相棒 season 14 元日スペシャル 2016.01.01


ハハハハ…そんな…そんな…
消えた人をバカにしてるけど大体あんたらがそっくりさんじゃないか
まぁ正月なんだからさ本もん出せよ本もんよ〜
来年頼むよ!

(2人の荒い息遣い)
(拍手)
(片山雛子)ありがとうございます。
音越官房長官を中心に新会派「NEWWORLDORDER」を結成する事を宣言いたします。
わたくしたちは新世界の秩序を実現すべく既成概念にとらわれず強い日本を実現いたします。
(記者)総裁選を前にしたこの時期に官房長官を中心とした新会派の結成。
その意味するところは?
(音越栄徳)私の口から宣言します。
私は総裁選に出馬します。
(どよめき)
(音越)盟友である片山雛子議員をはじめとする若い力を結集し現総裁に戦いを挑みます。
しかし現総理は支持率も高い。
勝算はおありですか?質問を返すようですがわたくしたち2人が並んでいる姿を見て「敗北」という言葉が浮かびますか?
(記者たちの笑い声)そう!私も彼女も負けた事がない。
(音越)勝算のない戦はしない。
つまり2人が手を組めば必ず勝つという事です。
総裁選に勝利し我々が新世界を創ります!
(拍手)
(森戸智紀)このあとは音越議員片山議員以下各議員に個別の質疑応答に移らせて頂きます。
(拍手)
(爆発音)
(一同の悲鳴)先生こちらです!急いで!先生!
(テレビの音楽)「『KBMニュースタイム』の時間です」
(鷹島)「昨日午後8時壇上が爆発する事件が発生しました」「この爆発によるけが人はなかったものの現場は一時パニック状態となり警察消防が出動する事態となりました」「警視庁は音越片山議員を狙ったテロの可能性が高いとして捜査を進めています」
(鷹島)「新会派を立ち上げた両議員は“テロには決して屈しない”と宣言し今後の総裁選への出馬になんら影響ないと声明を発表しました」「現在現場にいる高松記者に繋ぎます」
(鷹島)「高松記者現在の状況を教えてください」
(高松)「はいこちらは現場の高松です」「こちらでは警察と消防により…」
(冠城亘)爆弾テロか。
(杉下右京)物騒ですねぇ。
年の瀬だというのに警察はてんてこ舞いでしょうね。
この仕事に年末年始はありませんからねぇ。
年末年始関係なく特命は暇ですけどもね。
君も仕事がないなら法務省に戻ったらどうです?そんな事言わないでくださいよ。
あっそういえば右京さん休暇どこか行かれるんですか?まだ決めてません。
長い休暇を取ったばかりですから。
ですよね。
俺もしばらく休みたいなあ。
出向中というよりも君の場合十分休暇中に見えますがねぇ。
はい〜?
(携帯電話)あっちょっとすいません。
(携帯電話)もしもし?ええわかりました。
すぐに伺います。
何かありましたか?いえ…。
事務次官からちょっと呼び出しで。
しばらく戻れないかもしれません。
失礼します。
では休暇明けにでもまた。
ええ。
よい休日を。
冠城くん。

(月本幸子)せっかくのお休みなのにどちらへもいらっしゃらないんですか?ええ。
新しいハーブティーのブレンドでも試みてみようかなと思っています。
そうなんですね。
(幸子)いらっしゃいませ。
まあ…!三浦さん…!
(三浦信輔)これはこれは警部殿。
お久しぶりです。
あなたとこうして飲んでいるというのも不思議なものですね。
ええ。
警察を辞めたからこそ出来る事だな。
警察にいる時は僕と飲んではいけないという決まりでもあったのですか?捜査一課と特命とは色々ありましたからね。
今日ここに来られたのは偶然ですか?相変わらず勘が鋭いですね。
私は退職してから気の向くまま旅をしてるんですが富山を旅行中に…あの本多篤人の話を聞きましてね。
彼はあの事件のあと釈放され娘と暮らしていると聞きましたが…。
(三浦)ええ。
本多親子は「木本」と名前を変え一般人として生活していたらしい。
別人となって初めて普通の親子のように暮らせたわけですねぇ。
ええ。
ところが…娘の茉莉は不治の病で長くはないらしい。
昔の癖でなんとなく本多の様子を探ってみたんですが…本多の姿は確認出来なかった。
特に事件性があるわけではないんですがちょっと気になりましてねぇ。
刑事の勘ですか?元刑事の勘なのであてにはなりませんが。
それはそうとなぜ捜査一課の方たちではなく僕に話したのですか?もし大事になった場合後輩たちを巻き込みたくないですからね。
僕ならば巻き込んでも構わないと。
(三浦)フフ…解釈はご自由に。
それじゃ警部殿。
ちょうど明日から休暇です。
旅行がてら本多さん親子の様子をうかがってきましょう。

(雛子)お久しぶり。
お久しぶりです。
(看護師)はいお大事に。
すみません。
木本百合さんのお見舞いに来たのですが…。
ご家族の方ですか?いえ古い知り合いです。
あ…木本さんは亡くなられました。
いつでしょう?3日前です。
葬儀は?
(看護師の声)ご遺体は住んでいた村役場が引き取って葬儀も埋葬も終わったと聞いていますが…。
彼女には父親がいたはずですが。
ああ…よくお見舞いにいらしてたんですがここ1週間ほどは連絡が取れなくて…。
亡くなったあとも音信不通のままなんです。
(内村完爾)昨日の爆破事件については捜査本部も立っています。
それとは別にこのチームで捜査をするという事ですか?犯人が本多だった場合はです。
我々が追うのはあくまで本多篤人。
(中園照生)片山議員は本多が犯人であると確信されているかのようですが。
(雛子)公安三課須賀原警部補から例の件の説明を。
(須賀原正夫)はい。

(須賀原)ご存じのとおり本多篤人は極左テログループ「赤いカナリア」の活動家であり特に爆弾テロの第一人者でした。
その本多が逮捕されたのが6年前ですが…。
赤いカナリアは炭疽菌によるテロの中止を交換条件に本多の釈放を要求しました。
それに対し法律上は本多の死刑を執行した上でその身柄を赤いカナリアに引き渡す作戦を立案しました。
その作戦に必要な根回しのために今は亡き小野田官房長によって各省庁から集められた精鋭メンバーが…彼らでした。
法務省の冠城さん。
はい。
本多は自ら出頭再逮捕されました。
それに伴い当時の法務大臣が辞職するなどの騒ぎになったのは知ってのとおりです。
本来本多はもう一度司法の審判を受けたあと今度こそ死刑になるべきでした。
しかし片山議員により日本国国家として本多を法律上死刑になった人間として扱うように指示がありました。
「憲法第39条刑罰法規の不遡及二重刑罰の禁止」。
つまり法解釈上は一度死刑になった人間がもう一度死刑になる事はない。
本多は一度死んだ亡霊としてさまよう事になったわけです。
だが本多がおとなしくそれをのんだんですか?本多には弱点があった。
娘の茉莉です。
(雛子)これ以上の戦いは無益です。
引き際だと思いませんか?
(本多篤人)自分の引き際は自分で決める。
あなたはそれでいいでしょう。
でも…。
茉莉さんはどう?俺にどうしろっていうんだ!私なら…彼女を釈放する事が出来る。
あなたと茉莉さんには別人としての戸籍を用意します。
(雛子の声)本多は条件をのみ別人木本遼一として娘とともに釈放された。
その後親子2人静かに暮らしているはずだった。
(警笛)
(船の汽笛)すみません。
木本百合さんのご遺体がこちらの役所に引き取られたと聞いたのですが…。
(職員)木本…?ええ木本。
(植村明梨)あっ私が伺います。
じゃあ明梨ちゃんお願い。
(明梨)はい。
どうも。
木本百合さんのお墓参りをしたいのですが場所を教えて頂けますか?わかりました。
私がご案内します。

