人生デザイン U−29・選「養蜂家」 2016.01.06


じっくり煮た大根の滑らかな口当たりも魅力です。
今回の「U−29」は…。
何やらただならぬ雰囲気のこの男性です。
職業は養蜂家。
ミツバチを相棒にたった一人で事業を立ち上げました。
しかしハチミツを売る相手はもちろん人間。
更に相棒のミツバチに悲劇が…。
斉藤さんが立ち上げたミツバチとの共同事業はどうなるのでしょうか?房総半島のほぼ真ん中に位置する…市街地から車で1時間。
人里離れた山奥に斉藤さんがミツバチを飼育している養蜂場があります。
巣箱の数は25箱。
相棒のミツバチはおよそ15万匹います。
は〜怖くないんですかね。
夏にハチミツの収穫を終えた斉藤さん。
この時期の大切な仕事はミツバチの天敵スズメバチの退治です。
お〜見事な網さばきですね。
オオスズメバチはミツバチが大好物。
僅か数匹でも巣箱に入ると一日で1万匹ものミツバチを失う事があるんです。
天敵を追い払ったあとは相棒の健康状態をチェックします。
ミツバチは巣箱を開けられる事を嫌がるのでこの時期は週1回ペースです。
相棒のためなら何でもする斉藤さん。
大切なミツバチを守る巣箱は一から手作りします。
こちらはコーヒーショップからもらってきた麻布です。
湿気をよく吸って風通しもいいのでミツバチの住環境を整えるのに使います。
このままでも十分使えますが斉藤さんはミツバチの気持ちを考えて一晩水につけ臭いや汚れをとってから使用しています。
ミツバチは大切な仕事のパートナー。
よりよい環境で彼らが働けるよう気遣いを欠かしません。
その思いの結晶がハチミツとなります。
容器詰めからラベル貼りまでの作業は斉藤さん一人でこなします。
今年4月から8月までの間に収穫したハチミツは6種類。
それぞれの花の咲く時期に1種類ずつ集めたものです。
種類によって随分と色が違うんですね。
斉藤さんは今作業場付きの一軒家を借りて一人で生活しています。
食事は3食自炊です。
は〜随分たくさん作るんですね。
はい。
子どもの頃から生き物が大好きだった斉藤さん。
友達と遊ぶよりじっと虫を観察して過ごす事が多かったそうです。
そんな斉藤さんがミツバチに興味を持ったのは高校3年生の時でした。
きっかけは大学の文化祭で見たミツバチサークルの展示会でした。
大学時代はサークル活動に没頭していました。
世話をするほどハチは斉藤さんの気持ちに応えてくれるようでした。
そして文化祭で見たハチミツを求める大行列。
ハチを相棒に事業が起こせると思い斉藤さんは養蜂家を目指しました。
大学卒業後はミツバチを飼育するために千葉県に移住。
しかし資金不足で養蜂業だけでは生活できない状態でした。
そんな斉藤さんに手を差し伸べたのは両親です。
頑張って続けられたら応援しようか。
でも1年間自分でね頑張れないようだったらアルバイトして自分で食べていけないようだったら応援するのはやめようっていうふうに夫婦で話し合ったんだよね。
一向にひるまない斉藤さんの姿を見て自分も脱サラ経験のある父親の克明さんは資金援助を決めました。
(克明)自分で本当に好きでお前がどうしてもやりたいっていうんであればっていう事は思ってたね。
ありがとうございます。
こうして2年前に斉藤さんの養蜂事業がスタートしました。
ハチミツの出荷先は主に地元の農産物の直売所です。
知り合いの紹介をきっかけに少しずつ売り先を増やしていきました。
現在の出荷先は10店舗。
週1回のペースで各店舗を回っています。
斉藤さんと相棒が作ったハチミツいい反応ですね。
しかしまだ今年のハチミツの2/3は残っています。
事業を立ち上げて2年。
思うように売り上げが伸びていません。
斉藤さんの養蜂事業は父克明さんが経営する会社の一部門となっています。
斉藤さんの給料は15万円。
しかし売り上げは月およそ20万円。
そのうち経費はおよそ7万円なので…。
う〜んちょっと赤字ですね。
まだ…。
そういう思いです。
斉藤さんの1週間スケジュールがこちら。
休みは天候に左右されるので不定期です。
夜間はメールチェックや経理処理などのデスクワーク。
気付けば朝から誰とも話していない事も。
仕事が早く終わったこの日の夕方ある女性が訪問してきました。
じゃあまああがって下さい。
お邪魔します。
彼女は大学時代のミツバチサークルの後輩です。
今は農業関連の会社に勤め千葉県内を営業で回っています。
お目当てはハチミツです。
斉藤さんのハチミツのファンなんです。
かっこいいなって思います。
自分はまあ大学院まで行って当たり前ではないけど就活就職活動めっちゃいっぱいやってやっと入れたとこにしがみついてるんですけどでも斉藤さんはやっぱり自分で立ち上げるっていうその勇気がすごいなって思います。
