報道特集【4回目の核実験!北の内部で何が?▽忘れられたテロと難民問題】 2016.01.09


北朝鮮の朝鮮中央テレビが8日夜放送した水爆実験の成功を祝うピョンヤンでの集会。
北朝鮮のキム・ギナム朝鮮労働党書記は演説でこう指摘した。
北朝鮮側として初めて、韓国が8日に再開した宣伝放送を批判した。
去年8月、軍事境界線付近では北朝鮮が仕掛けた地雷で韓国兵2人が負傷。
11年ぶりに宣伝放送が再開され北朝鮮軍は放送のスピーカーを目がけ砲撃。
北朝鮮側は、今回の宣伝放送再開後軍事境界線付近の兵力の増強を始めた模様。
キム・ギナム朝鮮労働党書記は我が人民は偉大なキム・ジョンウン時代には水爆実験成功だけでなく、それ以上の特大の出来事が相次いで起こるとの確信にあふれていると強調した。
ピョンヤン市内では、水爆実験を祝う若者らの舞踏会や祝賀の花火打ち上げも行われた。
また朝鮮中央テレビはキム・ジョンウン第一書記がSLBM=潜水艦発射弾道ミサイルの発射実験を視察する映像も公開している。
こちらは今日9日のピョンヤン市内の映像。
街中のスローガンには水爆実験で成功した勢いで今年の総進軍を推し進めようと書かれている。
核実験を機に国民の士気を高めようとする北朝鮮。
宣伝放送をめぐり、再び南北が軍事的に対抗する可能性もあり緊張状態が高まっている。
今年最初の放送です。
北朝鮮とシリアをめぐって現場主義に徹底的にこだわりたいと思います。
取材なくして報道なし。
東京オリンピック・パラリンピックの新たな公式エンブレムの最終候補4作品が決まった。
大会組織委員会は今後、4作品を公開して国民から意見を募り、審査に反映させる方針。
新しいエンブレムには1万4599作品の応募があったが昨日までに19作品に絞られた。
今日は本格審査の最終日で、エンブレム委員21人が投票と議論をした上で最終候補4作品を選んだ。
組織委員会は商標登録の手続きをした上で、最終候補4作品を公表しホームページなどで国民から意見を募って審査に反映させる方針。
新エンブレムは春には決まる予定。
今日午後2時過ぎ、東京・新宿区歌舞伎町のホテルで火災があった。
歌舞伎町では、おとといの夜にも女性が死亡するホテル火災があったばかり。
煙が噴き出す窓を割って消火活動に当たる消防隊員。
今日午後2時10分頃、新宿区歌舞伎町にある4階建てホテルの2階の部屋から火が出た。
東京消防庁のポンプ車など22台が消火活動に当たり、火はおよそ40分後に消し止められたが火元と見られる2階の部屋、20平方メートルが焼けた。
当時、ホテルには客6人がいたが、全員避難してケガはなかった。
警視庁などが出火の原因を詳しく調べている。
歌舞伎町ではおとといの夜、現場からわずか100mほどのホテルで宿泊客の女性が死亡する火災があったばかり。
長野県のホテルで高校生およそ170人分の財布などが盗まれた。
このホテルでは去年8月にも340人分の財布などが盗まれていて、警察が関連を調べている。
昨日午前、山ノ内町のホテルからスキー合宿中の高校生の財布が多数盗まれたと警察に届け出があった。
盗まれたのは神奈川県の私立高校の女子生徒およそ170人分の財布や携帯電話などで、現金の被害は80万円ほどに上ると見られている。
ホテルでは合宿初日の6日昼頃から1階ロビーの鍵のかかる事務所内にまとめて保管していて、おととい夜には異常がなかったことが確認されている。
このホテルでは去年8月にも都内の学習塾の合宿で訪れた中学生およそ340人分の財布などが盗まれていて警察が関連を調べている。
ドイツで戦後70年にわたって出版禁止となっていたアドルフ・ヒトラーの著書「わが闘争」が再出版されることになり、ドイツ国内で賛否が分かれている。
8日、ドイツ・ミュンヘンで行われた「わが闘争」の出版会見にはドイツを初めフランスやアメリカなどからおよそ100人の報道陣が集まった。
1925年に初版が出版された「わが闘争」。
ナチス・ドイツの指導者、アドルフ・ヒトラーの著書で、この本に示された政治的な方針がホロコースト、ユダヤ人らの大量虐殺へとつながった。
ヒトラーは権力の座につく前に、1度、クーデターに失敗しこちらの刑務所に入れられていました。
「わが闘争」は、まさにこの建物の中で書かれました。
「わが闘争」はその後、18カ国語に翻訳され終戦までの20年間に1200万部以上が出版された。
