親孝行契約書の公証業務を主に担当する法律事務所も登場した。企業のウェブサイトに、親孝行契約書の公証についての広告を掲載した法律事務所の関係者は「親孝行契約書の公証をしてほしいという問い合わせが相次ぐようになり、広告を出すことにした。贈与する財産の規模に応じ、1件の公証につき10万-50万ウォン(約1万-5万円)程度の報酬を受け取っている」と話した。大法院によると、親たちが子どもを相手取って扶養費用を請求する訴訟は、2005年の151件から、昨年は262件へと増加した。
親孝行契約書の基本的な内容は「親が子どもに財産を譲る代わりに、子どもは親に孝道(孝行)する」というものだ。だが、覚書に盛り込まれる「親孝行」の具体的な内容はさまざまだ。Kさん(64)は先月末、結婚した息子に対し、再開発を控えたマンション1棟を贈与する代わりに、息子が親に1カ月50万ウォンずつの小遣いを支給し、違反した場合はマンションを返還する」という内容の親孝行契約書を作成した。昨年11月に結婚した娘に、新居の保証金(敷金)として2億ウォン(約2000万円)を支出し、親孝行契約書を作成したというPさん(58)は、娘夫妻と「1カ月に1回以上、一緒に食事をする」という条件を盛り込んだ。Yさん(56)=女性=は最近、長男と親孝行契約書を交わし「両親の同意なく、兄弟の家に移らせないこと」という文言を挿入した。Yさんは「亡くなった父が生前、長兄に全財産を譲ったのに、ほかの兄弟の家を転々としたのを目の当たりにし、親孝行契約書を作成する決心をした」と話した。
一部の親たちは弁護士に親孝行契約書の作成を依頼し「親に3回以上歯向かったら財産を返還する」「嫁は(自分の)口に合う食事を提供するように」などといった内容を盛り込むよう注文することもあるという。だが、弁護士法人「カンホ」のチャン・ジンヨン弁護士は「法的な解釈があいまいな条件を付けた契約は、法的な争いが生じた場合、その効力を認められない恐れがある」と指摘した。