(車のブレーキ音)
(中川美奈)
岩手県花巻は『銀河鉄道の夜』や『セロ弾きのゴーシュ』などの童話で有名な宮沢賢治のふるさとです
ここには賢治ゆかりの施設や四季折々の自然そして渓谷沿いにはお湯の量が豊富な花巻温泉郷があり訪れる人をやさしく癒やしてくれます
その花巻温泉郷の中に私が若おかみを務める新鉛温泉愛隣館があります
(美奈)直子ちゃんの結婚式ももう1か月後ね。
(伊藤直子)ええ。
こんな素敵なところで式を挙げられるなんて夢みたい。
フフフ…夢じゃないわよ。
現実。
あっそれでお話ってなんですか?ああ大おかみがね直子ちゃんに見せたいものがあるんですって。
ねえねえちょっと来てくれる?はい。
わあ〜!直子ちゃんよく似合うわね!
(中川政子)ほんとよく似合うわ。
これおば様が結婚式で着られたものですよね。
ええ。
そんな大事なものを私が着させて頂いてよろしいんですか?もちろんよ。
私ね嬉しくてしょうがないの。
娘みたいに思っていた直子ちゃんが結婚するんだから。
私も結婚式で着させてもらったのよ。
ええ。
思い出の振り袖。
私が愛隣館に嫁いできた日の事を思い出すわ。
主人が生きていれば金婚式を迎えられたのに…。
(直子)おば様…。
はいお義母様。
ありがとう。
美奈さん。
はい。
今年愛隣館は創業50周年。
わたくしは雨にも負けず風にも負けず…。
おかみ業に邁進してまいりました。
それなのに一人息子の新太郎は跡を継がず警察官のまま。
嫁のあなたはいつまでも未熟な若おかみのまんま。
一体いつになったら私を安心させてくれるのよ!誠に申しわけございません!
(ふすまの開く音)
(中川新太郎)ああ…。
直子ちゃんきれいだねぇ!嫁に行くと大変だぞ。
特に直子ちゃんの嫁ぎ先は盛岡でも有名な南部鉄器店の老舗なんだって?新太郎。
うん?直子ちゃんの旦那様になる隆さんね立派にお店を継がれてるそうよ。
親孝行よねぇ。
俺そろそろ行かなきゃ。
新太郎!はいっ。
いつになったら警官辞めるの?いやだからそれは…。
お義母様いいえ…大おかみ。
わたくしが若おかみとして新太郎さんの分まで頑張ります!ですから警察官を続ける事をお許しください!あっごめんって。
出来るだけ家の事は手伝いますから。
何回その言葉を聞いた事か!
(梅子)大おかみ若おかみお客様がお着きです。
(3人)はい!よっこらせのどっこいしょっと!新太郎。
はい。
話はあとで。
はい…。
もう!まいったなぁ…。
フフッ…。
いらっしゃいませ。
ようこそお越しくださいました。
お疲れさまでございました。
いらっしゃいませ。
あっ門倉あゆみ様とご主人様ですね。
(小百合)わあ〜!門倉先生!あたくし先生の大ファンで…。
小百合。
小百合!先生の童話は全て拝読しております!
(門倉あゆみ)わあ〜嬉しい!あっでも先生はやめてください。
そんなふうに呼ばれるほど立派な人間じゃないですから。
ねえ。
(葉山陽一)そうだね。
君は世間知らずの夢見る夢子さんだもんな。
あ〜っもうひどい!ほんとだもん。
もう!さあさあどうぞ!お世話になります。
仲のいいご夫婦ね。
ええラブラブですね。
あの〜今日3時からの講演会わたくしも拝聴させて頂きます。
ありがとうございます。
(葉山)あっそうだ。
花巻星北学園までのタクシーを頼みたいんですが。
承知致しました。
お時間は何時に?今12時52分だから…。
2時ちょうどにお願いします。
必ず1分の遅れもなく。
1分の遅れも…。
あっすいません。
主人時間に神経質なんです。
ああ…。
では配車係に遅れないように伝えておきます。
頼みます。
お部屋は8階になります。
直子ちゃん?あゆみちゃん…。
あっ久しぶり!こんなとこで会えるなんて…。
嬉しい!会いたかったんだ直子ちゃんに。
あゆみエレベーターが来たよ。
はい。
そうだ。
これ…。
今日学園で講演会やるの。
ぜひ来て!講演会が終わったら会おう。
あっじゃあ。
(アナウンス)「花巻ご乗車ありがとうございました」
(電話の発信音)
(榎本好江)榎本です。
今駅に着きました。
いらっしゃいませ。
どうもこんにちは。
ありがとうございます。
美奈さんいらしてたんですね。
うん!私ね今日の講演楽しみにしてたの。
直子ちゃんも門倉あゆみさんの童話が好きなの?いえあゆみさんとは小学校の同級生でそれで。
そうなの!へえ〜。
校長先生!私やります。
(森田圭子)いいのよ。
これはうちの学園が主催なんだから。
これは私の仕事。
こんにちは。
あら〜こんにちは美奈さん。
楽しんでってね。
はい!あっありがとうございます。
(直子)ありがとうございます。
(司会者)「それでは門倉あゆみ先生にご登壇頂きましょう」
(拍手)「皆様こんにちは。
童話作家の門倉あゆみです」「25年ぶりに花巻を訪れたんですが子供の頃の町とだいぶ様子が変わってて驚きました」
(あゆみ)「ここで私の創作の原点についてお話ししたいと思います」「私は9歳小学校3年生までこの花巻で育ちました」「その9歳の時のある出来事が私の心を捉えて離しません」「私は仲良しの友達とその友達のお兄さんとの3人で川辺で遊んでました」「ところが足を滑らせ川へ落ちてしまったんです」「川の流れは早く私はあっという間に流されてしまいました」「意識を失いかけた時誰かが私の腕をつかみました」「そして私は岸辺へと押し上げられたんです」
(直子)お兄ちゃん!お兄ちゃん!お兄ちゃん!「そこで気を失いました」「“お兄ちゃん”と叫ぶ友達の声を遠くに聞きながら…」「気がついたら病院のベッドの上でした」「そこで私は全てを知りました」「友達のお兄さんが川へ飛び込み私を助けてくれたあと流され…」「溺れ死んだ事を…」「その事を私は一度も忘れた事はありません」「今私が生きてるのはその少年のおかげです」「だから私は精一杯生きなくては…」「私は“生きる”をテーマに童話を書いてます」「それは私に命をくれた少年伊藤隼人君が書かせてくれてるんです」伊藤?伊藤隼人君って直子ちゃんのお兄さん?「私の新作『星空からのおくりもの』を隼人君に捧げます」「この本の売り上げは親を亡くした子供たちに寄付されます」「ですから皆様どうぞご協力お願い致します」
(拍手)3時45分…予定どおりだ。
(司会者)「それではここで『セロ弾きのゴーシュ』にちなみチェロの演奏をお聞き頂きます」実はあゆみさんが直子ちゃんと話がしたいって言ってるの。
気にしてるのよお兄さんの事故の事。
そうですか…。
私お茶淹れてきます。
じゃあ5つお願いね。
(直子)はい。
私知りませんでした。
あんな悲しい事故があったなんて。
(圭子)事故のあとあゆみさんはお父様の転勤で東京へ。
それまで2人は大の仲良しで…。
ここに写ってるのが直子ちゃんとあゆみちゃん。
かわいい!
