(新番組)科捜研の女10 2016.01.04


(土門薫)境内を見回っていた神主が発見した。
発見したのは7時50分。
その1時間前には死体はなかったそうだ。
(榊マリコ)外傷は…見当たらない。
(乾健児)争った痕跡もありませんね。
(吉崎泰乃)杓が1つ落ちてますけど。
濡れてる…。
彼はここで水を飲んでいた…。
(風丘早月)肝臓が肥大してる。
腎臓も変色。
でも病死じゃないな。
これだけ急激に臓器がやられてるってことは毒物中毒かも。
毒物…?でも胃の内容物は…。
そう水だけだった。
少なくとも6時間以内に食べ物を摂取した痕跡はなかった。
(日野和正)英会話教室の講師…。
(日野)この人なんで神社にいたの?
(権藤克利)住まいがあの近くのマンションなんです。
境内を横切るとバス停までの近道なので付近の住人はよく通り抜けをしてるそうです。
(榊伊知郎)神社の水からは毒物は検出されなかった。
杓にも不審な点はありませんでした。
水じゃないとすると…。
死因は毒キノコだった。
(日野)毒キノコ?岩井さんは水のせいじゃなく毒キノコの一種ドクツルタケを食べて亡くなった可能性が高いわ。
(乾)食べた?胃の中は空っぽだったんじゃないんですか?ドクツルタケを食べると数時間後腹痛や下痢の症状が出る。
でもそれは1日ほどで回復する。
で治ったと思って放っておくと数日後次の症状が出る。
体内に残った毒性成分アマニチンが肝臓や腎臓の細胞を急激に破壊し機能不全を起こして死に至る。
(伊知郎)ドクツルタケは見た目は白くて美しい。
だがその猛毒は高い確率で人の命を奪う。
悪魔の天使と呼ばれる恐ろしい毒キノコだ。
悪魔…。
キノコ狩りにでも行って食用と間違えて食べたのなら事故だけど…。
故意に食べさせられたとしたら殺人だ。
岩井さんがいつどこでドクツルタケを食べたのか。
まずは自宅を調べてみましょう。
(泰乃)ゴミを持ち帰るんですか?自宅で毒キノコを食べたならゴミに痕跡が残ってる可能性がある。
生ゴミが残ってればラッキーなんだけどな。
ニオイとか汚れとか気にならないんですか?こんなの序の口。
もっと強烈な現場もあるよ。
月曜日の朝に薬を買ってる。
マリコさんこれ見てください。
この部屋には女性が出入りしてたみたいです。
取り込みました。
はいじゃあ次。
はい。
乾君吉崎君と私が指紋の方をやるから君は口唇紋の鑑定を頼むよ。
はい。
口唇紋?うんリッププリント。
キスマークと言った方がわかるかな。
(伊知郎)唇の溝の紋様は個人によって形態が異なり生涯変わらないという性質を持っている。
だから個人を特定するのに指紋と同じ役割を果たすんだ。
(泰乃)へえ〜。
これだわ。
この容器からドクツルタケの毒性成分が検出された。
容器には岩井さんのもの以外にもう1人別の人物の指紋もついてた。
その指紋と同じものがこの口紅つきのグラスにもついていました。
さらにゴミ箱の中にあったこれにも同じ指紋が付着してました。
コンタクトレンズのケース?中にレンズは入ってませんでした。
いいですか?ああどうぞ。
日曜日岩井さんのマンションの近くでお祭りがあった。
お祭り?ええ。
地域住民の交流を深めるための町内会の催しで参加者たちにはキノコ汁が振る舞われたそうだ。
キノコ汁…。
(田中)当日はここにテントを張ってキノコ汁を配りました。
配る時に使用した容器はこれですか?ああはいそうです。
120人分用意してすべて食べ尽くしましたけど食べて具合の悪なったような人はおりませんよ。
キノコ汁はどこで作ったんですか?あの団地の集会所です。
他に症状が出た人がいないとなると岩井さんが食べた分にだけ毒キノコが入っていたことになるわね。
何者かが彼への殺意をもって毒キノコを混入させた。
殺人事件…。
キノコ汁を作った福元さんと吉野さん広川さん。
この団地からの今年の町会役員さんたちです。
あのこの人お祭りに来ていましたか?
