第8回(2014年) 小児科専門医試験を受けてきました。
病院によっては近くに試験を受けた人がいなくて、どんな試験であったか話を聞けない場合もあると思いますので、第9回(2015年) 小児科専門医試験を受ける人のためにも少し記録として残しておきます。
受験票が届くまで
受験資格
当然ですが、小児科専門医を受けるためには、受験資格と受験の申し込みが必要です。
受験資格としては
- 2014 年 8 月 31 日までに,会員歴が連続 3 年以上,もしくは通算 5 年以上である者.
- 2004 年以降の医師国家試験合格者で,2 年間の卒後臨床研修を修了後,学会の指定した研修施設(研修施設が予め登録した関連施設を含む)において 2014 年 8 月 31 日までに 3 年以上の研修を修了,または修了見込みの者.
とあります。要は、後期研修医になる時に普通に学会に加入していれば、3年間の研修を終えた時には施設に問題なければ受験資格があることになります。施設が専門医研修施設かどうかは、小児科学会のホームページ (要ログイン)で調べることができます。
出願までの流れ
2014年の書類について説明しています。2015年に必要な書類が同じであるとは限らないので、必ず小児科学会の公式資料で確認しましょう。
出願に必要な書類は以下のとおりでした。
- 受験出願書
- 4 x 3 [cm]の写真の添付が必要です。また、大学の卒業年月日・医籍登録番号・医籍登録年月日・臨床研修終了登録日・小児科専門医研修開始日の記入が必要です。
- 大学の卒業年月日は一般的に3月31日になのかと思っていましたが、手元に卒業証明書があったので見てみると、卒業年月日: 平成21年3月25日とはっきり記載されていたためこちらを記入しました。
- 医籍登録番号と登録年月日は、医師免許の後ろの方(厚生労働大臣 ○○のあと)に書いてあります。
- 臨床研修終了登録日は12. 臨床研修修了登録証に書いてあります。
- 小児科専門医研修開始日は後期研修開始日としました。
- 研修修了(見込)証明書
- 指導医の署名と印が必要です。
- 手帳の内容を記入する場所があります。
- 受け持った入院症例数や外来・救急・剖検の症例数など、その場ですぐには書けない項目もあるので要注意です。
- 症例要約指導証明書(オリジナルとコピー 1 部)
- こちらにも指導医の署名が必要です。
- 症例要約チェックリスト(オリジナルとコピー 1 部)
- 誓約書に自署で「症例要約 30 症例は,研修期間中に研修施設あるいはその関連施設で自ら研修診療に携わった症例で,研修診療の実績に従って真実を記載しました」と書く必要があります。(例文として告示に書いてありました)
- 症例要約
- かなり時間かかります!詳細は後述。
- CD-R
- DVD-Rはコンビニにもあるけど、CD-Rがなかなか売ってなくて困りました。
- CD-Rに入れるファイルのファイル名、CD-Rの表面に書く内容も決まってます!必ず告示をチェック。
- 臨床研修手帳
- 大変面倒です。時間もかかります。
- また、指導医の署名が必要な場所が何箇所もあります。研修を終えて病院が変わっている場合は、2., 3. とともに指導医の署名を得るまでに時間がかかりますので余裕を持って行動しましょう。
- 僕は、提出直前に一箇所指導医の署名が抜けていることに気が付き、たいへん慌てるはめになりました。
- 受験票他受領用封筒(定型長形 3 号封筒に 90 円切手貼付,受験者住所・氏名を明記すること)
- いまなら92円ですかね。
- 会員歴証明書
- 大変重要です。この会員歴証明書の請求期限は2014年は4月30日まででした。つまり、出願期間が始まるまでには手に入れておく必要があります。
- これを予め手に入れておかないと出願すらすることができなくなります。
- 医師免許証(写)(縮小可)
- 受験料振込受領書のコピー
- 30000円でした。
- 臨床研修修了登録証(写)(2004 年以降の医師国家試験合格者は必要,厚労省から発行される)
- 後期研修が終わった時点で病院から臨床研修修了証が交付されます。それを厚生労働省に送付することで本証が送られてきているはずです。
- 紛失などで再申請には2ヶ月以上かかります。
