「きょうの健康」今週は「不整脈最新情報」です。
今日も俳優の黒部進さんがご一緒です。
今日は4日目になりましたけどもどうぞよろしくお願い致します。
よろしくお願いします。
早速ラインナップご紹介します。
今日は「心房細動を治す」。
治療についてお伝えします。
お話は…循環器内科の医師で特に不整脈や心臓病の診断治療がご専門です。
どうぞよろしくお願い致します。
よろしくお願い致します。
「心房細動を治す」という事ですが治るという事ですね。
はい。
早期の段階で気付いて適切な治療を行えば8割から9割の方は治ると思いますね。
力強いお言葉をね頂きましたけれどもそもそもその心房細動とはどういう状態なのかから改めて教えて頂けますか?正常な状態ではこのように電気の流れが上の部屋から下の部屋へと流れて正常に心臓を収縮させて血液を送り出しているんですね。
ところが心房細動になりますとこのように心房内で異常な興奮が無秩序に発生し収縮がうまくできなくなる。
けいれんしたような状態というようになるんですね。
これが心房細動ですね。
すると心室の方も1分間に100回以上不規則に速く収縮する。
頻脈となる訳ですね。
これが長く続くと心不全というような状態にもなる訳です。
更に心房細動の一番の問題はこの心房内で血液がよどんで血栓ができてこの血栓が剥がれて実は脳の血管に詰まって重症の脳梗塞を引き起こすんですね。
心房細動が原因のその脳梗塞ですね。
そういう患者さんというのは増えてるんでしょうか。
脳梗塞の中でも心房細動が原因となる脳梗塞は高齢化とともに実は年々増えているんですね。
寝たきりとなるケースも多いんですね。
ですから心房細動を早く見つけ重い脳梗塞患者さんを減らすというのが今の僕たちの重要な課題となっているんですね。
では心房細動の治療についてお話しします。
心房細動の治療の柱は…中心は薬物療法となります。
まず何としても防ぎたいのは脳梗塞ですね。
ですから脳梗塞の予防の治療がまず第1番目という事になります。
黒部さんは脳梗塞を予防する薬も確か使って…。
使ってますね。
はいはい。
血液をサラサラにする薬をのんでます毎日。
それは必ず継続をされて頂きたいと思いますね。
脳梗塞を防ぐ薬は心臓に血の塊血栓ができにくくする薬です。
抗凝固薬とも呼ばれていますね。
この抗凝固薬ですけれども2011年から新しい薬が次々に登場し患者さんの負担がかなり少なく済むようになっています。
黒部さんが使われていますのはこの中の新しいお薬でしょうか。
そうですね。
はい。
今は新しい薬がかなり多くの患者さんに使用されていると思いますね。
実はこのワルファリン2011年の前は唯一の抗凝固薬としてかなり長く使用されてきたんですけれども薬の効き方に個人差がある。
あるいは効き過ぎると消化管出血や脳出血という危険な副作用が出る事があるんですね。
また微量な用量調節も必要。
そういうような意味で処方が難しい薬なんですね。
しかしこの4つの新しい薬いずれも脳出血のリスクがワルファリンに比べてかなり低いという事。
また用量調節の難しさもありませんね。
食事制限の必要もありません。
このため採血検査の頻度というのも年に1〜2回で済むというようになって患者さんの負担も少なくなっているんではないかなと思います。
ただしこの新しい薬適さない患者さんもいます。
その場合はどうしてもワルファリンを使います。
あるいは今ワルファリン服用されている方でうまくコントロールされている場合は切り替える必要はないと思いますね。
脳梗塞を防ぐ薬ですねそれは心房細動と診断されましたら必ずのまなきゃいけないんでしょうか?服薬しなければならないのはここに示します脳梗塞の危険因子をお持ちの方ですね。
例えば…これらはいずれも1点とカウントします。
あるいは…これは2点とカウントします。
そして合計点数が2点であれば例えば高血圧と糖尿病があれば2点になりますね。
あるいは脳梗塞を起こした事があればそれだけで2点となりますね。
この2点以上の方は実は脳梗塞の危険度が高いという事なんですね。
僕の場合は2点ですよね。
年齢がもう75歳以上高血圧。
2点ですから今ちゃんとのんでるんですけれども。
そうですね。
最近の新しい薬に関しては1点以上からもう服用する事が勧められています。
