元ヘッジファンドE氏の「着実に2割稼ぐ株式投資術」

日本株のファンドマネージャーを20年以上、うち8年はヘッジファンドのファンドマネージャーをしてきた私「E」が、相場に振らされず安定して着実に2割稼ぐコツを解説していきます。



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こんにちは。元ヘッジファンドマネージャーの「相場師E氏」です。

週初の記事で、「まさかないと思いますが、連日上げて掉尾の一振になるような場合は・・・」と書きましたが、今年最終週の日本株は結局、そのまさかの連騰で終わりました。

日本株が海外要因であまり動かなかった古い時代ならともかく、昨今は日本株の休み中にグローバル要因で、大納会と大発会でマーケットカラーが全く変わることが多くなったので、掉尾の一振のような無理な買い方は消えたのですが、久しぶりに復活しました。

何 度も書いたように、外人(西洋人)はクリスマス後は日本の正月明けのような感覚で「ばりばり仕事するぞ~」モードです。なので、大晦日もマーケットは開き ますし、日本以外のほとんどの先進国は年末年始の休みは正月のみです。一方の日本株が、今年は日並びが悪いと言っても4連休。この休場日の長さを突かれる と年明けからパニックになりやすいのですが、今年の場合は米国市場も正月と土日で3連休になるので、正月明けは日本株より後になります。この安心感で掉尾 の一振をやってしまったのでしたら確信犯ですが、そこまで知恵が回ったかどうかは判りません。

しかし、年明けが同時スタートだから安心できると思ったら間違いです。特に、今週の海外は原油のアヤ的な反発があったので、日本株の大納会時はかさ上げされていたのですから。
(WTI7日間)
1WTI7日1231

日本株の大納会に合わせて原油が反発したのは今週発表のEIA統計で在庫が2週連続で減少するという思惑でWTIがぴょこっと上げて米国株が反応しただけです。その時が運よく大納会だったので、アヤに乗っかった掉尾の一振になったのです。
(米国株)
米国株1231

米国株(30日):下落、原油安でエネルギーに売り-テクノロジーも安い

ということで、こんなアヤは年明けを待たずに解消されてしまいます。
(CME)
CME1231.png

勿論、今晩の米国株でも掉尾の一振のような買いが入る可能性は残っていますが、あまり欧米株でこういうばかげたことはしません(だって、基調が変わる可能性がある直前は、常識的にはリスクを減らしますよね?)。

じゃあ、なんで原油が上げたんだよなんていう方がいるかもしれませんが、それはアヤとしかいいようがありません。さっきも書いたように、在庫が2週連続で減るかもねという見方で上げただけなので。

NY原油(30日):急反落、米在庫は年間で過去最大の積み増し

そして、急反落した理由は、発表されたEIA在庫統計で在庫が増えていたのと、サウジが減産する気がないという報道が伝わったためです。

サウジが減産する気がないというのは、先日のOPEC総会でも明らかですし、API統計やEIA統計で在庫がちょっと減ったくらいでポジティブ視するのはアヤなのです。

理由は何度もグラフをお見せしているし、この記事でも書かれていますが、現在米国内の原油在庫は史上最高レベルだからです。

あまりに在庫が多いので、原油を輸出しちゃおうかとしているくらいなのです。

史上最高っていったってどの程度か判らないかもしれませんが、このくらいです。
(OECD加盟国原油在庫)
原油在庫グローバル1231

OECDは広義の先進国で34カ国あります。先進国っていっても韓国も入っているくらいなのでまあその程度ですが、いわゆる新興国以外と言っても良いので世界GDPに占めるウエイトは非常に大きいです。

このOECDの在庫の過半が薄い紫の米国です。米国だけで先進国の過半の在庫を持っているのですよ。

このグラフの上に赤線がひいてありますが、これは原油在庫のキャパです。つまり、もうキャパ一杯なのです。

大根が余って廃棄処分にしていると報道されていましたが、ある意味それ以上に悲惨な状況なのです。

在庫の過半を持っている米国で、週間の在庫がちょびっと減っただけでマーケットが1%上がってしまうのは、アヤだと思いませんか?

そもそも原油下落の影響を受けるのは米国もそうですが、マーケットが恐れているのは新興国のダメージです。しかし、WTIは米国内の市況であって、グローバルの市況ではありません。
(WTIとブレント)
WTIブレント1231

北海ブレントはドバイなど中近東より先進国に近い産出なので、WTIに近い動きをしますが、それでも12月以降、WTIより下がり方が急で、WTIが上がるときもあまり反応していないのが判るでしょう。

米国が輸出するのは世界の市況安や新興国にとって更にネガティブになることはあってもポジティブになることは何もないのです。

せっかく上がった原油が下落したのはイランが増産するという報道が出たからですが、原油を輸出しようとしている米国も、供給増には頭を痛めていて、なんとかしたいと思っているようです。

イランへの新たな制裁を米検討、弾道ミサイル開発関与で =WSJ 8:17am JST』

米 国が正義を振りかざして制裁をすると言い出すときは、その地域に利益を見出す時であって、正義のためではありません。なので、中近東が重要なときは散々中 近東に介入をしていましたが、国内のシェール産出が急増し中近東依存度が低下したあたりからエジプトの春のように、親米政権の梯子を外して中近東から手を 引き出したのです。
現在、米国の最大関心は中国ですが、米国の新しい外貨獲得手段になりそうな原油の投げ売りをしているイランに対しては、ちょっとお仕置きをしないといけないと思ったのでしょう。久しぶりに上のようなことを言い出しています。

今では大勢の人がイラクのフセイン政権は大量破壊兵器なんて持ってなかったというのを判っていると思いますが、米国は昔も今も自分の利益のために、正義を振りかざす国なのです。
ただ、この程度の制裁ちらつけせではイランは増産を止めないでしょう。そもそも今は非OPECの産出も増えているので、イランを締め上げる程度では不可能です。

ということなので、来年も原油は下げるでしょう。特に、米国の輸出が始まったら、世界中に原油安爆弾をまき散らすので、新興国にとっては大変なことになると思います。

とこんな風に海外を見てから日本株に入ると、3連騰が虚しく感じてしまいます。

大納会の日本株は3日続伸、為替安定と海外株高に安心-4年連続上昇

大 納会を迎えた30日の東京株式相場は3日続伸。為替の安定や国際原油市況の上昇、欧米株の堅調が安心感につながり、リスク選好の買いが優勢だっ た。電機や精密機器、ゴム製品など輸出関連株が堅調、アナリストの投資判断引き上げを受けた山崎製パンを中心に食料品株、ガスや小売、陸運といった内需セ クターも高い。
TOPIXの終値は前日比3.91ポイント(0.3%)高の1547.30、日経平均株価は51円48銭(0.3%)高の1万9033円71銭。
大 和住銀投信投資顧問の岩間星二シニア・ファンドマネジャーは、「機関投資家は休みに入っており、売り方がいない中で上がった」と指摘。欧米株高、原油価 格の反発もきょうは支援材料となり、来年に向けては2016年度の国内企業業績は1桁台後半の増益率を想定、バリュエーション面で大きな変化もなく、増益 率と同程度の株価上昇を予想している。

機関投資家が休みに入っているというのは、日本の金融機関にも居た私の感覚では違 います。冒頭に書いたように、日本の休み中に地合いが変わるリスクが高いので、年末年始はあまり激しく動きにくいのです。あとは、四半期末の調整や年明け 後のパフォーマンス資料作成の準備等もあるので、出社しているけど運用は激しく行っていない状態でしょう。

外資はクリスマス明けなのでもう少し動くかと思いましたが、日本株以外の市場が強かったので、日本株をショートにしている連中はつらかったようです。
(先物手口)
ft1230.png

大納会はちょっとショートカバーしていました。

外資も信託銀行も動かない中で3連騰したということは、やはり個人投資家が頑張ったのでしょう。

なんで、このタイミングとこの水準で出てくるかなというのが正直な気持ちです。

不透明すぎて、リスクの割にリターンが不明のときは割が合わないので、投資は避けるべきで、それでも上げるときはショートするのがヘッジファンドでは常道なので、どうしても理解できません。

し かし、こういう動きがあるからヘッジファンドがポジションを取れるのも事実です。なので、私は19100円以上で少し先物の売り乗せをした他、1月限 185プット(まあまあ)、180プットと、2月限180プット(少なめ)、175プット(まあまあ)、170プット(かなり少なめ)を買っておきまし た。

先物のショート簿価は多少下がりましたが、50円ほどなのでまあ良いでしょう。

買っている連中も決してマーケットに強気じゃないのは、上がった理由と物色が矛盾しているのでも判ります。
(業種別騰落率)
東証1231

海外株は原油の戻りなどを好感して上がっているのに、日本株は内需中心の物色で、グローバル市況関連は避けられています。

ということは、グローバル市況の戻りは一時的と判っているのです。これが一時的なら、マーケットは下がるでしょう。しかし、そのとき、昨日上がったような、内需は無傷で済むでしょうか?

内需が本当に欲しい場合でも、買うときはグローバル市況が下げて指数が下がったときに買うべきです。

それをしないで上げているときに、こういう上げた理由じゃない銘柄を買うのは、「怖いけど何か欲しいので、安心できるものを買いたい」という非常に消極的な思考によってなされます。

これは、彼氏に振られた子が、寂しさの余りに好みじゃない男に口説かれて付き合うのを同じです。寂しさを紛らわせている代償行為ですが、満足はしないので長続きしません。

同 様に、こういう物色をすると、グローバルが下げ日本株も影響を受けて下がるときに内需を売るので、内需がなぜか値下がり上位に来ると言う訳の判らないこと になります。外人はこういうことを絶対にしないので、こういうアクションは日本人特有といって良いですが、これを何度かやるうちに、投資の基準や銘柄選定 の判断力が壊れてしまいます(売り買いが、ファンダメンタルズや金融制作の見通しとリンクしていないので何をしているのか自分でも判らなくなってしま う)。そうすると、烏合の衆のように、アヤでも何でもちょっと反対に動くとロスカットをしてドテンにするけど、また流れが変わったら元に戻してしまうの で、何をしているのか判らなくなってしまいます。バタバタしているけど全く勝てない人の典型的なパターンです。

なので、みなさんは、私の記事を読んで推奨アクション通りにやるだけでなく、自身もしっかりと考えて、いろんなストーリーを想像した上で、投資をするようにしてください。

今年は結局、日本株は2ケタ近い上昇で終わりました。グローバルが調整し始めている中で独歩に近い好パフォーマンスでしたが、来年はこの反動が出ると思います。

今年最後の記事なので、みなさんには勝負に際しての心構えとして以下の言葉を贈りたいと思います。

「勝ち」にこだわるのではなく「勝つ準備」にこだわれ

運用に限らず、プロというのは下ごしらえで勝負は決まります。これは料理人やプロ野球選手でもそうでしょう。練習や厨房内での出汁取りや魚の下ごしらえの時点で味は決まるのです。

プロでも100戦100勝は不可能ですが、勝ちにこだわるだけでは勝率を上げることはできません。

準備をしっかりするからこそ、結果的に勝率が上がっていくのです。

勝負は運と実力で決まりますが、運は左右されます。特に集団心理で動くマーケットを相手にする以上、突発要因など不慮の要因があまりにも大きいので運はとても大きくなります。しかし、この運の部分はプロでも底上げは難しいです。

なので、運に左右されない実力の底上げが不可欠で、それは下準備なのです。

運用の場合の下準備とは日々のマーケットをチェックし、何が起きているか、何がフェイクで、何が正しい流れかと常に把握することです。

そして、本流以外のダマシ的な流れは追随せずにポジション構築のタイミングと捉えられるようにするためには、日々の準備と分析の繰り返しが重要になってきます。

実力を底上げすると、多少運が悪くても耐え凌いだり、早めのロスカットなどの展開が可能になるので、結果的には運も呼び寄せることができるようになるのです。

なので、私のこの記事は、単に当たりをウリにするのではなく、勝つ準備にこだわることができるような内容にしてきました。
いつまでやるか判りませんが、やる間はこの方針で書き続けます。

マネーの流れが変わったのに、惰性で最後まで走ってしまったので、今年は結果的にはサルでも儲かる相場になりましたが、来年は勝つ準備をした人と勝ち負けだけにこだわる人で大きな差が付くと思います。

みなさんは、「勝ち」にこだわるのではなく、「勝つ準備」にこだわってください。

良いお年を。

(終わり)

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このブログは、毎週日曜配信の相場見通し記事をアメブロの文字数制限のため抜粋したものを、1週間経過後に(発行日と同じ日付で)アップしたものです。

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こんにちは。元ヘッジファンドマネージャーの「相場師E氏」です。

昨日の記事で、まさか年末までこの調子で上がり続け掉尾の一振になることはないと思いますが・・・と書きましたが、その「まさか」になりそうな気配です。

本日も個人主体の買いですが、何がそんなに強気にさせるのでしょうか?チキンレースとうより、酔っ払いが浮かれて、車がびゅんびゅん通り過ぎている幹線道路を渡ろうとしているようにしか思えません。そりゃ、渡れるかもしれませんが、轢かれるリスクの方が高いのに。

残念ながら、米国の金融政策が引き締めに転じ新興国や資源がキナ臭くなっている中での、今の「個人vs外人」の構図は2年前の新興国通貨危機のときに極めて似てきました。

当 時、個人は年明けから取引税率が上がることやNISA導入のために、年末までは散々売っていたのに、年明け後量的緩和縮小がスタートし始めたら猛烈に買い 始めて、新興国通貨危機で死んでしまったのです。その無茶な死に方はまるで「ブレーメンの音楽隊」で、笛についていって死んでしまう動物達のようでした が、今回は2週間ほど早い日柄ですが、全く同じ様子になってきています。

日本株続伸、医薬品や建設など内需関連、金融高い-売られ過ぎ修正も

29日の東京株式相場は続伸。来年相場への期待感に加え、テクニカル指標からみた売られ過ぎを修正する動きが広がり、医薬品や水産、建設、小売株など内需セクターが高い。地方銀行を中心に銀行株、保険株も上げた。
TOPIXの終値は前日比14.17ポイント(0.9%)高の1543.39、日経平均株価は108円88銭(0.6%)高の1万8982円23銭。
ちばぎんアセットマネジメントの奥村義弘調査部長は、商品市況などの「リスクと政策期待が共存したようなマーケット」と指摘。売買エネルギーには欠けるが、来年に向けて「今の立ち位置はさまざまな悪材料、不安が織り込まれた水準ではある」との認識を示した。
きょうの日本株は反落して開始、国際原油市況の下落、エネルギー株を中心とした欧米株軟調の流れを受け、日経平均は朝方に一時89円安まで売られた。その後は下げ渋り、午後はプラス転換から上昇基調が鮮明化した。

昨日、今日の上げ方は、寄りが安く徐々に上がっていくパターンなので、完全に国内勢による買いです。
(CME)
CME1229.png

物色を観るまでも無く個人です。
(マーケット)
マーケット1229

(先物手口)
ft1229.png

本日は、薄商いの中で先物の買い越し上位は個人投資家系証券が占めていました。

売られすぎ修正って言っていますが、その根拠はテクニカルだけで、海外や中央銀行の金融政策を考慮したものではありません。
(騰落レシオ)
騰落レシオ1229

確かに、底っぽいですが、ファンダメンタルズや金融政策はテクニカルの日柄に合わせてやってくるわけではないので、そういう場合は、売られ過ぎがずっと続くことだって多いにあるわけですから、これだけを理由に買うのは危険です。

一方、物色は昨日よりはマシです。
(業種別騰落率)
東証1229

為替が落ち着いていたわりには完全に内需で、昨日買われていた資源関係は軒並み売られています。やはり、資源系セクターは上がったところはショートで良いと思います。

因みに、昨晩の米国株は原油が久しぶりに大幅に下落したので下げましたが、引け前はショートカバー的な買いで下げ幅が減っています。
(米国株日中)
米国株1229

米国株:下落、エネルギー株が安い-アマゾンやディズニーは上昇

中国を気にして下落し、原油安を嫌気して下げ幅が拡大したのですが、欧州市場が終りとショートカバーで上がりました。理由は特にないので、原油との相関が崩れています。
(原油とS&P500)
SP原油1229

なので、引け前にはショートカバーが出ています。

原油は、昨日はイランの輸出増で売られたのですが、本日は特段の材料もなく戻しているので、原油も(材料がないと戻すので)ショートカバーが出ている感じです。
NY原油(28日):3週ぶり高値から下落-イランが輸出拡大の意向

(原油足元)

となると、今晩の米国株は上げ易いので、日本株は更に調子に乗りやすくなっています。

みんなすっかり米国で利上げが決定されたことを忘れてしまっているようです。

この無頓着さは、2年前もおきました。

先日もかきましたが、当時はリーマンショック後ずっと増え続けていた量的緩和が初めてペースダウン(量的緩和縮小開始)する決定がなされたのです。しかし、FOMC後のマーケットは、「量的緩和縮小をするほど景気が強い」とはしゃいで年を越しました。

しかし、年明け後、新興国がなんか様子がおかしいということで、米国株が軟調になったのですが、日本株は「それNISAだ」「海外が軟調なので絶好の買い場だ」と欲深い個人が大量出動しました。

しかし、買っても買っても軟調なのでおかしいなと思っていたら、新興国通貨危機が起きて新興国からの資金流出の報道が一般紙にも乗るようになって個人は慌て始めたのですが、時既に遅し。

結果、信用の追証も食らって大損になりましたが、それを外資に蹂躙されたと他人のせいにしたのです。

当時、外人は年末までは個人投資家に相対してせっせと買っていましたが、年明け後は豹変して売り始めたのです。

翻って今のマーケットはというと、米国の金融政策が歴史的なタイト転換したのにマーケットがはしゃいでいるというのは同じですし、新興国の様子が変というのも同じです。

11月のマーケットは外資対証券自己のバトルだったので、個人は関係ありません。個人と外資の売り買い相殺は先週くらいからです。

なので、個人対外人という対立図式は今回は2週間ほど早いですが、起きていることは2年前にそっくりです。

こういう状況下で、「いやいやテクニカルで底っぽいから」と言って買うのが危険というのは判ると思います。

個人は証券自己と違って基本は逆張りなので、11月マーケットのようにどこまでも延々と踏み上げられるようなことは無いでしょう。ちょっと高いと思ったらすかさず売りが出てくるので、今週個人が頑張ると言っても11月ほど苦しい状況にはならないと思います。

