(美輪子)やだ。
(美輪子)ちょっと。
何してんのよ。
富貴子!
(富貴子)えっ?
(美輪子)どうして私を起こしてくれないの?ぼたんはね頼まなくても私を8時には起こしてくれたわ。
本当にまぬけ。
とんま。
役立たずの雌豚!
(美輪子)早くしてよ。
早く!
(美輪子)あら。
蜂蜜がないわ。
(富貴子)蜂蜜?
(美輪子)毎朝ヨーグルトには蜂蜜を掛けて食べるのよ。
覚えときなさいよ。
(富貴子)じゃあ…。
(美輪子)いいわよ。
今日は急いでるんだから。
(美輪子)今日は午前中の講義の後男子学生との合コンのランチがあるの。
私が食べてる間にそこのクロゼットから私の衣装見つけといてくれない?
(富貴子)えっ?無理よそんなの。
(美輪子)無理だなんてよしてよ。
ぼたんはいつも喜んで私の衣装を選んでくれたわよ。
だって来たばかりで…。
どうしてそんな悲しいことを言うのよ?それじゃ私がどんな衣装を持ってるか覚えられないじゃないの。
合コンなんて私には経験がないから分からない…。
早く!どう?こういうのは。
嫌ねぇ。
そんなやぼったいものを私に着せていきたいの?あなたって全然妹を愛してないのね。
だってこういうカジュアルなものの方が無難じゃないの?もう少し華やかなものがあるでしょう?私にどぶねずみみたいな格好させないでよ!いかが?午前中は講義があるのよ?そんな胸の開いたクラブのホステスみたいな衣装教授にバカにされるわ。
色々あり過ぎて分からないのよ。
私に似合うちょっとカワイイ感じのものがあるでしょう?もうさっさとしてよ!早く!もう。
これなんかはいかがかしら?バカにしないでよ!そんなロリータファッション私に着せるつもり?だってこういう衣装があるんだからあなただって着たことがあるんでしょう?そんなもの仮装行列でしか着やしないわよ。
ああ…。
もうどうしてそうなのよ?役立たずの雌豚!うわーっ!あっ!ぼたんはすぐにぴったりのものを選んでくれたわよ。
どうしてぼたんみたいにしてくれないのよ!お姉ちゃま。
夕方ローズカフェで会いましょうね。
私はネイルアートサロンに行くのよ。
とにかく連絡するわ。
いってきます。
いってらっしゃい。
・
(ドアの閉まる音)・
(ドアの開閉音)どちらさまでしょうか?
(平野)あなたは?この家の者です。
どういうご用向きでしょうか?
(平野)つまらないものですけど。
皆さんでお召し上がりに。
(眞澄)まあ。
それはどうも。
あのう。
お紅茶がよろしいかしら?えっ?
(眞澄)すぐにお帰りになるからいいの。
あっ。
はい。
あの人お手伝いさんですか?そうじゃないわ。
じゃあ奥さま。
私にだってまだお手伝いできることが…。
せっかくだけどうちにはもう家政婦さんは必要がないのよ。
娘たちも大人になって自分のことは自分でできますのでね。
でもこんな大きなご邸宅で家政婦の一人もいないなんて考えられないですわ。
いらないものはいらないの。
(平野)田園調布のお屋敷が焼けたときたまたまお休みで外に出てたからよかったもののもし中にいたら巻き込まれて焼け死んでいたかもしれないんですからね。
そう思うと恐ろしくて恐ろしくて。
それであの一家には近寄らなかったんです。
(世奈子)あなたがあの家を離れてから小日向家の情報が入らなくて不便なのよ。
(平野)だからどうせ家政婦をするならと思って九品仏まで行ったんだけど門前払い同様の仕打ちで。
変なんですよママ。
(世奈子)何が?あのうちには美輪子とは別に怪しい女がいるんです。
(世奈子)怪しい女?それもぼたんお嬢さまそっくりの。
えっ?ぼたんにそっくり?
(平野)年のころもちょうどお亡くなりになったぼたんお嬢さまぐらいで。
背格好も顔つきも…。
ええ。
ホントによく似てるんです。
会った瞬間私ドキッとしちゃって。
そんなに似てるの?
