社会復帰への意欲があっても、自力ではい上がるのが極めて困難な状況にある、ホームレスの人々。
奥田は、そんな“どん底”にあるホームレスの人々を、単に衣食住を失っただけではなく、家族などの人間関係、「絆(きずな)」をも失った人々だととらえる。
奥田は、そんなふたつの困窮を抱えるホームレスの人々と、まず出会うことから支援を始める。
社会復帰への意欲があっても、自力ではい上がるのが極めて困難な状況にある、ホームレスの人々。
奥田は、そんな“どん底”にあるホームレスの人々を、単に衣食住を失っただけではなく、家族などの人間関係、「絆(きずな)」をも失った人々だととらえる。
奥田は、そんなふたつの困窮を抱えるホームレスの人々と、まず出会うことから支援を始める。
炊き出しはホームレスの人々との「出会い」の場
自立に向けて手厚い支援を行なう奥田たち。その根幹には、絆(きずな)を失った人々の「ホーム」になるという揺るぎない覚悟がある。
奥田は「無理するな、楽するな」を信条に、相手をときに温かく包み込み、ときに厳しくしかる。そして、自立した後も関わり続ける。
長い路上生活で心に傷をおっている人も少なくないが、家族のような関わりの中で、次第に前向きな気持ちを取り戻していくことができると、奥田は考える。
心の傷と向き合う
多くのホームレスの人々と接し、自立へと導く奥田。しかし中には、一筋縄ではいかない人もいる。
1月下旬、奥田はひとりの元ホームレスの男性を自宅へ迎え入れた。男性は去年いったんは自立をめざしたが、酒に酔ってたびたび問題を起こすなど、支援を裏切り続けてきたという。
奥田は、そんな男性にひとつの提案をもちかける。まとまった金を渡し、ひとりで外出してもらうこと。じつは去年、男性はまとまった金を手に姿を消し、3日後に無一文で泥酔して発見されたことがあった。
今回、無事に帰ってくることができれば、自立への大きな一歩となる。
ひたすら待ち続ける奥田の胸の内には、どんな相手にでも関わり続けることで、いつか何かが変わるという、ひとつの希望がある。
一緒に暮らしながら「その時」を待つ
路上で寝泊まりはしていないが、ネットカフェや24時間営業の飲食店などで夜を明かす人々を、奥田は「見えないホームレス」ととらえる。急増していると見られる彼らに向けて、連絡先などを記し「あなたはひとりではない」というメッセージを込めた手紙を作っている。この手紙をテレホンカードとともに手渡し、今後の支援へとつなげる。
びっしりと言葉がつづられた手紙
夜、街の中を回っているときに、ホームレスの人々から聞いたことを記録するノート。生年月日から本籍地、今に至るいきさつなど、聞いたことをすべて書きとめる。ホームレスの人々は路上で亡くなると、記録がなく生きているあかしも無くなってしまうと奥田は言う。このノートが、今後の支援の参考になると同時に、彼らが「生きたあかし」になる。
相手の言葉を細かく記録する