これだけ資源価格が下がれば、イランのように「市況が下がるのなら、もっと売ればいい」と考える国が出てくるのは当然なので、市況安が反転するのはなお時間が掛かるでしょうし、増産できない新興国は市況安で外貨獲得手段が失われるので、危機が更に近づきます。

個人のはしゃぎ方を見ていると、まるでブレーメンの音楽隊の動物達のようです。

今週は予想に反してアヤが出てしまっていますが、ここから上(理想は19200円)はショートでしょう。

1月限は少なめと言いましたが、180や175プットだったらあまり酷い目に遭わないと思います。また、本格的な危機はSQ以降にきそうなので、2月限の180以下をちょっと買い始めるのも良いと思います。

マー ケットはアヤがつき物なので、予想通りのリズムにならないことが往々にしてありますが、アヤでカバーしていたら絶対に儲けられません。アヤも含めて正確に 予測できる投資家はヘッジファンドやCTAも含めていないでしょう。それは相場師ではなく、霊媒師や超能力者の範疇です。

アヤと判断したときに粛々とポジションを作り続けるのと、リスク管理をきちんとすることで、アヤの踏み上げによるロスカットを極力抑えるのがプロの仕事と言っても良いでしょう。

このように、カバーするときと耐えて積み増すときの見極めが肝要ですが、結果的に今週は積み増すときになりそうです。

(終わり)
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こんにちは。元ヘッジファンドマネージャーの「相場師E氏」です。

今日は個人が出ていました。恐らく、先週の海外市場が堅調だったのでボーナス資金を振り向ける動きもあったのでしょうが物色の中身は非常に悪いです。

よもやそんなことは無いでしょうが、今週このまま強くて掉尾の一振のようなことになろうものなら、2年前の1月~2月の悲惨なマーケット以上の悲劇がやってくるでしょう。

日本株反発、実質新年入り需給と対海外出遅れ-売買連日でことし最低

28 日の東京株式相場は反発。受け渡しベースで実質2016年相場に入り、前週までの下方圧力となっていた節税対策売りの一巡など需給好転が見込ま れた。海外株式に比べた出遅れ感もあり、鉄鋼や非鉄金属、繊維など素材関連株、機械など輸出関連株の一角が上げ、パルプ・紙や海運、電力株も高い。東証1 部の売買代金は、前週末に引き続きことし最低を記録した。
TOPIXの終値は前週末比13.03ポイント(0.9%)高の1529.22と3営業日ぶりに反発、日経平均株価は104円29銭(0.6%)高の1万8873円35銭と6日ぶりに上げた。
大和住銀投信投資顧問・経済調査部の門司総一郎部長は、前週の下落は「日本特有の需給要因のほか、日本銀行の金融政策決定会合の結果が尾を引いていた」と 指摘。きょうの反発は、「買いが大きく入っているというよりも、売りがそれ以上になくなったため」とみていた。

実質新年度入りと言っても、日本が正月の間の年明けから地合が急変するリスクもあるので、普通の機関投資家は大きなポジションを取りません。こんなことをするのは、個人のほかはどうしても年内にショートカバーしないといけない一部ヘッジファンドしかありません。
(マーケット)
マーケット1228

(先物手口)
ft1228.png

かつて証券自己も掉尾の一振に加わったことがありますが、今回は11月に大量買いした利益確定モードなので、今週に入ってから再度買い増す可能性は低いと思います。

一部の投資家しか出ていないのは売買代金でも判ります。
(売買代金)
売買代金1228

そして、中身が非常に悪いのは業種別騰落率でわかります。
(業種別騰落率)
業種別騰落率1228

1ヶ月パフォーマンスの下位セクターが値上がり上位に並んでいますので、完全にリターンリバーサル(出遅れ物色)になっています。
これが危険なのは、このところの商品市況の戻りでグローバル景気敏感が買われているというアヤに乗った危険性だけでなく、電ガス、紙パルプ、鉄鋼など上位セクターは有利子負債が全産業平均以上に多いのです。

わざわざこういう株に手を出すかなという感じなので、持続性はないと思います。仮に持続して、1ヶ月パフォーマンスでTOPIX以上に買われるようになったら個別ショートをしても良いでしょう。その位に危険なことです。

昨日の記事でも、原油など商品市況の戻りは一時的でまだ下げる可能性が高いと書きましたが、元凶の中国がまた変調してきています。
中国株:上海総合、1カ月ぶり大幅安-工業利益減少とIPO懸念で

株が先か元安が先か不明ですが、このところ落ち着いていた元ドル相場は本日急落して再度安値を更新しました。
(元)
USD CNY1228

輸出が低迷しているのに工業利益が増えるはずはありません。輸出を回復させるためには、元を更に切り下げる必要がありますが、そうすると、世界の新興国の競争力は更に低下する上に、元切り下げで中国の輸入する力が下がるので、資源市況は更に落ち込むのです。

なので、今の為替水準のままでは中国株の買い支えは一時的で転げ落ちるだけですし、中国経済を立て直そうとして元を切り下げたら、世界の新興国や資源市況が更にめちゃくちゃになるので、どう転んでもリスクオフに向かうのです。

基軸通貨である米国の利上げによって、マネーが米国に還流する上に、世界の需要の伸びの多くを独り占めした国家がバブル崩壊に向かう以上、世界的なリスクオフは避けられないのです。

マネー逆流はこれから本格化しますが、今年1年が過去に無いくらい異常な証券マーケットだったということが以下の記事でもわかるでしょう。

15年は株も債券もリターン低調-アセットアロケーションが機能せず

アセットアロケーションに基づく運用はシンプルだ。ある市場で相場が低迷していても、堅調な市場があればそれに乗れば良い。だが、2015年はその戦略が機能しなかった。
ビアンコ・リサーチとブルームバーグがまとめたデータによると、株式と債券、キャッシュ、商品のどの米国の資産クラスが最も大きいリターンを生み出したか で過去1年のパフォーマンスを測ると、アセットアロケーションのファンドにとっては約80年ぶりの悪い年となった。S&P500種株価指数は年初来で配当 を含めてプラス2.2%、キャッシュのリターンもプラスだったが、株式よりもプラス幅は小さく、債券と商品のリターンはマイナスとなった。
7年にわたる事実上のゼロ金利時代では米国債から高利回り債、テクノロジー株まで軒並み堅調だったが、米連邦公開市場委員会(FOMC)による金融緩和の 終了が近づくにつれて投資家は運用難に直面することになった。通常このようなことはなく、1995年以降はリターンがプラス10%を上回る資産がほぼ毎年 出ていた。
ベ アリング・アセット・マネジメントのマルチアセット北米責任者ヘイズ・ミラー氏(ボストン在勤)は、「株式と債券相場の結び付きが通常よりも強いとすれ ば厄介だ」と指摘。「当社はキャッシュがリスクオフ取引に対する数少ない分散化資産の一つと考えており、通常に比べてキャッシュの比率を高めている」とコ メントした。

株も債券も不動産も資源も新興国アセットも全てパフォーマンスが悪いのはなぜですか?

これこそがマネー逆流による過剰流動性相場終焉なのです。

全てのアセットからマネーが抜けれるから、どのアセットのパフォーマンスも悪化するのは当然です。

今年はそれでも、米国株などは史上最高値圏をうろついていますが、利上げプロセスが本格化される来年はもっと悲惨になるでしょう。

グレートレーテーションと思って株を買っていたら売り崩されたので、債券に向かったら外貨準備を取り崩す中国の売りと利上げで債券も下がるでしょう。
(中国の米国債保有高)
米国債保有1216

(米国債フロー)
米国債フロー

そして、どこに向かってもダメだと気付いたマーケットはあるときパニックになります。これは来年後半だと思いますが、先に世界的な株安が起きると思います。

18500円~19200円ゾーンは何もしないほうが良いと思いますが、このまま大納会まで調子よく上がるようでしたら、19200円にこだわらず先物を乗せても良いでしょう。

鈍感な感覚の感じがかなり2013年末に似てきているので、私はかなりキナ臭い感じを持っています。

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こんにちは。元ヘッジファンドマネージャーの「相場師E氏」です。

12 月16日にリーマンショック以降で始めとなる米国の利上げが決定されましたが、先週はクリスマス休暇で閑散としていたこともあって比較的落ち着いていまし た。利上げが新興国経済に与えるインパクトを考えると、もう少し波乱があっても良さそうでしたが、新興国や資源などは事前にある程度のショートが溜まって いたようで、先週はむしろ反発をしています。

ただ、利上げは来月から行われるので、影響が出てくるのはこれからです。利上げ決定で材料出尽くしということはあり得ません。


思った以上にショートカバーが出ているので、薄商いが予想される今週も先週のような地合いになるかもしれませんが、それは決して利上げを好感したのでも悪材料出尽くしでもありません。

利上げで起きる危機が直ぐに見えていないことによる安心感から来る、単なる需給的な要因なので、突如終わっても不思議ではありません。

その中で日本株は、ドルの利食いの中でも円が買われ易くなっていることから、先進国の中では独歩で軟調になり易いでしょう。

<今週の注目材料>
今週は重要な指標発表がありません。

12/28月 鉱工業生産

12/29火 米ケースシラー住宅価格指数

12/31木 大納会

1/1金 元日 日米欧ともに休場


<マネーの方向性>
リーマンショック対応から始まったFRBの量的緩和が昨年10月のFOMCで終了し、12月16日にはリーマンショック初となる米国の利上げが決定されました。
昨年10月の量的緩和終了で他に供給する基軸通貨マネーが無いとマネー逆流になり過剰流動性相場は完全終了するところでしたが、間一髪のタイミングの昨年10末に日銀が追加緩和をしたことで、先進国に関してはリスクオフには歯止めが掛かりました。
その後、原油安やギリシャ政情不安が出てきたところで、今年3月から欧州ECBによる量的緩和も始まり、そして10月理事会後の定例会見で今年12月には更なる緩和があるとECBがアナウンスし、今月予定通りに追加緩和を行っています。
何もなければリスクオフになるところを、日欧の中央銀行が必死にマネー供給してリスクオンマーケットを維持しているというのが現状です。
しかし、先々週の日銀政策決定会合での追加緩和もどきで、日米欧の当面の金融政策は出尽くしました。日欧の追加緩和は出尽くし、米国は今後粛々と利上げをしていくのみなので、日米欧中央銀行の金融姿勢は先々週を境にして完全に引き締めサイドに転じたといえます。

―FRB―
初 回利上げが決まったので、FRB 政策の今後のポイントは利上げ回数と利上げ幅、そして債券回収時期です。本格的なマネー逆流はFRBの保有債券売却(市中からドル札を吸い上げる)で B/Sを削減し始める2017年以降ですが、利上げをするだけで対外ドル資産が米国に還流するので、グローバルのドルの過剰流動性は減少します。

リーマンショック以降長く続いた緩和政策を大きなショックなく引き締め転じるために、FRBは文言を少しずつ変更し慎重に利上げに向けた地ならしを進めてきました。

ステップ1(~2014年11月) 「相当な期間ゼロ金利を維持」
ステップ2 (2014年12月~)「相当な期間」と「辛抱強くなれる」の併用
ステップ3 (2015年1月~) 「辛抱強くなれる」
ステップ4 (2014年3月) 「辛抱強くなれる」を削除
ステップ5 利上げが適切かどうかについて毎回議論 → 今年5月から
ステップ6 利上げ決定 → 12月16日!

12 月FOMCで決定された初回利上げ幅は25bpsと想定通りでした。今後重要になるのは、利上げペースと利上げ幅と来年末時点での金利水準で、それがマー ケットの期待値とどれだけ乖離しているかが重要になります。FRBは3ヶ月に一度FOMCメンバーの金利見通し(ドットチャート)を公表するのですが、 マーケットは当事者の見通しを全く気にしないで暴走するためです。過去数年は、楽観的なマーケット参加者の見通しが正しかったですが、今回は年内利上げを 見込むFOMCメンバーに対し、マーケットはかなり直前まで来年3月以降の利上げを織り込んでいたために混乱が生じました。

今回のFOMCで公表されたドットチャートを前回9月と比較すると、来年末のFFレートの平均値は変わっていませんが、分布が平均値近辺に収斂しました。
(ドットチャート)
6ドットチャート1218

1%以下の極端に経済に悲観的な見方が減った反面、2%以上というタカ派的な見方も消えたのが今回の特徴です。

この結果、マーケットとの解釈相違は以下のようになります。
●マーケットの期待値はもっとハト派的で依然として乖離が大きい
●今回のメンバーはハト派で、来年からタカ派主導のメンバー構成になる

先 週時点で来年末のFF金利先物は80bpsと、前週とほとんど変わっていませんので、現行のハト派的なFOMCメンバーの平均値である1.375%を織り 込みに行っていません。また、直後に集計されたメリルリンチファンドマネージャー調査では、ファンドマネージャーが予測する来年の利上げ回数はFOMCの 4回に対し3回のままなので、マーケットは依然として楽観的な見方を維持したままになっています。

これは現行FOMCメンバーの見方との乖離ですが、何度も書いているように年明けからFOMCの投票権を持つメンバー構成はタカ派が主流になるので、その乖離はさらに広がってしまう事になります。



(新旧メンバー)
7新旧メンバー


今回のドットチャートで1%以下に付けたと思われるエバンス総裁が退任して、タカ派が入るだけで、ドットチャートの平均は大きく上がる可能性が高いです。

つまり、依然としてマーケットは現行ドットチャートよりも楽観的な見方をしていますが、FOMCの見方は年明け後更にタカ派的になるので、その乖離が拡大してしまうのです。これは、市場が当局の見方に収れんする際の衝撃が大きくなることを意味するので要注意です。

このFOMCとの見方の修正は、本来12月ドットチャートが出てから速やかに始まるはずですが、次回ドットチャートが出る来年3月にかけてなされるでしょう。

次 に利上げ回数に対する見方ですが、FOMCメンバーは9月も12月も年4回の利上げを見込んでいます。これに対しマーケットは、FOMC直前までは年2回 でしたが、メリルリンチファンドマネージャー調査では3回になっているので、来年末のFF金利先物が上昇する過程で年3回の利上げまでは織り込んだと思わ れます。

つまり、今回25bpsなので、今回と同じ程度の利上げをすると考えると、来年末のFFレートは以下のようになります。
年2回だと75bps
年3回だと100bps
年4回だと125bps

現在のFF先物が80bpsなので、今は年2回から3回へと利上げ回数を上方修正させに行っている過程だということができます。

しかし、それでもまだFOMCメンバーとの見方に差があるのです。先ほどのBloombergの記事ではど真ん中の中道派として紹介されていたロックハート総裁ですら、以下のように会合2回で1度の利上げの可能性が高いとコメントしています。

米利上げ、1会合おきの公算=アトランタ連銀総裁 4:37am JST』

米アトランタ地区連銀のロックハート総裁は21日、今後の利上げが緩やかなペースになるとの見通しは、米連邦準備理事会(FRB)が毎回の連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げを実施することを意味していないとの見解を示した。
ロックハート総裁はアトランタのWABEラジオとのインタビューで「緩やかなペースでの上昇は、毎回の会合で利上げを実施することを意味していないことはほぼ確実」とし、利上げが「1会合おき」に実施される可能性の方がより高いとの認識を示した。
そのうえで、利上げペースは「経済が実際にどのような進展を見せるかに左右される」と指摘。FRBが引き締め策に転換したことにより経済成長が損なわれるとは予想していないと述べた。FRBは年8回FOMCを開催する。

緩慢なペースとかねがね言っているので、誰も毎回利上げがあるなんて思っていませんが、それでも記事冒頭のように「毎回あるわけではない」と言っているのは、タカ派の主張が毎回に近いからでしょう。

先週はパウエル理事が「2回に1回の頻度で利上げをするとは限らない」と釘を刺していましたが、2回に1度の利上げというのが現行メンバーのコンセンサスに近いと思われます。

2会合で1度(年4回)の利上げを想定するとした場合すると、毎月FOMCが開催されるわけではないので、自ずと選択肢が限られてしまうのも事実です。

例えば、年4回で来年末125bpsになる世界にするためには、3月、6月、9月、12月の可能性が最も高いでしょうし、もっと回数を増やす場合は更に選択肢が限られてきます。

年5回
●1月、3月or4月、6月、9月、12月
●3月、4月、6月、9月、11月

開 催されない月があるために、5回以上の利上げを想定する場合は、2ヶ月連続で利上げが起きる世界を想定する必要が出てきます。しかし、現行メンバーのドッ トチャート平均にするだけでも4回では足りないのです。なので、タカ派が増える来年のドットチャートで来年末のFFレート平均値が上昇すると、利上げ回数 は5~6回になる可能性もあります。

一方、3回しか予想していない現行マーケットが期待している利上げペースは以下のようなものでしょう。

年3回
●4月、9月、12月
●3月、7月、12月

これを年4回の利上げペースと比べると、特に夏場以降の利上げ見通しの違いが拡大するのが判ると思います。この頃になると、マーケットがないと思っていたのに突如追加利上げが決定される世界になります。

なので、来年は現行メンバーの見通しに収れんするだけでなく、利上げ回数の収れんもなされるので、1年かけて市場の楽観的な見通しの修正がなされそうです。

で は、1-3期は市場とFRBの見通し差異の修正はなされいにくいかというとそれは違います。市場が常に楽観的な見方を取る訳ではありません。何らかのきっ かけでリスクオフになった場合、市場は最悪まで織り込みに行くので、「利上げ回数5回で来年末150bps」という世界を新興国危機の中で織り込む可能性 もあるのです。
得てして、楽観の修正が行き過ぎ悲観サイドまで行く場合は、他のリスクトリガーでセンチメントが悪化しているときに起こり易いものなので、1-3期の早い時点で来年末80bpsという楽観的な見方が現行メンバーの平均値135bpsになる可能性も十分あります。

こ のため、依然として来年の利上げ回数3回を織り込む過程で来年末に80bps程度のFFレートだろうと思っているマーケットにとって、利上げ回数が想像以 上に多い、利上げ幅は想像以上に大きい、ドット分布は上方修正されて来年末のFFレートが1.5%になっている・・・というようなネガティブなことが今後 も続く可能性が高いと考えられます。

