NHK高校講座 世界史「大航海時代」 2016.01.07


フリードリヒ2世はイスラームと外交交渉による平和条約を結ぶ事に成功した。

(眞鍋)マジカル・ヒストリー倶楽部にようこそ!歴史を知れば旅はもっと楽しくなります。
今回も世界を旅して歴史を学んでいきましょう。
さあ今回のミッションは「大航海時代」という事なんだけどどんな時代なのかな?
(永松)はい。
15世紀になるとヨーロッパの人々はユーラシア大陸を離れて大西洋に乗り出しました。
うん。
これが大航海時代の幕開けです。
ほう。
こちらの地球儀をご覧下さい。
へえ〜。
今とはやっぱり違うのかな?そうなんですよね。
この辺がヨーロッパかな?そうです。
ちょっと形は…っぽいけど違うね今とは。
そうなんですよ。
この地球儀実は想像で描かれている部分が多いんでちょっと惜しいんですよね。
だね。
でもそのおかげで歴史が大きく動くんですが詳しくはまた後ほど見ていきましょう。
はい。
どう動いたのか楽しみになってきた。
それでは早速私が作ったマジカル・ヒストリー・ツアーを見ていきましょう。
まずは今回の見どころです。
いざ3つのビュー・ポイント。
訪れるのは主にアメリカ大陸。
時代は…まずはドミニカ共和国のサント・ドミンゴ。
コロンブスが作った新大陸最初の植民都市が今も残っています。
そしてメキシコシティ歴史地区。
街の中心にあるのは?スペインが建てたメトロポリタン大聖堂。
その地下からは意外なものが見つかりました。
ヨーロッパの人たちが大西洋に乗り出し世界中に進出した大航海時代へさあ出かけましょう!コロンブスといえば初めて渡ったアメリカ大陸をインドだと思ってたんだよね?そうなんです。
そう思ってしまったのには理由があるんです。
こちらをご覧下さい。
この地球儀の実物はコロンブスが最初に航海に乗り出した1492年に作られたといわれています。
コロンブスが捉えていた世界地図はおよそこのような形だったといわれています。
コロンブスが目指したのはインディアスというこの辺りから…。
この辺りまでです。
へえ〜。
今の東アジアから東南アジア南アジアあたりをイメージしていたようです。
当時ここに行けば香辛料や黄金がとれる…という事で航海に出るんです。
へえ〜。
でも既にその当時はムスリム商人を通じてアジアとの交易はあったんだよね?はい。
当時ヨーロッパからアジアへはここからこのように行っていました。
うん。
ですが逆にここから海を渡ってこのように行けば簡単ですよね?そっか。
この地図だとアメリカ大陸がごっそりない事になってるし海を渡って直接行っちゃえば早いじゃんって思ってもしょうがないかも。
きっとそうだったんでしょうね。
ともあれコロンブスはインディアスを目指して大西洋に乗り出します。
それではマジカル・ヒストリー・ツアー。
ファースト・ビューポイント!いざテイクオフ!テイクオフ!マジカル・ヒストリー・ツアー。
まず初めはドミニカ共和国の…アメリカ大陸に到達したコロンブスはここに最初の植民地を作りました。
街並みは中世後期のスペインのよう。
しかしその建設者であるコロンブスはこうした街並みを見る事なく生涯を終えたのです。
コロンブスとサント・ドミンゴ。
一体どんなエピソードがあったのでしょうか?時代を遡って…。
マジカル・ジャンプ!1492年3隻の帆船がスペイン南部から出航しました。
船団を率いたのはジェノバの商人…旅のスポンサーはスペイン女王でした。
ムスリムとの戦争で悪化した国家財政を立て直すためインディアスの黄金や香辛料がもたらす富に期待をかけたのです。
一方コロンブスの大きな目的の一つは…西へと航海を進めたコロンブスはカリブ海のサンサルバドル島に到着。
ここをインディアスだと信じました。
その後現在のドミニカ共和国の首都サント・ドミンゴに拠点を構えます。
