小さな旅「芸は街に育まれ〜名古屋市 大須〜」 2016.01.03


(テーマ音楽)
高層ビルが立ち並ぶ大都市名古屋
その中心に程近い下町大須です
入り口にあるのが街のシンボル大須観音
年間200万人以上の参拝客でにぎわいます
そのお膝元にあるのが大須商店街です
飲食店や衣料品店などおよそ1,200軒が立ち並びます
あれっ?あれれれれ。
今度はそっち?
ちょっと変わったアイスクリーム屋さんがありました
ごめんなお嬢ちゃんありがとう。
楽しいパフォーマンスが人気です
おっあ〜危ない危ない。
ありがとうございます。
通りに人だかりが出来ていました
よしっ!
(拍手と歓声)いや〜ほんとに皆さんありがとうございます。

毎週行われている大道芸

ひととき買い物客が足を止め芸を楽しみます
ありがとうございますありがとねありがとうございました。
お兄さんもありがとうございますありがとうございました。
ありがとう。
ありがとね。
ありがとうございました。
いや〜お見事でした!楽しませて頂きました。
ありがとうございました。
大須のお客さんってどうですか?楽しいですねやってても。
大道芸に関して慣れてるんでいいところで反応もらえたりとかすごくありがたいですね。
芸事が盛んな大須の街。
そのにぎわいは江戸の昔から続いています
大須観音の門前町として栄えた大須には多くの芝居小屋などが造られ江戸や上方の役者や芸人たちが舞台に立っていました
最盛期は昭和の初め。
劇場や演芸場映画館は20軒を数えたといいます。
しかし時代の流れととともに減り続け1年7か月前大須演芸場が閉鎖されたのを最後に姿を消したのです
今も「芸どころ」の息遣いが残る場所があります
ご予約のカトウ様です。
ご予約の神様。
いや神様なんです。
お客様は神様です。
神様ありがとうございます。
神様ありがとうございます。
ありがとうございます!はい間もなく開演ですよ。
(泣き声)「泣くなよおい菜っぱごときで。
何なんだ」。
「やあこの野郎」。
月1回喫茶店を借りて開かれている「出張寄席」です
「待ってんだばか野郎」。
「何が待ってんだ。
おい」。
「はぁ〜」。
「ただの酒よおい。
何が柳陰だ」。
「柳陰だと思っておあがり」。
「何だいそりゃおい。
だったら普通の酒だって言やぁいいじゃねえか。
しょうがねぇな全く」。
舞台に上がるのは地元名古屋を拠点に活動する落語家や講談師たち。
演芸場がなくなってしまったためここで芸を披露しています
「先生が来はったで」。

(拍手)どうもありがとうございます。
ありがとうございます。
ありがとうございます。
おかあさんまねしたってできんせんで。
ねっ。
一番のベテラン
(歓声)よう回るなぁ。
三亀司さんは「江戸曲独楽」というコマ回しが専門の芸人。
名古屋弁をまじえた親しみやすい話芸も人気です
心棒が少し曲がっただけでコマの役目をしません。
そうした場合心棒をたたいてまっすぐにする。
それでもまだ直んない場合心棒を抜いてまっすぐにして埋め込むわけです。
ここから来たんですここから。
「しんぼう」が。
「しんぼう」。
やかましい!
(笑い)
観客は演芸場に来ていたなじみの人たちばかり。
掛け合いも息がぴったりです
(笑い)
(拍手と歓声)
(拍手)取った!わ〜怖かった…。
どうもありがとうございました。
(拍手)
三亀司さんは名古屋市の出身。
25歳で芸の道に入り大須の演芸場を中心に芸を磨いてきました

若い頃なかなか笑いがとれず芸人をやめようかと思った事もありました

それでも芸人を続けてきたのは舞台を見にきてくれる地元の人たちの支えがあったからだといいます
演芸場のお客さんっていうのはやっぱり家族みたいなもんだよね。
演芸場でみんなにひどくいじめられた事もあるんですがこれが糧となって今があるんだから。
演芸場があるからこそこうしていろんなとこでやれるようになったんだし。
もう演芸場には感謝感謝大感謝ですね。
大須演芸場です。
22日からまたオープンしますので。
是非お越し頂ければ。
お待ちしております。
今年三亀司さんたち芸人に大きなニュースが飛び込んできました。
閉鎖していた大須演芸場が9月に再開する事になったのです

