本人確認かスピードか 交付本格化へ
マイナンバー制度の本格運用に伴い、身分証明書としても使えるマイナンバーカード(個人番号カード)の交付が来週以降、全国の市区町村窓口で本格化する。総務省によると、6日時点のカード申請件数は約320万件。市区町村は本人確認の徹底と交付の迅速化の両立に頭を悩ませている。
東京都の板橋区役所は8日、コンビニエンスストアでの住民票などの交付サービスのテストに使うため、一部の職員にマイナンバーカードを早めに交付した。本人と偽って別人が受け取る「なりすまし」を防ぐため、運転免許証などの提示に加え、「顔認証システム」も使って本人確認を徹底。パスワード入力などもあり、交付手続きに1人当たり20分程度かかるという。
待ち時間短縮のため、同区はカード交付をコールセンターを通じた予約制にし、区内計7カ所に窓口を設ける。それでも交付できるのは1日約300人で、既に申請された約1万2000人に交付するだけでも2カ月程度かかる。星野邦彦・戸籍住民課長は「確実な交付と同時に、スピードアップも頑張りたい」と話した。
ポイントカードと併用検討
一方、高市早苗総務相は8日の記者会見で、マイナンバーカードを民間のポイントカードやクレジットカードとしても使えるようにする検討を始めると表明した。マイナンバーカードに搭載されている番号記録用のICチップの空き領域を活用する方針。利便性向上でマイナンバーカードの普及を促す取り組みだ。高市氏は「カードそのものには情報が残らない」と述べ、政府が利用者の購買履歴を把握することはないと説明した。
【柳原美砂子、青木純】