※1月8日テキストを追加しました!
「自民党は『お試し改憲』としてまず緊急事態条項を入り口にしようというようなことを言っていますが、はっきり言います。これが本丸ですよ。これがあれば何でもできてしまう。本当はこれが、独裁者としては一番手に入れたいものです」
山本太郎参議院議員は2016年1月6日に都内で行ったトークライブで、来年夏の参院選以降に自民党が目指す憲法改正において、その一丁目一番地で通そうと目論む「緊急事態条項の新設」について、強く警鐘を鳴らした。
- 記事目次
- 「政治に未来も希望も見えないのは、企業側を代表する政治家が圧倒的に多いから」
- 緊急事態条項こそが改憲の「本丸」だ!
- 現行憲法下で、自民党が主張する「災害時の国会空白」は生じ得ない
- 民主主義を守るために緊急事態条項をあえて外した日本の政治家たち 山本氏「緊急事態条項でどんないい憲法も台無しに」
- 日時 2016年1月6日(水) 19:00~
- 場所 シネカフェ・ソト(東京都北区)
- 詳細 2016年山本太郎トークライブin十条
- 主催 2016山本太郎トークライブ北・文京実行委員会
「政治に未来も希望も見えないのは、企業側を代表する政治家が圧倒的に多いから」
「政治の話というと面倒臭いとか重たいとかいろいろあると思うが、特別なことを話すわけではない。この国に生きている限りはこの国の政治が決定したことに従わなければいけない。『私と政治は関係ない』というのは通用しない。すべての人は政治が行った決定から逃れられない」
冒頭、こう話し始めた山本氏は、現在の政治が企業側に立って進められていることに、危機感をあらわにした。
「で、その決定を行っている政治は今誰のものか。安保のこと、TPP、労働問題、いろんな問題がある。未来が見えないというか、希望が持てない。それは今、国会や地方議会の中にいる議員たちが、企業側を代表する人たちが圧倒的に多いからだ。なんとかしていかなきゃいけない。もうちょっと行ったらもう戻れないところまで、すでに来てしまっている」
トークライブでは、選挙制度や野党共闘について、また18歳選挙権など、多種多様な参加者からの質問に丁寧に答えながら、日本が抱える貧困や労働問題や弱者切り捨ての税制などに通底する、経済と政治との露骨な結びつきを批判した。
緊急事態条項こそが改憲の「本丸」だ!
そして山本氏は最後に、予定時間をオーバーしながらも「最後にこれだけはやっておきたい」といって「緊急事態条項」について話し始めた。
山本氏は、昨年(2015年)9月30日、自民党の古谷圭司・憲法改正推進本部長代理が「9条改憲の本音を言わず、国民の支持を得やすい緊急事態条項から着手したい」と発言した新聞記事(※)を見せながら、次のように喝破した。
「お試し改憲としてまずこれを入り口にしようというようなことを言っていますが、はっきり言います。これが本丸ですよ。これがあれば何でもできちゃう。本当はこれが、独裁者としては一番手に入れたいものです」
現行憲法下で、自民党が主張する「災害時の国会空白」は生じ得ない
そのうえで、「衆院選が災害と重なった場合、国会に議員の空白が生じるため、特例で任期延長を認める必要がある」という、緊急事態条項の必要性を訴える自民党幹部の発言についても取り上げ、次のように反論した。
「心配いらない。憲法54条2項但し書きには『内閣は、国に緊急の必要がある時は、参議院の緊急集会を求めることができる』とある。たとえその時が参院選だとしても参議院議員の半分は残っている。また、『参議院で決まっても次の国会で10日以内に衆議院の同意が得られなければそれは無効になる』とある。完璧じゃないですか。何があっても大丈夫ですよ」
民主主義を守るために緊急事態条項をあえて外した日本の政治家たち 山本氏「緊急事態条項でどんないい憲法も台無しに」
さらに山本氏は、日本が戦後、大日本帝国憲法を改定し、日本国憲法を制定するために開いていた1946年7月15日の第13回帝国憲法改正案委員会で、当時の憲法担当国務大臣だった金森徳次郎氏が、「民主政治を徹底させて国民の権利を十分擁護するためには、政府の一存で行う措置は極力防止しなければならない」と、緊急事態条項の導入に否定的な答弁をしていたことを紹介。現在の日本国憲法に緊急事態条項がない理由を次ように訴えた。
「当然なんですよ、民主主義を守るため。昔の答弁ではっきり残されている。こんな『何でもできます』という魔法のような権利がもしもあったとしたら、どれだけいいことを書いてある憲法でも全部台無しだ。(権力に対する)何のブレーキにもなってない。だからそういうものは必要ない。もう既によく考えられている。『法律作れる、カネも握れる、皆さんの人権も制限できる、地方自治体にも自分たちのいうことを聞かせられる』もうこれだけで、アガリなんですよ。こういうことを改憲でやっていくということ自体が本当にヤバイ状況にあるから、絶対に止めなきゃいけない」
(取材・文:城石裕幸、記事構成:佐々木隼也)
■岩上安身によるインタビュー記事
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