(祭り囃子)この村は音越官房長官の選挙区なんですねぇ。
ええ。
音越さんは地元のヒーローなんです。
今度総理大臣になるかもしれんし。
偉くなっても地元の事気にかけてくれてて。
船上パーティーとは豪勢ですねぇ。
あなたも行かれるんですか?もちろん。
役所のみんなで参加します。
女子はドレスなんか買ったりして。
この5年間本多とテロ組織との関係は確認されていないようだが。
(須賀原)そのとおりです。
(須賀原)ですが本多は…6日前に捜査員の監視をかわしその姿を消しました。
一昨日の爆破事件の爆弾ですが超小型かつ一方向にだけ爆風が飛ぶという芸術的ともいえる細工でした。
片山議員との因縁も含め本多が関与している可能性は十分考えられます。
(内村)だとすれば片山議員が本多を解放したのが事の起こりじゃないですか。
蒸し返すようですがなぜ…。
(雛子)政治的判断です。
あのまま再逮捕していたら本多は裁判で政府と赤いカナリアの交渉の全てを洗いざらい話す事になったでしょう。
そうすれば日本はテロリストとは断固交渉しないという建前が完全に崩れてしまう。
そういう事です。
(雛子)本多の処理は私の指揮のもとこのチームが行います。
必要とあらば公安三課のみならず警察全体に協力して頂きます。
相変わらずめちゃくちゃですね。
亡くなってすぐに埋葬されたのですねぇ。
木本さんの家は無宗教で四十九日を待たずにすぐに埋葬していいと遺言で…。
彼女の父親は共産主義者ですからね。
無神論者なのでしょう。
へえ〜。
このお墓は母方である早瀬家のものですねぇ。
あの…木本百合さんとはどういうお知り合いですか?刑事さん…。
本多茉莉さんが名前を変えるきっかけになった事件の時にお会いしました。
ああ警戒なさらないでください。
旅行のついでに彼らの事がちょっと気になって寄ってみただけですから。
そうですか。
病院では彼女の父親は音信不通だと。
ええ…そうなんです。
茉莉さんの死に際にも立ち会わず葬儀にも出なかったとか。
ええ。
茉莉さんの遺言で村役場で全て取り仕切りました。
本多さん親子が住んでいた家に案内してもらってもいいですか?あ…いいですけど…。
でもせっかくのスーツ汚れちゃうかもしれないですよ?
(明梨)この森は地元の人もほとんど寄りつかんのですよ。
なぜですか?昔ここに死体を捨てる風習があったそうで。
なるほど。
尸林ですか。
しりん?死体を捨てる森林をそう呼ぶんです。
へえ〜。
あっ!その辺気ぃつけてくださいね。
えっ?なんですか?この辺にはヤマブンタっていう毒蛇がおって冬眠中に踏んづけて噛まれて亡くなった例もあるんですよ。
毒蛇ですか。
見てみたい気もしますがね。
やめてくださいよ。
噛まれたら死にますよ。
おやおや怖いですねぇ。
まあ一応解毒剤持ってますけどね。
なるほど。
じゃ噛まれても大丈夫ですね。
噛まれたらダメですよ。
ダメですか…。
ダメです。
あれが本多さんの家です。
ああ…はい。
杉下さん?はいはい。
(ノック)本多さん!いないか…。
本当どこ行ったんだろう?開けてもいいですか?ああ…鍵はいつも開いてると思いますけど。
本多さんお邪魔します。
あの勝手に入っていいんですか?この家を訪ねて来る人はいましたか?さあ…あまり人の寄りつかん森ですし。
私くらいじゃないですかねぇ。
なるほど。
ほこりです。
それがどうしました?ドアの前には落ち葉が積もっていました。
そしてこのほこり。
少なくとも茉莉さんの死後本多さんはここには戻っていない。
フフ…名探偵みたい。
僕はただの刑事ですよ。
本多さん親子の仲はよかったのでしょうか?ええ…仲はとてもよかったと思います。
(明梨の声)本多さんは怖い人には見えなかったですけど。
おおおお。
おいで。
なるほど。
確かに仲はよかったようですねぇ。
ではなぜ本多さんは茉莉さんの葬儀にも出なかったのでしょうか?それがわからんくて…。
大黒様ですか。
これはなんでしょう?ああ…!願い石です。
願い石?この村の民間伝承なんですけど1つの石を割って片方を自分がもう片方を同じ願いを持つ相手に託すんです。
なるほど…。
この石は茉莉さんのものでしょうかねぇ。
ええ。
遺品の中にあったので。
あっ。
あなたが首に下げているのもそうですか?え?ああ…。
見せて頂いても?ただの石ですけど。
もう片方はどなたが持っているのですか?それは内緒です。
言ったら願いがかなわなくなる。
あっそうですか。
では茉莉さんのこの石の片割れも誰かが持っているわけですね。
あっ…。
少しお預かりさせて頂きますね。
あの…何かあったんでしょうか?駐在さん呼びますか?いやもう警察は動いていると思いますよ。
え?この家にも我々より先に来ているはずです。
家の前に革靴の足跡がありました。
え…。
やっぱり。
(刑事)杉下警部。
ご同行願う。
構いませんよ。
杉下さん…。
ご心配なく。
またすぐに戻ります。
冠城くん。
…はい。
しばらく会えないと思ったらすぐに会ってしまいましたね。
君はなぜここに?5年前赤いカナリアとの交渉に際し集められたチームに法務省から参加していたんです。
そうでしたか。
(雛子)杉下さん。
どうも。
なぜ杉下さんが本多の家にいらっしゃったのかしら?旅行中にたまたま寄っただけです。
本当かしら?皆さんお揃いという事は本多篤人の失踪は決定的ですね。
しかも先日の爆破事件への関与も疑われている。
ビンゴ。
見張りの捜査員2人を出し抜き逃亡中です。
彼に余計な情報を与えないように。
はいはい。
「はい」は1つでいい。
はい!本多篤人の見張りが2人だけとはあなたにしては油断しましたね。
(雛子)本多が革命戦士だったのは何十年も前の話。
今は化石のようなもの。
過度に警戒する必要はない。
言葉とは裏腹にひどく彼を警戒されているようですが。
政治家としての責任です。
そういえば…。
本多が住んでいた場所があなたの盟友音越官房長官のお膝元というのも奇妙な縁ですねぇ。
あなたに関係ありません。
邪魔しないで頂けませんか?旅行の邪魔をされたのは僕のほうですよ。
では失礼。
あっ。
最後にもうひとつだけ。
5年前本多篤人は出頭前に僕にこう言いました。
テロで死ぬのはいつも無辜の民ばかり。
テロの無益さを世に伝えたいのだと。
そんな彼がテロを起こすとはどうしても僕には思えないのですがねぇ…。
では。
右京さん。
会議を抜け出していいんですか?特に動きもないんでご安心を。
片山議員にスパイを命じられたとか。
あの人と右京さんならまだ右京さんを選びますけどね。
はい?そういえば5年前本多の件を通じて僕と右京さんニアミスしてたんですね。
それについては僕も驚きました。
手貸してもらえませんか?邪魔をするなと言われたばかりですが?僕個人にです。
僕は片山雛子のやり方に納得してない。
あまりにも法を欲しいままに出来ると思ってる。
僕はずっと本多親子がどんなふうに暮らしてるのか気になってたんです。
娘の茉莉さんは亡くなっています。
本多は…今どこで何をしてるんでしょう?その鍵は…。
この石が握っています。
(米沢守)願い石ですか。
なかなか面白い伝承ですなあ…。
ほう…トルコ石ですな?違います。
これはラピスラズリといいます。
瑠璃という和名がありますが日本では産出されません。
古代エジプトバビロニアでは宝石として扱われていました。
中近東アフガニスタンで豊富に採掘されています。
中近東ですか。
本多がかつて潜伏していた地域ですね。
本多が日本に持ち帰った石を茉莉さんが持っていたのだとすればもう片方は本多自身が持っていると考えるのが妥当でしょうね。
だとしたら…本多親子はこの青い石にどんな願いを託したんでしょう?その願いこそが本多の行動と動機を決定づけていると思うのですが。
それにしても…米沢さんが石に詳しいとは知りませんでした。
実は最近裸石のコレクションにハマっておりまして…。
石集めてどうするんですか?一人で眺めて楽しむんですよ。
それ楽しいですか?至上の喜びですよ。
杉下警部ならわかって頂けますよね?ええまあ。
せっかくですから願い石作ってみますか。
あっいいですねぇ。
理科の実験じゃないんだからこのおじさん…。
ではお好きな石を選んでください。
では…この赤い石を。
ほう…。
ああカーネリアンですな。
(米沢)よし…。
おお〜きれいに割れるんですね。
なんか職人みたいですよ。
いや科学の応用ですよ。
誰にだって出来ます。
ではどうぞ。
頂いていいんですか?もちろんですよ。
でもう片方は冠城さんに。
ああいえいえ僕はいいです。
いやそう仰らずにどうぞ。
いやいや僕はいいです。
どうぞ。
願い石の伝承は同じ願いを持つ者同士片方ずつ持つものでしょう?わかりました。
じゃあ事件解決を願ってお互い石を持ってるって事で。
そうしましょう。
(米沢)それにしても希代の革命戦士本多篤人…誰もがもう終わったと思っていた男が最後に一体何を仕掛けるんでしょうか。
片山雛子を狙ったテロではない…。
右京さんはそうお考えですよね?本多篤人が片山雛子を殺したいほど憎んでいるとは思えません。
他に理由があると?もし本多篤人が再びテロに走るとしたらきっと何か別の理由があるはずです。

