アニメ メジャー6 アンコール 第8話〜第14話 2016.01.01


(サンダース)おい茂野!大変だ!
(茂野吾郎)どうしたってんだよ。
そんなあわてて。
どうしたもこうしたもね〜よ。
ギブソンが今日付けでバイソンズに選手登録された。
な…なんだと…。

(テーマ音楽)あ!
(記者A)ミスター・ギブソンあなたはワールドカップでたおれて事実上引退と言われてましたが。
(ジョー・ギブソン)私はべつに引退宣言などしていない。
治ったのならまだやれる自信はある。
(記者B)しかし心臓の病では再びマウンドへ上がるのは危険じゃないですか?そこは問題ないとドクターにたいこ判をもらっている。
(記者C)しかしですねミスターあなたはあのワールドカップでご子息のギブソンJr.と共に戦って因縁深い思い出のある日本代表を破って世界一になり現役生活の最後をはなやかにかざって燃えつきただろうというのが私をふくめておおかたの見方だったのですが。
もうやり残した事などないんじゃないですか?
(ジョー・ギブソン)くだらない。
実にくだらないマスコミのざれ言だ。
私は何かを成しとげるために野球をやってきたわけじゃない。
すべてを手にして燃えつきたなど私に対する最大の侮辱だよ!とにかく明日の先発から私は今までどおりまた投げ続ける。
私の欲するままにね。
(記者A)ちょっとミスター待って下さい!
(記者C)まだおうかがいしたい事が!
(歓声)
(歓声)
(彼女)けっこう調子上がってきたじゃない。
スランプからぬけ出せたみたいね。
(ギブソンJr.)ああ。
やっとボールが見えるようになってきたよ。
一時はマイナー落ちかとビビったけどな。
あとはホームランね。
ヒットもいいけど前みたいに豪快なやつも見せてよ。
(アナウンサー)「続いて今日のスポーツヘッドライン。
まずはメジャーからビッグなニュースが飛びこんでまいりました。
春先のワールドベースボールカップを最後に事実上引退と言われていたジョー・ギブソン投手がシカゴ・バイソンズでの現役続行を電撃発表しました」。
な…なんだと!?
(アナウンサー)「ギブソン投手は43歳という年齢から引退が確実視されていましたが会見でこれを否定。
すでにメジャー選手登録を済ませており明日ホーネッツ戦に先発すると発表されました」。
へえ〜。
ジョーのパパまだがんばるんだ。
よかったじゃない。
これで初の親子対決が実現しそう。
そんなもんどうだっていい!訳わかんねえ。
この期におよんでいったいなんのつもりだバカおやじ!
(茂野英毅)ただいま〜。
(茂野桃子)おかえりなさい。
(茂野ちはる)あ〜パパ!おかえんなしゃい。
パパ大好き〜。
ちはるおりこうさんにちてたか?うん!おつかれさま。
吾郎は元気だった?ああ。
元気だったよ。
よかった。
もしかしてウワサをすれば?いやテレビ局からだ。
ちはるパパお仕事の電話ですって。
おちごと?はいええ今無事に着きました。
え!?それ本当ですか?ええ…向こうではそんな話はまったく。
ええではまた。
何かあったの?ギブソンがメジャーに復帰した。
え!?しかも明日ホーネッツ戦で先発する。
明日って…。
ああ。
吾郎の先発予定日だ。
(ロイ)はあ〜マジでおどろいたなあこれは。
しかもさっそく今日うち相手に先発だもんなあ。
(ダンストン)正直おれは対戦できてうれしいぜ。
ギブソンはガキのころから見てたスター選手だからな。
ああおれもおれも!お?よお茂野!ギブソンの事デカデカと出てるぞ。
読むか?いや。
今日DHじゃないからバッティング練習しとかねえと。
つうか読めねえし。
(打球音)
(打撃コーチ)おお〜なかなかやるな!茂野。
(ステーシー)いい振りしてるじゃないか。
すべてを手にして燃えつきたなど私に対する最大の侮辱だよ。
心の声わかんねえ…もう十分やったんじゃなかったのかあのオッサン。
(打球音)心の声医者がだいじょうぶだって言ったって心臓の病気だろうが。
リスクをおかしてまでなんでまたそんなむちゃをするんだ。
あの時の思いはワールドカップに登板して勝った事で果たされたんじゃねえのか?
(打球音)ひょ〜!すげえな茂野のやつ。
(オリバー)ミスター・ギブソンから電話があった。
おまえが以前とちがう事をかなり気にしてたぞ。
心の声まさかギブソンのやつ…。
(打球音)
(2人)おお〜。
これは茂野は代打でも使えるな。
あ!ギ…ギブソン!おい!ギブソン!ちょっと待ってくれ〜!よう。
久しぶりだなミスター。
今日投げ合うからってそんな無視しなくてもいいだろ。
正直おどろいたぜ。
不屈の闘志とはこの事だな。
でも人間引き際ってのも大事だぜ。
あんたもいい年なんだからもう少しジュニアの気持ちも考えてやっていいんじゃねえか?よけいなお世話だ。
ヘッ待てよ!そんなツンツンしてるけどおれにはわかるぜ。
あんたふがいないおれやジュニアを見ていても立ってもいられなくなったんだろ?自分の戦う姿を見せてだらしないおれたちのカンフル剤になればいいと思って復帰を決めたんだろ。
だったらもうやめてくれ!ジュニアもおれもそんなのは望んでねんだよ。
おれがおまえらのために現役続行?バカバカしい。
うぬぼれるのもたいがいにしとけよ。
おまえとジュニアにほとほと失望したのは確かだがだれがおまえらみたいなザコのためにそんな事決めるかよ。
おまえらは何もわかっちゃいない。
おれの復帰戦でおまえと投げ合う事もふゆかいだ。
ザコは2度とおれに話しかけるな。
(場内アナウンス)「キャッチャーナンバー18ロブ・ドネリー!スターティングピッチャーナンバー13ジョー・ギブソン!」。
(実況アナウンサー)「帰ってきました!バレット・ジョー。
現役生活21年。
テキサス東京サンフランシスコニューヨークとわたり歩き今年からこのシカゴにやって来た大投手」。
心の声体の方はもうだいじょうぶなのかしら…。
回想
(桃子)じゃあ一つだけお願いしていいですか?できれば吾郎が大きくなるまですごい野球選手でいて下さい。
心の声あの約束はもう十分果たしてもらったのに…。
回想
(ギブソン)おまえらは何もわかっちゃいない。
心の声ケッ!あのオヤジ人が体の事心配してやってんのになんなんだよあの態度は!
(主審)プレーボール!ストライク!え?143km?変化球から入ったのか?ボール。
(ジェームズ)あれがギブソンの球かよ。
なんかしょぼくね?
(パーカー)ああ病み上がりでトレーニングが満足にできてねえんじゃねえか?心の声
(ロイ)ガキのころ見たオールスターでの6連続三振はすごかったな。
よくギブソンのフォームをマネしてたもんさ。
そんなころからこの人はメジャーでやって来たんだ。
できるなら全盛期の球を打ってみたかったぜ!
(実況アナウンサー)「ぬけた〜!打ったロイは2塁へ。
ホーネッツチャンスをむかえました」。
いきなりツーベースか…。
球威も制球もいまひとつだなギブソンは。
ボール。
ボール。
ボールツー!よしっいいぞ!よく見ていけ〜!ボールが走ってねえしコントロールも良くねえ。
やっぱ復帰するにしても早すぎたんじゃねえか?何言ってやがる!ギブソンはこっからだぜ。
悪いなりにバッターを打ち取る技術も精神力も持ってるからな!おまえ仮にも今日の先発だぞ。
味方に点とってもらいたくね〜のかよ!ボールフォアボール。
(打球音)あ…。
(実況アナウンサー)「入った〜!右中間にあっという間に吸いこまれたキーンの先制スリーラン!ギブソン復帰戦の初回いきなり打たれました!」。
キレのないあまいスライダーだな。
あんな球で入ったらそりゃキーンが見のがすはずないわな。
心の声なんだよ…格好つけて復帰しといて何やってんだよオッサン!どうして…どうしてもどってきたのかしら?年齢的にも体力的にも本当はもう限界でしょ?しかも心臓をわずらってたのに。
おれにはちょっとわかるな。
え?プロとして現役でやり続ける理由がまだあるんだろう。
ギブソンには。
心の声
(パーカー)おとろえたなギブソン。
もうあんたの時代は終わったんだよ!
(打球音)
(ファンA)チッまたツーベースかよ。
(ファンB)何やってんだギブソン!
(ジョンソン)こりゃいかんな。
ブルペンに連絡しろ!
(コーチ)はい!ボール。
コンディションが悪いだけならいいがどうなんだろうな。
確かに病み上がりで2か月のブランクもあるがここ1〜2年で明らかにギブソンはおとろえが目立ってきてた。
ボール。
ワールドカップでは病気をかくしてまで出るほど気合いが入ってたんだろうがしょせんはギブソンのボールに慣れてない日本を気迫と技術でおさえただけかもな。
ここ何年かは技巧派にイメージチェンジしたとはいえやはりギブソンはファストボールに力がなければバッターはこわくない。
ボールフォアボール。
おいおいいいかげんにしろよ!まだ1つもアウト取れてねえじゃね〜かよ!
(ブーイング)うおおお〜!
(一塁塁審)アウト!おい茂野!え?へたすりゃおまえまで打席が回ってくるぞ。
(ジョンソン)満塁にして89番で勝負した方が安全だな。
