北朝鮮による4度目の核実験を受け、国連安保理は新たな制裁決議に向けた論議を始める。

 前回3年前の実験後の決議では、再び強行すれば、「さらなる重大な措置をとる」と警告していた。制裁強化は当然だ。

 安保理が結束して早期に新決議を採択し、北朝鮮に暴挙の重大さを明示せねばならない。

 ただ、これまで北朝鮮の核・ミサイル問題では安保理決議を重ねてきたが、警告や制裁が効果的だったとはいえない。

 最大の要因は、包囲網に大きな「穴」があるからだ。北朝鮮が政治・経済の両面で最も頼りとする中国である。

 中朝の間柄は、朝鮮戦争をともに戦った血盟関係とうたわれた。同じ共産圏陣営として米国と対峙(たいじ)した時代もあった。

 だが、いまや中国の立ち位置は違う。米欧と並ぶ国際責任を担うべき大国である。世界の安全を脅かす北朝鮮の暴走をこれ以上、許してはなるまい。

 核・ミサイル問題の連鎖を断つためには、中国が北朝鮮に対し、はっきりと過去にない行動を起こす必要がある。

 中国はこれまで、北朝鮮のふるまいを不快に思いつつも支援は続けてきた。自国の安全保障上、北朝鮮の崩壊につながりかねない事態を警戒するからだ。

 加えて中朝国境近くの東北3省では北朝鮮との経済的な相互依存が深いため、中国も実効的な制裁が容易にできない。

 日本や韓国など周辺地域にとっても北朝鮮が無秩序に崩壊すれば、難民問題など重大な脅威にさらされる危うさがある。

 だとしても結局、中国が北朝鮮の後ろ盾を演じているだけでは、金正恩(キムジョンウン)政権は過ちを繰り返すのみだろう。まず中国が圧力の水位を高めるべきだ。

 一方で北朝鮮問題の根本的な打開には、やはり米国の積極関与が欠かせない。北朝鮮指導部が最も望むのは、米国との平和協定をめざす協議だからだ。

 オバマ政権は、北朝鮮が核放棄へ具体的な行動をとらない限り、本格的な対話には臨まない方針を続けてきた。だが、その政策も功を奏さなかった。

 オバマ政権のうち、北朝鮮に3度も核実験を許したという結果責任は、米国にもあろう。

 米国は、日韓中・ロシアと連携して、金正恩政権下の北朝鮮との新たな向き合い方を探る必要がある。6者協議などの枠組みで対話をしても、それは必ずしも譲歩を意味しない。

 北朝鮮をめぐり、関係国すべてが難しいかじとりを迫られるが、硬軟とりまぜた積極関与に向け知恵を絞るしかあるまい。