以上を整理すると以下のようになります。

         FRB   マーケット
次回利上げ時期  3月    4月
来年利上げ回数  4回    2→3回
来年末FFレート  1.3%   0.8%


今週は要人発言もないでしょうから、年明け後に出てくる新メンバーの発言が出てくるまでFOMC発のニュースの重要性は低下するでしょう。

―欧州ECB―
今 月上旬のECB理事会での追加緩和は、事前に期待させすぎたのでネガティブサプライズになりました。尤も、ECB発のニュースを丹念に拾って客観的に判断 していけば今回の決定内容は予測可能でしたが、マーケットは完全に妄想の暴走をしていましたので、「あらゆる手段を検討する」と期待させたドラギECB総 裁が悪いのです。

ECBの追加緩和後もドラギECB総裁は「ECBの行動に限界はありえない」と更なる追加緩和を示唆するような発言をしましたが、他の理事は量的緩和自体に否定的な意見も出てくるなど、あらゆる手段での追加緩和に対し一枚岩でないのを露呈してしまっています。

結局、ドラギECB総裁以外で積極的な人はほとんど居ないので、今後ドラギECB総裁が更なる追加緩和を示唆する発言をしても、直ぐに追加緩和期待が醸成される可能性は低くなってきました。
ド ラギECB総裁が嘘を付いているのではなく、ドラギECB総裁の願望ほど他の理事は追加緩和に肯定的ではないので、ドラギECB総裁がその気でも早々の追 加緩和は困難とマーケットが気付きだした以上、多少のリップサービスではマーケットは反応しなくなったということです。

従って、ECB発のマネーの方向性は、過去2ヶ月で過剰流動性相場を期待した反動が続くために、楽観的だったコンセンサスがECBの平均意見に収斂する過程での引き締めサイドになるでしょう。

今週は特に発表や要人発言は予定されていませんが、仮になんらかの発言が出たとしても、ドラギECB総裁以外の理事が追加緩和に消極的な意見を出している以上、実際に追加緩和があるまでECB発の追加緩和期待は醸成されにくいでしょう。

―日銀―
散々追加緩和に消極的な発言を繰り返していた黒田氏がまたもや市場を騙まし討ちにしました。
(追加緩和内容)

ただ、その内容は過剰流動性相場に繋がる国債購入額の増額ではなく、ETF増額などなので、マーケットを驚かそうとした割にはインパクトの乏しい内容でした。この内容のしょぼさゆえに、今はこれが限界と思われてしまったのは事実です。

実際、24日午後、黒田氏は日本経団連審議員会で講演し、物価の基調は着実に改善しているとする一方、2%物価目標の早期実現に必要ならちゅうちょなく対応すると発言しましたが、翌日のマーケットではこの発言は完全に無視されていました。

元々、来春の企業のベアを見たいと言っていたので、今回の追加緩和で少なくとも来春までの追加緩和はなくなりました。これから3ヶ月は新興国危機が起き易いにも関わらず手持ちのサプライズカードを使い果たしてしまったのです。

従って、今後日銀発のニュースの重要性はかなり低下します。

以上を整理すると、今週は各中央銀行とも重要なニュースはありません。米国利上げ以降に出た発言が蒸し返される可能性はありますが、比較的中央銀行の重要度が低下する週になります。

<リスクオン/オフ>
昨 年10月の米国の量的緩和終了前後から新興国はリスクオフに転じましたが、同時期に発表された日銀マネーと今年3月に始まったECBの量的緩和に救われ先 進国は今まではリスクオンが継続していました。12月初旬のECBではマーケットが期待した国債買い入れ増額は決定されなかったので、今年3月以降の日米 欧のマネー供給ペースに変化はありません。
しかし、12月16日に決定された米国の利上げで、いよいよ基軸通貨マネーの逆流が本格化します(なお、日銀の追加緩和は日本株ETF買いなので、世界のリスクオフ解決には無関係です)。

先進国のリスクオフ、特に米国株のリスクオンが終わる場合の可能性は上海株安を加えて4つありましたが、ギリシャ問題が片付いたので、地政学的リスク以外でマーケットが気にすべきリスクオフになるトリガーは3つに減っています。

リスクオフになるトリガー
●米の利上げによって過剰流動性相場が本格的に終了すること
●昨年1月のように新興国のリスクオフが深刻化しフラジャイル5など比較的大きな国の危機が勃発する
●中国経済懸念(上海株安/元切り下げ)をきっかけにした世界株安

この3点はいずれも密接に関係しており、特にFOMCで利上げ先送りの理由を海外発の物価下落による影響としたことで、全てが相互的に絡んでいますが、その根源は中国経済に尽きます。

つまり、
●新興国危機は中国経済減速に起因
●米国が9月から利上げを躊躇していたのは、世界的な商品市況安の見極めをしていたためなので結局は中国経済
です。

そのいずれかがおきても、玉突き的に他のリスクが現実化するので、結局は全てが起こる可能性が高いのです。
●新興国危機が起きる事態になると利上げは先送りになるだろうが、中国経済はもっと酷いことになっている
●米国が利上げをすると、新興国危機に拍車がかかり、中国からの資金引き上げも加速し、中国危機に繋がる
●中国経済がクラッシュすると、新興国だけでなく世界的な混乱に繋がる

こうして見ると、元をただすと中国経済要因が独立リスクかつ一番の問題だということになりますが、ここではそれぞれ別個に検討することにします。

まずは米発のマネー逆流懸念、引き締め懸念から来るリスクオフシナリオです。現在、世界のマーケットがリーマンショック以降の高値圏で維持出来ているのは、米国の利上げがない中で日欧の緩和マネーの恩恵があるからに過ぎません。

ジャンク債などのリスク資産は既にリーマンショック来の水準までになっているのに、多少調整したといっても依然として史上最高値圏に米国株が位置しているのは、過剰流動性マネーに支えられているだけです。

今年6月中旬以降、世界のマーケットに調整感が出てきたのは、日米欧中央銀行のマネーの方向性が微妙にタイト気味に転じたことがきっかけでした。
●FRB:利上げ時期前倒し懸念台頭 → かなりの確度で今月だが、次月以降の見方が急速に台頭
●ECB:来年以降も緩和は続くが、ボラティリティ容認=債券買い入れピッチが緩む懸念 → 依然として懸念が残る
●日銀:追加緩和打ち止め観測 → 早期緩和終了懸念は消え、追加緩和観測も

しかし、今年10月以降は、その巻き戻し的な動きになりました。
●FRB:利上げは来年3月以降に先送りとマーケットが勝手に判断(弱い雇用統計で)
●ECB:12月に追加緩和をする、あらゆる手段を検討しているとドラギECB総裁が発言
●日銀:10末の追加緩和があるとマーケットが勝手に判断

つまり、日米欧の中央銀行の全てがマネーを緩める方向に動くという見方になってしまったために、マーケットは勝手な妄想的なリスクオンになったのです。きっかけは弱い米国雇用統計を受けて、マーケットコンセンサスの利上げ時期が後連れしたことです。
ほ ぼ同時期にFOMCのタルーロ理事とブレイナード理事が相次いで年内の利上げに反対する発言をしたこともその理由ですが、他の要人は引き続き年内利上げに 賛成する意見が主流でした。FOMCメンバーで最もハト派の二人がこの時期に発言をしたことで、結果的にマーケットをミスリードさせることになったので す。

10月の楽観相場において、中央銀行と市場との見方の違いは以下のようになっていました。
●FRBは再三、年内利上げと発言 ⇔ マーケットは来年3月以降
●日銀は追加緩和の必要ない→ ⇔ マーケットは10月緩和、そうでなかったら11月緩和
●欧州ECBは追加緩和決定(預金金利引下げの可能性大) ⇔ マーケットは最も効果がある債券購入増額期待

つまり、欧州ではベストシナリオを織り込み、日米は当局が否定しているのに緩和的行動を織り込んでいたことから、12月初旬のECBの追加緩和でショックを受けたのです。

10月以降のアヤが数ヶ月に亘り長大になったのは、リーマンショック以降のマネーの大量供給で、いまだかつてないくらいに中央銀行の影響力が大きくなっているのに、中央銀行の情報発信力が応え切れていないのと、市場参加者の咀嚼能力も十分でないためでしょう。

現 時点でも、来年の利上げペースの見方がFOMCより過度に楽観的ですし、来月利下げで見ている投資家も居るくらいなので、利上げが決定されて悪材料出尽く しにはなりません。今後数ヶ月程度時間をかけながら、来年末1.3~1.5%程度のFFレートの世界を織り込んでいくのです。

一方の ECBはドラギECB総裁の発言の信頼性に対する疑問符が付き始めてしまったので、ECB発のマネーは当面は増額無しという見方に落ち着くと思われます。 同様に、日銀は今回も騙まし討ち的なサプライズ緩和をしましたが、内容が意味のないレベルだったので、頑張ってもこの程度しか出せなかったと取られてしま いました。

つまり、日欧中央銀行の追加緩和は当面はお預けですし、株価対策的なリップサービスをしても信じてもらえなくなった可能性が高 いのです。リップサービスが通用しない場合、実際にアクションをするしかありませんが、ECBがドラギECB総裁以外の理事がこれ以上の緩和に否定的です し、日銀は今回の内容があまりにも出涸らし的なものだったので、追加緩和発表をしても大したものが出てこないとまで取られる可能性もあります。従って、日 米欧中央銀行のマネーの方向性は完全に引き締めサイドに転じましたし、リップサービスで修正することも当面は困難になりました。

今の先進国の株価は依然として10月初旬の弱い雇用統計で米国利上げが来年3月以降にずれ込むという期待感で上がったままですので、中央銀行のアクションに対し過剰に楽観的な見方のままで市場価格が形成されているといっても良いでしょう。

従って、今後日米欧中央銀行の真意にマーケット見通しが近づくだけでも、(マネー引き締めとなる)リスクオフ的な動きになり易いと思われます。

特 に、FOMCの見方とマーケットの見方は著しく乖離が見られるので、今後次回利上げ時期や来年末のFFレート水準に対し、マーケットがきちんと読み込むよ うになれば、それだけでリスクオフに拍車は掛かるでしょう。これは3月と思われる次回利上げまで待つまでもなく、年明け後に投票権を持つFOMC新メン バーの発言などで徐々にマーケットの見方はFOMCの見方に近づいていくと思われますので、米国の利上げをトリガーとした中央銀行発のリスクオフが起きる リスクは徐々に高まっていくでしょう。

次に新興国発のリスクオフシナリオですが、ドルの上値が重くなったことを受け、新興国通貨下落も一旦は落ち着いています。
(ドルインデックス)
8$USD1226.png

しかし、年間では大幅な下落のままです。
(新興国通貨の年間パフォーマンス)
9新興国通貨年間1221まで

先週政策金利を据え置いたトルコも、米国の利上げに追随しないと通貨下落に拍車がかかるために、早晩利上げをすると予想されていますが、そうなると2014年1月の新興国通貨危機の再来と同じ状況になります。
(トルコ政策金利)
10トルコ1226

当時もアルゼンチンのデフォルトの噂がある中で、米国が量的緩和縮小を開始し新興国から資金が大幅に流出し始めたので、トルコが通貨防衛のために大幅に金利を引き上げ、結果経済の低迷に拍車がかかり、さらに資金流出につながったという悪循環に陥りました。

このため政策金利の引き上げは危機の重要なシグナルになりますが、各国の国債利回りがこのところ上昇気味なので、既にその兆候は見られます。
(トルコ国債)
11トルコう1226

(ブラジル国債)
12ブラジル1226

(南ア国債)
13南ア国債1226

こ れを見ると判るのは、8月危機の時直ぐに国債利回りが上昇したのではありません。一旦商品市況が落ち着いた9月以降各国の利回りが高値を付けているので、 今回CRBが多少戻したからと言って、新興国の危機が去るのではなく、今後1~2カ月のラグを伴って危機に繋がるとみています。

そもそも商品市況も戻りは実需回復や生産減少といった需給要因ではなく単なるアヤに過ぎません。先週API統計で在庫が減少したことを好感したWTIが上昇しましたが、原油在庫は依然としてリーマンショック後のレンジを遥かに超過したままです。
(WTI)
14原油1226

(EIA原油在庫)
15EIA1226.png

(EIAクッシング在庫)
16クッシング1226

このためショートカバーが一巡したら再度下落歩調に転じると思われますので、新興国通貨や新興国株式の落ち着きも一時的と判断しています。

2014年と同様に、今回も年明け以降かなり危険です。


最後は中国経済懸念(中国株だけでなく元切り下げリスクも出てきたのでリスクを中国経済全体にします)ですが、米国の利上げ決定と同じタイミングで元の下げが止まったことから株も落ち着きを取り戻しています。
(上海総合)
15上海総合指数1227

(元ドル)
16USD CNY1226

元が堅調になったのは需要増と言われていますが、米国の利上げ決定と同時に需要が増えるなんてことは不自然なので、通貨安を容認していた当局が、米国利上げの影響を見るために、一旦歯止めをかけたと考える方が自然です。

中 国株は、景気対策や政策期待で堅調と言われていますが、この数カ月期待で堅調な割に抜本的な対策はひとつも出ていません。因みに、先週出た対策は「住宅在 庫を減らすために、農村部住民の住宅購入を奨励すると当局が発表」といったモノで、どういった優遇措置で行うかなどの詳細は全く不明で、単なる発表なので す。このような発表が10月以降相次いでいて株価は堅調なのですが、その割に経済指標の悪化に歯止めがかからないことから、当局は実効性のある対策をなん ら打ち出しておらず、リップサービスだけで急場をしのごうとしていると思われます。

この持続性がどの程度か不明ですが、半年も続かないでしょう。

先週書いたように、中国は数少ない信頼できる経済指標だった発電量、鉄道貨物輸送量も操作し始めたようなので、今どれだけ悪いか、いつマーケットが崩れるかがほとんど判らなくなりました。

銀行間金利を見る限りでは、金融システム不安になるような事態は今後数週間はなさそうですが、それが株価が急落しないという保証にはなりません。

こ のところ世界のマーケットは中国株を見て一喜一憂するようなことはなくなったので、中国株が買い支えられているからといってリスクオフにならないというこ とはありません。しかし、中国株が再度暴落したら、間違いなく世界のマーケットはリスクオフに拍車が掛かるでしょうし、元安が続けば新興国通貨安に繋がる ので、今は中国株より元安の方が重要と思われます。

結果、先週は堅調でしたが、過度の楽観で上げ続けているため、今週の中国株は下落すると観ていますが、それでも日本株相場見通しをする上の中国株前提は3200~3700ポイント(基準3550ポイント)程度としています。

中国株が3000ポイントを再び切るような局面でもない限り、中国発で世界のマーケットがリスクオフになるということはなさそうです。

以 上から、今週世界のマーケットがリスクオンかリスクオフになるかのポイントは、日米欧中央銀行の真意とマーケットの期待値とのギャップが解消されることに 伴う失望から来るリスクオフへの流れと元安の進行と新興国危機の勃発ですが、原油を始めとする商品が一旦落ち着いているので、いずれも本格化するのは年明 け1月以降と思われます。

 

<日本株を取り巻く環境>
―ファンダメンタルズ―

上場企業の中間決算は、売上+2.1%、営利+25.0%、当利+20.7%なので強い基調でしたが、7-9期だけで見ると経常と当利が若干の減益になり、下期の下方修正をする企業も多かったので、企業収益のモメンタムはピークアウトしています。
上方修正と下方修正の比率であるリビジョンインデックスは、8月をピークに下向きトレンドに変化しています。その理由は、トヨタの下期見通しやキャノンの下方修正の要因のように中国経済の減速がメインです。

中国を理由にした下方修正は欧米企業では一般的ではないので、日本株はやはりどの先進国よりも中国の影響を受け易いといえますので、中国経済への懸念が残る以上はファンダメンタルズでは買い続けるのは難しい状況です。
「爆買い、ピークは過ぎた」 象印マホービンの市川社長 :朝日新聞 ...』

「中 国人による爆買いのピークは過ぎた」と話すのは象印マホービンの 市川典男社長(57)だ。外国人観光客ら向けの炊飯器の売り上げは昨秋から今春にかけてがピークだったという。今秋からは前年割れするようになっていて、 11月は推計で前年同期の3割減の売れ行きだった。中国政府は銀聯(ぎんれん)カードの使用について制限を発表しており、「外貨流出をとめようという政策 の影響もあるのではないか」という。

魔法瓶だけではなんとも言えないと思うかもしれませんが、魔法瓶の中国人占有率は他の製品より高いのです。今後、炊飯器や衣料品、薬局などでもこのような話が出てくる可能性があり、その場合インバウンド関連が総崩れしセンチメントに影響を与えるので要注意です。

また、リスクオフ時は円が買われ易いので、企業収益の下方修正懸念が高まりますので、世界のリスクオフ時は他の先進国以上に新興国に連動して下げやすいでしょう。

 


―日本株のポジティブ/ネガティブ整理-
グ ローバルのリスクで日本株が影響を受ける場合、米国発のマネー逆流懸念、新興国発のリスクオフが先進国に波及するリスク、地政学的リスクなどがあります。 一方でグローバルリスク以外での日本固有のリスクは、徐々に増えてきました。ずっと強気だった周囲の外人も、6月以降は支持率低下や日銀の緩和終了懸念を 口にし始めました。これは昨年11月以降で初めてのことです。

現時点で、日本国内外のリスクをまとめると以下のようになります。

1マネー逆流懸念再燃 → 日米欧ともに楽観サイドに振れていたのを修正過程
●FRB 利上げ!
●ECB 追加緩和不発
●日銀追加緩和観測 → サプライズ緩和だが逆効果で出尽くしという心象を与えた

2コモディティ安 → 8月安値を更新したが一旦落ち着いている

3地政学的リスク
中国シャドーバンキング →今は問題なし
米中関係 → かなり注意
中国国内の政情不安
トルコ情勢
フランス同時多発テロ

4新興国危機 → 依然として注意
中国株下落リスク → 今週は大丈夫かも
元切り下げ → まだ続く可能性大
新興国デフォルトリスク 徐々に高まってきた

5日本固有のリスク
●追加緩和期待消失
●支持率低下、政権混乱懸念 → 安保を巡るゴタゴタ
●新3本の矢に対する失望

一方のポジティブ要因は以下のようになっています。

1:追加緩和期待 → 追加緩和したことで完全に消失

2:良好だった企業収益 →下期は下方修正
円高、中国懸念時はネガティブさが加速

3:積極的になりつつある株主還元

4:リップサービス的な対策
補正予算:追加報道無し
軽減税率:決定したがポジティブではない

と見ると判るように、ポジティブは消失したか、ピークアウトしているか、材料出尽くしなのです。株はモメンタムや方向感で動くので、このポジティブ材料の変化は明らかにネガティブです。