(福元政子)さあ…見覚えないですけど。
(吉野美鈴)大勢来てたからわからないわ。
(広川理奈)私もこんな人知りません。
皆さんの指紋も採取させていただけますか?私たちはただ普通にキノコ汁作ってただけですけど。
いや確認のためです。
ご協力お願いします。
(田中)使用したキノコはしいたけえのき茸なめこまいたけこの4種類です。
それらはすべてここで仕入れたんですね?ええ。
同じ町内の八百屋です。
当日の朝ここに配達してもらって福元さんたちがここで調理を。
あの時植田さんもいたよね?5号棟の。
ええ…でも植田さんは病院に行くからって抜けたんです。
目がかすんでつらいからって。
(美鈴)あの人はいっつもそう。
役員の仕事全部私たちに押しつけてさぼってばっかり。
きっとあれも仮病よ。
でもほんとに具合悪そうだったわよ。
でも一日中病院ってことないでしょう。
片づけにも戻ってこなかった。
まあまあ…。
ご近所付き合いっていろいろ大変そうですね。
(携帯電話)はい土門だ。
岩井さんが交際していた相手がわかりました。
英会話教室の生徒潮谷友佳です。
俺もそっちへ行く。
あとを頼む。
キノコ汁を作った3人の指紋を岩井さんの部屋にあった器の指紋と照合します。
1人目は福元政子さんです。
次が吉野美鈴さんです。
広川理奈さんです。
(英語)潮谷さん。
岩井さんのことでお話を伺いたいんですが。
(潮谷友佳)クリス…ウェイトアウトサイド…。
オーケー。
私はもう岩井さんとはお付き合いしてません。
4月に別れたんです。
今の方は新しい彼氏ですか?はい。
だからこういうの困るんです。
最近岩井さんにお会いになりましたか?いえ会ってません。
授業も時間をずらして受けに来てますから。
彼が待ってます。
失礼します。
任意提出ではないから証拠能力はないが調べてみてくれ。
潮谷友佳は何かを隠してるような気がする。
頼むぞ。
はい取り込みました。
岩井さんの部屋にあったグラスの口唇紋と照合します。
指紋も照合してみて。
はい。
潮谷友佳はシロですね。
岩井さんに毒キノコを食べさせたのは彼女ではない。
でも何かを隠していると土門さんは感じている。
部屋にあった他のものの指紋と比べてみましょう。
はい。
岩井さんの部屋にあったこの薬局のレシートにあなたの指紋がついていました。
月曜日の朝これらの薬を購入したのはあなただった。
岩井さんと別れてはいなかったんですね?別れました!別れました…。
でも呼び出されるとつい…。
(友佳)薬買ってきたよ。
(岩井良樹)ありがとう。
おなか痛い?大丈夫?