ん?いやかいやならしかたない。
代わってもらう。
今日はこれ以上失点するわけにはいかないからな。
いえ…わかりました。
な…敬遠だと!?ボールフォアボール。
(ロビンソン)チッなめやがって。
心の声おいおい…ダブられなきゃ回ってくるじゃね〜か。
プレー!心の声絶対に打たせない!私を歓迎し拍手でマウンドに送り出してくれたシカゴのファンをこれ以上失望させるわけにはいかない。
私は勝つためにここへ来たんだ〜!
(打球音)
(三塁塁審)アウト!よし!
(実況アナウンサー)「ホーネッツ追加点のチャンスでピッチャーの茂野が打席に向かいます」。
とうとう回ってきたな。
プレー!心の声まさかバットであんたと対決する機会があるとはな。
悪いけど今日の球を見たらやっぱあんたはもう限界だ。
ストライク!心の声人をザコ呼ばわりしといてなんなんだこの球は。
だれもあんたのそんな姿での復活なんて見たくないんだ。
あぶねえ!心の声んなろ〜。
満塁で当てるつもりはねえだろうが遠慮なしとはやってくれるじゃね〜か!ストライク!ボール。
よし!
(トニー)よく見た!心の声これも何かのめぐり合わせかもな。
ピッチャーのおれに打たれるようなら現役への未練も捨てられるだろう。
あんたの未練をこの本田Jr.のバットでふき飛ばして引導をわたしてやるぜ!うおおお〜!うおおお〜!
(打球音)
(実況アナウンサー)「入った〜!なんとピッチャーの茂野!スクリーン直撃の満塁ホームラン!ギブソン打たれました!」。
や…やりやがった。
マ…マジかよ…。
(実況アナウンサー)ジョンソン監督たまらずマウンドに向かいます。
これはピッチャー交代です!なんとジョー・ギブソン屈辱の1回7失点でノックアウト」。
(ファンA)いったい何しに出てきたんだよおまえは!
(ファンB)とっととやめちまえ〜!
(ブーイング)
(記者D)今日のギブソン投手についてどう思われますか?ジョンソン監督。
ギブソンは明らかに調子が悪かったが経験豊富なピッチャーだからあそこはおさえてくれると思って続投させた。
まっ結果それが裏目に出てしまったが…。
(記者D)これでギブソン投手は再び去就が注目されそうですが…。
それは今わたしがどうこう言える事じゃない。
かれの体調に問題がなければ次もふつうに登板してもらう。
(実況アナウンサー)「初回に2点を取られたギブソン!この回もピリッとせずツーアウト満塁で当たっている5番の板尾をむかえます。
さあギブソンこのピンチをだっする事ができるのか!?」。
(打球音)
(オーナー)1回3分の28安打2四球6失点。
今日のこの結果では君の偉大なる実績を考慮しても我々は決断しなければならない。
(GM)バイソンズはジョー・ギブソンあなたを解雇しウェバー公示を申請します。
10日間譲渡を望む球団からの申しこみを待つ事になりますがよろしいですか?
(ギブソン)待って下さい。
戦力外通告は受け入れます。
しかしウェバー公示でなく任意引退あつかいにしてくれませんか?ええ!?
(英毅)
ギブソンが2試合連続KOをきっした翌日ギブソン引退のニュースは全米中をかけめぐった。
もともとギブソンの現役続行に疑問を持っていた吾郎とジュニアはこの発表を冷静に受け止め彼らはまた日々自分たちの成績との戦いに明け暮れていく。
吾郎は相変わらず勝ったり負けたりの投球が続きオールスター前までの前半戦を7勝8敗といまだ絶好調とはほど遠い成績で終えた
よう茂野!
(オリバー)すまんなあ。
オールスター期間中の休みにナッシュビルまで来てもらって…。
いやあべつに。
オールスターに呼ばれてるキーンやワッツとちがってヒマもてあましてたからな。
ハッハッハッハ…防御率4点台じゃとうてい呼ばれんだろうな。
だがルーキーにしちゃまずまずがんばってる方だ。
ヘッ!まずまずね…。
でなんだ?おれに見せたいものって。
ここってマイナーの球場じゃねえか。
ああ。
ダブルAナッシュビル・ブルズのホーム球場だ。
ダブルA?しまったなあもう始まってたか。
おいおい何だよ!なんで休みの日にこんな所まで来てあんたとダブルAの試合なんか見なきゃいけねんだよ!いいから座れよ。
ナッシュビル・ブルズはどこのメジャー球団の傘下か知ってるか?知るかよ。
何球団マイナーにあると思ってんだ。
シカゴ・バイソンズだ。
え?バイソンズ?バイソンズってギブソンがいた…。
え?ギ…ギブソン!?なんでギブソンが!
(エンディング・テーマ)なんでギブソンがマイナーで投げてんだ?いったい何のつもりだあのオッサンは!でもあんな姿見せられちゃおれもだまっちゃいらんね〜ぜ!次回「メジャー復活のマウンド」夢の舞台へかけ上がれ!
(オリバー)ナッシュビル・ブルズはどこのメジャー球団の傘下か知ってるか?
(茂野吾郎)知るかよ。
何球団マイナーにあると思ってんだ。
シカゴ・バイソンズだ。
え?バイソンズ?バイソンズってギブソンがいた…。
え?ギ…ギブソン!?なんでギブソンが!
(オープニング・テーマ)どうなってんだ?あのオッサン1か月以上前に引退したんじゃなかったのかよ。
いや契約上は引退あつかいになっていただけだ。
ゼロからやり直したいという本人の希望でな。
そして昨日バイソンズのテストを受けて合格し新たにダブルAブルズとのマイナー契約を結んであそこにいる。
いやいやわかんねえって。
そんな段取りはともかく今さらゼロからやり直すとか意味わかんねえ。
頂点まで登りつめた男が43歳の老体にムチ打ってなんで今さら…。
(主審)ストライク!156キロ!?1か月前より…いや春のワールドカップの時より速くなってやがる。
この2か月間ギブソンは徹底的に体をきたえ直した。
ようやく手ごたえをつかみマイナー入りが決定した時かれはおれに電話をよこした。
おまえたちに必ずこの試合を見に来るように伝えてくれと。
おまえ…たち?ちょ…ちょっと待てよ。
なんでギブソンがあんたにそんな事を…。
そろそろ話してもいいだろう。
イップスになったおまえがおれの所へ治療に来たのは偶然じゃない。
ホーネッツの幹部におれを推薦したのはほかでもないギブソンさ。
ええ!?
(主審)ストライクアウト!どういう事だよ。
あんたギブソンとどういう関係なんだ?かつてギブソンもおれのケアを受けていた。
10年前日本から帰国した彼は心機一転メジャーでのスタートをむかえようとしていたがかれの心は思った以上に深いダメージを負っていた。
家族の事故死だ。
ああそれで傷ついたジュニアの心をいやすためにアメリカへもどったってのは聞いたけど。
そう。
だが打ちのめされていたのはジュニアだけじゃない。
日本で一人の野球選手の命をうばいそのつぐないのために日本野球界につくしてきた末に今度は自分の家族を失ったんだ。
深く傷つきながらもギブソンは来るシーズンへ向けて野球に打ちこもうともがきつかれきっていた。
そのころおれはサンフランシスコ・ガーディアンズで専属の心理トレーナーをやっていた。
息子のため日本にいる本田ジュニアのため自分はマウンドで戦い続けなければならない。
そうくり返すかれにまだかけ出しだったおれは型どおりのセラピーしかしてやれなかった。
エキシビションでも調子が上がらずギブソンはいらだち気持ちもすさんでいた。
そんなある日ちょっとした事件が起こった。
(ファンたち)おっ来たぞ!
(ファンA)ヘイギブソン!
(ファンB)サインプリーズ!
(ファンA)なんだよ無視かよ。
(ファンB)感じわりい〜。
(オリバー)その時どこから入ったのか一人の少年がギブソンにサインを求めて来た。
まだあどけないその少年のたった数秒の願いをかなえてやれないはずはなかった。
(ジョー・ギブソン)どこから入った?ここは立ち入り禁止だ!サインが欲しけりゃルールを守れ!
(少年)ううっ…。
(警備員)ぼくここは入っちゃダメだよ。
さっあっちへ行こう。
(オリバー)ミスター!待ってください!ちょっと待ちなさい!あれはないあれはないですよミスター。
いくら自分がイライラしてるからって子供にああいう態度はない!あの子はただあこがれているあなたのサインが欲しかっただけなんですよ!ああ?なんだおまえ!おれに説教するのか?ルールはルールだ。
子供でもそれを許してあまい顔してたらキリがないだろうが!今すぐあの子に謝ってサインをしてあげてください!あなたのつらさには同情します。
神をうらみたくなるような今のあなたの心のやみを私なんかじゃ照らしてあげられない事も申し訳なく思ってます。
でもそんな苦渋に満ちた表情や態度でファンにまで当たるぐらいなら野球なんかやめた方がいい!だれもつらそうに野球を続けるあなたを見たいなんて思うわけがない。
息子さんも日本にいる少年も今の少年やほかの大勢のファンだってです。
ファンに夢や希望をあたえるという使命すら忘れたのならあなたはプロスポーツ選手じゃない!
(ギブソン)ちょっと待ってくれ!ああ…。
その日からギブソンは少しずつ変わっていった。
すべてのつらい気持ちを胸の内にしまいマウンドでは自分のピッチングに集中するようになった。
