ホットスポット・セレクション▽緑の楽園 宝石色の動物たち〜中米 コスタリカ[SS] 2016.01.06


豊かな海岸と呼ばれる場所があります。
緑鮮やかなジャングルが海岸部まで迫ります。
その奥には今も原始の姿をとどめた自然が広がっています。
そこに暮らすのは宝石のように光る生き物たち。
夜の闇で繰り広げられる命のドラマ。
そして何十万というカメが集結する奇跡の光景。
多彩な輝きを放つ命の不思議に迫ります。
南北アメリカ大陸の中央にあるコスタリカ。
単位面積当たりの生物多様性が最も高いといわれる生き物の宝庫です。
鬱蒼とした熱帯のジャングルが一面を覆っています。
森の中は昼でも暗く見通しが利きません。
この森で生きていくため動物たちはさまざまな工夫を凝らしています。
モルフォチョウです。
鮮やかなブルーは繁殖相手にアピールするためのもの。
一方羽の裏は地味な茶色。
あまりに対照的な表と裏の違いにはある秘密が隠されています。
ひらひら飛んでいると一瞬姿が消えたように見えます。
これで天敵の目を惑わすのです。
鳥たちも鮮やかな色をしたものが目立ちます。
これはキモモマイコドリのオス。
メスに気に入ってもらおうとダンスを踊っています。
色だけでなく動きでもアピールしようという作戦です。
こちらは更に手が込んでいます。
変わった音が聞こえてきました。
(翼を打ちつける音)スローで見るとなんと翼を打ちつけています。
(翼を打ちつける音)音は自分の存在を相手に知らせる効果的な方法です。
今度は枝の間を飛び回っています。
(翼を打ちつける音)音とダンスの見事なコンビネーションです。
(翼を打ちつける音)色彩をより際立たせるように進化したのがハチドリです。
オスの羽は日に当たると光り輝きます。
更に角度によってさまざまに変化します。
宝石のような光沢。
メスにはこの独特の輝きが大きな魅力に映るようです。
森にはまた個性的な哺乳類が数多く暮らしています。
姿を現したのは…南米最強の肉食獣です。
こうした敵から逃れるため木の上を住みかにしているユニークな生き物たちがいます。
これはコアリクイ。
地上でシロアリなどを食べるオオアリクイの仲間ですがこちらは木の上でアリを探しています。
独特の長い尻尾が印象的です。
ここで暮らす動物の多くがこうした長い尻尾を持っています。
やって来たのはクモザル。
軽々と木から木へと移動していきます。
尻尾を枝に絡ませ体を安定させています。
実は尻尾には秘密があります。
内側には毛がなく枝をしっかりつかむ事ができるのです。
第5の足とも呼ばれ樹上生活に適応する中で進化してきたと考えられています。
天敵のジャガーもさすがに高い木の上には登ってこられません。
また別のサルが現れました。
オマキザルは尻尾を上手に使って食べ物を手に入れます。
トゲだらけのアカシアの木にやって来て何かを食べています。
トゲに開いた穴を出入りしているのはアリ。
実はこのアリはトゲの中で幼虫を育てています。
オマキザルが食べていたのはその幼虫です。
しかしアリは幼虫を守るため近づくものを攻撃します。
オマキザルは尻尾を使い離れた所から腕を伸ばしアリの攻撃をかわします。
そして器用にトゲだけをむしり取って食べていたのです。
闇が辺りを覆う頃森ではまた別の生き物たちの攻防が繰り広げられます。
夜の訪れを待っていたのはコウモリです。
コウモリの多くは超音波で獲物の動きを捉え捕まえます。
狙うのはガなどの昆虫が一般的です。
ところがここには虫以外のものを食べる変わったコウモリがいます。
これはウオクイコウモリ。
魚を食べる珍しいコウモリです。
魚が動く時に出来る波紋を超音波でキャッチ。
すかさず波紋の周辺を足で探ります。
鋭い爪で魚を引っ掛けると空中で素早く口にくわえます。
変わったものを食べるコウモリはほかにもいます。
これはカエルを捕らえるコウモリ。
こちらは果物を食べるコウモリ。
そして世界でも珍しい白いコウモリ。
こちらも主食は果物です。
まるでハチドリのように羽ばたいているのはシタナガコウモリ。
その名のとおり長い舌で花の蜜をなめて暮らしています。
コスタリカには114種類ものコウモリがいてそれぞれが個性的な暮らしを送っているのです。
(雷鳴)深夜。
海辺でもう一つの命のドラマが始まります。
姿を現したのはカメ。
カメは1匹ではないようです。
夜が明けると驚きの光景が広がっていました。
数万匹はいるでしょうか。
何キロにもわたって上陸しています。
波に乗って次々とやって来るカメ。
全て産卵を控えたメスのヒメウミガメです。
しばらくすると立ち止まって砂を蹴り始めました。
ヒレをスコップのように使い深さ50センチほどの穴を掘ります。
産卵が始まりました。
1回に100個ほどの卵を産みます。
産卵が終わると丁寧に穴を埋めていきます。
ほかの動物に掘り起こされないよう入念に砂を固めます。
ヒメウミガメには集団で産卵する独特の習性があります。
多い時にはなんと一日で数十万匹が上陸します。
そして昼夜問わずに壮大な命の営みを繰り広げるのです。
霧が森を覆い幻想的な風景が広がります。
ここはコスタリカの自然を特徴づける独特の環境の一つ。
