寒い冬はお鍋が恋しくなりますよね。家族で、友人と、一緒に食べたら体だけでなく心もポカポカに温まりますね! お正月は和物中心だった方は、洋風のビーフシチューなんていかがでしょうか。
でもビーフシチューって、作るのはいいけど牛肉が固くて噛みにくかったり、すかすかになってイマイチ美味しくないなあ……ということが多いのではないでしょうか?
本日は食の広報YUICHIが、ビーフシチューの牛肉をとろとろに仕上げる方法を、科学を交えてご紹介いたします!
失敗しない!とろけるビーフシチューの科学レシピ
《材料 4人分》
- 牛肉(シチュー用)・・・・300g
- じゃがいも・・・・・・・・2個(小玉)
- ニンジン・・・・・・・・・1本
- たまねぎ・・・・・・・・・1個
- ブロッコリー・・・・・・・100g(約1/3房)
- デミグラスソース缶・・・・1缶(300gくらい)
- 赤ワイン・・・・・・・・・100g
- トマトケチャップ・・・・・大さじ1
- 水・・・・・・・・・・・・300cc
- 塩・・・・・・・・・・・・小さじ1/2
- バター・・・・・・・・・・10g
- ローリエ・・・・・・・・・1枚
科学1:お肉を焼くときは、最初は弱火で焼くと固くならない
やってしまいがちなのが、お肉を焼いたときにギュッと締まって固くなりすぎてしまうことではないでしょうか。
お肉が固くなってしまう理由は、いきなり強火で焼いてしまうからです。
お肉を強火にかけると、お肉の細胞が高温によりギュッと収縮して固くなってしまいます。そんな経験をしたことはありませんか?
お肉の細胞が収縮を始めるのは、45~55度の間と言われています。
つまり、45度未満の温度(低めの温度)で焼けば、固くならないのです!
最初は弱火でじっくり焼きましょう。
科学2:メイラード反応で美味しさをお肉に閉じ込めよう!
メイラード反応とは簡単に言うと、お肉に焦げ目をつけることです。
加熱することで、お肉の中にある糖とアミノ酸が反応し、茶色く変化(焦げて)して、香りやうまみを生み出してくれるのです。
メイラード反応が起こるのは、だいたい150度を超える高温のときです。
ずっと弱火で焼いても、反応は起こりません。
高温で焼くことでお肉の表面の細胞が熱で壊れ、細胞内にあるアミノ酸と糖が表面に流れてきます。流れ出した成分が熱くなったフライパンの上で加熱されて茶色く色づき、香り成分が生まれるというわけです。
メイラード反応によってお肉の表面を固め、うまみの成分を中に閉じ込めてくれます!
科学1でご説明したように、最初は弱火で徐々に温度を上げ、肉の表面に焦げ目を作りましょう!
科学3:弱火で3時間は煮る!
ビーフシチューを煮込むときの火加減は弱火。これは覚えておいてください。
お肉に早く火を通そうと強火で煮込むのは、お肉が固くなってしまうので逆効果です。ソースが鍋底にこびりつく原因にもあり、いいことがありません。
お肉が柔らかくなるには、弱火で最低2時間は必要です。
お肉の組織は、弱火で長い時間をかけて煮込むことで、とろけるように柔らかくなります。(煮込み時間は目安です。使用する牛肉の部位によって調整してください)。
また弱火で煮込むと、鍋の底で発生した気泡が上に上がってきます。ふつふつとしたあの泡ですね!この小さな泡がシチューをまろやかにし、弱火の安定した温度がお肉にも伝わって柔らかくしてくれます。
鍋の下の方で発生した気泡を鍋内を対流させたいので、使う鍋はできれば深鍋が好ましいです。
レストランに行くと、深めの鍋でシチューをつくていることを見たことがありませんか?
これにはわけがあったんですね!
あくまであればですので、お手持ちのお鍋でも大丈夫ですよ!
余談ですが、煮込むときはふたをしないようにしましょう。ふたをしてしまうと、材料の匂いが閉じ込められてしまい、臭みの原因にもなります。
それでは、ビーフシチューのレシピをご紹介します!
