タヌキ
うわあ、「ネオサイタマ炎上1」で読んだ「レイジ・アゲンスト・トーフ」は、ソウカイヤのニンジャに扇動された労働者がトーフ工場を襲撃する暴動の光景を通して資本主義社会の人間疎外を描いたエピソードだったなあ。
スシ・バーでマグロとタマゴを迷う冒頭シーンも印象的だったし、フドウカナシバリ・ジツを破るニンジャスレイヤーも凄かった。ところで、このエピソードタイトルは以前に見た気がする! 記憶の混濁、ないしデジャヴュかな?
お姉さん
それは気のせいじゃないわ。あなたが思い出しかけているのは、きっと、「レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン」というバンドよ!
ニンジャスレイヤーのエピソードタイトルには、ロック・ミュージックが引用元になっているタイトルがしばしばあると言われているわ。過去のボンド&モーゼズのインタビュー内容を参考に、それらの事例を4つぐらいピックアップして、見に行ってみましょう!
ロックの世界にLet's Go
◆エピソードを見ていこう◆
- 作者: ブラッドレー・ボンド,フィリップ・N・モーゼズ,わらいなく,本兌有,杉ライカ
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/エンターブレイン
- 発売日: 2012/09/29
- メディア: 単行本
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【キックアウト・ザ・ニンジャ・マザーファッカー】(ネオサイタマ炎上1)
ゲームセンター通いのギンイチ少年は魅力的なパンク少女に連れられてライブハウスへ行く。パンクバンド「アベ一休」による楽曲「スシを食べ過ぎるな」の演奏に衝撃を受け感動するギンイチ。折しも、全身からタタミ針を生やした異形のニンジャ、アゴニィがライブハウスに襲撃をかけた。
→ MC5
このタイトルは、MC5の代表曲「キック・アウト・ザ・ジャムズ」の冒頭のシャウト、「キックアウトザジャムズ! マザーファッカー!」に由来していると思われます。
MC5は1960年後半~70年台初頭に活躍した、デトロイトのガレージ・パンク・バンドです。速く、うるさく、激しく攻撃的な音楽性と、反体制のアティテュードが強烈で、ロック史における伝説的な存在となっています。
【ソイ・ディヴィジョン】(未書籍化エピソード)
奴隷労働によって最高級ショーユを作る地下施設ソイ・ディヴィジョンが、違法薬物の生産を開始した。施設を牛耳るアマクダリ・セクトに対し、付近で暮らすバイオニンジャ達の怒りが爆発する。
→ Joy Division
彼らはパンクの時代にマンチェスターで結成されたグループ。パンクといえばまずイメージされるのは激しいサウンドとシャウトですが、彼らはミニマルなビートと内省的な歌詞、バリトン・ボイスで詩を詠むような歌唱スタイルによって、冷たく殺伐とした独自の世界観を表現しました。
ヴォーカルのイアン・カーティスは2ndアルバム「Closer」の録音後に自ら命を断ち、残されたメンバーは Joy Division 同様に重要な、ニューウェイブ音楽の先駆けといえるバンド、New Order を結成しました。
Joy Division - Love Will Tear Us Apart [OFFICIAL MUSIC VIDEO]
【レイジ・アゲンスト・トーフ】(ネオサイタマ炎上1)
工場事故で片腕を戦闘義手に置き換えられ、墨絵師の夢を絶たれたシガキ・サイゼンは、ソウカイヤのニンジャに扇動され、労働者達と共にトーフ工場で暴動を起こす。
→ Rage Against The Machine
1990-2000年に活動。ラップとメタル重低音を融合させたアグレッシヴなロックの先駆けと言ってよいでしょう! 溢れんばかりの闘争心をそのまま音に変換したかのようなサウンドは当時非常に鮮烈であり、極めて政治的なステイトメント表明の数々もあいまって、当時の時代の台風の目となりました。
Rage Against The Machine - Sleep Now in the Fire
- アーティスト: レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン
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【デス・フロム・アバブ・セキバハラ】(ゲイシャ危機一髪!)
ザイバツ・シャドーギルドの幹部イグゾーションはニンジャスレイヤーを砂漠で磔にし、目の前でスシを食べる拷問を行う。私立探偵ガンドーの助けで磔を逃れ、反撃に出たニンジャスレイヤーだが、迎え撃つイグゾーションのジツは凄まじかった。
Death From Above 1979
ベーシストとドラム・ヴォーカルの二人編成という特異なスタイルで、強烈に歪ませた爆音のベースと、前のめりのパンキッシュなリズム、エロティックで退廃的な世界観が独特でした。2001年~2006年に活動。活動期間は短く、アルバムリリースは1枚に留まりましたが、彼らのサウンドは以後のアーティストに大きな影響を与えました。その後10年ほどの休止を経て、近年、活動を再開。2ndアルバムをリリースしました。
Romantic Rights (video) (Album Version) MTV version
- アーティスト: Death From Above 1979
- 出版社/メーカー: Last Gang Records
- 発売日: 2014/02/18
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◆いかがでしたでしょうか◆
ただいま!
ロックすなわちカウンターカルチャー……。ボンド&モーゼズは、カウンターカルチャーから受けた影響についてときどき言及しているわ。エピソードタイトルにおけるこうした引用も、その一環なのかもしれないわね。
「カウンターカルチャーは世代から世代へ遺伝子めいて継承され、リフレインし、より強度を増していく。それが巨大な悪を打ち倒す力になるんだ。つまり、カラテだよ」(ボンド)
「ロックンロール……ニューウェイブ……パンク……ヒップホップ……。カウンターカルチャーが果たす弁証法めいたパワーはニンジャスレイヤーの重大なテーマの一つだ」(モーゼズ)
◆ネオサイタマの苦難を生き抜く力◆
ネオサイタマの混沌としたネオン看板に誘われた先には、様々なプレース、様々なコミュニティ、様々なカルチャーとの遭遇が待ち受けている事でしょう。作品の影響源を辿る事で、あらたな出会いと脳刺激がもたらされるかもしれません。きっとそれは、貴方が油断ならぬネオサイタマの日々を生きるにあたって潜在的な備える力となってくれるのではないでしょうか。
今後も「ニンジャ参考資料」のコーナーでは、ボンド&モーゼズのインタビュー・アーカイヴを手掛かりに、ニンジャアトモスフィアをブーストする作品を探す旅に出てみようと思います!
(Tantou)