(ノック)先生!私もうすごい緊張しちゃった。
お疲れさまでございました。
あっ愛隣館の…。
お話とても感動しました。
ありがとうございます。
(チャイム)あのサインお願い出来ますか?喜んで。
じゃあどうぞ。
お願いします。
はい。
ここでいいですか?はい。
(ノック)失礼します。
直子ちゃん!来てくれたんだ!あゆみさん葉山さんは?あっどうしたのかしら?校長室に来るようには言ってあるんですけど…。
ああじゃあ私捜してきます。
あっすいません。
いいえ。
ああっ!
(パトカーのサイレン)警部。
(殿山警部)うん?凶器は花瓶か…。
腕時計が3時58分で止まってますね。
誰かがいじった形跡はないがこの時計が正確かどうかは疑問だな。
ええ。
あの…正確だったはずです。
えっ?葉山さん時間に几帳面な方で…。
それに葉山さんタクシーを頼まれた時その腕時計が正確だったの私見てます。
今12時52分だから…。
2時ちょうどにお願いします。
となると犯行時刻は3時58分と見て間違いなさそうだな。
ええ。
被害者は花瓶で殴られそうになりとっさに腕でかばったんでしょうね。
それで花瓶が時計に当たった。
うわっ!争った形跡はなし。
正面から殴られてるところを考えると顔見知りの犯行の可能性が高いな。
美奈葉山さんの奥さんは?どうして主人が…。
ではまるで犯人には心当たりはないんですね?はい。
大体花巻に主人の知り合いはいません。
奥さんは4時頃どちらにいらっしゃいましたか?4時?ええ。
刑事さん私を疑ってるんですか?あっいやあの念のためにお聞きしてるだけです。
3時45分に講演会が終わってそのあとトイレに寄ってこの校長室に。
そうです。
校長先生と私がアルバムを見ている時にあゆみさんがこの部屋に入っていらっしゃいました。
そうですよね校長先生。
ええ。
あっそうよ!そのあとすぐに4時のチャイムが鳴ったわ。
ああそうです!それで私あの本にあゆみさんにサインをお願いしてそしたら直子ちゃんがお茶を持って戻ってきました。
私と美奈さんがあゆみさんのアリバイの証人になります。
なります。
ありがとうございます。
(ノック)
(ドアが開く音)
(熊沢賢吾)警部。
ん?
(熊沢)図書室のごみ箱からこんなものが。
『金貨鉄道の夜』。
作花巻小百合…。
えっ?花巻小百合…。
ひょっとして…。
(小百合)花巻小百合はあたくしのペンネームでございます。
小百合さんペンネームって?作家って事ですか?本出してるの?あっそれは…これからでございます。
ああ…。
あのねこの原稿星北学園の図書室のごみ箱に捨てられてたんだけどどういう事かな?ごごみ箱に…!小百合さん説明して!実は今日愛隣館を抜け出して葉山さんに会いに行きました。
傑作を書いたので葉山出版から出して頂けないかと…。
あっ!葉山社長。
あの愛隣館仲居頭の花巻小百合と申します!あのこの童話ぜひ読んでください!よろしくお願い致します!それ…何時か覚えてる?4時少し前だったと思います。
学園で怪しい人物見なかった?いいえ。
よーく思い出してください小百合さん!さもなければね小百合さんに殺人容疑がかかるかもしれないそうです。
ねっ!えっ!?ちょっと…!あのあのあのえっと…。
校舎の脇に黒いコートを着た女の人が立ってるのを見ました。
(小百合の声)サングラスをかけた中年の女の人でした!葉山が東京で経営する葉山出版あまり経営状態はよくありません。
近々会社を身売りする計画だったようですが急に取りやめたって話です。
理由はなんだ?立て直すめどがついたと。
その件について妻のあゆみは何も知りませんでした。
会社が経営不振だった事も葉山が金策に走り回ってた事も。
(熊沢)あの奥さん浮世離れした感じだもんなあ。
ああ。
そして葉山の携帯の通話記録を調べたところ午後1時50分東京在住の榎本好江という女性から着信している事がわかりました。
女性…。
ええ。
所在確認のため何度かその番号にかけたんですがつながりません。
その携帯の発信基地はどこだ?花巻駅前ビルです。
榎本好江が目撃された黒いコートの女かもしれん。
早急にその女の行方を追ってくれ。
(一同)はい!
(チャイム)
(鈴木隆)どちら様ですか?あなた直子の…。
鈴木隆といいます。
直子さんの婚約者ですが…。
直子!突然ごめんなさい。
あなたが結婚するって人づてに聞いてそれで…。
帰ってください。
(好江)お父さん去年亡くなったんですってね。
あなたには関係ありません!