(音越)森戸くん総裁選の現状分析は?
(森戸)地方党員の意識調査では若干総理陣営の支持が上回っているそうです。
わかった。
まずは地元を固める。
はい。
ああ浦上くん。
片山さん本多の件どうしてる?
(浦上直)いまだ本多の行方はつかめていないようです。
そうか。
必要があれば県警に協力させると伝えておいてくれ。
(浦上)はい。
(鞘師九一郎)音越って男には隙がねえな。
SPもモチベーションが高い。
ま…次期総理候補の官房長官だ。
当然といえば当然だが。
弱者が強者に挑む。
俺もあんたもそんな戦いしかしてこなかった。
(鞘師)ハハ!そういう事だね。
ぶっ殺すだけならなんとかなるんだがなあ。
ねえ?本多さん。
ああ。
肝心なのは…どう落とし前をつけるかだ。
そういう事だ。
俺とあんたが組んだ意味…。
それを日本という国そのものに一発食らわせてやろうじゃねえか。
ああ。

(明梨)どうですか?本当に採ってきたの?はい。
絶対美味しいですよ。
(明梨)あっ…杉下さん!約束どおり戻ってきました。
もう心配してましたよ。
すみませんでした。
もう一度本多さんの家まで案内して頂いてもいいですか?ええいいですけど…。
なんでスーツと革靴で来るんですか?これが一番落ち着くもので。
ところで僕も願い石を作ってみました。
これ。
あっカーネリアン!ちょうどあなたと同じ種類の石があったもので。
チベットではペマラカという名で古くからお守り石として使われているそうです。
へえ〜物知りですね。
ペマラカの語源はサンスクリット語で蓮を意味するパドマそして赤を意味するラカに由来するといわれています。
ああ〜赤い蓮って意味ですね。
そう。
そしてラカには赤の他にもう一つ意味があります。
血という意味です。
えっなんか血なんていうと怖い感じですね。
私はパワーストーンだと思って持っとるだけですけど杉下さんのこのもう片方誰が持っとるんですか?同居人の冠城くんという人…。
ああーっ!もうだから誰にも言っちゃいけないって言ったじゃないですか。
ああ〜そうでした。
引っ掛かりました。
フフフ…もう行きますよ。
(物音)ん?誰だろう?追いかけてみましょう。
えっ?えっちょっとちょっと…。

(明梨)ああ…森戸さん!植村さん。
あっ…お知り合いですか?はい。
音越先生の秘書の方です。
音越の第二秘書森戸と申します。
警視庁特命係の杉下右京です。
警視庁の方?例の件でこの森に?ええまあ…。
あっこの焼け跡は?
(森戸)ここには今は亡き大黒隆明議員の小屋がありました。
確か大黒議員は火事で亡くなったはず…。
(大黒隆明の笑い声)それがこの場所だったというわけですか。
大黒天ですね?
(森戸)「大黒」と書いて「大黒」と読む。
そんな事もあって大黒先生は大黒天を信仰していました。
それで人の寄りつかない尸林に小屋を造ったんですね。
尸林に何の意味があるんです?いえ大黒天は財福の神として知られていますがさかのぼれば破壊神シヴァの化身マハーカーラだともいわれています。
そしてシヴァは尸林を棲み処としたのですよ。
だから大黒議員はこの場所に小屋を造ったのでしょう。
この人物知りなんですよ。
大黒先生も同じ事を仰ってました。
ところで音越議員の秘書である森戸さんがどうしてこの場所へ?
(森戸)私は元々大黒先生の秘書でした。
大黒先生の死後音越先生に拾ってもらったんです。
この森は近々外資系企業に売却され開発されます。
なので最後にここを見ておこうと思いまして。
なるほど。
この掛け軸はあなたが?いえ私では…。
一体誰が…。
確か本多さんの家にも大黒様の置物がありましたね。
本多さんと大黒さんは何か関係があったのでしょうか?さあ…。
森戸さんご存じありませんか?大黒先生が亡くなったのは13年前。
本多さんがこの村に来たのは5年前ですから接点はないと思いますが。
そうですか…。
ここくらいしか泊まる場所ありませんけど。
ここくらいしかと言うのは失礼ではありませんか?ハハッ…そうですね。
フフフ…。
あっ何かあったら役所に連絡してください。
はい。
ありがとうございます。
あのちょっとよろしいですか?
(仲居)はい。
こちらの大黒様なんですがね大黒議員と関係のあるものですか?ええまあ…。
神様やから捨てるわけにもいかないしねぇ。
本当は捨てたい。
そんなふうに聞こえますが…。
フフフフ…。
色々あったもんやからねぇ大黒さんは。
ああ…色々ですか。
よかったらお聞かせ願えますか?フフッ…。
元々ここらはみんな大黒さんを支持してたわけでうちの旅館も遠方から大黒さんのお客さんが来た時なんかはひいきにしてもらっとりました。
でもあんな事があったもんやからねぇ…。
なんでしょう?森ん中に大黒さんの小屋があるんやけど。
それなら知ってます。
大黒さんはあの小屋で思索にふけっていたそうですねぇ。
それだけならよかったがやけど…。
あの小屋は行き場のない子供たちが集まる場所にもなっとったんですよ。
(大黒)みんな出来たぞ!
(子供)うわ〜すげえ!
(大黒)ほら熱いからな気をつけろよな。
(子供)うわっやわらかい。
(子供)あっつい!ハハハ…。
(仲居の声)普段はこわもての大黒さんも子供には優しい。
私らみんな思うとりました。
でもね子供に手ぇ出してたらしいんですわ。
それがバレてしもうて選挙に負けてあんな死に方を。
今じゃ誰も森に近づかん。
はあ…そんな事があったとは。
あっ…変な話して堪忍しられ。
なんかあったらいつでも呼んでください。
はい。
ありがとうございます。

(角田六郎)お忙しいところ大変すいませんが…。
見てのとおり暇ですけども。
なんですか?ちょっと相談があってね。
右京さんなら休暇中でいませんよ。
いやいや…冠城さんに聞きたかったんだよ。
僕に?ええ。
暴力団組長?
(角田)そう鞘師九一郎。
元暴力団組長。
そして元日本人だ。
元日本人?ややこしいんだが…。
4年前浄化作戦の一環として鞘師を逮捕しようとしていた矢先に鞘師は日本を脱出し東南アジアのサルウィン共和国に渡った。
(角田)鞘師とその組員たちはサルウィンで反独裁クーデターの兵士として戦い国籍を得た。
単なる国籍の変更じゃない。
ツニャカオという完全な別人になっちまったんだ。
確かにこれだと法律上鞘師という人間ではなくサルウィン人のツニャカオとして扱うしかありません。
しかも爵位と外交官特権を持ってるとは…。
そんな鞘師がサルウィンから姿を消した。
そして日本に向かったという情報がある。
目的はわからんが。
鞘師はサルウィンの外交官特権を持ってるわけですから日本の警察は身柄拘束すら出来ない。
まあやっかいなケースですね。
そうか…。
それにしてもすごい入れ墨です。
(携帯電話)あっちょっとすいません。
おう。
(携帯電話)
(携帯電話)はい冠城です。
一つ調べてほしい事があるのですが。
なんですか?13年前に死んだ国会議員大黒隆明の死についての情報です。
なんでまた死んだ国会議員の情報を?気になる事がありましてね。
東京地検特捜部のお友達に聞いて頂けないかと。
わかりました。

(店内の音楽)よう黒崎!
(せき)モカマタリ。
お前は?
(黒崎健太)君とコーヒーを飲んでる暇はない。
まあそういう事言うなよ。
頼まれたものだ。
恩に着るよ。
この間の譜久村の件では杉下さんに借りがあるからな。

