午後のサスペンス「やもめ記者の事件メモ」 2016.01.07


(たこ焼きを焼く音)
(キーボードの音)・
(江藤)はい。
大長新聞文化芸能部…。
ええ大阪本社。
えっ?北川さん?北川って…。
そうか万年さんか。
万年さんどこ行った?
(田坂)さっきまでおったんやけど…。
(佐々木)グルメの取材や。
ほっとけ。
どうせどっかのレストランか料理屋だ。
この忙しいのに気楽なもんや。
見あたらんのです。
社会部はだいぶ前にやめはって…。
ええいたって平和主義者。
争い事の嫌いなお人なんですわ。
(北川)ええかたこ焼きの命は焼き加減や。
外はカリッと中はトローリ。
これが定番や。
よう覚えとけっ。
なにっ俺は40年焼いとんねん。
素人にゴチャゴチャ言われる覚えない。
わしかて40年たこ食ってんねん。
青のりやマヨネーズにごまかされんぞ。
これがうちの味じゃ。
気に入らんのならよそで食えっ。
金いらん。
わしゃなゆすりたかりと違うわい銭払うわ。
ほらっ。
金放るな。
もったいない。
ぼけっ。
お前こそぼけやっ。
うん…けどまあいけてるわ。
おい河津河津じゃないか?
(河津)北川…。
びっくりした。
どないしたんや?いつ松江から出てきたんや?
(河津)今朝。
ちょっと訳あってな。
水臭いな電話ぐらいしてくれても?したよっ会社にも家にも。
お前がいなかったんだよ。
そら悪かった。
滅多に家に帰らんもんやから…。
なんかあったんか?いやそれが…。
今…ちょっとな。
そうかほなまた電話せいや。
今度はチャンと待ってるさかい。
すまんな…。
じゃあな。
よっ。
元気そうやな。
彩子はおらんのか?・
(富子)塾や。
来年高校受験なんだから。
あ〜そやったな。
大変やろな母子家庭もな。
せやホンマ。
父親が勝手に逃げだしよったからな。
別れてくれ言うてきたんお前の方からや…。
父親らしいことなあんもせえへんかったからや。
してるやろ。
きっちり20万円。
養育費毎月持って来てるやないか!恩着せがましい。
努力が分からんのか?銀行振り込みにしてもろたほうが面倒がのうてええの。
あかん。
毎月一ぺんお前と彩子に会えるのが心の支えや。
これだけは絶対譲れん。
口先ばかりうまいこと言うて。
今でも惚れてる愛してるんやっ。
もう一ぺん結婚しよ。
まっぴら…。
ほなキスだけ。
お〜お前えらいヒンヤリしとんな。
富子富子冷えてるやろ。
寝たらあかんあかん。
なにをさすんや?お前は…。
(はる恵)万年さん来てたん?来てまんねん…。
せっせせっせと伝書鳩みたいに。
ええ金ヅルやなあ〜。
ええ〜お陰さんで。
けっなんちゅうこと言うねん。
すまんけどミリンあったら少し分けて…。
ミリン?あるよ…。
おおきに。
あんたらホンマに仲ええんやから意地張らんと復縁してあげたらどうや?喜ばしてやりいな万年さんを…。
あの人が殊勝なんは今だけ。
復縁したらどうせ元の木阿弥や。
徹夜徹夜で家に帰らへんし何かあるとすぐに飛び出して行くしもううんざりなんや。
あっ!死んだっ。
松江の支局の頃の友達や。
隠岐島で心中しとる。
お前に2〜3日前大阪で会うたばっかりやがな…。
今朝…。
ちょっと訳があってな。
したよ。
会社にも家にも。
それが…今はちょっとな上方銀行松江支店長河津久之。
隠岐西ノ島町通天橋の岩場で青酸カリにて服毒。
連れの女性は田村友子23歳。
無職。
電話ぐらいしてくれてもええのに…。
河津:したよ。
会社にも家にも。
お前がいなかったんだよ
(ドアを閉める音)
(留守電のスイッチを入れる音)
(留守電再生)「留守3件です」「浪花文芸社の田中です。
原稿の進み具合はいかがですか?締め切りが近いのでよろしくお願いします」いつになるか分からんぞ。
「俺俺。
たまには連絡せえや。
先月のマージャンのつけあるぞ」「北川僕だ。
松江の河津だ。
今大阪に来ている。
会ってくれないか?話がある。
助けてくれ。
怖いんだ。
殺されるかもしれないんだ。
助けてくれ」
(切れる音)
(巻き戻す音)
(留守電再生)「松江の河津だ。
今大阪に来ている。
会ってくれないか。
話がある。
助けてくれ。
怖いんだ。
殺されるかもしれないんだ。
助けてくれ」
(切れる音)再生が終わりました。
(留守電再生)「松江の河津だ。
今大阪に来ている」松江?ええ松江隠岐。
出雲にも足を伸ばしてみようか思うて…。
松江支局閉鎖になって5〜6年なりまっけど最後の支局長務めたご縁があります。