このため、需給以外は日本株を巡るポジティブ、ネガティブでは依然としてネガティブのほうが多いし、去年と同程度だが効果は更に不透明な補正予算では追加緩和期待消失のネガティブを相殺することは出来ないと考えています。

以上を踏まえて、今週の相場見通しですが、今週の変数も新興国などのリスク勃発があるかどうかにします。

リスクオン  18700~19300円(19000円)  1割以下
リスクオフ 17800~19000円(18500円)   9割以上

(参考)上海株暴落時(2500ポイント以下)or地政学的リスク勃発時 16000~19000円(17500円)

本来なら米国の利上げ決定でリスクオフが加速してもおかしくないのですが、原油安の落ち着きを背景とした新興国アセットなども戻し歩調なので、日本株だけが独歩で極端な下げになる展開は想定しにくいです。

リスクオンオフの項目で見たように、中央銀行の金融引き締めによるリスクオフシナリオも、新興国発のリスクオフシナリオも本格的には年明け以降に出てきそうなので、今週は海外の落ち着きもあり日本株も比較的落ち着いた週になりそうです。
なので、ボラティリティが低下すると思われるためレンジの上下限を狭めています。

先週の相場見通しと比較すると、先週末の日経平均終値18769円なので日本株はリスクオフ入りしているのは間違いないです。

リスクオン  18500~19500円(19000円)  1割以下
リスクオフ 17000~19200円(18300円)   9割以上


他のアセットや地域がショートカバーもあってリスクオフかリスクオンかあいまいな状況の中で日本株が弱いのは、他の地域よりショートカバーニーズが乏しいためアヤが早期に終結したことと、世界のデフレの発信地である中国の近くということと、円が強含んでいるためです。

こ のうちの円の強含みは、利上げ後の巻き戻しでドルが軟調になる中では、安全資産需要があることを考えないと説明しきれないので、やはり中国の至近にあると いうことでの安全資産ニーズがあると思われます。また、11月の壮大なアヤを演出した証券自己が完全に売り方に回っているのも、アヤが発生しにくい理由な ので、この動きがある以上、日本株は他の地域ほどにはアヤで戻る可能性は低いです。

つまり、他の地域が堅調でも日本株は下げやすいという事です。

結局、今週は先週達成出来なかった18500円を目指す動きになるかと思われます。

本格的な下げは年明けにお預けですが、新興国危機のきっかけになる経済データが正月は出ないので、日本の大発会時点でいきなりリスクオフに転じることはないと思われます。

なので、今週追加でショートポジションを作るのはタイムバリューのロスがもったいないでしょう。

なので、今週はある程度下落したら、先物及びインザマネーになったプットの利益確定をした方が良いと思います。


突如としたテロでも起きない限り大発会後数日は方向感の出ないマーケットになると考えていますので、今週は下げたところは欲を張らずに利益確定を心がけてください。

もちろん、想定より急落する場合があったら全部利益確定しても良いでしょう。

一方、想定より上がることがあった場合(黒田氏サプライズが終わったのでその可能性は低い)、年明け後しばらくマーケットが楽観で走るリスクも考えて、先物よりは高値でディープアウトのプットを作る程度にとどめた方が良いと思います。

まだ今月終わっていないのでなんとも言えませんが、利上げ決定にも関わらず今月十分に下げなかったので、1月の下げは大きいと思いますが、なにぶん1月限オプションは年末年始でのタイムバリュー減退が気になるので年内に利益確定するに越した事はないです。

年越しのポジションはヘッジファンドもあまり持たないモノです。あまり欲を張らずに利益確定を心がけてください。




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このブログは、毎週日曜配信の相場見通し記事をアメブロの文字数制限のため抜粋したものを、1週間経過後にアップしたものです。

以降の、より詳細な見通しのシナリオや具体的な投資戦略は、(http://financialconsulting.blog.fc2.com/)のブログまで。


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こんにちは。元ヘッジファンドマネージャーの「相場師E氏」です。

昨日の日銀政策決定会合の結果は、サプライズで非常に腹立たしいものでした。想定したポジションを返されるリスクで腹立たしいのではなく、直前まで当面必要ないと言っていたにも関わらず、今回もだまし討ちをした態度が腹立たしいのです。

市場に適切な情報を与え無いでサプライズにするやり方は、中央銀行総裁として不適切というレベルではなく、まるで小学生のピンポンダッシュのようで社会人としても問題があるレベルだと考えています。

昨日の黒田氏(敢えてこのような敬称にします)の追加緩和もどきはサプライズだが悪意あるサプライズで、市場との信頼何系をぶち壊す記念碑的なアクションになるでしょう。結果は、昨日の日本株の終値が示している通りです。

世間やメディアは今回の中途半端なバズーガに対する批判をしていますが、問題の本質はそこではありません。

問題を挙げると、以下のようになります。
●事前に必要というニュアンスを全く出さないことで、昨年10末の追加緩和に続き、またもや市場を騙まし討ちする形になった
●ETFの買いいれは解決にならない
●タイミングのひどさ。必要ないといっていたのに今行う理由は、「米国利上げの直後の緩和なので黒田が救ったと目立てる」というドンキホーテ的な救世主気取りのような「他の目的のためにやった」と思わせてしまう

順番に観て行きます。まずは事前のコンセンサスからです。
追加緩和予想は目先後退、参院選にらみ「春」が増加-日銀サーベイ

12月や来年1月といった近い将来に日本銀行が追加緩和に踏み切るとの予想は減り、夏の参院選をにらみエネルギーを除いた物価が頭打ちになりそうな春ごろに追加緩和をするとの見方が増えている。
ブ ルームバーグが9-16日にエコノミスト42人を対象にした調査では17、18日の金融政策決定会合は1人を除き全員が現状維持を予想した。1月緩和予 想は7人(17%)と前回調査(41人中12人、29%)から減少した一方、3月ないし4月緩和予想は13人(31%)と前回(8人、20%)から増加し た。追加緩和なしの予想は20人(48%)とほぼ前回(19人、46%)並みだった。
10月30日の会合で日銀は2%達成時期を16年度の後 半ごろと従来の前半ごろから後ずれさせたが追加緩和は見送った。黒田東彦総裁の物価目標2%達成の コミットメントに対する疑問が強まり、目先の緩和予想は低下した。同時にインフレ期待の低下は鮮明で、7月見込みの参院選を前に日銀は緩和に動くとの見方 が増えた。
みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは「おそらく黒田総裁が裁量的・機動的にカードを切るタイミングを決めてくるので、ロジックはもはや通じない話になってしまっている」と指摘。1月の緩和予想を4月に後ずれさせた。

こ れは17日の記事なので、前日時点で追加緩和を予想していたのは42人中1人です。この1人も、黒田氏がどうこうではなく、物価情勢を考えるとした方が良 いという「べき論」であって予想ではありません。なので、今回はほぼ誰も想定していない状態での緩和捕捉措置になります。

日銀関係者や黒田氏があれほどまでにしつこく繰り返し目先の追加緩和を否定してきたので、ほぼ誰も想定していないのは当然です。
世 界的なリスクオフに見舞われた今年8月以降、黒田氏を始めとする日銀関係者は、「原油安の影響は一時的」「企業が賃上げに前向きなので、来春のベアで賃金 上昇率がどうなるかまで見る必要がある」といった発言を繰り返し、市場に醸成されていた追加緩和観測を完璧なまでに打ち消してきたのです。

因 みに、黒田氏は昨年10末の日銀政策決定会合でのサプライズ的な追加緩和も、事前に追加緩和観測を改善に火消しする「追加緩和に消極的な発言」と「目標物 価は達成可能」という強弁を繰り返していました。結果、昨年10月の日銀政策決定会合も事前で追加緩和を予想していたエコノミストは数名しかいませんでし た。

自ら必要がないと言い続けてきたのに今やることは、明らかに市場を騙すつもりで嘘を付き続けてきたといっても差し支えないです。

普段嘘を付きまくるのなら、こんな人間の発言を聞く必要などありますでしょうか?

こういう人が何か言っても信じられますか?

昨年に続き、今回の対応で、黒田氏の発言は完全に信用できなくなりました。彼は基本的に、悪意を持って市場を騙そうとしているので、何を言おうとその発言に重みがなくなったのです。

『発言が信用できない人は、中央銀行総裁として不適格』

これが一番の問題です。

で は、必要がないと言ってきたのに、なぜ今追加緩和もどきをしたのでしょうか?まずはその内容からですが、世界の過剰流動性マネーに繋がる国債買い入れ額の 増額ではなく、補完措置として日本株ETF買い入れを年間3000億増額することと、国債買い入れの平均残存期間の拡大です。
日銀:異次元緩和を補完-国債買入期間拡大とETF・REIT追加枠

日本銀行は18日の金融政策決定会合で政策方針の現状維持を8対1の賛成多数で決めた。同時に補完措置として、長期国債買い入れの平均残存期間を拡大することに加え、指数連動型上場投資信託(ETF)の買い入れについて新たに年間3000億円の枠を設ける。
長 期国債買い入れは、来年のグロスベースの買い入れ額増大が見込まれることからこれまでの「7-10年程度」を来年から「7-12年程度」に拡大する。 ETFの買い入れは現在の年間3兆円の買い入れに加え、追加枠を設ける。設備・人材投資に積極的に取り組んでいる企業の株式を対象とするETFを、銀行保 有株の売却開始に伴う影響を打ち消す観点から2016年4月から買い入れる。

残存期間の拡大はテクニカルな問題なので無視して、ここではETF3000億の増額がポイントです。

これは一見すると追加緩和ですが、市中から国債買い入れてマネーを市中に流すのと違い、日本株ETFの買い入れ余力を増やすのみなので、日本株の買い支えにはなりますが世界の過剰流動性増大には繋がりません。
しかも、この増額は元々決まっていた来年4月までに持ち合いの銀行株を売却する3000億見合いなので、増額ではないのです。

では、これは単に補完措置であって追加緩和ではないのかというと違います。出してきたアクションはしょぼいですが、追加緩和で驚いた昨年10月末の日銀政策決定会合並みの反応を期待した「追加緩和的措置」だと考えますし、少なくともマーケットはこのように考えます。
日銀総裁:必要なら政策調整に迅速に対応する措置-緩和補完策の決定

黒 田総裁は補完策について「今回はあくまで、現在行っている量的・質的金融緩和の円滑な推進、あるいは実体経済に対する効果をより明確にしてもらう観点か らしたものだ」と述べた。このため「それぞれ経済見通し、リスク等々を踏まえて、かなり思い切った措置の導入、あるいは拡大をした」とした2013年4月 の量的・質的金融緩和や昨年10月の追加緩和とは違い「いわゆる追加緩和ではない」と語った。
さらに補完策については 「いつか複数あって、その多くはかなり技術的なものなので、若干分かりにくいという点はご指摘のようなことがあると思う」と語った。その上で、「経済・物 価見通し、あるいはリスクの増大、顕現化があって、対応しなければならない、追加緩和をしなければならない時には当然思い切ったことをやる必要がある」と 語った。
日銀は18日の決定会合で政策方針の現状維持を賛成多数で決定、同時に補完措置として長期国債買い入れの平均残存期間を拡大すること に加え、指数連動型上 場投資信託(ETF)の買い入れについて新たに年間3000億円の枠の新設、不動産投資信託(J-REIT)の買い入れ限度枠の拡大を決めた。日銀の決定 を受けたこの日の証券・金融市場は日本株が下落、債券相場は上昇して円が高くなった。
第一生命経済研究所の藤代宏一主任エコノミストはリポー トで「今回の各種変更は、実質的な追加緩和だったにも拘らず、誇大広告的な記載(ETF部分)が投 資家の失望を誘ってしまった格好だ。発表直後の急激な円安・株高と、声明文の内容が消化された後の円高・株安がそれを物語っている」としている。

あ れこれ言い訳をしていますが、マーケットは一番下の引用文のコメンテーターと同じ意見です。つまり、黒田氏は追加緩和として打ち出したので、黒田氏は株が 大幅に上がってしたり顔のつもりだったでしょう。しかし、実際は、誇大広告ということで一転下落したのです。株価の反応を狙った以上、追加緩和として出し たのです。

では、こんなしょぼい対策で何をしようとしたのでしょう?今問題がないと言っていたのに、なぜマーケットを騙してまでこんなことを発表したのでしょうか?今何が問題だと考えてこんなことをしたのでしょうか?
焦点:短期のインフレ期待低下認めた黒田総裁、高まる不透明感 8:34pm JST』

日 銀の 黒田東彦総裁は18日の会見で、重視しているインフレ期待のうち、原油下落などの影響で短期の期待が落ちていることを認めた。原油下落が長期化すれば、短 期の期待がさらに落ち込み、日銀が重視する中長期の期待にも影響、追加緩和判断がメーンテーマに浮上する展開も予想される。
不透明感は一段と強まってきた。
この日の会見で、黒田総裁は「足元で原油がかなり低下してきたことから、短期の期待が下がってきている」と述べ、原油安が短い期間を中心としたインフレ期待に影響を与えていることを認めた。
同時に「中長期の予想や企業の価格設定行動、賃金上昇は特に弱まっているとは見ていない」と述べ、足元の原油安が直接的にインフレ期待や賃上げ動向に影響するとの見方を否定した。

こちらのやり取りに書いてあるとおり、原油安の影響で短期の期待インフレ率が低下していることを懸念してのものです。

ポイントは「原油安」と「短期の期待インフレ率の低下」の2点です。この2点を追加緩和もどきの理由にしたことで、黒田氏の過去数ヶ月の発言は全て嘘だったという事です。
(WTI長期)
wti1219.png

原油安は今に始まったことではありません。もう1年以上も続いていますし、昨年10末の追加緩和は原油安のスタートでしたが、それを理由にして追加緩和を決めたのです。

しかし、その後も原油安は続いていたのに、黒田氏は追加緩和期待が高まると以下の反論と対策を使って追加緩和観測を否定してきたのです。
●原油安は一時的。もうすぐ前年同期で影響は消える。
●企業に賃上げの機運が高まっているので、来春以降の賃金上昇率を見る必要がある
●物価上昇率目標達成時期の後ろ倒し

つまり、目標を後連れさせ、賃上げで物価がどうなるか見たいといい、原油安の影響はもう直ぐ消えると言って逃げてきたのです。

今回の日銀政策決定会合時点での原油安は、昨年来安値を更新していますが、更新したから追加緩和をしたのでしょうか?だとしたらなぜ今年8月は何もしなかった?今も原油安の影響が短期だと考えているのなら、なぜ今このタイミングで追加緩和をする必要があるのか?

この疑問には答えていません。理由は簡単です。今までの公的な発言が全て嘘だったことになってしまうから応えられるはずがないのです。

この追加緩和決定の理由が過去の発言と矛盾していることも問題ですが、もっと問題なのが「ETFの買い入れ増額で原油安の影響をクリアできるのか?」というそもそも論です。

これが冒頭の黒田氏の問題の2点目です。即ち、ETFの買いいれは解決にならないということです。

勿論、国債買い入れ残存期間を長くしても原油安の影響の対策にはならないです。

つまり、今回出てきた追加緩和もどきは、今追加緩和を決めた理由で挙げている構造的な問題の解決に繋がる対策ではないのです。

極論すると、実質的に意味のないことを「一大決定」のように出してきたその誇大表示的な姿勢が問題なのです。

では、なぜこんな意味もないことを今やったのか?本心は聞けませんが、これだけ市場とのコミュニケーションをぶち壊してしまった以上、いろんな見解が出てくるでしょう。

これが3点目の問題です。

日銀が政策を微修正、ETF枠の拡充「政権サポートでない」 7:36pm JST』

日銀はQQEで年間3兆円のETF(上場投資信託)を買い入れているが、今回新たに設備・人材投資に積極的な企業の株式を対象としたETF(当初はJPX日経400連動ETF)を年間3000億円買い入れる枠を来年4月に新設する。
日銀は、バブル崩壊後の局面で買い入れた銀行保有株を来年4月以降に売却し始める予定だが、その売却額(年3000億円)に見合う規模となっている。
設備・人材投資に積極的な企業を支援するかたちの新たなETF購入は「安倍(晋三)内閣が進める成長力強化や官民対話と平仄(ひょうそく)が合っているが、政権のサポートではない」と説明した。

従来から、日銀は年間3兆円の日本株ETFを買い入れている日本株最大の買い越し主体ですが、今回新たに3000億円の増額を決めました。

ただ、内容は普通のETFではなく、設備投資人材投資に積極的な株式を対象としたETFなのです。。。

3000 億こんな銘柄を買っても、原油安の影響の問題解決になりますか?目先の期待インフレ低下に何か効果があるのですか? ETFは株価対策には繋がるが、物価上昇率を引き上げる解決にはならなりません。年間80兆円の国債買い入れ規模からするとゴミみたいな額ですが、もし本 当に原油安による期待インフレ低下を阻止したいと考えているのなら、ETFではなく国債買い入れを年間3000億増やすという判断の方がまだ誠実でしょ う。

アベノミクスの肝と言っていい株高の維持のために、屁理屈をこじつけているだけではないでしょうか?

そもそも、誰がその銘柄を選ぶのですか?そのETFを組成した証券と出来レースですか?そう勘ぐられてもおかしくないでしょう。
なので、このところ、選挙対策のばら撒きが露骨な政権のサポートとして今回の追加緩和を行ったと勘ぐられてもおかしくないです。

今回の原因を解決するための対策とは思えないことを、このタイミングで大々的に打ち出したことで以下のような勘ぐりが可能になってしまいます。
●選挙前のばら撒きに余念がない政権サポート
●証券界サポート
●米国利上げ直後の対応で、世界の救世主気取り

特に、最後の点は、昨年10末の追加緩和も奇しくも米国量的緩和終了と同タイミングだったので、勘ぐられてもおかしくありまえん。実際、昨年は米国の緩和終了を黒田が救ったと持ち上げられて、氏はさぞ気分がよかったと思います。
なので、二匹目のどじょうを狙ったとしても不思議ではありません。

「中央銀行総裁ともあろう人が、そんなちやほやされたいがために、政策決断をするはずがない」

このような発言は従来なら出てきたかもしれませんが、氏は嘘を付きすぎました。

黒田氏がどんなに否定しても、基本市場を騙す人間なので、失われた信頼は戻りません。勘ぐりが一人歩きしていくでしょう。

この勘ぐりが一人歩きをすると、日銀の今後の舵取りを困難にすることになってしまうので、まさに自業自得です。

では、今回の追加緩和もどきの結果、今後どのような弊害が出てくるのかについて書きます。

市場は黒田氏を完全に信じなくなってしまった以上、黒田氏が追加緩和は必要ないと言っても信じないでしょうが、「必要とあれば何でもする」といっても信じなくなったのです。

つまり、市場急落時のサポートになりえなくなったのです。

なぜか?