(携帯電話)杉下です。
右京さん大黒議員の資料ご覧になりましたか?ええ助かりました。
交友関係の中に大黒議員の地元の出身の暴力団組長鞘師という男がいたでしょう。
その鞘師と本多に繋がりがあるかもしれません。
シヴァ…。
(角田)我々は鞘師の行動をマークしてきました。
最近になって鞘師はサルウィンから姿を消しました。
行方も目的も不明です。
それが本多の件とどう関係があると?鞘師はサルウィン軍中枢と繋がっています。
そして爆弾の原料を入手したという情報があるんです。
(雛子)それで?米沢さん。
その原料なんですが…。
先の爆破テロで使用されたものと同じです。
(雛子)爆弾の原料が一致しただけで本多と鞘師に繋がりがあると?2人には共通点があります。
本多は生きながら国家に死人とされ別人として生きてきた。
鞘師は国を追われ他国で別人となった。
言ってみれば国から遺棄された男たちです。
推理として成立していません。
我々は本多があなたを狙ってテロを企てているのではないかという見立てで動いてきてました。
ですが見方を変えてみてください。
爆弾テロが音越官房長官を狙った可能性もある。
鞘師は音越議員の選挙区である地方の出身。
そして音越議員に選挙で敗れたあと火事で亡くなった大黒議員と鞘師には繋がりがあったといわれてます。
ならば鞘師が音越議員を恨んでたと…。
(雛子)鞘師の動機はいい。
本多の動機は?いえそこまでは…。
警察に出向して捜査を覚えたつもりかもしれませんが刑事ごっこの域を出ていません。
我々のターゲットは本多篤人です。
早く本多の情報を持ってきなさい。
(拍手)
(音越)皆さん何かお困りの事はないですか?
(村長)村の漁業は大きく変わりましたが金銭的な補償は十分して頂きましたし干拓した土地の売却先も決まりました。
村民の生活は以前より豊かになっております。
(音越)それはよかった。
失礼。
(浦上)参加者の方ではありませんね。
参加する皆さんの顔を把握しているとは優秀な警備チームですね。
ご安心を。
旅行中の同業者です。
杉下さん!その人には僕も会っています。
どうも。
旅館で退屈していたところ村民の皆さんと音越官房長官の食事会があると聞いたものですからね。
(明梨)ええでも…。
歓迎しますよ。
ぜひご一緒に。
ありがとうございます。
はい。
ありがとうございます。
…ありがとうございます。
いやあいいですねぇ。
はい。
これが名物なんですか?
(女性)そうなんです。
ちょっと失礼…あっ失礼。
あんな顔してますけどね帰ったらカミさんに尻敷かれてるんです。
(音越)それが円満の秘訣じゃないですか。
村長のところだってそうなんじゃ…。
ここいいですか?構いませんよ。
随分地元の方に人気があるようですねぇ。
おかげさまで皆さんと親しくさせて頂いてます。
この村は元々亡くなった大黒議員の地盤だったそうですねぇ。
与党の議員だった大黒さんは13年前時の総理の政策に反旗を翻し改革の敵などと呼ばれました。
私は改革派のいわば刺客候補として本来なら縁もゆかりもなかったこの土地で立候補しました。
無所属になりながらも地元の強力な支持を得ていた大黒議員にあなたが勝利した事は驚きでした。
それこそNEWWORLDORDER新世界の秩序の始まりだったわけです。
新世界…。
確かに大黒議員は古いタイプの政治家だったのでしょうねぇ。
よく怒鳴り公共事業を地元に誘致する事で地盤を固め利権とも無縁ではなかったと聞きます。
何やら裏社会の人間とも関わりがあったとか…。
杉下さん「戦いに勝ちては喪礼を以って之に処る」という言葉があります。
勝った者は敗者を侮るのではなく喪に服するように敬意をもって接しなさいという事ですね。
そう。
大黒さんはもう亡くなってます。
昔の事をあれこれとつつくのはよくない。
気になる事があるととことん知りたくなるのがああーっ僕の悪い癖。
そういえば大黒さんはあの森の小屋で子供たちと交流していたとか。
(森戸)ええ。
僕もその一人でした。
とても居心地のいい場所でした。
そんな大黒さんに心を救われた少年少女が少なからずいたと聞きました。
あなたもそのお一人でしたか。
ええ。
だからこそ僕は政治家を志し初め大黒先生の秘書になったんです。
ですがあの小屋であったとされるよくない噂についても聞きました。
大黒先生が子供にイタズラしていたというものですね。
ええ。
僕はそんな事はなかったはずだと思ってます。
噂の真贋はさておき大黒議員は落選後あの森の小屋で焼身自殺をした。
そして音越さんがこの村に改革の風を吹かせました。
利権とは無縁の合法的な豊かさをもたらした。
村民の皆さんもあなたをヒーローだと思ってる。
もういいでしょう。
ああ〜申し訳ない。
この村の歴史に興味があったものですから。
では最後にもうひとつだけ。
森戸さんあの掛け軸誰が置いたものかおわかりになりました?わかりません。
ただ先生は大黒天の絵をお持ちでした。
それと同じ絵柄でした。
では大黒さんの掛け軸はどうなったのでしょう?先生の死と同時に消えたんです。
消えた…。
最後に先生に接触した可能性が高いのは小屋に遊びに来ていた少年2人です。
ではその少年2人が大黒天の掛け軸を持ち去ったと?そこまではわかりませんが…。
興味深いですね。
ぜひ調べてみましょう。
なんやかやと余計な事を失礼しました。
いいえ。
では。
(明梨)ありがとうございます。
すみません。
お食事中申し訳ない。
どなたかこの村の児童相談所をご存じの方紹介して頂きたいのですが。
じゃあ私が。
(本多茉莉)彼らに力を貸してあげて。
俺はもう足を洗った。
それに君を放っていけるか。
この5年母さんの故郷で一緒に過ごせた。
それだけで十分。
優しい思い出を抱いて…死ねる。
(ドアの開く音)取り扱いに気をつけろ。
まだ死にたくないだろ。
お話からすると少年の一人は柄谷時生くんではないかと。
拝見します。
彼は大黒さんの死後行方不明になったのですね?
(職員)はい。
当時10歳の少年がいなくなって彼の母親は捜索願を出さなかったのでしょうか?こういう言い方をするとなんなんですが母親と呼べるような方ではなくて。
子供がいなくなっても全然興味を示しませんでした。
元々虐待と育児放棄がひどかったですから。
今その母親は?2年前に薬物中毒で亡くなったそうです。
もう一人の少年については何か…。
行方不明になる直前の時期に時生くんと行動をともにしていた子がいたんですが名前を聞いても何も言わない。
詳しい事は何も把握していませんでした。
そうですか。
これが柄谷少年の描いた絵ですか…。
どれも暗い絵ばかりですねぇ。
(明梨)ええ…。
あっこの絵は明るいですよ。
もしかするとこの男性大黒さんでしょうかねぇ?小屋の中につたないながらも掛け軸が描いてあります。
この少年は侍ごっこでもしているのでしょうか?こちらの少年が手に持っているのは果物ですねぇ。
形状と色から考えて梨かもしれません。
出た!名探偵。
子供の絵からもそんなふうに推理するんですね。
この絵にはとても重要な情報が含まれていると思いますよ。
あの小屋で過ごした時間が少年にとっていかに大きなものだったか。
いかに大黒さんの事を慕っていたか。
それからもう一つ。
なんですか?音越官房長官を恨んでいるかもしれないという事。
そんな…。
彼らは今どこで何を考え生きているのでしょうねぇ…。
捜し出せるんですか?柄谷少年の腕には大きな火傷の痕があるんですねぇ。
(鞘師)よし…。
こい。
(鞘師)はあ…。
2つ目のプレゼントも仕掛け終わった。
(本多)爆弾作りは本当に久しぶりだ。
なかなかいい仕上がりだよ。
(笑い声)
(柄谷時生)地獄を見せてやる。