八雲立つ風土記の丘宍道湖の七珍料理出雲そばま恩返しいうたら何ですけど日曜のグルメ欄4週分ほどまとめてこようと思うてまんねん。
なにとぞよろしゅう…。
さいでっか。
まあ気をつけや。
おおきにっ。
早速経理のほうに。
僕らが入社の頃は敏腕の事件記者で鳴らしてはったのに。
嫁はんに逃げられてからや。
相当ショックやったみたいやからな。

(近藤奈津子)おはようございます。
おはようございます。
(いびき)びっくりした〜。
ちょっと…。
ちょっとあんたっ。
ちょっと!どちら様でしょうか?ねえちゃんは?ブンヤかい?あんたも…。
お名前をお聞きしてるんですが?コーヒーでも入れてくれへんか?警察を呼びますよ。
勝手に合鍵使って無断で入って。
あなた一体誰なんです?おお怖わ。
別嬪さんが台なしや。
そんな言い方セクハラです。
(ドアが開く音)社長っ大変なんです。
この人勝手に入り込んでずうずうしいんです。
(須山)万年…!どうしたんだ?突然…。
須山…。
お知り合いなんですか?同期の桜ってヤツよ。
大長新聞が松江支局を引き揚げた時こいつは大阪の本社に戻って俺はここに残った。
万年はミチトシと読むけどコテコテの大阪弁の「まんねん」や。
このねえちゃんのお方は?近藤奈津子君。
入社1年目の才媛だよ。
奈津ちゃんか…?ピカピカの1年生ちゅう訳だな。
な〜るほどね〜。
松江の七珍料理に出雲そばか…。
隠岐のヒオウギ貝にめかぶうどんまずその辺からと思ってるねん。
本当かよ。
信じられんな。
なにがや?泣く子も黙る強面の事件記者がいまは文化欄のグルメ記者?話には聞いていたがまさかのまさかだ。
ま心境の変化ってやつだな。
貴様は俺のライバルだった。
俺が松江に残って独立したのも貴様と勝負するためだ。
社員5名の小さな新聞社だがな。
新聞は小さくたって社長は立派です。
社長の姿勢に憧れて入社したんです。
ええ子や…。
かわいいネエちゃんや。
ネエちゃんはやめてくださいっ。
褒めてるんやで。
褒められたくないです。
嫌われてるようやな。
たいしたもんじゃないか。
出会ったばかりなのにそれだけ強い印象を与えた訳だからな。
なあネエちゃんいや奈津ちゃんやな…。
わしはなグルメ欄が格落ちやなんてチッとも思てへんのや。
食にはその土地土地の大切な文化がある。
それを守った人たちにもそれぞれの人生がある。
そういう人に触れ合いたい。
強盗殺人はもう結構や。
だったら俺も言うことない。
近藤君これも縁だ。
ついていってあげなさい。
助手だよ。
万年も松江を離れ長い。
いろいろ不便なこともあろう…。
わしは一人が…。
遠慮するな。
私困ります。
書きかけの原稿あるんです。
構わんよ。
だって…。
万年のやり方を見てるんだ。
きっとプラスになる。
レンタカーはわしが船に乗せるわ。
じゃ船室で。
あ〜間違えた…。
お〜…優しいね〜。

(ウミネコの鳴き声)どうぞごゆっくりな〜。
めかぶうどんにヒオウギ貝。
めかぶはワカメの根っ子です。
隠岐近海で採れるワカメは味も香りも最高なんですよ。
しかしこれ綺麗なもんやな。
そうそう他にも色があるんですよ。
ヒオウギ貝は赤と黄色と紫橙それに茶色があるんです。
なんでこんな色がついたんやろうな?貝に聞いてください。
分かりました。
おばちゃ〜ん。
カレーライスくれんかね。
(時子)は〜い亀井さんまたカレー?早いとこ嫁さんもらって愛妻弁当作ってもらわにゃな。
(亀井)朝から晩までな〜んもやることない。
暇で退屈な離れ小島の駐在に来てくれる人がおったらな。
サザエたっぷりサービスしてや。
サザエ?隠岐のカレーはサザエが入ってるの。
亀井はん…。
わし万年言います。
亀は万年。
ご縁でんな。
はあ…。
もしお暇やったらちょっと案内してほしい所ありまんねん。
君も来るかい?もちろん…。

(牛の鳴き声)ここです。
頭がこっちで足がこっち。
2人こうキチンと並んで。
顔色もよくて死んでるようには見えませんでしたね。
男はどっちでした?男性がそっち。
女性はこっちですね。
青酸カリやて?ええ缶ビールに入れて。
空き缶が足元に転がってました。
書き置きとか遺書とかは?ありません。
けど心中以外考えられませんよ。
死んでからどのくらい?10時間。
発見は朝の6時頃。
死亡は前日の夜8時。
島に着いてすぐここに来たんですね。
別府港6時着のフェリーに乗って…。
港からここまで歩いて2時間。
歩いて?タクシーも島の人の車も使ってません。
6時のフェリーで来たのは間違いない?乗客名簿に名前が…。
照合したら本人の筆跡でした。
銀行のお金を使い込んだとか。