かつて名だたる芸人が舞台に立ってきた大須演芸場。
若き日の明石家さんまやツービートもここで腕を磨いてきました
すごいきれいになりましたね。
ほんと最高。
もう一度この場所から笑いを届けたい。
決意新たな三亀司さんです
ありがとうございます。
大須の商店街には芸どころならではの店が今も残っています
へぇ〜。
ああ歌舞伎のくま取りの写真ですね。
舞踊演劇化粧品。
えっ?こんにちは。
おじゃまします。
いらっしゃいませ。
舞踊演劇化粧品。
そういうものを扱ってらっしゃるんですか?はい。
そういったくま取りの歌舞伎の化粧とかいろんな演劇の映画とかテレビとかお芝居とか余興でするようなピエロの化粧とかいろいろあります。
明治4年から続く舞台用化粧品の専門店です
役者の化粧には大切なおしろい
さまざまな色合いのドーランなど扱う品は1,000点近くに上ります
演芸場の人なんかはおしろいをつけたまんま走って見えて「これが足りない下さい」ってね買っていかれた事よくありましたね。
かつらをつけたまんまだとかね。
商店街の裏通りを歩くと…
へぇ〜ああ!いろんな公演のパンフレットいっぱいありますね。
へぇ〜。
ちょっと中どうなってるんですかね?え?こっから入んのかな。
すみません。
おじゃまします。
失礼します。
ここは40年以上前に出来た小劇場。
空き倉庫を改装して造られました。
気軽に演劇ができるようにと地元の人が安く貸し出しています
「万物全て母の…」。
現在学生や社会人など10組の劇団が活動しています
「薬は転じて毒となる。
毒また転じて薬となる」。
(拍手と歓声)「ありがとうございます。
ありがとうございます」。
劇団員の…
私シャツ脱がなきゃいけないしこれ着なきゃいけないからと思って。
(驚いた声)「もっと恐ろしいけだもの?それとも本当に死に神?」。
大学時代仲間たちの劇団に加わりけいこに打ち込んできました。
社会人になり一度は演劇から遠ざかっていましたが大須の街の温かさが忘れられず戻ってきたといいます
「いたのね。
もうどうして意地悪するの?もうふざけるのはやめて」。
毎年10月に行われる商店街のお祭り。
一番の目玉は劇団員たちも参加する仮装行列です。
華やかな衣装で練り歩き地元の人たちと一緒に街を盛り上げてきたのです
お芝居をやってきた人見てきた人のまなざしとか手触りみたいなものがたくさんこの空間にはずっとたまってってるんだなという感じがしますね。
いざ立ってみるとなんか不思議といつもと違う自分になれるというか力が出るのですごい助けてもらっているなというふうに感じます。

かつての演芸場のそばにある喫茶店です
モーニングセットを頼む常連のお客さんでにぎわっていました
(一同)おはようございます。
やって来たのはコマ回し芸人の柳家三亀司さん。
駆け出しの頃から30年以上通い続けています
ホット。
あんトースト。
舞台の合間に腹ごしらえをしたり愚痴を言いに来たり。
この喫茶店は芸人たちにとって掛けがえのない憩いの場となってきました
店主の…
口さんは芸人たちにとって母親のような存在。
時に優しく時に厳しく芸人たちを見つめてきました
やっぱり芸人は舞台にのって初めて芸人さんでそれでやっぱしその何ていうのかな雰囲気がとれるんです。
芸人さんっていうね重みを感じてほしいんだけどちょっと軽すぎるの。
(笑い声)何でやねん。
それがないからやっぱりもうひとつって…。
あ〜なるほど。

辛口の批評のあとは…

名古屋名物あんこたっぶりの「あんトースト」です

「辛口なコメントと甘いあんこ」。
大須の芸人たちを育ててきました
う〜ん…星!
(笑い声)星3つ?うんうまい!怖い存在だったね。
若い頃は怖い存在。
でも結構フォローもしてくれたし。
うまい事均等がとれとったよね僕らには。
みんな愚痴こぼすよ。
やっぱりそれ言ったように信子さんがそれ聞く事で僕らが言う事によってやっぱり気持ちが収まるし…。
そういう面ではいい存在だよね信子さんは。
(口)頼ってきてくれればうれしいですよね。
お客さんにもやじられた嫌だったって。
そういう事もありますからね。
そういうのを何となく聞く。
何となくこっちも…向こうもしゃべるという事で…。
そういうのは大事ですよね。

大須演芸場のこけら落とし公演です
芸どころの復活に東西の人気落語家たちがお祝いに駆けつけました

三亀司さんたち地元名古屋の芸人の姿も…
よっ!
(拍手)名古屋に大須演芸場ありと叫んで頂きたいと思います。
どうぞごひいきお引き立てお願いいたします。
(拍手)打ちま〜しょっ!もひとつせ!祝うて三度!お願いいたします!
(拍手)先生緊張してますか?しとる。

(拍手)
三亀司さん1年7か月ぶりの大須演芸場の舞台です
結構重たいんです。
「5トン」ぐらいあります。
落としたら「ゴトン」。
(笑い)
(拍手)
喫茶店の口さんも駆けつけていました
ではいくぞ!
(一同)おう!
(笑いと拍手)それっ!
一番の見せ場羽織を使った投げゴマです
(一同)おお〜っ!
(拍手)おおっ!
(拍手)どうもありがとうございました。
(拍手)ありがとうございました。
おつかれさまでした。
ありがとうございました。
アチィ。
やっぱりね上がらんと駄目ですね舞台に。
でもよかったよ楽しかった。
最高最高。
最高ですわ。
ありがとうございます。
頑張ってね〜。
ありがとうございます。
芸の街のにぎわいいつまでも

(テーマ音楽)2016/01/03(日) 03:25〜03:50
NHK総合1・神戸
小さな旅「芸は街に育まれ〜名古屋市 大須〜」[字][再]

名古屋市大須地区は古くから江戸や上方の芸人が集まる文化の交流地として栄えてきた。伝統の演芸場や演芸を愛する街の人々など“芸どころ”の息づかいが残る大須を旅する。

詳細情報
番組内容
名古屋市の下町・大須。大須観音から伸びるメインストリートを中心に、1200軒ほどの商店が立ち並びます。街のにぎわいを支えてきたのが芝居や寄席などの「芸」の文化です。古くから江戸や上方の芸人が集まる文化の交流地として発展してきました。9月、街の象徴でもあった演芸場の再開が決まり、地元に暮らす芸人や、演芸を愛する街の人たちはその日を心待ちにしています。“芸どころ”の息づかいが残る大須を旅します。
出演者
【語り】真下貴

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 歴史・紀行
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

OriginalNetworkID:32080(0x7D50)
TransportStreamID:32080(0x7D50)
ServiceID:43008(0xA800)
EventID:8084(0x1F94)

カテゴリー: 未分類 | 投稿日: | 投稿者: