グレーテルのかまど「夏目漱石のようかん」 2016.01.06


(かまど)新しい一年の始まり。
あけましておめでとうございます。
年始の挨拶で喜ばれる手土産といえば…。
このようかんを作品の中で絶賛するほど大好きだったのが明治の文豪夏目漱石。
漱石はなぜようかんを愛したのでしょうか?昔の人がようかんに込めた思いとは?今日は日本人にとってなじみ深いこの和菓子の魅力に迫ります。
光る石をたどれば行き着く不思議な家にあのお菓子の家のヘンゼルとグレーテルの末えいが暮らしています。
彼らが振る舞うおいしいお菓子の物語をご賞味あれ。
あけましておめでとうございます。
今年もおいしいスイーツたくさん作ってまいりたいと思います。
あけましておめでとうございます。
かまどですよ〜。
おめでとうかまど!今年もよろしくお願いします。
お願いね。
ちょっとヘンゼル君。
すごいお正月らしい。
似合うよ。
ほんと?似合ってる?すごいすてき。
急に大人になったみたい。
「ねぇお年玉もらったの?」って聞こうと思ったんだけどそんな雰囲気じゃないね。
もうもらってるわけないじゃん。
あげる方ですよお年玉は。
そうか〜。
かまどにも頂戴。
うれしい時悲しい時もうひとふんばりしたい時一口頬張ると何だか元気が湧いてくるのがスイーツ。
もう。
そんな不思議なスイーツの物語を我が家のかまどで最高においしく焼き上げましょう。
こよいひもとくお菓子は「夏目漱石のようかん」。
明治から大正にかけて活躍した小説家…処女作「吾輩は猫である」の中に早くも好物のようかんが登場します。
更に「草枕」ではこのようにようかんをたたえています。
大の甘党だった漱石。
胃が弱かったにもかかわらずようかんを求めて家じゅうを探し回った事もあるといいます。
漱石の孫半藤末利子さん。
半藤さんは祖母の漱石夫人や母筆子から漱石の話を聞いて育ちました。
胃が弱いのでそういうものを食べさせたくないわけですね祖母はね。
それで隠しておきますと母の3番目の妹の愛子がね「お父様こっちこっち」って戸棚の中からようかん取り出してそれでこっそりあげたりしてたみたいです。
次々と作品を発表した漱石。
弟子や来客と会うのは木曜日だけ。
それ以外の日は一日中執筆に費やしていました。
40から小説を書き始めて49…50で亡くなったんですから。
満でいうと49ですけど。
僅か10年のうちに10作書いたんですね。
大きいものをね。
1年に1編ずつ。
10作書いてその間に小品とかいろいろ書いてますからすごいとにかく大変だったと思うんですよ。
頭脳労働ってすごく疲れるじゃないですか。
とにかく一日中物を書いてる人ですからやっぱりね甘味そういうものが体が必要としていたのかもしれませんね。
数々の名作が生まれた背景にはようかんをはじめとするスイーツの力があったのかもしれません。
俺もさ学校で「坊ちゃん」読んだ事あるんだけどさその漱石が甘い物好きだったなんて意外だな。
うん。
漱石さんねお酒飲めなかったんだって。
あっだから甘党なんだ。
うん。
あっそうだかまど。
ちょっとこれ見て。
何何?これこれ。
ようかんなんてぴったりなんじゃない?家でも作れるのこれ?作れるのよそれが!よし。
ようかん作ってみましょう!ようかん作りに欠かせない材料といえばあん。
東京で80年続く老舗の和菓子屋にこだわりのあん作りを見せて頂きました。
小豆は北海道産の小粒なもの。
皮を破かないように弱火でゆっくり火にかけて豆の中心まで柔らかく煮ます。
小豆の中身を水にさらして出来るのが…。
あんのもとになるものです。
砂糖はざらめを使います。
すっきりとした上品な甘さが出るためです。
生あんと砂糖と水を煮詰める…あん作りの要となる作業です。
混ぜながら木べらから伝わる感触で練り具合を判断します。
すくってたらして…甘みが口の中で広がったあとフワッと消えるあん。
創業以来守り続ける自慢の味です。
う〜んすごく分かる!あん作りってさやっぱこう手間暇と時間がかかるんだよね。
いっぱい作った事あるもんね。
いやあれ何回も作ったから。
ほんとに熱かったな〜。