思い詰めたんだろうな〜。
泥棒もいない平和な島で…。
びっくりしましたよ。
(牛の鳴き声)
(シャッター音)うわ豪勢なもんやさすがは隠岐日本海海の幸や奈津ちゃん。
奈津ちゃん!食おう食おう。
ちょっといいですか?なんですか?万年さん何しにここへ来たんです?グルメの取材…。
本当ですか?本人がそう言うてんのやから。
だって…。
そや…亡くなった河津の実家松江の外れやったな。
よしあす松江に戻ろう…。
(やす子)48歳になるまで女遊びなんか知らない堅物でした。
それなのに…銀行のお金に手をつけるなんて。
相手の田村友子とかいう人知ってはりました?松江のクラブのホステスだってことは警察の人から聞きました。
クラブのホステス?ええ…。
八雲というクラブの…。
まさかあんな安っぽい…。
大阪の家出娘で身元もすぐには分からなかったんです。
お墓は?主人がこの地が好きだったんで生前に墓地を買ってあったのでそこに…。
(泣く声)あら?先客がいらっしゃるみたい。
三枝子はん。
(酒井三枝子)万年さん…。
いや〜お久しぶり…。
松江にはいつお見えになったんですか?一昨日です。
着いたのが夜遅かったんで須山の会社に泊まって。
須山さんの?ええ。
あのお嬢さんも須山の会社の社員ですわ。
見たことありますわ。
会社にお伺いした時。
借金取りに?河津さんのことお書きになるつもりなんですか?友達の誼でね。
三面記事とは縁を切ってます。
しかしあいつも幸せなやっちゃな。
三枝子はんに墓参りしてもらえるやなんて。
昔から憧れの人やったからね。
顔出すよ店へ。
たしかスナック千扇やったね?お店替わったんです随分前に…。
へ〜どこへ?世話してくださる方がいて小さなクラブを任されて…。
そんならママさん…。
なんちゅう店や?八雲って言います。
八雲っていうクラブの…ただくっついて歩いてて…。
邪魔なんです。
私なんか。
あの万年て人グルメの取材なんてうそです。
どう考えたって河津支店長の心中事件を取材してるんです。
それなのにのらりくらり何を聞いてもぐずぐず…。
あの人私のこと馬鹿にしてるんです。
そんなことないよ。
オッさん嫌いか?オッさんによりますっ。
万年が何をしようとしてるかそっちを調べたほうが面白そうだ。
興味ないか?ブンヤとして…。
機嫌を直せよっ。
きっと面白いぞ〜。
はあ…。
いらっしゃいませ。
万年さん来てくださったのね。
そら来まっせ。
5年ぶりにあんたの顔見てしもうたから。
おおきに…。
席にご案内を…。
わしここでええ。
すみません。
こんなところで…。
いいかしら?もちろん。
商売の邪魔はいたしません。
みどりちゃんお願いね。
ではごゆっくり…。
いらっしゃいませ。
みどりです。
かわいらしいね。
何なさいます?水割りバーボンピーナッツ。
はい。
あと私も何か頂いていいですか?ああかまへん。
水割りバーボンにピーナッツ。
あとジンフィズお願いします。
アハハハハ…。
さどうぞ…。
元気なおっさんやな。
誰や?山本さんっていう人。
上方銀行のお偉いさん。
上方銀行いうたらこないだ亡くなった…。
知ってんの?うん。
あの河津さんの後釜の支店長候補。
もう内定してるんだって。
ほう…。
棚からボタ餅って訳やな。
そら機嫌がええはずや。
(高笑いの声)お待たせしました。
あの心中した女の子この店の子やったんやて?蘭ちゃん?蘭ちゃん言うてたんか。
でもあたしびっくりしちゃった。
何が?蘭ちゃんと河津さんでしょ?年も全然違うし。
てっきりお目当てはママだと思ってたの。
合縁奇縁男女の仲は分からんもんや。
なにそれ?
(絶叫調の歌声)激しいオッサンやな。
こりゃ環境破壊やぞ。
稲富屋の稲富さん。
稲富屋?スーパーの社長随分景気悪いって噂だから銀行さんにはペコペコ…。
でもさ銀行ってみんな私たちの貯金でしょう?なんであんなに威張らなきゃいけないの?銭とゴミは汚い所に集まる。
毎日札束勘定してるとな他人の物も自分の物も見境がのうなるんや。
こりゃどうも山本はん。
随分とお楽しみでんな。
なんだ君は?北川万年。
亡くなった河津の友達ですわ。
今夜はお祝いでっか?次期支店長内定の…。
おめでとう…。
万年さん…。
うまい具合に河津が亡くなってほんま万々歳でんな。
嬉しゅうてたまりまへんやろな。
君っ。
おっと…。
無礼じゃないかっ。
こりゃ稲富はん。
あんさんもさすが商売人でんな。
先を読むのも早いし切り替えも早い。
河津の初七日も済んでへんのに次期支店長様のご機嫌取りを?
