存在の耐えられない軽さと重さ
娘がトレース台*1を自作していた。(この人はとにかく絵描いているか動画を作っているかニコニコ動画を見ていることがほとんど)材料はALL100均ショップで購入し、手先が器用なので、あっという間に完成させていました。娘曰く「いい感じに出来た」とのこと。好きなことにはトコトン打ち込むオタク魂には非常に感心する......のだがせめて休日明けに提出必須の宿題を終えてから創作に励んで欲しいのが親心というものだったりする。
ところで山内マリコさんの本を久しぶりに読んだ。
最初から最後まで(表紙を含めて)可愛い本だった。“パリ”をキーワードとした12編の短編からできていて、最終話で全部可愛くまとまる。
可愛い可愛いとばかり書いているのだが、この可愛いは実に様々な意味を持っている可愛いだ。というのはアラサーの女性が書く小説は、たいていの場合において重いとも軽いとも言えない何かがあることが多い。
人生に迷っている。
友達との関係がしっくりきていない。
夫との関係が微妙、もしくは上手くいっていると思っていたけれどもそれほどではないのかもしれないことに気がついた。
結婚していない。
この先仕事どうしよう。
みたいなことが延々書いてあることが多い。でもそれがいけないというわけでもないし、この本もやはりそういったことが書かれている。そう書かれてはいるのだが短編で構成していくことによって人生の重みに捕まらないようにできていると思う。
そもそも山内さんは短編でデビューしていたのだった。
やっぱり可愛いとか感想が書いてありました。(1960年代のチェコ映画『ひなぎく』の予告が貼ってあった。パリじゃないけど、服とか背景とかがとてもお洒落で可愛い(・◇・)√映画だっだのを思い出した)しばらく前にCMの宣伝で、「カワイイはつくれる!」っていうのが流行ったけれど、その可愛いを人生でやっていこうとすると、とつてもなく力技が必要だと思う。特に女性は男性と比べると変化が大きいし、迷って決められないこともたくさんある。そして私はその重みをそのまま書いてある“女の激しい人生”みたいな小説があんまり好きというわけではないのです。
自分なりの可愛いをキープするためには、自分なりのポリシーを持って可愛い道(ケモノ道)を自身の力で切り開いていかなくてはいけない。この本の内容は意外とハードボイルドなんですよ。なんのかんの言って、出てくる女性は人生の選択を他人任せにしていない。
本当に女の人の言う「可愛い!」ほど中身がよく分からないものはないのかもしれませんね。
*1:イラストを描く時に使う、光る台