(好江)直子…!帰って。
早く出てって!直子今の人…。
25年前…私とお父さんを捨てた人。
あゆみさんほんの少しでも召し上がった方が…。
ごめんなさい。
何も喉を通らないの。
じゃあ…。
あゆみさんの様子どうだった?やっぱり相当ショックを受けられてて…。
そう…。
一日も早く犯人が捕まるといいんですけどね。
ほんとにね…。
美奈さん!はい。
先に言っておきますけれど事件には首を突っ込まないように。
はい。
重々承知しております。
あなたは愛隣館の若おかみでもありわんこそば大会の実行委員長でもあるんですからね。
ああっ!わ忘れてた…!大会は今週末です。
自分の立場をしっかりわきまえて雨にも負けず。
風にも負けず。
日々精進なさいですよね?そうです。
聞き流さないで実行してくださいよ。
はい。
わかりましたね?
(直子)やっぱり嫌あの人に会うなんて。
(鈴木)直子。
いくらタカちゃんの頼みでも嫌なものは嫌。
せっかく25年ぶりに直子に会いにきたんじゃないか。
話ぐらい聞いてあげても…。
今さらなんなのよ。
お父さんと離婚してから一度だって連絡なんかなかったのに。
その事も謝りたいって言ってたよお義母さん。
私にはお母さんはいないわ。
(チャイム)榎本好江さんですね?そうですが。
昨日殺害された葉山陽一さんの事でちょっとお話が…。
新太郎さん…!直子ちゃん!
(好江)ええ。
昨日星北学園に葉山さんを訪ねていきました。
葉山さんから4時に図書室に来るように言われてたんです。
それで?図書室に行ったら…。
ああっ…!なぜ逃げたんです?厄介な事に巻き込まれたくありませんでした。
申しわけありません。
葉山さんとは仕事上のお付き合いって事ですが具体的には?2か月前葉山出版の会社立て直しの相談を受けたんです。
刑事さん私葉山さんを殺してません。
なら包み隠さず話してください。
昨日葉山さんに呼び出された理由は?罠にはめられたんだと思います。
25年ぶりに直子ちゃんのお母さんが?はい。
そのお母さんが昨日の殺人事件の事で今警察へ。
好江さんが?こんな事頼みにくいんですが美奈さんの方から警察にどういう事なのか…。
隆さんやめて。
すいません。
私には関係ない話です。
さあ帰りましょう。
直子ちゃんちょっと待って。
直子ちゃんが戸惑う気持ちよくわかる。
ねえ25年前何があったのかよかったら話してくれる?25年前兄が川で溺れ死んでからあの人一日中川を見て過ごしていました。
来る日も来る日も。
お母さん見て!直子100点取ったの!偉いわねえ…。
(直子の声)その時わかったんです。
お母さんは私よりお兄ちゃんの方が大事だったんだって。
それからふた月も経たないうちにあの人私と父を捨てて家を出ました。
離婚届を置いて。
(直子)お母さん!お母さん!お母さん!お母さん!お母さん!お母さん!
(直子の声)そんな人…母親でも家族でもないわ。
つらかったわね。
直子ちゃんまだ9歳だったんだもんね。
よっ!新ちゃん!ちょうどね警察へ行こうと思ってたの。
直子ちゃんのお母さんがね私が…。
あねえねえ門倉あゆみさん今部屋にいるかな?ああいらっしゃると思うけど。
ああそう。
ちょっと話聞きにきたんだ。
おい行くぞ。
えっ!?葉山さんは事件の3日前榎本好江さんに星北学園へ呼び出す電話をしたそうですがその件はご存じですか?いいえ。
好江さんに直子さんが花巻で会いたがってるって言ったそうです。
好江さんはあなたと直子さんが今でも親交があると葉山さんに聞かされてた。
だから好江さんはその話を信じた。
まあところがそれは嘘だった。
好江さんは罠にはめられ誰かに葉山殺しの犯人に仕立てられたと言っています。
私には何がなんだか…。
第一主人は直子ちゃんのお母さんはまだ見つからないって私に…。
見つからないってどういう事ですか?私主人に直子ちゃんのお母さんを捜してくれるよう頼んでたんです。
捜すって…?実は直子ちゃんとはずっと音信不通でした。
あの川の事故の事があったからなんとなく気まずくて…。
でも半年前『星空からのおくりもの』を書こうと決めた時直子ちゃんの家に思い切って電話しました。
(あゆみ)その時初めて知ったんです。
25年前直子ちゃんのお母さんが家を出てった事。
(あゆみ)それで主人に捜してくれるよう頼みました。
隼人君に命を助けてもらったお礼をどうしても言いたくて…。
金策に走り回っていた葉山さんは周囲に会社立て直しのめどがついたと話してました。
つまりお金のめどがついたって事です。
直子ちゃんのお母さんからお金を借りるつもりだったのかしら…。
もしそうなら好江さんをわざわざ花巻まで呼び出す必要はありません。
まさか…!ゆすりです。
何かお心当たりは?あるんですね?直子ちゃんのお母さんを捜してくれるよう頼んだ頃よく見る夢の話を主人に…。
(車のブレーキ音)はっ!よしっ!よくないでしょ。
もう…。
あゆみの夢が現実だとしたらこの花巻で25年前に殺人事件が起こった事になる。
ひょっとしたらその事件と今回の葉山さんの事件が関連あるって事ね。
あ?ああそうだよ。
葉山はそれを調べ上げて犯人の女を突き止めた。
そしてゆすりを行った。
その女って?直子ちゃんのお母さん好江さんだよ。
まさか!だってもしそうなら好江さんが誰か男の人を殺したって事でしょ?ああ。
ないないない。
発覚もしてないし。
それに誰を殺したっていうのよ。
新ちゃん専業主婦の世界ってねそんなに広いもんじゃないのよ。
あっ!何?ねえ思い出した!あら何を?僕がね高校時代の時に町中に広まったんだよ。
何が?人妻と警察官が不倫関係になって駆け落ちしたって噂!そう。
手動かしてよ。
その人妻っていうのがね…。