ところがコロンブスは航海の目的の一つ黄金を見つける事ができずスペイン女王の期待に応えられませんでした。
航海は赤字となった上に部下たちが反乱を起こします。
厳しい立場に置かれたコロンブスは独断で部下や先住民に重い刑罰を与えました。
やがて本国から役人がやって来てコロンブスは逮捕されスペインに送り返されてしまいます。
その後サント・ドミンゴに立ち入る事は二度と許されませんでした。
コロンブスに代わってやって来た2代目総督はサント・ドミンゴを当時のスペインのような街並みに整えていきました。
その後長い年月の中でアメリカ大陸にキリスト教が広がりました。
コロンブスがきっかけで始まった入植はその後も大陸の奥地へと進みます。
そこで次々に銀山が発見されました。
それらはスペインにばく大な富をもたらします。
そしてヨーロッパには大量の銀が流れ込み物の価格が大きく上がるほどの変化が起こったのです。
コロンブスって歴史上の超有名人だからアメリカ大陸を大発見してもう一気に成果を上げたのかと思ってたけどサント・ドミンゴに到着したもののその後あまり成果が上げられなかったっていうのはすごく意外な気がしたな。
そうですね。
まあでも1つ大きなきっかけになったよね。
はい。
ちなみにコロンブスがアメリカ大陸を見つけた時代15世紀から16世紀はスペインだけでなくほかのヨーロッパの国々も大航海に乗り出しました。
そして次々に植民地を作っていったんです。
こちらの図をご覧下さい。
特に多くの植民地を持っていたのはスペインとポルトガルでした。
そこでスペインとポルトガルはトルデシリャス条約によって世界を二分してポルトガルの勢力範囲とスペインの勢力範囲を決めたんです。
へえ〜。
こんな世界の事を2つの国だけで決めちゃうって何か勝手な気がするけど…。
そうですね。
もともとそこに住んでた人たちだっていた訳だよね。
そこは気になるところですよね。
新大陸と呼ばれたアメリカ大陸には当時アステカやインカなどの国々があったんです。
その国々はどうなってしまったのか。
次のビューポイントで見てみましょう。
セカンド・ビューポイント!いざテイクオフ!テイクオフ!マジカル・ヒストリー・ツアー。
続いてはアメリカ大陸最大の都市…街の中心にはメトロポリタン大聖堂があります。
スペインによって植民地となった16世紀に建設が始まりました。
完成までに250年を要した大聖堂は中南米最大のものとなっています。
その地下の奥からあるものが発掘されました。
アステカの太陽神殿などの跡です。
徹底的に破壊され石積みだけが残っています。
スペイン人はなぜわざわざ神殿を壊してその上に大聖堂を建てたのでしょうか?時間を遡って…。
マジカル・ジャンプ!大航海時代以前中南米にはマヤ文明インカ文明などが栄えていました。
スペインがやって来た頃現在のメキシコで繁栄していたのはアステカという国でした。
この当時現在のメキシコシティのある場所には巨大な湖がありました。
その湖に作られた人工の島がテノチティトラン。
アステカの都です。
アステカ人が14世紀に建設を始めたテノチティトランは当時およそ20万人が暮らす世界でも有数の都市でした。
1519年コルテス率いるスペイン艦隊がアステカに侵攻してきました。
その2年後スペイン軍によってテノチティトラン陥落。
スペイン人はアステカの宗教や文化を野蛮だと見なし街を徹底的に破壊しました。
そして人々をキリスト教に改宗させるためアステカの太陽神殿などを壊してその上に大聖堂を建てたのです。
1534年南米アンデス地方のインカ帝国もスペインに征服されキリスト教に改宗させられてゆきました。
その後彼ら先住民たちは奴隷として銀の発掘などの過酷な労働に駆り出されます。
厳しい労働のため多くの人々が命を落としました。
ヨーロッパの文化を押しつけられて奴隷にまでさせられて中南米の文化が滅ぼされてしまうっていうのはすごく残念な事だよね。
