【旭川】旭川東高3年の田中駿介君(18)が、慶応義塾大主催「全国高校生小論文コンテスト」で最高賞を受賞した。「学生自主組織による主権者教育の拡充に向けて」と題し、「北の高校生会議」を企画運営した経験などを踏まえ、「対話の意義」をテーマに論じた。田中君は「今後も対話の重要性を訴えていきたい」と話している。

 コンテストは慶大塾長を務めた小泉信三氏を記念し、1976年に始まった。本年度は「学問は不要か」など5テーマから一つ選び、6千~8千字にまとめる形で募集。全国から262点が寄せられた。最高賞に道内勢が選ばれるのは4人目で、男子は初という。授賞式は10日に慶大で行う。

 田中君は昨年1月に美瑛町で開かれた「北の高校生会議」を、札幌や帯広の仲間4人と運営。3日間にわたり、政治や教育などをテーマに話し合った。当初「誰が政治を行っても同じ」と言っていた参加者が、最終日には「考えは多様で、政治は面白い」と口にしたことが印象に残ったという。

 一方で、会議後の6月に公職選挙法が改正され、選挙権年齢が18歳以上に変更されることになったにもかかわらず、主権者教育が少ないことに疑問も抱いた。

 これらの経験を基に、小論文では、日常生活そのものが政治的な課題を話し合う“会議”となることや、学生組織による主権者教育、対話の輪が広がることへの期待をつづった。

 田中君の将来の夢は「政治学者か政治家」。東京の大学で政治学を学ぶため受験勉強に励む傍ら、インターネット電話「スカイプ」やフェイスブックを通じて全国の高校生や大学生と社会問題について討論する「ぼくらの対話ネット」を友人と運営している。「今後もさまざまな人との対話を続けていきたい」と決意を新たにしている。(中沢広美)