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よくある労働問題

労働問題Q&A

会社から合理化・リストラ提案を受けました。
どのように対応をすれば良いでしょうか?
電機連合では2001年7月の第49回定期大会において「電機連合 経営・雇用対策指針」を確立しています。本内容はその抜粋になります。



経営・雇用対策指針(抜粋)

 
基本的な考え方と具体的対応
 
3.雇用契約の解除に関わる会社提案への対応
 
(1)解雇
 
「認めない」
 
[1] 解雇については、会社都合による経営上解雇、組合員の落ち度によるもの、ユニオンショプ協定によるもの等がある。本指針では、組合員の落ち度による解雇やユニオンショップ協定によるものを除くものとするが、次の点に留意する必要がある。
 
a.組合員の落ち度による解雇については、労働協約・就業規則の解雇基準が明確に協定されていなくてはならない。曖昧な表現や基準で会社の一方的な解釈で提案されないよう整備する必要がある。更に、事由が発生した場合には事前に説明を受け、該当者との面談を行い該当事由の事実確認を行うことは労組として当然の責務である。
 
b.ユニオンショップ協定に抵触した解雇については、労働者が組合を選択する自由との解釈で、解雇無効との判例事例があることに留意する必要がある。
 
[2] 経営上解雇には、企業倒産・解散・営業譲渡売却・事業所閉鎖・縮小などによる人員整理および人員整理を狙いとした偽装解散などがある。
 
a.長期闘争に発展する可能性が高く、電機本部・当該地協に連絡の上、闘争体制を組織する。
 
b.低成長下における事業の縮小・整理、産業の再編成が進むなかで、中小企業においてはその危険性が高く、各労組は客観的な諸情勢と経営の動向に充分な注意を払い労組としての経営対策活動を日常的に強化することが重要である。
 
[3] 企業倒産・解散等の人員整理方針が決定(提案)された後の取り組みは困難が伴う場合が多い。予め、事業の縮小・営業譲渡・合併・分離等について事前協議事項を協約化することが必要である。
 
[4] 倒産については、倒産対策指針を参照。
 
(2)希望退職
 
「原則として認めない」
 
やむを得ず人員の削減を行わなければならない場合、組合は事前に経営側に対し、その必要性の説明と回避の努力を最大限に求めなくてはならない。組織討議の結果、認める場合は電機本部と連携をとり、次の条件整備を図ることとする。
 
[1] 希望退職を募集する場合は、個人にかかわる退職基準の設定(性別・職種・年齢)や指名的要素を含んだ基準は一切認めないこと。
 
[2] 本人の自由意思に基づくことを前提とし、退職勧奨・肩たたき等の強要行為は絶対させてはならない。個入面談に当たっては、組合役員も同席すること。
 
[3] 募集期間を明確に定め、期間延長を認めないこと。
 
[4] 希望退職の条件については、下記の考え方を基本に決定すること。
 
a.退職金については「会社都合退織金×130%以上」を基本に、階層別(各入)の水準設定については、退職金水準、勤続・年齢など再就職に対する難易度、家族構成、生活条件などを総合的に配慮して決定すること。低勤続者や若年者については、最低でも基準内賃金の3カ月以上を支給させること。
 
b.40歳以上の退職者は定年退職扱いとし、上記a項の他に加算金・加給金を支給すること。
 
c.退職者が就職を希望する場合は、企業の責任で斡旋等最大限の便宜をはかること。再就職斡旋にともなう諸費用については企業が負担すること。
 
d.退職日における年次有給休暇の残余日数については、退職付加金として相当額を支給すること。
 
e.社宅・独身寮の居住権は、原則として、退職の日から社宅は3カ月、独身寮は1カ月を限度とした居住保障とすること。なお、転居費用については会社負担とすること。
 
(3)早期退職優遇制度
 
[1] 募集期間や募集人員が限定的であったり、[2] 会社的な制度でなく、[3] 事業所閉鎖・縮小に連動し特定の事業所を対象とする内容のものは、仮に「早期退職優遇制度」の名がつけられても、「希望退職」と同様の対応をしていく。但し、[1] 全社にまたがる恒常的な制度で、[2] 本人の職業生活におけるセカンドステージへのチャレンジを支援する制度で、[3] 本人の自由な意志に基づく選択権を有する内容のものであれば、労使協議の上認めていく。また、60歳以降の雇用延長を視野に入れ、多様な雇用形態、労働条件の選択肢を用意した制度設計に関連する制度ついては、当該労使の判断に委ねていく。
 
