ダーウィンが来た!「ホッキョクギツネの子育て奮闘記!」 2016.01.07


氷に閉ざされた北の大地。
雪原の中を走るこの真っ白な動物が今日の主人公です。
キツネの仲間ホッキョクギツネです。
夏になると変身!真っ白な毛が黒い毛に生え変わります。
夏はホッキョクギツネの子育ての季節。
今回8匹の子どもを抱えた大家族に密着しました。
家族のためお父さんは獲物を求めて狩りに大忙し。
自分より大きな相手にも果敢に挑戦します。
でも家族の周りはホッキョクグマをはじめとする怖い天敵だらけ。
中でも一番の強敵は…アカギツネ。
子どもを狙って頻繁に襲いかかってきます。
子どもたち大丈夫?極北の原野で必死に生きるホッキョクギツネ家族の子育て奮闘記です。

(テーマ音楽)カナダ北東部に位置するハドソン湾。
面積は日本の3倍もあります。
冬の間は見渡す限り氷に埋め尽くされます。
湾の沿岸に広がるツンドラ地帯が今日の舞台です。
年間の平均気温は氷点下5度ほど。
1年の半分以上雪と氷に覆われます。
長く厳しい冬。
すべてがいてつく過酷な環境。
暮らしていけるのはごく限られた生きものだけです。
その中で小さいながらもたくましく生きている動物がいます。
今日の主役真っ白な毛に覆われたホッキョクギツネです。
体長は60センチ。
体重は5キロほど。
小型犬ぐらいの大きさです。
より南に暮らすアカギツネと比べてみるとホッキョクギツネのほうが顔が丸いうえに耳は小さめです。
横から見ると鼻も短め。
体の表面積を小さくすることで体温が奪われるのを防いでいるんです。
寒さに耐えられる秘密はほかにもあります。
全身を覆う白い毛。
実は中が空洞になっています。
太陽の光が当たると毛の中の空気が暖まるので保温性が抜群なんです。
さらにこの毛の根元には短い毛が密に生えているので体の熱も逃しません。
冬の間は足の裏にも毛が生えるので足元の防寒もばっちり!毛のおかげで氷の上でも滑りにくく一石二鳥です。
氷点下50度くらいまではへっちゃらなんだそうです。
おや?立ち止まりました。
どうしたんでしょう。
おっと!ジャンプして頭から雪に突っ込みました。
狙っていたのはレミングというネズミの仲間。
ホッキョクギツネの一番の獲物です。
においと音で雪の下の獲物を見つけて捕まえます。
今度は…。
穴を掘っています。
実はこれ食べ物の残りを隠しているんです。
獲物がとれなかった時には掘り返して食べます。
食べ物が少ないこの場所で生きていくための知恵です。
ツンドラの大地に雪解けの季節がやってきました。
短い夏の始まりです。
雪の下から顔を出した植物で大地は緑に覆われます。
ホッキョクギツネもこの時期真っ白な冬毛から黒い夏毛に生え変わります。
黒くなるのは地面の色に紛れ天敵の目を避けるためだと考えられています。
夏はホッキョクギツネの子育ての季節。
仲よくじゃれ合うこの2匹は夫婦です。
ホッキョクギツネが子育てをするのは地面の下の穴の中。
巣穴は代々受け継がれ中には300年近くも使われているものもあるそうです。
この穴は全部巣穴の出入り口。
中でつながっています。
出入り口が100個もある巣もあるんですよ。
おや?穴から何か出てきました。
子どもたちです。
全部で8匹。
この子どもたちの成長を見ていきましょう。
子どもは生後1か月。
体重は450グラムほどです。
産まれてすぐのころは巣穴の中だけで過ごしますが生後1か月ほどで外に出るようになります。
よちよち歩きの子どもたち。
外の世界に興味津々の様子です。
お母さんがやってきました。
お乳の時間です。
お母さんは1日に数回子どもたちにお乳を与えます。
まだまだ幼い子どもたち。
生後2か月ほどまでは母乳が欠かせません。
おなかがいっぱいになるとみんなでお昼寝。
