【寄稿】韓国の世界戦略、過去の被害を忘れて緻密な未来設計を

中国の台頭、日本の野望、夢を失った韓国
習主席は「大国浮上」の夢、安倍首相は「強い普通の国」の夢
未来志向・グローバル指向の戦略で世界を相手に韓国を率いていくには過去の被害を忘れて未来の設計に乗り出すべき

 中国の夢と日本の夢には、三つの共通点がある。時間的には「未来」を見ており、空間的には「世界」を指向し、夢を実現するための「戦略」がある。中・日よりも未来が切迫し、暮らし向きが厳しい韓国には、この三点が見当らない。

 企業や民間は国際社会で生き残ろうと競争力強化に腐心しているのに、政界と一部の市民社会は、国内で自分の縄張りを主張することにばかり熱心だ。世界がどう変わろうと、彼らの競争空間は狭い国内にある。今や世間では通用しない無理な主張と押し付けと自己欺瞞(ぎまん)が、彼らの世界ではいまだに異常とはされない。若い世代が「政治のない世界で生きたい」と叫ぶ、その心情はいかばかりのものか。年俸8000万ウォン(約800万円)を超える労働貴族が、「非正規職の雇用安定が重要」だとして暴力に明け暮れても、一体誰が共感するだろうか。目を外に向けるべきだ。

 この先食べていくすべと未来の国の進路は、過去の回想や過去の復活から来るものではない。植民地時代と分断、戦争の傷痕と成長の裏面は記憶すべきだが、時代の精神は未来に力点を置かねばならない。周辺国の被害者だった過去の記憶ばかり反すうするのではなく、韓国が周辺国をどのように活用して新たな未来を開拓するのか、頭を使うべきだ。豊かで強い周辺国があるというのは、挑戦でもあるが、チャンスともいえる。

 国家戦略は、世界の荒波を乗り切るための必須要素だ。官僚的無事安逸主義は、戦略を拒否する。自分の任期中に事故が起きさえしなければいいと考えるところには、戦略ではなく小細工だけが宿る。誤りを指摘しても「心配することはない。大丈夫」という政府を、国民は信用しない。国のため己を捨てる公職者は多い。とはいえ彼らも、世界を相手に韓国を率いていく緻密な戦略的航海図を携えておくべきだ。それでこそ強く、活力ある韓国として生き残ることができる。

パク・チョルヒ(ソウル大学日本研究所長兼国際大学院教授)
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