NHK高校講座 科学と人間生活「金属とセラミックスの科学」 2016.01.06


私たちの身近なものから宇宙のものまで今後も更にさまざまな分野での利用が期待される。

(理陽)こんにちは。
(僕蔵)お〜!
(実穂)お邪魔しま〜す。
僕蔵さん釣り行くの?僕も一緒に行きたい。
連れてってよ。
(実穂)うわ〜かわいいルアーがいっぱいある。
釣り行ったらお裾分けよろしくね。
いやいやいや2人とも違うから。
ちょっと捜し物をしていただけ!ヘヘヘッ…これなんだけどね〜。
ジャ〜ン!
(理陽)何それ?釣りのおもり?うん。
何に使うの?結婚式の余興でね手品を披露しようと思ってさぁ。
手品もできるの?うん。
すごい!やってみせてよ。
うん見たい見たい。
まずは僕蔵パワーを注入します。
ハッハッハッタ〜!クスッガストゥ…。
ああ!
(実穂)あ〜すご〜い!
(理陽)くっついた!
(実穂)ねっ。
は〜い。
(理陽)えっ何で…どうなってんの?どうせ見えないとこに何かテープがくっついてるとかじゃないの?フフフン。
鉛だからね磁石はくっつかないしテープも接着剤も何も使ってませ〜ん!じゃあどうやってやってんの?フフン。
種明かしは後ほど。
今日は身近な素材金属とセラミックスの性質を探る。
まずは金属から詳しく見ていこう。
じゃあ手品の種明かしをする前に金属の特徴について考えてみようか。
はい。
はい。
これ見て。
これはね僕の部屋でざっとかき集めたものなんだけども金属製品。
でさ金属に共通する特徴があるんだけどもそれをねこの回路で確かめてみようと思います。
このプロペラはね電気が通るとモーターで回る仕組みになってるんだけども。
はいじゃあまずこのスプーンがありますよね。
ドン!
(理陽)お〜回った!つまり…僕もやっていい?あ〜いいよいいよごめん…。
(理陽)鍋を置いて…。
はいはいこれは?理陽君何をやるつもり?
(理陽)僕蔵さんこれで鍋を…。
電極に指輪鍋スプーンはさみくぎをつなげたら電気は通るのか。
(理陽)つけます。
来た来た来た…。
(理陽)お〜回った!
(実穂)つながるんだ。
(理陽)うん。
(実穂僕蔵)そこだ!
(理陽)すっげえ。
(実穂)すご〜い!こんなに曲がってるのにね。
うん。
(理陽)金属なら何でも電気通すんだね。
はい!そういう事で金属には電気を通す性質があるって事がこれによって分かりました。
(2人)うん。
そしてねほかにもね金属に共通する性質ってものがあるんだけども…。
それは地下の実験室で確認してみようか!は〜い。
ここにね4種類の材質のスプーンがあるんだけども2人にさそれぞれスプーンを持ってもらってねここに熱いお湯を入れますからそこにスプーンを突っ込んでもらってそのスプーンをいつまで持っていられるかというこうゲーム的な実験をやってもらいたいんだな〜。
お〜楽しそうじゃん。
面白そう〜!実験の様子を表面温度を測る事ができる赤外線サーモグラフィで記録する。
(実穂)うわ〜湯気が出てる。
熱いお湯を注ぐとご覧のとおり。
温度が高いと赤く表示される仕組みだ。
今回用意したスプーンは……の4種類。
さあどれが最初に熱くなるのだろう。
おっ金属はもう徐々に…。
早くない?色が変わり始めてるね。
あっ!あったかい。
あったかくなってきた。
おっ…割とすぐだね。
1分経過。
早い。
いいね…いいね面白いね。
あぁ…上がってきた上がってきた上がってきたよ。
おっ!陶磁器の方は…。
ちょっと下の方を持ってますね。
下の方を持ってくとちょっとあったかい。
お〜。
(理陽)うそ?
(実穂)下はあったかいです。
(理陽)俺も下の方持ってみようかな。
(実穂)結構熱い?
(理陽)あっち…熱い!あっ。
(実穂)あ〜!あっ…思わず離したね!あぁ熱い熱い!熱いですよね。
はい5分経過!5分間で最も熱の伝わり方が早かったのは金属。
続いて陶磁器木プラスチックの順番だった。
ちなみに今回使った金属のスプーンはアルミ製。
アルミは金銀銅に次ぐぐらい金属の中でも熱を伝えやすい性質がある。
では…そこにはちゃんと理由があるのだ。
これを見て下さい!
(実穂)はい!金属というのはこういう金属原子というものがたくさん集まって出来てるんですけどもこの金属原子から電子が放出されるんですね。
(実穂理陽)お〜!放出された電子はこのように自由に動く事ができるんです。
なのでこの電子を…
(実穂)「自由電子」。
はい!…でこの自由電子が電気や熱のエネルギーを別の自由電子に伝えていくんです。
(実穂)へぇ〜金属が電気や熱を伝える性質があるのはこの自由電子の働きがあるからなんですね。
そういう事!ではさっきの手品。