(平野)ええ。
ものすごく。
へえー。
何者かしら?いったい。
よく分からないけどお手伝いじゃないことは確かです。
ぼたんが死んでまたぼたんとそっくりな娘が小日向家に?何よそれ?どういうことかしら?・
(ドアの開く音)
(世奈子)あら。
いらっしゃい。
(綱輝)空いてます?
(世奈子)ええ。
大丈夫だけど?
(綱輝)よし。
じゃあ行こう。
またあんな女を連れて。
あれから綱輝さん遊び狂ってるのよ。
それもげすな女とばっかり。
(綱輝)今夜は帰さないよ。
ルミコちゃん。
(ルミコ)ヒュー。
(世奈子)どうなの?最近は。
人材会社の方は順調なの?
(綱輝)ああ。
会社は売り払いました。
(世奈子)えっ!?つぶれちゃったの?つぶれたわけじゃないんだけど何となくあの仕事にも興味が持てなくなって部下に譲り渡しました。
そうだったの?まああなたは実家が裕福だからあくせく働かなくてもいいんでしょうけどもったいないじゃないの。
経営も行き詰まってたんですよ。
(世奈子)あなたもそろそろ遊んでばかりいないで誰かきちんとした人と結婚した方がいいんじゃない?ぼたんのことが忘れられないのは分かるけど。
(綱輝)別にそんなんじゃないんだけど。
あれから調子が狂ったんでしょうかねぇ。
自分が宙づりにされたままでどこか違う次元に引っ掛かってるみたいで何をしても現実感がないんですよ。
困るわねぇ。
大の男がそれじゃ。
まっ差し当たり愉快にやれればと思ってね。
ねえ?・「ルミコちゃん」今夜は帰さないよ。
おおー。
飲むよルミコちゃん…。
おかしいわねぇ。
あっ。
嫌だわ…。
(萌子)じゃあこのうちもようやく落ち着いて家族4人の暮らしが始まったってことね。
よかったじゃないの。
崑一さんが富貴子のことを受け入れてくれて。
それはいいんだけど…。
ハァー。
こんなところに入れるはずはないのよね。
ちょっと。
何捜してんのよ?さっきから。
ないのよ。
ダイヤのネックレスが。
ダイヤの?ほら。
イスタンブールで崑一が買ってくれた10カラットのダイヤの。
何ですっ…。
(せき)あの1,000万もしたっていう?そうなのよ。
鑑定書と一緒にケースの中に入れといたはずなんだけど気が付いたらケースは空っぽだし宝石箱の中にもないし。
そんなことってあんの?あんたちゃんと落ち着いて捜しなさいよ。
どこを捜したってないのよ。
そういう高価過ぎる装飾品は銀行の金庫にでもしまっておけばいいのに。
富貴子じゃないかしら?えっ?富貴子が?富貴子が盗んだっていうの?泥棒が入った気配もないし。
家の中の者の仕業としたら富貴子しか考えられないわ。
まさか。
まだ来たばかりじゃないの。
来てすぐそんな悪さするかしら?だって他に考えられないんだもの。
あんたね自分の娘なのよ?自分の娘を窃盗犯人にしたいの?そりゃ私だって疑いたくはないけど。
あの子がこの家の中にいると不思議な気がするだけでどこかしっくりしなくて他人じゃないかって思うときもあるの。
ああ。
ひどい。
あんたまだ認めてないのね?心の中のどこかで自分の子だと思ってないのね?分からないのよ私には。
いきなりあんな娘が現れていくら自分の子供だって言われても…。
いつまでそんなこと言ってるのよ?生年月日も同じだし経緯だって全て合致してるじゃないの。
それは理屈よ。
理屈ではそうだけど母親として体に感じるものが。
胸の底から込み上げてくるのが。
それが…。
