小さな昆虫たちと一緒に生きている西田さんの世界。
それは果てしなく大きな謎に満ちあふれています。
モノづくりの技を紹介する…今回のイッピンは世界が認める新潟県燕市のカトラリーです。
スウェーデンで開かれるノーベル賞の授与式。
その晩さん会で使われるカトラリーは実は燕で作られたものなんです。
繊細に施された模様や複雑な形が燕のカトラリーの持ち味。
更に機能性もすごいんです。
滑らかな口当たりを生み出すミクロの超絶技とは?さあ燕のカトラリーの技と魅力をご覧頂きましょう。
新潟県燕市。
ここには多くのカトラリー関連会社が集まっています。
ところで皆さんスプーンはどうやって出来るかご存じですか?まずその工程を見ていきましょう。
最初はステンレスの板をくりぬきます。
おおまかな形を作ったあと先の部分をローラーで薄く伸ばし続いて柄の部分をかたどります。
最後に頭の部分を深くくぼませます。
これでスプーンの出来上がりです。
実はカトラリー作りで最も重要なのが種矢。
実物と全く同じ模様を職人が最初に手で彫って作るカトラリーの原型なんです。
精巧なデザインや複雑な形も種矢次第。
ではこの種矢どうやって作られるんでしょうか。
…とその前に。
まず種矢の使い方をお教えしましょう。
種矢をもとにして金型が製作されます。
機械の上に取り付けてその下に鋼をセット。
そして…。
強く打ちつけるとご覧のとおり柄の金型が出来上がりました。
カトラリーを作る場合表と裏2つの種矢が必要になります。
どちらの種矢も鋼に打ちつけ模様を写し金型を作るんです。
この2つの金型に柄を挟み込みプレスします。
すると柄の表と裏に模様が入るという仕組み。
つまり種矢のよしあしが全てを決めるのです。
この重要な仕事を担う職人が…ノーベル賞のカトラリーをはじめ数千個の種矢を作ってきました。
今回作るフォークの設計図です。
これをもとに種矢を製作します。
あらかじめおおまかに削りだした鋼に設計図と同じ寸法で印をつけます。
その印をもとにたがねを使って彫っていきます。
柄の直線僅か1ミリの部分を手の感覚だけで彫っていく緻密な作業です。
寸分たがわず彫るには長時間手を固定し続けなければならないんです。
今回の種矢作りで最も難しいのが円の部分の削りだし。
先の細いたがねで輪郭を削っていきます。
時々円の半径を確認しながら慎重に彫り進める皆川さん。
次にグラインダーで削り内側の丸みをつけました。
そしてやすりで形をシャープに。
この工程を3回繰り返し円の精度を高めていきます。
皆川さんの技術の粋を集めて彫り上げた種矢。
それをもとに作った金型。
繊細な技術なくしてこのような美しいデザインのフォークは生まれないのです。
燕でカトラリーが誕生しておよそ100年。
その歩みを振り返りましょう。
江戸時代燕は金物作りで知られ銅をたたいてやかんなどを作っていました。
明治44年この技術に目をつけた東京の問屋からスプーンを作ってほしいと依頼されたのが始まりとされています。
戦後海外への輸出が飛躍的に伸びピーク時の昭和31年には1,000万ダースが出荷されました。
そして今も数十か国に輸出されている燕のカトラリー。
世界が認める理由の一つが使い勝手のよさにあります。
スプーンは口当たりが大事。
そのための工夫とは?それは仕上げの際に行う研磨。
燕の磨きの技術は世界でもトップレベルといわれています。
その熟練の磨きの技を持つ…2人は一日1,000本のカトラリーを磨き上げます。
まず見せて頂いたのは…。
それでこうなってこれを今度は自然となるように…。
なぜスプーンの縁を磨くんでしょうか?研磨前縁には僅かなトガリがあります。
それを削って丸めるんです。
磨きにかける時間は…。
僅か6秒。
どのくらい削ったのか分かりますか?磨いている間僅かな削りかすが均一に付着していくのが見えます。
削り過ぎないように力加減を微妙に調節しながら手早く磨いているのです。
顕微鏡で削る前と後を見てみると縁の山が滑らかになっている事が分かります。
これが口当たりに影響するのです。
次はスプーンの裏を鏡のようにピカピカに仕上げる鏡面磨き。
時間を計ってみると…。
今度も6秒台。
どのくらい磨いたのか顕微鏡で見ると磨く前は表面が粗く傷がたくさんありましたが研磨後はなくなっています。
磨きの技が口当たりのよさを生み出していたんです。
どこまでも丁寧に。
燕のカトラリーを支えていたのは職人たちの緻密な技でした。
2016/01/04(月) 14:35〜14:45
NHK総合1・神戸
イッピン ミニ「燕(つばめ)のカトラリー」[字]
新潟県燕市で作られるカトラリーは、世界70か国以上に輸出されている。美しい形と輝きには、職人のトップレベルのワザが隠されていた。その秘密を徹底解明する。
詳細情報
番組内容
日本のモノづくりのワザを紹介する「イッピンミニ」。今回は、新潟県燕市でつくられる、スプーン・フォーク・ナイフなどのカトラリー。ノーベル賞授与式の晩さん会でも使われるという、燕(つばめ)のカトラリー。明治時代、手作業で始まった生産は、戦後、海外への輸出で大きく成長した。機能性を徹底追及したデザイン、カトラリーの原型を作る彫金、口当たりの良さを作る研磨など、世界トップレベルのワザを徹底解明する!
出演者
【語り】平野義和
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
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音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
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