釣りのおもりである鉛にもう一つの鉛が接すると…。
ん〜っ!この接してる面の自由電子が動く事でねっ金属同士が結び付けられるので鉛同士がくっつく訳です!へぇ〜。
わぁ〜そういう事か。
はい!自由電子は電気や熱を伝えるだけではなくて金属原子同士を結び付ける役割も持ってる訳。
これをね…へぇ〜自由電子ってほんと働き者なんだね。
うん!あ〜なんて事をするんだ働き者に。
暮らしに最も身近な金属といえば鉄。
高速道路や車鉄道ビル電線など日本の経済発展を支えてきた。
そこで…鉄はどのように作られるのか。
泉川実穂が製鉄所に潜入。
はい!準備万端です。
製鉄所の敷地はとにかく広いのでここからは車で移動します。
ここは東京ドーム150個分の広さがある…
(実穂)うわ〜すご〜い!大量の石がたくさん見えてきました。
何かもう別世界ですねほんとに。
見渡す限りの山。
この山は鉄とどんな関係があるのだろう。
(実穂)こんにちは。
(三島)はい。
たくさんの石の山があって色もさまざまだと思うんですけど何の石なんですか?え〜こちらに見えますのは鉄の原料となります鉄鉱石と呼ばれるものなんです。
(実穂)お〜そうなんですね。
(三島)是非触ってみて下さい。
(実穂)いやいいんですか?はい。
(実穂)すいません失礼します。
あぁ結構重みがありますね。
一見何かどこ公園にもありそうな石なんですけど鉄鋼石なんですよね。
(三島)はい。
鉄鉱石は全て海外からの輸入。
ブラジルやカナダオーストラリアなどから運ばれてくる。
色が違うのは産地によって成分が少しずつ違うからだ。
ジャン!え〜ちょっと強力な磁石を持ってきたんですけど…。
鉄は磁石につく。
じゃあ鉄鉱石はどうなんだろう。
いきます。
(実穂)あれ!?
(実穂)引かれてこないですね。
…って事は鉄じゃないんですか?こちらはですね…
(実穂)「酸化鉄」。
(三島)はい。
え〜…これが鉄に変わるって不思議ですよねぇ。
(三島)はい。
アハハハハ…。
鉄鉱石はどうやって鉄になるのか。
うわ〜すご〜い!何か映画で出てくるような工場みたいですね。
この溶鉱炉は高さ105メートル。
敷地内で最も高い製鉄所のシンボルだ。
内部はこんな仕組み。
炉の上部から鉄鉱石と石炭石灰石を入れる。
下から1,200℃の熱風を送り込むと炉の中は2,000℃以上の高温になる。
すると鉄鉱石から酸素が取り除かれて鉄を取り出す事ができるのだ。
このようにして出来た鉄は…しかしこの銑鉄の状態では製品にできないため次の工場に運ばれる。
不純物を取り除いたり目的に応じて成分を調整したりするのだ。
(船橋)あちらご覧下さい。
(実穂)えっ!?すご〜い!300トンの銑鉄を釜から釜へちょうど移し替えるところに遭遇した。
(実穂)うわ〜!
(実穂)すごい炎が舞ってます。
工程は全てコンピューターで制御されている。
(実穂)すごいきれいです。
何か…こうして銑鉄は品質が高められ鋼となる。
製品の材料の出来上がりだ。
えっ!?では見ていって下さい。
はい!すご〜い!持ち上がってる。
重さは1枚20トン。
磁石の力だけで軽々持ち上がった。
それでは試してみたいと思います。
持ってきた磁石でも確認してみると…。
おっ!くっついた。
正真正銘の鉄だ。
アハハハ。
最後に向かったのは巨大な倉庫。
このコイルは先ほどの鋼を伸ばして薄さ8ミリ長さ300メートルにしたものだ。
このあと別の工場でパイプに加工されるという。
あのすごいあの〜硬い鉄をこんなにきれいに巻けるんですね。
そうですね。
鉄に限らず金属は…こちらの2つの性質を使ってさまざまな製品が作られていきます。
それくらい長く延ばせる機械もあるって事ですよね。
(梁)そうですね。
いや〜すごいです!
(梁)ありがとうございます。
ありがとうございます。
自然界にある鉄鋼石がいくつもの工程を経ると…実はねこれも金属製品なんだ。
(理陽)えっカイロが?うん。
カイロの中身は…はいこれ!鉄粉。
つまり鉄。
(理陽)中身鉄だったんだ。
そう。
カイロは…鉄が酸化するつまりさびていく時の熱って事だね。
さびは腐食とも言うんだけども腐食を防ぐためにめっきをする事があります。
「めっき」?はい。
聞いた事ある。
身近にあるめっき製品といえばこんなのがありますよ〜。
おぉ〜!ブリキのおもちゃだ。
お〜!
(実穂)かわいい〜。
そうブリキ!缶詰もブリキで出来てるんだね。
うん。
缶詰の中身はねぇ腐食したら困るでしょ。
だからとてもさびにくいスズでめっきされてるんだね。
(理陽)じゃあさ最初からスズで缶詰作ればいいんじゃないの?それナイスアイデア。
