朴槿恵の焦燥
私は11月6日公開コラム(http://gendai.ismedia.jp/articles/premium01/46233)で「慰安婦像の撤去、少なくとも撤去の努力を約束するかどうかが、韓国政府の本気度を測るリトマス試験紙になる」と書いた。今回の合意はまさにそこを突いた形だ。
なぜ韓国は今回、合意に動いたのか。韓国は日本との関係を改善しないわけにはいかなかったのだ。理由は3つ。まず北朝鮮の脅威、次に米国の圧力、それから経済の立て直しである。
北朝鮮の脅威は今回の核実験でますます明白になった。核兵器を使うかどうかはさておき、いざとなれば北朝鮮が実力を行使するのは2010年11月の延坪島砲撃事件で実証済みである。
米国は北朝鮮の脅威に対抗するために、中国に接近した韓国を日米側に呼び戻したかった。それには「喉に刺さった骨」状態の慰安婦問題を解決しなければならない。だから米国はこれまで何度も日本と韓国に問題解決を働きかけてきた。
韓国経済はガタガタだ。韓国は中国向け輸出で息をつないできたが、相手がバブル崩壊で失速してしまったので、経済面でも日米に顔を向けざるを得ない。
一言で言えば、いまや韓国は安全保障と経済で深刻なガタがきていて、対中路線一辺倒では国を立て直せなくなってしまった。そこで日本との関係を改善して息をつく出口を見出そうとしているのだ。
慰安婦問題とは最初から、その程度の問題である。国の平和と繁栄をどう実現するかという観点で見れば、過去の話をほじくり返すより、出口がない現状をどう打開するかのほうがはるかに重要である。今回の核実験で韓国はあらためて、そう実感しているに違いない。
-
ドイツの「集団性犯罪」被害届は100件超!それでもなぜメディアは沈黙し続けたのか?(2016.01.08)
-
五郎丸歩 独占インタビュー 「僕はいま、“失敗”したい」(2016.01.07)
-
ただ英語ができない「だけ」で、日本人は世界でこんなに大損している(2016.01.05)
-
2016年、日本の景気が悪くなる要素が見当たらない~「国債不足」に「追加緩和」そして「埋蔵金バズーカ―」まで飛び出す!?(2016.01.04)
- 激動の朝鮮半島。「北の脅威」のおかげで日本は対韓国外交に勝利した (2016.01.08)
- 橋下維新いよいよ与党に!? 安倍首相と会談3時間半。2016年の政界はこうなる(2015.12.25)
- 財務省はなぜここまで落ちぶれてしまったのか!〜政策立案・根回しに失敗、議論も説得力がない(2015.12.18)
- 世界各地で極右が躍進! いまこそ日本は「現実」を見据え、冷徹に「実利」を考えなければならない(2015.12.11)
- 騒がれだした衆参ダブル選、その行方を教えよう~政治家にぶら下がるだけの記者には分からない「政局の読み方」(2015.12.04)
- ロシアとトルコは「全面戦争」に突入するのか? 世界の列強が「対テロ戦後」を睨んで動き始めた!(2015.11.27)