なおこの年齢ですけども最近は65歳以上と引き下げてこれを1点とします。
そして75歳以上は2点とするんですね。
じゃあ2点…3点ですよ。
黒部さんは3点という事で更にリスクが高いという事ですね。
そういうような意味でも抗凝固薬は処方されているんだと思います。
その薬ですけど脳梗塞の薬だけでいいんですか?もう一つは不整脈そのものを治療する薬を使います。
抗不整脈薬といいますね。
大きく分けると2つの作用がありますね。
一つは…もう一つは頻脈にならないように…例えば初期に起こる発作性心房細動の場合は再発予防を目的としてこの発作を抑える薬を使います。
一方心房細動がずっと長く続いている人の場合はこの頻脈を防ぐという意味で心拍数を減らす薬を使いますね。
黒部さんも抗不整脈薬何か使ってられますか?予防のために今一日2錠のんでるんですけれども。
はい。
発作を抑える薬を使われているんだと思いますね。
それだと思います。
はい。
まずその薬物療法について伺ったんですが2つ目の治療として電気ショック療法。
これはあらゆる方に適応される訳ではありません。
例えば1週間以上続いていて薬を使っても止まらないような場合。
特に症状が強い方が多いですね。
あるいは発作性心房細動でもふだん数日で止まっていたのがなかなか止まらない。
症状がきつい胸がきつい苦しいそういう場合には電気ショック療法で正常な拍動に戻します。
それからこの治療あくまでも一時的にこの心房細動の発作を止める訳ですね。
根治とか発作予防という訳ではありません。
従って正常な拍動が戻ったあと抗不整脈薬やあるいはカテーテル治療を行って正常な拍動を維持する必要がありますね。
3番目のカテーテル治療ですねこれについて詳しく教えて下さい。
これは心房細動を根治させるための治療ですね。
特に初期の発作性心房細動の段階であれば恐らく80から90%の方は治ると言っていいんではないかなと思います。
基本的には発作性心房細動はこれは適応となる訳ですけども最近は持続性特に1年以内の持続性心房細動であれば僕たちは積極的に今行っていますね。
このカテーテルアブレーションという治療ですがカテーテルを心臓の中に入れてその異常な電気を発生する部分あるいは電気の経路を内側から高周波電流を流して焼いて治療する。
そして正常な拍動に戻したり維持したりするという治療なんですね。
余分な部分まで…焼くってそういう事ないんですか?2012年からカテーテル先端の接触圧コンタクトホースといいます。
この接触する圧ですねこれを測定できるようになったんですね。
これによって高い効果そして安全に施行できるようになってきてるんですね。
だけどその85%から90%あとの10%はどうなります?多くの方でこのカテーテルアブレーションで治療できます。
根治できると僕は信じていますけれども残念ながら一部の方は再発します。
そういう場合はもう一度お願いして治療していますね。
2度やる事でまた多くの方が発作は起きなくなると思いますね。
はあはあ…。
はい。
先ほどのコンタクトホースですかもう少し教えて頂けます?これは最新のテクノロジーなんですけれどもコンピューターを使って1人当たり最初から最後まで…この心房細動の原因となる異常な興奮ですけども先ほど言いましたように肺静脈から出やすいんですね。
これは実際に僕が手技を行っているところですね。
この肺静脈です。
ここから異常な興奮が出ます。
そこでこういうようにカテーテル…これコンピューターの中でこのカテーテルを動かしてこうして連続的に焼いていくんですね。
赤い部分が焼いた所ですね。
これがカテーテルです。
こういうようにコンピューターの中でカテーテルを動かす訳ですね。
肺静脈を囲むようにこういうように焼いてしまうという事になる訳ですね。
これ所要時間というのはどのくらいの時間なんでしょうね。
以前は随分時間がかかって4時間以上かかる事もありましたが最近は最新の技術を使いますと2時間あるいはそれ以内で治療の全部が終わってしまいますね。
こういうやり方ってどこの専門医院ではあるんでしょうか。
その設備を整ってるとか…。
現在我が国ではほとんどの施設でこういうコンピューター化された治療システムを導入しているというように思いますね。