本の中ではユダヤ人を、ドイツ国民の財産をむしばむ寄生虫と呼ぶなど徹底的な反ユダヤ主義が貫かれている。
戦後、バイエルン州に著作権が移るとネオナチなどの極右勢力に悪用されるとの懸念からドイツでは禁書となったが、ヒトラーの死から70年となる去年末で著作権が消滅したのを機にミュンヘンにある研究所が再出版を決めた。
ヒトラーの思想の間違いを明確にするため、批判的な注釈が事細かにつけられている。
これに対し、「わが闘争」は悪そのものだとの見出しで「南ドイツ新聞」が再出版を批判するなど、この本が再び世に広まることに不安を抱くドイツ人も少なくない。
一方、ドイツ紙「ヴェルト」の記者は再出版を評価した上で長年タブーとしてきたヒトラーとその著書にドイツ国民が率直に向き合うときが来たと話す。
戦後70年がたってもヒトラーという亡霊に悩まされるドイツ。
過去とどう向き合うか、試行錯誤の中で新たな一歩が始まる。
滋賀県大津市の近江神宮では近江神宮では新春恒例のかるた取りの日本一を決める大会が行われている。
読み上げの声が響くやいなや素速い手さばきで次々と札がとられていく。
小倉百人一首とゆかりの深い天智天皇がまつられた大津市の近江神宮で行われる新春恒例のこの大会。
およそ200人のファンが見守る中、競技かるたの日本一を決める。
クイーン戦では初防衛を目指す坪田翼さんが全国予選を勝ち抜いた本多恭子さんと対戦。
終盤を圧倒した坪田さんが連覇を果たした。
一方、名人戦は挑戦者の川崎文義さんが3連覇中の岸田諭さんをリードしている。
母親と妹が暮らす住宅に火をつけて殺害した疑いで31歳の長男が逮捕された。
殺人と放火の疑いで逮捕されたのは、大分県中津市の派遣社員、溝部和也容疑者。
溝部容疑者はおととし12月、母親の喜美代さんと妹の亜美さんが住む豊後高田市内の住宅に火をつけ、2人を焼死させた疑いが持たれている。
警察は防犯カメラの解析や聞き込み捜査から溝部容疑者の犯行を割り出した。
調べに対し溝部容疑者は容疑を否認している。
自民党の二階総務会長は衆・参ダブル選挙をめぐり、安倍政権が同時選挙をしたいと思っているのは間違いないとの認識を示した。
また二階氏は、参議院が有利になると思い主張している人もいる、内閣は内閣で憲法問題を含めた問題を国民に理解いただくチャンスだから、両方いっぺんにやったらいいとの声もあると指摘している。
メキシコの刑務所から2度目の脱獄をした麻薬組織の最高幹部、ホアキン・グスマン受刑者を8日、メキシコ海兵隊などが急襲し銃撃戦の末、身柄を拘束した。
グスマン受刑者は去年7月、最高レベルの警備態勢を敷く刑務所からおよそ1.5kmの地下トンネルを使って脱獄し、逃走。
今週水曜日、北朝鮮が4回目の核実験を行いました。
北朝鮮は水爆実験に成功したと発表しましたが、各国から疑問の声が上がっています。
経済制裁や国際的な孤立、自らを追い詰めるような核実験をなぜ行ったのか。
北朝鮮内部で何が起きているのか、取材しました。
切り裂かれる北朝鮮の国旗。
キム・ジョンウン第一書記の人形には火がつけられた。
今朝のソウル、非常に冷え込んでいるんですけれどもにもかかわらず、このソウルのメインストリートでは市民グループや民族団体の北朝鮮に対する抗議のデモや集会が予定されていて、ちょうど今も、あるグループはこうやって集会を行っています。
朝鮮中央テレビで突如放送された特別重大報道。
アナウンサーは、水素爆弾の実験に成功と高らかに宣言した。
北朝鮮が核実験を行うのは、これで4回目。
気象庁は北朝鮮北東部を震源とする地震波を観測。
マグニチュードは5.0と推定されている。
今回はキム・ジョンウン第一書記が実験を承認する写真も公開された。
北朝鮮の核実験についてテレビは大々的に報道しているんですけれども新聞の方はどうなんでしょう。
今朝の朝刊買ってみたいと思います。
「朝鮮日報」には、予測不能なキム・ジョンウン、そしてこっちも有力紙の「中央日報」ですけどこういう見出しが躍っています。
韓国の国会議事堂に来ています。
ここでも連日、北朝鮮の核実験をめぐる質疑が行われていますけれども、不意をつかれたこと、事前に把握できなかったこと、韓国政府、議会は衝撃を受けています。
国会では国防相が追及を受けた。
今回の核実験を、韓国当局が全く事前に把握できなかったということなんですけど。
