁判を取り消し、変更し、若しくは認可することができる。この裁判については、仮執行の宣言をしなければならない。
2 前項の規定による裁判に対しては、不服を申し立てることができない。
(意思表示の擬制)第174条 意思表示をすべきことを債務者に命ずる判決その他の裁判が確定し、又は和解、認諾、調停若しくは労働審判に係る債務名義が成立したときは、債務者は、その確定又は成立の時に意思表示をしたものとみなす。ただし、債務者の意思表示が、債権者の証明すべき事実の到来に係るときは第27条第1項の規定により執行文が付与された時に、反対給付との引換え又は債務の履行その他の債務者の証明すべき事実のないことに係るときは次項又は第3項の規定により執行文が付与された時に意思表示をしたものとみなす。
2 債務者の意思表示が反対給付との引換えに係る場合においては、執行文は、債権者が反対給付又はその提供のあつたことを証する文書を提出したときに限り、付与することができる。
3 債務者の意思表示が債務者の証明すべき事実のないことに係る場合において、執行文の付与の申立てがあつたときは、裁判所書記官は、債務者に対し一定の期間を定めてその事実を証明する文書を提出すべき旨を催告し、債務者がその期間内にその文書を提出しないときに限り、執行文を付与することができる。
不動産登記法
(判決による登記等)
第 六十三条 第六十条、第六十五条又は第八十九条第一項(同条第二項において準用する場合を含む。)の規定にかかわらず、これらの規定により申請を共同してしなければならない者の一方に登記手続をすべきことを命ずる確定判決による登記は、当該申請を共同してしなければならない者の他方が単独で申請することができる。
民事訴訟法
(和解調書等の効力)第267条 和解又は請求の放棄若しくは認諾を調書に記載したときは、その記載は、確定判決と同一の効力を有する。
民法
(弁済の場所)第484条 弁済をすべき場所について別段の意思表示がないときは、特定物の引渡しは債権発生の時にその物が存在した場所において、その他の弁済は債権者の現在の住所において、それぞれしなければならない。
(供託)第494条 債権者が弁済の受領を拒み、又はこれを受領することができないときは、弁済をすることができる者(以下この目において「弁済者」という。)は、債権者のために弁済の目的物を供託してその債務を免れることができる。弁済者が過失なく債権者を確知することができないときも、同様とする。
(供託の方法)第495条 前条の規定による供託は、債務の履行地の供託所にしなければならない。
2 供託所について法令に特別の定めがない場合には、裁判所は、弁済者の請求により、供託所の指定及び供託物の保管者の選任をしなければならない。
3 前条の規定により供託をした者は、遅滞なく、債権者に供託の通知をしなければならない。
(供託物の取戻し)第496条 債権者が供託を受諾せず、又は供託を有効と宣告した判決が確定しない間は、弁済者は、供託物を取り戻すことができる。この場合においては、供託をしなかったものとみなす。
2 前項の規定は、供託によって質権又は抵当権が消滅した場合には、適用しない。
(供託に適しない物等)第497条 弁済の目的物が供託に適しないとき、又はその物について滅失若しくは損傷のおそれがあるときは、弁済者は、裁判所の許可を得て、これを競売に付し、その代金を供託することができる。その物の保存について過分の費用を要するときも、同様とする。
(供託物の受領の要件)第498条 債務者が債権者の給付に対して弁済をすべき場合には、債権者は、その給付をしなければ、供託物を受け取ることができない。
第五百三十三条 双務契約の当事者の一方は、相手方がその債務の履行を提供するまでは、自己の債務の履行を拒むことができる。ただし、相手方の債務が弁済期にないときは、この限りでない。
商法
第516条 商行為ニ因リテ生シタル債務ノ履行ヲ為スヘキ場所カ其行為ノ性質又ハ当事者ノ意思表示ニ因リテ定マラサルトキハ特定物ノ引渡ハ行為ノ当時其物ノ存在セシ場所ニ於テ之ヲ為シ其他ノ履行ハ債権者ノ現時ノ営業所、若シ営業所ナキトキハ其住所ニ於テ之ヲ為スコトヲ要ス
供託法
第8条 供託物ノ還付ヲ請求スル者ハ法務大臣ノ定ムル所ニ依リ其権利ヲ証明スルコトヲ要ス
2 供託者ハ民法第496条ノ規定ニ依レルコト、供託カ錯誤ニ出テシコト又ハ其原因カ消滅シタルコトヲ証明スルニ非サレハ供託物ヲ取戻スコトヲ得ス
不動産登記令7条1項5号ロ(1)
(添付情報)
第七条 登記の申請をする場合には、次に掲げる情報をその申請情報と併せて登記所に提供しなければならない。
五 権利に関する登記を申請するときは、次に掲げる情報
ロ 登記原因を証する情報。ただし、次の(1)又は(2)に掲げる場合にあっては当該(1)又は(2)に定めるものに限るものとし、別表の登記欄に掲げる登記を申請する場合(次の(1)又は(2)に掲げる場合を除く。)にあっては同表の添付情報欄に規定するところによる。
(1) 法第六十三条第一項に規定する確定判決による登記を申請するとき 執行力のある確定判決の判決書の正本(執行力のある確定判決と同一の効力を有するものの正本を含む。以下同じ。)