【コラム】前任者に責任を押し付ける韓国の大統領たち

 ユン・ボソン大統領と朴正煕大統領は李承晩の建国業績を、全斗煥大統領は朴正煕政権の工業化業績をそれぞれ評価しなかった。盧武鉉政権では、「チャテギ献金」(資金をトラックに積み込み現金で渡すこと)といわれた政界と財界の間の不法政治資金のやりとりに終止符が打たれたものの、李明博(イ・ミョンバク)大統領はこれに言及すらしなかった。盧武鉉大統領は南北和解、通貨危機の克服を訴えながらも、漢字3文字にすぎない前任者の名前を一度も呼ばなかった。米国の大統領のように就任演説の際にリンカーン、ルーズベルト、ジョージ・ワシントンなど前任者を褒めたたえる様子はまったく見られない。

 韓国の大統領たちは、大統領に就任すると、自分は長い歴史の中の短い一幕を担当する臨時配役にすぎないという事実をすっかり忘れてしまうようだ。そこで新しい共和国の主人公として新しい歴史を書くことになったという錯覚に陥り、前政権の残党を抹殺し入れ替えるのに夢中になるのだ。盧武鉉政権では金大中大統領時代の南北首脳会談を成功させる過程で行き来した資金取引について捜査したほか、李明博政権は盧武鉉大統領を腐敗の疑いで捜査。結局自殺に追いやった。

 これは、朴槿恵(パク・クンへ)政権でも変わらない。資源外交の不正を捜査した上、ポスコと農協を数カ月にわたって調査した。4大河事業にもメスを入れたものの、日照りが続いたことでこっそりと身を引いてしまった。今度は韓日慰安婦合意に対する批判的世論が高まりを見せると、大統領府が自分たちの功労を強調するために「歴代政権が慰安婦問題の解決に積極的姿勢を示さなかった」と皮肉った。いくら窮地に立たされたとしても、あえて口にする必要がない言葉を語ってしまった印象だ。韓国の大統領はいつまで前任者に責任を押し付けるのだろうか。

宋煕永(ソン・ヒヨン)主筆
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