核実験や核ミサイルに対しては30日前に兆候を予測することができるし、ミサイルについても、1週間前に探知することができると主張してきました。
しかし、実際それが不可能だということを北朝鮮に見せつけられたということではありませんか。
日米韓のすべての情報機関が一緒に考えていかなければならない時期ではないかと思います。
緊張が高まる中、北朝鮮に近い軍事境界線は北朝鮮に近い軍事境界線。
私たちが取材に向かった昨日はちょうどキム・ジョンウン第一書記の誕生日だった。
田んぼ、多分、もう大分凍ってるんでしょうけど田んぼ、あぜ道を10人ぐらいの人が歩いている。
これは何やってるんだろう。
午前9時過ぎから村人の動きが、かなり活発になってますけど、誕生日に合わせた集会のようなものが我々、行われるんじゃないかと思って来てみたんですけれども特にわかりません。
私たちが展望台で取材していたところ、係員に建物から出ていくよう命じられた。
北朝鮮による砲撃などに備えるためだと言う。
北朝鮮を見下ろすこの展望台ですけれども、12時から韓国軍が北朝鮮に対する軍事放送を開始するため入場が制限されます。
昼前にすべての観光客が、この展望台から出ていくことになってます。
北朝鮮への対抗措置として韓国軍は中断していた北朝鮮向けの宣伝放送を昨日から再開した。
軍事境界線のすぐ近くにある村に向かった。
その村は去年8月、北朝鮮から砲撃を受けた。
非武装近いにほど近いヨンチョンという街に来ているんですけどここには有事に備えた避難場所、シェルターがあります。
今は鍵は閉まってますけれども、去年8月に南北関係、非常に緊迫した際には周辺の住民が皆ここに避難したそうです。
去年は5日間、避難所に行きましたどうでした、避難は?その5日間はずっと緊張しっ放しでしたよ。
今回の北朝鮮の核実験については、どういう気分で受け止められましたか?危険としか言いようがない。
どんな行動に出るかわからないね。
この村の近くにも韓国軍の宣伝放送のスピーカーが設置されている。
ここでも耳を澄ませてみると、かすかに歌が聞こえてきた。
アメリカ、ロシア、中国、イギリス、フランスの5カ国が保有する水素爆弾。
その威力は原子爆弾の数十倍から数千倍に上るとされる。
北朝鮮は発表どおり、水爆の開発に成功したのか。
懐疑的な見方が広がっている。
その理由の1つが、爆発の規模。
今回、観測された地震波のデータは北朝鮮が過去に3回行った原爆実験のデータと酷似している。
爆発規模は同じ水準だと考えられると言う。
見ていただければわかるとおり、ほぼ一緒です。
水爆と考えると、あまりにレベルが小さ過ぎると。
日本エネルギー経済研究所の黒木常務理事。
かつて北朝鮮の核開発をやめさせるために設立された国際機関KEDOで原子力安全部長を務めた人物。
黒木氏は北朝鮮には水爆を製造する能力もなければ、保有するメリットもないと指摘する。
アメリカに関心を持ってもらうのが彼らの最大の狙いなので、ずっとこれはキム・ジョンイルのときからそうなんですけど。
では、北朝鮮が水爆実験に成功したと発表した意図は何なのか。
幹部の考え方というのは、やっぱり世界の注目を引きたいと。
自分たちは非常に危ない存在だっていうことを、もう一回世界にアピールしたい。
3年間やってないんで、もうそろそろ印象が薄れてるんじゃないかということでやったんだと思います。
北朝鮮の水爆実験成功の発表を受けて、日本海上空などの大気中のちりを分析するため、防衛省は自衛隊の航空機を派遣、調査をしている。
しかし、今のところ核実験で生じる放射性物質は検出されていない。
北朝鮮の核開発はどこまで進んでいるのか。
韓国の防衛駐在官を務め、朝鮮半島の安全保障に詳しい自衛隊の廣瀬清一元陸将はこう指摘する。
あとは問題は、小型化という話ですよね。
北朝鮮は去年5月に続いて12月にも潜水艦から弾道ミサイルを発射する実験に成功したと発表。
その映像を昨日公開した。
廣瀬氏はこうした潜水艦から発射するミサイル、SLBMの開発に大きな懸念を抱いている。
差し迫った脅威ではなくて、遠い先を考えた場合…今回の北朝鮮による水爆実験成功の発表。
廣瀬氏は冷静な対応が必要だと述べる。
核能力を誇大に宣伝をすることこれが向こうの狙いですので、その宣伝に乗らせるために、誇大な能力の表現をした。