(携帯電話)
(携帯電話)…はい。
久しぶりだな…片山雛子さん。
お久しぶりです本多さん。
5年前に約束したはずですよ。
別人として静かに余生を暮らすと。
長い事じっとしてたらうずいてね。
何が?
(本多)テロの虫がさ。
おとなしくしていればあなたに関与する事はない。
でももし何か仕掛けるつもりなら国家が総力を挙げてあなたを抹殺します。
フッフッ…。
あんたも強気な女だね。
脅してるのは俺のほうだよ。
人生最高の作品が完成した。
都内に爆弾を仕掛けた。
(通話の切れる音)
(須賀原)現在都内の要所を中心に爆弾の捜索中です。
マスコミには情報を漏らさない。
パニックになる。
甲斐さんどうして?
(甲斐峯秋)ああ…今回は大規模な捜査になる。
チームの指揮を執る人間を警察から出す必要があるという話になってね。
話は聞いてますね?片山議員。
ええ聞いています。
(甲斐)彼女のいいようにやられて責任だけ取らされてはたまらんというのが警察の意向だ。
なるほど。
その意向を通すには上の人間の力が必要ですね。
音越官房長官と組んでる片山雛子より上となると総裁選で対立する総理大臣ですか?フフッ…。
まあ誰の意向であれあの片山雛子と表立ってやり合いたいと思う人物は簡単には見つからん。
まあそこで元次長というキャリアがありながら今は身軽な私に白羽の矢が立ったというわけさ。
右京さん天才的な推理で場所がわかったりしません?残念ながら見当もつきません。
ですね。
このままじゃ都内ですごい被害が出るかもです。
それなんですがね本多篤人は無辜の民を殺す事に強い後悔の念を持っていたはず。
どうしても無差別テロを起こすとは思えないのですがねぇ。
でも本多本人が片山雛子に電話してきたのは確かです。
何かわかったら連絡ください。
爆弾はとにかく探します。
(伊丹憲一)どうも。
伊丹さんたちも探し物ですか?そういう事です。
(芹沢慶二)あれ?いつも一緒にいるあの人は?右京さんは旅行中です。
ケッ!のんきなもんだ。
なんだあの人がいれば推理してもらえたかもしれないのになあ。
特命係に頼ってんじゃねえよ。
はい。
右京さんもわからないって言ってました。
とにかく僕らで探すしか…。
よし俺が見つけて…。
僕ら?
(携帯電話)…はい。
さぞかし焦ってるだろうな。
早く見つけないとざっと見積もって2千人が死ぬぞ。
いつから下品な愉快犯に成り下がったんですか?人の人生をもてあそぶのはあんたの十八番だろ?犯罪者と一緒にしないでもらえますか。
私の行動には常に大義がある。
(本多)「じゃあその大義のために死んでみせろ」爆弾はどこに仕掛けてあるの?フッフッ…。
あんたいくつになった?関係ないでしょ。
それなりに年齢を重ねてればわかるだろう。
年を取ると今自分が抱えているものよりも思い出のほうが重くなる。
そして死ぬ瞬間人に残されるのは思い出だけ。
それがヒントなの?人は思い出だけを抱えて死んでいく。
(不通音)
(雛子)はあ…。
ヒントになってないじゃない!不思議よね。
ドラマだと正義の味方が少人数で巨大な悪の組織に立ち向かう。
でも現実は警察という巨大組織が正義の名のもとに少数の犯罪者を追い詰める。
私が思う正義の形はそうじゃない。
私が思う正義の味方は…。
父さんあなたの事。
思い出って何がヒントですかね?本多がかつて拠点とした大学には今公安が向かってますけど。
そんな簡単に見つかればいいけど…。
思い出か…。
どうしました?先輩。
ひらめいた。
小耳に挟んだ事があってな。
今は亡き小野田官房長と本多篤人は学生時代の友人だった。
そして2人が最後に密会した場所がここだ。
思い出の場所って事ですね?そういう事です。
行くぞ。
はい。
そんな簡単に見つかったら警察いらないっつーの。
(船のエンジン音)先輩!
(芹沢)ああーっ!発見しました…。
(音越)総裁選の最新予測ではまだ総理側と拮抗しているようだ。
(雛子)意外と古いものを愛でる人も多いようですね。
(音越)だからこそ我々が壊して新世界を創る必要がある。
ここいらで何か起爆剤が必要だと思うんですが…。
お得意の爆弾発言何かありませんか?今は爆弾発言よりも爆弾テロにかかりきりなので。
(音越)そうでした。
笑ってる場合じゃありませんが。
明日は地元でパーティーだとか?
(音越)足元を固める必要がありますので。
本多のターゲットが私ではなくあなたである可能性もあります。
政治家である以上常在戦場。
命を狙われるのは織り込み済みです。
ご存じのように私の警護は鉄壁だ。
ご安心を。
これで終わったと思えないんですが…。
本多が鞘師九一郎と繋がっているとなると同じ威力の爆弾をもう一つ作れるだけの原料が残っている可能性があります。
それも報告しておきます。
問題はなんのために爆弾を使おうとしているのか…。
正直こっちは手詰まりです。
本多一人にきりきり舞いです。
皆さん本多篤人を侮りすぎましたねぇ。
あの…戻ってきてもらえませんか?甲斐さんも右京さんの事待ってるみたいですし。
そうですか。
僕はあと1日だけ休暇が残っていますから。

(須賀原)爆弾が積載されたクルーザーは自動操縦でした。
目標はお台場。
この時間イベントが開催されておりもし爆発した場合死傷者は1千から2千人に及ぶものと推定されます。
(甲斐)本多はあえて片山議員に爆弾の場所のヒントを与えたように見える。
一体どういうつもりなのか?本多の動機についてまだわかりませんが杉下警部は爆弾はもう一つある可能性があると。
杉下くんは何をしてる?休暇中です。
君も休暇を取ったらどうかね?俺…?3つ目のプレゼント準備完了だ。
時は来たな時生。
俺が音越の首を取る。

(柄谷)では先に出ます。
ここまでやればあいつも格好がつくだろう。
ああ。
いざという時にはプランBに切り替える。
手はずは整えてある。
あんたと組めてよかったよ本多さん。
俺もだよ親分。
ああ…。
さて…作戦開始といきますか。
おう。

(汽笛)あっ…。
杉下さんも参加されるんですか?客室を予約しました。
あなたのドレス姿をひと目見てから帰ろうと思いましてね。
冷やかしに来たんですか?どうせ似合わんし…。
そんな事ありません。
お似合いですよ。
杉下さんも相変わらずスーツが決まってますね。
フフッ…どうもありがとう。
さあ参りましょうか。
はい。
アイタッ…。
冠城くん?はい!あっいやあの…。
(せき払い)右京さん女性同伴ですか?君がなぜここに?甲斐さんから休暇を頂きまして。
回りくどい事をする方ですねぇ。
こちらの女性は?この村の役所に勤める明梨さんです。
植村明梨です。
冠城亘です。
刑事さんですか?法務省から出向中の同居人です。
ああ!この人が同居人ですか?ええ。
なかなか出ていってくれないんですよ。
そんな事言ったらいつまでも居座り続けます!チクショウ…。
せっかくの晴れ着がしわになっちまった。
(汽笛)杉下さんはパーティーには参加しないんですか?パーティーは苦手なもので。
みんな音越さんが好きなんですね。
地元で初めて総理が生まれるかもしれんわけですから。
なるほど。
それにしても皆さんすっかり大黒さんの事はお忘れのようですねぇ。
仕方ない事なのでは…?ですが今日は大黒さんの命日ですよ。
さて…では僕は少し部屋で休みますが君どうしますか?そうですねぇ…。
よかったらご一緒しませんか?すいません。
私そういうの無理なんで。
他のレディー見つけます。
お好きにどうぞ。
(司会者)内閣官房長官音越栄徳議員です。
(拍手)どうも総理大臣の音越です。
(一同の笑い声)
(拍手)
(音越)…なんて気が早かったですね。
本日はお集まり頂き誠にありがとうございます。
皆さんは私とともに新世界という海を行く頼もしいクルーです。
お客様お飲み物いかがですか?
(解錠音)
(汽笛)
(汽笛)
(女性の悲鳴)
(本多)騒ぐな!危害は加えない。
(銃声)
(悲鳴)
(銃声)
(SP)マルタイの安全確保急げ!
(浦上)パーティー会場入り口にて銃声。
テロの可能性あり。
音越議員は無事。
(噴射音)人質を解放してほしければ音越官房長官との交換が条件だ!もし音越が出てこなければどうなるか…。
都内に前回と同じ破壊力を持つ爆弾を仕掛けた!今度はヒントは与えんよ。
(浦上)以上が犯人側の要求です。
僕と杉下さん船にいるんですけど…。
杉下くんはなんて言ってる?えっ…?部屋に入ったまま出てきません。
連絡がつき次第報告をね。

