源氏物語は有名だけど、全部読んだ人がどれくらいいるだろうか。
大人になると、老いていく源氏と、その妻たちに共感する。舞台は遠い過去でも、人の琴線は変わらないのかもしれない。
でも、とにかく長すぎる。現代語訳はいろいろあるが、5〜10巻はある。
玉上琢弥の現代語訳は意訳少なめでいい。はじめて古典を読む人には勧めにくい。いきなり10巻買えなんて言えない。
そこで、勧めたいのが『落窪物語』だ。
とりあえず、短い。1冊だ。
落窪物語の魅力は、泥くささだと思う。
姫に会う途中に泥棒に間違えられて、転んで泥だらけになる…とか。
姫を襲おうとしたおじいさんが下痢になる…とか。
源氏物語には、ありえない。
いじめられた姫の代わりに男主人公が継母に復習するシーンは力強く見応えがある。
現代語訳は田辺聖子の作品が秀逸だ。田辺聖子の文体と落窪物語が、ぴったりと合っている。
日本版シンデレラ物語、ぜひ読んでみてもらいたい。
ちなみに、この落窪物語は書き写す際に間違えたのかラストが2つ分かれている。どちらが好みか?いろいろ読み比べてみるのも面白い。
マンガもある。私の好きな山内先生。
私の好きな氷室先生も現代語訳で出している。
でも、落窪物語に限っては、田辺聖子先生の方が雰囲気が合っている。
研究するなら、これも読まなければならない。
落窪物語をもっと知りたくなったら、これがオススメ。
王朝継子物語と力―落窪物語からの視座― (新典社研究叢書212)
- 作者: 畑恵里子
- 出版社/メーカー: 新典社
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- メディア: 単行本
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作者不明の落窪物語。
源氏物語の対極にあるような雄々しさ。
たまには古典文学でも、いかが?