それは水爆という表現を使ったり、そうすることによって、各国の北に対する認識を変えさせようというのが狙いですのでそういうアレには乗らないことが重要だと思いますね。
4回目の核実験を行った北朝鮮。
内部では何が起きているのか。
脱北した知識人でつくる団体、NK知識人連帯を訪ねた。
この団体は北朝鮮の住民から直接情報をとってきた。
核実験後、中朝国境付近の住民と電話がつながったと言う。
当局の宣伝もあって、北朝鮮が世界を動かしていると考えている住民もいると言う。
NK知識人連帯は、水爆実験の成功を信用していないがそう発表することで、キム・ジョンウン第一書記の業績づくりになる狙いがあると指摘する。
さらに…我々は水爆実験を行えるほど大きくなったんだ。
最大の支援国、中国の反対を押し切ってまで北朝鮮が核実験を実施したのはなぜだったのか。
キム・ジョンウン第一書記の肝いりで結成された女性音楽グループ、モランボン楽団が中朝関係改善のシンボルとして北京に降り立ったのは去年12月10日だった。
キム・ジョンウン第一書記の中国訪問に向けた地ならしではないかと注目されたが…関西大学の李英和教授は中朝関係筋から得た情報をこう明かす。
私が聞いたところでは、モランボン楽団が行ってる最中の協議で、北朝鮮側が要求した中長期的な援助に対してそんなには援助できないと。
反発する可能性は織り込んでると思うけれど。
研究、モランボン楽団が13日に予定された公演をすべてキャンセルし、突如帰国。
その2日後に、核実験実施の決断は下されたのだと言う。
過去3回の核実験で欠くことがなかった事前通告は今回なかった。
ちょうどモランボン楽団のドタキャンの2日後になりますよね。
わざわざそんな日程を公表する必要はないんですけど、あえて公表したというのは、中国側に対するメッセージ。
そういう発表の仕方も異例ですよね。
さらにその2週間後、キム・ジョンウン体制の要人の1人であるキム・ヤンゴン統一戦線部長が交通事故で死亡したと発表され翌日には、弔問するキム・ジョンウン氏の姿も報じられた。
ですからこの間の首脳会談の準備等々、中朝改善、裏で仕切ってたのはキム・ヤンゴン氏ですよね。
要職を歴任してきたキム・ヤンゴン氏の突然の死に疑問を呈する専門家は多い。
好転するかに見えた支援国・中国との関係は核実験強行でさらに冷え込みそう。
一方、北朝鮮の住民たちの本音はどうなのか。
北朝鮮内部の取材を続けるアジアプレスの石丸次郎氏が現地との連絡を試みた。
メールの相手は核実験が行われた現場からおよそ100kmの場所に住む一般労働者の男性。
この4年間、キム・ジョンウン時代になって丸4年がたちましたけどこの4年間に経済がジリジリジリジリ悪くなったというのが地方都市の住民の大多数の実感なんですよね。
核実験への冷淡な反応からうかがえる体制への不満。
そんな中で北朝鮮は独裁体制を支えるシステムづくりに力を注ぎ、誰も指導者を止められなくなっていると石丸氏は指摘する。
たった1人のリーダー、つまりキム・ジョンウンさんに絶対的な忠誠と絶対的な服従をさせると。
それ以外のリーダーはいてはならない。
ナンバー2もいてはならない、そういう体制です。
そういうシステムをつくろうとしているわけですから当然、いろんな無理が出てきますよね。
今回の北朝鮮の核実験についてですけど実際、韓国で取材してみると空気といいますか、皆さんどう受け止めていらっしゃるんでしょうか?もちろんメディアは大々的に伝えてるんですけど一般の人たちは、またかという感じだと思うんですよね。
軍事境界線の展望台も、実は中高生が社会見学に来たりしてるんですよね。
ただ、韓国の新聞がいみじくも伝えているように、見出しが「予測不能の北朝鮮」から予測不能のキム・ジョンウン、つまり国から個人に向かっている。
これは何を意味するかというと、やっぱりいろいろな政策について第一書記の性格とか感情が色濃く反映してるということの表れだと思うんですけれどもただ北朝鮮経済だけ見ると、低空飛行ながらも安定しているという見方があって、それなのになぜこういうことをやるのかは説明しにくいんですが1つには中国を意識したものだという指摘がありますが、中国の言い方からすると、北朝鮮の最近の言動というのは夜郎自大という中国の言葉、これを連想させますよね。