(携帯電話の振動音)はいなんでしょう?はあ…。
「なんでしょう」じゃないですよ!本多と鞘師が音越さん…を狙ったテロを起こしました!テロ…?なぜテロを?いや…本多篤人本人に聞くしかなさそうですねぇ。
そちらに行って僕が話しましょう。
杉下警部に交渉人を任せようと思う。
(雛子)なぜ彼に?
(甲斐)不服ですか?彼は5年前の事件の時に本多と面識がある。
他の人間よりも本多を知ってるとは言えませんかね?本多と鞘師…相手はキング2枚。
こちらはジョーカーを出すしかないでしょう。
わかりました。
責任は甲斐次長…。
すいません…今の役職なんでしたっけ?長官官房付です。
そうでした。
責任は甲斐長官官房付が取ってくださるという事でいいですね?もちろん。
テロリストとの交渉役は杉下警部が行うそうです。
あの人がこの船にいたのか?ええ。
乗客としていたのは把握していましたが何を考えてるのか…。
変わった人物ではあったが抜け目のなさそうな目をしてた。
任せてみようじゃないか。
(音越)ああ…。
皆さんご安心ください。
これから犯人との交渉に入ります。
(どよめき)大丈夫!この音越が皆さんを必ず守ります。
了解。
冠城さんあなたも杉下さんの交渉に立ち会えとの命令です。
えっ…マジですか?おい聞いてるか?音越!顔ぐらい見せろや腑抜けが!
(ドアの開く音)
(靴音)なんだ?お前!音越官房長官じゃなくて申し訳ない。
ま…待ってください。
僕はその人と交渉人に選ばれただけです。
交渉人とはどういう事ですか?甲斐さんが右京さんを交渉人に指名したんです。
そんな大仰な役目がなくても会話は出来ると思いますがね。
いや…まあまあまあ…そうなんですけども。
何ごちゃごちゃくっちゃべってんだ!すいません。
お久しぶりです本多さん。
杉下右京なぜここにいる?その質問そのままお返しします。
こんなところで何をしているんですか?見てのとおりさ。
鞘師さん角田課長が捜してました。
あのおっさんは達者かい?あなたの件で頭を悩ませてました。
フッ…それは悪い事をしたな。
僕からも一つ鞘師さんにお伝えする事があります。
恐らくあなたと同じサルウィン人と思われる男性が今僕の部屋で寝てます。
(鞘師)そいつは迷惑かけたな。
いえ…。
あんた強いんだな。
どうでしょう?あまり暴力には興味がありませんが。
フン…嫌みな男だね。
僕があなた方との交渉役を任されました。
しばし暴力はやめて対話の時間を頂けませんか?交渉には応じねえ!茉莉さんの事お悔やみ申し上げます。
亡き奥様の郷里で親子2人仲よく暮らしていたと聞きました。
そんなあなたがなぜまた闘争に身を投じたのでしょう?
(本多)俺が革命戦士だったからさ。
戦士だから戦うというわけですか。
しかしあなたは一度戦うのをやめたはずです。
(本多)俺は5年間ずっと焦れてた。
どいつもこいつも本多篤人はもう終わったと言いやがった。
そいつらに目にもの見せてやりたかったんだ。
だから茉莉さんの死に目にも会わなかったと?もとより俺は数十年妻にも茉莉にも会わずに逃亡生活をしていた。
それが俺の選んだ死に様だ。
しかしあなたは5年前僕にこう言いました。
テロの犠牲になるのはいつも無辜の民ばかり。
自らのテロ闘争を後悔していると。
自分のような者がもう現れないようにその思いを伝えたいのだと。
だからこそあなたは出頭したのではなかったのですか?一瞬甘ったるい考えに毒されただけだ。
なぜ音越官房長官を狙うのでしょう?
(本多)音越はこの国の自然を新世界の名のもとに破壊してる。
お言葉を返すようですが音越官房長官は選挙で地元の方に選ばれ歓迎されています。
しかも彼の政策は全て合法です。
フッ…警察官らしい考え方だな。
合法であればなんでも正しい事になるのか?独裁国家では合法的に虐殺が行われてる。
飛躍しすぎですよ。
日本は法治国家ですよ。
(本多)同じさ!合法的に自ら手を下さずにじわじわと壊す。
奴の言う新世界とやらはあらゆる分野でこの国を後戻り出来ないほど破壊するぞ。
そして必ず犠牲者が出る。
だから音越さんを殺すと?一人を殺して大勢を救う。
それもまた正義だ。
それがあなたの正義ですか…。
かつてあなたの言葉は重かった。
しかし今聞いたあなたの言葉は軽い。
空疎と言ってもいいでしょう。
本当の動機は別にある。
そしてその鍵は茉莉さんが握っている。
(本多)茉莉は関係ない!茉莉さんの願い石です。
彼女はどんな願いをこの石に託しそして誰がもう片方を持っているのか?さあな?もう一度問います。
なぜ音越官房長官を狙うのですか?しかも思想的には真逆の鞘師九一郎氏と手を組んで。
(鞘師)杉下さんよ俺ら思想は真逆だが同じところが一つだけある。
それは警察官のあんたには絶対理解出来ねえ事だ。
それはなんでしょう?俺らやる時はやるんだよ。
そしてやる時は命懸けだ!理屈じゃねえ!だから音越さんが交渉に応じなければ爆弾で無辜の民を殺すという事ですか?そうだ。
容赦はしねえ!あの…ぼ…僕もいいですか?
(鞘師)なんだ?角田さんから鞘師さんの武勇伝聞かせてもらったんですけどめちゃくちゃ怖い方なんですね?おう。
一般市民に手を出した傘下のチンピラがぐちゃぐちゃになって繁華街に捨てられていた。
何もあそこまでやらなくても…。
掟だ。
カタギに手を出したら制裁を下す!ならば…爆弾で都民を殺すのは掟破りですよね?僕も冠城くんに同感です。
お二人とも無辜の民を殺すような野蛮なテロリストとは思えません。
(銃声)
(本多)お喋りの時間は終わりだ!音越を出せ!
(鞘師)人質を殺すぞ!消えろ!右京さん…。
政治家が素直に殺されに出てくるわけがない。
そんな事は歴戦のお二人ならば理解しているはずですがねぇ。
ひとまず下がりましょう。
はい。
(舌打ち)親分あいつがいちゃ面倒だ。
タイムリミットを決める。
了解。
ちんたらやってても仕方がねえ!時間を切る!1時間で音越が出てこなければ都内で大爆発だ!
(須賀原)杉下警部が交渉に失敗しました。
(雛子)残念でした。
我々もテロリストとは交渉しません。
タイムリミットまでに爆弾を見つけなさい。
そうすれば強引に彼らを制圧出来る。
(音越)彼らは交渉には応じないだろう。
君の説得でおとなしく引き下がるくらいならこんなまねはしないだろうからな。
でしょうねぇ。
ですが話してみて彼らの言葉には裏があると感じました。
爆弾は本当に都内に仕掛けられているのでしょうか?どういう事かね?本多篤人も鞘師九一郎も筋金の入った人間です。
信念に反する事は絶対にしない。
無辜の民を巻き込むとはどうしても思えないのです。
だとすれば爆弾はどこに仕掛けたか?君にはその見当がつくというのかね?彼らは音越さんを狙う明確な理由を言っていません。
僕がこの土地で見聞きした事を材料に推理をすると大黒さんの復讐かもしれません。
私は選挙で勝っただけだよ。
そうあなたは何も悪くない。
しかし人の恨みというのは善悪では測れないところがありますからねぇ。
恨みを買うような事は何もしちゃいない。
今日が大黒さんの命日だと知っていましたか?かつて大黒さんを支持していた村の皆さんもすっかり忘れてパーティーを楽しんでいた。
忘れていたわけではありませんが先生のスケジュールもあって…。
責めているわけではありません。
ただ…大黒さんの秘書だった森戸さんも今はこうして音越さんの秘書になっている。
(森戸)それは…。
(音越)彼は悪くない。
森戸くんには地元とのパイプ役をやってもらっているんだ。
しかし大黒さんを今も慕う人間から見たらどう映るでしょうねぇ?
(音越)その話が爆弾の場所とどう繋がるんだね?大黒さんは政治家としての是非はともかくこの土地の風景が変わる事に反対の立場を貫いていたと聞きます。
あの森は大黒さんの遺言で村に譲った。
それをあなたの口利きで企業に売却。
水門で干拓した土地も同様に売却するそうですねぇ。
(音越)ええ。
それが何か?もし爆弾が見つかれば血を見ずに事態を収束する事が可能です。
僕に時間をください。
杉下警部から新しい角度の推理がもたらされました。
本多と鞘師も無辜の民を犠牲にするわけはないというのが杉下警部の主張です。
じゃあ爆弾はどこに仕掛けてあるんですか?鞘師と大黒議員との関係から一種の意趣返しと仮定する。
その上で人の死なない場所…。
まあそれは大黒議員の死後音越議員の政策によって失われてしまった世界の象徴。
具体的には?杉下くんは開発地そして建造物を中心に探れと。
すぐに県警に動いてもらう。
いいですね?長官官房付の責任でどうぞ。
(パトカーのサイレン)向こうも探せ!はい!
(捜査員)あったぞ!水門にて爆弾発見。
処理に移行します。