調子を取りもどし開幕戦ではみごとノーヒットノーラン。
そして夏のオールスターでは6連続奪三振の記録を打ち立てた。
確か小学生のおまえもスタンドで見ていたんだったな。
ああ。
(一塁塁審)アウト!それまでかれは自分の家族や本田茂治の遺族への義務感で働いていた。
かれにとって野球はいつの間にかつぐないの手段になってしまったんだ。
しかし悲しみのふちでかれ自身何のために野球を続けるか考え直した時答えはとてもシンプルだった。
ベースボールが大好きな自分のためにそして自分と同じく心からベースボールを愛する世界中のファンのためにその体が動くかぎりマウンドに登り続けたいと。
(主審)ストライク!ギブソンはおまえとジュニアの状態を心配していた。
2人とも小さなミスやマイナー落ちをおそれて大きな志を失っていると。
ワールドカップであれほどファンがしびれるような勝負をした若く才能ある2人がなぜ今から小さくまとまろうとするのかとかれは本気でおこっていた。
今はまだ三振してもいい。
ホームランを打たれてもいい。
つまずいてもいい。
何度でもはい上がればいい。
そうしていつかスケールの大きな真のスーパースターになって多くのファンに野球という夢をあたえ続けてほしいとね。
最後にかれは言ったよ。
シカゴのファンの期待を裏切ったまま引退などありえない。
一刻も早くメジャーへもどり自己最速の101マイルをこえスタンドをわかせてみせると…。
(主審)ストライクアウト!
(歓声)
(ギブソン)そうか帰ったか。
ええもう飛行機に乗っているころでしょう。
ジュニアもどこかで見ていたはずです。
あなたの真意は伝えておきましたからね。
吾郎は何か言ってたか?いえ特に何も。
でも…きっと何かを感じ取ってくれたでしょう。
(ファンの男)お〜いね〜ちゃんビールとホットドッグな。
(売り子)10ドル50セント。
(ファンの男)あ〜?なんだよまた値上げしたのかよ。
(ファンの女)あんた後でもいいだろ。
試合始まっちまうよ。
これがないとおれの試合は始まんね〜んだよ!
(アナウンサー)「さあ今日から始まりますレギュラーシーズン後半戦。
44勝46敗2つの借金で前半戦を終えた中地区3位のホーネッツ。
6ゲーム差で首位を走るミネソタ・コヨーテスとの3連戦。
その大事な初戦先発はエースロサリオかと思われましたがオールスター休みに関係なくローテーションどおり茂野をもってきました。
対するコヨーテスは3割打者5人をそろえた超重量打線。
中でも故障から復帰した後の4番シルヴァは絶好調で首位独走の原動力となっています」。
心の声
(シルヴァ)フッ二流投手に成り下がったおまえじゃうちには通用しねえ。
遠慮なく初戦はいただくぜ。
(ワッツ)優勝争いに残るためには落とせないゲームだな。
ロサリオの方がよかったんじゃないのか?あんた!こっちよこっち!ほら急いで。
間に合った間に合った。
ねえあんた今日の先発…。
え?おお!茂野じゃね〜か!プレーボール!
(打球音)あらあ!?ボールフォアボール。
(トニー)ノーアウト一二塁。
何やってるんだ。
しっかりしろ茂野〜!せっかく見に来てやったのにみっともねえピッチングするんじゃね〜よ!ボール。
ボール。
(ブーイング)いやちょっと待てよ。
これは…。
(サンダース)ああ観客はまだ気づいちゃいねえが…。
ボールボールスリー!あのバカ!もっかいバッツに落ちてやり直して来〜い!あ…あんたちょっとあれ見なよ。
ああ?ボス茂野の球速が…。
(ステーシー)ああ。
しかしストライクが入らないんじゃ…。
ボールフォアボール!
(実況アナウンサー)「満塁!連続フォアボールで満塁です。
ノーアウトフルベースで4番のシルヴァをむかえます!」。
(キーン)タイム!
(ファンC)引っこめ〜!ノーコンピチャー!ストライク投げる勇気もないならやめちまえ!うるせ〜!まだ点取られてね〜だろ!ゴチャゴチャ言わねえで応援してやれ!何があった?あん?球速だよ。
100マイルなんて開幕以来だろ。
ああ…100マイル出てたんか。
気にしてなかったわ。
(キーン)しかしストライクが入らなきゃ役には立たん。
おさえがきかないならフォークでも何でもいい。
カウントを取っていけ。
いや…。
ここは力ずくでいく。
そんな小手先じゃシルヴァはおさえられねえしその先に未来もねえ。
第一逃げのピッチングでおさえたって客は面白くねえだろ?好きにしろ。
どうやらビビって出したフォアボールじゃなさそうだな。
ああ。
プレー!心の声覚醒しろ!茂野。
回想
(ギブソン)つまずいても何度でもはい上がればいい。
いつか真のスーパースターになって多くのファンに野球という夢をあたえ続けてほしい。
(主審)ストライク!
(2人)おお!?心の声
(シルヴァ)こ…こいつ…。
この前対戦した時とは明らかにちがうぞ。
ヘッ!心の声フッこれだよ。
これがワールドカップで見せた本当のおまえのボールだよ。
いけ〜!茂野〜!心の声そのボールを打たないかぎりワールドカップの借りは返せねえだろうが!うお〜りゃ〜!うおおお〜!ストライクアウト!いいぞ〜茂野〜!もどって…来たのか?ああまちがいねえ。
まちがいねえよ。
ピンチになってからの大胆なピッチング。
あの落ちた帽子を拾うしぐさ。
あれが正真正銘の茂野の姿じゃなくてなんなんだよ!心の声
(ロイ)茂野…。
心の声
(ダンストン)やったな。
心の声やれやれやっと長いトンネルをぬけたか。
帽子をワンサイズゆるくしているんでなければな。
心の声野球という夢…か。
そうだよいつだって夢をもらってた。
いつだってそこから見る男たちはまぶしいほどにかがやいてた。
(茂野英毅)プロになった以上おまえの投げるボールはおまえ一人のものじゃない。
うおお〜!ストライクアウト!よっしゃ〜!心の声目標とかモチベーションとかうだうだなやんでる場合じゃね〜だろ!一人一人の顔や名前は知らねえが世界中の野球バカの思いを背負っておれは今この夢の舞台に立っているんだ!ストライクアウト!
(実況アナウンサー)「三振!初回ノーアウト満塁から456番を三者連続三振!茂野みごとなピッチングでピンチをしのぎました!」。
(オリバーの妻)よかったわねえ。
あなたも苦労したかいがあったでしょ?いやおれは何もしとらんよ。
全部やつ自身の野球に対する思いの結果さ。
心の声フフ…102マイルか。
速い球をほうるやつはやっぱりゾクゾクするぜ。
次だ…次の打席は必ずとらえてみせる!回想
(トニー)9回も行くだと?
(ステーシー)しかしおまえはもう130球も投げてる。
9回はワッツに任せろ!いや行かせてくれ。
今日だけはこれが本当の茂野吾郎なんだって姿をホーネッツのファンに最後まで見てもらいたいんだ。
うお〜りゃ〜!
(打球音)アウト!ゲームセット!
(歓声)
(実況アナウンサー)「首位コヨーテスとの大事な後半開幕戦茂野は散発3安打でなんと完封勝利!」。
やれやれあいつおれを信用してね〜だろ。
完全復活ですね。
ああ!ブラボー!治療だなんだと投資した分後半しっかりかせいでもらわんとな!心の声く〜ムカつくやろうだぜ!だがこれで終わりじゃねえ。
優勝は必ずコヨーテスがいただくからな!
(インタビュアー)すばらしいピッチングでした。
今日は何が良かったんでしょう?ああファストボールかなあ。
今日は走ってたんで…。
よくやったぞ茂野!おれの応援がきいたか?アハハハ…。
心の声げっあのオッサンは…。
後半戦いいスタートが切れましたね。
活躍期待しています。
ああどうも。
おい!茂野サインくれサイン!なんだよケチ!バスで会った時の事根に持ってんのかよ!あんたこれ今日のウイニングボールじゃ…。
(ファンの男)また来るからな茂野!絶対優勝しろよ〜!
(エンディング・テーマ)部活そっちのけでバイトのかけ持ち!?まさかソフトやめるなんて事…。
じょうだんじゃねえ!目を覚ませ清水!おまえはそんなやつじゃねえだろ〜!次回「メジャーそれぞれの夏」夢の舞台へかけ上がれ!
(オープニング・テーマ)
(清水薫)神様神様神様!うわあ!勝った!「三安打完封最速102マイルをふくむ100マイル前後の力でおすピッチング…」。
ハッハハッ…よかったあ。
ここんとこずっと心配してたけどやったよ。
やっと復活したよ〜!清水…さん?ど…どうも店長〜!そろそろ休憩終わりだよ。
ああはい!あのねえ清水さんあした坂本さんが急用で来られないんだ。
午前中だけ店に入ってもらえないかなあ?ああすみません。
夏休みだけど部活があるんで平日は遅番しか無理なんです。
ああ…そうなんだ。
お待たせしました!アイスラテのトールですね。
330円になります。
心の声がんばってバイトして行くんだ…アメリカ!
(清水大河)じゃあ行ってくるわ!
(母親)だいじょうぶ?忘れ物はない?だいじょうぶだって。
おふくろが緊張してどうすんだっつうの。
でも…。
うっひゃ〜!遅刻遅刻!薫!おい!がんばれよ1回戦。
いってきま〜す!言われなくてもがんばるって。