寝顔もかわいいですね〜。
こちらはお父さん。
家族のために狩りに出かけます。
探しているのはレミング。
家族を養うには1日に30匹ものレミングが必要です。
しかしこの年は例年に比べレミングが少なくなかなか獲物が見つかりません。
おなかをすかせた家族のためお父さんは一日中広大な原野を探し回ります。
やっと獲物を捕まえて巣穴へ帰ってきました。
すぐに子どもたちのもとへと運びます。
先を争うように獲物を奪い合う子どもたち。
こちらでは兄弟げんか。
結構激しいですね。
子どもたちは成長するにつれ食べる量も増えていきます。
しばらくするとお父さんは再び狩りに出かけていきました。
狙いを付けたのはカナダガン。
この季節子育てのためにツンドラ地帯へやってきます。
翼を広げると1メートルほど。
お父さんよりもはるかに大きな相手です。
(鳴き声)お父さんじっと卵を温めている1羽に狙いを付けました。
慎重に近づいて…。
お父さん行った〜!しかしあっさり逃げられてしまいました。
お父さん諦めずにもう一度アタック!羽を広げて迎え撃つカナダガン。
おっと!首元に強烈な一撃。
カナダガンたまらず空中へ逃げていきます。
おや?ここでカナダガンの反撃だ!得意の空中殺法がさく裂!これはいいのが入ったか。
スローで見てみましょう。
お父さんギリギリでかわしましたが完全に戦意喪失です。
結局捕まえることはできませんでした。
そこでお父さんが目を付けたのはカナダガンの卵。
親鳥が一瞬巣を離れた隙をついて…それ!今度は成功です。
お父さんなかなかやりますね。
苦労して手に入れた卵。
割らないように慎重に巣穴まで運びます。
お父さんが巣穴からお母さんを呼び出しました。
卵は子育てに忙しいお母さんへのプレゼントだったんですね。
仲の良い両親の愛情をいっぱい受けながら子どもたちは元気に育っていきます。
7月のある日。
子どもたちはお父さんの運んできた獲物の奪い合いに夢中です。
あっ1匹が獲物をくわえてみんなから離れていきました。
独り占めするつもりのようです。
その時です。
違う種類のキツネが近づいてきました。
お母さんも気が付いたようです。
アカギツネです。
アカギツネは体長80センチ体重は7キロほど。
ホッキョクギツネよりもはるかに大きな体格をしています。
アカギツネはホッキョクギツネの巣穴を奪ったり子どもを襲うこともある恐ろしい相手です。
そんな天敵が目の前に…。
お母さんに緊張が走ります。
アカギツネはくわえていた物を置きました。
お母さんはほえて威嚇します。
ただならぬ気配に子どもたちは巣穴に逃げ込みます。
しかしアカギツネは家族から離れて食事中の子どもに目を付けていました。
(鳴き声)追いかけるお母さん。
子どもを連れ去るアカギツネ。
お母さんなかなか追いつけません。
おや?何かが落ちました。
落ちたのはさっきまで子どもが食べていた獲物。
寒さにはあまり強くないアカギツネですが最近この辺りでよく見られるようになりました。
温暖化が原因だとも考えられています。
7匹になってしまった子どもたち。
子どもが巣穴のそばを離れるようになるこの時期が最も危険なんです。
第2章では一家は巣穴の引っ越しを決意します。
しかし新居に巨大なホッキョクグマが接近。
子どもたちは大丈夫?今日の舞台カナダ北東部のハドソン湾。
冬は一面氷に閉ざされます。
ところが夏になると…。
海鳥たちで大にぎわい!なぜ鳥たちはこの場所に集まってくるんでしょうか?意外にもそのヒントは地面の下にあります。
地下50センチの部分にあるのは永久凍土。
真夏でも凍ったままで水を通しません。
そのため植物が枯れて分解された栄養分は地中深くにしみこまず夏の雪解け水で川へ流れ込みます。
すると河口には魚の食べ物となるプランクトンが大発生。