(須賀原)爆弾の処理はまもなく完了します。
(須賀原)鞘師の入手した化学物質の量が情報どおりなら爆弾はこれ以上ないはずです。
(甲斐)杉下くんの読みどおりだったようですね。
これで彼らは大きなカードを失った。
残るは人質の青年一人だが本多も鞘師も話の通じぬ無法者ではあるまい。
船を包囲し爆弾を発見した旨を伝えれば投降せざるを得ないでしょう。
県警のSATと水上警備隊に動いてもらおう。
(雛子)お待ちを。
爆弾発見の事は犯人側には伏せます。
(甲斐)何を言ってるんです?私が音越官房長官にだけ伝えます。

(本多)そろそろ潮時だ。
爆弾の脅しがきいているうちに…。
プランBに切り替えるか。
ああ。
何する気ですか?作戦どおりにいかないのが戦の常だ。
音越が出てこなければその時の事は考えてある。
悪いようにはしねえよ。
なるほど…。
それはいい考えですね。
ええ。
私たちにとってちょうどいい爆弾になると思います。
やって頂けますか?任せてもらえますか?恐竜2匹を片付けて新世界の扉を開く。
(机をたたく音)音越官房長官が現場指揮の全権を持ちます。
どういう事です?君が言うように防弾チョッキを常備しておいてよかったな。
ありがとうございます。
このヘルメットを。
長官への射撃は我々が盾となり防ぎますが仮に着弾した場合でも致命傷を負う事はありません。
腕か足に当たったら勲章だと思う事にするよ。
何をするつもりです?私が出る。
本多たちはこちらが爆弾を発見した事を知らない。
音越官房長官が人質と身柄交換に応じるように見せかけ接触。
人質の安全確保後SPがテロリストを制圧。
反撃にあった際は射殺も辞さない。
(甲斐)そんなリスクのある作戦をとらなくても事件は解決します。
テロに屈しない日本そしてその指導者を世界にアピールするためです。
建前を言わないでください!総裁選を前に自分たちの人気を決定づけんがためのスタンドプレーでしょ?あなた方官僚と国家を背負う政治家では描く絵も覚悟も違う。
全ては音越官房長官の意志です。
(甲斐)議事録はとってあるね?
(須賀原)はい…。
私は爆弾確保までで指揮から身を引く。
これ以降は片山議員がその責任を負う。
いいですね?お疲れさまでした長官官房付。
あなた方だけで制圧すると…?浦上くん他2名は以前SATに在籍し戦闘能力が高い。
そうだな?はい。
人質交換に応じると見せかけて私を囮にして一気に鎮圧する。
そんな…むちゃくちゃじゃないですか。
戦争は政治の最終手段ですよ。
心配はいらない。
私は負ける戦はしないよ。
心配しているのではありません。
もう爆弾は見つかった。
流す必要のない血が流れるのは見るに耐えません。
心配はいらない。
待ってください!鞘師はサルウィン共和国の外交官特権を持ってます。
射殺すれば外交問題に発展します。
では鞘師は確保しよう。
鞘師だけ助かればいいという問題じゃありませんよ。
(音越)ご安心を。
私が交渉に当たります。
まもなく解決します。
じゃあ。
(明梨)杉下さん!どうなるんですか?あなたはここにいてください。
君たちも行くのか?放ってはおけません。
丸腰とは度胸がある。
ここから先は戦場だぞ。
本多さんやるしかねえよ。
助けてください!音越栄徳だ。
首謀者はどっちだ?俺だ。
(音越)本多さん人質を解放してほしい。
私が代わりに人質になる。
下手なまねしたら爆弾を起爆させる。
君らが有利なのはわかってる。
私は国民を犠牲にはしたくない。
中間点で人質交換する。
あんた一人で来い。
一人護衛をつけさせてもらう。
人質が無事確保されるまではこちらも出来るだけのリスクは避けたい。
君らが有利なのは動かないだろう。
俺が行こう。
要求はのむ。
こちらも一人つける。
(音越)よかろう。
中間点に向かい同時に一歩ずつ歩みを進める。
それでいいか?それでいい。
不審な動きがあればすぐこのスイッチを押すぞ。
助けて!時生!撃て!撃つな!起爆するぞ!やめなさい!!
(銃声)ああっ…!ううっ…!
(銃声)本多さん!鞘師は撃つな。
本多さん!これがあなたの言う新世界ですか?あとの処理は君らに任せる。
本多さん!これで…茉莉に会えるな…。
茉莉さんがあなたに託した願いとはなんだったのですか?彼らにとって大黒さんはヒーローだったんだと思う。
ヒーローを失って自分を見失ってる。
私にはそれがよくわかる。
彼らはもう止まらない。
死ぬつもりかもしれないの。
守れるのは父さんしかいない。
それが君の願いなのか?最後の…お願い。
(茉莉)私ね願い石を作ったの。
父さんにもらった石。
石言葉は「尊厳」なんだって。
父さんにぴったり。
ハハッ…。
フフ…。
そうかな?うん。
彼女は優しい父親よりヒーローである事をあなたに求めたのでしょう。
ですが本多さん僕にはわからない部分があります。
彼女があなたに託した最も大事な願いとはなんだったのでしょう?あ…あの子らを…守ってくれ…。
あの子ら…?本多さん!!
(拍手)傷は問題ない。
ちょうどいい勲章だ。

(浦上)杉下警部。
鞘師の聴取をお願いします。
なぜ僕に?鞘師があなたを希望していますので。
とても現行犯逮捕された方の扱いには見えませんね。
こう見えても外交官だからね。
わかってますツニャカオ伯爵。
あんたのせいで一人だけ生き残っちまった…。
一番腕の立つ男を連れてきたがあんたにはかなわなかった。
いえ彼には手加減して頂いたので。
彼は武器を使用しなかった。
最初から僕を殺す気などなかったのでしょう。
あんたどこまで話が見えてるんだ?霧をかき分けるようにしてここまで来ましたがまだ見えない事も多いというのが正直なところです。
人質を偽装していたこちらの青年は柄谷時生ですね?そいつの事どうしてわかった?腕の火傷です。
大黒さんが焼身自殺をした時に大黒天の掛け軸を持ち去ったと言われている2人の少年。
そのうちの一人が腕に大きな火傷を持つ柄谷時生だと知っていました。
あなたはあの森の小屋で柄谷時生と出会ったのですね?そうだ。
ガキの頃の俺みてえだったからつい困った事があったらおじさんが力になるって約束しちまった。
大黒さんの死後俺はサルウィンの戦場に生き場を求めた。
そこに時生から手紙が届いた。
自分たちの恩人である大黒さんを死に追いやった音越議員への復讐を持ちかけてきた。
時生は自らの手で音越を殺したいと強く思い込んでいた。
そのために俺に手を貸してくれと。
約束を破るわけにはいかねえ…。
それに時生は茉莉さんを通じて本多篤人の協力を取りつけたと言った。
こりゃあもう止まらねえと思った。
放っておけなかった…。
なぜでしょう?なぜあなたがそこまで…。
柄谷時生の復讐の動機は私怨私憤…個人的なものだったんじゃありませんか?そう言いきれるか?親からも世間からも見捨てられたガキがたった一つの温もりをくれた恩人を殺された。
全てを奪った男は英雄気取りで故郷の景色をぶち壊し世間も手のひらを返したように恩人を忘れ去った。
その怒りには一分の義がある。
そうは思わねえか?しかしあまりに粗っぽい作戦でした。
分が悪いのは初めからわかってたよ。
俺も本多さんも。
あなた方の作戦とは本来どういったものだったのですか?時生の立てた計画はあんたの目の前で見たとおりだ。
最後の詰め以外はね…。
戦争が作戦どおりにいかない事はあんたも骨身に染みてるだろう?ああ…。
プランBを用意する。
俺とあんたなら若い命を守る事は出来る。
(鞘師の声)俺たちの本命はプランBだった。
音越は出てこず交渉は決裂。
爆破するのは水門。
無辜の民を殺さずに大黒さんの遺志を示す事が出来る。
そうすりゃあ時生の格好もつく。
あとは俺が時生ごと大使館に逃げ込めば警察も手が出せねえ。
時生は二度目の人生をやり直せばいい。
あなたと本多さんは誰も殺さずに彼を守るつもりだったのですね。
ところが読みが外れた。
爆弾誰が見つけた?僕です。
音越は爆弾がないのを知った上で俺の前に現れたわけか…。
本多さんは最後まで自分の爆弾を信じて…。
ちくしょう!マスコミの反応はどうですか?あなたの行動力を絶賛しています。
総理以上のリーダーシップを示したと。
総裁選の勝利は決まった。
欲しいポストを考えておいてください。
よし…。
(音越)皆さんせめて船が港に戻るまでに笑顔になってもらいたい。
皆さんの笑顔のために私は今後も命を懸ける所存です!
(拍手)ありがとう!
(拍手)痛みますか?妙な痺れがあってね。
最後にもうひとつだけ。
柄谷時生とともに姿を消したもう一人の少年について何かご存じありませんか?…知らねえな。
本多さんは死に際にあの子らを守ってくれと言いました。
聞き間違いじゃねえのか?いいえ確かに「あの子ら」と。
せめて彼だけでも救いたい。
おい!右京さん?僕とした事が…!痺れがひどくなってるな…。
これもしかして…。
植村さんちょっと見てもらえる?はい…。
ちょっと待ってて。
あっ…!これ…毒蛇の毒ですよ。
えっ?放っておくと大変です!明梨ちゃんいつも解毒剤持ってなかった?ええ持ってます。
私は地元の方に生かされてるね。
どういう事ですか?もう一人の少年はこの船にいるんです!これを塗れば大丈夫です。
たっぷり塗ってください。
はい。