今年1月の17000円割れや、世界がリスクオフに見舞われた今年8月の株安のときに、黒田氏は何かしましたか?

ECB やFRBは、そのような場合は、追加緩和期待を醸成するようなリスクオン的な発言をしてマーケットの混乱を沈めますが、黒田氏はそういったことをしてきま せんでした。しかし、市場との信頼関係が壊れた以上、今後そのようなことがあって黒田氏が何か発言をしても信じてもらえるでしょうか?

17000円以下では何もしないのに、今回は19500円以上で株買いの追加緩和を決定したので、氏の重要視するポイントが市場が期待しているものと違うような印象を与えてしまいました。

つまり、原因との一貫性のない対策の結果、氏は株安とかは興味なく、「政権支援の必要性」や「米国の金融引き締めと同タイミングで緩和を打ち出すことで目立ちたい」だけなのかと思わせてしまったのです。

マーケットが追加緩和を期待して株価下落という催促相場になっているような肝心のときに出てきてくれないという過去の実績が出来てしまったのです。

次の弊害は当面出尽くしたと思わせてしまったことです。
日銀の補完措置:「苦しい台所」や「手詰まりの表れ .」』

日本銀行が打ち出した量的・質的金融緩和の補完措置について、市場関係者の間からは「苦しい台所を反映している」、「手詰まり感の表れ」といった声が上がっている。
第 一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミストはリポートで今回の措置について「分かりにくい」と指摘する。金融市場の反応は発表直後こそ急激な円安・株 価上昇となったが、時間が経つと効果に対する懐疑的な見方から円高・株安に転じた。こうした市場の反応について、熊野氏は「日銀は市場心理が持っている恐 ろしさをあらためて思い知ったに違いない」という。
日銀は18日の金融政策決定会合で政策方針の現状維持を賛成多数で決定、同時に補完措置と して長期国債買い入れの平均残存期間を拡大することに加え、指数 連動型上場投資信託(ETF)の買い入れについて新たに年間3000億円の枠の新設、不動産投資信託(J-REIT)の買い入れ限度枠の拡大を決めた。
追加緩和もどき
東 海東京調査センターの武藤弘明チーフエコノミストもリポートで「日銀が『追加緩和もどき』の措置を導入したことで、ある種のサプライズを狙ったとすれ ば、それは逆効果になった可能性が高い。マイナーな施策を総花的に打つことで、日銀はもはやマネタリーベースを大きく増やすような腰の入った追加緩和はで きないのではないかという印象を与えてしまったかもしれない」という。

明らかに、問題解決に繋がらないしょぼい策をこれみよがしに出してしまったので、これ以上まともな策を出すことが困難と思わせてしまったのです。

以上より、黒田氏の次の追加緩和はこのように思われやすくなってしまいました。
●マーケットが必要としているときではない
●事前に追加緩和を匂わせているときはしない、コンセンサスが低くなるのを見計らって不意打ちにして驚く姿を見てみたいだけ
〇毎年10月~12月にやりそう
〇米国の引き締めの直後は救世主気取りでやりそう
〇事前に追加緩和観測が下がったときはやりそう

実際、こんなふざけた判断で緩和を考えはしないでしょうが、今まで2回の緩和決定タイミングがあまりにもふざけているので、マーケットがうがってこのように考えてもおかしくなくなったのです。

マーケットが日銀を見放したときにしかやらない可能性を感じさせてしまった、これこそが中央銀行の信頼感喪失ではないでしょうか?

結果、これから半年マーケットが暴落しても、「どうせ黒田は何もしないだろう」と思わせてしまうでしょう。


黒田氏は、はっきりいって日銀という中央銀行総裁を務める人物として不適格です。市場を驚かすのが中央銀行の仕事ではありませんし、自分を目立たせるためのアクションでもありません。

困ったときは必ず助けてくれるという安心感が必要なので、そのために、市場と適切なコミュニケーションを常にして、今後の政策判断を正しく伝わるように日々努力するのです。市場が気にしていないときにサプライズ的なアクションをするのが仕事ではない。

レストランオーナーなら、ゲストをサプライズで喜ばすのはアリでしょうが、たとえポジティブな決断でも市場を騙して事前に期待値を下げて良いモノではないのです。

黒田氏がこれを理解していなかったために、今後3ヶ月は悲惨なマーケットになるでしょう。

私は黒田氏の姿勢に激しく怒っていますが、昨日の日経平均チャートを見れば判るように、市場も激しく怒っていると思います。
(金曜日経平均日中足)
日経1219

ドンキホーテ気取りの黒田氏は、氏がなりたかった世界の救世主ではなく、歴史的な下げの戦犯として名を残すでしょう。

(終わり)



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このブログは、毎週日曜配信の相場見通し記事をアメブロの文字数制限のため抜粋したものを、1週間経過後に(発行日と同じ日付で)アップしたものです。

以降の、より詳細な見通しのシナリオや具体的な投資戦略は、(http://financialconsulting.blog.fc2.com/)のブログまで。


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こんにちは。元ヘッジファンドマネージャーの「相場師E氏」です。

昨日の記事で、ポジションはアヤが出てから作ってもいいかもしれないと書きましたし、週末の記事で最悪19500円になっても死なないポジション量でと書いていました。しかし、それは本当にそうなると思って書いたのではありません。

まさかそこまで狂っていないけど、10月以降のアヤが異常に長かったし、特に11月のパリ同時多発テロを契機にしたリスクオンへの転じ方があまりにもおかしいので、もしかしたらああいう反応がまた起きるかもしれないと思って、念の為書いただけです。

なので、確率は1%もない異常アクションを想定してのことだったのですが、本当にそういうことが起きてしまいました。

こ れから解説しますが、FOMCは少しもポジティブではありません。従来のマーケットコンセンサスと比べると明らかにネガティブです。そして、声明文後の会 見でもポジティブな内容はありませんでした。特に、先週の相場見通し記事で気にかけていたドットチャートは、引き続きマーケットの楽観的な見方の修正を迫 るものなので、ショックで急落するほうが自然な反応でした。

にも関わらず上げてしまったのにいろいろ理由は付けられています。その理由が妥当なものかどうかも含めて、本日は検証していきます。

恐らく、この反動は「後世まで名前が残るクラッシュになる」でしょう。

FOMCの内容を見てから、Q&A形式でポジティブかどうかなどを説明していきます。

FOMC:ゼロ金利政策を解除、来年はなお4回の利上げを想定

米 連邦公開市場委員会(FOMC)は15、16両日に開催した定例会合後の声明で、フェデラルファンド(FF)金利誘導目標のレンジを 0.25-0.5%に引き上げたと発表した。従来は0-0.25%だった。利上げはほぼ10年ぶり。今後の利上げについては「緩やかな」ペースになると し、これまでの予測を維持した。
同時に公表された経済予測の基になる2016年末の適切なFF金利(当局者17人の中央値)は1.375%と、9月時点の予測と同水準となり、来年に0.25ポイントの利上げが4回実施されると想定している。
イ エレン連邦準備制度理事会(FRB)議長は会合後の記者会見で、「景気回復はまだ完全ではないものの、大きな成長を遂げたことは明らかだ」と発言。「委 員会は現在、金融政策スタンスの漸進的な調整とともに、経済活動が引き続き緩やかなペースで拡大し、労働市場の指標が強さを増し続けると予想している」と 述べた。
FOMCはリーマン・ブラザーズ・ホールディングが破たんした3カ月後の2008年12月に事実上のゼロ金利政策を打ち出した。その10カ月後には失業率が10%まで上昇した。
ジャニー・モンゴメリー・スコットのチーフ債券ストラテジスト、ガイ・リーバス氏は「注目すべき文言はインフレ率が上昇すると委員会が確信している箇所で、それが主な変化点だ」と述べた。
今回の決定は全会一致だったものの、金利予測では政策決定当局者の2人が年内の利上げを想定していなかったことが明らかになった。

次に会見がどうだったかですが、私は利上げをしない悪影響を強調しているように感じました。なので、ハト派イエレンFRB議長にしては強い経済への自信、悪く言えば従来よりは利上げペースを早く感じさせる発言に捉えられました。

イエレン米FRB議長の会見要旨

<利上げと回復>
利上げは、景気回復が続くというFOMCの自信を反映したものだ。景気回復に明らかな進展は見られたが、まだ完了していない。
労 働市場の改善余地が残り、インフレもより長期の目標を下回り続けている。しかし、景気が順調で、今後もこうした傾向が続くとみられるなか、連邦公開市場委 員会(FOMC)は、今回の利上げ後も金融政策スタンスは引き続き緩和的であるとの認識の上で、フェデラルファンド(FF)金利誘導目標の緩やかな引き上 げが現時点で適切と判断した。
<シクリカルなぜい弱さ残る>
11 月の失業率は5%と、昨年末の水準から0.6%ポイント低下し、FOMC参加者による長期見通しの中央値に近付いた。求職断念者や不本意なパートタイム就 業者などを含む、広義の失業率も確実に改善した。だがシクリカルなぜい弱さが一部残る公算が大きい。労働参加率は人口動態トレンドの予測を依然下回ってい る。不本意なパートタイム就業者も幾分高止まりしており、賃金の伸びもまだ持続的な拡大を示していない。

<経済見通し、リスクは安定>
委員会は現在、金融政策スタンスの緩やかな調整、および経済活動が緩やかなペースで拡大を続け、労働市場関連の指標が引き続き力強さを増すと想定している。
海外の動向がなお米経済成長へのリスクとなっているが、こうしたリスクは夏以降、低減したようだ。委員会は総じて、経済活動見通し、および労働市場に対するリスクは安定していると判断している。
<低インフレにもかかわらず利上げに踏み切った理由>
インフレが現在も低水準にとどまっているにもかかわらず、FOMCはなぜフェデラルファンド(FF)金利誘導目標を引き上げたのか。
こ れまでも言ってきた通り、インフレが現在軟調となっているのは大部分が一時要因によるもので、こうした要因は次第に後退していくと予想している。また、労 働市場などのスラック(需給の緩み)の縮小によりインフレには上向き圧力がかかるはずだ。さらに、金融政策措置が将来の経済情勢に対し影響を及ぼし始めま で時間がかかるとわれわれは認識している。
FOMCが政策正常化を待ち過ぎれば、景気の過熱や、インフレ率がわれわれの目標を大きく超えて上昇することを防ぐために、ある時点で比較的急に政策を引き締める必要に迫られる可能性がある。
このような急な引き締めは、経済をリセッション(景気後退)に追いやるリスクを高める恐れがある。

<バランスシート規模を当面維持>
大規模な長期証券の保有を維持することで、緩和的な金融状況を維持する一助となり、また将来マイナスの衝撃が及んだ際に、フェデラルファンド(FF)金利を事実上の下限に戻すリスクを低下させる。
<利上げ開始のタイミング>
今回利上げを決めたのは、労働市場のさらなる改善、インフレ率が中期的に2%へ戻るとの合理的な確信という利上げの条件が満たされたと判断したためだ。
わ れわれは、海外経済によるリスクやこうしたリスクが長引くことを懸念していた。だが米経済はこれまで多大な力強さを示している。米経済の支出総額の85% を占める国内支出は引き続き持ちこたえ、確実なペースで拡大している。比較的ぜい弱な海外経済の成長やドル高を起因とする純輸出の足かせはあるが、総じて 労働市場と経済の見通しに対するリスクは安定しているとみている。
<インフレ率と今後の利上げ>
インフレ率が確実にわれわれの想定通りに推移するよう、時間とともに実際の進展を監視する必要がある。追加利上げ前にインフレ率が2%に達するのを確認する必要はないが、われわれはインフレ動向について見通しを持っている。
だが想定通りに進展しない、または目標を下回っている状況が一時的ではなく、労働市場が引き締まっても変わらないなら、確実にわれわれは利上げを休止する。
われわれは最大雇用の目標達成までかなり近い状況にあると示唆してきた。だがインフレ率については目標を大きく下回っている。

実は、今後のペースについて今回の会見で「緩やかなペース」という表現が見当たりません。
一方、マークした3箇所が重要だと思うところです。
●利上げを遅らせすぎると、ある時点で急なペースで利上げをしてリセッションにしてしまうリスクがある
●海外市場は足かせになるかもしれないが、米国の85%は国内支出で、こちらは堅調なので海外が多少ダメでも持ち応えられる。

なので、従来より緩やかなペースという色が薄くなり、海外は楽観していないけど、主に国内の強さで利上げをしても問題ないという認識をしていることになります。

これを踏まえて、Q&A形式をしましょう。

Q:想定と比べてどうか?
A:予想通りだが、先行きは市場の楽観的な見方からするとネガティブ

今回の利上げは25bpsなので、想定通りです。Bloombergがまとめて事前予想では105人中102人が25bpsの引き上げを予想していたので、完全に想定通りでポジティブでもネガティブでもないです。
一方、利上げ後のペースや来年末のFFレート水準を予測する上で重要と指摘していたドットチャートは、従来と変わらないのでネガティブです。

Q:ドットチャートから読み取れることは?
A:平均値は前回と同じ。現行メンバーは平均値に収斂。しかし、年明けからタカ派に入れ替え。

ドットチャートは以下の点が読み取れます。
(ドットチャート)
1ドットチャート1218

●中央値:1.4%程度で前回と変わらず
●最頻値:1.375%(7名、前回は4名)
●0.75~1.0:4名(9月は4名)
●2%以上:2名(4名)

上が減って、下が増えているのでハト派的では?と思うかもしれませんが、前回まで低かった1.375~1.75%にほとんどの人が固まってしまった感じです。

Q:メンバー入れ替えはどうなる?
A:急激にタカ派になりますので、次回3月ドットチャートは様相を変えるでしょう。
現行メンバーのハト派エバンス総裁、中立派ロックハート総裁(ややハト派寄り)とウィリアムズ総裁(ややハト派)、タカ派ラッカー総裁の4名が今回で投票権を失います。
年明けからの新メンバーは、タカ派のブラード総裁、ジョージ総裁、メスター総裁、そして唯一のハト派がローゼングレン総裁(ややハト派)です。
こ の中で、メスター総裁とブラード総裁は屈指のタカ派になり、ローゼングレン総裁はハト派といってもこのところの発言は中立派ロックハート総裁とあまり変わ らない内容なので、新旧メンバーの色は中立色からタカ派色へと一気に変わりますので、来年3月のドットチャートはもっとタカ派色になるでしょう。

Q先行きの見方は市場コンセンサスと比べてどう?
A依然として乖離が大きいです。

今回も年4回の利上げで、来年末1.4%のFFレートなので、25~30bpsの利上げを四半期に一度していきますというメッセージです。しかし、マーケットコンセンサスはまだ2回で、来年末のFFレートも60bps程度です。

Q:ではなぜ米国株や日本株は上げたのか?
(米国株)
2米国株1217

A:謎です。決してこんなに上がる内容ではありません。

Q:利上げに耐えられる経済だということがわかったのがポジティブだったのではないか?
A:違います。
も しそうなら、当局が利上げをすると言ってるときに下げるのはおかしいし、9月利上げを見送ったときに、反発したのはおかしいです。更に、10月初旬の弱い 雇用統計で利上げ時期のコンセンサスがずれ込んだことで世界中のマーケットがリスクオンになったのも成膜が付きません。基本は利上げはネガティブですし、 今回は初回利上げも十分に織り込まれていませんでした。

更に、利上げされたこの期に及んで、まだ往生際悪く、1月に利下げされるという見方もあるのです。
(1月の政策確率)
31月見通し1218

来月利下げで見ている人は、来月利上げで見ている人より多いのです。なので、利上げは織り込まれていませんし、利上げ自体がポジティブだと思っている人は少ないです。問題は(経済が強いという言葉に好意的な反応をしながらも)利下げがあると思っている人です。

Q:米国債など他のアセットの反応は?
A:完全に織り込まれていなかったので、今回の利上げ後も金利上昇を織り込んでいます。
(米国債)
4米国債前後1217

会見後も利回りは上がっています。
米国債:2年債利回りは2010年以来の高水準、FOMCの利上げで

原油やコモディティなどは下落しています。
(FOMC後の原油)
4原油FRB後1217

(コモディティ)
5コモディティ1217

安全資産であるゴールドはちょっと上がりましたが、他のアセットはおしなべてリスクオフ的な動きです。
(CRB)
6CRB1218.png

CRBも粛々と安値を更新し続けています。

また、利上げが新興国に悪影響を与えるという証左です。
ブラジルをジャンク級に格下げ、見通し .. .』

格付け会社フィッチ・レーティングスは、ブラジルの信用格付けを投機的等級(ジャンク級)に引き下げた。主要格付け会社によるジャンク級への格下げは今年2社目となった。
フィッ チは16日の発表資料で、ブラジルの信用格付けを1段階引き下げ「BB+」とし、見通しは「ネガティブ」にした。格下げを受けて、同国通貨レアルは 下げ幅を拡大した。年金基金など多くの機関投資家は投資対象を主要格付け会社少なくとも2社が投資適格級を付与する資産としているため、ジャンク級となっ たブラジルの資産は世界的に売りを浴びる可能性がある。
格下げについてフィッチは「当初予想よりも深刻化しているリセッション(景気後退)、 引き続き悪化する財政状況、政治的な不透明感の高まりを反映するもの だ」とし、膨らむ債務を安定化させる財政措置を効果的に実施する政府の能力が一段と損なわれる恐れがあると説明した。

このタイミングでの格下げは、ドル建て債務が巨額なので、利上げに耐えられないと判断しているからでしょう。

同様に、イエレンFRB議長が米国内は力強いと自賛していましたが、ハイイールド債市場は引き続き売り浴びせられています。
(ハイイールド債)
ハイイールド債1217

FOMCを受けて更に利回りは上昇しました。もう欧州債務危機の水準を超えてリーマンショック時の水準に接近しています。

そして、中国元も下落を続けています。
(中国元)
USD CNY1218

ドルインデックスは再度上昇基調なので、新興国通貨は再び下落し始めています。

ということなので、8月ショックで売られたアセットの多くは、今回の米利上げで当時より環境が悪くなっているのです。8月売られたのに、今売られていないのは株だけです。

Q:現時点で、利上げ回数や次回利上げ時期のコンセンサスはどんな感じか?
A:まだ詳細は不明ですが、来月利下げは1割近くいて、来月利上げより確率が多いです。また、初回利上げのコンセンサスは4月という見通しが最も多いです。
プライマリーディーラー、19社中13社が次回利上げを第1四半期と予想 6:14am JST』