(岩井)ああ…。
なんか当たっちゃったみたいでさ。
これでいいかなあ?お医者さん連れてってあげようか?やっぱり友佳は優しいな。
好きだよ。
(友佳の声)そう言われると心が動いてしまう自分が情けなくて…。
他の女の人たちにも同じこと言ってるってわかってるんですけどね…。
岩井さんは複数の女性と付き合っていた…?ええ。
彼は携帯の履歴をすぐ消しちゃうんで具体的に何人いるのかわかりません。
でもたぶん無料体験に来た人たちだと思います。
無料体験?私もこれを受けに来た時に特別に個人レッスンをしてあげるとか言われてそれから付き合い始めたんです。
こちらですどうぞ。
拝見します。
「広川理奈」…。
私もこんな人知りません。
おサンキュー。
(権藤)どうぞ。
まあどうぞ。
あなたは2か月前に英会話教室の無料体験を受けてますね。
その時の担当講師は…。
岩井さんだった。
なのになぜ知り合いであることを隠したんですか?お祭りの日に岩井さんに会いましたか?いいえ。
無料体験の時以来会ってません。
彼に毒入りのキノコ汁を食べさせたのはあなたでしょ?キノコ汁を作った人の中で岩井さんと接点があるのはあなただけなんです。
違います。
私じゃありません。
だいいち日曜日は主人がいるから彼には会えない。
他の日には会っていたんですね。
不倫してるような奥さんには見えなかったけどな。
毎日だんなの帰りが遅くて退屈だった。
岩井に誘われて独身の頃のときめきを思い出したんだそうだ。
広川理奈の口唇紋一致しませんでした。
そうか他にも女がいるのか…。
最低。
(泰乃)私こういう男絶対許せない。
こんばんは。
はい。
(乾)どうしたんですか?風丘先生こんな時間に。
マリコさんに呼び出された。
確認してほしいことがあるんだって。
マカロン!ありがとうございます。
このコンタクトレンズケースにも犯人とおぼしき人物の指紋が付着していたので調べてみたの。
中にはレンズは入っていなかった。
遺体はコンタクトをしてた。
彼のなんじゃない?私も最初はそう思ったんです。
でもこれを見てください。
ケースの中に残っていたレンズ保存液です。
(早月)これは…アメーバが繁殖してる。
アメーバ?アカントアメーバ原虫という微生物。
コンタクトレンズの使用上の注意を守らないで不衛生にしてると保存液の中でアメーバが増殖して角膜に感染する。
岩井さんの眼球はどうでしたか?正常だった。
感染はしてない。
このレンズケースは彼のものではない。
じゃあ部屋に出入りしてた女のものか?おそらく。
その人は最近目の病気にかかっているはずよ。
まあ症状としては目のかすみ痛み充血結膜炎。
目のかすみ?でも植田さんは病院に行くからって抜けたんです。
目がかすんでつらいからって。
調べてみる。
何?何?今のアイコンタクト。
どういう意味?
(チャイム)
(ノック)
(ノック)
(植田栄子)誰?植田栄子さんですね?
(ため息)失礼します。
お茶を取り替えますね。
すみませんお待たせして。
なんなのよ。
警察に来いっていうから来たのに散々待たせて。
私午後から仕事なんだからね。
お仕事はパチンコ店でのパートと夜はスナックでも働いてるんですよね。
そうよ。
別れた夫からもらう子供の養育費だけじゃ生活できない。
そのスナックで岩井良樹さんと知り合ったんですよね?岩井さん?ああたまに来るあの英会話の先生かしら。
お客さんとして知ってるだけよ。
日曜日あなたはお祭りには参加しなかった。
どこに行きましたか?なんでそんなこと答えなきゃいけないの?隠す必要はないでしょう。
あなたは三条通りの眼科に行った。
あそこは日曜診療もやってますからね。
そこでコンタクトレンズが汚染されてることがわかりあなたその足で眼鏡屋に行きその眼鏡を買った。
私のこと調べたの?そのあとどこに行きましたか?うちに帰ったわよ。
岩井さんの部屋じゃないんですか?岩井さんはただのお客さん!どこに住んでるかも知らないわ。
あなたの口唇紋唇のしわの形は岩井さんの部屋にあったグラスについていたものと一致しました。