(稲富)なんだとっ?万年さん…。
万年さん帰ってね。
お願いだから帰って。
心配いらん。
三枝子さんを困らせる気はない。
山本はん稲富はんほなお騒がせしました。
みどりちゃん勘定や。
お帰んなさい。
なにしてるんだ?こんな所で…。
随分待ちました。
お話が聞きたいと思いまして。
話すことはない。
警察を呼ぶぞ。
構しまへん。
警察まじえて話ししまひょか?なにっ?わしね大阪で河津に会うてまんねん。
それも亡くなる2日前の夜…。
興味ありまへんか?家では困る…店に。
妙なことを言い出すんじゃないよっ。
河津さんが大阪で何をしようとわしには何の関係もない。
河津さんは心中したんだぞ。
勝手に死んだんだ。
わしの知ったことか。
留守電にね河津さんの声が入ってたんですわ。
「助けてくれ。
怖い。
殺されるかもしれへん」てね。
滅多に家に帰らんわしも悪い。
けどその留守電聞いたん河津が心中した後やったんですわ。
助けてやることができんかった。
こうして調べて回っとんのもその償いのつもりなんや。
そんなこと言ったって心中は心中なんだから。
稲富はん…わし不思議でたまりまへんのや。
河津が留守電に入れたのはわしに会う前やったんです。
けど大阪で会うた時の河津は全然そんな様子やなかった。
しかもその2日後に隠岐で心中しとるやなんて…。
これはなんか裏がある。
わしはそう思えてなりまへんのや。
知らんよ。
わしは知らん!別にあんたを疑ごうてる訳やおまへん。
手がかりが無いんや。
河津が死んで得をするのは誰か?考えてみましたんや。
あの店ではみんな嬉しそうやった。
次期支店長の山本はん一人やない。
みんなそうや。
嬉しいよ嬉しいよっ。
あんたには分からん。
わしゃ必死なんだ。
ここまで育ててきた店だ。
50人からの従業員とその家族を守ってやらなきゃいかん。
潰してたまるものかっ。
この気持河津さんはまったくなにも…。
しかし山本さんは分かってくれたんだ。
嬉しいのは当たり前じゃないか。
山本はんが融資の約束をしてくれた…?あの人は海千山千だ。
くそ真面目な河津さんとは違う。
商売上のつきあいはきれい事じゃないんだよっ。
山本さんのバックには赤堀建設が控えてるしとても…。
赤堀建設?地元の?ゼネコンの?稲富はん言うてください。
稲富はんっ。
もういいじゃないか。
わしは関係ない。
そう言ってるだろ。
関係ないかもしれへん。
けどあんたは知ってる。
帰ってくれっ。
見ず知らずのあんたにこれ以上何をしゃべるんだ。
帰ってくれっ。
(鳥のさえずり)すみません北川万年さんと連絡を取りたいんですが…。
北川万年様は本館のほうに…。
そうですか…。
もうちょっとレフ上げて。
上げすぎや。
お〜よしよし。
おはようございます。
よう懲りずに来たか。
ほなすみ子さんおおきに。
(シャッター音)七珍料理や。
宍道湖で採れた七つの珍味。
スモウと…?スモウアシコシ。
相撲に足腰?地元のくせに知らんのか?頭文字ですよ。
スズキ…モロゲエビ…ウナギ。
アマサギ…シラウオ…コイ…シジミ。
食いたいか?朝御飯食べました。
そら惜しいことしたな。
ほなわしが食うのを見物してそれから出雲や。
出雲?割子そばせっせと仕事せな。
スモウはアシコシ…。
は?はあ?神殿お参りなさいます?それより町の観光課か広報でそば屋紹介してもろうてや。
おそば屋を?いきなり行くわけにいかんやろ。
私一人で?2人で行くことないやろ。
わし神社見てる。
3時間後に旧大社駅で会おう。
分かりました。
な…。

(かしわ手)
(かしわ手)
(拍手)
(赤堀)私赤堀栄太郎徒手空けん裸一貫でこの20年を闘ってまいりました。
それを思いますと本日は感無量であります。
さてここにお集まりの皆様方は当社の未来へ向けた一大プロジェクト宍道湖畔大規模リゾートパークの開発に御賛同くださる方々ばかりです。
(拍手)私はお約束しましょう。
皆様方のご期待に決して背かぬことを…。
そしてこの計画を必ずや実現させます。
(司会)それでは赤堀さんのお孫さんからの花束贈呈です。
(拍手)おめでとう。
はいありがとう。
おめでとうございます。
ありがとう。
(拍手)山本はん昨日はどうも…。
君!何しに来たんだ!?こんな所へ…。
お近づきになりとうてね。
嫌わんといてくださいよ。
稲富が見えんようだが…。
(岡田)招待状は出しまして出席の返事も頂き…。
赤堀さん。
本日はおめでとうございます。
ああ。
あの宍道湖リゾート化計画というのん上方銀行も出資するんでっか?そんな約束になってるんで…?そんな事は知らんよ。
また〜。
次期支店長さんが知らん事ない。
どの位出資を…?5億円?10億円?もっと…?叩き出すぞ!へえ。
よかったらひと騒ぎしましょうか?ちょっと失礼します。
ああ…。
万年さん。
どうして…!?どうなさったの?稲富はんから赤堀はんの名前聞いて…。
彼に…?ああ。
山本氏が赤堀はんとつるんでると聞いてたがまさかあなたがここに来てはるとは…。
だってお店の大事なお客さまですもの。
なるほど。
義理は欠かせんってわけや。
万年さん。
彼らは怖い人たちよ。
これ以上近づいたら危ないわ。
三枝子はん…わし女房子供に逃げられてから守るもんがのうなって…。
だから何も怖いもんないんです。
万年さん…。
(久美子)ねえ…ちょっといい?あなた…。
万年さんごめんなさい。
三枝子はんと喋ってる女な身元調べてくれるか?頼むわ。
旧大社駅で待ってるし。
よっしゃ!
