交通事故総合分析センターの調査によると、2009年から2011年のあいだに自転車事故で死亡した人のうち、おもに頭部を損傷した人の割合は全体の64%を占めました。胸部(13%)、腰部(6%)などを大きく引き離しています。
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一方で、自転車に乗る人のうち、頭部を保護するヘルメットを着用する人は一般的にはまだ多くありません。
ところが愛媛県では昨年2015年に、自転車に乗る人のヘルメット着用率が大幅に向上。2月には11%でしたが、12月には68%とおよそ6倍になりました(愛媛県警調べ)。
愛媛県は近年、自転車を通じた地域活性を推進。瀬戸内海を渡って同県今治市と広島県尾道市を結び「しまなみ海道」の愛称で呼ばれる西瀬戸自動車道を、「サイクリストの聖地」としてPRしています。「しまなみ海道」には自転車道が併設されており、国際的な自転車競技の大会も開催されていることなどが、その大きな理由のひとつです。
また同県はこれに関連して県全体を「サイクリングパラダイス」と位置付けており、2013年7月には「愛媛県自転車の安全な利用の促進に関する条例」を制定。この条例では、「自転車マナー先進県」を目指すとして自転車損害賠償保険への加入やヘルメットの着用を努力目標とするなどしています。
ただ、そうした土壌はあったにせよ、実はヘルメットの着用率を押し上げた最大の要因は、別のところにありました。
愛媛県の自転車ヘルメット着用率を押し上げた最大の要因は、高校生でした。昨年7月に59校(分校含む)すべての県立高校で自転車に乗る際のヘルメット着用が義務化されたのです。
ヘルメットは県教育振興会が県の一部助成を受けて購入し、生徒に無償で配布。対象となる生徒は約2万9000人にのぼりましたが、県の高校教育課によれば、全員へのスムーズなヘルメット着用を実現するにあたり、ある工夫があったといいます。
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