週初の記事で、「まさかないと思いますが、連日上げて掉尾の一振になるような場合は・・・」と書きましたが、今年最終週の日本株は結局、そのまさかの連騰で終わりました。
日本株が海外要因であまり動かなかった古い時代ならともかく、昨今は日本株の休み中にグローバル要因で、大納会と大発会でマーケットカラーが全く変わることが多くなったので、掉尾の一振のような無理な買い方は消えたのですが、久しぶりに復活しました。
何 度も書いたように、外人(西洋人)はクリスマス後は日本の正月明けのような感覚で「ばりばり仕事するぞ~」モードです。なので、大晦日もマーケットは開き ますし、日本以外のほとんどの先進国は年末年始の休みは正月のみです。一方の日本株が、今年は日並びが悪いと言っても4連休。この休場日の長さを突かれる と年明けからパニックになりやすいのですが、今年の場合は米国市場も正月と土日で3連休になるので、正月明けは日本株より後になります。この安心感で掉尾 の一振をやってしまったのでしたら確信犯ですが、そこまで知恵が回ったかどうかは判りません。
しかし、年明けが同時スタートだから安心できると思ったら間違いです。特に、今週の海外は原油のアヤ的な反発があったので、日本株の大納会時はかさ上げされていたのですから。
(WTI7日間)
日本株の大納会に合わせて原油が反発したのは今週発表のEIA統計で在庫が2週連続で減少するという思惑でWTIがぴょこっと上げて米国株が反応しただけです。その時が運よく大納会だったので、アヤに乗っかった掉尾の一振になったのです。
(米国株)
『米国株(30日):下落、原油安でエネルギーに売り-テクノロジーも安い 』
ということで、こんなアヤは年明けを待たずに解消されてしまいます。
(CME)
勿論、今晩の米国株でも掉尾の一振のような買いが入る可能性は残っていますが、あまり欧米株でこういうばかげたことはしません(だって、基調が変わる可能性がある直前は、常識的にはリスクを減らしますよね?)。
じゃあ、なんで原油が上げたんだよなんていう方がいるかもしれませんが、それはアヤとしかいいようがありません。さっきも書いたように、在庫が2週連続で減るかもねという見方で上げただけなので。
『NY原油(30日):急反落、米在庫は年間で過去最大の積み増し 』
そして、急反落した理由は、発表されたEIA在庫統計で在庫が増えていたのと、サウジが減産する気がないという報道が伝わったためです。
サウジが減産する気がないというのは、先日のOPEC総会でも明らかですし、API統計やEIA統計で在庫がちょっと減ったくらいでポジティブ視するのはアヤなのです。
理由は何度もグラフをお見せしているし、この記事でも書かれていますが、現在米国内の原油在庫は史上最高レベルだからです。
あまりに在庫が多いので、原油を輸出しちゃおうかとしているくらいなのです。
史上最高っていったってどの程度か判らないかもしれませんが、このくらいです。
(OECD加盟国原油在庫)
OECDは広義の先進国で34カ国あります。先進国っていっても韓国も入っているくらいなのでまあその程度ですが、いわゆる新興国以外と言っても良いので世界GDPに占めるウエイトは非常に大きいです。
このOECDの在庫の過半が薄い紫の米国です。米国だけで先進国の過半の在庫を持っているのですよ。
このグラフの上に赤線がひいてありますが、これは原油在庫のキャパです。つまり、もうキャパ一杯なのです。
大根が余って廃棄処分にしていると報道されていましたが、ある意味それ以上に悲惨な状況なのです。
在庫の過半を持っている米国で、週間の在庫がちょびっと減っただけでマーケットが1%上がってしまうのは、アヤだと思いませんか?