うん誰?好江さんなんだ。
えっ!?嘘…。
すいません。
どうしても電話に出たくないと…。
はい。
そう伝えます。
じゃあ。
迷惑かけて申しわけない。
でも自分は潔白だから信じてほしい。
そうお義母さん言ってたよ。
この事タカちゃんのご両親の耳に入ったらきっとまた結婚を反対されるわ。
大丈夫だよ。
やっと許してもらえたのに…。
俺を信じろよ。
俺はどんな事があっても直子と結婚する。
だから何も心配するな。
タカちゃん…。
先輩ありました!え?1985年11月30日捜索願が受理されてます!宮下芳雄32歳。
えっ?花巻中央署警ら課巡査部長…。
確かに宮下さんと一緒に東京へ行く約束をしていました。
でも当日待ち合わせた盛岡駅に彼は来ませんでした。
ですから東京へは一人で行ったんです。
その後宮下さんとは?一度も会ってませんし連絡も取り合ってません。
一体なんなんですか!?そんな昔の事。
葉山さんが殺された事となんの関係があるっていうんです?まあまあまあ…。
あのね…宮下さんは殺された可能性があるんです。
また事情をお聞きする事になると思いますので所在を明らかにしておいてくれますか。
警部門倉あゆみが見たという死体遺棄現場を探させてもらえませんか?どうやって探すんだ?あゆみに協力してもらいます。
彼女の記憶をさかのぼれば目撃現場が特定出来るかもしれません。
いいだろう。
門倉あゆみには私の方から頼んでみよう。
だから…なんで妻が夫の仕事に同伴すんだよ?すいません。
心細くて私が美奈さんに一緒に来てくれるようお願いしたんです。
そういうわけです。
刑事の妻としてしっかり捜査に協力させて頂きまーす。
(ため息)
(熊沢)今は喫茶店が建ってますがここが25年前あゆみさんの家があった場所です。
ああ…すっかり変わっちゃって…。
当時9歳だったって事を考えると死体遺棄を目撃した現場はここから半径1キロ以内ってところだな。
何か思い出せませんか?あっ池…。
(あゆみの声)確か近くに池が…。
(ため息)よし次だ。
はい!あっここです。
え?あれが内緒で犬を飼ってた小屋だから確かあの辺に井戸が…。
え?井戸?はい。
おい熊見るぞ。
これか?よし…。
井戸…!熊…。
はい。
下りろ。
はい。
…え!?熊大丈夫か?
(熊沢)先輩すいません。
懐中電灯忘れちゃいました。
ああ。
待ってろ。
(熊沢)ああ…なんかぐっちゃぐちゃだなこれ。
下ろすぞ!
(熊沢)はい!
(熊沢の悲鳴)どうした?大丈夫ですか?身元は?これが。
宮下芳雄…。
やはり殺害されていたのか。
ええ。
大丈夫ですか?はい…。
私が見たのは夢じゃなくて現実だったんですね。
いつ頃見たか思い出せませんかね?ああ…秋から冬にかけてとしか覚えてません。
この白骨は男性。
身長は175センチ。
宮下芳雄と一致。
また発見された免許証から見てもこの白骨死体は宮下と見てほぼ間違いないだろう。
問題は誰がこの遺体を古井戸に遺棄したかという事だ。
25年前死体遺棄を目撃した門倉あゆみは顔はわからなかったが女が白い車から遺体を引きずり下ろしたと証言してます。
当時宮下と不倫関係にあった好江の家は白い乗用車を所有していた事がわかってます。
まあただ残念な事にすでに廃棄されてます。
25年前に起きた宮下殺害事件とこの前起きた葉山殺害事件。
時は経ているが連続殺人の可能性が高い。
みんな真相解明のために全力で捜査に当たってくれ。
(一同)はい!
(お腹の鳴る音)小百合さんどうしたんです?食べないんですか?私昨日から絶食してるの。
絶食!?だっていよいよ明日なんですもんわんこそば大会。
大おかみからね今年も頑張りなさいってありがたーいお言葉を頂いたの。
だから絶対に優勝したいの!
(お腹の鳴る音)すごい!あそういえば古井戸から白骨死体が見つかった事件どうやら学園の殺人事件と関係があるみたいですよ。
え〜!?ほんと?ほんと?ほんと?それで警察から事情聞かれてるの誰だと思います?えー?誰?誰?誰?誰?それが…。
はいはいはいはい!おしゃべりはそれぐらいにして賄いを早く食べちゃってくださいね〜。
(一同)は〜い。
(ため息)ですから何度も申し上げてるように宮下さんは来なかったんです。
私は宮下さんを殺したりなんかしてません!だが!彼は駆け落ち当日に殺害された可能性が高いんです!
(圭子)25年前の11月ですか?ええ。
門倉あゆみさんが目撃したのは恐らくその頃なんです。
何か覚えてる事ありませんか?川の事故が9月の末でした。
あゆみちゃんすごく繊細な子で。
ですからかなりショックを受けて1か月間学校を休みました。
11月になって登校してきた時はだいぶ元気になって…。
ところがある日急に様子がおかしくなって。
おかしくなったというのは?誰とも話さず授業中もずっと下を向いたままで…。
(圭子)何かにひどくおびえてる様子でした。
だから気になって家庭訪問をしたんです。
ええ。
そしたらあゆみちゃん前の日の夕方あぜ道で倒れたとか…。
その倒れた日が何日だったか覚えてますか?ええと確か祭日だったのでそう…11月23日勤労感謝の日だと思います。
倒れたのは死体遺棄を目撃したショックからだった…。
今思えばそうだったのかもしれません。
ああ…。
でもどうして誰にも話さなかったんでしょうか?怖くて言えなかったんでしょう。
子供は恐怖に直面すると自己防衛が働いてそれをなかった事にしようとします。
記憶の排除です。
だからあゆみちゃんこれは夢なんだと思うようにしたんじゃないかしら。
悪い夢を見たんだって。
悪い夢か…。
校長先生!大会の応援必ず来てくださいね!横断幕持ってくわ。
はい!練習頑張ってね!はい!
