このインフラ展開大臣会合には、本コラムでもしばしば取り上げた、内閣官房参与でもある前田匡史JBIC国際経営企画部長と、経済産業省時代、同省切っての国際エネルギー政策通として知られた望月晴文前事務次官の両氏が「専門的知見を持つメンバー」として参加している。
ハノイでの首脳会談がチャンス
原発商戦でベトナム1号機はロシアに、09年12月のアラブ首長国連邦(UAE)プロジェクトで韓国連合に敗退したのは、プラントメーカー3社(東芝、三菱重工、日立)が原子力関連機器の輸出経験はあるがプラント丸ごとを海外で受注した実績がないためであり、新興国がプラント建設だけでなく運転支援、メンテナンス、燃料供給、さらに資金支援まで含めた「トータルパッケージ型」の提案を求めている、との判断から電力各社、プラントメーカーに加えて政府系金融機関など官民一体の受注セールスと首相をはじめとする関係閣僚のトップセールスの必要を仙谷官房長官に説いたのが望月、前田の両氏なのである。
こうした中、28~30日にベトナム・ハノイで東南アジア諸国連合(ASEAN)+日中韓首脳会談(東アジアサミット)が開催される。
同サミット期間中の菅首相と温家宝首相との日中首脳会談にマスコミの関心が集中しているが、実は菅首相とグエン・タン・ズン首相との日越首脳会談がまさにトップセールスの格好のチャンスであり、現在の閉塞状況にある日本経済打開のために最重要なのだ。
菅首相には、「トランジスタラジオのセールスマン」と言われた故池田勇人元首相のような気概が求められている。