(4)転籍
 
転籍は出向とは異なり雇用契約を解除し再就職という形をとるものであり、明らかに本体の人員削減、労働条件の低下を主たる目的とした転籍の場合は、これを安易に認めるべきではない。しかしながら、経営構造改革の中で進む多様な企業再編、雇用延長に向けた新たな制度設計、組合員の就業意識の変化、人材の流動化などを考えるとき、今後、転籍についても様々な形態を想定した対応が必要とされる。いずれにしても、この制度の適用に当たっては人材の活性化と有効活用ならびに就業機会の確保を通じて企業グループ全体の成長・発展をはかり、併せて個人の「自立」と「選択」に基づいた人生設計を支援することを目的とすべきである。以上の視点に立って、以下の点につき補強していく。
 
[1] 本指針における「転籍の定義」を以下の通り定めるものとする。
 
転籍とは、現在在籍している会社との雇用契約を解除し、系列・関連会社、関連団体、他企業との提携や分社化・別会社化施策によって設立された新会社へ移籍すること、及び事業の一部売却・資産譲渡に伴なって移動した組合員が相手先の企業へ移籍することを言う。
 
[2] 本人が個人としての選択で転籍先の事業及び業務内容、労働条件を希望し、転籍元、転籍先の会社がこれに同意した場合は、これを尊重する。
 
[3] 資本提携、分社化など会社都合による転籍の場合は、対象人員の数も多くなり、影響も大きいことから、先ず前述の新会社設立に当たっての労使の基本合意をはかるようにする。転籍先の賃金、その他の労働条件については、十分な労使協議をはかり、その上で本人の意思確認を行い同意を得ることを絶対条件とする。
 
[4] 事業売却による転籍の場合は、一定期間の出向という形態を経てから実施することを原則とするが、提携先の事業内容及び労働条件などについて、転籍者の不利にならない提携内容の場合は、直接転籍と言うケースを含めて当該労組の判断に委ねる。
 
[5] 上記の[3] 及び[4] の会社都合による転籍の場合、転籍時に退職金を清算する場合と転籍先に勤続年数を通算して引き継ぐ場合がある。いずれのケースを選択するかは労使協議の上、当該労組の判断に委ねるものとする。尚、転職時に退職金を清算する場合は、「会社都合退職金×130%以上」を基本にするが、その水準の決定については当該労組の判断に委ねる。また、企業年金については転籍先の制度の有無やその内容を十分に吟味した上で、転籍者の不利にならないよう、補償措置も含め条件整構をはかっておくものとする。(注:現在、企業年金制度については新たな動きがあり、その動向によっては対応を再検討する必要がある)
 
[6] 転籍後の賃金、労働時間などの労働条件、福利厚生制度は、全て転籍先の定める基準によるものとする。転籍先の賃金との差異の補填措置については、転籍一時金による対応を含めて当該労組の判断に委ねる。
 
[7] 転籍の実施にあたっては、転籍後、転籍前に予想できなかった事態への対応の取り方、その他細部の事項を含め、当該労使間で「転籍に関する協定」を締結し、本人の同意のもとこれを行うものとする。
 
[8] 会社分割への対応にあたっては上記とあわせ「会社分割制度へのガイドライン」を参照
 
(5)倒産
 
企業倒産の場合は、別途「倒産対策指針」で対応するが、ただちに電機連合本部・所属地協に連絡を取ると同時に、組合員の雇用確保を最優先に、企業再建の可能性を追及する。
 
(6)臨時工・パートの雇止めについて
 
業績不振によって雇用調整を実施せざるを得ない状況下では、まず臨時・パートの雇用止めが実施される場合が多い。組合員の範囲外とはいえ労働組合として関知する姿勢が必要である。
 