(争う声)万年さん!万年さ〜ん!誰か!誰か来て!万年さんしっかりして!しっかりして万年さん!今警察に…。
やめてくれ!面倒な事聴かれたり喋ったりしとうない。
だって…。
それよりなぁ奈津ちゃんの腕の中で優しく介抱して〜な。
お断りします!うれしいわ〜。
くそっ!ひどい事しやがる。
これで引き下がる思うたら大間違いや。
宍道湖のリゾート計画の事は知ってました?3年以上前から持ち上がってたの。
3年…!?でまだゴーサイン出えへんのか?反対する人が多いんです。
生態系が破壊されるからって…。
社長もそうなんです。
須山も?ええ。
宍道湖の自然を守ろうって湖北新報がキャンペーン記事も書いてて…。
私その記事を読んで社長のファンになったんですよ。
へえ…。
きょうのパーティーに来ていた人たちは賛成派。
社長や…亡くなった河津支店長は反対派。
覚悟しましたからね。
お手伝いしますからね。
須山に言われたんか?とりあえずは…。
(店員)醤油ラーメンです。
は〜い。
はい。
おおきに。
(チャルメラの音)いただきま〜す。
あ痛タタタ…。
大丈夫ですか?くそっ!ひどい事しやがる。
が自ら白状したみたいもんや。
心中事件仕組んだんは奴らや。
河津が怖い言ってたのは赤堀建設やったんや。
まだ証拠がありません。
奈津ちゃん頼んどいた女の人…誰や分かったんか?あの女性酒井久美子さんっていうの。
酒井…?あのママさんの妹さんなんですってよ。
三枝子はんの妹!?ね万年さん。
あの女性の何が気になったんです?耳飾りや。
耳飾り!?ああ…イヤリング。
どっちでもええがな。
わしなその耳飾り見たんや。
道頓堀で河津に会うた時連れの女性がしとった。
でも何で三枝子はんの妹がしとったんやろ?同じデザインの別な物かも…。
そんな偶然あるかいな。
じゃどういうこと?もしかして道頓堀で会うたおなごはんと心中したおなごはんは別人かもしれんな?偽装心中…!?奈津ちゃん!心中相手の…確か田村友子いうおなごはん…ちいっと調べてくれんか?警察に報告書があるはずや。
当時の服装遺留品耳飾りのこともな。
頑張ります!いらっしゃいませ。
お待たせしました。
稲富ですが…。
は…?君…いやそうじゃない。
そういう事じゃないんだ。
ちょっと体調が悪くて…。
欠席したお詫びは明日にでもじかに赤堀さんに…。
えっ!?あの男が…!いいやわしはそんな事は言わんよ!言うもんか!君そりゃ誤解だよ!わしは決して…!酒井はんどこにいます?奥で作業車に乗ってます。
ああ。
すみまへん。
酒井はんでっか?はい!?わしおねえさんの友達でんねん。
ちょっとお話聞かせてもらえまへんか?大長新聞の記者さん?覚えてます私。
昨日の赤堀建設のパーティーにもいらしてた。
覚えやすい顔いわれてまんねん。
それも善しあしだけど…。
どうぞ。
久美子はん。
最近大阪に行ったことは…?大阪!?ええ。
そうでっか?どうも見たような気がして…。
私松江より遠い所へ行ったことないんです。
ええ!?それにこの松江とももうきょうかぎり…。
昨日はその話をしに姉さんに会いに行って…。
やはり牧場手放すの嫌だし…。
牧場!?牧場…持ってはるんでっか?牧場っていっても小さな…。
昼は摩天崖の方で放牧をして…。
摩天崖?ほな隠岐の?ええ。
ほなあんたも三枝子はんも隠岐の出身なんでっか?そうです。
牛の面倒を見てくださってる方がこのまま買い取ろうかって…。
でもそれじゃ思い出が…。
父や母や小さい頃の思い出が…。
だから私もう隠岐に帰ろうって…。
結婚しようって言ってくれてる人もいるんでその人と…。
ひとつお聞きしてもよろしいか?昨日パーティーでしてはった耳飾りね。
耳飾り!?ああイヤリングね。
どっちでもええがなもう。
あれどこで手に入れはった?あああれ…。
これですか?姉さんの忘れ物もらっちゃったんです。
このところ何度か行き来してて隠岐の家にあったので…。
三枝子はんの…!?はい。
(場内放送のチャイム)
(場内アナ)「北川さん。
お電話が入っています。
受付までお越し…」ちょっと失礼…。
すんまへん。
あもしもし…奈津ちゃんか。
どないしたんや?何やと!?稲富はんが!?ええ。
私がいる時ちょうど連絡が入って…。
今一緒に連れていってもらって…。
いえまだ分かりません。
遺書が残されてるようですけどまだ何とも…。

(刑事)遺留品です。
靴と遺書のようです。

(ウミネコの鳴き声)
(警官)はい退がって退がって!万年さん!稲富はん…!スーパーが経営難で借金が膨大に…。
それを苦にした自殺だって。
遺書も残ってるし近頃世の中がひどい不況だから多いんだってこういうこと。
うそや!