千葉にいる間はみんなにお薦めしとくんで…。
じゃまた。
気を付けて。
ミツバチの冬越しの準備が始まりました。
相棒のミツバチは寒さに弱いので巣箱の保温対策が主な作業です。
ミツバチの越冬はベテランの養蜂家でもうまくいかない事があります。
斉藤さんもこれまで一度も成功していません。
ハチの巣を見て少し気になる事が。
どうやら相棒が少し減ってしまっているようです。
う〜んちょっと心配です。
その思い相棒に伝わるでしょうか。
この日斉藤さんは幕張で行われた販売会に参加しました。
千葉で取れた食材を千葉で消費しようというテーマのイベントです。
地元でしか販売活動をしていない斉藤さんにとって多くの人にハチミツを知ってもらえるチャンスです。
ミツバチも連れてきました。
相棒の力を借りて集客力をアップさせるねらいです。
赤字脱却を目指し一本でも多く売りたいところです。
斉藤さん頑張りましょう!おっ最初のお客さんがやって来ました。
斉藤さんのねらいどおりミツバチに気付いた家族連れが足を止めました。
まずは子どもに試食を勧めます。
あれ?斉藤さん。
お父さんとお母さんに試食を勧めなくていいんですか?せっかくのお客さんは去っていってしまいました。
続いてこちらも家族連れ。
子どもとしか話さない斉藤さん。
う〜んまたもや空振り。
頑張って大人にも声かけないと。
…と思っているうちに午前中は終了しました。
(取材者)何か特別にやろうと思ってる事あります?午後からはなんとか一歩踏み出せるのか?ありがとうございます。
違うんですね随分と。
そうですね。
ありがとうございます。
1,200円ですね。
おお〜ようやくこの日最初のお買い上げです。
さあこの調子で勢いに乗りたいところです。
しかし…。
もったいないですね。
斉藤さん食べ方をうまく説明できませんでした。
それでも時間がたつにつれ接客に慣れてきた斉藤さん。
相棒と作ったハチミツの味は上々で試食までこぎ着ければ買っていく人が多くなりました。
果たして今日の売り上げは?計2万6,600円です。
結局19本ですね。
目標には届きませんでしたが苦手な接客を頑張りましたね斉藤さん。
恐れていた事態が起こりました。
本来ならびっしりと巣についているはずのミツバチがいません。
そんな巣枠が続々と出てきました。
(ため息)原因は夏場に巣箱の中で発生したダニでした。
そのダニが幼虫に寄生して新しいミツバチが育たなくなってしまっていたのです。
1か月前には15万匹いた相棒は今では10万匹弱に減ってしまいました。
斉藤さんは夏場蜜を採り終わったらダニ対策をする計画でした。
しかし思ったよりもダニの繁殖の勢いが早く対応が遅れてしまいました。
経験不足からの判断ミスでした。
3日後斉藤さんは父の克明さんの会社を訪ねました。
お疲れさまです。
おうご苦労さん。
上司である父に大量のミツバチを死なせてしまった事を報告しました。
じゃあお前養蜂の価値観って何だよ?あんま難しく考えなくていいんだよ。
本当にそう思ってんの?うん。
まあそしたらハチのために尽くせよ。
そしたらハチも返してくれるから。
まあ今試行錯誤みたいなもんだから。
安定するまでには何年もかかるだろう。
「ハチと一緒に生きていきたい」。
そのためにまずは今いる相棒たちを冬の寒さから守らなければいけません。
冷気と雨から巣箱を守るため手作りの囲いを作りました。
斉藤さんに最後に質問です。
食べて下さい。
いいの?こんないっぱい?いいの?本当にうれしい。
ありがとう。
ありがとうございます。
いえいえ頑張って。
2016/01/06(水) 11:30〜11:55
NHKEテレ1大阪
人生デザイン U−29・選「養蜂家」[字]

千葉で15万匹のミツバチを飼育する斉藤雄紀さん(27)は大学の養蜂サークルでハチと共同作業をする面白さと将来性を感じ、養蜂家として独立。だが、次々と困難が…。

詳細情報
番組内容
千葉・君津市で15万匹のミツバチを飼育する斉藤雄紀さん(27)が主人公。幼い頃から生き物が好きで、大学では養蜂サークルに入部。そこでハチと“共同作業”をする面白さと、養蜂の将来性を感じ、卒業後に養蜂家として独立した。だが養蜂の世界は甘くない。これまで斉藤さんはミツバチの越冬に成功したことがなく、去年も大量のハチを失った。さらに営業や販売は大の苦手…。ハチを守り、大好きな仕事を続けられるのか?
出演者
【語り】松坂桃李

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事

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