宗教別インド料理②

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キリスト教

インドのキリスト教には、大まかに3つの源流があります。
ひとつは西暦52年にシリアから移住した
シリア・クリスチャンの血をひく人々。

そして15世紀に
ポルトガルのバスコ・ダ・ガマのインド上陸に端を発して
移住したヨーロッパ人や、
フランシスコ・ザビエル(ゴアで死去)の布教などにより、
ヒンドゥー教から自ら改宗
また改宗させられた土着民のラテン・カトリック教徒の末裔。

そして19世紀のイギリス統治時代に、
宣教師らの布教により、
プロテスタントまたは、カトリック改宗した人々です。
シリア・クリスチャンとラテン・カトリック教徒は、
ゴア州やケララ州など南インド沿岸部に、
プロテスタント、カトリック教徒は、
コルカタ近辺のインド東部や北東部に多く暮らしています。

中でも北東部のナガランド州は、
住民の90%がキリスト教徒だと言われています。
彼らは、ヒンドゥー教徒やイスラム教徒と違い、
牛肉にも豚肉にもタブーがありません。

またイスラム教徒の多いインドでは
一般的に飲酒に後ろめたい印象がありますが、
キリスト教徒の多い地域では
ワインなどが表通りで堂々と販売され、飲まれています。

ちなみに現在、
ゴア州や南インドのタミル・ナドゥ州沿岸にある
旧フランス領のポンディシェリーは酒税がかからないので
お酒の種類が豊富なうえ、価格も安価です。

仏教

インドは仏教発祥の地。しかしながら、
それ以前からの古代ヒンドゥー教(バラモン教)になじんだ土壌と、
イスラム教徒による偶像の徹底破壊によって、
現在ではインド東部のビハール州にある聖地ブッタガヤや、
運よく残ったアジャンダの石窟遺跡などでしかその面影を
見ることはできません。

仏教の料理というと、
中国や日本の精進料理に見られるような菜食を想像しますが、
インドでは僧侶のためにわざわざ虐殺しないなど条件
を満たした浄肉なら食べることが可能
また釈迦が牛乳粥で体力を回復したといわれるほどで、
乳製品も食せます。

飲酒はイスラム教のように全面禁止というよりは
「暑い気候の中で、お酒を飲むと意識薄弱になるため」
自戒せよといわれているようです。

シーク教

男性はひげを生やしてがたいが大きく、
ターバン姿がインパクトのあるシーク教徒。
シーク教は、ヒンドゥー教とイスラム教の
マホメットの教えを合わせた
ナナク導師によって15世紀誕生した宗教です。

髪や髭を「神が与えたもの」として決して切らないことから
あのような容貌に。北インドのパンジャブ州に総本山があり、
食べ物に禁止はなく肉(主に羊か鶏肉)や野菜を大いに食べ、良質の小麦と牛乳
バターを多く取り入れた食生活が特徴的。
一方で菜食を推奨する宗派もあります。
禁酒はかつては禁じられていたものの、
現在ではタブーではないようです。

シーク教徒はイスラム王朝であるムガール帝国時代には、
宗教的迫害を避けるために、
カルサと呼ばれる軍事団体を結成した経緯があります。
体格に恵まれ、裕福で教養のあるシーク教徒の男性は、
イギリス統治時代には官史や軍人として登用され
現在も銀行やホテルの警備員として多く活躍しています。
シーク教徒はパンジャブ州のほか、
西インドのムンバイ周辺に多く、
日本には神戸にシーク寺院があります。

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