(船のエンジンの音)口封じや。
稲富はんは何もかも知ってはった。
そやから口封じに殺されたんや。
絶対に自殺やない。
でも遺書が…。
ワープロの遺書やて?ええ…!?その遺書写しでええから…手に入らんか?警察の方は色仕掛けで何とかならんか?頑張ります!ああ。
で…警察の方はどうやったんや?え?あの心中の田村友子とか…クラブで「蘭ちゃん」いわれとった。
ああ。
身元は分かりました。
大阪の下町生まれで23歳。
クラブ「八雲」には半年前からいたが店に届け出てた住所が本当の出身地と違い警察はてこずったそうです。
服装は?白のブラウスに赤いスカート花柄の上衣にベージュのコート…。
遺留品はハンカチ財布中身は2万3000円。
口紅コンパクトティッシュ…。
ハンドバックは黒革です。
耳飾りは?ありません。
死体の写真を見てもしてませんでした。
奈津ちゃん!あの耳飾りな…。
久美子はんが三枝子はんからもろうたそうや。
じゃ〜!道頓堀で河津さんと一緒だった女性三枝子さん!?そんな事ない!なら何でわしに挨拶せえへん。
友達と違うんか?見られたら困るからでは…?何が…?だって彼を隠岐に連れてって友子と入れ代わって2人を心中させるため…。
ええかげんな事言うな!先入観を持ったらあかん!事件の取材に予断は禁物なんや!あんなおとなしくて優しくて綺麗な人が悪い事せえへん!もっと目開けて現実を見つめえ!万年さん三枝子さんに恋してらっしゃるの?あほっ!わしには女房も子供もおるわい!別れたって…。
別れた女房がおるやないか!別れたら他人でしょう?別れた女房や!あの三枝子はんが悪い事なんかするはずがない。
裏で操る人間がおるんや。
きっとそうや。
稲富屋はかわいそうな事をしたな。
(山本)はあ。
我々が追い詰めたのかね?いいえ。
彼は自分で自分を追い込んだんです。
いわば自業自得です。
経営状態がかなり悪化し借金も雪ダルマ式に増えて…。
行き詰まったんですなとうとう…。
金なら…何とかしてやれたんじゃないのかね?もちろんそうするつもりでした。
せめて支店長を拝命するまで待ってもらえれば…。
でも…ホンの少しが待てなかったんです。
あの男か?はあ…。
稲富屋はうちで買い取ろう。
今いる従業員も含めてすべて助けてやろう。
よく調査をして手続きを取ってくれ。
お疲れさまです!お疲れさま。
池田さん!パソコンって…?よろしいでしょうか?何だ?万年さんの記事頼まれて…。
ワープロお借りしていいですか?構わんがガタが来てるよ。
万年さんの字よりはマシです。
ひどい事になってきたな〜。
稲富に死なれちゃ…心中事件の捜査にも支障するんじゃ…?彼は自殺じゃないわ。
私も万年さんも確信持ってるの。
殺されたのか?稲富も…。
私たちきっと真相を突き止めます。
ブンヤ魂です!それ読んでもいいかい?あどうぞ!あそれ…グルメの原稿ですけど。
万年さん!?三枝子はん…ちょっとよろしいか?どうなさったの?今頃…。
店じまいなんは分かってんねん。
だが…どうしても話したい事があるねん。
何ですか?話したいことって…。
実は…心中事件の犯人が分かったんです。
あの心中は仕組まれたもんで…。
河津は殺されたんです。
田村友子いう女の人はかわいそうに当て馬でした。
犯人は…誰だとおっしゃるんですか?あんたの妹さんです。
久美子が…!?オホホホ…。
何をおっしゃるのよバカバカしい。
あの妹にそんな事ができるもんですか。
何の証拠があってそんな事を…?証拠はあります。
道頓堀で河津と会うた時に一緒にいた女性がしとったもんです。
亡くなった田村友子はんはその人と同じ服を着せられてたがこの耳飾りはしとりまへん。
2人は別人やった。
それが…この耳飾り。
何と久美子はんのもんでした。
お借りしてきましたけど。
久美子はんは河津を大阪から連れ戻して田村はんと一緒に心中に見せかけて殺したんです。
そんな事うそです!絶対に違います!久美子は人殺しなんかできやしません!それにそのイヤリングは…。
このイヤリングは?三枝子はん。
妹さんをかばう気持はよう分かる。
かわいい妹や。
結婚の話も出るような恋人もいるようだしこれからの人生ぶち壊しにさせとうはない…けど罪は罪や!これは償わなあかん!警察に…おっしゃるんですか?わしは刑事やない。
逮捕なんかできまへん。
自首を勧めるつもりや。
隠岐へ…久美子はんに会いに行って来ますわ。
待って…!