以上の書類を、指定の出願期間である、 5月1日 から 5月31日(2014年の場合; 当日消印有効)に上記書類を郵送することになります。
また、小児科学会に「○○の書類だけ今は揃わないのであとで送ります」と連絡をして、「後での送付で構わない」と許可が得られていたとしても、そのまま受験票が届かず、何を言ってもダメだったという例が多発しています。(ひどい話です・・・) 気をつけましょう。
症例要約
30例もいきなり思いつけません。珍しい症例があったらこまめにチェックしておきましょう。注意点を幾つか。
- 初期研修期間の症例は残念ながら対象になりません。
- 症例は思いついた順に書くのではなく、分野順に並んでいる必要があります。(告示に「疾病分野順に 1 から 30 まで番号をつけること。」と) 分野順に並んでいないのは減点対象だそうです。
- 各分野に異なる疾患で少なくとも2症例ずつを含むことが必要です。
- 冠動脈病変を伴わない川崎病は「免疫異常,膠原病,リウマチ性疾患,感染症」とか、糖尿病は「栄養障害,代謝性疾患,消化器疾患」に分類などいろいろ決まりがあります。告示の後ろにどの疾患がどの分野かが乗っています。必ずチェックしましょう。
- その他、年齢の書き方や転帰の書き方も決まりがあります。
- 「30 行以内とし 10.5~12 ポイントの字で書くこと。」とあります。注意が必要な点として、小児科学会のテンプレートファイルは、30行を超えても入力できてしまうという点があります。提出前に必ず行数を確認しましょう。
- 受持期間が研修期間外の症例、記載漏れ(性別・転帰等)、不適当な分野、症例要約指導証明書との不一致など、不備がある場合には減点です。
受験票
無事出願が受け入れられると、7月末に受験票が届きます。第8回小児科専門医試験の受験票は7月18日に発送されています。
受験票とともに、会場の案内、筆記試験・面接諮問の時間、近くのホテルの案内が入っています。ホテルは別で自分でとったほうが安価でした。
試験
2014年の小児科専門医試験はベルサール汐留でありました。
最寄り駅は 大江戸線 築地市場駅 / ゆりかもめ 汐留駅 / JR 新橋駅 あたりでした。
追記: 2015年(第9回)は、国立京都国際会館で開かれるようです。
試験は2日間に分かれて行われ、
- 1日目 (2014年9月6日 土曜日) 筆記試験
- 2日目 (2014年9月7日 日曜日) 面接諮問
という日程になっていました。
1日目 筆記試験
試験は昼からです。2014年は、12:00から開始で、途中で休憩を1回挟んで2部に分けて行われました。試験は120問でマークシート方式です。
試験問題に関しては、先輩から聞いていた過去問と全く同じ問題は少なかったですが、分野・疾患に関してはかぶっている部分も多かったです。解答に迷う問題も多く、後で思い返して教科書を見ても解答がわからない問題もありました。試験はマークシート方式で行われ、問題はすべて回収されます。
勉強方法としてのやるべきことは、
- 専門医試験モデル問題
- 以前、日本小児科学会のホームページに掲載されていたものです。分野別に問題・解答・解説が載っている48ページの問題集です。実際の試験の雰囲気などを味わうには一番良いかもしれません。現在はホームページからは残念ながら取下げられているようですが、4−5年くらい前までは掲載されていたようなので、そのころに受験した小児科のDr.が居れば、聞いてみるのもいいかもしれません。
- 第1, 2, 3回の専門医試験過去問題抜粋
- 小児科学会ホームページにあります。残念ながら解答はついていません。
- 復元問題
- 問題は回収されますが、病院や大学によっては、先輩方が出ていた問題のメモ・復元をしてくれているかもしれません。2014年のものに関してはこのページの最後にまとめておきます。
- 専門医をめざす!小児科試験問題集 増補版
- 国試マニュアル 100パーセント 小児科
- 医師国家試験のための レビューブック 小児科
- STEP小児科 か 国試小児科学 か 標準小児科学 第8版
100%小児科 も レビューブック も 要点だけしか書いていないので、知っている疾患や、やったことを思い出すのには便利ですが、あまり知らない疾患や苦手な分野を勉強するには、STEP小児科などの教科書がないと厳しいと思います。