それさえあればいいんだけどないのよ。
ないの。
困ったもんだわねホントに。
じゃあお母さんはホントに心の底から孫だと信じられるの?ええ。
信じてますよ。
逗子の産婦人科の先生の話だって嘘だとは思えないし仮にもし万一嘘だとしてもあんな素晴らしい子が孫なんだもの。
いいじゃないの。
ほら。
そういう無責任なことばかり。
こっちはこれから毎日顔を突き合わせなきゃいけないのよ?血を分けた子だっていう実感もないのにどうしたらいいの?落ち着かなくて困るわよ。
だからってねあんまりじゃないの?富貴子が1,000万もするネックレスを盗んだなんて。
あり得ないことじゃないわ。
この25年間どういう生活をしてきたのか。
しっかりしてるように見えても正体は誰にも分からないんだし。
盗んだものをどこかに隠してるのかも。
まあ。
あんたそこまで言うの?それともすぐに売り払って現金にしてるのかもしれないし。
ねっ?この辺りをネイルアートのコーナーに改修したらどうかと思うの。
ここでね…。
ネイルの仕事をしながらお姉ちゃまはこの店全体を統括してほしいの。
パパは貿易会社の方が忙しくてあまりこっちには顔を出せないし従業員はだらけちゃって全然やる気がないのよ。
でも黒字なんでしょう?だと思うけど?頼りないのねぇ。
経理担当はいるんでしょ?ええ。
一応。
でも自信ないな。
ここにネイルアートサロン移して本当にやっていけるのかどうか。
そんなこと言わないで。
このカフェを2人で活性化させましょうよ。
ぼたんが生きてたらきっとそうしたと思う。
またぼたんか。
言われるのが嫌なら率先してやってよ。
改修ついでに雰囲気を一変したいんだけど何かいいアイデアはある?そうね…。
このカフェアルコール類も出してるのね?ええ。
洋酒は一とおり。
ローズカフェなのにローズワインがないわ。
えっ?ローズワイン?甘くって切ない味よ。
美輪ちゃん。
飲んだことないの?じゃあローズワインも仕入れましょうよ。
そうしましょう。
お酒を飲む雰囲気にはちょっと散漫かしら?照明を工夫した方がいいかもしれないわね。
そうなの。
前から私もそう思ってたの。
えっ?眞澄の娘?
(崑一)うん。
(世奈子)眞澄の娘ってどういうことよ?
(崑一)私と結婚する前にだね眞澄はうんと若いときに子供を産んでたんだ。
でその娘が養父母に死なれてうちに来てるんだ。
うん。
(世奈子)まああきれた。
そんないかがわしい過去があったの?知ってたの?
(崑一)まあ一応はね。
うん。
すると何?その娘と美輪子とは同腹の姉妹ってことね?
(崑一)うん。
(崑一)そういうことになるね。
(世奈子)そんな娘を崑ちゃん。
受け入れていいの?ほら。
美輪子が「お姉ちゃま。
お姉ちゃま」ってもうすっかり懐いていつもべったりもうそばから離れないんだ。
(世奈子)それは姉妹だからなんでしょうけど。
(崑一)うん。
嫌ねぇ。
しかもどうしてそれがぼたんに似てるのよ?似てる?あっ。
平野がそう言ったのかね?ええ。
そっくりだって。
(崑一)いや。
そっくりってほどじゃないが。
どことなく…。
いや。
目とか口元とか首筋とか…。
死んだぼたんが目の前にいるような錯覚を覚えるときがあるんだ。
(世奈子)まあ。
変な話じゃないの。
どうして私の娘と眞澄の娘が?
(崑一)ああ。
いや…。
人によって感じ方は違うだろうけどねとてもいい子なんだよ。
(世奈子)ふん。
そうなの?