(船の汽笛)
(ウミネコの鳴き声)万年さん!捜しましたよ!あこれ…稲富さんの遺書とグルメの原稿です。
色仕掛けうまいこといったようやな。
私寒いから船室に戻りますね。

(牛の鳴き声)ああどうも…。
こんにちは!大変ね。
一人でやってらっしゃるの?ええ。
去年までは父とやってましたが亡くなったので…。
知る人ぞ知るブランド牛。
隠岐牛やね。
放牧なのでここは寝に帰るだけ。
昨日まで近所の方に頼んでて…。
けど今度は一緒にやってくれる人と頑張るんやね。
松江に行く時別れたんで今はどう思ってるのか…?それに姉も反対してるし…。
な〜。
姉さんが結婚するんやないんや。
しっかりしいや。
人みんな生き方は違うんやで。
北川さん…。
姉に何かあったんでしょうか?三枝子はん来てはるんやろ?今朝早く一人で…。
うそ!?私たちが乗って来たより早いフェリーはないわ。
赤堀建設の船が資材を運んでるんです。
それで…北川さん来たら教えてって…。
どこで待ってはるんや?摩天崖です。
大切な話があるからって…。
君…どうしてここにいるんだ?ここで何をする気なんだ?分かるんだよ。
やってる事は全部…。
我社の者を万年につけてある。
その娘が全部報告してくれてるんだ。
私の後をつけてたんですね?迎えに来たんだよ。
万年が君を追っている!気が弱くて真っ先に崩れそうだった稲富屋は始末した。
次は君だ!私をどうするつもり…?知りすぎているからね君は…。
それを他人に喋られると僕は破滅だ!残念だよ。
誰よりも君だけは信じていた。
10年前男にだまされて松江をうろついていた君を拾い上げたのは僕だ。
バーのホステスに始まって小さなスナックのママをしてた頃には事情も知らずに万年も常連に…。
今の店のオーナーを紹介してやったのも僕だ!その僕を裏切るなんて…。
君は敵に僕を売ったんだ!裏切るとかあなたを売ったとかそんな悲しい事言わないで…!私はあなたのためにと必死だった。
でもこのままでは妹に迷惑がかかりひどい目に遭うんです!僕はどうなってもいいのか?僕より妹の方が大切なのか!ごめんなさい。
ごめんなさい!でも私たちしかたがない。
しかたがないじゃありませんか。
久美子には苦労をかけて…。
勝手に私が島から出てから妹は一人で牧場を支えて父が死ぬまでその面倒をみて…。
いい事など何もなく…私のせいで…。
だから幸せにしてやりたい。
妹だけは幸せになってほしいんです。

(クラクション)万年さん!須山!社長!?お前何しとんや?え!万年何だ怖い顔して。
俺だって三枝子さんに会いたい時もある。
三枝子はんから離れろ!怒るぞ万年!須山!稲富はんの自殺仕組んだのお前やろ?恐らく河津の心中事件もな。
まさか…!?万年さんそれ本当?バカなことを…。
証拠があるか!証拠はこれや。
何だ!?それ…?これは自殺した稲富はんの遺書。
こっちはわしのグルメの原稿や。
よう見てみい。
「か」の字「る」の字…。
印字がかすれとる!おんなじ癖や!おんなじワープロで打ったもんや!お前のワープロやがな!万年さん。
全部話します。
久美子には…妹には何の関係もないんです。
やったのは私です。
黙れ!うそを言うな!勝手な事を言うな!やめろ!殺してやる!
(銃声)動くな!動くと撃つぞ!亀は万年の亀井はんやないか!はあ万年さん…。
知ってるねん!?ああ。
あんたが婚約者やったんか?三枝子はん…。
わしが道頓堀で会うたんは久美子はんやない。
あんたでしたね?ええ。
大阪へ私は河津さんを追いかけて行ったんです。
河津さんは今の次期支店長の山本さんたちが銀行のお金を使い込んでる事を知って本店の査察部へ報告しようとして…。
使い込んだのは山本の方…?ええ。
億というお金…。
ですから何としても引き止めよう連れ戻そうと必死だったんです。
そうか…。
それで河津は身の危険を感じてわしにあんな電話をしよったんやな〜。
河津!?河津やないか!北川…!びっくりした!どないした!?こんな所で…?けどあん時何で河津はあんたの事をわしに隠したんやろ?大阪に来たことは内緒だって私が言ったの。
バレたら私もひどい目に遭うって…。
みんなが必死に追いかけて来てるから大阪は危い…。
一緒に隠岐へ行ってしばらく身を潜めようと私はそう言いました。
(船の汽笛)
(車のエンジン音)
(三枝子)午後6時にフェリーに乗ったのは山本さんでした。
やめろ!言うとおりにする!やめてくれ!ねえ!やめて!あああ…!
(三枝子)まさか殺すなんて…。
話し合いがあると思ってました。
使い込んだお金何とかするから本店に知らせるのは待ってくれと言ったような…。
おい!怖くて…何にも考えられなくって…。
ただ私は共犯者だ人殺しだって…。
その事だけが頭の中で何度も…。
捕まれば私の一生はもうおしまい。
たった一人の妹にだってどんなに迷惑をかけるか…。
捕まるわけにはいかない…。
もう須山さんについていくしかない。
須山さんからもう逃げられない。
そう思ったんです。
社長!どうしてそんな事なさったんですか?信じてたのに…。
信じてたのにどうして!背景には赤堀建設の宍道湖リゾート計画があったんや。
河津は反対派やった。
使い込みの罪を河津に押しつけ死んでもらえば推進派は万々歳やった。
でも社長だってリゾート計画には反対してたじゃないですか!自然保護の観点から大々的にキャンペーン張ったじゃ…!私あの記事に感激してこの道を選んだんです。
そやわしも聞きたい!いつ考えを変えたんや。
魂を売ったんや!魂を売った?フフフ…。
貴様なんかに何が分かる。
何…!俺にとっての最大の敵はな…。
万年お前だ!同期でキレ者の事件記者として他紙にまで名が売れたお前だったんだ。
お前だけには負けたくなかった。
前にも言ったろう。
俺が湖北新報を立ち上げたのもお前と勝負するためだった。
その勝負が赤堀のリゾート計画だった。
俺はジャーナリストとしての信念から反対した。
湖北新報を反対派の砦にした。
だが妨害が激しく会社自体が逼迫した。
会社が潰れたら赤堀と勝負もできない!そんな時に三枝子が山本を紹介した。
山本は融資を約束し俺は飛びついた!けどその金は買収資金ってことお前知ってた!いや俺は三枝子から借りた。
う回融資という証拠もない!社長!卑怯です。
もしバレたら三枝子さん一人の責任にするつもり…?この人の夢を壊したくなかったんです。
私はこの人について行きたかった。
最後まで…。
三枝子はん!あんたっちゅう人は…。
待って…ねえ待って…。
なあ…。
支店長が!河津が…資金流用の証拠を持って大阪の本店に飛んだ!食い止めないと俺たちはおしまいだ!須山…。
わし腹もたってるけどな少し悲しいんや。
三枝子はんや奈津ちゃんを利用し傷つけた事もだがな何よりもお前の新聞の読者をいつまで裏切り続けるつもりなんや!畜生!貴様さえ…貴様さえのこのここっちに現れなきゃ!