(一同)さよなら!みんないい子たちですね。
私にとって生徒は宝です。
直子ちゃん!話って何?嘘だわ。
え?あなたが講演会で話していた事。
今私が生きているのは兄のおかげだなんて全部嘘!何を言うの?私はほんとにそう思ってるんだよ?昔の話を美談にしたかったんじゃないの?本を売るために。
ひどい事言うのね。
あなた半年前に突然電話をかけてきて兄の事故の事を謝った。
でもそれっきり。
そしてまた急に講演会にやってきて兄のおかげだとか兄が本を書かせてくれているとかそんな事信じられない!ごめんなさい。
あなたが花巻に来てからよ!平穏だった町に次から次へと事件が起きて…。
本当にごめんなさい!私が証言したせいで直子ちゃんのお母さんが疑われて…。
早く私の前から消えて!直子ちゃんね来月ここで結婚式を挙げるの。
そうですか。
ここで…。
好江さんひとつだけ教えてちょうだい。
25年前どうして直子ちゃんを置いて東京へ行ったの?直子には謝りきれない事をしました。
私二十歳で母親になってそれからずっと家事と育児に追われて…。
もちろん幸せな生活でした。
でも…時々ふっと思ったんです。
このまま私の人生終わるのかなって。
だから自分に言い聞かせました。
私にはかわいい子供がいる。
それだけでもう十分じゃない。
それが…。
隼人!隼人!隼人!隼人!隼人!隼人を亡くして私は自分のよりどころを失ってしまった。
まるで自分自身が死んでしまったような…。
妻であり母親である事にも耐え切れなくなって…。
でも主人はそんな私の気持ちを理解してくれようとはしなかった。
そんなある日あの人に出会ったんです。
それが宮下芳雄さんね?正直誰でもよかった。
私の話を聞いてくれて受け止めてくれる人だったら。
彼から東京へ行ってもう一度自分の人生を生きてみないかって誘われて自分の人生を生きる…その言葉がどうしても頭から離れませんでした。
そう私はこのままでは生きていけない…。
だから…。
(好江の声)直子の事が気掛かりじゃなかったわけではありません。
だけど一人の女に戻って人生をやり直したかった。
妻でもない母親でもない自分の人生を。
好江さんあなたの気持ちは同じ女として理解出来るわ。
世の中の主婦の中には平凡な毎日に不安や不満を抱いている人もいるでしょう。
でもねだからといって9歳の女の子を置いて家を出たあなたの行動正しかったとは思えないわ。
それはあなたが一番よく知ってるはずよ。
母さん勝手な事するなよ!何が勝手なんです?殺人事件の容疑者を刑事の実家に泊まらせるなんて常識じゃ考えられないだろう!実家にお泊めするんじゃありません。
愛隣館のお客様として好江さんに泊まって頂くんです。
いや〜さすが大おかみ!懐の深さには頭が下がります。
あの…。
ああ…。
とはいえやはり警察としてはまずいんです!殿山さん。
はい?昔好江さんのお宅とうちは家族ぐるみのお付き合いをしていたんですよ?いやなんでも亡くなった好江さんのご主人は市役所の観光課に勤務していたとか。
公私共にお世話になっておりました。
ですから好江さんの事はよーく知っています。
好江さんは犯人なんかじゃありません!今のところそうは断定出来ないんだよ!新太郎!え?男のあなたにはわからないかもしれないけど子供を亡くした母親の悲しみってそりゃ大変な事なのよ。
命のはかなさ尊さを身を持って知った好江さんがたとえ不倫に走った相手でも命を奪うなんて事は絶対ありえないわ!母さんそうは言ってもね…。
美奈さん。
はい。
新太郎は当てにならないわ。
私も協力しますから好江さんと直ちゃんの事件解決して。
そして好江さんの無実を晴らしてちょうだい!はっ!?嘘…。
本当に好江さんが犯人なのかしら?ああ。
って事は25年前の11月23日好江さんは何かしらの理由で不倫相手の宮下さんを殺害してしまった。
ああ。
そして死体を古井戸に遺棄。
あゆみに目撃されてるとは知らずそのまま一人東京へ。
うーんそして25年後お金に困ったあゆみさんの夫葉山さんはそれをネタに好江さんをゆすった…。
好江はそれが公になると自分の身の破滅だけではなく直子の結婚も破談になると思い口封じのために…。
というのが俺の推理。
なるほどね。
ああうまい。
うん。
しかしなんの証拠もない。
うんまあ…問題はそこなんだよな。
アチッ!ああもう…大問題よ。
アツッ!熱かったねごめんね。
ああきれい…。
って事は証拠がない限り好江さんが犯人とは言えないって事よね。
失礼します!あっ…とてもいいお湯でした。
ありがとうございます!めいってた気分もちょっと元気になりました。
ああよかった!それじゃあおやすみなさい。
おやすみなさい!すごい痣…。
よし!これ隆さんの実家で作ってる鉄瓶です。
よかったら今日の大会の賞品のひとつにって隆さんが。
いいの?うわぁ助かるわ。
ありがとう。
(直子)いえ。
直子ちゃん来てたの?おかえりなさいませ。
(あゆみ)ただいま。
警察に捜査状況を聞きにいったんですけど進展はないって言われました。
そうですか…。
やっぱりまだ直子ちゃんのお母さんが疑われてるみたい。
そんな事をわざわざ…。
私には関係ない話だから。
関係ないって…。
ルームキーご用意致しますね。
お願いします。
(太鼓)「それでは第22回愛隣館わんこそば大会を開催致しまーす!」
(拍手)はっ。
「はい競技は5分間でわんこそばを何杯食べられるかを競います」「優勝者には横綱の称号と豪華な賞品が授与されます」「昨年の横綱は当愛隣館仲居頭小百合〜!」
(拍手)
(梅子)「前回は254杯!」「挑戦者の皆さんさらなる記録を目指して頑張ってください!」「それでは1組目の挑戦者の方お入りくださーい!」
(拍手)
(梅子)「用意…」
(太鼓の音)頑張れ頑張れ〜!
(拍手と歓声)
(拍手)
(太鼓の音)
(梅子)「終了でーす!」
(拍手)
(拍手と歓声)
(観客たち)頑張れ!頑張れ!
(観客たち)頑張れ!頑張れ!頑張れ!頑張れ!
(小百合)大丈夫かな?
(梅子)大丈夫です。
大丈夫ですよ。
(観客たち)頑張れ!頑張れ!頑張れ!頑張れ!
(太鼓の音)
(梅子)「それではラストの組の方お願いします」「そして昨年の横綱小百合ぃ〜〜〜!」
(拍手)
(太鼓)大丈夫かな?
(梅子)「用意…」
(太鼓の音)
(応援する声)遅かったじゃない。
(刺す音)あっ…ああ…!