米連邦準備理事会(FRB)が9年半ぶりの利上げに踏み切ったことを受け、米短期金利先物が下落。連邦公開市場委員会(FOMC)声明とFRB当局者の金利見通しから来年も利上げが続くとみられている。
先物市場では、来年末までに3回の利上げが行われる確率が上昇しているほか、次回利上げは4月との見方を織り込んでいる。

回数は3回になりつつあるので、利上げ前の見方である2回より回数が増えてきています。つまり、現在のマーケットコンセンサスは従来の半年に1回で来年末60bpsから、4ヶ月に1回で来年末100bpsといった見通しに向かいつつあると思います。

こうなると、2年債はもっと売られるでしょうから、連れてハイイールド債や新興国債券も売られていくでしょう。

しかし、現行メンバーの来年末の見通しも1.4%ありますので、次回ドットチャートが出る3月には、FOMCとマーケットの乖離は更に高まります。

Q:利上げをしたのに逆反応をするケースは今まであったか?その後どうなったか?
A:通常、利上げ後は、利上げ幅が想定以下で無い限りネガティブな反応をします。織り込み済みでも急反発はしません。この確率は9割以上です。なので、原油など多くの資産でショートポジションが過去最高まで積まれていたのです。
た だ、ごく稀に反対の反応をしてしまうことがあり、直近では2年前(2013年)のFOMC後がそうでした。当時はFRBがリーマンショック以来続けてきた 量的緩和を初めて縮小する決定をしたのです。過剰流動性相場が終了するので常識的にはネガティブな反応をするはずです。実際、その年の5月は、当時の FRB理事長のバーナンキ氏が、「秋に量的緩和縮小を始めようかな」と発言しただけで世界中の資産が急落したのです。
日経平均895円安、バーナンキ・ショック以来の下げ幅 | Reuters』

結局、その年の秋にはしないで(バーナンキFRB元議長が退任直前だったこともある)、翌年の1月から始めたのですが、量的緩和縮小を決めたときに大幅高をしてしまったのです。
そ のとき大幅に上げた理由は今では誰も思い出せないでしょうが、理由は今回と同じく「量的緩和縮小を始めることができるほど世界経済が強いことが確認できて ポジティブ」といった理由です。私は当時からブログを書いていて、量的緩和縮小決定を受けてのこの上げは異常と警鐘を鳴らしていました。その結果、年明け 後に新興国通貨危機が起きてしまったのです。

リーマンショック以降は、中央銀行は市場に対して過保護的な政策を取り続けてきたので、引き 締め的なアクションはこれだけです。そして、その二度は、初回はやると言われただけで急落を起こし、二回目はやると言われたがなぜか大喜びで上がってし まったが、その反動で年明け新興国通貨危機となって世界中のアセットが売り込まれたのです。

リーマンショック以前に中央銀行の引き締め政策発表でこんなに大喜びしたことは記憶にありません。なので、異常です。

Q:こういう異常なアクションはショートカバーのせいではないか?だったら、ネガティブとされるイベント前はロングがいいのでは無いか?
A: そんなことはありません。何度も書いているように、9割は通常の反応をします。ECB理事会やOPEC総会を見れば判るように、結果がポジティブなら上が るし、ネガティブなら下がるのです。なので、ひねくれたポジションを取るとかなりの確率で負けます。今回のように稀に大勝するかもしれませんが、どのイベ ントがアヤ的な動きになるか判らない以上、リターンは低いでしょう。

また、ショートカバーのせいではありません。ショートは常に高水準です。ショートが史上最高でも、原油は米国輸出解禁報道で上がったのは少しで、今は下げ基調に戻ってしまったではないですか。
(原油リアルタイム)
原油7日1217

ア ヤの発生メカニズムやいつアヤが起きるか判ると、ノーベル経済学賞は確実にもらえます。多くのヘッジファンドも喉から手が出るほどほしい理論ですが、残念 ながら誰にも判りません。今回もパリ同時多発テロ後の反応と同じ反応になってしまいましたが、それがなぜそうなったか判りません。

しかし、確実にいえるのは、アヤが終るときは急落なので、ドテンをするより弱気を維持し続けたほうが勝ち易いという事です。

日本株連騰、米利上げで不透明感後退、ペース緩やかも-内需中心買い

17 日の東京株式相場は連騰。米国の連邦公開市場委員会(FOMC)がほぼ10年ぶりの利上げを決定、今後のペースも緩やかであることが示され、米 金融政策に対する不透明感が後退した。幅広い業種が買われ、不動産や食料品、陸運、保険、小売など内需セクターが上昇率上位。
TOPIXの終値は前日比23.99ポイント(1.6%)高の1564.71、日経平均株価は303円65銭(1.6%)高の1万9353円56銭。
日 興アセットマネジメントの神山直樹チーフ・ストラテジストは、FOMCの決定が「想定通りで安心感が出ている」と指摘。米国を中心に、世界景気は緩やか ながら正常化に向かって進んでいることを確認したほか、「足元ではクレジット市場への懸念も出ていたが、FOMCが緩やかな利上げを示したことで落ち着き つつある」とも話した。

上のコメンテーターはクレジット市場は落ち着いたと言っていますが、ブラジル格下げやハイイール ド債の利回りが更に上昇していることでもわかるように、全く落ち着いていません。また、世界経済が緩やかな正常化になったのを確認できたと言っているのは 嘘で、イエレンFRB議長が述べたのは「世界経済が足かせになるリスクは残っているが、米国内の支出が85%を占めるし、その米国内需は堅調なので海外が 多少不安でも大丈夫だろう」という理由で利上げをしたのです。

CMEは19320円だったので、終値はほぼCME並みでしたが、途中19500円を超えたときは狂ったか?と思ってしまいました。
(CME)
CME1217.png

記事で、「念の為、最悪19500円になっても・・・」と書きましたが、まさかその水準に戻ると思ってなかったです。

見通しを外したのならともかく、今回のFOMCの内容は私が事前に予想したのとほぼ同じです。ECBの内容も含めて、海外のエコノミストなどよりこのところあたっています。なのに、株価の反応だけが想定と反対になってしまう。

勿論、これは日本株が狂ったというより、米国株の反応に引き吊られたのです。なので、円安になったのに、物色は恐る恐るのものでした。
(業種別騰落率)
東証1217


値上がり上位はほぼ全てが内需です。

また、売買代金はオーバーシュートしていませんし、先物出来高もあまり増えていません。
(売買代金)
売買代金1217

(先物出来高)
先物出来高1217

なので、日本株が固有で暴走したというより、米国株の予想外の反騰でびっくりしてロングで出てしまったといったところです。

先物でショートカバーらしい動きをしたのはバークレーズとパリバの二社のみです。
(先物手口)
ft1217.png

大量に買ったのはみずほなので、国内勢の買いです。あとはドイツがほぼニュートラルからロングを作ったのがメインです。

ということなので、今回は、米国株の反応があまりにも唐突だったので、外需が怖いけどとりあえずロングにしておこうという動きです。

ちょっと米国株のアヤがどこまで続くか目が離せなくなってきました。

なお、知り合いのヘッジファンド連中はクリスマス休暇に入っている奴も多いのであまり連絡が取れませんが、それまでショートだったので、休暇先で家族に当り散らしていると思います。。。

Q&Aをもう一つ書くのを忘れていました。
Q:利上げでドル高になれば円安になるので日本株にポジティブでは?
A:それが違うのは昨日の記事で見たように、8月は円高になっていました。

今、我々が恐れることは、ただでさえ脆弱でほころびを見せている新興国や中国が、米国の利上げで完全に死んでしまうことによる恐慌的な急落です。
何 度も書いているように、本来利上げだけならマーケットは急落しないで、徐々に過剰流動性相場の終了に伴うPER調整と企業業績懸念で調整していくだけで す。しかし、今回のように歴史的な暴落に繋がる外的ショックとなりうるトリガーが危機的になっているときは、新興国や資源安をきっかけにドカンと下げるリ スクが高くなります。

今回こういう反応をしてしまった以上、その後に来る下げはのちのちまで名が残る下げになるでしょう。

今 後の推奨アクションですが、19700円でも死なない程度のポジション量にしてください。年末が近いので、今回はパリ同時多発テロほどアヤの持続性は長く ないでしょう。また、パリ同時多発テロ以降は、新興国株価や資源価格などもちょっと戻しましたが、今回は死んだままなので、あんなに辛い日を過ごさなくて 大丈夫だと思います。

19500円以上~19700円で少しずつ積むくらいで良いです。前回のSQ時のときに19200円以上でショート を推奨したとき、19500円以上でも積めるようにちょっとにしてと言いました。それはパリ同時多発テロ以降のアヤが嫌だったからですが、その後直ぐに下 がったので、アドバイスは失敗したかと思いましたが、やはり正しかったです。

今のマーケットの異常性を考えると、フルの量でショートを持つのは危険すぎます。不十分な量で下がってしまってもそれはそれで諦めたほうが良いです。

先日も書きましたが、プロ中のプロのヘッジファンドなども、こういうときは先物によるショートは少なめにして、自信がある場合は、プット買いやコール売りをします。コールは踏み上げられたら先物ショートと同じになるので、今はコール売りは控えてください。

プットは195プットも出来れば上等ですが、何度も書いているように、1月限は年末年始でタイムバリューが減退するのであまり多めに持たないほうが良いです。

もし、可能なら、かなり高いですが、2月限の180以下をちょっと持ってもいいでしょうが、これを買うのは、年末時点でもアヤが続いていたときにした方が良いと思います。

とにかく、今回のアクションは異常です。多くのメディアは、「利上げに耐えられる経済を好感」と囃していますが、だったら利上げ報道があるたびに売られる訳がないので、そんな嘘に幻惑されないで下さい。

チキンレースというより、終わりの始まりという気がします。

(終わり)


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このブログは、毎週日曜配信の相場見通し記事をアメブロの文字数制限のため抜粋したものを、1週間経過後に(発行日と同じ日付で)アップしたものです。

以降の、より詳細な見通しのシナリオや具体的な投資戦略は、(http://financialconsulting.blog.fc2.com/)のブログまで。

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こんにちは。元ヘッジファンドマネージャーで、今は資産運用アドバイザーをしている株のプロ「E氏」です。

今日はこの連中が、では如何なるときに日本株を売るのかについて、過去のマーケットを参照しながら見ていくことにします。

過去の検証をする為のデータですが、まず、過去1年ごと外人の売り越しや買い越しを記している資料が見当たらなかったので、ここでは外国人動向指数なる指標でのトレンドで追っているサイトのグラフを使うことにします。

この外国人動向指数は東証の統計ではなく、毎日発表される外資系証券会社の売り買いデータを記録しているので、2週遅れで発表される東証データとキレイに反映しているとはいえませんが、基本的なトレンドは合っています。

この指数は

外国人動向指数 = 買い越し出来高合計 ÷ ( 買い越し出来高合計 + 売り越し出来高合  ) × 100

なので、50を超えたら買い越し、50以下だと売り越しという指数になっています。指数が0や100に近づくときは、マーケットに占める外人のウエイトが極端に上がっていると考えてください。

正確な売買額ではなく、外人の売り買いのトレンドを見てください。


まずは2005年です。この年は、年の前半までは売り越していましたが、後半からは一気に買い越しをしています。11月に少し売ったもののトレンドは出ていません。では、この年はどういうことがあったでしょうか?

<2005年の主要イベント>
4月:中国反日デモを嫌気し年間最大下落
8月:郵政民営化法案否決
8月:日銀が景気の踊り場脱却宣言
11月:円安進行や米相場上昇を好感し8連騰
10-12月:中小型株プチバブル
2005.png

前半は郵政民営化法案の否決など政権求心力にかげりが生じたことや、原油価格高騰や米株急落、中国の反日デモで日本企業の中国展開がうまくいかないことを嫌気して外人が売っています。

こ んな外人が買い始めたきっかけは、日銀による景気踊り場脱却宣言からです。そして、郵政民営化法案の参議院での否決に伴って衆議院解散・総選挙が決まる と、構造改革への期待が高まり、外人の買いが一段と活発化。さらに、自民党が総選挙で大勝すると、株価の上昇に拍車がかかりました。額は小規模ながらも、 買い越しのトレンドがその後数カ月にわたって続いています。

10月にちょっと売られたのは、米インフレ懸念などから海外株式相場が軟調となったこともあり、マーケット自体が利食いに押される展開となったからでしょう。

この年の外人の動きを整理するとこんな感じになります。
●反日デモなど日本固有のネガティブイベントには売り越しで反応する
●日銀の宣言は単純に買いで反応する。
●選挙での新政権は買いで反応する
●構造改革などの期待感が出るときはかなり強く買いで反応する

次は2006年です。この年は年間を通すと売り越し気味ですが、外人の売りと買いの時期がきれいに分かれています。
どういう時に買い越しだし、何をきっかけに売り始めたのかの参考として非常に良い年です。

<2006年の主要イベント>
1月:ライブドアショック
3月:日銀量的緩和解除決定
6月:村上ファンド問題
7月:日銀ゼロ金利解除決定
8月:FRBが連続利上げを休止
9月:安倍内閣発足
2006.png

2005年に4割上昇した日本株相場は、2006年に入るといきなりライブドアショックに襲われ新興株が軒並み総崩れとなりました。また、量的緩和政策の解除観測が高まったことで3月まで指数の下落に伴って外人も売り越し基調となっています。

しかし、3月初めに実際に量的金融緩和政策が解除されると、デフレ脱却期待などから一転外人は買い越しを始め、指数は連れて上昇、4月初旬に年間最高値をつけました。本来ネガティブなのに、発表後上がるところは昨年12月のFOMCによる量的緩和決定後の上げと同じです

しかし、5月に入り、主要国の金融引き締めを警戒して世界的な株安が起きるとそれまで緩和政策終了を好感していた外人は一転して売り越しに転じ、6月には村上ファンド問題が起きたこともあり、中旬に年間最安値をつける過程で外人の売り越しは極大化しています。

その外人が再び買い始めたのは、7月の日銀のゼロ金利解除決定のときです。これも結果的にはネガティブな事象でしたが、一時的には買いを誘っているのです。
その後、地政学リスクの高まりや国内景気の減速懸念などから外人は再び売り越し姿勢となりましたが、8月のFRBの連続利上げの休止の効果で世界的に株価が上がりだしたことと、9月末に第一次安倍政権が発足したことを好感し、外人は再び買い越しを始めました。

11月に入り、通期業績見通しを据え置く慎重な企業が多かったことや、経済指標の弱含みなどが嫌気されたことで再び外人は売り越し基調となったものの、下旬には早期利上げ観測の後退や海外株高などを受け再度買い越しに転じました。

この年の外人の動きを整理すると、以下のことが言えます。
日銀発表には、それがネガティブだろうと、とりあえず買いで反応する
●しかし、効果がネガティブだと判ると売り越しに転じる
●世界的に株価調整時は一緒に売り越す
●ライブドアショックや村上問題など日本固有のイベントにはネガティブに反応する
●政権交代時は期待感からポジティブに反応する

次はサブプライムが深刻化する2007年の動向です。

<2007年の主要イベント>
2月下旬:中国ショック、世界同時株安
2~3月:サブプライムローンは話題になり始める
7月:サブプライムによる信用収縮懸念台頭
8月:パリバショック
8月:米国公定歩合緊急利下げ
10月:サブプライム問題の再燃
2007.png

年初は日本株の出遅れ感などもあり買い越しでスタートしましたが、2月末の上海ショックで世界同時株安になってから売り越しに転じます。
春先以降、円安に伴う企業業績回復期待感や他市場に対する日本株の出遅れ感で日本株は上昇基調となり7月に年間最高値を付けていますが、その中では終始売り越し基調となっています。
そして、7月下旬からサブプライム問題が台頭し、8月にはサブプライムでパリバ傘下のヘッジファンドが凍結されるというパリバショックが起きる過程で、外人はかなり売り越しを続けています。
8 月にFRBが緊急利下げをしてマーケットは多少落ち着きを取り戻すと一瞬買い越していますが、秋口以降、再び欧米金融機関でのサブプライムローン関連の損 失拡大や、米国景気の減速懸念の高まりなどを受け、世界的に株価が下落し始めるに伴い、日本株も急落し、11月に年間最安値をつける過程で、外人は再度大 幅な売り越しとなっています。

2007年の外人の投資行動を整理すると以下のようになります。
●世界的なリスクイベント後数カ月は、日本固有でポジティブ材料があろうと売り越しが続く
●中国よりは欧米でのリスクイベントを嫌う

次はリーマンショックのあった2008年ですが、こんな年でも外人は買い越していた時期がありました。

<2008年の主要イベント>
大発会:年間最高値
1~3月:米信用不安
3月:ベアスターンズ救済
6月:戻り高値
9月上旬:米住宅公社政府管理下へ
9月:リーマンショック
9月:米保険大手政府管理下へ
9月:米下院、金融安定化法案否決
10月:G7公的資金注入協議
10月:年間最安値
12月:90円割れ
2008.png

原油価格の高騰と米国株式市場の下落、円高などを背景に日本株は下落基調でスタート。欧米を中心とした金融不安の高まりなどから、3月半ばに約2年7ヵ月ぶりの安値をつけましたが、その過程で徐々に売り越しが減っていきます。

外 人が買い始めたのはベアスターンズの救済報道からです。全米第5位の中堅投資銀行であるベアスターンズを救済した理由が「大きすぎて潰せない」ということ なので、それ以上の規模のリーマンなどは当然潰さないというメッセージを嗅ぎ取ったマーケットは一気にリスクオンに走りました。

この結果、金融不安が一時的に和らぎ、円キャリーの復活で為替相場が円安に転じたこと、さらに、原油価格も落ち着きを見せたことなどから、日本株は6月上旬には戻り高値をつけました。この過程で、外人は3カ月ほど一貫して買い越しています。