はい。
そうですね。
大航海時代南北アメリカ大陸はヨーロッパ人によって大きな影響を受けました。
最も大きなダメージを与えたのはヨーロッパ人が持ち込んだ天然痘などの伝染病でした。
先住民の人々は免疫がなかったので場所によっては人口がおよそ1,000分の1ほどに減ってしまった所もあったといわれています。
へえ〜。
もうそんなにめちゃくちゃにされてヨーロッパの人受け入れる事はなかなかできなかったろうね。
そうですね。
やっぱり簡単には受け入れられませんでした。
それについては最後のビューポイントを見てみましょう。
それではサード・ビューポイント!いざテイクオフ!テイクオフ!マジカル・ヒストリー・ツアー。
最後は…スペインの植民地時代の建物が数多く残る街です。
その郊外にある…内部の壁には埋め込まれたたくさんの顔。
キリスト教会とは思えないような異空間が広がっています。
一体なぜこのような教会が建てられたのでしょうか。
その背景を探って…。
マジカル・ジャンプ!16世紀前半スペイン人はアメリカ大陸の先住民を次々に征服すると彼らの信仰を禁じキリスト教への改宗を強いました。
そして先住民に命じてキリスト教会を建てさせます。
エクアドルの首都キトのサント・ドミンゴ教会もその一つ。
マリア像はヨーロッパから持ち込んだ宗教画をまねて描くように命じられていました。
しかし先住民はマリア像の衣装を本来の青ではなく真っ赤に塗ってしまいます。
赤は先住民にとってインカの人々の血を表す特別な色だったからです。
マリアの衣装だけでなく祭壇も真っ赤に塗って先住民の伝統を残そうとしました。
こうした抵抗を見せた先住民は捕らえられ処刑された者もいました。
そこで見つからないようにインカのモチーフを紛れ込ませる工夫をしました。
これは先住民の信仰の対象だった太陽のモチーフ。
最初は本国スペインと同じように教会を建てさせようとしていたスペイン人も布教のために次第に妥協点を探るようになっていきました。
サンタマリア・トナンツィントラ教会にある不思議な像も先住民の神々をモチーフにしたものだったのです。
へえ〜。
中南米のキリスト教のモチーフって何か雰囲気が独特だなと思ってたんだけどもともとあった信仰とミックスされたからああいった形になったんだね。
そうですね。
共存してますよね。
キリスト教以外にも言語それから街並み食べ物などがヨーロッパから植民地へと広がっていきました。
ほう。
また逆にアメリカ大陸の食べ物がヨーロッパにも広がりました。
うん。
それがこちらです。
お〜。
わっ。
お野菜がいっぱい。
そうですね。
う〜ん。
あとチョコレートもある。
そうなんです。
へえ〜。
今普通に世界中で食べられているものがこの時アメリカから広がったものだったんだ。
そうなんですよ。
これらの食べ物はヨーロッパを通じてアジアやアフリカにまで広がりました。
へえ〜。
まあこういったものが世界中に広がっていったっていうその始まりが今回の大航海時代っていう事だね。
そうですね。
ここからは歴史の深いお話アドバイザーの落合先生に伺っていきます。
先生…。
(永松眞鍋)よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
さあ今回勉強した中でちょっと気になった事があったんですけれどもスペイン人は先住民の文化を壊して自分たちの文化を押しつけてましたよね。
何かこう先住民に対して尊敬の気持ちとかそういうのは持てなかったんでしょうか?出会った当初からキリスト教徒でない人々ですからこれは野蛮な人々である…というふうに考えてたんですよね。
野蛮な人?はい。
だけど一方でとても立派な都市を造ったり高度な文明を創ったりしてる。
どうしてこんな事ができるんだろうというふうに驚いてもいたんです。
じゃあすごいなとは思ってた訳ですね。