(太鼓の音)
(梅子)「終了でーす!」「すごい小百合さん!昨年の記録を更新しました!」「260杯でーす!」やったー!
(拍手)おめでとう。
愛隣館代表としてよく頑張りました。
ありがとうございます!
(拍手)
(パトカーのサイレン)あゆみさん!?ええっ!大おかみ!若おかみ!すぐそこの裏山で殺人事件が!
(美奈・政子)殺人事件!?美奈さん!はい!ああ新ちゃん!ああ…。
あゆみさんが殺された。
ええっ!嘘でしょう?あゆみさん…。
どうして…。
(八木孝介)警部!めがね橋ドライブインの従業員から目撃情報がありました。
あゆみは一昨日の午後3時頃女性と何か言い争いになっていたようです。
女性?それは榎本好江か?それが同い年ぐらいの女性だったそうです。
同い年?伊藤直子だと思います。
直子は一連の事件の容疑者である好江の娘。
そして葉山あゆみの両方の殺害事件の現場近くに居合わせてるんです。
新太郎まずは伊藤直子の事情聴取だ。
(一同)はい!直子ちゃんから事情聴取!?ちょっと何言ってんの?直子ちゃんを疑うなんてね間違ってるからね!いやとにかく彼女は仕事を休んでて家にもいないんだよ。
美奈何か聞いてない?直子ちゃんの居場所?私知ってるけど。
えっ?ほんとに?だから…どうして夫の仕事に妻が同伴してるんだよ!だって新ちゃん隆さんのお店の場所知らないじゃない。
住所さえわかればナビが教えてくれるよ。
ナビは犯人まで教えてくれないわよね。
ここよ。
(ドアが開く音)いらっしゃいませ。
あ…直子ちゃんいる?美奈さん…。
ええ一昨日あゆみさんとめがね橋に行きました。
何か言い争っていたそうだけど。
そうなの?直子ちゃん。
彼女は嘘つきです。
嘘つき?講演会で話していた事も何もかもみんな嘘。
私あゆみさんの事信用してません。
率直に聞く。
わんこそば大会の途中君が外へ出ていくのを見た人がいるんだ。
どこに行ってたの?電話をしに庭へ。
そのままそこで少し休んでいました。
それを証明する人は?私が疑われてるんですね?でも私があゆみさんを殺す理由なんか何もありません。
そうかな。
君は結婚式を1か月後に控えてる。
目の前に迫った幸せを門倉あゆみが壊そうとした。
いやあゆみだけじゃないあゆみの夫の葉山もだ。
ちょっと新太郎さん!私葉山さんの事件まで疑われてるんですね?あらゆる可能性を探るのも刑事の仕事でね。
だったらその可能性を1つ消します。
葉山さんが殺害された時間私にはアリバイがあります。
美奈さんと校長先生が証人です。
そうですよね?美奈さん。
ええ。
すいませんがもうこれで。
このあと隆さんのご両親と食事にいく予定なんです。
ああ…。
直子ちゃんが犯人なわけないわよ!いや直子にも殺害動機はある。
葉山あゆみそして25年前の宮下殺しも。
25年前!?ああ。
25年前って直子ちゃん9歳よ?小学生の女の子が大人の男性を殺害するなんてそんなの無理よ。
有り得なくないよ。
愛する母親を奪われないためならそれくらい。
好江は自分の娘の犯行を隠すために遺体を古井戸に遺棄した。
そしてあたかも一緒に駆け落ちしたように見せかけるために自分は東京へ。
あっ…あゆみその事知ってたんだ。
そして葉山とグルになって直子をゆすったんだ。
ええ?あゆみさんと葉山さんがグル?ああ。
さっき直子はあゆみの事を嘘つきだって言ってたよね。
うん。
表の顔はやさしい童話作家。
でも裏の顔は違ってた。
そう取れない?ええ?あゆみさんに裏の顔?そんなふうに見えなかったけどな。
あっ…。
どうした?そういえばねあゆみさん腕のここに痣があったの。
しかも両腕よ?ねえあゆみさんの事詳しく調べた方がいいかも。
ああそうするよ。
うん。
でも問題は直子だ。
どうも葉山殺害時の直子のアリバイが引っ掛かるんだよなぁ。
直子ちゃんは犯人じゃないわよ!そのアリバイの証人私なんだからね?そうは言うけどさ…。
わかった新ちゃん。
明日学園に行きましょう。
えっ?事件を再現します。
校長先生お忙しいところ申しわけありません。
いいえ捜査のためならいくらでも協力致します。
ありがとうございます。
じゃあそろそろ始めましょうか。
ええ。
皆さん用意はいいですね?よろしくお願いします。
は〜い!シャーッ!はい!3時45分に講演会が終わり私たち3人は校長室に向かいました。
私たちがここで話をしている時直子ちゃんはお茶を淹れに給湯室へ。
私がお茶を5つ頼んだわ。
えー今3時53分。
小百合さんねお茶を淹れたらすぐに図書室へ行ってください。
はい!よし待って。
3時57分。
よし。
犯行時刻の3時58分まであと5秒…321…。
ひぃーっ!はい!うわーっやられた〜!はいご苦労さん!
(ノック)失礼します。
はい。
あゆみさんが入ってきてすぐに4時の校内チャイムが鳴りました。
(チャイム)そして私はあゆみさんに本にサインをお願いしました。
座って。
(梅子)あはい。
サイン。
はい。
確かあゆみさんがサインをしている時に直子ちゃんがお茶を持って入ってきたわ。
4時から1分もしないうちに。
来ませんね。
うわ〜!丁寧に丁寧に!ああ〜!熱い熱い!大丈夫?大丈夫?あっ来た!えー4時3分3秒。
えっ!ちょっと…。
お茶が全部こぼれてますよ!そんなの無理よ!だって走ってきたんだから。
無理ですよね。
はいこれで証明出来ましたね。
直子ちゃんが3時58分に図書室で葉山さんを殺害して4時1分までにお茶を持って校長室に戻ってくるのは不可能です。
つまり直子ちゃんは犯人ではない。
こら新太郎…。
はい。
どうやらお前の推理は間違っていたようだな。
すいません。
あぁ…よかったぁ。
小百合さん梅子さんお疲れさまでした。
お疲れさまでした。
美奈さん小百合さん見なかった?いいえ。
宴会スケジュールの確認をしたいんだけど一体どこ行っちゃったんだろう?さっきまでは大宴会場の片づけで一緒でしたが。
大宴会場?ありがとう。
あっお義母様…。
梅子さんお願いね!あっはい!そう。
じゃあ今日の実験で直子さんの疑いは晴れたってわけね?はい。
よかったわ。
でも一体誰が犯人なのかしら。
そうなんですよ。
犯人の見当が全然つかなくて。
(物音)小百合さん!何してるの!?もう…。
あーっ!
