私は、それほど容姿に関してのハンデを担わずに生まれたと思う。
目鼻立ちがはっきりしているし、骨格に大きく目立つ欠点がない。
容姿で金を稼げるレベルにはまったく及ばないので、そう人様に自慢することもできないが
仕事関連でかかわるおっさん方がちょっと優遇してくれるとか、その程度。
「容姿にかかわるハンデ」に関してはそれほど背負わされることなく生きてきたと思う。
だがモテるかといったらさほどモテない。アラサーになった今でも、前述の見知らぬ男子の件を覚えている程度に。
両親は私をハンデなく生んでくれたが、いかんせん私の育ち方が偏屈で暗くていわゆる陰キャラであった。
この年齢にいたるまで恋愛経験はまったく豊富ではないし、あんまりいい思い出もない。
おっさんにちやほやされるのもありがたいと思えない。
むしろ自分の仕事が適正に評価されていないのではないかと言う不安におびえる。
ただ、ネットでこういうことを言うと「うるせーお前みたいな“恵まれた”奴が喪女ぶるんじゃねえ」と怒られるし
美人サイドからも「結局その程度ってことでしょ、本当の美人なら~」みたいに言われることが目に見えてるので、基本黙るしかない。
翻って、既婚の私の友人がいる。学生時代から付き合っていた男性と結婚した。
このご時勢だが、都内で大きくはないけど温かい結婚式と披露宴を上げた。
その結婚式が本当にすばらしく、とくに新郎から新婦に対する手紙の読み上げの段では
「うらやましい、あんなふうに愛されたい」と同テーブルの女子大号泣であった。
旦那さんは穏やかな人柄で、やわらかく静かにしゃべり、しかし人好きがして、お料理が好きで、
友人夫婦はふたりで台所に立って凝った料理を作っては我々非モテアラサー友人集団に振舞ってくれる。
さて、その友人であるが、友人としての贔屓目を振り払ってはっきり言うが、容姿は、よくない。
一重で、癖毛で、肥っていて、服もいつも毛玉のついたトレーナーにジーンズといった感じだ。
何がかわいいかと言うとうまくいえないのだが、ひとつエピソードを上げるなら
友人グループで旅行した際、私一人だけ諸事情で別便で向かうことになった。
皆がワイワイと往路を楽しんでいる頃、私が一人でぼんやり新幹線に乗っていると、その友人から連絡が入った。
「今どうしてる~? 増田いないとさみしいよー」
…………めっっっちゃくちゃキュンとした。
私が男ならアレで落ちてるレベルでキュンとした。
だから、私は彼女が友人グループでいちばんに結婚したことをまったく不思議に思わない。
壇上で、ドレスに身を包みケーキカットをする彼女は、痩せていなかったけど、一重だったけど、すごくかわいかった。
かわいかったのだ。
容姿は大事だ。半端に“恵まれた”私がわからないつらさも多分あるのだと思う。
でも、それがすべての決め手になるほどに強いカードではないのではないか、とも、思う。
100人中95人が言いそうな常識的感性だな。 あの増田はその感覚が常識となっているのは前提として 機会の平等や富の再分配の観点から 容姿が当たり前のように漏れているのはどうなのか...