《作り方》
1. 牛肉は焼く30分くらい前から常温に戻しておきます。お肉の中と外で温度差ができてしまうので、できるだけ温度を均一にします。
2. 材料を切ります。じゃがいも、にんじんは一口大に、たまねぎは薄切りします。ブロッコリーは小房に分けておきます。じゃがいもとにんじんはできるだけ大きめにカットした方が、煮崩れしないし、食べたときのボリュームがありますよね。
3. フライパンにバターを溶かし、常温に戻したお肉を弱火で焼きましょう。
先ずは弱火で焼き、徐々に火を強くして表面に焦げ目をつけるまで焼きます。
科学1と2を参照してください。
4. 鍋に野菜を入れ、水を加えてひと煮立ちさせます。焼いたお肉を入れたら、デミグラスソース、ケチャップ、塩、赤ワイン、ローリエを入れて弱火で煮込みます。
ときおりアクを取りながら、弱火で最低3時間は煮込みます。
5時間ほど煮込むと、写真のようにフォークで簡単に崩せるほどにとろとろになります。
しかーし、この方法でネックになるのが、煮込む時間が長いことです。
3~5時間にもわたって、火加減を気にしないといけません。
そこで、別の方法もご紹介します!
科学4:赤ワインとたまねぎにつけてお肉を柔らかくする
ビーフシチューのお肉を柔らかくするためには、何よりも時間が必要です。牛肉は豚肉や鶏肉と比べると固く、それだけに柔らかくするには時間が必要なのです。でも煮込む時間がないよ!という方におススメする方法が、お肉を赤ワインとたまねぎに漬けておく方法です。
材料
- 赤ワイン・・・・お肉が浸るくらいの量
- たまねぎ・・・・1個
作り方
- お肉を常温に戻しておく。
- たまねぎをすりおろす。
- 容器(ジップロックでも可)にお肉と材料をすべて入れる。
ビーフシチューといえば、赤ワインとたまねぎが定番ですが、どちらにもお肉のタンパク質を柔らかくする作用があるのです。また、酢やキウイなど酸が強い食材もお肉を柔らかくしてくれます。(材料を少なくする意味でも、今回は省きます)。
事前に赤ワインとたまねぎにお肉を漬けておき、できれば一晩(時間がない方は3時間くらい)冷蔵庫でお肉を漬けてみてください。
キッチンペーパーで水気を軽く拭い、あとは科学1と2の手順でお肉を焼いてくださいね!間違っても、いきなり強火で焼かないようにしてください!
この方法を使うと、1時間半〜2時間ほどでお肉がとろとろになりました。
煮込む時間がない方は、お肉を料理する前に漬け込む方法も試してみてください!
科学まとめ
①お肉を焼くときは、最初は弱火でやると固くならない
②メイラード反応で美味しさをお肉に閉じ込めよう
③弱火で3時間は煮る
④赤ワインとたまねぎにつけてお肉を柔らかくする
ビーフシチューのお肉をとろとろにするには、やはりそれなりの時間は必要です。
時間をかけて弱火で煮込むことで、お肉が柔らかくなるほか、スープの味が全体にしっかりと染み込み、味わい深くなります。
でも、それだけ手間と時間をかけて作るビーフシチューは、家族や友人との落ち着いた時間に彩りを与えてくれます。僕の体験ですが、時間をかけて煮込んだビーフシチューの方が、家族から「美味しい!」と評判でした。
忙しい毎日でも、料理にちょっと時間をかけてみるのはいかがでしょうか。
著者プロフィール
食の広報YUICHI
1984年7月1日 神奈川県生まれ。
料理研究家、ライター。学生時代はスペイン語を専攻、卒業後は貿易会社、翻訳会社に勤務し、料理とは無縁の生活を送る。前職の勤務を始めた2010年、慣れない大阪での一人暮らしと仕事の厳しさで落ち込んで帰宅したある日、夕飯にみそ汁を作って気持ちが前向きになったことで料理が気持ちを癒す力があることを体験。以来たくさんの料理を自炊するようになり、料理家としての活動を目指すきっかけとなる。広報スタッフとしての経験を活かして、レシピの発信や飲食店舗の取材を通じた記事を発信している。
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(編集:河瀬璃菜/フードクリエイティブファクトリー http://foodcreativefactory.com/)