(眞澄)この中に入ってたダイヤのネックレスがないの。
ひょっとしてあなたに聞けば分かるんじゃないかと思って。
(富貴子)私に?どういう意味ですか?
(眞澄)いいのよ。
富貴子。
叱らないから正直に言ってほしいの。
絶対誰にも漏らさないわ。
私たちだけの秘密にしとくから。
ねっ?パパにも内緒にしとくから。
ひどいわ。
そんな目で私を?いくら親子でも言っちゃいけないことがあるわ。
あんまりです。
(泣き声)富貴子!
(美輪子)どうしてよ!?どうしてぼたんのようにしてくれないのよ!甘ったれるんじゃないわよ!口を開けば「ぼたんは。
ぼたんは」って。
もうあなたとは駄目。
やってられないわ。
もう知らない。
勝手にすれば?富貴子…。
ハァ…。
・
(伊佐子)ありがとうございました。
・
(峰靖)ありがとうございます。
(峰靖)200円のお返し。
いらっしゃいませ。
(伊佐子)いらっしゃい。
(杉彦)あっ。
姉ちゃん。
姉ちゃん!
(峰靖)何だ富貴子か。
(伊佐子)えっ?富貴子?ごめんなさい。
今が一番忙しい時間ね。
(伊佐子)どうしたの?あんた。
ちょっと休ませてもらおうと思って。
上にいるわ。
(伊佐子)あっ…。
何なのよ?あの子。
さあな?
(伊佐子)あんな大見得切って飛び出してったくせにすぐに戻ってきたりして。
姉ちゃん。
帰ってきた!
(杉彦)姉ちゃん。
お土産は?あら。
ごめんね。
忘れちゃった。
もうアメリカ行かないの?アメリカ?そうね。
アメリカは遠いものね。
行くなよ。
アメリカなんか行くなよ。
・
(ドアの閉まる音)富貴子は?帰ってない?あら?あなたたち一緒じゃなかったの?あっ。
・
(ドアの開く音)ねえ。
富貴子はどうしたのよ?出ていっちゃったわ。
えっ?出ていった?ふん。
何が気に入らないのか知らないけど冗談じゃないわよ。
どうしてよ?どうして出てったの?いいじゃないの。
あんな冷血女。
ねえ。
何か言ってた?富貴子。
「何か」じゃないわよ。
あれくらいのことで簡単に姉妹の絆を断ち切ろうっていうの?私の気持ちなんかちっとも…。
ちっとも。
何だと思ってるのよ!こんチクショー!許さない!許さない!偽ぼたん。
あだ花!もうやめなさい。
やめなさい。
帰ってきて。
富貴子。
富貴子…。
私を捨てないで。
お姉ちゃま。
(峰靖)まあいくら姉妹っつってもな相手はお嬢さんだから。
わがままで気まぐれでヒステリックでどうしようもないの。
(伊佐子)そのわがままとヒステリーが多摩留を破滅させたんだよ。
(峰靖)じゃあ今夜泊まってくんだな?ええ…。
いい?母さん。
泊まっても。
(伊佐子)何言ってんのさ?水くさい。
嫌ならこのまま帰らなきゃいいじゃないの。
でも荷物置いたままだし。
アメリカに荷物?お土産もその中に入ってるんだね?そうなのよ。
杉ちゃん。
(伊佐子)アメリカと日本とあんまり行ったり来たりされちゃ困るよねぇ。
こっちにいるか向こうに居座るかはっきりしてもらいたいよ。
すみません。
(伊佐子)ちょっと杉彦。
またこぼしてるよ。
この子は。
いいじゃないかよ。
近ごろは客に愛想も言えるようになったんだから。
(伊佐子)うんっ。
じゃあどうするんだ?富貴子は。
ええ…。
何だい。
聞いてないんだな。
えっ?私?ここに帰ってきても落ち着かないんだろう?そんなことはないです。
分裂してんだな気持ちが。
すみません。
・
(ドアの開く音)
(崑一)さあ寝よう。
パジャマは?あっはい。
(崑一)どうしたんだ?ぼんやりして。
ええ。
私…。
えっ?何これ?昨日からずっと捜してたのよ。
どうしてここにあるの?あんなに捜して捜して家じゅうひっくり返して捜してもなかったものがどうして急に出てくるの?
