(テーマ音楽)
(地吹雪の音)
大地を揺るがすような地吹雪
(地吹雪の音)
横殴りの雪の中駆け抜ける鉄道があります
本州最北の私鉄津軽鉄道。
通称津鉄です
津軽半島を南北に走る全長およそ20kmの鉄路です
寒いねえこれ。
あっこれだよねストーブ列車。
「ストーブ列車」って。
やっぱり煙突がついてるよね。
石炭の匂いがする。
暖をとりながら雪景色が楽しめるストーブ列車。
84年前の開業以来続くこの鉄道の名物です
う〜寒い。
ああ〜。
暖かい中は。
こんにちは。
いや〜暖かくていいですね。
外は寒くて。
どちらからいらっしゃったんですか?愛知県です。
愛知県から。
随分遠くから。
旅行ですか?そうですねはい。
近くまで来たのでっていう事で乗ってみようという事でちょっと来たんですけど。
どちらからいらっしゃったんですか?東京から来たんですよ。
東京から。
これ目的で?そうですね。
わざわざ。
はい。
へえ〜。
写真で見た事あって一度来たいなと思って。
列車の中にストーブがあるなんて見ないから楽しみですね。
列車の名前の由来はこのだるまストーブ。
懐かしい風情が人気です
一日3往復12月から3月まで運転されます
右斜め後ろの方に見えているお山がですねこれ岩木山。
「お岩木山なんていうふうにも呼ばれているお山ですね」。
地元出身の乗務員が沿線の風景を案内します
車内ではこんな楽しみも
いつもこうやって焼いてくれるんですか?そうですね。
慣れてますね。
熱くない?ちょっとコツがありまして足で押さえて。
そのまま置いとくとねクルンとなってしまうんですよね。
列車も揺れてるのでね落ちちゃわないようにちょっとこう押さえながら。
あぶったスルメのいい香りが広がります
ストーブの火を調整するのは車掌。
石炭を入れる量やタイミングを見極めます
こうやって石炭入れてると近くにいるお客様から「ああ暖かい。
すごく暖かいです」というひと言。
これがすごくやっててよかったなっていう。
うれしい瞬間ですね。
うれしい瞬間です。
はい。
外の寒さをよそにストーブ列車の中は温かな時間が流れていました
この季節鉄道員の仕事は雪との戦いです
午前4時半
運転士が出発前の点検をしていました
漏れなし。
コンパーターよし。
ブレーキに異常はないか車輪のまわりが凍結していないか20以上の項目を確認していきます
松谷正吾さん。
運転士になって12年目です
冬もやっぱりそれだけブレーキもそれだけやっぱ丁寧にかけないといけないんで。
その辺やっぱ自分一番重要視してやってますね。
(走行音)
吹雪の中の運転。
10m先が見えない事もしばしばです
松谷さんが頼りにするのは僅かに見える景色です
(列車の走行音)
線路沿いの木々や民家電柱などを手がかりにブレーキをかけます
(警笛)
(走行音)
(松谷)やっぱり長年の経験で少しずつポイントをつかみながら1発目のブレーキはあそこでとかそういう感じでこういつもほんと勉強みたいなもんですよね。
ありがとうございました〜。
はいいってらっしゃ〜い。
はいどうも。
はいいってらっしゃい。
はいいってらっしゃ〜い。
はいどうも。
はいいってらっしゃ〜い。
はいどうも〜。
はいどうぞ。
はい…。
どうもありがとうございました。
はいいってらっしゃ〜い。
終点では忘れ物の確認。
常連客が座る席はほとんど頭に入っていると言います
お客さんの顔は大体知ってるんでそれで大体こう「あの人お忘れかな?」とかちょっと一瞬ですけどね分かりますよ。
750円。
は〜いどうも。
今日天気いくってにゃ。
すごくよくて。
ゆっくりどうぞ。
(ドアの開閉音)
吹雪の中でも気持ちよく安心して乗ってもらう。
鉄道員の心意気です
安全運転を第一にしてやっぱりお客さんの命を預かってるわけですからそこへ一番気を遣いながら運転してますね。
「あっ今日も乗ってるね」とかちょっとした会話ですけどね。
「おばちゃん元気?」とかたまにそういうのも。
たまにですけどね話はしながら。
厳しい言葉もありますしやっぱり優しい言葉もありますしそういうのも大事にしながら毎日今汽車走らせる感じですね。
(走行音)
津軽五所川原駅の待合室に高校生がやって来ました
沿線にある五所川原農林高校の生徒たち。
ストーブ列車に自分たちが企画開発した商品を持ち込みます
用意したのはドーナツ。
学校で作ったみその味が売り物です
4年前から始まった高校生たちの車内販売は冬の間毎週土曜日に行われています
皆さんこんにちは。
(乗客たち)こんにちは。
五所川原農林高校です。
今回みそドーナツを販売する事になりました。
3年生の金川倫子さん。
通学に使ってきたのもこの津軽鉄道です
(乗客)1つでいい。
2つ?ありがとうございま〜す。
(乗客)ビール売ってないの?ビール売ってないです。
はいありがとうございます。
3個。
480円なります。
いただきま〜す。
(金川)召し上がれ。
(笑い声)みそが入ってるんですか?