し かし、7月に入ると米国の金融セクターへの警戒感などがくすぶり、リーマンが危ないといううわさがマーケットを駆け巡り始めます。指数が9月上旬まで徐々 に切り下がる過程で、外人は一貫して売り続け、9月中旬のリーマンショック以降は売り越しは極大化して売り続けています。
10月に一瞬買い越しているのは、G7による公的資金注入決議によるものでしょうが、その買い越し効果は2週間ほどで終わったことで指数にはアヤ程度のインパクトしか残しませんでした。

2008年の外人行動の整理をします。
こんな年でも2週間~数カ月の買い越しをするアヤが生じている
●アヤは新たな材料が立て続けに出ないと「落ち着いたと判断して」出てくるようだが、新しいネガティブ材料が出たらすぐに引っ込む
●ビッグイベントのときの売り越しは叩き売るレベルで、それは数カ月以上止まらない
●こういうときは日本固有のポジティブイベントは一切関係ない

次はリーマン後の2009年です。

<2009年の主要イベント>
1~3月:世界的に景気・金融不安台頭
4月:追加景気対策
4~6月:日米欧中央銀行の量的緩和
6月:米雇用悪化で景気楽観論後退
7月:衆院解散
8月:民主党政権
11月:円一時84円台
12月:日銀追加緩和
2009.png

年 明け以降、内外経済指標の悪化や金融システム不安、国内主要企業の業績見通しの下方修正などが嫌気、株価が下落基調となる中で、外人は一貫して売り続けて います。そして3月には、世界的な景気後退と金融不安との悪循環への懸念などが強まり、バブル崩壊後の安値を更新しましたが、そこが外人売りのピークとな り、その後、売り越しは少しずつ少なくなっていきます。この間、円ウォンチャートはピークを迎えています。
ウォン-円5年
4月に追加景気対策が出ると、一瞬大きく買い越しましたが、その効果には直ぐに疑問符が付いたので、2週間程度でアヤは終了します。しかし、4-6期に欧米の中央銀行が相次いで量的緩和策を打ち出すにつれ、過剰流動性期待で外人は買い越しに転じます。

6月、米雇用統計が悪化したことで世界的に景気楽観論が後退した際に売り越しに転じましたが、7月に衆院解散、8月に民主党政権が誕生したことに対する期待感で、外人は数カ月ほど力強く買い越しを続けています。

買い越し額が徐々に減っていたのが、12月に再度強く買われたのは日銀が追加緩和を発表したためです。

2009年の外人行動の整理はこんな感じになります。
●グローバルの景況感や金融システム不安のときは一貫して売り越し
●中央銀行の量的緩和は、日本以外のどこの国でも好意的に解釈し、買い越しが継続する
●政権交代は、期待感から買い越しになりやすい上、効果は数カ月以上継続する

つぎは欧州債務不安が台頭した2010年です。

<2010年の主要イベント>

4月:年間最高値
4~6月:南欧諸国の金融不安再燃
6月:菅内閣発足
7月下旬:欧州銀行ストレステスト結果
8月バーナンキFRB議長、追加量的緩和に言及
8月~10月:超円高
8月:年間最安値
9月:日銀為替介入
10月:日銀包括緩和策
12月:米大型減税延長
2010.png

日 本株の出遅れ感から年明けこそは堅調にスタートし、その過程で外人も買い越していましたが、1月中旬以降は、円高傾向や国内政局の混乱、中国の金融引き締 め観測、米政府の金融規制案発表、南欧諸国の財政懸念など、内外で不透明材料が相次ぎ下落基調となると外人も売りに回っています。

2月にEUがギリシャ支援を表明し、南欧諸国の財政懸念が和らぐと外人は一気に買い越しに転じ、その後、米国の底堅い雇用情勢などを受けて為替が円安に振れたことに支えられ、4月初めに年間最高値をつける過程で外人の買い越しは継続しています。

し かし4月末以降、信用格付の引き下げなどを受け、南欧諸国の財政懸念が再拡大、欧米での金融規制強化の動きなどが嫌気され、投資家のリスク回避姿勢が強ま ると、再び円高・株安基調となると、外人は一気に売り越しに転じます。6月に管内閣が発足しますが全く反応はありません。

7月に入り国内主力企業の業績改善期待や、欧州金融機関のストレステストが無難な結果となったことなどを材料に、値を戻すと外人も買い越しに転じています。

その後、米国および中国の景気減速懸念が強まると、輸出関連株を中心に下落基調となり、8月末には年間最安値を記録しましたが、この過程での外人の売り越しは軽微です。
そして、9月に入ると、予想を上回る経済指標の発表が相次いだことなどから米国景気の減速懸念が和らいだほか、政府・日銀による円売り介入などもあり、買い越し基調に転じます。
更に、11月初めに米国が追加の金融緩和(QE2)に踏み切ると、12月下旬にかけて円高傾向に歯止めがかかったこともあり、株価は上昇基調となり、外人も小幅ですが買い越し基調となっています。

2010年の整理です。
●グローバルリスクが大きいときは、日本の政権交代は無視される
●鳩山政権末期を嫌気しての外人売りはあった
●大きな危機の際、支援を表明したりすると一旦は好意的に解釈し、それが日本でなくても日本買いにつながる

次は東日本大震災のあった2011年です。

<2011年の主要イベント>
3月:東日本大震災
6月:QE2終了
7月:ユーロ圏首脳、ギリシャの第二次金融支援で合意
8月:S&Pが米国債を格下げ
8月:日銀単独介入
10月:日銀単独介入
11月:日米欧中銀による米ドル資金拡充に合意
2011.png

年 初は、米国の景気回復期待や企業業績の改善傾向などを背景に、先進国を中心とした株価上昇が見られた一方、新興国では、インフレ抑制などを狙った金融引き 締めが目立ち、株価は冴えませんでした。日本株はその中では堅調に推移していましたが、特段のイベントもなかったので、外人は売りも買いもしない静かな マーケットでした。
その流れが一気に変わったのが東日本大震災です。福島原発のメルトダウン恐怖と円キャリーの解消で一気に円高が加速、16年ぶ りの円高となり株価が暴落する中で、外人は猛然を買い始めましたことで5月にこの年の高値を付けています。しかし、5月以降、米国で予想を下回る経済指標 の発表が相次ぎ、景気の踊り場が意識されるようになったほか、欧州財政問題に対する警戒感が強まったことで株価は下落基調となりました。これにつれ外人の 買い越しも低水準となりましたが、売り越しにはなっていませでした。

下期の外人は一貫して売り越し基調ですが、グローバルのイベント的には以下のように様々なアクションがありそれに連れ日本株も下落基調の中でもときおり上昇をしています。しかし、外人は一貫して売り越し基調でした。

ま ず、ギリシャ向け追加支援の合意などから7月に一時、持ち直したものの、秋頃にかけては、欧州高債務国や米国の格下げ、経済指標の軟化を背景とする米国景 気の先行き不透明感の強まりなどから、下落基調となりました。特に、高債務国支援での足並みの乱れが目立つようになり、欧州の政府債務懸念が金融機関に対 する信用懸念へと拡がると、株価下落が大きくなりました。10月下旬に欧州首脳が債務問題への包括戦略で合意すると、株価は大きく反発したものの、その 後、市場の懸念がイタリアにまで飛び火すると、再度、軟調となりました。
11月末に日米欧の主要中央銀行が市場への資金供給の拡充で合意すると市 場は持ち直しました。12月の欧州首脳会議では、財政規律強化などが合意されたものの、格付会社は内容が不十分として、欧州主要国の格付の見直し方針を示 しました。ただし、株価は、米経済指標の持ち直しなどに支えられて年末を迎えました。

この過程では円高が急速に進み、日銀は何度も単独介 入を行っています。こうしたイベントにほとんど反応しないで売り続けていたのは、管政権への失望売りと、円ウォンチャートが過去最低レベルだったことで、 「日本売り、韓国買い」のポジションを構築していたためと思われます。
ウォン-円5年

実際、この期間、「サムスンをロングにして、ソニー、キャノン、パナソニックをショートにする」「日本株ショート、韓国株、中国株ロング」という話を散々聞いています。

2011年の整理です。
●政権が腐ると、グローバルのイベントにも反応しなくなり、日本売りの様相を呈する
●国が見捨てられると、延々を売られ続ける
●通常、順張りの外人だが、東日本大震災時は猛然と買い向かった(それまで買いが少なかったためと見られる)
●為替介入ではあまり反応しない
●円ウォンチャートは意識される

次は自民党政権に変わる過程の年です。この年の外人のスタンスの違いはとても興味深いです。

<2012年の主要イベント>
1月:FRBインフレターゲット導入
2月:ギリシャ向け第二次支援合意
2月:日銀物価安定のめどを導入
5月:ギリシャ総選挙で反緊縮財政派が躍進
6月:ギリシャ、緊縮派が過半数
9月:日中緊迫化
9月:ECB無期限の国債買い入れ策を発表
11月:衆院解散
12月:自民党圧勝
12月:第二次安倍政権発足
2012.png

2012年の前半も昨年後半の流れを受け、年の前半は外部環境やイベントに反応しないで日本売りが続いています。
年 初から、予想を上回る経済指標の発表などを受けた米国景気の回復期待や、新興国での金融緩和、ギリシャ向け第2次支援についての合意などを背景に春まで株 式は上昇基調となりました。外人はこんな慈愛でもだいたい売り越しをしており、この中で、外人が買い越したのは、FRBのインフレターゲット導入と、日銀 の物価安定の目途導入のときくらいです。

その後、米国や中国で経済指標が予想を下回り、景気の先行きが不透明となったほか、ギリシャの総 選挙で反緊縮財政派が躍進したことにより連立政権作りがまとまらず、再選挙の実施が決まると、同国のユーロ圏離脱が懸念されるようになりました。さらに、 スペインの金融機関などへ懸念が拡がったこともあり、5月には株価の年初からの上げが帳消しとなりました。

この頃になると、外人は売り枯れとなり、世界的には株価が下落しても反応しないで、逆に値ごろ感からの買いを入れたりするようになりました。
6月中旬、ギリシャの再選挙での緊縮派の勝利に伴ない、ギリシャのユーロ圏離脱懸念が後退したことなどから、日本株は底打ちしましたが、外人の売り基調には変化がありません。マーケットも日銀のETF購入に買い支えられ安値圏でもみ合っています。

9 月にECBが無期限の国債買い入れを行ったと発表したときは、外人の買い越しが1ヶ月半ほど続き、尖閣をめぐり日中が緊迫化し民主党政権に混乱が見られて も反応しなくなりました。そして、10月の解散総選挙と12月の自民党圧勝以降から外人の買い越し基調が強まっています。

2012年の整理をすると
●民主党政権末期は完全に見捨てられ、多少の好材料にも反応しないで売り続けられる。
●日本人投資家によって日本株が上昇していても粛々と売られていた。
短期筋も居ないので、日経指数のボラティリティが低下していた
●ECBの量的緩和はしかし素直に好感。
●政権交代では買いで反応。
●圧勝で政権が盤石となることがわかったら更に強気に買い越し始めた
●ある程度売り込まれると、外部環境がネガティブでも下がらなくなる。

以上が2005年以降のマーケット概況と外人の売り買いの状況です。

そして、昨年2013年は
2013.png
歴史的なくらい、一貫して買っていたのです。

どうでしょう?

なんとなく、売る際、買う際の傾向が判ったと思いませんか?

以上を整理します。
●グローバルネタのほうが大きく反応する
アヤは数週間から数カ月つづくこともある
日銀の発表は、ネガティブかの検証前に取りあえず買いで反応する
●日銀発表を数週間程度検証し、それがネガティブと気付いたら失望売りを始める
●政権交代は期待感で買いで反応するが、支持率低下や政権混乱はネガティブに反応する
世界的なリスクイベントが一旦生じたら値ごろ感なんて関係なく売り続ける
●政権に問題が出ると、国自体完全に見捨てられ、その場合はグローバルの材料にも反応しなくなる。
●この4年ほどは円ウォンチャートと外人の買い越し売り越しが連動しがちになっている。特に、チャートの天底近辺ではきれいに連動している。
●先立って買われていた場合に突発的なネガティブイベントが発生すると膨大な売りが出る(例外は東日本大震災のみだが、これはそれに先立って見捨てられていたからと思われる)。
●数ヶ月の期間で買う場合は、為替が円高でもNT倍率は上がる傾向にある。逆に売られる場合は下がる傾向にある。

このようになります。

以上を踏まえ、昨年膨大に買った外人が今年売る場合のシナリオを考えてみましょう。
●グローバルリスク:中国理財商品問題、ウクライナ、新興国通貨危機がある場合は一気に売り込まれる可能性
●政権混乱:支持率低下などの要因
●有る程度買われているので、極東の地政学的リスク
●対韓国との競争力変化

一方、更に買われるときの材料は以下です。
●グローバル中央銀行による量的緩和 → 終了、逆に縮小過程
●成長戦略 → 既に先行報道が出ている

なので、今はグローバルでの買い材料は減ってきている反面、大型のリスクイベントが複数待ち構えている段階です。

このようなときは、過去の例では、外人が一斉、しかも強烈に売ってもおかしくないと思います。


外人投資家は日本株を永遠に買い続けることはしません。決して上手い連中では無いので、なんかのイベントで外人が叩き売りをしてから参戦したほうが個人投資家は儲け易いと思います。


(終わり)</span>

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こんにちは。元ヘッジファンドマネージャーで、今は資産運用アドバイザーをしている株のプロ「E氏」です。

先週火曜日に日銀が発表した「資金供給枠2倍」が実際には効果がないという報道がなかなか出てきません。経済記者がわからなくても仕方ないですが、国内の株式評論家やエコノミスト、マーケット関係者からも否定的な見方が出ていないのが不思議です。

この政策は実はニーズも実効性もほとんどないのです。

そこで、今日は、日銀の資金供給増が実際影響ないということをもう少し踏み込んでみてみたいと思います。

黒田マジック再び発動される 低利融資「2倍」に市場素直に反応

日銀が金融機関から国債を買い取ることなどで供給する資金供給量(マネタリーベース)は13年4月の異次元緩和導入以降、1.5倍に増えているのに対し、銀行から企業などへの貸出は前年同月比2%台で増えてはいるが、伸びの鈍さも指摘される。
(中略)
延長・拡充される低利融資制度には2種類あり、いずれも金利は年0.1%で融資期間は4年。一つは環境、エネルギー、医療など成長分野に融資した 金融機関に対するもので、通常融資枠3.5兆円を7兆円に倍増。1金融機関あたりの限度は1500億円だったが、既に使い切った銀行もあるため、これを1 兆円に増やす。
もう一方は、分野を問わず貸出残高が増えた分が対象。従来は増えた分が限度だったが、増えた分の2倍に拡大する。衆院経済産業委員会に2月 21日に呼ばれた日銀の雨宮正佳理事(金融政策などを担当)は「2倍」への拡充について、「国内総生産(GDP)を押し上げ期待する」と述べた。
(中略)
日経平均の午前終値は前日終値比130円ほど上昇していたが、午後の取引再開からものの10分ほどで前日終値からの上昇幅を約150円も拡大し証券関係者を慌てさせた。顧客から「何が起きた」と問い合わせがあってもうまく答えられないケースもあったようだ。
この日の上げ相場をまず引っ張ったのは一部の外国人投資家だった。関係者によると「発表内容を読み込む間もなく『2倍』に反応して買いまくっ た」ようだ。 これに慌てた他の市場参加者も買いに走り、あれよあれよという間に500円超上昇し、終値は前日比450円13銭高の1万4843円24銭。 終値の上げ幅は6か月半ぶりの大きさだった。日銀内にも「こんなに株高を呼ぶとは思わなかった」との声が多く、「黒田マジック」再来に驚きが広がる。

やっぱり、発表内容をろくに読まずに「2倍に反応した」ようです。クイズ問題を言い終わる前に「フライングで答えた」ら、質問が全く違っていたような恥ずかしさなのになぜ気付かないのでしょう。

黒田マジックと言っても、当の日銀は騙すつもりはなかったようで、日銀内部でもマーケットの反応ぶりに驚いているようです。下手をしたら、「そんな子供騙しの政策に引っかかる訳無いだろ」と失望売りを浴びせられても良い程度の内容なのです。

こんな具合に株式マーケット参加者は依然として否定的ではないものの、当事者である銀行サイドは決して好意的ではありません
再送-〔焦点〕日銀の貸出支援拡充、利ザヤ縮小圧力の懸念 見えない資金需要の高まり

 <銀行の本音は「ありがた迷惑」>
「大きな声ではとても言えないが、ありがた迷惑」――。 ある大手銀行の幹部は、今回の日銀の貸出支援制度の拡充策をこう評する。   邦銀の悩みの1つは、利ザヤの縮小に歯止めが掛からない点だ。貸出金残高と利ザヤを掛け合わせて生じる預貸金収益は、利ザヤの縮小を貸出の伸びで吸収 できず、減り続けている。この幹部は「貸出支援制度の拡充は、利ザヤの縮小に拍車を掛ける」と懸念する。
銀行アナリストによると、銀行の調達金利は預金保険料などコストを加味すると0.15%程度。日銀の貸出支援策は貸付金利を4年固定の年0.1%としており、低コストであることは間違いない。その分、貸出金利を引き下げることができる。
企業側も低利調達が可能になるため、一部では借り入れを起こそうする動きにもつながる。
しかし、企業の資金需要は決して盛り上がっているわけではない。「過剰設備や過剰人員はリストラなどで対処可能だが、過剰債務に対する恐れが企業に染み込んでいる」(銀行幹部)中で、対外借り入れで設備投資資金を賄う動きはなかなか潮流になっていないという。
こうした中で、貸出増を図ろうとすれば金利ダンピング競争は不可避。日銀による低金利マネーの供給は、さらに金利競争に拍車を掛ける懸念がある。

銀行も「ありがた迷惑」と思っているようです。

昔から、日本の銀行は「晴れているときに傘を貸してくれるが、雨が降ると取り上げる」と揶揄されてきましたが、銀行の親分である日銀は「晴れた日に傘を二本も貸してくれる」ようです。

上の記事のポイントは
●低利で調達しても、そもそも資金需要が無い
●対外借り入れを増やしてまで設備投資資金をまかなう動きは見られない

●この状況化で貸出増を図ろうとすれば、金利ダンピング競争は不可避で、更に金利競争に拍車をかける懸念がある
と言うところです。

今日はこれが本当かどうかをデータなどを見ながら検証していきます。

まず昨年4月からスタートした日銀の異次元緩和前後のマネタリーベースです。
(マネタリーベース)
1マネタリーベース

この表を見ると判るように、マネタリーベースは昨年4月の149兆円から今年1月の200兆円まで34%も増えています。しかし、このブレイクダウンを見てみると、ほとんどが日銀当座預金の中の超過準備なのです。
つまり、日銀が民間銀行から国債買いオペをして民間銀行にマネーを増やした50兆円(149兆と200兆の差額)の実に43兆円が再び日銀の金庫に帰ってきて眠っているのです。