おっはよ〜!よかったあ間に合った〜。
(真紀子)薫…もうだいじょうぶなの?昨日かぜでダウンしてたのに。
ああうん。
いや〜でも昨日は寝こんでた方がマシだったかもねえ。
(麻美)うんうん体力トレばっか5時間もだよ〜。
あの炎天下で。
インカレせまってるからって先輩たち気合い入りすぎ。
(真紀子)でさこれから土日も朝から練習だって。
え?
(薫)え〜!?心の声やばいよ。
土日は目いっぱいバイト入れてんのに。
(先川)清水さん!キャプテン。
ちょっといいかな?
(薫)は…はい!かぜはもう治ったの?あ…はいおかげ様で。
そう実はね…友達が昨日あなたが駅前のカフェでバイトしてるのを見たって言うんだけど。
すみません!かぜはウソです。
昨日のシフトは前から決まっててどうしてもぬけられなくて…。
そう。
ウソはよくないけど前から決まってたならしかたないわね。
すみません…。
でも知ってるでしょ?今年はインカレ初出場が決まってみんな張り切ってるの。
清水さんは2年生だけどセカンドのレギュラーなんだからもっと自覚を持ってくれないと。
今回は目をつぶるけどインカレまではバイトより部活を優先させてね。
はいすみませんでした!それじゃあ早くアップ済ませて!はい!失礼します!
(灰田)な〜んかよくない兆候よ。
あの子彼氏を応援しにアメリカに行きたくてバイトもぎちぎちにつめこんでんだって。
彼氏?アメリカ?知らないの?茂野吾郎よ。
メジャーリーガーの。
えっ茂野!?ええ?やばいよねえ。
センスも根性もあるけど男が原因で競技への情熱を失うなんて事めずらしくないから。
セカンド!
(先川)ナイスキャッチナイスキャッチ!じゃあ次!・
(チームメイトA)お願いしま〜す!
(歓声)渋谷!肩の力ぬけ!打たせて取ってけよ!
(渋谷)わかってるって。
(打球音)
(二塁塁審)アウト!
(一塁塁審)アウト!いいぞ〜!ナイスゲッツー!
(薫)だからねここに二等辺三角形ができるでしょ?
(男の子)あ…ほんとだ。
じゃ続きやってみて。
は〜い。
え〜っとこうなって…。
心の声ほんと炎天下の練習はきついわ…。
よしできた!できたよお姉さん。
ったくどういうつもりなの!?す…すみませんつい…。
いくら学生でも仕事なんだから責任持ってまじめにやってもらわないと。
次またこんな事があったら別の方に変えてもらいますからね!
(薫)あ〜あまいったなあ。
ソフトの練習日がこんなに増えるなんて。
バイト2つかけ持ちはつらいなあ。
このままやってけんのかな私…。
いやいや!がんばってお金作ってアメリカ行くんだ!根性でなんとかする!気合いだ!気合いだ!気合いだ〜!
(大河)姉貴…。
な〜に一人芝居やってんだよ。
(薫)大河!?あいや…べつにアハハハハ…。
あんた試合は?ああその話…。
心の声この表情はまさか…。
勝ったぜい!4対0で完封勝利!
(薫)まぎらわしいわ!
(なぐる音)
(大河)アイタ!でもよかったじゃん。
ま1回戦ぐらいは楽勝で勝てないとね。
4回戦まで進めば海堂と当たるんだ。
茂野先輩たちの雪辱はおれが果たしてやるぜ!ハッハッハッハ…。
アハハ〜こりゃ大きく出たねマイブラザー!はいもひもひ?
(真紀子)あやっと出た!ちょっと薫今どこよ?なんだ真紀子か…。
どこってベッドの上の夢の中に…。
(真紀子)はあ!?何してんのよ!今日は9時から練習試合決まったって昨日キャプテン言ってたでしょ〜?
(薫)ああ〜!ハァハァハァ…。
(打球音)セカンド!
(一塁塁審)アウト!
(薫)す…すみませんでした!あの…うっかり寝坊しちゃって。
来なくてもよかったのに。
え!?バイトがどんなに大事か知らないけどやる気のない人は必要ないの。
言ったでしょ?自覚してくれって。
ちゃんと部活に打ちこめるようになるまでは顔を出さなくてけっこうです!回想やる気のない人は必要ないの。
ちゃんと部活に打ちこめるようになるまでは顔を出さなくてけっこうです!やっぱ無理なのかなあ。
ソフトもバイトも両方って…。
やめるしかないのかな…ソフト…。
・薫!
(薫)真紀子!
(真紀子)ほんとどうしちゃったのよ。
インカレ出場が決まった時にはあんな張り切ってたのに。
茂野君?うん…。
ちょっと前まではあいつがスランプさえぬければ安心できるって思ってた。
でもダメなんだ。
ただ日本とアメリカではなれてるってだけじゃなくて電話もメールも来なくてテレビやネットで試合の結果を知るだけ。
なんかどんどん取り残されてくみたいでほんと別の世界にいるみたい。
会いたいよ。
私…部活やめる。
ええ!?どうしてもアメリカ行きたいしだからバイトやめられないしこんなんでソフト続けてたら先輩たちに迷惑かけるだけだし。
そんな…。
私なんかさ薫にさそわれたってだけでソフト部入ったんだけどさそれでももう部活がない生活なんて考えられないよ。
薫すごいがんばってたじゃん!何よりソフト好きじゃん!才能もあるじゃん!なのにやめるだなんてそんな…。
もったいないよ…。
(薫)ただいま〜。
薫あんたまだバイト増やす気じゃないでしょうねえ。
今日家庭教師センターから電話があったの。
もう1件新しい派遣先紹介できるって。
ああそう…。
あんたもうそんなに働かなくてもいいでしょう?アメリカに行った時に貸してあげたお金は全部返してくれたじゃない。
え…言ってなかったっけ?夏休み中にまたアメリカ行くために働いてんだけど。
(母親)何言ってんのよ。
来月にはインカレもあるでしょ?毎日こんな事してちゃ体こわすわよ。
だいじょうぶだよ。
もうソフトはやめるから。
え!?
(父親)いい加減にしろ!おまえは学生なんだぞ!何をチャラチャラしてるんだ!チャラチャラなんかしてない!してるじゃないか!部活やめてまで男を追いかけようなんて。
そんな不純な事のためにおまえを大学に行かせてるんじゃない!ただいま〜。
おふくろ腹減ったよ…。
え?何が不純よ。
好きな人と会いたい応援したいと思う事の何が不純なのよ…。
ちゃんと勉強だってしてるのになんでそんな事言われなきゃいけないのよ!薫!お父さん…。
ほっとけ!ど…どったの?心の声退部届早く出さないとな…。
あいらっしゃいませ。
あっ!
(小森大介)清水さん!
(沢村涼太)よ!
(薫)小森!沢村!
(薫)ちょうどバイトが終わる時間でよかったよ。
びっくりしただろ〜。
小森が「久しぶりに清水さんに会いたい」って言うからさあ。
え〜!沢村君でしょ?「バイト冷やかしに行こう」って言ったの。
アッハッハッハッハ…。
2人とも元気そうじゃん。
まあな!清水さんアメリカで見たんだよね。
本田君のワールドカップ。
うん。
小森も来ればよかったのに。
ぼくは野球部の練習があったから。
でも三船リトルのみんなとテレビで応援できて楽しかったし。
ああ!それに練習さぼってまで行ったらきっと本田君におこられてたよ。
(沢村)ていうか練習休みだったじゃね〜か。
(小森)そ…そうなんだけど。
沢村はサッカー続けてんだよな?サッカーはもうやめたよ。
え!?ひざの故障でな。
そ…そうなんだ…。
ごめん。
アッハッハ!いいんだよしんみりしなくて。
そのころはへこんだけど今は大学のサークルでフットサルやってるし。
そっか…。
だからってわけじゃないけど本田の活躍がうれしくてな。
ガキのころいっしょにやってた仲間があんなすっげえステージで戦ってるのがなんか自分の事みたいにほんとうれしいんだ。
そうだね。
おまえらもだぜ!小森も野球部でがんばってるし清水のソフト部はインカレに出るんだったよな!うん…。
いいなあ〜。
がんばれよ!応援してるからさ!うん!うん…。
そ〜だ清水!おまえ本田とつきあってるんだって?え?あ…いや…。
(沢村)よかったな。
え?ずっとソフトがんばってるおまえならさちゃんとわかってやれんじゃん。
あいつが今上を目ざしてがんばる気持ち。
ってかあんな野球バカとつきあえる女世界中探したって清水しかいね〜よ。
(沢村)なあ!ほんとよかったぜ〜。
(薫)いってきま〜す。
(母親)ちょっと朝ご飯は?いい。
バイト遅れるから。
そう。
ねえ薫今日大河の試合1時からなんだけど行ける?ああうん…。
母さんも父さんと行ってくるから。
え?父さん仕事あるんじゃないの?その時間だけぬけて来るの。
1回戦も2回戦もそうしたのよ。
だって最後の試合になるかもしれないじゃない。
大河の高校野球の…。
薫の時も行ったのよ。
え!?高校最後の予選の時。
父さんてれ屋だからこっそり行ってこっそり帰ったけど…。
ほら自分も昔ラグビーやってたスポーツマンだから試合に出てがんばっているあなたたちを見たくないわけないでしょ。
父さんねべつに茂野君とつきあう事に反対してるわけじゃないの。
ただ三船リトルからずっと続けてきた野球やソフトを一時の気持ちでやめてしまうなんて後で絶対後悔するって…。
無心に部活に打ち込めるのはいやでもあとわずかなんだから最後まで続けてほしいって。
ずるいよ父さん。
そんな事ちっとも教えてくれないんだもん。
(歓声と拍手)ああ…。