(崑一)フフッ。
私がちょっと借りてた。
何ですって?あなたが?
(崑一)ああ。
世奈子にね無理を言われたんだよ。
政治家が来るような改まったパーティーに出掛けるからどうしてもこれを貸せって聞かないもんだから一晩だけ貸してやったんだ。
まああきれた。
あっ?心配したかね?当たり前ですよ。
盗難に遭ったのかと思って。
私これをなくしたらあなたにも顔向けできないから首をつるしかないと思って。
ほう。
悪かったねそりゃ。
ああ。
ああよかった。
あっ。
どうしましょう。
私大変なことしちゃった。
うーん。
うーん…。
やめて。
やめて!
(多摩留)《なあ?死のうぜ。
美輪子》
(ぼたん)《ひきょう者!》《やれるものならやってみなさいよ》《どきやがれ!》
(ぼたん)《うっ!?》
(悲鳴)ぼたん?ぼたん!ぼたん…。
ぼたん?ぼたん!あっ…。
ぼたん。
どこなの?ぼたん…。
(悲鳴)
(悲鳴)やめて!ぼたん。
やめて。
あっ。
ああ…。
やめて。
ぼたん。
やだ。
やめて!・
(ドアの開く音)やめて!やめて!美輪子。
ああーっ。
ああ…。
しっかりしなさい。
美輪子。
美輪子。
大丈夫?しっかりして。
ああーっ!美輪子…。
美輪子。
もし部分的に剥がれたりしたらいつでも補修しますのでいらしてくださいね。
(女性)ええ。
ありがとう。
ありがとうございました。
・
(ドアの開く音)いらっしゃいませ。
ごめんなさいね。
前触れもなしに。
いえ…。
すぐに来ようと思ったんだけど美輪子が入院してしまって。
入院?ええ。
あなたが出ていってから何だかひどく精神のバランスを崩してしまったの。
まあ。
こぢんまりしてとてもいいサロンじゃない?お座りになって。
どうぞ。
失礼するわね。
富貴子。
私あなたに謝らなきゃいけないの。
ダイヤのネックレスのことなら私盗んでませんから。
そうなのよ。
何てバカな疑いをあなたに掛けてしまったのかと思ってあの後でどんなに悔やんだか知れやしない。
結局犯人はパパだったのよ。
パパ?私に内緒で持ち出して。
じゃあ出てきたんですか?ええ。
パパがこっそり元に戻してあったの。
まあ。
よかったわ。
ごめんなさいね。
愚かな母親だわ。
許してね。
富貴子。
いえ。
もう。
私これを見つけてやっと目が覚めたの。
あなたこの写真をスーツケースの中のアルバムに挟んであったでしょ?ええ…。
ええ。
どうしてそれを?母親の直感かしら?ついに見つけちゃったのよ。
これを。
この写真を見たときびびっと電気のようなものが体を走ったわ。
ああ。
あのときの赤ちゃん。
私の赤ちゃんだと思って。
(眞澄)《これを赤ちゃんと一緒に》
(稲垣)《分かった。
そうしよう》忘れもしないわ。
生まれたばかりの赤ちゃん。
あのときの富貴子なんだもの。
その写真養父が記念に撮ったんです。
私が引き取られたばかりのときに。
これは私の赤ちゃん。
私の赤ちゃんなのよ?どれもこれもみんないちいち私の子だって分からせてくれるの。
間違いなくあのときの富貴子よ。
自分がおなかを痛めて産んだ子だと胸が痛いぐらいに締め付けられて。
私アルバムに奇麗に張り付けてそれから見てもらうつもりだったんです。
もっと早くこれを見てればねあなたにあんなによそよそしくしなくて済んだのに。
ホントにバカな母親だわ。
どうしようもない母親だわ。
(泣き声)お母さん。
泣かないで。
お母さん。
「お母さん」って言ってくれるのね。
ありがとう富貴子。
富貴ちゃん。
もう放さない。
絶対に放さないわ。
お母さん。
ああ。
よかった。
あなたを自分の子だとは分かりながらもどうしてもこの体がそう感じてくれなかったの。
でももう大丈夫よ。
お母さんあなたのことちゃんと受け止めてる。
この体で受け止めてるわ。
ええ…。
ええ。
富貴子。
帰ってきてよ。
私たちの家に帰ってきてちょうだい。
パパからもこっぴどく叱られたの。