(崑一)うん。
何ていうか…。
そそとした美貌でしとやかで上品で奥ゆかしくて。
それでいてりんとしたところがあって。
まあ近ごろじゃ見掛けないような娘だ。
褒め過ぎじゃないの?ぼたんの代わりにそんな娘を引き入れてあちらは親子3人血縁でつながってるから満足でしょうけど。
崑ちゃん。
あなたまでが鼻の下を長くしてるんじゃ危ないわよ!本当にいい子なんだ。
・
(ドアの閉まる音)・
(笑い声)ああ。
今日はいい日だったわ。
ただ今帰りました。
あなたたち食事は済ませてきたんでしょ?ええ。
2人でフレンチのフルコース。
富貴子ったらね次から次へとローズカフェの経営についていいアイデアを出してくれるのよ。
本当に頼りになるお姉ちゃま。
美輪子。
先にお風呂にお入んなさいよ。
はーい。
じゃあ私も。
富貴子。
ちょっと2階に来てちょうだい。
この中に入ってたダイヤのネックレスがないの。
ひょっとしてあなたに聞けば分かるんじゃないかと思って。
私に?どういう意味ですか?分かるのよ。
あなたはほんの軽い気持ちだったんでしょうね。
でも私のアクセサリーの中でも一番高価で思い出のある品なの。
あれがなくなっちゃ大変なのよ。
私が…。
私が盗んだとでも?あら。
そうじゃないわ。
そんな盗むなんてバカなことはあり得ないわ。
誤解しないでちょうだい富貴子。
誰にだって出来心ってものがあるんだし。
あんな華麗でエレガントなネックレスを見たら女なら誰だってちょっと自分の胸に着けてみたくなるものだわ。
私は何もとがめてはいないのよ?ただそれがどこにあるのかそれだけを知りたいの。
やめてください。
そんなこと私に分かるわけないじゃないですか。
いいのよ。
富貴子。
叱らないから正直に言ってほしいの。
もしどこかに持っていって処分したんだったらその店を教えてくれない?買い戻しに行かなきゃいけないから。
ねっ。
教えて。
絶対誰にも漏らさないわ。
私たちだけの秘密にしとくから。
ねっ?パパにも内緒にしとくから。
ひどいわ。
そんな目で私を?いくら親子でも言っちゃいけないことがあるわ。
あんまりです。
(泣き声)富貴子!
(アルバート)うん。
イヤー。
この店にぴったりのローズワインね。
やっぱり富貴子のアイデアがよかったのよ。
若い女性客にウケそうだわ。
こちらの方が。
イエス!ナウイズオータムシーズン!イッツシーズンオブオータムローズでいいのよ美輪ちゃん。
あら。
(アルバート)あら?いいかげんにしてよ!どうしたの?いやらしいわね。
英語力をひけらかして。
私に恥をかかせる気?別にそんな…。
ぼたんならそんなことはしないわ。
優しく私をカバーしてくれるのが本当なのに何よ!どうしてよ!?どうしてぼたんのようにしてくれないのよ!甘ったれるんじゃないわよ!口を開けば「ぼたんは。
ぼたんは」って。
もうあなたとは駄目。
やってられないわ。
もう知らない。
勝手にすれば?富貴子…。
2016/01/06(水) 13:25〜13:55
関西テレビ1
新・牡丹と薔薇 #24[字][デ]【役立たずのメス豚ッ!!】
美輪子(逢沢りな)らの熱望に負け、富貴子(黛英里佳)は小日向家で暮らし始める。美輪子は富貴子に亡きぼたん(黛英里佳:二役)と同じように振る舞うよう要求するが…
詳細情報
番組内容
美輪子(逢沢りな)は一緒に暮らし始めた富貴子(黛英里佳)に対し、ぼたん(黛二役)と同じように振る舞うことを求める。かつてぼたんにその日着ていく服を選んでもらっていた美輪子は、当然のように富貴子にその日のコーディネートを決めてもらおうと。しかし美輪子の好みが分からぬ富貴子は悪戦苦闘。もたつく富貴子に苛立った美輪子は「役立たずの牝豚!」と罵声を浴びせてしまう。
番組内容2
一方、世奈子(田中美奈子)の耳に、美輪子の家で見知らぬ女が暮らしているとの情報が入る。崑一(岡田浩暉)に確かめると眞澄(伊藤かずえ)の娘で、どこかぼたんに似ていると言う。嬉しそうに話す崑一の様子に世奈子は思わず逆上する。
そんな中、眞澄が崑一から贈られた高価な宝石が消えてしまう。富貴子と同居してすぐのことだけに、眞澄は富貴子を疑って…。
出演者
吉田富貴子:黛英里佳
小日向美輪子:逢沢りな
牧原世奈子:田中美奈子
小日向崑一:岡田浩暉
浅黄萌子:山口いづみ
瀬尾綱輝:片岡信和
・
小日向眞澄:伊藤かずえ ほか
スタッフ
【企画】
横田誠(東海テレビ)
【原作・脚本】
中島丈博
【演出】
藤木靖之
【音楽】
中川幸太郎
【主題歌】
サラ・オレイン「涙のアリア」(ユニバーサルミュージック)
【プロデュース】
西本淳一(東海テレビ)
大久保直実(ビデオフォーカス)
坪ノ内俊也(ビデオフォーカス)
【制作著作】
ビデオフォーカス
【制作】
東海テレビ
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