そもそも原油下落の影響を受けるのは米国もそうですが、マーケットが恐れているのは新興国のダメージです。しかし、WTIは米国内の市況であって、グローバルの市況ではありません。
(WTIとブレント)
北海ブレントはドバイなど中近東より先進国に近い産出なので、WTIに近い動きをしますが、それでも12月以降、WTIより下がり方が急で、WTIが上がるときもあまり反応していないのが判るでしょう。
米国が輸出するのは世界の市況安や新興国にとって更にネガティブになることはあってもポジティブになることは何もないのです。
せっかく上がった原油が下落したのはイランが増産するという報道が出たからですが、原油を輸出しようとしている米国も、供給増には頭を痛めていて、なんとかしたいと思っているようです。
『イランへの新たな制裁を米検討、弾道ミサイル開発関与で =WSJ 8:17am JST』
米 国が正義を振りかざして制裁をすると言い出すときは、その地域に利益を見出す時であって、正義のためではありません。なので、中近東が重要なときは散々中 近東に介入をしていましたが、国内のシェール産出が急増し中近東依存度が低下したあたりからエジプトの春のように、親米政権の梯子を外して中近東から手を 引き出したのです。
現在、米国の最大関心は中国ですが、米国の新しい外貨獲得手段になりそうな原油の投げ売りをしているイランに対しては、ちょっとお仕置きをしないといけないと思ったのでしょう。久しぶりに上のようなことを言い出しています。
今では大勢の人がイラクのフセイン政権は大量破壊兵器なんて持ってなかったというのを判っていると思いますが、米国は昔も今も自分の利益のために、正義を振りかざす国なのです。
ただ、この程度の制裁ちらつけせではイランは増産を止めないでしょう。そもそも今は非OPECの産出も増えているので、イランを締め上げる程度では不可能です。
ということなので、来年も原油は下げるでしょう。特に、米国の輸出が始まったら、世界中に原油安爆弾をまき散らすので、新興国にとっては大変なことになると思います。
とこんな風に海外を見てから日本株に入ると、3連騰が虚しく感じてしまいます。
『大納会の日本株は3日続伸、為替安定と海外株高に安心-4年連続上昇 』
大 納会を迎えた30日の東京株式相場は3日続伸。為替の安定や国際原油市況の上昇、欧米株の堅調が安心感につながり、リスク選好の買いが優勢だっ た。電機や精密機器、ゴム製品など輸出関連株が堅調、アナリストの投資判断引き上げを受けた山崎製パンを中心に食料品株、ガスや小売、陸運といった内需セ クターも高い。
TOPIXの終値は前日比3.91ポイント(0.3%)高の1547.30、日経平均株価は51円48銭(0.3%)高の1万9033円71銭。
大 和住銀投信投資顧問の岩間星二シニア・ファンドマネジャーは、「機関投資家は休みに入っており、売り方がいない中で上がった」と指摘。欧米株高、原油価 格の反発もきょうは支援材料となり、来年に向けては2016年度の国内企業業績は1桁台後半の増益率を想定、バリュエーション面で大きな変化もなく、増益 率と同程度の株価上昇を予想している。
機関投資家が休みに入っているというのは、日本の金融機関にも居た私の感覚では違 います。冒頭に書いたように、日本の休み中に地合いが変わるリスクが高いので、年末年始はあまり激しく動きにくいのです。あとは、四半期末の調整や年明け 後のパフォーマンス資料作成の準備等もあるので、出社しているけど運用は激しく行っていない状態でしょう。
外資はクリスマス明けなのでもう少し動くかと思いましたが、日本株以外の市場が強かったので、日本株をショートにしている連中はつらかったようです。
(先物手口)
大納会はちょっとショートカバーしていました。
外資も信託銀行も動かない中で3連騰したということは、やはり個人投資家が頑張ったのでしょう。
なんで、このタイミングとこの水準で出てくるかなというのが正直な気持ちです。
不透明すぎて、リスクの割にリターンが不明のときは割が合わないので、投資は避けるべきで、それでも上げるときはショートするのがヘッジファンドでは常道なので、どうしても理解できません。
し かし、こういう動きがあるからヘッジファンドがポジションを取れるのも事実です。なので、私は19100円以上で少し先物の売り乗せをした他、1月限 185プット(まあまあ)、180プットと、2月限180プット(少なめ)、175プット(まあまあ)、170プット(かなり少なめ)を買っておきまし た。
先物のショート簿価は多少下がりましたが、50円ほどなのでまあ良いでしょう。
買っている連中も決してマーケットに強気じゃないのは、上がった理由と物色が矛盾しているのでも判ります。
(業種別騰落率)
海外株は原油の戻りなどを好感して上がっているのに、日本株は内需中心の物色で、グローバル市況関連は避けられています。
ということは、グローバル市況の戻りは一時的と判っているのです。これが一時的なら、マーケットは下がるでしょう。しかし、そのとき、昨日上がったような、内需は無傷で済むでしょうか?