フフフフッ。
じゃあ今回ね漱石も愛した本格的な練りようかんを作ってグレーテルをびっくりさせたいと思います。
オーケー。
そうしましょう!じゃ味わいのキメテをどうぞ。
夏目漱石が絶賛したようかんを作ります。
よっ…よっ!はいじゃあ材料はこちらですよ。
今回はね糸寒天を使います。
ほお〜。
棒寒天でもいいんだけどねこっちの方がより優しい食感になりますね。
あっいいね。
ちょっとあんがないって事はまた…。
分かった。
じゃあ今日は特別!かまどからのお年玉!おお!かまどこれもしかしてあん?腕利きの職人が作ったとっておきのあんでございます。
スペシャルだ。
ありがとう。
これを使わせて頂きます。
ではまず水で戻した糸寒天を水と一緒に火にかけて下さい。
よく混ぜるのよ。
だいぶ溶けてきたんじゃないかな?溶けてきた?うん。
寒天の溶け残りがあるとねようかんが固まりにくいんですよ。
そうなんだ。
もうちょっと沸騰させてみようかな。
ちょっとへらをすくい上げてみて下さいな。
そして溶け残りがないか見てみて。
固まってるやつはないね。
じゃあいいかも。
オーケー。
そろそろあんを入れましょうかね。
かまどが出してくれた…よいしょ。
特別なあんよ。
お年玉。
お年玉ね。
お年玉があんこって初めてだわ。
フフフッ確かに。
初めてあげたわ。
あんまりないね。
お年玉おいしそう。
これでなじませていけばいいって事ね。
はい。
ほぐすようにやって下さいな。
ほい。
あ〜もう飲みたい。
フフフッ飲みたいの?だってぜんざいっぽいじゃないですか。
確かに。
はいじゃあねオキテお願いします。
ん?はい。
焦がさないようにすくうようにこう混ぜていくんだけれどもねかき混ぜ過ぎると…。
うんどうなるの?弾力ある食感になりません。
これを「腰抜けようかん」といいます。
ああまさにだ。
腰が抜けてる。
そう。
腰抜けようかんにならないように混ぜてちょうだい。
この微妙な力加減だね。
はい。
鍋の縁も取って下さいね。
かまど〜。
はいは〜い。
結構とろみついてきたよこれ。
じゃあ様子見てみましょうか。
木べらでようかんちょっとすくい上げてほしいのね。
ちょうど厚みが2〜3mmぐらいの感じだとちょうどいいですよ。
いいんじゃないでしょうか。
オーケー?よ〜し。
ではではでは型に流して下さい。
は〜い。
あのね今回使うのは「流し缶」という和菓子や和食で使う型なんですけれどもね。
これ。
おうちにあるバットでももちろんいいよ。
よいしょ。
お〜すごい。
あらまあナイス。
すげ〜!ぴったりでしょ?ぴったり。
固まったら完成です。
分かりました。
ようかんのルーツは古代中国。
つまり羊の肉を使ったスープでした。
鎌倉から室町時代に肉食を禁じられていた僧侶がこのスープの肉を小豆に変えて作ったのが日本のようかんの始まりです。
江戸時代砂糖と寒天を使った練りようかんが作られるようになると高級武士や公家の間で最高級のお菓子として広まりました。
元禄時代に描かれたお菓子の商品カタログの冊子。
さまざまなようかんのデザインを菓銘と共に見る事ができます。
「もく」と名付けられたこのようかんは木目のデザインになっているんです。
今でも季節ごとに工夫を凝らした色鮮やかなようかんが作られています。
お正月には日の出や富士山など…。
おめでたい柄やその年の干支を描いたようかん。
お正月のためだけに作る縁起のいい真っ白なようかん。
そして宮中の歌会始のお題に合わせた「お題ようかん」などがあるのです。
日もちがして切り分けると大勢で食べられるのがようかんのいいところ。
(笑い声)贈答用にふさわしいお菓子として今も昔と変わらず愛されています。
おいしそうだな〜。
あんなカラフルなのもあるんだね。
ねぇ。
華やかだし艶やかだし。
いいよね。
ああいうさ艶やかなようかん作ってみたいと思わない?お年賀用じゃん。
だからちょっとなんかきれいなやつ作りたいな。
作りたい?よしじゃあね私がお題を出しますよ。
お題?はい。
デザインしてほしいんだけど…。
分かった。
何にしましょうかね…。