(金川)みそドーナツになってます。
今日どちらから?群馬県です。
何を見に?何を見に来たん…?あのね秘湯巡りって。
引っ込み思案だった金川さん。
この活動を通して人と接する楽しさを知ったと言います。
この春三重県の大学に進学します
友達との友情を確かめたり進路の悩みを語り合ったりしたのも通学中の列車の中でした
(五所川原農林高校校歌)
歌いだしたのは五所川原農林高校の校歌です
(五所川原農林高校校歌)
(拍手)ありがとうございました。
(金川)もう津鉄に乗ると落ち着く環境ですごく温かかったのでそこに乗ると自然と心が温かくなるって言えばいいんですかね。
一つ一つが掛けがえのないものでずっと忘れないで心に残しておきたいなって思いますね。
(金川)ありがとうございま〜す。
(乗客たち)へばな。
ありがとうございました。
旅立ちの日まで1か月余りです
へばな。
津軽鉄道はこの4年間吹雪のために止まった事はありません
薬とかほら。
大抵高血圧の薬もらいにこの汽車利用してる人多いよ。
冬だとの。
年いった人には欠かせないんじゃないかなと思うけどの〜。
吹雪の時とか今日だば走ってないべなと思っていると聞こえてくるんですね。
あ〜今日も走ってらやっぱりね〜って。
津鉄は強いわとか思って。
厳しい冬場の運行を支え続ける男たちがいます
皆さんおはようございます。
(一同)おはようございます。
今朝は積雪は少なかったですけど前の日の地吹雪があったので…。
線路管理所のメンバーです
2人一組3チームで沿線20kmの除雪を一手に引き受けます
一番の若手…
3年前からこの仕事をしています
ホームをはじめ列車の運行に欠かせない踏切切り替えのポイントを除雪します
(雪かきの音)
(警笛)
除雪車で取り除く事ができるのは線路上の雪だけ
細かい雪かきは人の手が頼りです
(中川)やっぱ除雪大変っすよ。
除雪は大変っすね。
やってるのに猛吹雪だばやって「はい次の現場に行くよ」という時にはもう元通りに戻るっていうのも結構あって。
除雪してもやっぱ間に合わないというのが嫌っていうか申し訳ないなっていう気持ちさなりますね。
つかの間の青空メンバー全員が集まりました。
およそ80mにわたりすだれをつけていきます
ホームや線路を横殴りの吹雪から守るすだれです
昔から変わらぬ津軽鉄道冬景色です
私がこういろんな人に聞くと「津軽鉄道津鉄は止まんないんだよな〜」ねえ。
やっぱそれ最高の褒め言葉じゃないですか。
保線の人たちにしてみれば。
「止まんない」って。
汽車を止めさせない。
お客さんたちもきっと安心して利用してくれるというのはすげえいい。
こここうすればお客さんいいべなとか段差削ればお客さん歩きやすいなとかそういう感じで常に誰かば思いながらできる仕事っていうのがすげえいいと思います。
はい。
(雪かきの音)
朝の津軽五所川原駅
出発を待つ運転士の松谷正吾さんです
いつもの時間いつもの席にいつもの客
前よし発車オーライ。
(警笛)
(走行音)
(テーマ音楽)
いてつく大地今日も列車が走ります
(テーマ音楽)2016/01/09(土) 05:15〜05:40
NHK総合1・神戸
小さな旅「いてつく鉄路で〜青森県 津軽鉄道〜」[字][再]
どんなに雪が降っても運休しないと言われる列車がある。本州最北の私鉄、津軽鉄道。豪雪のなかでも運休なく走らせることが、鉄道マンたちの誇り。鉄道を愛する人たちの物語
詳細情報
番組内容
本州最北の私鉄、津軽鉄道。冬、大雪の中を走るのは、ストーブ列車。「津鉄(つてつ)」の愛称で親しまれ、昭和5年の開通以来、沿線に暮らす学生やお年寄りを運び続けてきました。厳しい地吹雪のなか、運休なく走らせることが、鉄道マンたちの誇り。冬の大仕事は、雪かき。鉄道マンたちは、大汗をかきながら、およそ20kmの線路の雪を取り除いていきます。厳冬の津軽平野を駆け抜ける列車を守る人たちを訪ねる旅です。
出演者
【語り】国井雅比古,山田敦子
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 歴史・紀行
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
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