(母親)薫!
(主審)ボールフォアボール。
落ち着いていけ。
だいじょうぶ。
まだ球は十分走ってる。
(綾音)がんばって〜!ツーアウトツーアウト!ストライク!バッターアウト!
(薫・父親)よし!打て!大河!ヒットで同点だぞ〜!
(打球音)心の声行け!行け!行け!
(主審)アウト!ゲームセット!
(拍手)
(泣き声)おしかったなあ。
あと10cmか。
あの子があんなに泣くなんて。
キャプテンとして本当にがんばってきたものね。
ああ。
父さん…。
ん?私…私部活続ける!そうか…。
(父親)今日は4人で飯でも食いに行くか。
(薫)うん!
(薫)えっうそ!ええ〜!?本田?マジ本田かよ…。
本田?
(茂野吾郎)よ!元気か?あ…ああ。
そっちは?まあいろいろあったけどな…なんとか復活したぜ。
ホーネッツも3位。
2位まであと2ゲームだ!うん。
本田…。
ん?がんばれよ。
私もソフトがんばるから!
(エンディング・テーマ)万年Bクラスのうちがようやく首位にも手が届きそうだって時にグリーンのやつがケガだって?ダンストンも調子が出ないみたいだしどうなっちまうんだこの先!次回「メジャー託された夢」夢の舞台へかけ上がれ!
(オープニング・テーマ)
(実況アナウンサー)「インディアナポリスブレイブスタジアムで行われているウイングス対ホーネッツの試合も大づめ。
ホーネッツ1点ビハインドでむかえた9回裏の攻撃は先頭打者の3番キーンがセンター前ヒットで出塁し続く4番パーカーはレフトフライにたおれてワンアウト一塁。
ここで今日2安打と当たっている5番グリーンを打席にむかえます」。
(主審)プレー!
(実況アナウンサー)「ぬけた〜!ライト前ヒット!一塁ランナーは三塁へ。
エンドランが決まってホーネッツワンアウト一塁三塁で逆転のチャンス!」。
(トニー)よしよしこれで犠牲フライで同点だ!
(ステーシー)なんとか打ってくれよ。
(打撃コーチ)ボス。
ここは代打の方が。
ダンストンはここ数試合ヒットが出てませんし。
(ステーシー)いやかれは堅実な男だ。
犠牲フライくらい打てるだろう。
今までも辛抱して使っていれば自分で修正していた。
ここは我慢だ。
(茂野吾郎)たのむぜ〜!ダンスト〜ン!プレー!
(二塁塁審)アウト!
(一塁塁審)アウト!
(実況アナウンサー)「ダブルプレー!試合終了。
ダンストンこのところまったくいいところがありません!今日も4打数ノーヒット。
これでホーネッツの連勝は4でストップです」。
(ブーイング)ったく連勝も4つでストップかよ。
(ジェームス)ぼやくなよ。
またあしたから連勝していきゃいいだけだろ。
(ネルソン)ぜいたく言ってたらきりねえよ。
まっ今年は生きのいいルーキーがいるからいくらでも勝てるしな!あ〜はいはい。
一生言ってろ。
(パーカー)そういや聞いたか?オーナーが選手の補強を検討してるって話。
補強?何だよ今ごろ。
ボスにはっぱかけてるらしい。
今年は何が何でも優勝しろってな。
気持ちはわからなくねえなあ。
例年はやばやと優勝争いから脱落してるホーネッツが今シーズンは後半に差しかかっていまだに上位をキープしてっからな。
気になるのは補強だ。
もしかしたらトレードかもしれないからな。
そうなるとだれかが放出されるって事だろ。
そのうわさを聞いてひかえ組が血相変えて今居残りで練習してるみたいだ。
人ごとじゃねえぞ。
まさか好調な選手を出すとは思えねえしおれたちも気合い入れていかね〜とな!ったくやっと勝ち星が先行したとこだってのに優勝なんて気が早すぎね〜か?ああ?優勝すんのに早いもおそいもね〜だろ!おれはいつだって優勝ねらってんぜ!おおっさすが次期エース!飯おごれ。
はあ?たまには先輩におごったってバチは当たらんぞ。
ちょっとおい!ごちになります。
次期エース!勝手に決めてんじゃね〜よ!こら放せっての!
(ジェームス)腹減って不調におちいったら追い出されちまうだろ!
(ネルソン)そうなったら責任とれよ。
んなの関係ね〜だろが〜!
(グリーン)気にするなダンストン。
ただのうわさ話だよ。
ああ気にしちゃいね〜よ。
まっおれが不調なのは事実だがな。
お先に。
(ランス)なんだ今日のザマは!せっかく4連勝で波に乗ってたというのになんなんだあのさい配は!すみません。
特に最後の打席だ!同点…いや逆転のチャンスだったのになぜ不調のダンストンに代打を出さなかった?ベンチを温めてるやつらはいくらでもいたはずだ!給料分くらいはきっちり仕事をさせろ!ですがダンストンは…。
うるさい!チームの好調で客足も増え始めた。
その上ホーネッツが25年ぶりに優勝するかもしれないとなれば話題性も高まり観客数ももっともっと増えるはずだ。
いいかステーシーこの流れを絶対止めるな。
はい。
(歓声)ストライクアウト!
(三塁塁審)アウト!
(キーン)とばしすぎだ!おまえはあした先発だぞ。
ヘッ!問題ね〜よ。
(打球音)
(グリーン)ふう〜。
ようグリーン。
さすがにこの年で走りこみはくるね〜。
クリーンアップのあんたが何言ってやがる。
ハッハッハッハ…。
うちには若くてたのもしいのが何人もいるからだいじょうぶだよ。
まあな!おれがガンガン投げて勝ちまくって優勝を味わわせてやんぜ!
(グリーン)おっこれは大きく出たな。
期待してんぜルーキー。
フッ期待か…。
ん?おれの友達でプロサッカー選手を目ざしていたやつがいてな。
そいつケガをしてその夢を果たせなくなっちまったらしいんだ。
シーズン前日本に帰った時そいつに言われたんだ。
「種目はちがうが自分の夢だったプロにおまえはなった。
自分が果たせなくなった分までがんばってもっともっとでっかい選手になってくれよ」ってな。
ちょっとそれを思い出しちまった。
ほ〜おじゃあおまえはそいつの夢も背負ってるわけだな。
そんな大げさなもんじゃねえよ。
ただおれの投げるボールにそいつの思いもかかってると思うとな…。
まっしょっぱいとこは見せられねってこった。
そうか。
って言っても前半戦はなんだかんだかっこわるいとこだらけだったけどなハッハッハ…。
(係員)おいダンストン!ボスがちょっと来てくれってさ。
(実況アナウンサー)「さあ1回裏ホーネッツフォアボールで出塁したロイが三塁まで進みツーアウトながら先制のチャンスで4番のパーカーをむかえます」。
(打球音)よっしゃ〜!先制点!よし今日はさい先がいいぞ〜。
回想
(ステーシー)どうしたんだ?ダンストン。
ここ最近バットがしめっているようだが堅実なタイプのおまえがここまで不調なんてめずらしいな。
今チームは波に乗っている。
その波を止めたくない。
今夜のゲームから代打で結果を出してるクローゼをスタメン起用する。
悪いが調子を取りもどすまでひかえに回ってくれ。
わかりました。
何やってんだおれは。
せっかくメジャーへ上がってレギュラーに定着できたっていうのに。
後半はすっかり乱打戦になっちまったなあ。
(ロイ)ああなんとか出ろよ〜!ロビンソン。
よ〜しぬけた!
(パーカー)ノーアウトのランナーだ!ネルソンに代って代打カーペンター!ボ…ボス。
このままだと外野の守備が足りなくなりますが。
わかっている。
9回だしここは勝負だ!
(打球音)
(二塁塁審)アウト!くっそ〜!代打ダンフォースだ!また代打か。
おいおい…延長になったら外野どうすんだよ。
ボール。
いいかステーシーこの流れを絶対止めるなよ。
たのむぞダンフォース。
なんとかつないでくれ。
ストライク!心の声
(ダンフォース)おれたちひかえ組にとっちゃなかなかないアピールのチャンスなんだ。
トレードされないようになんとか結果を出さないと。
しゃ〜!ぬけ…。
(二塁塁審)アウト。
(一塁塁審)アウト!ああ…。
延長か。
なんてこった。
ボス守備はどうしましょうか?ダンストン!はい。
おまえ以前センターを守っていたな。
センターで出てくれ。
わかりました。
(ステーシー)グリーンはレフトをたのむ。
えっあ…はい。
慣れないポジションは落ち着かないな!左中間はおれに任せておけ。
おうあてにしてるぜ!心の声これまでの打撃不振は守備で挽回する。
ストライクツー!
(打球音)任せろ!うわああ…。
ああ…。
グリーン!グリーンはだいじょうぶなのか?グリーン!担架だ!グリーン…。
(ステーシー)グリーンは右ひざのじん帯断裂と診断された。
おそらく今シーズンの復帰は難しいだろう。
残念な事だがやむを得ん。
ここにいる全員で残りのシーズンを戦いぬくしかない!たのんだぞ!なんてこった。
グリーンのやつついてねえな。
あいつも年だしな。
そのうえこんな大ケガじゃこのまま放出って事もあり得るぞ。
(ロイ)おいそりゃいくらなんでも。
(ジェームス)いやわからんぞ。
おれのせいだ。
おれが冷静なプレーをしていれば…。
おれの…せいだ。
(ワッツ)ダンストンあれは事故だ。
おまえの守備が悪かったわけじゃない。
ワッツの言うとおりだ。
あんま気にすんじゃねえよ。
(ノック)どうぞ。
ダンストン。
やあ…。
ん?ハッハッハ…ばれるとおこられるんだ。
復帰に備えてきたえられるところだけでも…と思ってね。
そうか。
おれが一番わかってるよ。
今シーズンどころか来シーズンも現役でいられるかどうかあやしいって事をな。
グリーン!おまえ何言って…。
だが…おれもプロだ。
最後まであきらめる…わけには…いかない…だろ?
(ダンストン)グリーン。
すまなかった。
おれが冷静に判断していればあんただってこんな大ケガ…。
(グリーン)よせよダンストン。
なにしろ急なポジション変更だったしおたがいさまだ。
そんな事いちいち気にしてたら野球なんてできないだろうが。
ハハッだからそんな顔するなって!…ったく。
ほんとにクソまじめなやつだなあ。
来シーズンの事はともかく優勝がねらえる時にベンチにもいられないのは残念だ。
おれはマイナー時代が長かったからなあ。
年齢的にもこのホーネッツが最初で最後のメジャーチームになるだろう。
だからホーネッツの優勝はおれの夢でもあるんだ。
グリーン…。
いつまでもそんな顔するなダンストン。
おれの分までがんばってホーネッツの優勝見せてくれよ。
うお〜!ストライクアウト!
(打球音)アウト。
(主審)ストライクアウト!
(キーン)この回も三者凡退か。
この分だと投手戦になりそうだ。
だいじょうぶか?ああ連敗はできねえしガンガンとばしていくぜ!ストライクアウト!セーフ!とばしてきたせいで球威が落ちてますね。
うむ…しかたない。
ピッチャー交代だ。
ふう〜。
ん?心の声くそ〜。
おれはこうしてだまって見てるだけでいいのか。
何かやれる事はないのか。
(打球音)
(主審)セーフセーフ!
(打撃コーチ)ああ…。
何をやってるんだ!まずいな…。
このまま連敗するわけにはいかんぞ!なんとか塁に出てくれよ〜。
ロイ。
(主審)プレー!ストライク!ロイのやつなにかたくなってやがる!ボール球じゃねえか。
なあ茂野。
ん?この間おまえグリーンに日本の友人の話をしてたろ。
え?ああ。
他人から夢を託されるってのはどういう思いなんだ?はあ?何だよ急に。
昨日グリーンの見まいに行ってきたんだ。
え?その時におれはグリーンから夢を託された。
ホーネッツの優勝だ!ストライクツー!フッ!どんな思いもクソもねえ。
調子がいい時もそうでない時もただそいつの夢を裏切らねえようがんばるだけじゃねえのか?自分の力を信じてな。
そうだよ…な。
ファール!ロイ!力が入りすぎだ!ボールをよく見ろ!ピッチャー球が上ずってるぞ!おまえは1番バッターだ。
何が何でも塁に出る事が仕事だろ!どうしたんだ?クールが売りのダンストンが。
ヘッ。
ボール。
ボール。
ボールフォアボール。
いいぞロイ!心の声おまえのおかげだよ。
自分の仕事忘れてたぜ。
(一塁塁審)アウト!ナイスバント!ネルソン!よしこれで1打同点だ!ボールフォアボール。
いいぞ〜キーン。
よく見た〜!心の声試合に出てないからって何もできないわけじゃない。
今やるべき事をやらなくてどうする!そんなんじゃチャンスなんて来ないし優勝なんてできるわけがない!デッドボール!チッ!
(ブーイング)ワンアウト満塁です。
ここは代打でも!ダンストン!はい!外野フライでも1点だ。
いけるな。
ヘッたのむぜ!おれの負けを消してきてくれよ!ああ任せとけ!プレー!心の声おれは今までただ自分の仕事を確実にこなせばいい。
それがプロだと思っていた。
ストライク!ボール。
心の声だが…それはまちがいだったようだ。
うおおお〜!おれの分までがんばってホーネッツの優勝を見せてくれよ!
(打球音)ダンストンいけ〜!心の声他人の夢を背負うのもプロなんだ!セーフ!うおおお〜!よくやった〜!よ〜しダンストンに続け〜!
(打球音)
(主審)ストライクアウト!
(アナウンサー)「試合終了!ホーネッツ9回表に打線爆発!その裏をわずか危なげなく3人でおさえて5対1で逆転勝利です」。
やったな!ダンストン。
まったくヒヤヒヤさせおって。
(ノック)入れ。
(GM)かねてより交渉を続けていた移籍の件ですが…。
おお!それでどうだ?あとは契約を交わすだけです。
数日で合流できるでしょう。
そうか!でかしたぞ!フッフッフ…。
これでまた客足が増えるぞ〜。
ムッフッフッフ…。