あなたに謝って連れ戻すようにって。
うれしいけどでも…。
あの家はあなたの家じゃない。
荷物も着るものも全部置いてあるんだから。
ねっ?帰ってらっしゃいよ。
第一美輪子をこのままにはしておけないの。
あの子はあなたがいないと駄目になってしまうのよ?美輪ちゃんが?あの子はあなたなしでは生きていけないの。
戻ってきてやってちょうだい。
美輪子のためにもお願い。
ねっ?お願いだから戻ってきて。
退院おめでとう。
美輪ちゃん。
あら。
来てたの?どうしたの?美輪子。
あなたが退院するっていうので富貴子が帰ってきてくれたのよ。
うれしくないの?別に。
照れちゃってるのね美輪子。
あんなに待ち焦がれていたじゃないの。
嫌ね。
くだらないことばっかり言って。
お二階へ上がりましょう。
ええ。
どうしてよ?どうして出ていっちゃったのよ?美輪ちゃん…。
もうどこにも行かないで。
私から離れないで。
死ぬかと思ったわ。
お姉ちゃま。
お姉ちゃまがいなくなってもう世の中がモノクロ世界になっちゃって。
約束して。
二度と私から離れないって。
ええ…。
ええ。
美輪ちゃん。
私たちは牡丹と薔薇の姉妹よ。
切っても切れない絆で結ばれた姉妹なのよ?二度と絆をぶった切るようなまねはしないで。
お姉ちゃま。
ええ…。
ええ。
約束するわ。
(従業員)いらっしゃいませ。
あら。
ママ。
どうしたんです?ニコタマからこんなところへ。
お珍しい。
(世奈子)こちらの店にネイルアートのコーナーができたんですってね?ちょっと見せていただこうと思って。
ふーん。
そうですか。
いいですよ。
どうぞ。
いい感じですね。
(女性)すごくいいです。
どうです?ママ。
2016/01/07(木) 13:25〜13:55
関西テレビ1
新・牡丹と薔薇 #25[字][デ]【消えた高級ネックレス】
美輪子(逢沢りな)らの熱望に負け、富貴子(黛英里佳)は小日向家で暮らし始める。美輪子は富貴子に亡きぼたん(黛英里佳:二役)と同じように振る舞うよう要求するが…
詳細情報
番組内容
富貴子(黛英里佳)は自分にぼたん(黛二役)を重ねる美輪子(逢沢りな)に我慢の限界がならず、ケンカ別れしてしまう。養父母の元に身を寄せた富貴子だったが、峰靖(安藤一夫)は、美輪子の悪口を言いながらも、富貴子が心の底では妹を心配していることを見抜く。
富貴子のいない部屋で一人、眠っていた美輪子は悪夢を見てしまう。目覚めたとき、隣に富貴子がいなかったことで美輪子は錯乱。そのまま体調を崩して…。
番組内容2
自由が丘のネイルサロンで仕事をしていた富貴子を眞澄(伊藤かずえ)が訪ねてくる。富貴子は美輪子が入院したと聞かされ、さらに眞澄から謝罪される。眞澄がなくなったと大騒ぎしていた宝石は、崑一が世奈子(田中美奈子)に貸していて…。
出演者
吉田富貴子:黛英里佳
小日向美輪子:逢沢りな
牧原世奈子:田中美奈子
小日向崑一:岡田浩暉
浅黄萌子:山口いづみ
瀬尾綱輝:片岡信和
・
小日向眞澄:伊藤かずえ ほか
スタッフ
【企画】
横田誠(東海テレビ)
【原作・脚本】
中島丈博
【演出】
藤木靖之
【音楽】
中川幸太郎
【主題歌】
サラ・オレイン「涙のアリア」(ユニバーサルミュージック)
【プロデュース】
西本淳一(東海テレビ)
大久保直実(ビデオフォーカス)
坪ノ内俊也(ビデオフォーカス)
【制作著作】
ビデオフォーカス
【制作】
東海テレビ
ご案内
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【公式サイトURL】
http://tokai−tv.com/botabara/
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ドラマ – 国内ドラマ
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