チキンゲームという英語があるんですけどどっちがより臆病かを試すということなんですけど、臆病者が自分の弱さを隠すために強がって見せるみたいな、独裁者というのは常に強がりをやってきたというような歴史があるわけで、こういう挑発に乗ってしまうと、向こうの思うつぼにはまってしまうというか。
いみじくもVTRの中で、元韓国で防衛駐在官を務めていた廣瀬さんがおっしゃってましたけれども、そういう挑発に乗らないと、冷静に対応することが重要なんだというふうに言ってましたね。
全く同感で、いたずらに、ましてや我々メディアがあおるというのは非常に危険なことでかえって自分たちを危険な状況に陥れることになるんじゃないかと思いました。
世界を震撼させたパリ同時多発テロ事件の後、難民をめぐる世界の動向は大きく変容を遂げたように見えます。
その一方で、シリアやイラクからの難民を生み出す最大の要因となっているイスラム国の動きは今年2016年も目が離せない状況が続いています。
シリアと隣り合う2つの国、レバノンとトルコで難民の今を取材しました。
去年11月、フランス・パリで起きた同時多発テロ。
世界を震撼させる一方で、強い連帯を生んだ。
だがあの事件の前日、中東のパリと呼ばれる街でも凄惨なテロが起きていたことは、あまり知られていない。
中東レバノンの首都ベイルートで起きた連続爆破テロ。
テロ発生の瞬間をとらえた映像を入手した。
午後6時、人通りの多い繁華街。
店の前には子ども2人の姿が見える。
次の瞬間…爆発直後に住民が撮影した映像では、狭い道路のあちこちから炎が上がる。
ケガをしながら助けを呼ぶ人の姿も。
さらに数分後…近くの交差点でも自爆テロが起きた。
銃声も響く。
2回目のテロは最初の爆発で救助に向かった人たちを狙ったものと見られている。
パリと同じく、過激派組織イスラム国による犯行だった。
今週月曜日、私たちは現場を訪れた亡くなった人たちの写真が並ぶ。
身を挺して自爆テロから多くの市民を守った男性。
一際目を引いたのは、夫婦と幼い子どもの写る家族の写真。
合わせて45人が死亡し、240人が負傷した。
にもかかわらず、世界が注目したパリの事件との対比でベイルートの事件は、こう呼ばれている。
忘れられたテロ。
あの家族写真の男の子は生き延びていた。
ハイダール君3歳。
両親と車に乗っているとき、間近で爆発が起きた。
両親は即死だった。
ハイダール君も顔などに重傷を負ったが母親の足元に隠れていて助かった。
ハイダールがママを見たら、顔が半分焼けただれ、パパは目から血を流していたそうです。
家族で乗っていた車は、めちゃくちゃに壊れた状態で見つかった。
ハイダール君は退院後、パパもママもいないと話し、車に乗るのを怖がっていると言う。
ハイダール君の世話をする親戚のライラさんはパリもベイルートも同じテロの被害者のはずだと訴える。
イスラム国は宗教や人種にかかわらず、テロを起こし、罪のない人を殺しています。
でもパリの犠牲者は励まされていますが、私たちには何もありません。
相次ぐテロは人々の命を奪うだけではない。
パリの同時多発テロ事件の影響でシリアからヨーロッパに流れ込んでいた難民の動きに大きな変化が生まれています。
多くのヨーロッパ諸国が難民の受け入れの門戸を閉ざしたために行き場を失った難民たちがシリアと国境を接する、ここレバノンやトルコにとどまるざるを得なくなっているのです。
国連によると、シリア難民が最も多く流入しているのはトルコ。
その次がレバノン。
レバノンに逃れてきた難民の中でも最も過酷な歴史を背負った人たちを取材した。
一口にシリア難民と言いましても様々な階層や出身民族の違いがあります。
このうち歴史的に見ても差別的な待遇を受け続けてきた結果最も貧しい難民と言われているのがパレスチナ系難民です。
パレスチナ系シリア難民が暮らす地区は細い路地が迷路のように入り組んでいる。
そこをバイクが走り抜ける。
レバノンは今、人口の4人に1人が難民と言われている。
パレスチナ系シリア難民の1人を訪ねた。
15歳のムハマドさんは朝から晩まで、このタバコ店で働いている。
医師を志していたがあきらめたと言う。
難民になってから、家族の面倒を見るためあちこちで働きました。
またみんなで一緒に学校行けたり…ああ、停電になっちゃった、しょっちゅうだ。
タバコ店で働くムハマドさんの両親はもともとパレスチナ難民としてシリアで生まれ育った難民二世。
3年前に、そのシリアからも追われいわゆる再難民となった。
今はムハマドさんと両親ら5人で暮らす。