そのプランクトンを目当てにシシャモなどの小魚が大量に押し寄せます。
鳥たちの目的はこの小魚だったんです。
さらに魚を狙うのは鳥だけではありません。
やってきたのはシロイルカ。
その数なんと数千頭。
子どももいますね。
シロイルカは食べ物が豊富なこの場所で子育てをするんです。
凍った大地が多くの生きものたちを育んでいます。
天敵のアカギツネに子どもを連れ去られたホッキョクギツネの家族。
子どもは7匹になってしまいました。
子どもたちはやんちゃな盛り。
巣穴を出て駆け回ります。
こうなるとお母さんは大忙し。
巣から離れた子どもたちをくわえて何度も連れ戻します。
いつまたアカギツネのような敵がやってくるかわかりません。
危険が迫るとすぐに安全な巣穴の中に逃げ込むようお母さんは子どもたちに覚えさせているんです。
数日後。
両親の姿がありません。
2匹とも狩りに出かけたようです。
そこへ現れたのは…。
トウゾクカモメ。
ホッキョクギツネの子どもを襲うこともあります。
子どもたちはいちもくさんに巣穴へ走りだします。
無事にやり過ごすことができました。
子どもたちはお母さんの教えをちゃんと守っていたようです。
子どもたちは生後3か月ほど。
脚が伸び体つきも一回り大きくなりました。
ところがここで家族を悲劇が襲います。
1匹の子どもが病気で命を落としたのです。
心配そうに集まってくる兄弟たち。
でもどうすることもできません。
実はこの前日またアカギツネに1匹の子どもが連れ去られていました。
残された子どもは5匹。
アカギツネは一度目を付けると繰り返し襲ってくる習性があります。
この場所にいてはいつまたアカギツネがやってくるかわかりません。
そこでお母さんはある決断をしました。
子どもたちを連れて別の巣穴に引っ越すことにしたのです。
ホッキョクギツネの縄張りは5キロ四方ほど。
その中にいくつかの巣穴を持っています。
お母さんは1匹の子どもを連れて新しい巣穴に移動します。
新しい巣穴は元の巣穴からは1キロ離れています。
周囲を茂みに囲まれているため敵から見つかりにくそうです。
お母さんはすぐに元の巣穴へ逆戻り。
そして次の子を連れて移動します。
また逆戻り。
子ども5匹分合計10キロを走る大仕事です。
ちょちょっと待った!何ですか?ヒゲじい。
今引っ越しの途中で忙しいんですけど。
まあまあまあそう言わずに。
こんなに大変なら1匹ずつじゃなくてみんなで一緒に引っ越したほうが楽なんじゃないですか?それがですね1匹ずつ移動する方が安全だからあえてこうしているんですよ。
どういうこと?もし5匹みんなで引っ越したとします。
はいはい。
すると親の目が全員に行き届きにくいので敵が襲ってきたら子どもたちを守りきれません。
なるほどねぇ。
それに比べて1匹ずつであれば子どものすぐそばについて引っ越しできるので敵が来た時に守りやすいんです。
ほうほうほう。
あそれで1匹ずつ引っ越していたというわけですか。
はい。
でもこんなにいい巣穴があるのなら子どもが襲われる前にもっと早く引っ越しちゃえばよかったんじゃないでしょうかね。
確かにそうなんですが今までは引っ越したくても引っ越せない理由があったんです。
えっどんな理由?子どもが小さい時は長距離を歩くことができません。
ですから親が1匹ずつくわえて運ばなくてはいけません。
これだと全部の子どもを運ぶのは難しいですよね。
確かにそうですな。
子どもたちが成長してお母さんと一緒に走ることができるようになった今だからやっと引っ越しできたというわけなんです。
う〜んなるほどそういうことだったんですか。
子どもを安全に育てていくのは大変なんですなぁ。
そうですよねヒゲじい。
ホッキョクギツネの家族たち新居でシンキョ一転仲よく暮らしてね〜。