(エンディング・テーマ)おいおい今度来る助っ人は相当な問題児らしいじゃね〜か。
まっ腕利きでチームに貢献してくれるなら問題児でも何でも大歓迎だぜ!次回「メジャー暗黙のルール」。
夢の舞台へかけ上がれ!心の声
(ダンストン)おれは今までただ自分の仕事を確実にこなせばいい。
それがプロだと思っていた。
ボール。
心の声だが…それはまちがいだったようだ。
うおおお〜!
(打球音)心の声他人の夢を背負うのもプロなんだ!セーフ!うおおお〜!
(GM)かねてより交渉を続けていた移籍の件ですが…。
(ランス)おお!それでどうだ?あとは契約を交わすだけです。
数日で合流できるでしょう。
そうか!でかしたぞ!フッフッフ…。
これでまた客足が増えるぞ〜。
ムッフッフッフ…。

(オープニング・テーマ)
(歓声)
(打球音)
(実況アナウンサー)「入った〜!9回裏3番キーンのサヨナラホームラン!」。
よっしゃ〜!
(実況アナウンサー)「ホーネッツこれで4連勝!今日首位コヨーテスが敗れたため2ゲーム差につめ寄りました!」。
(ワッツ)これで後半戦は13勝5敗か。
例年なら落ちる夏場に今年はよく持ちこたえてんな。
(茂野吾郎)そういやうちは長い事リーグ優勝してねんだよな?
(ワッツ)ああ25年前にワールドシリーズに出て以来リーグ優勝はもちろん地区優勝もしていない。
(パーカー)今年は久々のチャンスだな。
(ネルソン)ああ!このまま好調を維持していければぶっちぎりで優勝できると思うぜ。
(ジェームス)そうしたらおれたち一気に注目を浴びんじゃねえ?
(ロビンソン)でもってよ女の子がわんさか寄って来るんじゃねえ?うお〜っし!死んでも優勝するぞ〜!おう!
(ロイ)おれは思いっきりシャンパン浴びて〜なあ。
メジャーのシャンパンファイトってまた格別なんだろうなあ。
ああできればグリーンにも味わわせてやりたいよな。
やりゃい〜じゃん!病室におしかけてパーッと盛大にシャンパンファイト!
(サンダース)おまえは本気でやりそうでこわいな。
ていうかそのころには退院してんだろ。
(キーン)そのグリーンの代わりの事だが…トレード期限の今日新しい選手の補強が決まったらしい。
いったいだれなんだよ?ロサンゼルス・パンサーズのマイク・マードックだ。
(一同)え!?な…なんだと?あのあらくれマードックが…。
マジかよ。
な…なんだよそのマードックって。
問題あんのか?問題?大ありだよあいつは!聞いた話によると気に入らないやつはとりあえずあいさつ代わりにぶんなぐるらしい。
病院送りにした人間を積み上げると自由の女神をこすってうわさも聞いた事あるぞ。
おれは車にひかれてもかすり傷一つ負わなかったって聞いてるぜ。
お…おれは素手でクマをたおしたって聞いたけど。
てかよ…そいつほんとに人間か?ああ〜よりによってあんなやつを…。
これだからうちは25年も優勝できないんだよ!まっマードックにはいろいろうわさはあるが成績は悪くない。
へッならいいじゃね〜か。
ピッチャーにしてみりゃ打ってくれりゃそれでいい。
おれもけっこう問題児あつかいされてきたから気が合うかもしんね〜な。
(ステーシー)なぜマードックなんですか?かれはすばらしいパワーヒッターだ。
何か不服でもあるのかね?かれの気性はご存じでしょう?マイナー時代から審判やコーチへの反抗チームメートやファンとの確執…。
グラウンド内外での乱闘さわぎなど数え切れないほどですよ。
せっかくチームがまとまってきているのに何もわざわざ…。
それがどうした?乱闘?おおいにけっこうじゃないか。
注目を浴びるし客だってエキサイトするだろう。
これはビジネスなんだよ君。
観客動員数が増えればそれでいいんだ。
まっとりあえず明日からすぐに使ってくれたまえ。
明日からですか!?当たり前だろ。
大金を積んだ分少しでも早く働いてもらわないとな。
(足音)
(係員たち)あっ!お〜いみんな!集まってくれ。
うわあ今日からもう合流かよ〜。
ん?あっやべ!
(打球音)
(口笛)
(打球音)なんだよおとなしいもんじゃね〜か。
いい振りしてるしこりゃナイスな補強だろ。
そりゃそうだろ。
トレード初日から暴れるアホがいるかよ。
(アナウンサー)「みなさんこんばんは。
勢いに乗るホーネッツ今日からミネアポリス・サンズをむかえての3連戦。
先発は後半戦2勝と好調の茂野。
そして注目は昨日トレードが決まりさっそく今日から5番ファーストに入ったマイク・マードック!新天地ホーネッツでどんなプレーを見せてくれるでしょうか」。
(主審)プレーボール!
(打球音)よっしゃよこせ〜!ええ!?うわ!あ…危ねえ!
(ロビンソン)だいじょうぶか?茂野!あ…ああ。
てめえちょ…。
(ロイ)おい!危ねえだろ!投げれば楽にアウトじゃね〜か!それおれに言ってんのか?あ…ああ。
トスしてたら落とすリスクが出てくるだろ〜が!間に合うと思ったらおれは自分でベースに入る主義なんだよ!今度から気をつけろよ。
ストライクアウト!とりあえず茂野はだいじょうぶみたいだな。
ああ。
まったくマードックのやつ味方にあんな危険なプレーしやがって。
茂野もあれで気の短いやつだからな。
これ以上なめたマネされたらだまっちゃいねえだろうな。
ボールフォアボール。
(ファンA)おっしゃ〜!ワンアウト満塁のチャンスだぜ!
(ファンB)今日のレイノルズは立ち上がり悪いぞ!一気にせめちまえ〜!ああ!
(二塁塁審)アウト!
(一塁塁審)アウト!おいおいレイノルズが制球に苦しんでるのに初球の難しい球に手を出してゲッツーかよ!ったくしょっぺえ初打席だな。
はあ〜これだからな。
マードックは数字こそそこそこ残すがチャンスに弱い。
まず最低でも犠牲フライなんていうチームバッティングがまるでできねんだよな。
ああ。
やつが今までどの球団でも長続きしねえのはあの雑なバッティングと問題行動で結局チームを低迷させる疫病神あつかいされてきたからだ。
まっもう来ちまったもんはしょうがねえがうちでも疫病神にならなきゃいいけどな。
アウト!また簡単にツーアウトかよ。
完全に立ち直りやがったな。
レイノルズのやつ。
で次がマードックか。
たのむからそろそろいいとこ見せてくれよ!
(ざわめき)があ〜!うおっまずいぞ止めろ!
(ロイ)おお〜こえ〜こえ〜。
(ロビンソン)さすがに移籍初日から乱闘するのはこらえたか。
心の声茂野がこれだけ好投してるんだ。
そろそろ点を取ってやらないとな。
(打撃コーチ)ストップ!ストップ!おい!何?コーチャー無視か。
うお〜りゃ〜!セーフ!
(ロビンソン)やったな!
(ジェームス)ナイスラン!得点にはなったがあれはコーチャー無視した暴走だろう。
キャッチャーがミスしなけりゃ完全にアウトじゃねえか。
ヘッラッキーだったな。
まっツーアウトだったし積極的な走塁をするのはきらいじゃねえぜ。
(一塁塁審)アウト。
さ〜てと1点もらったしこの回もきっちりおさえるとすっか!おい!ジャパニーズ。
あん?さっきおれがぶつけられたのはわかってるよな?チームメートならやつらにお返しすんの忘れんなよ。
ぬるい所ねらうんじぇね〜ぞ。
胸から上なんなら頭にぶち当てろ!な〜に乱闘になってもおれが真っ先に助太刀してやるから安心しろ。
(キーン)どうかしたのか?茂野。
ああ…いやべつに。
プレー!心の声あのやろう…わざとデッドボールを投げろだと?あの事故でおとさんをなくしてるこのおれに!じょうだんじゃねえぜ!それだけはぜってえにやっちゃいけね〜ぞ!ストライク!フン!
(マードック)タイム!なんだ?いったいどうしたんだ?なんだよリリーフならまだ間に合ってんぜ。
フフフ…なるほどな。
ん?日本人はもの静かで争いを好まないと聞いていたがつまりはただの腰ぬけだったって事か。
な…なんだとてめ〜!おれはなあ!チキンの言い訳なんざ聞きたかね〜よ。
(主審)おいなんだ?とにかくおまえは新しくチームメートになったやつになんの歓迎も友好も示さねえってんだな。
オーケーオーケー!よ〜くわかった。
心の声なんだあのやろうこのおれが腰ぬけだと?せっかく1点取った後になんでわざわざ先頭バッターをデッドボールで出さなきゃいけねんだ。
いいかげんにしろってんだ!
(打球音)あっ!フン…。
やろ〜。
(主審)ボールフォアボール。
くっそ〜!タイム。
どうしたんだ?マードックと何かあったんなら話せ。
あいつ報復死球を投げねえおれにイチャモンつけてきやがった。
(キーン)なに?こっちじゃ仲間が当てられたら相手にもぶつけるっていう暗黙のルールがあるらしいがんなバカらしい事やんなきゃいけねえもんなのかよキーン。
どうかな。
まずはじめに相手が悪質で故意に当てたかどうかでケースはちがうがおまえがそういうのがきらいなら無理にやる事はないし強要する方がどうかしている。
マードックには後でおれから注意しといてやるから今はバッターに集中しろ。
プレー!ファースト!い?な…。
アハハ…やべっ指に引っかかっちまった。
(主審)セーフ!どこ投げてんだよ〜!バカヤロー!てめえ!ふっざけんなよ!おれが報復しなかったからって当てつけにわざとエラーしやがったな!あん?わざとだと?指が引っかかっただけだって言ってんだろうが!やめろ!2人とも!こりゃやべ〜ぞ!だったら報復死球なんざ人におしつける前にちゃんとてめえの仕事しやがれ!このヘタクソが!な…なんだと!?このやろ〜!
(マードック)くたばりやがれ〜!
(ダンストン)お…おいだいじょうぶか?ロイ。
てめえよくもやりやがったな!
(トニー)やめろ!茂野。
おらあかかってこいや!ボコボコにしてやるぜ!
(キーン)いいかげんにしろ!マードック!うるせえ!放せこのやろう!あっ…。
マードック退場!や…やりやがった。
ケッ!もういい放せ!だいじょうぶか?ロイ。
ああ…イケメンがだいなしだぜ。
(ステーシー)おいどうした?キーン。
ちょっと下がった方がいいかもしれません。
つきたおされた時に足を変にひねったらしい。
(一同)え?な…なに〜!?
(サンダース)なんてこった。
ありえねえ負け方だぜ。
茂野は自責点0で負け投手。
チームも4連勝でストップ。
そしてあのくだらねえ乱闘でキーンは足首ねんざ。
全治2週間。
さんざん不安視してた疫病神ぶりをいきなり発揮してくれたぜ。
マードックのやつ。
茂野おまえマードックがタイムリーエラーした後やつに何を言ったんだ?え?ああ…やつが故意にエラーしたから文句つけてやったんだよ。
故意に?ああ。
それまでにもやつはゴチャゴチャと因縁つけてきてたんだ。
報復死球をやれと言ってきたけどおれが無視したらあんな形で仕返ししやがった。
報復死球ねえ…。
んでおれが文句言ったらブチ切れやがってあのさわぎだ。
まったくいかれてるぜあのやろう!それはおまえも悪いんじゃないか?え?な…なんでだよ?いくら因縁をつけられたからといって故意にエラーしたかどうかなんてわからんだろう。
だいたいあんな場面でわざとエラーするなんてマードックにだって何のメリットもないしな。
なにあいつをかばってんだよ!ワッツ。
今までだってそうやってチームメートといざこざを起こした前科がいくらでもあるんだ!とにかくあんなやつはムードを悪くするだけだ。
今日みたいなマネしてりゃ首脳陣もやつの起用を考え直すだろう。
だからもうしばらくの辛抱だぜ!茂野。
心の声
(マードック)「マードック今日も打てず。
ファンやチーム内からも疫病神とささやかれ始めている」…か。
回想
(ワッツ)いくら因縁をつけられたからといって故意にエラーしたかどうかなんてわからんだろう。