[1] 雇用止めを実施する理由を把握し、最小限の犠牲に止める努力を払うこと。
 
[2] 大量の雇用止めが発生する場合は労使事前協議項目とすることを労働協約に明記する。
 
[3] 所帯生計者(母子家庭等)については対象外とすること。
 
[4] 雇用止めにおける条件について交渉すること。
 
4.一時帰休・一時休業にかかわる問題
 
一時帰休(休業)はその期間が1カ月以上の長期にわたるものと、1カ月の間に数日間休業し、それが数ヵ月繰り返されるものと二つのパターンがある。いずれも企業業績の悪化による生産調整的な要素が強いが、とりわけ前者の長期帰休については、期間終了後復帰を認めないような事例もあり、「第二の解雇」につながる危険性もあるため慎重な対応が必要とされる。やむを得ず認める場合には、電機本部に連絡し、次の対策指針により対処する。
 
(1)実施する場合の条件
 
[1] 事前協議により、一時帰休(休業)の理由・経営内容・実施時期・対象人員・経営計画を明示させ、終了後は全員現職復帰を前提とすること。
 
[2] 当該事業所全体が一斉に帰休に入ることを前提とするが、やむを得ない事情の時は部門単位での実施を認める。いずれの場合も個別指名帰休は認めないこと。
 
[3] 帰休期間中の賃金補償については、一日について基準内賃金の90%以上とすること。
 
[4] 雇用調整助成金制度の適用については、前向きで対処することとし、適用された場合には賃金補償を基準内賃金の100%とすること。
 
5.労働者の移動(異動)に関わる会社提案への対応
 
(1)出向
 
事前協議により出向理由、実施時期・期間、対象人員、出向先の業務内容、経営内容等を明示させ、以下の対応をはかる。
 
[1] 本指針における「出向」の定義を以下の通り定めるものとする。
 
出向とは、社員として在籍のまま、「転籍」の[1] 項で定義した企業、団体などにおいて当該企業・団体などの業務を行うことを言う。
 
[2] 出向期間については原則として3年とするが、出向期間を延長する場合は、出向期間の満了前に出向先での業務状況や本人の意向などを勘案し、これを決定する。また、別途労使間で取り決めをした特定の会社への出向については、この限りでない。
 
[3] 出向先から出向先会社の人事権による再出向は認めない。但し、いったん出向を解き、出向元の労使で再協議し、本人の同意が得られた場合はこの限りではない。
 
[4] 出向先からの転籍は、本人の希望または意思の確認を条件として、「転籍」の条項に基づき対応していくものとする。
 
[5] 出向者の就業に関する諸規定、労働条件は、原則として出向先の規定によるものとする。但し、出向先の労働条件が出向元の基準を下回る場合は、その差を補填する。
 
[6] 出向した組合員は、労働協約で定めた該当者を除き、組合員の資格を継続する。
 
[7] 出向の実施にあたっては、その他細部事項を含め当該労使間で「出向に関する協定」を締結し、本人の同意のもとこれを行うものとする。
 
(2)会社分割への対応
 
会社分割に対しては「会社分割制度へのガイドライン」にもとづき対応する。
 
(3)配転および転勤
 
日常的に配転・転勤が実施されており、合理化として位置づけることは現実的ではないが、意図・背景によっては合理化施策に関わるケースもあり、労働組合として次の対応をとることとする。
 
[1] 事前協議により、配転・転勤の理由、実施時期、対象人員、配転及び転勤先の業務内容を明確にさせること。
 
[2] 対象者については個人面談を実施し、理解を得た上で実施を認めること。
 
(4)業務応援
 
応援先も事業所間応援、関連企業、協力企業と共に、ラインから販売部門への応援など大きく業務が異なる業務応援が多発している。生産調整に基づく業務応援は、やむを得ない側面もうあるが、組合員にとって応援期間中に元職が変化、消滅する不安をかこつものであり、組合は次の対応をとることとする。
 
[1] 事前協議により、実施背景、実施時期と期間、対象人員、業務内容、条件、解消計画について明確にすること。
 
[2] 住居変更にともなう応援期間は3カ月を限度とすること、3カ月を越える場合については、応援者を交替させること。
 
[3] 応援により住居の変更をともなう場合には、下記の条件を基準とする。
 
a.住居の確保
 
b.旅費規定を基準とした業務応援日当の支給
 
c.最低月1回の帰省休蝦(有給)及び帰省旅費の保障
 
d.元職と応援先の勤務時間の差については、時間外手当てとしての対応。
 
e.赴任および帰任休暇と旅費の支給
 
[4] 応援終了後は元職に復帰させる。応援終了後短期間内に応援・職種の転換は行わないこと。
 
(5)ヘルパー
 
電機連合は、原則としてセールスヘルパーを廃止との方針を決定しており、それに基づいて対処していく。
 
6.労働条件の変更に関わる会社提案への対応
 
以下の対応を基本に取り組むものとするが、近年の状況をふまえ次の2点を補強する。
 
*労働条件及び制度の変更に関する会社提案の対応にあたっては、当該労使での協議に委ねるが、産別統一闘争で獲得した項目については、その労使協議の結果について必ず電機連合本部に報告するものとする。
 