思ってたんですね。
だけどキリスト教徒でない人間がどうしてそんな事できるんだろうという事をヨーロッパ人はずっと「不思議だ不思議だ」というふうに考えていたんです。
え〜。
キリスト教がもう絶対っていう考え方だったんですね。
はい。
だけどヨーロッパ人は大航海時代を通じてアジアとかアフリカとかアメリカ大陸とかあちらこちらを知るようになりましたね。
そうするとだんだん考えが変わってくるんです。
何か働きがあるんだ…っていうふうに考えるようになっていったんですね。
でそういう人たちに対してヨーロッパの物差しだけを当ててそして「これは野蛮だ」というふうに決めつけて本当にいいんだろうかというふうな疑問考え方というのが出てくるようになります。
これは結構早くて17世紀ぐらいにはもう生まれてるんですけどこれを後の言葉で…文化相対主義。
はい。
じゃあそういうものが出てきてからはもう「キリスト教最高。
ヨーロッパ最高」という考え方はちょっとずつ改まっていったんですか?そうでもないんですね。
やっぱりキリスト教はヨーロッパのものでありそれが頂点だっていう考え方は変わらなかったんです。
でそこの矛盾を解こうというので生まれた考え方が「社会進化論」という新しい考え方だったんです。
それは人間社会っていうのははしご段を上るように少しずつ高度なものへと進化していくというふうに考えたんですね。
でその頂点一番はしごの高いところにヨーロッパの先進的な社会があって世界のいろんな社会はその段階には来てないけどもいつかははしごを上ってヨーロッパのようになる…というふうな考え方なんですね。
はあ。
でこの考え方ですとそれぞれ世界のあちらこちらの文化はそれも価値があるんだ…という事を認める事になりますよね。
でしかもヨーロッパは頂点だっていう考え方も揺らがない…という事になる訳です。
そういう考え方のもとに歴史が作られていったんですね。
先生面白いお話どうも…。
(2人)ありがとうございました。
ありがとうございました。
いややっぱり人間なかなかね全てすばらしいんだっていうふうに柔軟には考えられないものなんですかね。
やっぱり今でも我々「発展途上」なんて言葉を使っちゃったりしますよね。
あ〜使います。
あれはやっぱり1本の線の上で考えてるんじゃないかと思うんですよね。
そうか。
今もその考え方がちょっと…。
ねえ。
あるかもしれないね私たちの中にも。
そうですね。
でもやっぱりそんな考え方がもしちょっとでも違ったら今の世界は変わっていったかもしれないですね。
そうだね。
2016/01/07(木) 14:20〜14:40
NHKEテレ1大阪
NHK高校講座 世界史「大航海時代」[字]

歴史を知ると、旅はもっと楽しくなる! 世界各地の遺跡や観光地に隠された歴史の秘密を解き明かすマジカル・ヒストリー・ツアーに、みなさんも出かけましょう。

詳細情報
番組内容
歴史の秘密を解き明かすマジカル・ヒストリー・ツアー。今回訪ねるのは大航海時代のアメリカ大陸。1492年、コロンブスがアメリカ大陸に到達した。この後スペインはアステカやインカといった国々を滅ぼし、キリスト教をはじめとするヨーロッパ文化を浸透させた。新大陸のヨーロッパ化がどのように進められたのか、メキシコシティーに残る太陽神殿の遺跡などを訪ねてひも解いていく。【出演】眞鍋かをり、永松文太
出演者
【講師】一橋大学教授…落合一泰,【司会】眞鍋かをり,永松文太,【語り】山田みほ

ジャンル :
趣味/教育 – 中学生・高校生
バラエティ – その他
趣味/教育 – 大学生・受験

映像 : 480i(525i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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