(エンディング・テーマ)マードックのやろうなめたプレーばっかしやがって!こりゃ相当な問題児だぜ!チームの空気もどんどん悪くなっていくしこの先どうなっちまうんだ?次回「メジャー負の連鎖」。
夢の舞台へかけ上がれ!
(テーマ音楽)
(ランス)「疫病神マードックまたも大ブレーキ。
ホーネッツ5連敗にファンもブーイング」。
う〜…せっかく好条件でむかえてやったのにあのポンコツめが〜!おまけにゴールデンボーイのキーンにケガまでさせおって!あんなやつは二度と試合に出すな!客も呼べない役立たずは我がホーネッツにはいらん!
(ロイ)久しぶりだなあLA。
(ジェームス)パンサーズと2連戦かあ。
たしか西地区2位だったよなあ?
(ダンストン)ああ。
後半戦から調子を上げてきてサーモンズと首位を競り合ってる。
へえうちら中地区はコヨーテスの独走状態だもんなあ。
まっ平和でいいけど。
よかね〜だろ。
(ロビンソン)まっパンサーズは好調なはずさ。
なにしろ前半戦でブレーキだった選手をうまい事放出できたからなあ。
ブレーキ?
(ジェームス)なるほどね。
(茂野吾郎)あ〜食った食った!
(サンダース)おい茂野!ヒマなら映画でも見に行かね〜か?今な面白そうなのやってんだよ。
え?ああわり〜な。
今日は遠慮しとくわ。
そ…そうか。
それよりマードックの部屋番号わかるか?え?
(ワッツ)いくら因縁をつけられたからといって故意にエラーしたかどうかなんてわからんだろう。
(ノック)
(サンディ)おかえりパパ!ケーキ買ってきてくれた?ハ…ハロー!あ〜!あんたこの前パパとケンカした〜!うわあ〜!痛え…。
(コニー)どうしたの?サンディ。
べ〜!あら…あなたはたしか…。
え…ああ…どうも茂野っス。
そうそう茂野さん。
すごい球投げる…。
マイクの妻のコニーです。
あの〜マードッ…いやだんなさんは?今この子のバースデーケーキを買いに行ってるんです。
誕生日は先週だったんですけど主人は今インディアナポリスに単身赴任中だからチームがLAに遠征に来たついでに今日パーティーしてあげようって。
あの…中でお待ちになります?ああいえ。
べつにたいした用じゃないんで。
じゃあ。
あっ茂野さん!この前の乱闘の事本当にごめんなさい。
マイクは人づきあいが苦手なうえにすぐ頭に血が上っちゃう人だから。
あ…いえ。
あの悪送球もカッカして指に引っかかっちゃったんですって。
なのに周りには全然悪びれずに強がっちゃうからいつも誤解されて…。
もう少し周りとうまくやればトレードにもならないのに。
いえもういいんすよ。
あれはおれも悪かったんで。
じゃ…。
(ステーシー)え?マードックを!?
(GM)ええすぐにでもスタメンから外せというオーナーの指示です。
ま…待ってください。
ただでさえキーンが欠場して得点力が落ちてるんです。
長打の打てるマードックを外すわけには…。
その長打がチャンスに出ないから連敗してるわけでしょ?そ…それはそうですが…しかし!
(GM)私はオーナーの指示を伝えただけです。
現場の指揮権はあなたにありますが今期の成績にはあなた自身の進退もかかってる事をお忘れなく。
(かぎが開く音)
(マードック)ただいま!おかえりなさい!チョコのケーキ買ってきてくれた?ああ!やった〜!パパ大好き〜!さあおチビちゃん3人でケーキ食べようか。
その前にする事は?うん!手洗ってくる!いい子だ。
あっそうそうさっき茂野さんが訪ねて来られたのよ。
茂野!?あのやろう何か文句言ってきやがったのか?いいえ。
あの時は自分も悪かったって。
それだけ。
(打球音)心の声パワーはあるんだ。
試合で結果さえ出せれば波に乗れると思うんだが…。
(歓声)
(ブーイング)
(ファンA)またチャンスであいつかよ!
(ファンB)たまには仕事しろよ!役立たず!
(主審)プレー!心の声たのむぞ打ってくれ!
(打球音)
(三塁塁審)アウト!アウト〜!
(実況アナウンサー)「ダブルプレーで試合終了!ホーネッツこれで泥沼の6連敗。
首位コヨーテスとの差は6に広がりました」。
最悪だ…。
(ロビンソン)まったくとんだ疫病神だぜ。
(ジェームス)ああ。
あいつが来てから完全にチームがおかしくなっちまった。
キーンがいないってだけでも痛いのにケガさせた張本人がことごとくチャンスで凡退だもんなあ。
(ジェームス)あ〜あ今年もいつものように消化試合をこなして終了か。
(ワッツ)おい!マードックだけのせいにするのはやめろ!この連敗中打てなかったのはあいつだけじゃないし投手陣も打ちこまれた。
全員の責任だ。
いやあでもな明らかにあいつが来てからチームのムードが悪くなったよ。
無愛想だし。
疫病神なんてあいまいな言葉でだれかに責任をおしつけるのはやめろと言ってるんだ!なんだよワッツのやつ。
なんであんなやつの肩持ってんだ?いやワッツの言うとおりだろ。
つうかまだシーズンは終わってね〜ぞ。
終了だの消化試合だのって今からギブアップ宣言してる方がよっぽどチームのムード悪くすんじゃね〜か?心の声明日はおれが先発だ。
マードックが来てからじゃねえ。
おれから始まった6連敗だ。
ぜってえ止めてやる!マードックこの1週間辛抱してきたが事態は深刻だ。
それで?次がラストチャンスだ。
明日結果を出さなければ今後はひかえに回ってもらう。
いいな。
いいな!マードック!オーケー。
(打撃コーチ)なぜです?やつがブレーキになってるのは明らかじゃないですか。
なぜ今さらチャンスなど!
(トニー)情けをかけすぎじゃないですか?これ以上オーナーの指示を無視すればあなたの立場は…。
トニー後半戦1戦目の茂野のピッチングを覚えているか?え?ええ。
忘れやしませんよ。
あれはすごかった。
やつがイップスにかかった時見こみちがいかと思ったよ。
ワールドカップでの好投は単なるラッキーでしょせんはプレッシャーに弱いふつうのルーキーだったのかとな。
だがそうじゃなかった。
やつはみごとに復活した。
茂野の闘志に引っ張られるようにチームも息をふき返し連勝を重ねていった。
ホーネッツは今新しく生まれ変わろうとしているんだ。
茂野のようにマードックも変わると言うんですか?しかしあいつは!わかっている。
マードックは確かに問題児だ。
だがチームを転々としながらもやつはこの10年メジャーでバットを振ってきた。
その意地にもう一度だけかけてみたいんだ。
(マードック)ふざけやがって…。
(ノック)茂野…。
よっ!でなんだ?聞きたい事って。
あんたなんでマードックをかばうんだ?あ…いや…。
おれもあいつ一人のせいで連敗してると思ってねえけどかばってやるほどのやつとも思えねんだけどな。
ああ…そのとおりだ。
だが…ああなっちまったのには少し訳がある。
まだ若手だったおれとマードックは同じセントルイスのマイナーチームにいた。
あいつは昔から短気なとこはあったが当時はまだ明るくチームメートとも打ち解けていた。
スタメンとして使われ始めて結果も出していたがそんな時あの事件が起こった。
ぬき打ちの薬物検査でチームの2選手からコカインの陽性反応が出た。
そしてマードックのロッカーからもコカインが発見され逮捕された。
え!?だがマードックは白だった。
逮捕されそうになった2人が罪を軽くするためにコカインをマードックのロッカーにかくしたんだ。
後に2人の告白でマードックの潔白は証明された。
だが当時の仲間はだれ一人として無実をうったえるやつの言葉を信じようとしなかった。
このおれもな。
それ以来やつはだれも信じなくなった。
「チームのために」とか「みんなで勝利をつかむ」とかやつにとっては白々しい言葉でしかないんだろう。
(サンディ)パパ。
サンディ。
おしかったね今日の試合。
(マードック)悪かったなサンディ。
誕生日祝いにホームランを打ちたかったんだけどな。
ううんいいよ。
何か欲しい物あるなら言ってみろ。
買ってやるぞ!私パパのチームが優勝するの見てみたいな。
優勝してパパがグラウンドで笑ってるとこ見てみたいな。
ハァハァ…。
(サンディ)もういっぺん言ってみなさいよ!
(男の子B)ああいくらでも言ってやるぜ。
(男の子A)おまえのおやじ全然使えね〜じゃん。
(男の子B)そりゃ〜疫病神はパンサーズを追い出されるよなあ。
(男の子A)ああどこへ行っても疫病神だからホーネッツにも追い出されるぞ!ちがうもん!パパは疫病神なんかじゃないもん!こいつ…やったな!このやろ〜!疫病神の子供のくせになまいきなんだよ!おうおう朝っぱらから元気いいじゃねえか。
そんなに暴れたいんならいっしょに野球やらね〜か?おい行こうぜ。
ああ。
ケンカか?べつに…関係ないでしょ?おれも昔よくやったよ。
おれのおやじも野球選手でなバカにするやつがいたらどんなでかいやつにだって飛びかかったもんさ。
まったいていボコボコにされちまったけどな。
パパはどこのチームでも必ず15本以上ホームラン打ってるの。
打てなかった事なんて一度もないのよ。
へえ〜すげえじゃねえか。
でもパパが行くのはバッティングが弱いチームばっかり。
それでチームが強くなってくるといつもケンカしてやめちゃうの。
今年もきっと優勝は見られないんだろうな。
見られるさ。
え?パパの活躍でホーネッツは優勝だ。
おまえが信じなくてど〜すんだよ。
うん!ついでにこの吾郎お兄さんの事も応援してくれや。
ゴロー?変な名前。
なにい?
(歓声)
(実況アナウンサー)三塁線ぬけた〜!よし!
(実況アナウンサー)一塁ランナーのロイ三塁けって…いやストップストップ。
打ったダンストンも二塁へ。
キーンに代わって3番に入っているダンストン期待に応えました。
さあワンアウト二三塁。
ホーネッツ先制のチャンス」。
(どよめき)敬遠。
初回から満塁策か。
古巣にもなめられたなマードック。
ボールフォアボール。
(ブーイング)パパ〜がんばって〜!心の声
(キンブリー)フッ悪いなマードック。
おまえがチャンスに弱い事はチームメートのころからよ〜く知ってるぜ。
心の声どいつもこいつもなめやがって。
おれを疫病神あつかいして陰口をたたくチームメート。
おれを優勝争い脱落のスケープゴートにしている首脳陣。
ストライク!心の声ふざけやがって。
やっぱりこのチームもほかと同じだったぜ。
こんな球団こっちから出てってやる!パパのチームが優勝するの見てみたいな。
(打球音)
(二塁塁審)アウト!
(一塁塁審)アウト。
ああ〜!くそ〜!パパ…。
やれやれ…外野フライも打てね〜のかよ。
(実況アナウンサー)「さあ1回の裏守りにつくホーネッツの先発は茂野。
もう負けられないホーネッツ。
茂野で連敗をストップできるか」。
プレー!心の声まだ30試合以上ある。
6ゲームなんてあきらめるゲーム差じゃねえ。
チームのこの悪い空気はおれが変えてやる!ストライク!は…速え〜。
ストライクアウト!ストライクアウト!うおおお〜!ストライクアウト〜!
(歓声)三者連続三振…。
ああ。
すっげ〜。
おいおい初回から飛ばしすぎじゃね〜のか?あいつは。
フッそんな事はどうでもいいんだろう。
やつはただチーム全員にギブアップするなと言っているんだ。
(実況アナウンサー)「試合は0対0のまま6回表ホーネッツの攻撃。
ワンアウトランナー二塁のチャンスで打席には今日もまたブレーキとなっているマードック。
フルカウントからピッチャー第7球」。
ストライクアウト!何〜!?おいおい今のがストライクだと?いい目医者紹介してやろうか?それとも眼鏡屋がいいか?あ?どうなんだよ!おいよせ!マードック。
主審今のはちょっと厳しいんじゃないの?低いでしょ〜?どう見てもボールじゃないですか。
(サンダース)やれやれ…。
今度は審判に八つ当たりか。
うむ…。
ええいくそっ!
(打球音)
(二塁塁審)アウト!
(実況アナウンサー)スリーアウト!ホーネッツ6回の表も無得点。
試合はいぜんとして0対0。
さあこの回も茂野がマウンドに向かいます。
ここまで被安打2フォアボール1とほぼ完ぺきなピッチング。
打線の援護がない中一人奮闘しています茂野」。
プレー!
(一塁塁審)セーフセーフ!な!おれのエラー!?心の声マジかよ。
これからあのヘタクソなファーストのせいでおれの守備率が下がるのかよ。
は〜あやってらんね〜。
おいちょっと来いてめえ。
あ?なんだよ今の首振りは。
はあ!?またか…あいつは!おれのせいだって言いてえのか?コノヤロ〜!あ?だったらなんだってんだよ!いい加減にしろよマードック。
どうせだれも信じてね〜んだろ。
だったらいちいちくだらねえ事で腹立ててんじゃね〜よ!べつに周りを信じたくなくたって構わね〜よ。
でもな…プロなら周りから信じられるプレーをしてから文句言えや。
戦う相手はチームメートでも首脳陣でも審判でもね〜んだよオッサン!このガキャ〜!パパ〜!くっ…。