こういうように治療法がだんだん進んできますと患者さんの負担も随分楽になるんではないかなと思いますね。
私も勧められてるんですよ。
もう一つ踏み切れないのは心臓に何かが入るというこれが何かね怖くてねなかなか踏み切れないんですけれども。
今は先ほど言いましたように随分と治療も安全性が高くなってます。
もちろん治療効果も高くなっています。
そういうような意味では前向きに考えられてもよろしいんではないかなと思いますね。
あ〜…。
更に新しい治療も実は始まっていますね。
実は数か月前から新しいカテーテル治療が使えるようになりました。
それは冷凍凝固アブレーションといいます。
ご覧のようにカテーテルの先端に実は風船がついているんですね。
バルーンです。
このバルーンを左心房に入れてそして膨らませてそして肺静脈の入り口の所で膨らまして押し当てるんですね。
そのあと亜酸化窒素ガスをここに流し込みます。
そうすると冷却されてこの当たっている心房がマイナス50度ぐらいまで冷えます。
すなわち冷凍凝固する訳ですね。
これによってこの肺静脈で起きた異常な電気信号が左心房に伝わらなくなって心房細動が起きなくなるという訳ですね。
従来の治療よりも手技時間が短く済むというのが特徴ですね。
ただまだまだ始まったばかりですのでまだその長期成績は今後の検討を要するという事だと思います。
しかしながらこういうような心房細動のカテーテル治療これはどちらも最先端の技術を駆使して行われていますね。
カテーテルの治療ですけれども年齢に関係なくそれはやれるという事なんでしょうか。
抽象的な言い方ですけど元気がある方はたとえ80歳以上であっても最近はこのカテーテルアブレーション治療行っていますね。
ただ注意して頂きたい事はこのカテーテルアブレーションが勧められるのは基本的には発作性心房細動初期の心房細動であるという事。
そのために症状がある方。
薬を使っても心房細動の発作の再発が抑えられない方。
そして基本に重い心臓病を持っていない方が適応になるかと思います。
ただ技術の進歩によりまして適応は広がっていくんではないかなと思います。
という事で4日間おつきあい頂いてご自分の中のお気持ちも少しずつこう変化があったようですか?よくその心房細動のメカニズムが理解できてよかったなと。
だから今後その食生活日常生活でもやっぱり気を付けていこうみたいなね予防もできるんじゃないかという気持ちにもなりましてね本当に僕のための番組みたいな感じで申し訳ございませんけど勉強になりました。
どなたにでも実はこの不整脈は起こりうるんですね。
不整脈によっては心不全になったりあるいは脳梗塞を起こしたりあるいは突然死の原因になる場合もある訳ですね。
そういうような意味で不整脈は早期発見早期治療が必要です。
そのためにも是非ふだんからご自分の脈を知って頂く。
脈をとる習慣をつけて頂きたいと思いますね。
どうもありがとうございました。
(2人)ありがとうございました。
2016/01/07(木) 20:30〜20:45
NHKEテレ1大阪
きょうの健康 不整脈 最新情報「心房細動を治す」[解][字]
心房細動は早く見つけて適切な治療をすれば心不全や脳梗塞の発症予防だけでなく、根治できる可能性も高い。カテーテル治療はここ数年で目覚ましく進歩。体への負担も軽減。
詳細情報
番組内容
心房細動は、早く見つけて適切な治療をすれば心不全や脳梗塞の発症予防だけでなく、根治できる可能性も高い。優先するのは脳梗塞を防ぐ薬物療法。従来はワルファリンが唯一の薬だったが、現在は数種類使えるようになり選択肢が増えている。抗不整脈薬を使用することもある。根治が見込まれる場合に行うカテーテル治療はここ数年で目覚ましく進歩。体への負担も軽減されている。2015年からは冷凍凝固法も可能になっている。
出演者
【ゲスト】黒部進,【講師】弘前大学大学院教授…奥村謙,【キャスター】桜井洋子
ジャンル :
情報/ワイドショー – 健康・医療
福祉 – 高齢者
趣味/教育 – 生涯教育・資格
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
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