…と言いたいところなんだけれども実はスズは柔らかいから鉄の缶よりも厚いものになっちゃう訳。
あとねスズは高いんだよ!だから鉄の缶詰よりもとても値段の高いものになっちゃうんだな。
そっか。
う〜ん。
セラミックスというのはねえ〜土や石や粘土…まぁ言葉で説明するよりも…。
はい!ここにありま〜す。
(実穂)ガラスもセラミックスなんだ!
(理陽)えっレンガもセラミックス。
はい。
陶器も磁器ももちろんセラミックス!そして…はい!これがファインセラミックスという素材で出来た包丁です。
(実穂理陽)へぇ〜。
ファインセラミックスは医療の現場でも使われている。
おはようございます
(逸見)あっおはようございますこれまでに人工関節の手術を1,000例以上手がけてきた。
50代のA子さんは3日後股関節に人工関節を入れる予定だ。
肩や肘膝など骨と骨のつなぎ目関節にはもともと軟骨がある。
どちらもですね軟骨というのがちょっと減ってきちゃってるんですね。
軟骨が加齢や病気などによってすり減ると骨と骨がぶつかって痛みが生じる。
そこで人工関節を入れて骨と骨のつなぎ目がスムーズに動くようにするのだ。
人工関節は材質の研究が重ねられてきた。
一般的に多く使われているのは動かす部分が金属とプラスチックの組み合わせだ。
しかしプラスチックは10年で1〜2ミリすり減ってしまう事が分かった。
これを防ぐために注目されたのが金属と金属の組み合わせだ。
ところが…。
…というのも分かってきまして最近ではですねできるだけ磨耗の少ない人工関節というのでセラミックスとセラミックスの組み合わせを使うように若い世代ではなってる施設が多いと思います。
逸見先生は今回の手術にはファインセラミックスとファインセラミックスの組み合わせを使う事にした。
しかしこれにも1つだけ欠点があるという。
大体5,000例に1例といわれているんですが割れる危険性が全くゼロではないと。
ただ若い方ですね50代60代で30年40年人工関節を入れとくという可能性のある患者さんには磨耗が少ないより長期でもつようなセラミックスとセラミックスの組み合わせがいいんじゃないかという事で私の方では使っています。
軽やかな足取りのA子さん。
間もなく退院する予定だ。
全然痛みはなくなりました。
うそみたい。
ほんとあの…第二第三の人生ですか楽しみたいと思います。
ファインセラミックスの人工関節が使われるようになってまだ10年ほど。
今後より割れにくいセラミックスの開発が期待されている。
金属とセラミックスそれぞれに特徴があってそのいいところを僕たちは利用してるんだね。
ねぇ私たちも金属とかセラミックスの特徴を生かした手品何かできるんじゃないかな。
そうだね。
ものの性質を詳しく知ればそこから手品のアイデアが生まれるかもしれないね。
金属が電気を通す性質を使った手品とか何かできそうじゃない?お〜。
(実穂)それいい!さっきのプロペラの実験でも結構ハマってたからね。
(実穂)ねっ!うんうん考えてみな。
何かないかな?手品だからな。
う〜ん。
これは金属原子の周りを自由に動き回る自由電子が電気や熱のエネルギーを次々と伝えていくからだ。
自由電子は金属同士を結び付ける役割もしている。
これを金属結合という。
引っ張ると長く延びる延性やたたくと薄く広がる展性を利用してさまざまな製品に加工されている。
セラミックスとは土や石粘土など金属ではない無機材料を焼き固めたもの。
更にこれまでにない新しい性質や機能を持つファインセラミックスの開発が進められている。
2016/01/06(水) 14:20〜14:40
NHKEテレ1大阪
NHK高校講座 科学と人間生活「金属とセラミックスの科学」[字]

科学技術の発展は、どのようなところに生かされているのだろう? 私たちの身の回りにある自然や道具を糸口に、科学の世界を楽しく解き明かしていく。

詳細情報
番組内容
私たちの身の回りにある製品は、さまざまな材料からつくられている。今回は、金属とセラミックスに注目して、その物質の種類や性質などについて科学の視点で考える。 「金属とセラミックスの科学」 (1)金属の種類と性質 (2)製造方法 (3)セラミックスの特徴と用途
出演者
【出演】正名僕蔵,三井理陽,泉川実穂,【語り】渡辺真砂子

ジャンル :
趣味/教育 – 中学生・高校生
バラエティ – その他
趣味/教育 – 生涯教育・資格

映像 : 480i(525i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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