石油海上輸送路の海峡に面するジブチも同調
【テヘラン田中龍士】アフリカ東部ジブチは6日、大使館襲撃を受けてイランとの外交関係を断絶したサウジアラビアに同調し、イランとの断交を発表した。ジブチ通信などが報じた。ジブチに面する狭い海峡は石油などの重要な輸送航路で、イランはサウジがジブチを通じて圧力をかけるのを懸念している。
また、カタール通信などによると、カタール政府は同日、駐イラン大使を召還。ヨルダン政府は同日、イラン大使を呼び出して大使館襲撃やアラブ諸国への介入に厳重に抗議した。イランとの断交は4カ国、駐イラン大使召還は3カ国となり、イスラム教スンニ派大国サウジによるシーア派国家イランに対する包囲網が拡大している。
ジブチとイエメンの間にあるバブルマンデブ海峡は幅が約30キロしかない。イランのアフカル・ハバル通信によると、イランは核問題での制裁解除後の石油生産を日量50万バレル増加できると見込むが、その約4割に当たる20万〜22万バレルを同海峡−スエズ運河−地中海のルートで欧州に輸出する計画があるという。
この海峡は年間約2万隻の船舶が通行し、そのうち日本関連船舶は約1700隻とされる。海峡を巡る緊張が高まれば日本にも大きな影響を及ぼす可能性がある。日本は海賊対策として2009年からジブチに護衛艦2隻と哨戒機2機を派遣し、陸海の自衛隊員を常駐させている。
カタールとヨルダンは共にスンニ派が主流で、ジブチは人口約90万人の9割以上がスンニ派。湾岸諸国ではこれまでにスンニ派王政のバーレーンがサウジと同様にイランとの断交に踏み切った。
一方、クウェートやアラブ首長国連邦(UAE)は、カタールと同じく大使召還にとどまっている。