(うめき声)
(森戸)先生!先生!何をした…?やった…。
やったよ時生!おじさん!
(明梨)やった…!やった!アハハハ!やったー!やったあ!音越さん!明梨さん!それは?解毒剤です。

(須賀原)マスコミにはどう伝えれば…。
(雛子)官房長官はテロリストから国民を守って亡くなったヒーローというシナリオで発表してください。
あなたは彼女の事を知っていて僕には黙っていたんですね。
俺が喋ったら筋が通らねえ。
あなたと本多篤人が守ろうとしていたのは柄谷時生と彼女の2人だった。
ああ…。
あの子だけでも救ってくれてありがとう。
本多さんに代わって礼を言う。
大使館の車はあちらに。
仕事出来るねあんた。
本多さんの事もよろしく頼む。
じゃあな。

(携帯電話)はい。
状況を教えてください。
鞘師については今サルウィン大使館が身柄を引き取っていきました。
柄谷もサルウィンの国籍を取得しておりともに搬送されました。
そう…。
本多についてなんだけどテロの首謀者が本多篤人というのは困ります。
本多はあくまで5年前に処刑された死人。
遺体は身元不明のテロリストとして処理します。
埋葬は?どこかの無縁塚にでも入れておけば?法律上彼は別人になっていた。
ならば別人として茉莉さんと同じ場所に葬ればいい。
(雛子)「じゃあそれでお願い」杉下さんはいる?ええ。
(雛子)「代わってください」片山議員です。
杉下です。
あなたが関わるといつも人が死にますね。
それは僕が言うべきせりふですよ。
お互いさまですか?冠城くんが特命係に出向していたなんて驚きました。
どうぞ彼をよろしく。
黙秘しているそうですねぇ。
どうせ誰も理解出来ないでしょう…。
そうでしょうねぇ。
そう…。
2人ともきれいなスーツ着てる…。
はい?そういう方には理解出来ない事があると思います。
あなたが幼少時に虐待を受けていた事は知っています。
何を知ってるというんです!?地獄ですよ…。
(明梨)名前もまともに呼ばれず食事も与えられずいつも汚い服で悪臭を放ってた…。
誰も私の事を女の子だとは思わなかった。
(明梨)私は時生と死のうと思って森を訪れたんです。
そこで大黒のおじさんと出会った。
(大黒)この土地で採れた梨はうまいだろ?
(2人)うん!
(大黒)名前はなんて言うんだ?時生!君は?名前ない。
ああ…。
じゃあおじさんが付けてやろう。
明るくて梨が好きな女の子だから明梨っていうのはどうだ?大黒さんだけがあなたを女の子だと気づき名前まで与えてくれた。
時生とおじさんの小屋を訪れる時間は天国だった…。
私が私でいられる本当の世界だったのに…。
その世界を卑劣な噂を流し音越さんが奪った。
そう考えたわけか。
私たちはおじさんの最期を見た…。
私の恨みは必ず晴らしてくれ!行けーっ!そしていつか戦いに戻れ!明梨!時生!私と時生は親元を去った…。
放浪後あなたは植村家の養女となり村に戻った。
復讐のためです。
そこで茉莉さん本多さんと出会った。
茉莉さんは私たちの事をわかってくれた気がした。
大黒さんはあなたたちにとってヒーローだったのね。
私たちに力を貸してくれますか?
(明梨の声)そして本当に助けてくれた。
あなたたちが石に託した願いは成就したという事ですか…。

(明梨の声)「殺せぬまでもせめて音越にけがをさせて」。
私が時生に言った最後のお願いだった。
わずかでも音越が毒に侵されれば私が警戒されずに近づける瞬間が生まれる。
私と時生の願いはかなった…。
杉下さんが石を分けた相手は冠城さんですよね?ええ。
ちゃんと持ってます?ええ一応持ってますけど。
あなた方が石にかけた願いはなんですか?事件が無事解決出来るようにと。
ええ。
私に言うからかなわなかったんですよ!みんな願いというものを軽く見すぎです。
あなたの行為はただの破壊です。
大黒天…シヴァはただの破壊神ではありません。
破壊のあとに土地に豊穣をもたらす神。
あなたの破壊のあとには草木も生えない。
だから何?本多さんと茉莉さんが青い石に託した願いは知っていますか?…いいえ。
あなたたち2人を守る事。
その願いの半分はかなったという事ですよ。
行きましょう。

(明梨の慟哭)
(慟哭)
(明梨の慟哭)無念ではありますが音越さんの死をもって新会派は…。
(雛子)「解散いたします」
(雛子)「総裁選にわたくしが出る事もございません」なおわたくし片山雛子は責任を取り議員を辞職いたします。
そういえばこれどうします?ああ…これですね。
僕は持っておきますよ。
じゃあ僕もそうしよう。
誰にも言わないようにしないとな…。
たまには僕行きつけのコーヒー店でも行きません?申し訳ない。
こんな寒い日は紅茶に限ります。
言うと思いました。
じゃあよいお年を。
ああ冠城くん。
はい。
いや…来年もよろしく。
はい。
また。
生の桜庭かなえに会えると思います。
(桜庭かなえ)この映画の主役は私ですから。
(桐島万里子)本物か偽物かはすぐにわかるのよ。
我々にはこの事件に首を突っ込む義務も権利もないし…。
冠城くんアリバイは作られたもののようですよ。
2016/01/01(金) 21:00〜23:30
ABCテレビ1
相棒 season 14 元日スペシャル[字]

「英雄〜罪深き者たち」水谷豊×反町隆史
古谷一行・木村佳乃・内山理名・西村和彦ら豪華ゲスト集結!
連続爆破の標的は全都民1300万人!?占拠された豪華客船で絶体絶命!!

詳細情報
◇番組内容
片山雛子官房副長官(木村佳乃)と音越官房長官(西村和彦)による新会派結成会見で、爆破事件が発生。そんな中、休暇中だった右京(水谷豊)は、元捜査一課の三浦(大谷亮介)から、伝説の革命戦士・本多(古谷一行)と娘の茉莉(内山理名)に関する気になる話を聞く。一方、亘(反町隆史)は、雛子が指揮を執る会議に招集されていた。爆破事件に本多の関与が有力視され、亘や警視庁公安3課を含むチームは事態の収拾に動き出す。
◇出演者
水谷豊、反町隆史、鈴木杏樹、石坂浩二
川原和久、山中崇史、山西惇、六角精児、片桐竜次、小野了
【ゲスト】古谷一行、内山理名、武田梨奈、橋本さとし、西村和彦、木村佳乃
◇スタッフ
【脚本】真野勝成
【監督】橋本一
◇音楽
池頼広
◇おしらせ
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ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
映像
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz

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