う〜ん何だろうね?じゃあひとつ「雪」でお願いいたします。
「雪」。
う〜ん…。
整いました!どうぞ。
「雪」でしょ?はい。
あっこれいいかも。
じゃん。
おお。
雪がねこうしんしんと降っているような…。
そういうイメージね。
はい。
なんかちょっと伝わりました。
いいんじゃないでしょうか。
じゃあ3層になったお年賀ようかんを作りましょう。
作ろう!ではオキテお願いします。
さっきの絵の一番上の雪の層から作っていきますよ。
よ〜し。
雪は道明寺粉を使いたいと思います。
これね。
じゃあ沸騰した鍋に入れて下さい。
はい。
でこれはようかんで作ったのと同じ寒天液なんだけど火から下ろしたら粗熱を取って下さい。
こんなぐらいかな?はい。
ゆでた道明寺粉あるでしょ。
そこに少しだけ寒天液を入れちゃって下さいな。
オーケー。
混ぜてもらってですねまた戻しちゃってほしいの。
そうしてそこにゆずの絞り汁。
ゆずいいね。
いいよね〜ゆず。
はいではそれを型に流していきますよ。
オーケー。
よ〜し。
ん〜!?それ何?ちょっと。
これ〜?さっきなんかメレンゲでコソコソッと作ってたのに。
ないしょないしょ。
これは何だろう?これはね出来上がったらすごい事になりますから。
フフッ。
流していこうかな。
残りのを入れていきますか。
浮かないように入れなきゃね。
優しくね。
ちょっと優しく様子を見ながらね。
よいしょ。
わあこれいい感じだな。
雪景色出来ました!ちょっと一息ティーブレーク!甘党だった漱石が愛したスイーツを他にもいろいろ紹介します!まずは団子。
「吾輩は猫である」では団子を食べに行くシーンも出てくるのよ!当時はハイカラだったシュークリーム。
手土産で頂くと漱石が全部食べてしまったんですって!なんと自宅にはアイスクリーム製造機まであって子供たちと作って食べていたそうよ。
う〜ん楽しそう!漱石が住んでいた家の近所には大好きだった豆菓子のお店が今もあるのよ。
これね〜!落花生に砂糖をまぶした…このはかりも懐かしい!落花生は昔と同じようにお店の奥で毎日煎ってるのよ。
ああいい音がするわねぇ。
(落花生を煎る音)ご主人の中塚さんはこの道60年!
(中塚)こういう具合に…あら?つまみ食い!最高です。
落花糖は漱石の散歩のお供だったそうよ!着物のこういう…ここの所に入れてここから出して食べてたっていうんですけどどうやって入れてたのかと思って…。
じかだったらベタベタするでしょ。
お砂糖がまぶしてありますからね。
でもねそんなのをちょっと道をお散歩しながら食べたりそれはもうほんと毎日のようにそんな事をしてたみたい。
散歩しながら落花糖をずっと食べていたなんて漱石は本当に甘い物が好きだったのね!はいはいじゃあそのさっき流した寒天液を触ってみてほしいのね。
オーケー。
くっつきそうになるくらいの…。
くっつきそうすごく。
そうですか。
じゃあねその感覚を覚えといて下さい。
感触。
それより固くなっちゃうと2層目を入れた時にようかん同士がくっつかなくなっちゃうんで。
そうなんだ。
じゃあね一番下は雪のイメージにしたいのね。
白いようかんにしたいからさっきのほら小豆のようかんを作った時と同じように白いあんを煮詰めたようかんを作っておきました私が。
はいじゃここでね…かまどスペシャル!クリームチーズ!?はい。
コクが出ますね。
コクか。
漱石さんが英国留学をしたっていう事を聞きましてですね。
だからその影響か。
洋風の食材を入れてみようかなと思っちゃったわけさ。
さすがだね。
そうですよ。
「吾輩はかまどである」。
あれ?パクリじゃん!それ。
いやいやいやいや。
そういう事だから。
「吾輩はかまどである」ってもう…。
は〜いじゃあそろそろ固まったかもしれませんよ。
オーケー。
型から出してみましょうか。
これは緊張するね。
よ〜し。
水を付けて外す作業なんですけど丁寧にお願いいたします。
はい。
倒しながらへらをちょっと手前に引いて…はいいった!いよぉ〜…ぽん!出た!お〜!さっきのそのほら白いやつ…。
分かったでしょ?かわいい!この雪だるまのかわいい感じ。