キノコ汁が入っていた容器の指紋もあなたのものでした。
あんただろ?岩井さんに毒キノコを食べさせたのは。
毒キノコ?何?それ。
とぼけるな。
祭りで配られたキノコ汁に毒キノコを入れたんだろ?え…!?あのキノコ汁はうちのドアにかかってたの!ドアに…?役員の仕事に戻るのが面倒だからお祭りが終わるまでデパートで時間つぶして夕方6時過ぎに帰ったら…。
(メールの着信音)
(岩井)コンタクトやめたの?うん。
ケースの中でね虫が育っちゃったの。
見る?いいよ見たくない。
嘘。
肉眼では見えないのよ。
なんか腹減ったなあ。
あこれ食べる?いいね食べようよ。
私はいい。
帰るわ。
じゃあまた。
お互い暇な時にね。
またね。
うん。
毒キノコのせいだなんて今初めて知ったわ。
キノコ汁はあなたの部屋のドアノブにかかっていたんですね?ということは本来それを食べるのはあなたのはずだったということになりますね。
そうね。
食べなくてよかった…。
…私を殺そうとしたの?誰がキノコ汁を置いたのか心当たりは…?あの女よ!あいつ…毒キノコで私を殺そうとしたんだ。
あの女…?私?植田さんの部屋のドアにキノコ汁の入った紙袋をかけたのは吉野さんだと植田さんは言っています。
私じゃありません。
でも頼まれたんですよね?日曜日の朝に。
はいお願いします。
あすいません。
(田中)ああごくろうさん。
(栄子)あの…目がかすんでつらくて今から病院行ってきてもいいですか?ええ。
すいません。
またさぼる気よ。
じゃあ抜けるけどキノコ汁私の分も取っておいてね。
(美鈴の声)確かに頼まれました。
でも手伝いもしない人にあげる必要はないでしょ。
ずうずうしいにも程があるわ。
吉野美鈴と植田栄子はしょっちゅう揉めていたそうです。
これ植田さんちのゴミよね。
ちゃんと分別して出して。
開けたの!?人んちのゴミあさって…まったく。
暇人なのねあなた。
(鍵をかける音)近隣トラブルか…。
栄子さんの証言によるとここに水色の紙袋がかかっていた。
栄子さんは岩井の部屋に丼を置いたあと紙袋は持ち帰ったって言ってるんですよね。
その紙袋に犯人の痕跡が残っているかもしれない。
どこに何があるやら…。
本人もどこに置いたか覚えていないというし…。
とにかく紙袋探しましょう。
はい。
(ため息)俺の部屋より散らかってる。
ん?ええ〜?なんでこんなところに靴べらが落ちてんの?紙飛行機?
(泰乃)ありました!
(乾)マリコさん!
(乾)血をぬぐったようなあとが見られたので確認してみました。
血液だわ。
(乾)靴擦れの血がついたってレベルじゃないですよね。
(ドアの開く音)君はあの時の…。
靴べらに付着していた血液は息子の玲央君のものだった。
柄の部分の指紋は栄子さんのもの。
その指紋どおりに指を置くと…。
その握り方では靴べらとして使うのは不自然だね。
彼女これで子供をたたいたんじゃないかしら。
この絵を見て。
(ドアの閉まる音)玲央君私は榊マリコといいます。
今日は玲央君の健康診断をします。
健康診断学校でもやったことがあるでしょ?じゃあお洋服を脱いでおなかを見せてください。
後ろ向いてね。
(ため息)
(栄子)ねえいつになったら帰れるの?私は毒キノコで殺されそうになった被害者なのよ!その件に関しては被害者だとしても子供に対しては加害者のようだな。
玲央君の体にはいくつもの痣がありました。
あんたは息子を虐待している。
虐待なんてそんな…!あの子わんぱくでうちの中でも駆け回ってあちこちぶつけたり転んだりするのよ。
だから痣ができちゃうの。
私は何もやってない。
おいしい?退屈だったらこれで遊んで。
お母さんに痛いことされたりする?紙飛行機お部屋にもあった。
好きなの?
(植田玲央)飛んでけ…。
えっ?嫌なこと全部…遠くに飛んでけ!!
(泰乃)はい。
(乾)ここ。
はい。
取り込めました。
よし。
(乾)これは植田栄子の指紋じゃない。
犯人のですかね?どうだろう?
(泰乃)吉野美鈴?
