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職場の妊娠報告、周到に 初期・真っ先に上司
安定期・先輩や同僚に 後期・引き継ぎ準備

2016/1/4付
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 働く女性が妊娠したとき、気がかりなのが職場の反応。うまく伝えれば職場の支援を得られるが、コミュニケーションが不足していると思わぬトラブルにもつながりかねない。職場での妊娠報告は、いつ、どんなタイミングですればいいのか。注意点をまとめた。

 人材紹介会社に勤務する丸島絢子さん(仮名、32歳)は「妊娠報告をした途端、担当業務を変えられてしまったという友人の話を聞いて、不安を感じる」ともらす。こうした事態は、どうすれば回避できるだろうか。

 「『働くママ』の仕事術」の著者で女性向けのキャリアコンサルタントの金沢悦子さんは、「味方を増やすコミュニケーション術を身に付けることが大切」と話す。妊娠報告のケースでは「体調変化の起きるタイミングごとに相手や順番を見極めてこまめなコミュニケーションを進めることが重要」という。

妊娠は早めに上司に報告する
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妊娠は早めに上司に報告する

 まず、妊娠が判明する妊娠6週目から8週目。妊娠初期は流産などのリスクがあり公に報告するのは控えた方が無難とされるが、「上司には真っ先に報告に行くことが大切」と人材育成の研修・セミナーを手掛けるWoomax(東京・千代田)の竹之内幸子社長は言う。

 ここから安定期(16週)に入るまでの期間は、つわりなどで体調を崩しがち。事情を伝えずに休みが続けば上司の不信感も募り、その後の仕事に響くこともある。「早めに報告することで、いざという時のサポート体制を整えてもらえれば、双方にメリットが大きい」(竹之内さん)

 上司が男性の場合、妊娠による体調変化は理解してもらいにくい。体調不良といっても軽微なものから長期入院を伴うものまで、人によって様々なことを説明しよう。あらゆるケースを想定し、リスクを事前に洗い出しておく作業が必要だ。その上で自分がどのように働きたいのか希望を伝える。無理の無いような勤務体制に見直したり、急な欠勤時の対応方法などを考えたり、職場の状況と自分の希望を擦り合わせよう。

 「同時に進めたいのは社内の先輩ママ探し」と金沢さん。会社によって社風や制度は千差万別。働くママ社員への風当たり、復帰してからの働き方など、育児書やインターネットからは得られない情報も多い。復帰後の働き方をイメージすることで、復帰前の不安をぬぐう効果も期待できる。

 何より「無理して深夜勤務を続けていたら不正出血を起こしてしまった」「プロジェクトの繁忙期に子どもがインフルエンザにかかってしまい慌てて病児保育を探した」など、「先輩ママの失敗談ほど参考になるものは無い」(金沢さん)という。社内に該当する人がいない場合は職種や社風の近い企業の先輩ママの話を聞くのも良さそうだ。

 安定期に入り、体調も安定してきたらチームのメンバーにも徐々に妊娠報告をしよう。その際に気をつけなければいけないのが順番だ。つい、気心の知れた同僚から打ち明けてしまいたくなるが、後回しにされると疎外感を感じる先輩・上司も多い。前もって報告・相談することで相手を頼りにしているというメッセージが伝わり、「手助けしてやろう」とサポートを受けられるケースも多い。

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 金沢さんによれば「能力の高い女性ほど、周囲に甘えたり頼ったりするのが苦手な人が少なくない」という。しかし、子どもが生まれたら急な欠勤やスケジュールの調整など周囲に頼らざるを得ないことばかり。限られた勤務時間の中でパフォーマンスを最大にするには味方は多いに越したことはない。「根回しは働く女性のたしなみ」(金沢さん)。自分一人で抱え込まず、周囲を巻き込む力を少しずつ身につけていこう。

 気をつけたいのは「報告の際に、はしゃぎすぎないこと」(金沢さん)。社内には人知れず不妊治療をしている人など、様々な事情を抱えている人もいる。個人にとっては幸せな報告でも、組織においてはリスク情報の共有と認識し、「ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願い致します」と言う程度にとどめておくのが良さそうだ。

 きちんと順を追って報告したにもかかわらず、「妊娠は病気ではない」「早く帰れていいね」など心ない言葉をかけてくる人もいるだろう。悪気は無くとも妊娠・出産に関する正しい知識がないことが原因の場合も多い。

 マタニティーハラスメント問題に詳しい杉浦浩美・埼玉学園大学専任講師は「妊娠している女性の立場から事情を伝えることが重要」と話す。「無理をして体調が悪化すると長期入院になる人もいる」「早く帰って、自宅で資料作成などをする」などと、身近な人からでも伝えていこう。

 部署の異動や嫌がらせなどの個人で対応しきれないような不利益を受けた場合は、「一人で抱え込まず先輩ママや信頼できる同僚に相談してほしい」と杉浦さん。時間外労働の規制など妊産婦の就労上の権利は法律で守られているので、きちんと会社に対して声を上げることも必要だ。

[日本経済新聞夕刊2016年1月4日付]

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