(政子)仲居頭ともあろうものが仕事をさぼるとは何事です!も…申しわけありません!
(政子)隠したものをお出しなさい。
あ…はい…。
「作うず巻小百合」?あっ花巻小百合からペンネーム変えたんですか?あたくし童話作家からミステリー作家に転向致しました。
金貨鉄道で起きる殺人事件。
トラベルミステリー!あたくしなんと前代未聞の時間差トリックを思いつき…。
いい加減になさい!あ申しわけありません!小説よりも宴会スケジュールです!明日の予定確認して。
早く!はいっ!ただ今すぐに!はいっ!はいはいすいませんただ今…。
はぁ…トリックか…。
時間差ってそんな簡単に…。
トリック…。
美奈さん。
お話ってなんですか?一緒に来てほしいところがあるの。
実は一連の事件の犯人がわかったの。
(足音)お待たせしました。
何が始まるんですか?今からここで明らかになった真相を全てお話しします。
直子ちゃん君の言ってたとおり門倉あゆみは嘘つきだった。
嘘つき?ええ。
あゆみは夫の葉山と別れたがってた。
というのも葉山に全て支配され稼いだお金も自由にならないばかりか勝手に葉山出版の借金返済にあてられてた。
あんなに仲よさそうだったのに。
まあ葉山の手前そうせざるを得なかったんでしょう。
あゆみさんは夫の葉山さんからの家庭内暴力DVの被害者でした。
あゆみさんは夫の殺害計画を練ってました。
目的は自由と夫にかけられた生命保険1億円です。
あゆみさんは25年前宮下芳雄さんが遺体で捨てられるのを目撃したと話してました。
でも犯人の顔は見ていないと。
それも嘘です。
あゆみさん本当は犯人の顔を見てたんです。
ですがあゆみさんの記憶から消し去られてしまってたんです。
そして25年後あゆみは直子ちゃんと電話で話すうちに誰が宮下を殺して誰が遺体を遺棄したのかをはっきりと思い出し…。
あゆみさんはその事を夫の殺害計画に利用したんです。
犯人に夫を殺してくれなければ25年前宮下さんを殺害したのはあなただと世間に公表するって。
そしてその一方あゆみは葉山に25年前宮下さんを殺害したのは好江さんだと話しそれをネタにして好江さんをゆする事を持ちかけた。
自分が殺されようとしているなんて夢にも思っていない葉山さんはあゆみさんに言われるがまま好江さんを図書室へ呼び出したんです。
でもそれは葉山殺しの罪を好江さんに被せるための罠だった。
待ってください。
私が葉山さんを?私にはアリバイがあります。
もちろん。
事件が起きたのは3時58分。
直子ちゃんが葉山さんを図書室で殺害して4時1分にこの校長室に戻ってくるのは不可能なんです。
でもね直子ちゃん。
実はあなたがこの部屋に戻ってきたのは4時5分過ぎだったの。
え?これこそが時間差トリック!あっもうすぐ4時です!
(チャイム)
(チャイム)あの日この校長室で校長先生とあゆみさんと私が聞いたこのチャイムは4時ちょうどではなかったんです。
4時5分だったんです。
犯人が事前に5分遅れて鳴るように細工をしてたんですね。
つまり葉山が殺されてからあゆみと直子ちゃんが校長室に来るまでには7分の時間があったんです。
じゃあ葉山さんを殺したのは…?あゆみさんです。
これは葉山殺害に使われた花瓶のガラス片です。
この本の見開きに挟まっていました。
おそらく割れた花瓶のガラス片が飛び散りあゆみの服のそでに付着したんでしょう。
そしてそれが…。
葉山さんを殺害したのはあゆみさんです。
ですが部外者のあゆみさんにチャイムの細工をする事は出来ません。
つまりあゆみさんには共犯者がいてその人物こそが一連の事件の犯人です。
校長先生。
犯人はあなたですね?あゆみの携帯の通話記録を調べたところこの1か月で24回校長先生と通話をしておりあゆみ殺害の前の晩も校長先生への発信があったとわかりました。
チャイムの時間を設定する放送機材からは普段絶対に触る事のない校長先生の指紋が多数検出されました。
校長先生本当の事を話してくださいますね?
(圭子)全ての悲しい出来事はここから始まったんです。
私は25年前直子ちゃんの担任でした。
この場所で起きた伊藤隼人君の事故のあと私は直子ちゃんの事が心配で毎日のように家庭訪問してました。
(圭子の声)ところがある日好江さんと宮下さんとの関係に気づいたんです。
(圭子の声)直子ちゃんの事がかわいそうで…。
そのあと好江さんにはそれとなく家庭を…。
何より直子ちゃんを大事にしてほしいってお願いしました。
(直子)先生…。
でも11月23日のあの日偶然旅行バッグを手にした宮下さんを見かけピンときました。
好江さんと出かけるんだ。
だから…。
(圭子)好江さんと別れてください。
好江さんには直子ちゃんという9歳の子供がいるんです。
その子からお母さん取り上げるなんでそんな事…そんな惨い事やめてください。
(宮下芳雄)他人のあんたには関係ない。
ねえお願いですから!ねえ!直子ちゃんのために!ひどい事やめてよ!何するんですか!もういい加減にしてくださいよ!
(宮下)あっ…!うわーっ…!