(美鈴)指紋がついてた?そりゃそうでしょ。
私触ったものその紙袋。
いつ触ったんですか?日曜日の夕方役員会の案内を届けに行った時。
(美鈴の声)中身は見なかった。
あとで植田さんに何か言われるの嫌だもの。
あの人とかかわるとろくなことないから。
(権藤)今の証言鵜呑みにはできませんよね。
うん…。
だが紙袋に指紋がついていたというだけじゃ引っ張ることはできないからな。
キノコ汁に毒キノコを入れたのが吉野美鈴だということを科学的に証明しなければいけないんだよね。
入れたっていっても生でドボンと汁の中に入れたわけじゃないんですよね?毒性成分が容器に付着していたということは汁と一緒に調理がされていたと考えられるわ。
これ日野さんの櫛ですよね?うん僕の。
ちょっとすいません。
なんで私のカップに入れるんですか!?ああそれ吉崎さんの?いや誰も使ってないと思ってね櫛立てにしちゃったんだよ。
ごめん。
ずっと愛用してきたマグカップなのに使えなくなっちゃったじゃないですか!洗えばまた使えるよ。
無理。
一度汚いものが入ったと思うと使えません。
汚いものって…。
一度汚いものが入った…。
ねえ毒キノコを調理した鍋は洗ってそのあとも使うかしら?
(日野)それこそ無理でしょ。
毒素が残ってたら嫌ですからね。
(泰乃)私だったら絶対捨てます。
捨てる…。
みんな支度して。
(泰乃)どこ行くんですか?多分君の苦手なところ。
あっ…!ほら。
あはい!鍋は小型金属のゴミとして捨てられる。
あの団地の回収日は月に一度で昨日だったはずよ。
昨日回収されたゴミの中のすべての鍋を持ち帰って調べるんですね。
ゴミの山の中入るんですか?さあやりましょう!この鍋だわ。
この中で毒キノコが調理された。
(キーボードを打つ音)
(乾)鍋に付着してた指紋を吉野美鈴の指紋と照合します。
吉野さんじゃない。
誰の指紋か検索かけます。
(キーボードを打つ音)マリコさん!毒キノコ入りのキノコ汁を作ったのはあなただったんですね。
捨てられていた鍋から毒性成分とあなたの指紋が検出されました。
そしてこれにもあなたの指紋がついていた。
玲央君の部屋にあった紙飛行機。
誰に作ってもらったのか玲央君に聞いても答えてはくれませんでした。
日曜日の夕方母親が不在の間どこにいたのかもあの子はしゃべろうとしません。
子供ながらに何かを感じ取ってしゃべってはいけないと思ってるようです。
玲央君…。
(ため息)近所付き合いなんて面倒臭いと思ってました。
勤めに出ていた頃は家は帰って寝るだけの場所。
住人たちの顔を覚えようともしませんでした。
それが定年退職をして家に長くいるようになると…。
(政子の声)一人暮らしの部屋の中でもし私が倒れて誰にも気づかれなかったら…。
(政子の声)孤独死。
そんな言葉が頭をよぎるようになって…。
私のことを誰かに覚えておいてもらいたい。
(政子の声)近所の人たちと積極的に交流を持つことにしました。
(玲央のすすり泣き)
(玲央のすすり泣き)どうしたの?なんで泣いてるの?
(すすり泣き)あら…あっ腫れてる。
すぐに冷やした方がいいわ。
行こう。
(政子)ああ痛そう…。
お名前なんていうの?植田玲央。
5号棟の植田さん?
(政子)この腕誰にぶたれたの?お友達にいじめられてるの?
(政子の声)きっとそうなんだろうと勝手に解釈しました。
嫌なことがあった時はねこれをやるといいよ。
おばさんがお母さんから教わったんだけどねこうやってこうやって…。
こうやって折った飛行機に嫌なことを全部乗っけて遠くへ飛ばしちゃうの。
嫌なこと全部飛んでいけ〜!って。
ふふふ…。
ねえほらやってみて。
ねっ玲央君も。
飛んでけ…。
あはっ。
もうちょっとね力を抜いて大きく振るのよ。
はい嫌なことみんな飛んでけ〜!やった!上手。
ふふふ…。
それから時々玲央君はうちに来るようになりました。
あんまりしゃべらない子だけど一緒に紙飛行機を折ったりおやつを食べたりうちで宿題をやったり。
でも玲央君がよく痣を作ってくるのが気になりました。
もしかして学校でいじめられてるんじゃないかと思ってお母さんから先生に言ってもらおうと思いましておせっかい承知で植田さんのうちを訪ねてみたんです。
(栄子)同じこと何度も言わせないでよ!