- ネルソン小児科学か、Nelson Textbook of Pediatricsしか信用しないって?お止めはしません。ただ、試験勉強に受かる目的に対しては少し大げさだし、持ち歩きにも大変不便です。スターバックスで勉強する際も少し奇異の目で見られるかもしれません。
- クエスチョンバンク
- あまり個人的にはおすすめはしませんが・・・試験会場で持ってた人が何人かいました。
2日目 面接諮問
面接諮問の時間はバラバラです。午前から午後までの試験時間がありますが、そのうちのどこで受けることになるかは、受験票が手元に来るまで分かりません。ただし、だいたい願書を提出した順番になっているようです。沖縄からの受験でも提出が締め切りギリギリであれば、試験の時間は後ろの方になります。遠方からの受験の方は試験後に帰宅することも考えて、余裕を持って願書を提出しましょう。
1日目の試験の時に、面接開始の30分前までに会場に必ず着いておくようにアナウンスが有ります。余裕を持って到着しておきましょう。
試験会場は80のブースがあります。会場に案内されたら、自分のブース番号の前にある椅子に着席して待機して、ベルの合図で面接ブースに入る(といっても、2m移動する程度)ことになります。そこで、面接官2人と向きあって受験票を渡すことになります。
試験開始した時点で、提出した症例のうち2症例を渡され目を通すように言われます。目を通し終わったら、対象の2症例についていろいろと質問されます。どんな内容が聞かれるかは面接官次第のようで、鑑別診断や検査結果の解釈について聞かれる場合があれば、提出した部分だけでは分からないそれまでやその後の経緯を聞かれる場合、ほとんど雑談で終わる場合など様々なようでした。
終了5分前に一度ベルがなり、その時点で面接が終了すれば退出するように言われます。その際、受験票の裏に終了確認のスタンプが押されますが、問題があれば再試験のように残るようにいわれるそうです。(周りを見てもそのまま会場外に出る人ばかりでした。)
結果発表
結果が届くのは、毎年12月末だそうです。2014年は12月25日 クリスマスに届きました。簡易書留で届きました。
合格の封筒も不合格の封筒も、ぱっと見では違いが分かりませんが、触ってみると振込用紙や登録用紙が含まれている分、合格の封筒のほうが分厚いです。
また、近くの人達の封筒から、合格の封筒は和封筒(短辺を閉じるタイプ)・不合格の封筒は洋封筒(長辺を閉じるタイプ)という噂がありますが、nが少ないので確からしさは低いです。
そして、これが一番大事な点ですが、合格していた場合1月7日まで(2014年の場合)に登録をする必要があります。合格通知が届いてから2週間ないため、冬休みなどや年末年始で簡易書留が受け取れなければそれだけでアウトになってしまいます。気をつけましょう。
ここまで読んだ皆様、お疲れ様でした。一応、2014年の試験問題の内容を小児科専門医過去問2014にこっそり置いておきます。復元問題として見るのではなく、こんな分野が出るんだなーくらいに思っていただければと。
2013年の記録についてはぐーたらおの日記 8th Stageを参照して下さい。
初めまして、地方の病院に勤務する小児科医です。大変参考になりました。内容のページに移行すると、文字化けして見られません。どのようにしたらよいのでしょうか?
「専門医を目指す」の問題集は何回もやってみました。初めての方に伺うには失礼なのですが、勉強方法がよく分かりません。どうしたら良いのでしょうか?問題数をこなすしかないかと思うのですが、プール問題も持っていないので、途方に暮れています。また、学会主催の専門医取得のためのインテンシブコースは受講しておいたほうが有利なのでしょうか?
長文となってどうも済みません、ご教示いただければ幸いです。
内容のページ、変更しました。おそらくこれで見えるようになったと思います。
学会主催のインテンシブコースは、それで自体は勉強にはなりましたが、専門医の試験そのものに役に立ったかと聞かれると、疑問な感じです。
問題集を二周して、その範囲に含まれている疾患を答えを丸暗記するのではなく、周辺事項を含めて復習していれば大丈夫ではないかと思います。
早々のお返事ありがとうございます。僕のパソコンの設定のせいなのか、まだ文字化けが直りませんです。お返事参考になりました。がんばってみます。