内戦で親族の絆は切れ、命を落とした人もたくさんいます。
お友達いますか?たくさん。
はい、います。
パレスチナ系シリア人もパレスチナ系レバノン人もいますよ。
何をするのが一番楽しいですか?学校です。
シリアでは幼稚園にも小学校にも行けませんでした。
レバノンに来て、小学2年生の途中から入り、今、3年生ですが。
父、アムシャドさんはシリアで不動産業を営んでいたが、レバノンでは仕事がない。
生活はタバコ店で働くムハマドさんの収入に頼っている。
金がなく家賃が払えず、息子には学校をやめてもらいました。
シリアから逃れたことをきっかけに離ればなれになった家族もいる。
去年4月、2人の娘とともにレバノンに逃れてきたアーラーさん。
夫のアイマンさんはその少し前、単身シリアを離れ、ノルウェーへと渡った。
夫がいたときに比べて状況はひどくなっています。
仕事はないし、そもそも小さい娘がいるので、働けません。
夫とはスマートフォンの通信アプリで日々連絡を取り合っている。
通話料のかからないビデオ通話もできる。
これがご主人ですね。
かっこいいね。
今、そちらの生活はどうですか?ノルウェーの。
通信状態が悪く、長い通話は難しいビックリだな、そうか。
再びつながった。
奥さんとか家族に会いたいでしょ?顔を見てのやりとりに笑顔ものぞくが、家族が再会できるメドは立っていない。
さらに過酷な生活を強いられている難民キャンプがあった。
雪が積もった山を越え私たちが訪れたのはシリアとの国境近くにある難民キャンプ。
シリアのアレッポから逃れてきた人が多く、およそ3000人が暮らしている。
ザハレというところに近いシリア人の難民キャンプに来てますけれども、今日、天気が悪いんだけど、これは荒涼とした雰囲気が漂っていますけれども。
ここは国連からの支援を受けているキャンプだが、ベイルートより格段に気温が低く生活環境は厳しさを増していた。
寒そうだな。
まず目に入ってきたのが薄着姿の子どもたちだった。
裸足だもん、みんな。
すごく子どもたちがいるんだけど、みんな裸足なんですね。
今すごく寒いんだけど…冷たい雨が降る中、靴も履かずに裸足で外に出てきていた。
15歳というと学校は?この女の子は現在15歳。
小学4年生までシリアにある学校に通っていたが今は生活費を稼ぐために畑仕事の手伝いをしていると言う。
アレッポで学校に行ってたんでしょ、4年生まで。
はい、向こうには学校がありますから。
勉強を続けたかったです。
学校の先生。
テントの中を案内してもらった。
そこにはストーブが1つ設置されていたが、年によっては、灯油の配給がなかったと言う。
こちらの男性は2〜3日前に降った大雨で水浸しになったという住まいを案内してくれた。
テントの中に水が入っちゃってて、床が泥だらけになっちゃってますね。
これじゃ、もう住むとかそういう段階じゃないね、これね。
この辺りは時期によって雪が積もることもある。
雪の重みでテントが押し潰されるのではないかという不安の声も聞かれた。
取材をしていると、これからベイルートまで働きに行くという男性たちに出会った。
雪の影響で交通機関が止まった日には7時間かけて、歩いて帰ってきたこともあったと言う。
ヨーロッパやカナダに行っていい生活をしている人の話を聞いています。
僕たちも行きたいんだけど、行き場すらない難民もいる中、その今後に、さらに暗い影を落とす出来事が今週起きた。
私たちが中東の地で難民取材を続けている最中、イランとサウジアラビアの国交断絶という大きなニュースが飛び込んできました。
ここレバノンでもご覧のように新聞に大きな見出しになって報じられていますけれども、こうした中東世界内部の亀裂によって今月予定されておりますシリア内戦解決に向けた和平協議の行方について暗雲が立ち込めているという声が早くも上がっています。
レバノンの首都ベイルートの売店には修復不能・サウジとイランの冷戦という新聞の大きな見出しが並ぶ。
サウジとイランの国交断絶はサウジが行ったイスラム教シーア派指導者の死刑に端を発する。
イランからイラク、シリア、レバノンにかけては、シーア派の住民が多く、シーア派三日月地帯と呼ばれる。
イランの影響力が強い。
そのイランとイスラム教スンニ派の盟主であるサウジはともにシリア内戦の和平協議に参加する予定だった。
和平協議が宙に浮けば、シリア内戦の先行きは、さらに見えなくなる。