(玲央の泣き声)
(玲央)ママ…ママごめんなさい!やめて!
(栄子)あんたはいつもいつも…!
(玲央)ママ…やめてママ!
(栄子)今タオル持ってくるから動かないでよ。
汚れるから。
(玲央)ごめんなさいママ!ママごめんなさいママごめんなさい…。
(栄子)わかったからもう泣かないで!
(政子の声)母親だったんだ。
玲央君のあの怪我も痣も母親が…。
(政子の声)虐待をやめさせなければと思いました。
植田さん。
子育てで悩んでいるなら相談に乗るわよ。
(栄子)はあ?玲央君をもう傷つけるのはやめて。
私は何もしてないわよ。
あの子が勝手に転んだりぶつけたりするの。
わんぱくで困っちゃう。
(政子の声)児童相談所にも連絡をしました。
でもうまくいかなかったようで…。
それからも玲央君の傷は絶えなかった。
なんとかして私があの子を助け出してあげたいと思いました。
私が救ってあげなければあの子はずっと苦しんだままで…。
もしかして殺されてしまうかもしれないって。
それで植田栄子さんの殺害を考えたんですね?病死か事故死に見せかければ玲央君も傷つかない。
いろいろと考えてた時にお祭りの日にキノコ汁を作るってことになったので私は山に毒キノコを探しに行きました。

(政子の声)前日に毒キノコ入りのキノコ汁を作りお祭りで使うのと同じ容器に入れて…。
じゃあ抜けるけどキノコ汁私の分も取っておいてね。
(政子の声)植田さんの食べる分とすり替えようと思っていましたがその会話を利用することにしました。
(政子)玲央君。
おかえり〜。
お母さん帰ってくるまでおばさん家にいようか。
うん!ふふふ…。
玲央君の口に入らないように連れ出したんですね。
はい。
まさか彼女が他の人に食べさせるなんて思ってもみませんでした。
(玲央)ママ!
(相談員)あなたの母親としての適性を審査する間お子さんは施設の方でお預かりいたします。
やだ!僕ママと一緒にいる!ママとおうちに帰る!ママといる!ママといる!ママといる!
(相談員)玲央君…。
やだ!ママといる!ママといる!ママといる!ママといる!ママといる!あの子を救ってあげたい…。
そんなこと考える必要なかったんですね。
ただの近所のおばさんが余計なことをしました…。
福元さん。
あなたはただの近所のおばさんではありません。
玲央君にとってあなたは紙飛行機を教えてくれた人です。
つらい現実はこれに乗せて飛ばしてしまえ。
あなたに教えてもらった紙飛行機が玲央君を救っていたんです。
救われたのは私の方です…。
あの子といると…。

(玲央)おばさん見て!ええ?うわ〜かっこいい形ね!どれどれ?はい。
うわっこれイカ?ふふふ…。
もっと作ろう。
(政子の声)独りでいることの不安を忘れられた。
はいでは…。
嫌なこと全部飛んでけ〜!!
(政子)うわ〜!飛んだね!もっと飛ばそうか。
ふふっ待ってて。
はい。
飛んでけ〜!!飛んだ〜!ふふふ…。
飛んでけ〜!!あら上手。
飛んでけ〜!!飛んでけ〜!!
(政子の声)私の寂しい気持ちも飛んでいった。
遠く遠くに…飛んでいった…。
2016/01/04(月) 16:00〜16:58
ABCテレビ1
[新]科捜研の女10[再][字]

沢口靖子演じる京都府警科学捜査研究所研究員の榊マリコが、事件現場に残された微細証拠を手がかりに真相を究明する科学捜査ミステリー。

詳細情報
◇番組内容
CASE.2
「多すぎる殺人容疑者
 口唇紋と指紋の秘密」
◇出演者
沢口靖子、内藤剛志、若村麻由美、斉藤暁、泉政行、奥田恵梨華、高橋光臣、小野武彦 ほか

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
映像
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz

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