だるまちゃんかわいいね〜!断面見て断面。
いいわ〜。
雪も降ってる。
雪がさ降ってる感じになってるでしょこれ。
これほんとにすごい。
アートアート。
おめでとうございます。
(チャイム)おっ姉ちゃん帰ってきた!姉ちゃんお帰り!お帰り!お年賀のようかん出来てるよ!お正月にふさわしい2種類のようかん。
滑らかに艶めく姿が美しい小豆の練りようかんと…。
雪景色を表現したゆずの香りの雪ようかん。
手土産に喜ばれる事間違いなし!表通りから少し入った所に「漱石公園」があります。
この場所には漱石が晩年の9年間を過ごした家通称「漱石山房」がありました。
一日の大半を執筆活動に費やし気難しく厳しかった夏目漱石。
しかし夫人の鏡子さんは後に漱石のこんな一面を記しています。
うちの母って聞いても「怖い」という事しか言わないわけでしょ。
ところが祖母はね漱石の悪口って言った事がないのね。
祖母の方が大変な目に遭ってますよね。
だけども祖母はねそういう事されたとか大変だったとかって私祖母からそういう事聞いた事ないですものね。
「いろんな男の人見てきたけどやっぱりお父様が一番いいね」と申しますよ。
漱石にとってつかの間の安らぎは家族そしてようかんと共にあったのかもしれません。
今日の「グレーテルのかまど」いかがでしたか?日本を代表する文豪夏目漱石。
いや最初はかなりお堅いイメージだったんですが大の甘党だったんですね。
いやぁすごく親近感が湧きました。
という事で今年も「グレーテルのかまど」よろしくお願いします。
ではちょっと失礼して。
よいしょ。
ねぇかまど食べたい?食べたいよそりゃ。
実はね…。
何?かまどにも用意しましたよ。
あら…。
ほら。
どうぞ。
うれしい!うれしいわぁ。
ありがとうございます。
まずはこっちから。
おいしそうだしそのすてきなしつらえ。
う〜ん!いかがでしょうか?おいしいわ。
そうね。
こっちの…もったいない気がするけど…。
雪だるまの真ん中いくの?え?ちょっと今びっくりした。
雪だるまも食べたいから。
いただきますよ。
う〜わ〜。
うん!うん!どうですか?口に入れた瞬間ねまずゆずの風味がフワッと…。
広がった?来るけど後からクリームチーズ入れたでしょ。
うん。
コクが。
あっそれが聞きたかったの。
かまど。
はい。
今年もよろしくお願いします。
やだぁ。
こちらこそ今年もよろしくお願いします。
ちょっとかまどなくなっちゃったからもらうね。
(かまどの笑い声)というかほんとにさ…。
え?駄目?まだ早いんじゃないのそれ。
ねぇ。
せめて今日ぐらいは人に優しくしてていいんじゃないかしら。
2016/01/06(水) 10:30〜10:55
NHKEテレ1大阪
グレーテルのかまど「夏目漱石のようかん」[字][デ][再]

日本の正月を祝う菓子といえばようかん。えとや縁起物の模様が彩られたようかんは、年始のあいさつに欠かせない。かの文豪、夏目漱石も実はようかんが大好物だった…。

詳細情報
番組内容
職人が腕によりをかけて作るようかんは、まさに和菓子の粋。宮中の歌会初めの御題ようかんや日の出、富士山などの絵柄にも品格が漂う。漱石の代表作「吾輩は猫である」や「草枕」にもこのようかんが登場する。「肌合が滑らかに、緻密に(略)どうみても一個の美術品」と表現したようかんに、漱石はどんな思いを寄せたのか。漱石の孫で随筆家の半藤末利子さんの証言を交え、文豪が愛したようかんの魅力を、年のはじめに再発見する。
出演者
【出演】瀬戸康史,エッセイスト…半藤末利子,【語り】キムラ緑子

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
バラエティ – 料理バラエティ
情報/ワイドショー – グルメ・料理

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音声 : 2/0モード(ステレオ)
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