雲霧林と呼ばれています。
標高1,500メートルから3,000メートル付近。
1年のほとんどを霧が覆います。
雲霧林に暮らす生き物たちも個性的です。
プラチナコガネです。
その名のとおり全身輝いています。
鏡のように風景を映し出す事で周りに溶け込み身を守っているのではないかと考えられています。
これはチョウのサナギ。
こちらも独特の金属光沢をしています。
羽化が始まりました。
姿を現したのは透明な羽を持つチョウ。
その名もスカシマダラ。
コスタリカではこうした仲間がおよそ70種類も知られています。
羽化したチョウはやがて食べ物を求めて飛び回ります。
その時透明な羽は捕食者に見つかりにくく都合がよいのです。
長い尾を持った鳥が現れました。
世界で最も美しい鳥といわれ雲霧林だけに生息しています。
尾のように見えるのは飾り羽で長さ70センチにもなります。
羽は光に当たるとひときわ輝きを増します。
美しい色合いをしているのはオスだけ。
こちらはメス。
繁殖期には1本の木にオスとメスが集まり求愛行動を繰り広げます。
次々と飛び立つオス。
メスに向かって美しさをアピールします。
幹に開いた穴から飾り羽が飛び出しています。
これはケツアールの巣穴。
子育て中のようです。
持ってきたのは野生のアボカド。
栄養豊富で子育てには欠かせない食べ物です。
野生のアボカドもまた雲霧林固有の植物。
ケツアールはアボカドと共に雲霧林で命をつないできたのです。
多様な自然を誇るコスタリカ。
中でも極め付きの変わった環境があります。
まるで冬枯れのような風景。
風向きの関係でここでは1年の半分は雨が降りません。
厳しい乾季の間木々は葉を落とし草は枯れてしまいます。
この木は乾燥を生き抜くため独特の習性を持っています。
葉が落ちる頃幹が緑色になります。
葉の代わりに幹で光合成をするのです。
こんな森にもたくましく生きる動物がいます。
あのノドジロオマキザルです。
出てきたのはキリギリスの仲間。
外敵に見つからないよう木のウロや皮の内側に隠れています。
ところが手先の器用なオマキザルにはその手は通用しません。
次々と捕らえていきます。
オマキザルの驚きの技はこれだけではありません。
乾季にもかかわらず珍しく実のついた木があります。
実には細かい毛がついていて触れるとチクチク痛みます。
用心深く引き寄せます。
そして幹にこすり始めました。
邪魔な毛を取り除いているのです。
高度な知能を持つ事で知られるオマキザル。
さまざまに工夫する事で厳しい環境を生き抜いてきました。
こうした経験や知恵は群れの中で代々受け継がれてきたと考えられています。
子どもはよく大人が食べる様子を観察します。
このようにして母親や近くにいる大人から食べ方を学んでいくのです。
3月乾燥林に新しい季節が訪れます。
乾季の終わりにやって来るのは花の季節。
葉を落とした木々は一斉に満開の花を咲かせます。
そして花が散ると半年ぶりに雨の季節が訪れます。
乾燥林は再び鮮やかな緑の森に姿を変えます。
ちょうどそのころ浜辺では新たな命が生まれようとしていました。
ウミガメの赤ちゃんです。
産卵からおよそ50日。
ふ化した子ガメが一斉に地上に姿を現したのです。
しかしすぐに厳しい試練が待ち受けます。
子ガメたちはひたすら海を目指します。
実は一度にふ化する数が多ければ多いほど生存の確率は高くなります。
ヒメウミガメが集団で産卵していたのはそのためです。
海に入ってもまだ安心はできません。
この子ガメはうまく隠れる場所を見つけたようです。
無事に生き延び成長したカメはおよそ15年後再びふるさとの浜に戻ってくるのです。
類いまれな多様性を誇る中米コスタリカ。
そこには多彩な命が光り輝く生命の小宇宙がありました。
2016/01/06(水) 16:20〜16:50
NHK総合1・神戸
ホットスポット・セレクション▽緑の楽園 宝石色の動物たち〜中米 コスタリカ[SS][字]

世界有数の生物多様性を誇る中米コスタリカ。浜辺を埋め尽くす数万匹のカメの集団産卵、世界一美しい鳥ケツアール、宝石色に輝く鳥や昆虫など色彩豊かな生物の世界を紹介。

詳細情報
番組内容
単位面積当りの生物多様性が世界一という中米コスタリカの大自然を最新の技術を駆使した映像で紹介する。浜辺を埋め尽くす数万匹のカメが押し寄せる集団産卵を空から撮影。世界一美しい鳥といわれるケツアールや宝石色に輝く鳥や昆虫、魚を捕え花の蜜を吸う不思議なコウモリたちの、躍動感あふれる姿をハイスピードカメラがとらえた。生きものたちの、知られざる小宇宙の魅力に迫る。
出演者
【語り】廣瀬智美

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 自然・動物・環境
バラエティ – 旅バラエティ
趣味/教育 – 旅・釣り・アウトドア

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 3/2+LFEモード(3/2.1モード)
サンプリングレート : 48kHz

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