(エンディング・テーマ)みんなあきらめんじゃね〜!この試合に勝てば優勝争いにふみとどまれるんだぜ!っておいっわかってんのかよ!マードックのオッサン!次回「メジャーエースの責任」夢の舞台へかけ上がれ!
(歓声)
(主審)プレー!
(一塁塁審)セーフセーフ!
(ロイ)な!おれのエラー!?心の声マジかよ。
これからあのヘタクソなファーストのせいでおれの守備率が下がるのかよ。
は〜あやってらんね〜。
(マードック)おいちょっと来いてめえ。
あ?なんだよ今の首振りは。
はあ!?
(ステーシー)またか…あいつは!おれのせいだって言いてえのか?コノヤロ〜!あ?だったらなんだってんだよ!
(茂野吾郎)いい加減にしろよマードック。
どうせだれも信じてね〜んだろ。
だったらいちいちくだらねえ事で腹立ててんじゃね〜よ!べつに周りを信じたくなくたって構わね〜よ。
でもな…プロなら周りから信じられるプレーをしてから文句言えや。
戦う相手はチームメートでも首脳陣でも審判でもね〜んだよオッサン!このガキャ〜!
(サンディ)パパ〜!くっ…。

(オープニング・テーマ)パパがグラウンドで笑ってるとこ見てみたいな。
(主審)おい何をしている。
いい加減にしろマードック。
遅延行為で退場にするぞ。
ふん!
(トニー)やれやれ。
(打撃コーチ)やはりしばらくマイナーで頭を冷やさせないと。
心の声
(ステーシー)メジャーリーガーとしてのやつの意地にかけてみたがあまかったか…。
(サンダース)ミスして逆ギレか。
今ので本当に終わったなマードック。
ボール。
プロなら周りから信じられるプレーをしてから文句言えや。
戦う相手はチームメートでも首脳陣でも審判でもね〜んだよオッサン!ボール。
ボールフォアボール。
ワンアウト一二塁か…。
茂野のやつ初回から飛ばしてきてつかれてるってのにさらにマードックのせいでリズムをくずされちまったか。
(グリッソム)おいサンダース受けてくれ。
あ…ああ。
ハァハァ…。
(打球音)くっそ〜!
(トニー)球威が落ちてる。
球数も100球をこえてつかれたな。
代わるか?球威が落ちてる?つかれた?おいおいよしてくれよ!そう思ってねえのにコーチが暗示かけたらまずいっての!
(トニー)いやしかしだな…。
この連敗中にどんだけ中つぎの連中が酷使されてんだよ。
ヘイガンもグリッソムも肩ひじパンパンだって言ってたぜ。
やつらにこれ以上負担をかけるわけにはいかねえ。
中6日も休んでたまに投げてるだけの先発が6回なんかでマウンドを降りられるかよ!
(トニー)わかった。
だが次のハワードをおさえられなかったら交代だぞ。
ああ。
プレー!心の声おれがイップスでグダグダだった時中つぎ陣にはいつも負担かけてた。
野手にも助けてもらっていた。
もう一回うちが優勝争いに加わるためにも…。
うおおお〜!心の声今度はおれがチームに借りを返す番だろ!
(主審)ストライク!
(主審)ストライク!
(主審)ストライクアウト!っしゃ〜!ここに来て100マイル!あきれたやつだ。
ボール。
ストライク!ストライクアウト!
(歓声)すごい…ゴローすごい!
(ワッツ)たいしたやつだぜ。
さっきおれがぶつけられたのはわかってるよな。
チームメートならやつらにお返しすんの忘れるなよ。
ぬるいとこねらうんじゃね〜ぞ。
胸から上。
なんなら頭にぶち当てろ。
うおおお〜!心の声なんだあいつちがうのか?報復のデッドボールも投げられねえただのヘタレじゃね〜のか?回想
(マードック)とにかくおまえは新しくチームメートになったやつに何の歓迎も友好も示さねえってんだな。
オーケーオーケー!よ〜くわかった。
指が引っかかっただけだって言ってんだろうが!
(キーン)やめろ!2人とも!こりゃやべ〜ぞ!だったら報復死球なんざ人におしつける前にちゃんとてめえの仕事しやがれ!このヘタクソが!な…なんだと!コノヤロ〜!くたばりやがれ〜!あっ…。
(主審)マードック退場!くそ〜!ふざけやがってあのガキ〜!
(球団職員)おいマードック。
ん?さっきの乱闘でキーンがケガをした。
メディカルルームにいるからひと言謝っておけよ。
おう。
(キーン)マードック。
(マードック)さっきのさわぎで足をひねったって?おいおいかんべんしろよ。
おれはおまえには何もしてね〜ぜ。
じゃあな。
(キーン)マードック。
今はカッカして耳に入らないかもしれんが報復死球を無視した事で茂野を責めるのはやめてくれ。
なに!?やつは野球選手だった父を幼いころにデッドボールで亡くしてる。
ああ?だったらなんだよそんなもんおれには関係ねえよ!
(キーン)ああ関係ない。
ただ茂野が報復死球をしないのはけっして腰ぬけだからじゃない。
おまえを仲間として認めてないからでもない。
あいつはだれよりも試合に勝つ事だけを考えている。
あいつにとって最高の報復はバッターを三振に取る事。
それ以上の仕返しなんてないんだ。
うおおおお〜!ボール。
フルカウントか…。
今何球目だ?次でちょうど120球目です。
心の声くっそ!頭から飛ばしすぎたツケが来てんのか?微妙なコントロールが利かねえ。
だがもうこの試合落とすわけにはいかねんだ。
ここでふんばれなくてどうする?
(打球音)うおりゃあ!投げろ〜!マードック!
(一塁塁審)アウト!
(歓声)
(ステーシートニー)よし!アハハ…やった〜!フッ何年ぶりかな。
あいつのあんなプレーを見たのは。
助かったぜ。
ナイスプレー。
ふん!カバーがおせ〜んだよ。
自分で入ったほうがよかったぜ。
(歓声)
(実況アナウンサー)「0対0で8回の裏パンサーズの攻撃はワンアウト二三塁。
おそらく連戦連投のつかれが出ているんでしょう。
7回まで好投の茂野に代わってこの回マウンドに上がったグリッソムがピンチを作り代わったヘイガンもピリッとせず4番ハワードに対してツーボール」。
ハァハァ…。
心の声
(ヘイガン)くっそ〜茂野が気迫のピッチングで7回までおさえたんだ。
ここで点をやるわけにはいかねえ!
(打球音)
(三塁塁審)アウト!
(ダンストン)くっそ〜!セーフ!
(歓声)ああ〜。
ここに来て先制点を取られてしまったか。
くっそ〜!やっぱり中つぎのやつらつかれがたまってやがる。
ストライクアウト!
(ジェームス)首位のコヨーテス今日も勝ちやがったのかよ。
(ロビンソン)んでやっぱりパンサーズのほうは守護神デルモンテの登場か。
こりゃ無理だな〜。
今日も負けだ。
これで首位と7ゲーム差になっちまったわけだ。
(ジェームス)追いつくの厳しいなあ。
このシーズンマジで終わったわ。
心の声こいつら…。
・おい!だれだ?今終わったとか言ったの!
(ロビンソン)え?
(ジェームス)いやおれは何も…。
ああそうだよな。
ゲームもシーズンもおれたち次第だってのにあきらめるやつはここにはいね〜よな。
心の声何言ってやがる。
無理だってロイ。
今シーズンデルモンテはセーブ失敗が一度もねえ。
運が良くねえとそう簡単に打てね〜ぞ。
プレー!心の声くっそ〜情けねえ。
いったい何試合投手陣に負担かけてんだおれたちは。
キーンとグリーンがいないからってやつらが帰ってくる前に終わっちまったらださすぎるぜ!
(打球音)よし!ノーアウトでランナー出た!心の声打ちやがった。
心の声ロイのやつ。
心の声
(ネルソン)チッロイ一人にいい顔させね〜ぜ。
アウト!いいぞ〜ナイスバント!
(パーカー)よしいけるぞ〜。
つないでいこう!お〜う。
(サンダース)伝染するんだ。
茂野の闘志は。
バッツの時もそうだった。
あいつの闘志がみんなを引っ張りおれたちは優勝したんだ。
心の声さっきの犠牲フライおれがもう少しいい送球をしていたらアウトにできた。
ミスはバットで帳消しにするしかない!
(打球音)
(二塁塁審)アウト!くっそ〜!プレー!け…敬遠?きっついな。
目の前でこの試合2回目の敬遠とは…。
パパ…。
ボールフォアボール。
(打撃コーチ)ボスここはマードックに代打を送ったほうが…。
心の声しかたがない。
マードックはここまで4打数ヒットなし。
これ以上はファンも納得しないだろう。
主審!マードック!チームメートにここまでコケにされてだまってんじゃね〜ぞ!男ならぜってえに見返してやれ!あんたはもうホーネッツのマードックなんだ!仲間を救ってくれ!あんたを追い出したパンサーズに報復してな!茂野の言うとおりだ!マードック一発たのんだぜ!・
(パーカー)マードック!
(ダンストン)打ってくれ!マードック。
(ネルソン)いけ!
(ジェームス)思いっきりやってやれ!
(ロビンソン)ガツンとな!ボス…。
うっかり忘れていたよ。
おれはやつにこの試合でダメならと言ったんだ。
ここで代えるのはフェアーじゃない。
ボス!
(ブーイング)・もしもし…オーナー!プレー!心の声フッフッフ…マードックがおれたちを見返すだと?心の声
(キンブリー)ばっかじゃね〜の?短気で単細胞のこいつがこんなチャンスで打てるわけね〜だろうが。
打てたらうちを追い出されてね〜んだよ!
(ランス)ステーシー!疫病神は二度と試合に出すなと言ったはずだ!どういう事だ?なぜあいつが打席に立っている?しかもこんなチャンスに!・
(ステーシー)チームが優勝するためです。
なにい?優勝への道は選手一人一人が特別な力を発揮した時に初めて開けるものです。
私は監督としてマードックのその力を信じてやりたいんです。

(ランス)何を今さらそんなもん!
(ステーシー)試合中です。
失礼します。
(電話の切れる音)この役立たずが〜!うおりゃ!ストライク!心の声ヘッ相変わらずチャンスに弱い大型扇風機だぜ。
気負いすぎなんだよあのバカ。
くっそ〜。
心の声ヘヘッちょろいね単細胞は。
そんな力んでたらど真ん中でも打てね〜だろ。
落ち着けマードック!ボールよく見ろ!心の声信じられねえ。
ずっとキャリアが上のおれに何だあいつは。
今までおれがいたチームのやつらはおれをはれ物のように遠ざけていた。
ボール。
心の声だがあいつはちがう。
試合に勝つためにだれにでも本気でぶつかってくる。
ストライク!ああまずいな追いこまれた。
心の声昔のおれはもっと純粋に野球を楽しんでいた。
仲間と一投一打に一喜一憂する毎日それが喜びだった。
そうだ仲間がおれを遠ざけてたんじゃない。
おれが仲間を遠ざけていた。
そのせいでおれは…。
心の声
(デルモンテ)これで終わりだ!心の声あのころの喜びまで忘れていたんだ!あ…ああ…。
(歓声)
(実況アナウンサー)「入った〜!マードック起死回生の逆転スリーラン!」。
パパパパやった〜!や…やりやがった。
ああ。
やったぜマードック!マードック見せてもらったぞ!ナイスバッティングだ。
心配かけやがって。
よくやったぞマードック。
よくやった!やるじゃね〜か。
たいしたやつだぜ。
このやろ〜おいしいとこ持っていきやがって!心の声このチーム案外悪くねえかもしれねえ。
ようこそホーネッツへ。
うん。
おっしゃ〜みんな!マードックに続け〜!
(打球音)
(主審)ストライクアウト!ゲームセット!・はい。
(ワッツ)キーンか?ワッツだ。
見ただろ今日の結果。

(キーン)ん?ああ。
これで優勝するための戦力はそろったって事だ。
(ワッツ)あとはおまえさんがチームをどうまとめるかだな。
えっ…。

(エンディング・テーマ)連勝街道まっしぐら!調子が良すぎてこえ〜くらいだぜ!何?次の相手はサーモンズだって?そんじゃこの勢いで古巣を返り討ちにしてやるぜ!次回「メジャー」ウイークポイント夢の舞台へかけ上がれ!2016/01/01(金) 10:00〜12:52
NHKEテレ1大阪
アニメ メジャー6 アンコール 第8話〜第14話[字]

メジャーリーガーとなった茂野吾郎の活躍を描く、第6シリーズの8話〜14話。メジャーに復帰したものの、目標を見つけられず悩む吾郎に衝撃のニュースが…。

詳細情報
番組内容
ギブソンが現役復帰!吾郎はギブソンの体をいたわって声を掛けるが、逆に「お前らは何も分かっちゃいない!」と突き放される。だが、吾郎と投げ合った試合では打ち込まれてしまい、さらにマイナー落ちしてまで現役を続けるギブソンの姿を見た吾郎は、はじめてギブソンの真意に気付く。こうして自分らしさを取り戻した吾郎とともにホーネッツの快進撃が始まるが、そんな中、ひとりの選手がトレードで加入してきた…。
出演者
【声】森久保祥太郎,落合弘治,浪川大輔,森川智之,石井康嗣,羽多野渉,小山力也,笹本優子,咲野俊介,野田順子,金田朋子 ほか
原作・脚本
【原作】満田拓也
監督・演出
【監督】福島利規

ジャンル :
アニメ/特撮 – 国内アニメ

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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