10月22日午後、首相官邸で第3回「パッケージ型インフラ海外展開関係大臣会合」(議長・仙谷由人官房長官。以下「インフラ展開大臣会合」)が開催された。同会合は、9月9日に菅直人首相の肝いりで政府・経済界・労働界・学界からのメンバー12人で構成・発足した「新成長戦略実現会議」(議長・菅首相)の下に設置された分科会のひとつである。
このインフラ展開大臣会合の構成メンバーは議長の仙谷官房長官をはじめ前原誠司外相、野田佳彦財務相、大畠章宏経済産業相、馬淵澄夫国土交通相、玄葉光一郎国家戦略担当相、そして内閣官房に置かれている事務局の局長は古川元久官房副長官(政務担当)、会議の庶務責任者に河相周夫官房副長官補(外務省から出向)が起用された。
第1回会合は9月28日に「総論」について、第2回会合は10月6日に「原子力発電所」についてそれぞれ議論された。
手元にある9月3日付の同会合発足案に「アジアを中心とする旺盛なインフラ需要に対応して、インフラ分野の民間企業の取組を支援し、国家横断的かつ政治主導で機動的な判断を行うため、システム海外展開関係大臣会合を開催する」と書かれている。
一言でいえば、"オールジャパン"でアジアを中心とする海外でインフラ・プロジェクトの受注を目指すということである。
3回目会合のテーマは「ベトナム」であった。同国はすでに、総事業費5兆2000億円を投じて2012年着工予定のハノイ―ホーチミン高速鉄道(約1570キロ)建設、そして2014年に南部のニントアン省の2ヵ所に1兆5000億円かけて東南アジア初の原子炉を合計4基建設することを発表している。
1号機(原発2基)受注については、東芝など日本連合が今年2月にロシアの国営原子力企業ロスアトムに敗退した。
ベトナム高速鉄道建設に新幹線方式採用とベトナム原子力発電所建設2号機受注に向けて"オールジャパン体制"で売り込みを図るべく、22日にインフラ展開大臣会合が開かれたのだ。そしてまさにこの日、ベトナムなど新興国での原発の受注を目指す新会社「国際原子力開発」(資本金2億円)。
社長・武黒一郎前東京電力副社長)が、東京電力、関西電力、東芝、三菱重工、日立など12社の出資を得て発足した。同社は、国際協力銀行(JBIC)など政府系金融機関の資金支援を受けて、原発の建設計画や運営・人材育成などのノウハウを売り込む。