児童扶養手当の「不正受給」とは?
何があれば“事実婚”になるのか
そもそも児童扶養手当の「不正受給」については、「それが不正受給ですかい!?」と驚かされる事例が多い。たとえば「シングルマザーが子どもとともにシェアハウスに住みはじめたところ、そのシェアハウスに男性もいたため『実は事実婚、不正受給』とされた」(参考:シノドス記事「シングルマザーが福祉から排除されるとき」(赤石千衣子氏))という2015年の例もある。
児童扶養手当の受給条件は、「ひとり親であること」「収入が基準より低いこと」である。
「実質的な夫といえる存在がいる事実婚状態で、ひとり親家庭といえる状態ではないのに、児童扶養手当を受給している」
は、確かに不正受給だ。では、「事実婚状態にある」を判断するのは、どこの誰なのだろうか?
同居状態にあって、生計も共にしているのであれば、実際に「事実婚」である可能性は高いだろう。しかし、子どもの習い事の男性指導者と楽しそうに立ち話しているところを見て、「あの母子家庭のお母さん、男がいるみたいよ」と噂話をしたがる人も世間には少なくない。その噂話は、回り回って尾ひれをつけられた状態で行政の耳に入るかもしれない。そうなったら、「実は事実婚だった」とされて児童扶養手当を打ち切られたり、過去の受給分の返還を求められたり……というような事態に発展しても、しかたがないのだろうか?
1980年の厚生省(当時)通知「児童扶養手当の事務運営上の留意事項について」は、
「児童扶養手当は(略:支給要件が結婚や事実婚の有無に関わるので)プライバシーの問題に触れざるを得ないところであるが、必要以上にプライバシーの問題に立ち入らないよう事務運営にあたって配慮するとともに、職務上知り得た個人の秘密を漏らすことは、地方公務員法によっても禁止されている」
と前置きした上、事実婚とみなしてよい要件を
「ひんぱんに定期的な訪問があり、かつ、定期的に生計費の補助を受けている場合」
に限定している。「男性と楽しそうに話をしていた」はもちろんのこと、「男性が定期的に来ている」だけ、逆に「男性が定期的に生計費を補助している」だけならば、シングルマザーでなくても当然の話だが「事実婚」にはあたらない。