家族の新しい巣穴は海のすぐそばにあります。
子どもたちにとっては見るものすべてが新鮮。
夢中で遊んでいます。
そこに現れたのはホッキョクグマ。
地上最大の肉食獣です。
子どもたちはすぐに巣穴に逃げ込みます。
しかしなぜかホッキョクグマがやってきたのは海岸。
お目当ては海岸に打ち上げられたシロイルカの死骸でした。
夏の時期ホッキョクグマにとって貴重な食べ物です。
幸いホッキョクギツネの家族に関心はなさそうです。
しかしまだまだ油断はできません。
ホッキョクグマの食べ残しのにおいに誘われてアカギツネがこの辺りにもやってくるかもしれないからです。
家族が引っ越して1週間後。
その予感は的中してしまいました。
3匹の子どもが立て続けにアカギツネに襲われてしまったのです。
子どもはついに2匹だけになってしまいました。
無事に大人になれるのはごくわずかなんです。
秋。
残った2匹の子どもたちは順調に成長していました。
お母さんが子どもたちを連れて巣から離れていきます。
こうして徐々に行動範囲を広げていくんです。
子どもが何やら地面を気にしています。
どうしたんでしょうか?花に集まる虫を捕まえようとしていたんです。
狩りのまね事でしょうか。
遊びながら生きるすべを身に付けていきます。
11月中旬。
長く厳しい冬が訪れました。
すっかり白い毛に生え変わったホッキョクギツネを見つけました。
あの2匹の子どもです。
生後半年。
体の大きさはもう大人と変わりません。
2匹にとっては初めての冬です。
ホッキョクギツネの子どもは冬に独り立ちをします。
この2匹も間もなく親と別れ1匹で暮らしていかなければなりません。
しきりに地面のにおいを嗅いでいます。
雪の下のレミングを探しているんです。
おっと!大きくジャンプして雪に突っ込みました。
何度も何度も挑戦する子ども。
ようやく捕まえました。
子どもたちは自分の力で狩りの腕を磨き長く厳しい冬を乗り越えていきます。
カナダ北東部のツンドラ地帯に暮らすホッキョクギツネ。
手ごわい天敵の脅威にさらされながらも必死に命をつないでいました。
過酷な環境でしっかりと足を踏ん張って生きる。
その小さな体には驚くべきたくましさが秘められています。
2016/01/07(木) 16:20〜16:48
NHK総合1・神戸
ダーウィンが来た!「ホッキョクギツネの子育て奮闘記!」[字][再]

カナダの原野に暮らす全身真っ白なキツネ、ホッキョクギツネが主人公。天敵のホッキョクグマやアカギツネが迫る中、8匹もの子どもたちを必死に守り育てる夫婦に密着する。

詳細情報
番組内容
カナダのハドソン湾沿岸に暮らすホッキョクギツネが主人公。真っ白な冬毛が黒く生え変わる夏、子育ての季節が始まる。今回、8匹の子どもを抱えた大家族に密着。わが子のため、親は自分より大きな獲物にも果敢に挑む。しかし、家族の周りにはホッキョクグマやアカギツネなど恐ろしい天敵が次々に迫る!果たして、子どもたちを無事に育て上げられるのか?極北の原野で必死に生きるホッキョクギツネ家族の子育て奮闘記。歌:平原綾香
出演者
【語り】近田雄一,龍田直樹,豊嶋真千子

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 自然・動物・環境
趣味/教育 – 旅・釣り・アウトドア

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

OriginalNetworkID:32080(0x7D50)
TransportStreamID:32080(0x7D50)
ServiceID:43008(0xA800)
EventID:8492(0x212C)

カテゴリー: 未分類 | 投稿日: | 投稿者: