【コラム】10大ニュースの改ざんを指示した韓国科学技術団体トップ

 イ会長は昨年1月、あるメディアへの寄稿記事で、2014年の10大科学技術ニュースの選定結果を紹介し「科総の10大ニュースは毎年、科学技術界の年末最大のイベントとして定着した」と述べた。「客観性を高めるため、外部からの推薦により、分野別の専門学会、政府の支援を受ける研究機関、企業の付設研究所、科学技術担当記者などからなる選定委員会を立ち上げた」という説明も加えた。そのイ会長が自ら、10年にわたる伝統や権威を崩壊させたことになる。イ会長による改ざんの指示を伝えた職員は、選定委員たちが反発したのに対し「科総が選定するニュースなのに、なぜ科総の意向に沿ってできないのか」と言い放ったという。

 科総は韓国の科学界を代表する団体だ。政府から運営費の支援を受けているからといって、政府の目を気にしていては、500万人いる科学技術者たちの声を代弁することはできない。昨年末、政府の支援を受ける研究機関は賃金ピーク制(雇用を保障する代わりに一定の年齢以降は賃金を引き下げる制度)を受け入れた。1997年のアジア通貨危機当時、65歳だった研究員たちの定年は61歳に引き下げられた。研究員たちはまず定年を再び延長した上で、賃金ピーク制について話し合おうと主張したが、研究機関の運営費や賃金の削減について圧力を掛けられ、結局賃金ピーク制を受け入れたのだった。これについて科総は特に行動を起こすことはなかった。何らかのフォーラムを立ち上げ、国の発展について話し合おうと主張したが、若い研究員たちは排除され、団体のトップばかりが集まった。科総は今年、創立50周年を迎える。「知命の年」とされる50歳を迎えるのだから、会長であれ誰であれ、一部の人の主観ではなく、全体のための客観的かつ普遍的な視点をもって世間を見つめていくべきではないだろうか。

李永完(イ・ヨンワン)科学専門記者
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