内戦が長引けば、これからも難民は増え続ける。
シリアの北側に隣接するトルコ。
ヨーロッパへの玄関口ともいえる西部の街イズミルにはシリア難民が集まるカフェがあった。
小さな女の子を連れた家族もいる。
昨日、シリアから着いたばかりだという4人組の男性に話を聞いた。
そう考えています。
いつかわからないけど、天気次第かな。
街の衣料品店では冬物の服と並びライフジャケットや浮き輪が売られている。
中には、子ども向けの人気キャラクターが入ったものも。
難民たちは今も毎日のように小さなボートでトルコからギリシャへと向かっている。
海の向こうにギリシャのレスボス島が見える街、アイワルクでは悲劇が起きていた。
私の後ろに先ほど引き揚げられた遺体が無造作に置かれています。
1人は女性、1人は体の大きさから子どもの遺体と見られます。
難民を乗せたボートが沈没し、30人以上の遺体が流れ着いた。
男性の遺体は現場で棺に納められた。
地元市長も現場に駆けつけた。
私たちが最初に収容したのはイラク人とアルジェリア人でした。
もちろんシリア人もいます。
また新たな遺体が見つかったということでこれから現場に向かいます。
治安当局はともに向かった先に、その遺体はあった。
毛布の下からのぞくのは、まだ髪も生えそろっていない小さな頭。
まだ小さな子どもの遺体です。
まだ小さな子どもの遺体が海岸に打ち上げられていました。
1歳か2歳ぐらいだろうか。
まだおむつも外れていないような小さな男の子だった。
悲劇はいつまで繰り返されるのでしょうか。
難民たちの遺体は共同墓地に葬られる。
墓碑銘はなく、手を合わせに訪れる家族もいない。
多くの難民の子どもたちですけど何とか適切な教育を受けさせてあげたいと思いますけどね。
そして打ち上げられた小さな遺体。
直視するのもつらい光景ではあったんですけど過酷過ぎますね。
一緒に今回取材に行った、能島記者がトルコの海岸に行ったら幼い子どもがちょうど打ち上げられたところにいてものすごい、こういう大きな報道のされ方をされて、打ち上がった写真ですけど。
去年の夏、幼い子どもがトルコの海岸に打ち上げられて、これでヨーロッパが何とかしなきゃいけないみたいなことがあったんですけど、あれは全然終わってなくて、あのことが今でも続いているんだと、現在進行形なんだという思いを新たにしました。
シリア難民というと、どうしても我々はヨーロッパに大量に押し寄せてくる人々の姿をイメージするんですけれども、実は、シリア国境を渡ったところでとどまってしまう人たちが大勢いるわけです、行く場がないから。
それにしても青年たちが今の人生にもう疲れたというのは本当にショックな言葉だし、あと、さらに忘れちゃいけないのはシリア国内にも国境を出ることさえできないで国内で難民化している人がたくさんいて、そういう人たちの声はほとんど我々には届かないということですね。
日下部さんが取材したパリの事件の後、あの後、フランスというのは空爆に出たでしょ。
ロシアも空爆を行ったということですけど現地でシリアから逃げてきた人にどうして逃げてきたんですかと聞くと、空爆が水も電気もないし荒れ果ててて、そこで国を捨てるしかなかったんだと言ってるんです。
越えてきて、レバノンとかトルコに行くとそこで2級国民扱いというか、非常に差別的な待遇を受けてああいう小さい子どもたちもそこで育っていくでしょう。
そうすると、行き場のないような憎悪というのがだんだん育っていって、そういう人たちが、またある種のテロみたいなところに走ってそこでまた空爆をやるということになると、悪循環というか、つまり空爆が何の解決にもならないんじゃないかという思いを現地で取材していて非常に痛切に感じたんですけれども、あとは国が壊れることの残酷さというか、それをまざまざと見せつけられた。
行き場がない人たちがあれだけいるということに、本当に思いを新たにしました。
この後はスポーツ、上村さんです。
ラグビーのトップリーグは順位決定戦が開幕。
五郎丸選手擁するヤマハは初優勝を狙う。
2016年五郎丸最初の試合は7点を追いかける展開に。
それでも前半終了間際、ゴール前のスクラムから押し込み、2点差に詰め寄る。
トライ後のキックはもちろん五郎丸。
これをしっかり決めて、前半を同点で折り返す。
ヤマハは後半開始早々、ナンバーエイト・堀江のトライで勝ち越しに成功する。