内需が本当に欲しい場合でも、買うときはグローバル市況が下げて指数が下がったときに買うべきです。
それをしないで上げているときに、こういう上げた理由じゃない銘柄を買うのは、「怖いけど何か欲しいので、安心できるものを買いたい」という非常に消極的な思考によってなされます。
これは、彼氏に振られた子が、寂しさの余りに好みじゃない男に口説かれて付き合うのを同じです。寂しさを紛らわせている代償行為ですが、満足はしないので長続きしません。
同 様に、こういう物色をすると、グローバルが下げ日本株も影響を受けて下がるときに内需を売るので、内需がなぜか値下がり上位に来ると言う訳の判らないこと になります。外人はこういうことを絶対にしないので、こういうアクションは日本人特有といって良いですが、これを何度かやるうちに、投資の基準や銘柄選定 の判断力が壊れてしまいます(売り買いが、ファンダメンタルズや金融制作の見通しとリンクしていないので何をしているのか自分でも判らなくなってしま う)。そうすると、烏合の衆のように、アヤでも何でもちょっと反対に動くとロスカットをしてドテンにするけど、また流れが変わったら元に戻してしまうの で、何をしているのか判らなくなってしまいます。バタバタしているけど全く勝てない人の典型的なパターンです。
なので、みなさんは、私の記事を読んで推奨アクション通りにやるだけでなく、自身もしっかりと考えて、いろんなストーリーを想像した上で、投資をするようにしてください。
今年は結局、日本株は2ケタ近い上昇で終わりました。グローバルが調整し始めている中で独歩に近い好パフォーマンスでしたが、来年はこの反動が出ると思います。
今年最後の記事なので、みなさんには勝負に際しての心構えとして以下の言葉を贈りたいと思います。
「勝ち」にこだわるのではなく「勝つ準備」にこだわれ
運用に限らず、プロというのは下ごしらえで勝負は決まります。これは料理人やプロ野球選手でもそうでしょう。練習や厨房内での出汁取りや魚の下ごしらえの時点で味は決まるのです。
プロでも100戦100勝は不可能ですが、勝ちにこだわるだけでは勝率を上げることはできません。
準備をしっかりするからこそ、結果的に勝率が上がっていくのです。
勝負は運と実力で決まりますが、運は左右されます。特に集団心理で動くマーケットを相手にする以上、突発要因など不慮の要因があまりにも大きいので運はとても大きくなります。しかし、この運の部分はプロでも底上げは難しいです。
なので、運に左右されない実力の底上げが不可欠で、それは下準備なのです。
運用の場合の下準備とは日々のマーケットをチェックし、何が起きているか、何がフェイクで、何が正しい流れかと常に把握することです。
そして、本流以外のダマシ的な流れは追随せずにポジション構築のタイミングと捉えられるようにするためには、日々の準備と分析の繰り返しが重要になってきます。
実力を底上げすると、多少運が悪くても耐え凌いだり、早めのロスカットなどの展開が可能になるので、結果的には運も呼び寄せることができるようになるのです。
なので、私のこの記事は、単に当たりをウリにするのではなく、勝つ準備にこだわることができるような内容にしてきました。
いつまでやるか判りませんが、やる間はこの方針で書き続けます。
マネーの流れが変わったのに、惰性で最後まで走ってしまったので、今年は結果的にはサルでも儲かる相場になりましたが、来年は勝つ準備をした人と勝ち負けだけにこだわる人で大きな差が付くと思います。
みなさんは、「勝ち」にこだわるのではなく、「勝つ準備」にこだわってください。
良いお年を。
(終わり)
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