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 東日本大震災後、自然エネルギーの普及を促す国の政策に応じて太陽光発電施設が全国で急増する一方で、住民による建設反対運動も目立ってきている。広大な敷地にパネルを設置することに対し、自然災害時の危険や景観の悪化を心配するケースが多い。

 太陽光発電施設の建設ラッシュは自然エネルギーの普及を目指す再生可能エネルギー固定価格買い取り制度(FIT)が2012年に導入されたのを機に始まった。太陽光などで発電した電気を、電力会社が一定の価格で買い取る制度だ。

 出力1千キロワット以上の大規模太陽光発電施設(メガソーラー)は、FIT導入前の274倍にあたる3291件が運転を開始した(昨年8月時点)。国から認定を受けた後、まだ建設されていない計画も多数ある。使われていない土地を活用できることもあり、地域振興策として普及した。

 一方で、住民と地域外の事業者との間で摩擦が起こるケースも出ている。

 リンゴ畑が広がる長野県上田市の飯沼地区では13年にメガソーラー計画が持ち上がった。東京の事業者が立てた計画では、山林の傾斜地約20ヘクタールの樹木を伐採し、4万4千枚のパネルを設置する。これに対し、地元自治会は「メガソーラー設置反対特別協議会」を組織して反対を続けている。

 住民らは「豪雨に伴う土砂崩れなどが起こる可能性が高まる」と訴える。

 昨年6月には隣県の群馬県伊勢崎市で、突風で太陽光パネル200枚が吹き飛ばされた。協議会長の志津田和博さん(66)は現場を見に行き、いっそう不安が募ったという。「太陽光発電自体には反対しない。建てる場所を考えてほしい」と話す。事業者は「住民に丁寧に説明をしたい」と話すが、合意に至っていない。