(圭子の声)警察へは行けなかった。
まだまだ教師としてやりたい事がたくさんあった。
夢や希望も。
だからこれは事故なんだと思い込もうとしました。
でもまさか25年も経ってあゆみさんからその事を脅されるなんて…。
あゆみさんのご主人を!?そんな事出来ないわ!いいの?伝統ある星北学園の校長先生が殺人犯だって事マスコミに流しても。
(あゆみ)「そしたら生徒も父兄もびっくりするでしょうね」あゆみさんが殺害計画をたてるに至った経緯はさっき新太郎さんが話されたとおりです。
でもあゆみさんは最初本当に隼人君の事謝りたくて直子ちゃんの家に電話したと話してました。
それがいつしか夫への殺害計画にすり替わってしまった…。
夫からの暴力があゆみさんの心を壊してしまったんだと思います。
アリバイトリックを考えたのは私です。
講演会当日は邪魔にならないよう体育館だけ4時のチャイムを鳴らさない事が決まってました。
(圭子の声)私は体育館のスイッチを切りそして校舎内のチャイムが鳴る時間を4時から5分遅らせて設定しました。
そしてアリバイを証言してくれる人を探しました。
最初は私が葉山さんを殺す計画でした。
でも…。
やっぱり私出来ないわ。
何よ!今になって。
(圭子)それであゆみさんが自らの手で…。
でも好江さんの事は何も聞かされてませんでした。
好江さんに罪を被せるつもりだったなんてまったく…。
あゆみを殺した理由は?その前の晩あゆみさんから電話がありました。
3千万!?そんな大金無理よ!学園のお金から出せばいいじゃない。
校長の立場なら出来るでしょ?
(圭子の声)今度はお金をゆすられたんです。
このままでは学園まで食いつぶされてしまう。
なんとかしなければ…そう思って。
あっ…ああ…!40年近く教師を続け心から学園を愛し誇りに思ってきました。
だから私が犯した罪で学園の名に傷をつけたくなかった。
学園と生徒を守りたかったんです。
それはご自分の立場や地位は守れても生徒を守るという事ではないんじゃないですか?校長先生思い出してください。
25年前直子ちゃんを救いたい。
この子を救わなければと思ったあなたの気持ち。
それこそが生徒を守る学園を愛する。
そういう事ではありませんか?そのとおりね。
自分ではずーっと純粋な気持ちで生徒たちに向き合ってきたつもりだった。
だけど本当は自分の罪を隠して立場や地位を守り続けてきただけだったのかもしれない。
でもこれだけは本当です。
学園と生徒たちは私にとって宝でした。
葉山陽一殺人幇助門倉あゆみ殺人容疑で逮捕します。
はい。
さあ。
先生。
25年前あなたは素晴らしい先生でした。
生徒の事に一生懸命で。
もとはと言えば私のせいで…。
申しわけありません。
(好江)直子!あなたを置いてうちを出た事本当にごめんなさい。
その事ちゃんと謝りたかった。
私あなたみたいな母親には絶対ならない。
新しい家族を大事にしてずっと仲良く暮らすの。
だからあなたはあなたの人生を歩んで。
今さら25年の年月は取り戻せないし壊れた家族はもう元に戻らないわ。
美奈さん。
あっ忙しいところごめんね。
いいえ。
ねえ直子ちゃん葉山さんの事件を解決してくれたのはね本の間から見つかった小さなガラスのかけらなの。
それって贈り物なんじゃないかな?贈り物?うん。
天国にいる直子ちゃんのお兄さん隼人君からの贈り物。
そしてねそれは隼人君からのメッセージだと思うの。
割れてしまった花瓶はもう元には戻らないでしょ?だからこそ亡くなったあなたのお兄さん隼人君は壊れた家族を修復してほしいって願ってるんじゃないかな。
好江さんね今日にも電車で東京へ戻るって。
私ね好江さんからこれ預かってるの。
直子ちゃんには内緒にって言われてるんだけど…。
私お節介だからしゃべっちゃう。
2人の結婚に使ってほしいって。
ね。
はい。
じゃあ。
(アナウンス)「花巻花巻」「ご乗車ありがとうございました」結婚おめでとう!幸せになってね!
(アナウンス)「6番線よりまもなく電車が発車致します」「ご乗車の方はお急ぎください」直子…直子!幸せになってね!ねえ新ちゃん。
うん?直子ちゃんと好江さんいつか歩み寄れるわよね?だといいな。
あっ!よっ。
美奈ありがとうな。
え?今度の事件助けられたよ。
何言ってんのよ。
夫を支えるのは妻の役目でしょ。
アハハハハッ!そして妻を労わるのが夫の役目。
(政子)美奈さん!何してるの?はい!母さんちょっとぐらいいいじゃない。
新太郎!なんです?あなたまで。
そろそろ宴会の始まる時間よ。
支度出来てる?はい。
あっそうそう直子ちゃんがね美奈さんの笑顔で頑張ってる姿お手本にしますって。
え?さあ行きましょう。
はい。
お手本だって。
いってきます!はいいってらっしゃい!あっちょっと待って待って!これ外していかないと…。
シュシュシュシュシュ…。
はい!いってらっしゃい!はい。
ありがとう。
いってきます!
(政子)本日は新鉛温泉愛隣館をご利用頂きまして誠にありがとうございます。
わたくし大おかみの中川政子でございます。
若おかみの中川美奈でございます。
日頃のお疲れを癒やして頂きたくわたくしども従業員一同心をこめてサービスをさせて頂きます。
どうぞごゆっくりお寛ぎくださいませ。
(拍手)奥のお座敷ね。
はーい。
えーっとオーケー!ああーっ!ごめんなさいね。
小百合さん慌てないで急いでください。
ちょっと!
はつらつとした美しさが魅力の女優・寿美花代さん
なんと82歳
2016/01/06(水) 14:00〜15:51
ABCテレビ1
温泉若おかみの殺人推理[再][字]
花巻温泉郷〜殺人は下校チャイムで始まった!!白骨死体と駆け落ちした女
詳細情報
◇番組内容
好評人気シリーズ第22弾!!美奈は、宮沢賢治の故郷・花巻温泉郷の老舗ホテルの若おかみ!
◇番組内容2
宿泊客の童話作家・門倉あゆみの夫が講演先の小学校で殺害された…!調べを進めるうち、事件の背後に25年前の殺人が浮かび上がるが…!?
◇出演者
東ちづる、羽場裕一、岡田茉莉子、若林豪、山村紅葉、中山忍、藤真利子、宮本真希、丘みつ子
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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