*協議の結果、やむなく変更を受け入れる場合については、原則として業績の回復後、もとの状態に戻すことを前提に、その期限を協定に明記しておくものとする。
 
(1)賃金・一時金のカット
 
賃金・一時金削減等の合理化提案は基本的に認めないものとし、電機本部と連絡を取りつつ対処する。
 
[1] 事前協議により、提案背景と提案内容を明確にさせる。
 
[2] 僅かでも利益が見込める状況であったり、危機意識を持たせることが目的である場合には、団体交渉で撤回をさせること。管理職のみ対象とした提案であっても、提案背景を含めて労働組合は関わること。
 
[3] 賃金・一時金のカットや支払い遅延、分割払いは、回避に向けて最大限の企業努力を促し、電機連合の了解なくして実施させないこと。
 
(2)その他、労働条件の変更
 
食事手当の減額とか文化行事の自粛とか、僅かな変更提案であっても安易に認めるべきではないが、実施にあたっては、その理由を明確に把握すること。
 
7.派遣労働者、パート、臨時工など非正規従業員への対応について
 
近年、企業は取り巻く環境が激変する中で、総額人件費の抑制をはかるため、「これまでの雇用システムの見直し」を大胆に進めてきている。従来、正規従業員が行っていた業務を派遣労働者やパート労働者などの非正規従業員に代替させる雇用のアウトソーシングの導入がその一つであり、その業務の内容も基幹的分野にも拡大してきており、今後更に増えていくことが考えられる。この動きに対しては、98年に提起した電機連合の「新しい日本型雇用・処遇システムの構築」の考え方を基本に以下のごとく対応していく。
 
[1] 非正規従業員の無原則な活用は、現状の雇用や労働条件に影響を及ぼす懸念もあり、大量の人員の受け入れにあたっては、「その必要性」、「業務の内容」、「受け入れ期間」、「安全衛生などの受け入れ体制の整備」、「現状雇用への影響の有無」などについて労使の事前協議をはかることとする。
 
[2] パート労働者については、一年以上の継続雇用者については最大限組織化をはかるように努める。
 
[3] パート労働者、臨時工の雇用止めへの対応については、「臨時工・パートの雇用止めについて」を参照。
 
[4] 派遣労働者については、2000年の第48回大会に提起した「電機産業における派遣労働者の権利・保護ガイドライン」に基づき対応していくが、とくに次の点について留意していくものとする。
 
*派遣労働者の受け入れが長期に亘って継続されている部門(業務)については、正規従業員による対応の可能性を含め、その是非について労使協議を行う。
 
*派遣先企業としての使用者責任などについて派遣先企業の労働組合としてチェックするとともに、派遣元企業に労働組合が結成されている場合は連携して取り組む。
 
8.海外進出・空洞化問題
 
さらなるグローバル化は、生産の海外シフトを加速させている。詳細な対策は、「海外総合対策指針」に基づいて対応する。海外進出による国内雇用の空洞化の防止は国内企業の製品開発力、生産技術の基盤を維持し、向上することを基本とする。また海外展開に関する情報を本部および単組間で速やかに交換し、情報の共有化をはかるものとする。
 
9.外国人労働者問題
 
外国人労働者の受入れは、専門的技術・技能職種に限定されるべきであるが、受入れにあたっては労使協議項目とし、次の点に留意し対応することとする。
 
[1] 企業内雇用との調和
 
[2] 諸環境の整備、とりわけ労働条件で悪影響を及ぼさないこと。
 
[3] 雇用主の責任が明確とされること。
 
[4] 教育を含め、労働者が十分な職業能力を有し、安全衛生を確保するための最小限の知識を有するようにすること。

以上


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