勢いづくヤマハ。
五郎丸は自陣から果敢にドロップゴールを狙う。
ここは惜しくもノーゴール。
その後も試合を優位に進めたヤマハが快勝。
準決勝進出を決めた。
メジャーリーグ、ロサンゼルス・ドジャースと8年契約を結んだ前田健太が入団会見から一夜明け、羽田空港に帰国。
安堵の表情を見せた。
スキージャンプ、雪印メグミルク杯にレジェンド・葛西紀明が出場。
昨日ヨーロッパから帰国したばかりというハードスケジュールの中、1回目で97.5mを跳び、2位につける。
そして迎えた2回目。
最長不倒となる99m。
衰え知らずの43歳が今シーズン初優勝を果たした。
全日本総合バスケットボール選手権準決勝。
3連覇を狙うJX−エネオスの注目はアジアナンバーワンプレーヤー、渡嘉敷来夢。
しかし序盤、相手の厳しいマークになかなかシュートを打つことができない。
変わって主役に躍り出たのは、25歳、間宮祐佳。
フリースローを16本中15本決め両チーム最多の27得点を奪う。
するとマークが甘くなった渡嘉敷も積極的にゴールを狙い、JX−エネオスが79−52で勝利、決勝進出を決めた。
続いては高校サッカー準決勝。
前回王者・石川の星稜とインターハイを制した東福岡。
主導権を握ったのは赤いユニフォームの東福岡だった。
前半終了間際、左サイドからの折り返しに藤川。
インターハイ得点王がケガから復帰後、初先発で貴重な先制点を挙げる。
さらに後半12分、同じく2年生の鍬先。
前回王者に快勝した東福岡、17年ぶりの決勝進出を決めた。
準決勝もう1試合、青森山田は今大会話題となっている原山のロングスローからヘディングでつなぎ最後は鳴海。
先制点をたたき出す。
しかし東京の國學院久我山に2点を奪われ逆転負け。
決勝進出はならなかった。
明日、決勝を迎える高校女子サッカー。
神村学園は今大会7点を挙げたセットプレーを武器に、決戦に挑む一方、藤枝順心は6ゴールの活躍を見せる児野を中心に2度目の栄冠を目指す。
未来のなでしこたちが日本一をかけ明日、激突。
「報道特集」今年最初の放送でしたが、2016年はお2人とも海外取材で幕を開けましたね。
昨日は一日南北非武装地帯沿いを取材したんですが、皮肉なことにあそこは本当に自然が残っていて、何とか北と南を自由に行き来する鳥を、歌のセリフじゃないですけど見ながらいろんなことを考えました。
僕は難民の人たちの行方をずーっと見ながら、あえて言うと彼らは失うものはないところまで追い詰められてるでしょ。
逆にある種のたくましさとかエネルギー、人間ってこういうものなん2016/01/09(土) 17:30〜18:50
MBS毎日放送
報道特集[字]【4回目の核実験!北の内部で何が?▽忘れられたテロと難民問題】

▼北朝鮮内部で何が…4回目核実験本当に水爆?
▼爆発の瞬間!忘れられたテロとシリア難民問題

詳細情報
番組内容
【4回目の核実験!北の内部で何が?】
4回目の核実験を行った北朝鮮。「水爆実験に成功した」と発表したが、疑問の声も。国際的な孤立を招く核実験をなぜ行ったのか?北朝鮮内部で何が起きているのか?

【忘れられたテロと難民問題】
去年11月に起きたパリ同時多発テロの前日、中東レバノンでも連続爆破テロが起きていた。この「忘れられたテロ」の被害者やシリア難民らの過酷な現状を取材した。
出演者
【キャスター】
金平茂紀(TBSテレビ報道局)
日下部正樹(TBSテレビ報道局)
小林悠(TBSテレビアナウンサー)
上村彩子(TBSテレビアナウンサー)
関連URL
【番組HP】
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おことわり
番組の内容と放送時間は、変更になる場合があります。

ジャンル :
ニュース/報道 – 特集・ドキュメント
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
福祉 – 文字(字幕)

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音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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