結局、銀行経由で市中に流れているのはたったの7兆円と言うことです。

そうはいっても7兆円市中に流れたので、銀行貸し出しの伸びは高まってきています。
(銀行貸し出しの伸び率)
2貸出伸び
異次元緩和前は、貸出残高400兆円で1%ほど貸し出しが伸びていたので、そこに7兆円加わったので伸び率が3%近くになった、こういう事です。

なので、効果が全くないわけではありませんが、マネタリーベースが前年比較で3割以上伸びているのに、銀行貸出はたった3%増という「大山鳴動してネズミ一匹・・・」のような有様です。

これを貸出側(銀行)と借り入れ側(民間企業や個人など)のニーズを次は見てみます。

まず、貸出側の運営スタンスですが、日銀統計によると
(貸出運営スタンス)
3貸出運営スタンス

異次元緩和がどこからスタートしたのかわからないくらいに緩慢な動きです。この数ヶ月ほどで中小企業向けの融資はやや積極化させてきていますが、銀行が積極的に貸したい感じは受けません。

業種別の貸出で見ると、
(業種別貸出伸び率)
6業種別貸出

電気ガスは燃料費アップで大赤字なので、後ろ向きの借り入れ増でしょう。貸し出しが増えているといっても、あまり前向きな業種で増えている感じではありません。

一方、借り入れ主体別の資金需要ですが、
(資金需要)
4資金需要

需要がずっと強いのは個人(主に住宅ローン)で、日銀の異次元緩和以降、企業の借り入れニーズもちょっと高まっています。これはおそらく、低利での借り換えニーズと思われます。

企業向けの中身をもう少し見るために、業種別の資金需要を見てみると
(資金需要判断)
5業種別資金需要

建設不動産や金融保険などのバブル系セクターのニーズが高まっていますが、一般製造業やサービス業のニーズは高くないです。なので、もしかしたら、建設不動産や金融の資金需要は被災地関係の特需の可能性も高いです。

という具合に、貸出側も借り入れ側もイマイチ盛り上がりにかける銀行融資利用ですが、その原因を次は見てみます。
(資金過不足)
7資金過不足

こ のグラフを見ると、民間企業はリーマンショック以降、借り入れを減らし、現預金を増やしてきています。これは、リーマンショックで潰れそうになったので、 自分の身は自分で守ろうと現預金を潤沢に溜め込み始めたのです。企業経営としては健全ですが、そのお陰で銀行が相対的に用無しになってきているのです。

これはもっと長い期間で見ても顕著で、
(外部資金依存度)
8外部資金依存度

この20年で、民間企業は外部資金の依存度を急速に下げて、設備投資はキャッシュフローの範囲で行うようになっています。リーマンショックの前から、現預金を溜める動きが続いていたのです。
これは、バブル崩壊後の銀行貸し出し姿勢の急変で、資金繰りが厳しくなったため、企業が銀行に頼らずに自己防衛に走っているためです。

こういう状況下で、資金供給枠を二倍にしたところで貸出が増える訳が無いのです。

銀行からしたら、無理して変なところに貸して焦げ付くくらいなら0.6%で回る国債を持っているほうが良いのです。そして、もし、日銀買いオペで保有国債を売ることになったら、代わりに入ってきたマネーは貸し出さずに日銀に超過準備に預けておいたほうが良いのです。

従って、先週日銀が発表した「新たな量的緩和もどき」は所詮「晴れた日の傘」にか過ぎないわけです。

黒田マジックに過度な期待をしないようにしましょう。

(終わり)


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こんにちは。元ヘッジファンドマネージャーで、今は資産運用アドバイザーをしている株のプロ「E氏」です。

今日は、信用の売り買いが市場にどのくらい溜まっていて、それがマーケットにどんな影響をするか見てみます。

 

 

このページはとても重要なので、株式投資をする方はブックマークに登録しておくと良いですよ。

 

東証 : 信用取引残高等

 

東証 : 空売り集計(日次)

 

私は何十年も見ているので、これを見るだけで(今のマーケットが買戻し相場かどうかといった)マーケットカラーがわかるようになっています。

 

 

 

今日はこの見方を披露します。


まずは全体像から確認しましょう。週単位の発表の信用取引現在高です。

 

(信用取引現在高)



これは1週間前なので、ここからの変化を予想するために、日々発表のデータを見ていくのです。次に取引残高を見て、売り買いの目立つ銘柄を見ましょう。

 

(取引残高)




今日は、赤丸で囲った銘柄の動きが目立っていますね。

 

 

 

次にガイドラインに基づく情報を見てみます。こちらはポジション変化の大きな銘柄が載ります。

 

(ガイドライン)



この赤丸とさっきの赤丸で共通なのが元気な銘柄のようです。

 

 

 

「マーケットの買い戻し相場が終わった」というのは、個別での信用売り残が減少することですから、フルキャストやCVSなど「信用売りが減った銘柄のチャートをチェックし、相場が終わったのを確認」します。

 

 

 

そして、それ以上に重要なのが、いまだに信用売りが顕著に増えている銘柄です。

 

 

 

ここでは某評論家氏が一押しの冶金工と3Dプリンター関連のアルテックの日中足チャートを見てみます。

 

(冶金)


(アルテック)


赤丸で囲った部分が、マーケットが急騰した日や、今日の戻しのときです。

 

 

 

これを見ると、信用売りが依然として増えている銘柄の踏み上げがとても大きいのが判っていただけると思います。他にも信用倍率下位の銘柄の日中の踏み上げが目立っていました。

 

 

 

一方、今日の指数牽引度が前場のマイナストップから大引けでは上位トップに踊り出たファーストリテイリングの日中足はというと、



 

(ファーストリテイリング)


先週の値幅ほどには顕著な変化になっていません。


ということは、今日のマーケットは「先物主導による買いというよりは、空売りの買戻しの相場」という事になります。

「どっちだって良いじゃん」と言うことなかれ。

先物主導でも「買いは買い」です。なんらかの強気の材料があるのなら、それは物色にもあらわれてきますし、持続性も違います。

しかし、買いの主体が買い戻しの場合は、それが終了したら終わりなのです。

そして、今日、2月24日のマーケットは一見すると値持ちが良かったですが、「買戻し主体」なのです。

指数が打たれ強いといって炙り出されないでくださいね。

(終わり)


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こんにちは。元ヘッジファンドマネージャーで、今は資産運用アドバイザーをしている株のプロ「E氏」です。


 

今日は株式投資をするにあたって、どんな本にも書いてないけど株式投資をするにあたって一番重要なことを書くことにします。

 

題して、「己を知って、自分に合った投資スタイルを見つけようです。

 

「己を知るなんて、仏教の説法じゃあるまいし」と思うかもしれませんが、投資をする際にとても重要なことなのです。 


まずは、二つのチャートを見てください。上のチャートが1年スケールで、下のチャートが5年スケールとしましょう。

 

Aさんは比較的安いところで買って、比較的高いところで売ることが出来ますが、Bさんは売るのも買うのも遅れ気味だとします。


 

一見すると右肩上がりのチャートですが、こんな相場でも確実に損をする人が居ます。Bさんのようなタイミングが遅れ気味の方もそうですし、上昇相場で空売りを続ける方もそうでしょう。

 

そして、あまりに細かい売買を繰り返して、上昇時はちょっとずつしか利益が出ないのに、下落時にパニックになって大損して、結果として損になってしまう人もいるでしょう。

 

ただ、タイミングが下手なBさんでも長いスケールで運用をすると、そのタイミングが相変わらず下手であってもそれなりに稼ぐ事はできるでしょう。

 

こんな右肩上がりの相場でも損をする人がいるのです。しかし、その人たちは、下手くそで相場に向いていないのではなく、私からすると、「自分自身の特性を判っていない」のです。

 

本当に相場に向いていない人というのはごく僅かで、多くの方は、「そのタイミングが多少下手であっても」自分自身を理解して、その特性にあった運用をしていれば儲ける可能性は高まるのです。

 

人の特性がとても重要だということを判っていただきたいので、プロの世界の話をちょっとします。

 

私が投資顧問会社を経営していたときに、ファンドマネージャーを採用するときは、その人の特性を知るということをとても重要視していました。

 

プロですから優秀なのはもちろんです。優秀じゃなかったら、試用期間中に辞めていただけば良いのです。

 

しかし、とてもナイスガイで優秀だけど、性格特性が運用向きじゃないとか、うちのスタイルでは強みを出せない場合もあるのです。その場合、クビなんて簡単にできず、お互い不幸になるでしょう。


では、どういう特性を見ていたかと言うと、「順張りで強みが出る」か「逆張りで強みが出るか」「ショートを耐える我慢強さはなさそうだけど、イケイケ相場のときは強そうだ」とか、「数日でコロコロ地合が変わるときは弱いけど、大きなステージを取っていけそうだ」とか、「良い銘柄を見つけてくるが、推奨タイミングが最悪だ」などです。

 

これらの特性は、良いか悪いかではないのです。運用会社の方針に合うか、トップが上手く使いこなせるかなのです。

 

タイミングが下手だけど良い銘柄を探してくる人の場合は、銘柄情報だけ預かって私がタイミングリスクをとれば良いでしょうし、ショートが苦手な人の場合はロングで頑張ってもらって、ショートは早めにカットさせるとか、逆張りが得意な人は下げ相場では裁量権を増やしてあげるとか、活かし様はあるのです。

 

このように、プロの世界でも、優秀かどうか以前に特性と言うのがとても重要なのです。そしてそれは個人投資家の方でも全く同じなのです。

  

つまり、大切なのは、「その特性を持っているかどうかではなく、自分がその特性を持っている事をしっかり理解して、それを発揮できる行動をすること」なのです。

 

「株価は売る人の心理と買う人の心理で動く」
「どんな上がる株でも誰でも儲かる相場でも必ず失敗する人がいる」

である以上、そこに参加する自分自身の心理も良く理解しておく必要があると思いませんか?

 

「自分の癖や特徴を理解しないと絶対に勝てない」のです。しかし、自分自身の特性を理解したら、ごく一部の人を除いて、かなりの方が投資による損を減らすことが出来ます。

  

そこで、次に株式投資をする際に見つめ直す自分自身の11の特性チェックポイントを挙げてみます。自分がどれに合うか考えてみましょう。

 



1 慎重 

2 心配性か  
3 とっさの決断力があるか 

4 失敗をくよくよするか 
 
5 自分を客観的に見れるか
6 冷静か、直ぐ熱くなるか
7 隣の芝生は青く見えるか、人と同じことをしたがるか、人と同じことをすると安心するか
8 都合悪い事を忘れがちか、言い訳や正当化をしてしまいがちか
9 人より頭が良すぎて困ることはあるか(気が効く)
10 我慢強いか
11 面倒くさがりか

 

全部当てはまるなんて方はいないでしょうが、たいてい4つか5つは引っかかると思います。

 

当てはまるポイントを理解した上で、次に儲からない人の特徴を見てみます。

私が考える儲からない人の特徴は以下のポイントです。


儲からない人の特徴

 ● センスや洞察力が人並みで自分自身の特性に気づかない人  自分自身の特性に合っていない銘柄に投資する
● エア優秀な人  理屈重視でタイミングを間違いがち。世の中の流れとずれてしまう。
● 最後に赤信号を渡る人  リバースインディケータ(逆張り指標)
● 歯止めが効かない人  強欲な人は最後の最後に大損をする、投資ではなくギャンブル
● 学習しない人    
 

このうち、いつまで経っても儲け難い人は、一番最後の方くらいです。あとの方は自分自身のことを理解すれば、かなり改善します。

 

では、次に性格特性に応じた心構えを書いてみます。


1 慎重な人 

この方達は、世の中の8割が動いた頃に決断を下す方です。自身が買いたいと思ったときは既に山を越えている可能性が高いです。  

こういう方は、まず自身のタイミングは短期的には良くないと認識しておくべきです。なので、欲を張らずちょっとずつ売り買いをする(最初はタイミングで失敗しても良いという覚悟で数回に分けて)。激しい動きをする銘柄は手を出さない。着実かつ安定的に成長する銘柄をきっちり調べて投資し、あとは放っておく位のつもりで。

 

また、1年程度では儲け難いので、慎重な分だけたくさん考えて数年後に楽しみな銘柄を長期投資するようにしてください。

 

2 心配性の人

買う前より買った後で大変な方なので、ちょっと下がっただけで売ってしまったりしてしまいます。

まず、値動きの激しい株は避けることです。人気の銘柄より地味な銘柄を探します。例えば、高配当や優待などを重視することです。


1銘柄あたりのロットは小さく分散に心がけましょう。


そして、トータル資産に占める株式などのリスク資産のウエイトは少なめにしてください。更に、信用取引やFXはやってはいけません。

  

3 とっさの決断力 

これがない人は、急変時にロスカットに踏み切れないことが多いです。あれよあれよと言う間に下がっていって、結果的に最悪のタイミングで泣きながらロスカットというケースが多いので、自分がちょっと迷いだしたら3割減らすといったルールを作ってください。  

そして、短期の業績変動が大きな銘柄や、既に高パフォーマンス(75日線乖離が大きいなど)の銘柄は見送る覚悟で。こういった銘柄はそもそも「あれよあれよと」下がり始める可能性が高いので。


そして、決断力がない人は、最初から数年投資のつもりでじっくり銘柄を選ぶのも良いでしょう。

 

4 くよくよする人

買った時点ではくよくよしません。くよくよとは失敗をいつまでも引きずつる方です。こういう方は自分の意図と違う相場になってしまうと、実生活にも支障が出るので、まずはロスカットをきつめにした方が良いでしょう。例えば、1割反対に行ったらロスカットするとか。  

そして、値動きの激しい銘柄を避けます。一銘柄で5回ほど買い増せる位に1回のロットを少なくすることで、タイミングからくる「くよくよ」はかなり減ります。

 

また、買うときの理由や、それを売るときのイメージを事前にメモで残しておくと、必要以上に悩まないで済みます。

 

長い時間リスク資産を持っているとそれだけ悩み易いので、長期投資は不向きだと思います。マーケット環境が良いときにちょっと遊んで、儲かったら早めに逃げるようにした方が良いでしょう。大もうけできるタイプじゃないので、損が大きくならないように管理するのが必要です。

 

5 自分を客観的に見れるか 

この特性は、相場に向いています。流れの中でも自身を失わないと思います。短期、長期、買い、空売り、いかなるスタイルでも、それなりにセンスをもって稼ぐことが出来るでしょう。

この方は自身だけでなく、相場の参加者の心理も客観的に理解してあげるようになったら、マーケットの行き過ぎの感覚もわかると思います。

 

6 冷静じゃない人 

株価が下がったりして気が動転したときは何もしないとルールで決めておくと良いです。確実にあとで後悔するアクションを起こしてしまうでしょう。

 

値動きの激しい株は避けるのと、相場環境が不透明なときは参加しないようにしてください。

 

7隣の芝生が青く見える人

順張りで人についていくのが得意なので出遅れがちなのと、どうしても流行りの値動きが大きな銘柄に目が行ってしまいます。こういう「多勢に流される方」は自身を良く認識していないと永遠に鴨にされます。

流行りの銘柄に手を出す場合は、欲を出さずにこまめに利益確定をした方が無難です。損をしたら、「大勢は既に反対に行ってしまった」と考えて、自身が得意な流れについていくようにしてください。損をしたときだけ頑なに少数派になってはいけません。


無理して人と違うことをすると不安になってしまい、結果的に失敗してしまうので、流行で勝負して構いませんが、こまめに稼ぎ、常に流れに合わせるように。

 

8 言い訳が得意な人、都合の悪い事を忘れがちな人

失敗した理由、やらなかった理由をメモに記す努力をする。疑似成功気分は失敗より始末が悪いです(知識はあるがいつまで経っても儲けられない)。実際は売り買い躊躇していたのに、後になってあのとき買いで大正解と都合のいい解釈をしてしまうので、成功した気分だけあるのですが、いつまで経っても損ばかりになってしまいます。

かならず、失敗理由を記し、反省し次回に生かすようにしてください。これを面倒を思うのなら、投資は止めたほうが良いでしょう。

 

9 人より頭の回転が早い人
思った通りのシナリオにならなくても直ぐに諦めないことです。世の中が付いてくるのが遅いので、待ってあげるくらいの余裕でいましょう。


当初の買った理由や売却するときのカタリストを常に忘れずに辛抱強く。


長期投資向きです。

 

10 我慢強いか

投資において、我慢強さは武器になります。長期も空売りも向いているでしょう。せっかくの我慢強さを上手く活かし、リターンの極大化に務めてください。


ただ、この特性の方は自分が明らかに間違えたのにも関わらず「我慢強く」ポジションを持ち続ける危険があります。


例えば買ったときは好業績期待で買ったのに、下方修正をして株価が下がったら「割安なので持つ」といったように買ったときの理由と違いが出たら、それを我慢強く持っていても報われない可能性があります。間違いを素直に認めるのも投資には必要です。

 

我慢強いのと頑固は別ものです。

 


11 面倒くさがりか

面倒くさがりの方は、プロにはあまり居ません。調査をしない傾向がありますので、長期は向いていません。ただ失敗を引きずらない傾向もあるので、短期ではロング、空売りとも得意だと思います。流れに乗ってすばやくアクションしてダメならさっさと撤収、深くは考えない。これに尽きます。



 

如何ですか。

 

合点が行く方も居れば、「これは違う」と思う方が居るかもしれません。これはあくまでも典型的なケースで、実際は相手をきちんと見た上でないと判断が難しいことも多いです。


しかし、これを見て判ると思うのは、長期投資はかなりの方が向いているという事です。長期はタイミングの下手を補ってくれます。

 

そして、何もしないときもアリだということも忘れずに。いつなんどきでも参加命令が出ているのではないのです。

 

自分の特性を考えて、今なら「活かせる」と思ったときに、参加すれば良いのです。

 

(終わり)


(本業のコンサルタントでは、こういう性格やライフスタイルに合った投資スタイルの提案などもしています。関心あったらお問合せください)


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