貞国聖子
2016年1月10日21時55分
11日は成人の日。タレントの風見しんごさん(53)の長女えみるさん(当時10)も今年、20歳を迎えるはずだった。交通事故で亡くして約9年。風見さんは命の大切さについての講演を各地で続けている。これからハンドルを握る若者たちにも、耳を傾けてほしいという。
「朝、赤いランドセルを背負い、『行ってきます』と笑顔で家を出ました。事故はその数分後でした」
2007年1月、えみるさんは自宅近くの横断歩道を青信号で渡っている時、3トントラックにはねられた。運転していたのは22歳の男性だった。
事故がなければ今年成人式を迎え、両親らに晴れ姿を見せていた。
悲しみ。憎しみ。後悔。恐怖。事故後、風見さんは次々と襲って来る感情に混乱した。「時間は何も解決してくれなかった」
えみるさんを失って半年後、風見さんは事故防止を呼びかける講演活動を始めた。心にあいた穴はふさがっていなかったが、「自分で一つひとつの感情に決着をつけるしかなかった」。
自分と同じ思いをして欲しくないと願い、各地に赴く。学校や地域の集まりで交通安全や命の大切さを訴え、年に50回を数えることもあった。
「今でも『ただいま』と帰ってくる気がします。交通事故は数多くの深い悲しみをうむ。誰もが加害者にも被害者にもなる。アクセルを踏む前に、えみるのことを少しでも思い出してもらえれば」。講演では事故当時の悲惨な様子を語りながら、そう呼びかける。
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朝日新聞社会部
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