(奈津子の泣き声)私…この島を出たかったんです。
どうしても出たかった。
だから好きでもない人と父の反対を押し切ってまで…。
でも捨てられて…。
今更父への元へは帰れないしどこにも行く所もないし…。
須山さんに助けられたのはそんな時でした。
それ以来…この人を頼るしかなくって…。
裏切ってしまった父への思いも重なって何もかもこの人の言いなりに…。
三枝子はん…。
署まで…ご同行願います。
はい。
おねえさん。
僕たち結婚します。
許していただけますか?亀井さんね退官して一緒に牧場をやってくれるって…。
久美子…おめでとう。
幸せにしてあげてください。
お願いしますね。
はい。
さあ…。
姉さん…。
姉さん!私待ってるから!ここでずっと待ってるから!待ってるから…。
北川ですが。
先ほどからお待ちです。
どうぞ。
(赤堀)見たまえ。
これが宍道湖の夕陽だ。
この美しさに魅せられた。
私にとってこの湖は恋人みたいなもんでね〜。
もっと綺麗にきらびやかに飾り立ててあげたかった〜。
それが私が生涯をかけた夢だった。
だが美しいデコレーションケーキには欲にかられたアリどもが群がってくる。
上方銀行の山本湖北新報の須山死んだ稲富「八雲」のママみんな甘い蜜に吸い寄せられたアリだ!まあ彼らにはやがて司法の手によって厳しい裁きが待っているんだろうがね。
アリと言わはりまんのか?アリでっか?彼らは…。
違う!人間や!甘いケーキに踊らされたかて欲にかられて殺し合うたかてあんたと同じ人間や。
一連の事件は須山と山本が共謀してやったんやそうでんな?あんたを喜ばすために…。
あんたは何にも知らんかったそうでんな。
せやから2人は裁かれても…。
あんたには何のお咎めもないそうでんな!ええんでっか?それでええんでっか?わしは許さんぞ!赤堀はん…。
分かってるよ。
だから私はこの計画を捨てようと思う。
若い頃からの見果てぬ夢と今…お別れをしてるんだ。
これで許してもらえるかね?
(江藤)いやしかしすごいわ!大変なスクープや。
わしの愛は変わらん。
永久に愛してるんや!ええ年して愛したの恋したの…うっとおしいから黙って!愛に年齢があるかい!阪神タイガースや。
永久に不滅や!それ巨人や!そんなことええがな!年寄りの冷や水って言うんや。
言うたな。
できるで。
町なかでお前と手つないだんで。
おそろいのセーター着たんで。
真っ昼間電車の中でお前とキスしたるわ!気色悪い!とっととお帰りっ。
塩まくで!まけるもんならまいてみい!わしゃナメクジとちゃうわい!塩なんかへでもないわい!うわっ!2016/01/07(木) 13:00〜15:00
テレビ大阪1
午後のサスペンス「やもめ記者の事件メモ」[字]

穴道湖をめぐる人々の欲と金…。友人を助けられなかった償いをすべく、万年の記者魂が甦る!

詳細情報
番組内容
根っからの大阪っ子である新聞記者の北川万年は、以前は社会部の敏腕記者として鳴らしていたが、妻子と別れてから人が変わり、今は文化部のグルメ担当として仕事をしている。ある日、万年は以前の赴任先である松江時代の友人・河津久之と道頓堀で偶然再会する。河津は万年に会うために何度か連絡を入れたが、不在だったという。万年が用件を尋ねると、河津はどこか歯切れが悪い。
番組内容続き
ふと見ると、河津の連れらしい女が万年に背を向けて立っていた。事情を察した万年は河津と別れる。万年は女の顔は見なかったが、その金色のイヤリングだけが目に焼きついていた。数日後、万年は新聞で河津が隠岐ノ島で若い女性と心中したという記事を目にし、驚く…。
出演者
北川万年…西郷輝彦
 近藤奈津子…細川直美
 須山忠雄…石丸謙二郎
 佐々木部長…綾田俊樹
 江藤記者…沖田さとし
 田坂記者…関秀人
 上原富子…床嶋佳子
 赤堀栄太郎…近藤正臣
 山本達也…下元年世
 河津久之…水上保広  ほか
原作脚本
【原作】秋間平安
【脚本】古田求
監督・演出
【監督】奥村正彦

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ

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