年末年始のテレビで5人組アイドル、嵐の姿を見ない日はなかったといっていい。人気タレントを多数抱えるジャニーズ事務所(東京・港)でも筆頭格の売れっ子で、コンサートは年間80万人以上を動員する。嵐が赴く所、熱烈なファンが押し寄せ、開催地の宿泊業や飲食業にもたらす経済効果は年々膨らんでいる。その「嵐特需」のインパクトを探るべく、現場を“追っかけ”てみた。
■会場周辺は「音漏れ鑑賞」も
2015年12月26日、東京ドームは5万5000人の熱気に満たされていた。「ARASHI LIVE TOUR 2015 Japonism」には学生から子供連れの20代夫婦、中高年まで幅広い観客が集まっていた。コンピューター制御されたペンライトとレーザー光で色鮮やかに演出され、巨大スクリーンを駆使したステージは美しく、楽しい。スマートフォン(スマホ)で舞台を撮影する観客もほとんどおらず、行儀の良さが目立つ。
なぜか会場周辺では、カフェが軒並み満席。チケットがとれず、会場からの音漏れを聴く「音漏れ鑑賞」に地方などから足を運んだ人たちが開演まで待機していたのだ。観客に嵐の魅力を聞くと、大量のグッズを大事そうに抱えながら熱く語ってくれた。そこからは、嵐に対して「一緒に頑張る仲間」といった親しみを抱くファン像が浮かんできた。
ファン歴7年の看護師(41)は「アイドルを演じているのではなく、“頑張っている感”がある。5人の仲の良さとチームワークに元気をもらう」と語る。証券会社の女性社員(32)も「2年前に初めてコンサートに行ってハマった。合間のメンバー一人ひとりのあいさつからもファンを大事にする姿勢が、他のアーティストと違うなと感じた」と話す。
嵐は16年前のデビュー当時、ほとんど鳴かず飛ばずだった。メンバーのマツジュンこと松本潤さんが出演し、嵐の歌が使われたテレビドラマ「花より男子」(05年、07年)で人気に火が付いたといわれる。売れるまでの間、メンバーはこまめにファンと触れあうイベントを積み重ねた。その成果が「仲間意識」となって、多くのファンの心をつかむ。
ファンクラブの会員数は非公表だが、業界では約180万人といわれる。ただ、実際のファンの数とイコールではないようだ。07年に入会した情報技術(IT)関連会社に勤める女性(47)は地方公演の渡航費やグッズ、CDに「100万円以上は使った」といい、「ファンクラブには妹や母親など7人の名義で入会している」と明かす。クラブとしては本来、許しがたい行為だが、年会費4000円を7人分負担しても惜しくないという。なぜだろうか。
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